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風間直樹君 ありがとうございました。
今の御
説明、要約しますと、一種の潤滑剤として水を地中に注入することによって石油の取り出しを容易にしたり、あるいは天然ガスの取り出しを容易にすると、こういうことかと思います。
実は、これは世界各国で広く行われている手法だというふうに伺っておりますが、この手法が
地震を誘発するということにつきましては、特にアメリカにおきまして既に相当の広い
認識を得ているところでございます。
今日は手元に一つの資料を持ってまいりましたが、こちら、アメリカのオハイオ州の州都コロンバスというところにありますバッテル
研究所、この
研究所がまとめた資料であります。この資料の題名は、帯水層へのCO2注入が誘発する
地震活動の
調査、こういう名前になっております。つまり、地中に水ないしCO2を注入したときにどのような形で
地震活動が誘発するかということを
報告しています。
皆様のお手元には資料としてお配りをしておりますが、資料の二—一、そして二—二。この二—一がバッテル
研究所の
報告書の末尾に添付されている表です。この二—一と二—二はほぼ同じものでございますのでごらんいただきたいと思いますが、ごらんのとおり、例えば一番上のコロラド州のデンバーで行われた廃液処理のための地中注入、深さ三千六百七十一メートルのところに注入をしました、注入時の圧力は七・六メガパスカルでした、それによって誘発された
地震のマグニチュードが五・五だったということが記されております。さらにその下、
日本語の表の三番目でございますが、同じコロラド州のラングレーというところ、石油回収を目的にCO2を注入したところ、深さ千九百メートルのところに注入し、その圧力は八・三メガパスカルだった、これが誘発した
地震が三・一のマグニチュードだったということでございます。
同じような例は
日本でも
報告されておりまして、昭和四十年の八月から松代市で約五年間にわたって群発
地震が起きました。実はこのときには、
調査研究という目的で、ちょうどこの
地震が起きた期間に水を地中に注入していたわけでございます。もちろんこの
地震との因果
関係は当時は知られておりません。この水を注入している間、深さ千八百メートルのところに五メガパスカルで注入していたわけでございますが、二・八のマグニチュードの
地震が誘発されたと。これは、地中への注水実験をやめると
地震が止まるという因果
関係が当時
報告をされております。
このように見てまいりますと、地中に水ないしCO2を注入することが、我々はそういう意識は全くないわけですけれ
ども、実は
地震を誘発していたということがこれまでの経験則から浮かび上がってまいります。
この手元にありますバッテル
研究所の
報告書の中には、廃液処理その他の目的でCO2や水を注入した結果、
地震が起きました、同時に、その注入の
影響地域というものが数キロから数十キロ先にも及んだ、さらに、深さもこの注入した井戸のポイントから数キロ深いところまで及んでいると、こういう
報告がこの中でなされております。
また、アメリカでは、こういった水やCO2の注入が行われることによって頻繁に
地震が起きている、それまで
地震がなかった
地域においてさえ群発
地震が
発生した、そういう結果を踏まえて、連邦
政府が
研究機関に依頼して
影響評価の
報告を行わせて、その結果、こうした行為を行う事業者が遵守すべき法令を定めております。これは地下圧入規制プログラムと呼ばれる法令でありますが、英語ではアンダーグラウンド・インジェクション・コントロール・プログラムと、こういう名称で呼ばれております。
さらに、ここから一歩論を進めますが、このような原理、つまり地中に水ないしCO2を注入したときに
地震が起きる、これを発展させますと、大きな水の注入につながる建設物、例えばダムがそうでありますが、このようなダムを造った場合に
地震発生が伴うという、こういう
報告が同じく米国内でなされております。それが皆様のお手元にお配りしております資料二—三であります。アメリカ、ギリシャ、インド、フランス、ローデシア、それぞれの地区で建設されたダムによってどの程度のマグニチュードの
地震が起きたか、ここに表記をされております。
アメリカの地質
調査所という
研究機関、ここが連邦
政府の要請によりまして九六年にある
報告書を作成いたしました。アメリカ国内である大きなダムを造るという計画が持ち上がった。そのときに
地域住民の
皆さんから、ダムを造られるとその後
地震が
発生するおそれがあるから十分な
調査をしてほしいという声が出たために、連邦
政府が
調査を依頼したわけであります。
この地質
調査所のまとめた結論は
三つございます。まず一つ、貯水による誘発
地震を考慮する必要がある。二つ目に、自然に起きる最大の
地震よりも大きな
地震を誘発することはないだろう、ダム建設によって。さらに、しかしその
地域で自然に起きる最大
規模の
地震の
発生の可能性は高くなるかもしれない、つまり、ダムを造ることによって
地震が起きるかもしれないと。加えてもう一点、もしダムを建設するなら、ダム着工前に
地震計を多数配置して基礎データを集める必要があると、こういう結論でございます。
ここまで、まず私が今申し述べましたことをまとめさせていただきますと、このように地中に水やCO2を注入することにより
地震が
発生するということになるわけでありますが、この
地震の大きさ、様々な科学者の
研究によりますと
三つの要因によって規定されるということが大体分かっているようでございます。まず一番目に、地下への水の浸透度合い。二つ目に、地下に埋設されている、存在する金属の量。そして三番目に、原子状の水素ガス、水分と鉄その他の鉱石との反応によって
発生したこの水素のガスが貯蔵されるのに適した
地域、つまり地盤がそこにあるかどうか。この
三つの要因が
地震の大きさを決定すると、このようなことが言われております。
そこで、お尋ねをいたします。
財団法人
地球環境産業技術
研究機構が経産省の補助金を受けて
新潟県内で二〇〇三年七月から二〇〇五年一月までに行ったCO2地中貯留実験について、それぞれの実験実施の年月日、
場所、注入総量、注入圧力をお尋ねしたいと思います。また、実験を行った目的もお尋ねいたします。同時に、経産省から幾らの補助金が支給されているか、併せてお尋ねいたします。