○副
大臣(中野正志君)
経済産業副
大臣の中野正志でございます。
本日は、過去の
調査会の
提言及び
調査会委員による本
会議決議に対する
経済産業省の
対応と現状につきまして御
説明をさせていただきます。
まず、
提言番号(1)の
環境政策に関し、
経済産業省では自動車の排ガスによる大気汚染対策に取り組んでおりますので、その
状況を御
説明させていただきます。
大気汚染に関しては年々
改善傾向にあるものの、自動車交通量の多い一部の
地域においては大気
環境基準を達成していない
状況が継続しております。こうした
状況への具体的対策として、自動車交通量が多く大気汚染の特に著しい
地域への対策を
強化するために、
関係府省と
連携して、いわゆる自動車NOx・PM法
改正をお願いし、本年五月に成立いたしました。
低公害車の
普及については、運輸部門における石油依存度の低減や地球温暖化対策の観点から重要であるハイブリッド車、電気自動車、天然ガス自動車などに対する補助や優遇税制、公共調達の
活用等により
普及を
促進しているところです。こうした
取組等により低公害車の
普及は着実に進んでおり、
平成十八
年度は、
平成十二
年度に比べて約二十三倍に
増加しております。
また、
経済産業省では、大量生産、大量消費
社会から持続可能な循環型
社会へと転換するため、個別製品ごとのリサイクル法
制度の
整備や
事業者の自主的
取組の
促進等により、リデュース、リユース、リサイクルのいわゆる3Rの
取組を
推進してきております。特に、容積比で
家庭ごみの約六割を占める容器包装廃棄物に関しては、容器包装リサイクル法に基づく
措置を着実に進めてきており、廃ペットボトルやプラスチック製容器包装廃棄物等の回収率が大きく
改善してきており、
平成十六
年度の一般廃棄物の最終処分量は
平成九
年度に比べて約三割に削減されるなど、廃棄物の減量が進んできております。
こうした
環境負荷に配慮した自動車の
普及や廃棄物の減量などを通じて、大気
環境改善に向けて取り組んでまいります。
次に、
提言番号(2)の
研究開発について御
説明いたします。
情報通信技術の
研究開発の重要性については我々も十分認識しており、これまでも高度な国の
研究施設を
整備し、
情報通信技術に関する最先端の
研究を産学官
連携の下、
実施してまいりました。
具体的には、独立行政法人
産業技術総合
研究所内に世界最高水準の大型クリーンルームを
整備し、半導体微細化
技術の
開発を産学官で
推進しており、優れた成果を出しております。また、次世代半導体設計・製造
技術を
共同研究するための
施設や大型液晶ディスプレーパネルの製造
技術を
研究するセンターも
整備し、産学官での
研究を強力にサポートしてまいりました。
技術成果の公開や
ベンチャー企業等との
共同研究の
推進に関しましては、産総研において知的財産等の
研究成果や
研究情報、他の公的試験
研究機関の公開
設備等の情報をデータベース化し、ホームページ上で公開してそれらの利用の
促進を図っております。また、産総研の
技術力を
活用し、中小
企業やベンチャー
企業の
技術シーズを
事業化するための
共同研究事業を
実施しております。
こうした最先端の
情報通信技術の追求に加え、
情報通信技術がもたらす豊かさを高齢者の方々を含めたあらゆる人たちが享受できるような
環境整備も重要な課題です。
経済産業省では、障害者や高齢者の方々が容易に操作できるような
情報通信機器を設計するための指針として、
平成十六年から一連の日本工業規格を制定いたしました。また、
技術開発への
支援として、障害者、高齢者向け情報システムの
開発事業や、福祉用具実用化
開発推進事業を
実施しております。
これら
事業の成果の一例としては、高齢者の方でも聞き取りやすいようにゆっくりと話をしているように感じられる変換機能等が
開発され、この変換機能は一部のラジオ、デジタルテレビに実際に搭載されております。
次に、
提言番号(3)の
若年者雇用について御
説明いたします。
将来の
産業を担うべき
若者のうち約二百万人がフリーターとなり、十分な就業経験を得られない状態が続くことにより我が国
経済の競争力が損なわれてしまうことが課題となっております。こうした問題意識の下、
平成十六年十二月に
若者の自立・挑戦のためのアクションプランを取りまとめ、
関係省庁が
連携して
若年者雇用対策に取り組んでまいりました。
経済産業省としても、
若者が自らの適性に合った職に就くことを
支援するため、
平成十六
年度から
平成十八
年度までの三年間の計画で
若者の
ニーズに即して就職意識の向上のためのカウンセリングや適職を見付けるための
雇用情報の
提供など、きめ細かな
サービス提供を行うジョブカフェモデル
事業を
実施してきたところであります。モデル
事業の
実施は
平成十八
年度までとなっておりますが、
平成十九
年度以降は当初の予定どおり、自治体が自らモデル
事業で得られた成果、ノウハウを
活用し、
関係の深い他の
事業と効率的に
連携して機能の
