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仁比聡平君
日本共産党の
仁比聡平でございます。
まず、
民主党案、
改正案の第一条の
目的について、
改正案は、
支援の
対象となるものについて
現行法の
経済的理由などによって困難なものなどの文言を削除するとともに、端的に
被災者の
生活の
再建を
支援するということにしておられるわけでございます。その
趣旨、そしてとりわけ
被災者の
生活基盤の
再建と
被災地域全体の迅速な
復興との関係についてどのようにお考えかという点を私なりの思いも含めてお尋ねをしたいと思うんですけれども。
今日、先ほども阪神・淡路大震災以来の
お話がございました。私は、当時福岡の駆け出し弁護士でございまして、
法律家団体、日弁連はもちろんのこと、各種団体が挙げて神戸、阪神・淡路に
調査に入り、当時、
個人補償という
言葉を使っておりましたが、
生活基盤、とりわけ
住宅や営業の
再建支援を行ってこそ
復興を進めることができるのではないかという提案をしていたことを大変強く思い出してこの
委員会に臨んでおります。当時、私どもの党もそのような方向での実現の
法案大綱を提出をさせていただいたこともあるわけでございますけれど、そういった意味では、三年前に国会に参りました私としては、阪神・淡路後の政治家ではありますが、この
被災者生活再建支援法の見直しを考える上で阪神・淡路がやはり原点だというふうに思っています。
一昨日の
質疑の際に紹介をしました全国災対連の先週土曜日の集会にも阪神・淡路大震災
被災者ネットワークの代表の方がおいでになって、冒頭おっしゃったのは、十三年を迎えようとしているが、一番遅れているのが人間の
復興だという
言葉でした。これは
藤本議員も一緒に聞かせていただいたんですけれども、その中で
災害復興住宅の高齢化の実情を
お話しになりました。
神戸市中央区のある借り上げ
復興住宅で、ここは入居者四十六人の方が全員単身で、多数の方が女性。入居する際には、お互いに年寄りばっかりやなというふうに驚いたそうです。現在、一番若い方で七十一歳、平均年齢が八十歳とおっしゃいます。中心街にありながら、買物に行ける人が少なくて、週二回来てくれる小型トラックの食料販売が頼りだというんですね。九十四歳になるある女性は、震災の前は自宅でお茶とお花の先生として若い人に囲まれて楽しい暮らしをしていたんだけれども、今はその
復興住宅の部屋に閉じこもっているので、手足が弱り、室内で歩くのも不自由です。震災さえなかったら自分の家で安らかに死ねたのにと
お話しになっておられるというわけです。
そういった中で、二〇〇三年にその
住宅でも孤独死があって、これを契機として、一つは励まし合って生きていくための食事会、そして安否確認のための朝食作戦、それを
被災者の
皆さんがずっと取り組んでいらっしゃるわけですよね。
このネットワークの代表の方は、元の場所で自宅
再建ができておればこんな惨めなことはなかったでしょうと、そういうふうに
お話しになりました。この方、代表の方御自身は、ポートアイランド第三仮設
住宅百三十戸の自治会長を四年二か月なされて、最後に仮設
住宅を出られたそうです。
平成十年、九八年五月ですね、最後の希望であった
被災者生活再建支援法が成立をしたが、
住宅本体再建の
支援は認めないと決まった、それでやむを得ず
復興公営住宅に応募した六十歳以上の夫婦世帯が十二件あった、だが二〇〇五年までにその世帯主十一人の
方々が既に亡くなられてしまったと、そのような実情を語られた後にこのようにおっしゃいました。
住宅再建の夢は失われ、見知らぬ土地で無念の思いが死期を早めたと思われます。元のところに自宅を
再建できたら人生は継続されたことでしょう。
被災者生活再建支援法は、阪神・淡路大震災
被災者の声と運動を原点に、
国民的世論を背景に成立しました。しかし、二〇〇四年の見直しでも
住宅本体建設には適用しませんでした。仏作って魂入れずだと思います。私たち
被災者ネットワークは、行政が五年で打ち切った市民追悼式を続けています。六千数百人の犠牲者、
関連死などを含めますと一万人にも上る犠牲者があったと思われます。全犠牲者に対して、あなた方の死は無駄にはいたしません、安全、安心して住める
住宅建設のために
被災者生活再建支援法に
住宅本体再建支援を実現するまで戦い続けることを誓いますと、毎年一月十七日の日に誓っておられるというんですね。
今日も、この阪神・淡路以来の数々の
被災地での
被災者がどのような思いでこの国会を見詰めているだろうかという
お話がございました。その
皆さんの思いを推し量って私が考えるのは不遜だと思いますけれども、この
被災者の
皆さんが十三年に及ぶ悲願達成のために全国の
皆さんと力を合わせたいというふうにおっしゃっておられる、その
言葉、思いというのは極めて重いものがあると思います。
この
法改正、見直しが成案を得て、今国会で実現をするということが是非に求められているわけですけれども、この阪神・淡路の教訓というのは、
生活基盤、中でも
住宅、その
再建こそが
復興のかなめなのであって、その
住宅を取り戻していくために公的な
支援が何としても求められているということだと思います。この
改正の
目的についてどのようにお考えか、
発議者にお尋ねをいたします。