○副
大臣(
木村仁君) 御
質問いただきました諸点について概要を御
説明いたしまして、また細部にわたっては
局長が御
説明する部分があるかと思いますが、何よりもまず、
ODA特別委員会において、今回、
委員派遣という形で
ベトナムに対して弔意を表せられ、かつ詳細な
調査をくださり、責任者と懇談の上、今後のことも御協議いただいたことについて、心から御礼を申し上げたいと思います。また、御指摘ありました、至らない点があったことに対しましては、答弁の中でも申し上げますが、おわびを申し上げたいと思います。
第一に、
工事の過程で
コンサルタントの一員が安全管理が十分でないという
レポートを書いていたのを無視したのではないかという点でございますが、この点につきましては、
日本人
コンサルタントが
補強工事の必要性等に係る提言を行ったということは事実でございますが、そのことは、
政府としては本件
事件の発生後に
コンサルタントから
報告を受けております。
事前には把握していたという事実はございませんで、
政府において握りつぶすとか、そういうことではないわけでございます。
調べてみますと、
レポートについては、コントラクターがその
内容に従って
補強をしたことが確認されておりまして、それは文書でなくて口頭でコントラクターにコンサルから伝えられたそうでございます。そういうことが確認されておりまして、私どもが
ベトナム国家
事故調査委員会に
派遣といいますか、
協力のために
派遣しております塩井
委員によりますと、この
委員会ではそれについての言及があったけれども
議論の対象にはならなかったと、そういうふうに聞いております。
それから次に、
国内で起こっていたら大変な
事件で、いろんな責任が生じるであろうと、そういうことでございます。これは正にそのとおりでありまして、私どもが十月七日に、初めに
訪問いたしましたときに
首相と会談をいたしましたけれども、その席上で
首相はその責任のことについても言及をいたしておりました。
責任は恐らく三つあると思います。
一つは民事の責任でございます。もう
一つは刑事上の責任でございます。それから、
日本国内もそうでありますが、特に
ベトナムにおいては施行者としての政治上の責任、こういうものがあるということを指摘しておりました。そういうことをきちっと処理するために、
調査については
ベトナム政府の責任と権限において実施したい、ついては
日本に最小限度の
協力を
お願いするから
委員一人を
派遣してくれと、こういう
お話でございました。
私どもはその点については協議をいたしましたけれども、民事の責任を負わなければいけない、あるいはコントラクターあるいは
コンサルタント、
日本の
方々の刑事責任が問われるかもしれない、そういう
事件でありますから、
日本でこの
事件が起きたときにも恐らく
日本政府は自分の力で
調査をする、必要であれば技術的な委託とかはするとしても、権限と責任において
政府がやるだろうということで、この間、立ち入っていろんな
発言をすることは差し控えてまいりました。そして、
協力については三人ほど出したいという希望を申し上げましたけれども、いや、当面一人にしてください、また必要であれば
お願いをすると、こういうことでございましたので、そういう形になっております。
なお、その後の事情を聴きますと、
日本から
派遣しております塩井教授はそのレベルの中では最高の
技術者であるというふうに考えております。
まず、その
調査の過程で、この責任の問題につきましては事実
関係はほぼ解明されて、まだ一、二
議論しなきゃいけないところが残っていると、こういうことのようでありますけれども、今やっておりますことは、また再び
現地に赴いて
コンサルタントあるいはコントラクターから法律の専門家が
意見を聴取しておりますとともに、
日本についてもそういった
事件のときに一体どういう責任の取り方になるんだろうかということを照会してきて、
事件の
情報を出したりいたしております。これからその責任の部分の微妙な
調査の
議論に入るようでありますので、私どもも、干渉はいたしませんけれども、注意深く
情報を取ってまいりたいと考えております。
第三に、
補償の問題でございますが、
補償につきましてはこれまでまだ進んでいないわけでございます。先ほど
派遣委員の方から御紹介がありましたように、コントラクターは私どもが
現地に赴きます以前に九十億ドン、約六千三百万円の
見舞金を出しております。これは民事の
補償とは全く
関係のない
見舞金でありまして、十億ドン、七百万円ほどが
遺族に対する
見舞金でございます。あと八十億ドン、五千六百万円ほどが遺児の養育、教育のための基金をつくって渡す、そういう義援金だというふうに聞いております。
その後もいろいろな
方々が、コントラクターの社員等の募金あるいは商工会の
企業の募金等が行われておりまして、日越友好
議員連盟等も寄附をしておると、こういうことを承知いたしております。
民事上の
補償につきましては、
首相は、
是非ベトナムの法律にのっとった正規の
