○西島英利君 是非、中医協もそうですけれども、なかなか、まあ中医協は別の
法律で決められた組織といいながら、実際的にはやっぱり行政がかなり関与しているわけでございますから、行政というのは、一つの決められたものを変えるときには大変な実は、抵抗という言葉を使っていいのかどうか分かりませんが、かなり難しい部分もあります。そういうところにやっぱり
大臣という政治家の立場でお入りになっている
大臣の一言というのは非常に大きいだろうというふうに思いますので、是非よろしくその点の御認識をいただいて、御理解いただければというふうに思います。
最後の
質問に移らせていただきます。
先日もこれは足立
委員の方からかなり詳しく実は御
質問をされた部分でございますが、
医師法二十一条にかかわる診療中の事故によって亡くなられた
方々の死因究明に対しての厚労省の二次試案が出まして、これが全国的に実は大変な騒ぎを今起こしております。こういうこのままでいくと、要するにまさしく事故を起こせば警察に捕まるような法案ではないかとか様々な厳しい御意見を実は私どももいただいているところでございますが、これについては前回かなり詳しく足立
委員が御
質問されましたので、細かいところの私は御
質問はいたしませんけれども。
そもそもこの
医師法二十一条というのは、これは
厚生労働省の
考え方は全く変えてないんですよね。それはなぜかといいますと、二十四時間以内に異状死体を発見したときは届け出ろと、警察に届け出ろということになっているわけでございますけれども、その理由は何なのかというと、死体又は死産児には時とすると殺人、傷害致死、死体損壊、堕胎の犯罪の痕跡をとどめている場合もあるので、司法警察上の便宜のために、それらの異状を発見した場合の届出義務を規定したものであるというふうに、こう書いてあるんです。ですから、診療中の事故で警察に届け出るということは過去なかった。
ところが、
平成六年に
日本法医学会、これはもう本当に一部の方だと私聞いていますけれども、ここが異状死ガイドラインというのを実は出されまして、そして診療行為に関連した予期しない
死亡及びその疑いがあるものも、これはやっぱり異状死体とみなすという、こういうガイドラインを作られたわけですね。
ここから非常におかしな具合になりまして、さらには、国立大学医学部の附属
病院長
会議常置
委員会医療事故防止方策の策定に関する
作業部会中間報告というところで、「
医療行為について刑事責任を問われる
可能性があるような場合は速やかに届け出ることが望ましいと
考える。」ということで、この下に
医師法二十一条と書いちゃったんです。実は、これは大きな解釈の変更なんですね。ところが、本来であれば、解釈の変更は医事課でするはずなんです。医事課で全く議論しないまま勝手にこういうものが出ちゃって、これが独り歩きをして様々な問題から警察への届出が非常に増えたという経緯がございます。
そしてさらに、これにも拍車を掛けたのが、先日ありました福島の大野
病院の産婦人科医の逮捕の事件でございます。一生懸命診療をやって、その結果、もう本当に残念なことに、御不幸なことにああいうふうな事故になってしまった、事故と言っていいのかどうか、これはまた別問題でございますけれども。そして、そこの
病院がやはり再発防止のために
検討会をつくってかなり厳しい実は報告書を出している。それを警察が読みまして、これは
医療事故だから警察に届け出なかったからということで、
医師法二十一条で逮捕した。こういう
質問を川崎
厚生労働大臣に私はいたしまして、これはやっぱりいろいろ問題があるので、これ
検討しようということで、法務省と警察庁とそして
厚生労働省で
検討が始まり、我々も
参議院の、ちょうどそのときに健康
保険法等々の
改正がありましたので、附帯決議の中にその問題を入れまして、そして
厚生労働省としても
検討が始まった、そしてその中で今回の二次試案が出されてきたということでございます。
これに対して全国から意見を様々厚労省は求められていますけれども、しかしこの中でやはり心配されているのは、より
医師がそういう
状況になってまた逮捕されていくんじゃないかと、だから萎縮診療につながるんじゃないかと、そういうふうな御不安をかなりお持ちだというふうに聞いております。
自民党としましても、これ
検討会をつくりまして、
安心して
医療が受けられるような、そういう制度をつくるということでやっているわけでございますが、このとき、やはり問題なのは、この二次試案の中で、警察に届ける
ケースもあるよということを書いたんですね。そうすると、これをきちんと明確化しませんと、何でもかんでも届けられるんじゃないかという不安を今
医師が持っておられる。
ですから、そういう
意味で自民党で、訴える側それから
医療側の弁護士さんにも来てもらいまして御意見を伺ったところ、故意若しくは重大な過失というのは、これはやっぱり警察ですよねというお話でもございました。ですから、故意は分かるんですが、重大な過失をどういう形で位置付けるのか。ある
意味でこれは免責的な
考え方に私はなるんだろうと思うんですが、ただ、これを
法律としてしたときに、こういう
考え方、なかなか入れ込めないだろうというふうに思うんですね。
そこで、これは法務省にお聞かせいただきたいんですけれども、
医療の萎縮を招かないように刑事訴訟、訴追を限定するような制度にする必要が私はあると思うんですが、ほかにそのような制度を取っているような例があればお教えいただきたいと思います。