拡大やワンストップ化を
実現するなどの創意工夫を加え、若年者就職
支援事業を継続して
実施しております。
また、
平成十八
年度より
若者と中小
企業との
ネットワーク構築
事業と銘打って、ジョブカフェを利用する
若者に対して
地域の中小
企業の魅力を語り掛ける
事業を
実施しており、
若者の就職
促進と
地域の中小
企業の人材確保を
両立させる仕組みを
支援しております。
今後とも、
関係省庁と
連携しつつ、
社会での活躍を目指す
若者を
支援するために
若年者雇用の
支援に取り組んでまいります。
次に、
提言番号(4)の
雇用格差について御
説明いたします。
経済産業省では、
地域における新たな
雇用と
所得を生み出すために、さきの
通常国会で御審議いただいた
地域活性化二法の着実な
実施に努めているところであります。二法のうちの
一つの
企業立地
促進法では、
地域が自らの強みを生かした
企業立地マニフェストとも言うべき基本計画を策定します。
現在までに三次にわたり二十三道府県で四十の計画が策定されており、今後全都道府県で基本計画の
検討が行われ、合計九十八の基本計画の策定が見込まれております。
地域が策定する基本計画には、
企業立地件数や新規
雇用者数などの目標を設定することとしています。これまで策定された四十の計画では、新たに約二千八百件の
企業立地が見込まれ、それにより約十万人の新規
雇用が見込まれております。
また、中小
企業地域資源
活用促進法については、本年八月に
事業計画の前提となる
地域資源を総計八千三百五十四件特定いたしました。そして、
地域産業発展の核となる新
事業を五年間で一千件創出することを目指し、十月十二日には、こうした各地の強みである
地域資源を
活用した
全国百五十三件の
事業計画に対し、法施行後初めての
事業認定を行ったところです。これら認定した
事業の
支援とともに、新たな
事業認定に向けた
支援を引き続き行ってまいります。
経済産業省といたしましては、予算、税制、低利融資等の
支援措置を講じるとともに、
地域の声を聞く地方との対話や
地域中小
企業サポーターズサミット、
企業立地
促進フォーラムの開催などを通じた積極的な方法も進めてまいります。
このように、
地域への
企業立地の
促進や
地域資源を
活用した新
事業の創出により、
地域において新たな
雇用を生み出し、
地域間の
雇用状況等の格差是正を図ってまいる所存です。
次に、ユニバーサル
社会の形成
促進に関する
決議について御
説明いたします。
ユニバーサル
社会の形成
促進には、ユニバーサルデザインによる製品や
環境の設計という視点が必要であり、様々な製品や
環境について、これまで使いにくかった人が使えるようになることや、これまで使えていた人がもっと使いやすくなることが重要であると考えます。
経済産業省としては、
子供、お年寄り、妊婦、障害のある方、日本語を母国語としない方々など、多くの方々が
安心して生活できるようユニバーサルデザインの
普及に向け民間
事業者の
取組の
支援や
事業環境の
整備などに取り組んでおります。
具体的には、高齢者や障害のある方に限らず、多くの方にとって使いやすい製品の
開発に資するよう、人の体の寸法や筋力などのデータを
整備し公開するとともに、乗り降りのしやすい車いすや軽量化された下肢装具など、高齢者や障害のある方にとって優れた福祉用具の実用化
開発の
支援を行っております。また、視力の低下した方でも身の回りの製品を容易に識別できる包装容器の形状やデザインなど、高齢者や障害のある方に配慮した
技術に関する日本工業規格の制定や国際標準化の提案、これらの規格作りの一層の
拡大に向けた
調査研究も行っております。
あわせて、ユニバーサルデザインに関連する国際
会議の日本での開催や、グッドデザイン賞などの表彰
制度を
活用した
企業の自主的な
取組の
促進などに加えて、
子供たちの安全性の向上と健やかな成長、発達を目指したキッズデザインの
推進などに取り組んでおります。こうした
取組を通じてユニバーサル
社会の形成
促進に積極的に取り組んでまいります。
最後に、
国民生活・
経済に関する
調査会の御
提言等への
経済産業省の
対応について御
説明いたします。
国民生活・
経済に関する
調査会の御
提言等につきましては、
経済産業省の政策の
実施に当たり非常に重要なものであると認識しております。
経済産業省では、
調査会からいただいた御
提言等を
大臣官房からその
内容に
関係する部局に
周知し、御
提言等の
趣旨や
内容を踏まえた政策の立案や
改善に取り組んでおります。
今後とも、より一層の
周知徹底を図る観点から、いただいた御
提言等を
大臣官房から省内に配付し、その
趣旨、
内容を確実に
周知するとともに、
大臣官房が主催する省内の定例
会議等を通じ、国会の御
提言、御指摘、御議論等を踏まえて適切な
対応を取るよう指示してまいります。
以上、私の報告とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。