補償をしていただきたい、しかしそれでは多分世界水準には達しないであろうから、どうかその世界水準のことも考えてほしいという強い要望を出しておられました。これは今後の問題でございます。まだ刑事責任については公安部が動いて
調査をしているという話は、
情報は得ておりますけれども立ち入った
情報は得ておりません。今後の問題であると考えております。
それから次に、この千二百三十二億円に上る有償、無償の
ODA、これの一部は当然
補償に充てるべきではないかという御指摘でありますけれども、これは、
日本政府は
ODAを出し、そして施主は向こうの交通運輸省でありますし、コントラクターは
日本の
企業でありまして、第一義的にはこの間で
企業の
補償、責任がどこまであるかという
補償の問題でありますから、第一義的には
日本国
政府そのものは
補償の責任を持っているとは言えないと考えておりますが、これは
補償の実態をまた見ていくことになろうと考えております。
議員派遣をなさいましたその七日でございますが、千二百三十二億円に及ぶ有償、無償の翌年度
ODAの提案、プレッジをしたことは事実でございます。この間においてそのことを
派遣委員の
皆様にお知らせしていなかったというようなことは大変申し訳ないことでございまして、別に、何というんですか、露払いというようなそういう意識は全く
政府にはないことは御了承いただきたいと思いますが、連絡等が十分でなかったことは深く反省をいたしたいと思います。
これは東南アジア諸国が一堂に会してプレッジを行う、東南アジア諸国というより東南アジアの援助諸国ですね、援助する国が全体として集まってプレッジを行うものでありまして、前々から決まっていたそうでありまして、その日程、約束を守らなければいけないということでプレッジは一応いたしております。しかし、来年度どのような
ODA援助を
ベトナムに対して行うかということは今後の問題でありますので、
カントー橋の
事後処理等もしっかりわきまえながら検討をさせていただきたいと存じております。
それから、
調査について、これ一か月以内に結論を出すということを言ったではないかという御指摘でございます。
これはそのとおりでございまして、私どもがお
話合いをいたしましたときに、向こうの
首相は、一か月以内に少なくとも
原因だけは明らかにしたいと、こういう意欲を強く述べておられました。私どもは、一月というのは
日本のそういう大きな
事故についての
原因の
調査としては大変短期間であって、恐らくそれではできないのではないでしょうかということは申し上げましたけれども、
ベトナム政府としてはそういう意気込みでやるのだということでございました。
一か月
たちまして、もう二か月近くたっておりますので、中間的な
情報の提供を求めておりましたけれども、それもまだ参りません。したがって、私がこの連休を利用して出張させていただければ、
国会の御了承を得て、その点についても更に詰めますとともに、今後、
原因の
究明、責任の追及ということは向こうの
政府の仕事だと割り切っておりますけれども、今度
建設事業を再開するまでの安全管理、災害の再度発生することを絶対防がなければいけませんから、その点については我々も参加させていただいて準備をしたいということも申し上げてきたいと思います。
そのために、
カントー橋事故再発防止検討会議を設けまして、専門家の
方々、JICA、JBICにも参加していただいて今準備の
議論をしております。まだ
事故分析についての十分な
情報が得られておりませんので審議は進んではおりませんけれども、
ベトナム政府の
調査結果を、まあ点検するということは、立場は取りませんが、よく調べさせていただいて、そして
事業再開に向かって万全の体制を取るための
事故再発防止検討ということを進めていきたいと考えております。この段階になりまして私どもが入手できます
情報は、できるだけ秘密にせず公表していきながら
議論してまいりたいと思っております。
なお、これまでに出されております
情報については、コントラクター及び私どもが
派遣している
委員、この両方について
ベトナム国家
委員会の
委員長から守秘義務について厳しい制約が課せられておりまして、私ども自身、塩井教授から明確な
情報を取ることは難しいというくらいであります。しかし、今後
ベトナムの
調査が終わりましたならば、そういう
情報はコントラクターからも、また
調査団、
調査会社からも取ってまいりますし、
ベトナム政府からも
情報は全部
お願いをしたいと、こういうふうに思っております。
それから、ゴルフをやっていたではないかということであります。本当にこれは誠に遺憾なことでございまして、厳しく指摘をしているところであります。具体的なことは
局長からお教えしてくると思います。
今後の
ODAの、
通常の
視察と違った格別の
視察をしていただきましたことを御礼を申し上げましたが、この
視察は、先日チェット大統領が
訪問しました際に江田議長との懇談等がありまして、また
派遣された
皆様と
委員長等との本当に長時間にわたる腹を割った懇談の中から非常に良い結果が生まれてきたことを感謝いたしております。
以上でございます。