○足立信也君 いい提案と言っていただきましたけれども、やはり私は足りない部分はそのところだと思っていますし、これは我が党の
考え方でもその部分をやっぱり広めていかなければいけないという形で、これから法案提出も含めて出していきますので、また
議論したいと、そのように思います。
最後の議題としては、議題といいますか、提案としては、十一月三十日に、これは
新聞報道で来年の通常
国会に法案を提出というふうに報じられました、いわゆる診療行為に関連した死亡の死因究明等の
在り方に関する第二次試案、この件について
質問いたします。
厚生労働省の方は御存じのように、全国の特に勤務医を中心として大変な批判の声が上がっているというのはもう御存じのとおりです。その矛先が、現時点では
厚生労働省というよりも医師会やあるいは学会幹部に向かわんとしておりますが、このことも
認識していると思います。
私も実はその
立場、ある意味同じような
立場を取りたいと思っている人間ですが、この問題は何なのかと。これは大きく分けますと、ちょっと言葉で言いますが、
問題点としては、予期しない死の届出の全例義務化、義務違反はペナルティー、これが一点。それから、
委員会の構成
メンバー、特にそこに被害者代表が入っているということ。それから
調査委員会で調べた報告書は、民事訴訟、それから刑事事案として利用する、
行政処分にも利用する、この点。
要するに、これは完璧な、徹底的な統制手段ですね。これを見せられたら、現場としてはやっぱり萎縮
医療になっていきますよ。現時点でももう副作用報告、
厚生労働省あるいは
医療機能評価機構も含めて副作用報告がかなり減少してきていますね。その報告を出したことが将来、
医療事故の原因はそこの報告にあったと、副作用、従来の治療法でやったけれども間違って、いい経験をしたというような症例報告も出せなくなってきている事態です。
それから、当然のことながらこれ憲法第三十八条一項、自己負罪拒否特権ですね。
自分に不都合なことを全例届け出て、そこで全部話さなきゃいけないのかと。まあ憲法にも抵触する問題も含まれています。
これは様々問題が今私が挙げましたようにあります。そもそもこれは
医療界のバイブルといいますかヘルシンキ宣言ですね、
患者さんのことを考えたヘルシンキ宣言、これに反している
内容なんですよ、実際に申し上げますと。
なぜこんなことになったのかなということをちょっと私なりの原因分析をしたいと思っています。
これは、福島県立大野病院の産婦人科の医師の逮捕事案以来、死因究明は絶対にやるべきだと、
調査委員会設置すべきだと、これは
皆さん共通の思いです。そのことと、特に来年もう施行されるかもしれない無過失補償
制度、このことが私は混同されているような気がしてならないんです。
なぜかといいますと、無過失補償
制度というのはそもそもは、そもそもは過失の程度に応じてその
責任を決めて、その中で医師に過失がない場合に無過失補償
制度ということだったわけです。過失認定が大前提にあるわけです。これは
医療事故というよりも
医療過誤ですね、これがターゲットだったわけです。
〔
委員長退席、理事谷博之君
着席〕
この無過失補償
制度は、幸い現時点では通常分娩による脳性麻痺だけに限定されそうですが、欧米の方向を見ていますと、それから私自身あるいは
大臣の
考え方も、その疾患単位だけ、その範囲だけではとても足りない話だろうということは共通に
認識されていると思います。これを広げていくに当たって、無過失補償
制度をやるためには、やっぱり過失の認定と、それを処分する
機関と、それから支払
機関と、不可欠な要素なわけですよ。その過失の認定の
機関を、先日自民党の方から日本
医療機能評価機構に対して答申を求めた無過失補償
制度のその答申の文面を拝見しましたけれども、その過失認定の
委員会が死因究明の
調査委員会とほぼ同じと、あるいはそれを利用するというような考えがあるんですね。ここに問題があるんですよ。
そもそも死因究明の役割というのは、
患者さん側あるいは遺族側と
医療者側双方の納得ですよ。説明があって、そして理解する。お互いに納得が得られれば、それが一番いい。そういう死因究明のための
制度を今考えているわけです。そのことと軌を一にして無過失補償
制度の
議論が上がってきたがために、過失の認定
委員会というものを一緒にしようという発想がそもそも間違っている。
医療事故というものはヒューマンエラーもあります、システムエラーもある、そして誤解によって生まれた不信もある。そのことを解決するための
委員会と過失を認定するための
委員会というものは一緒じゃないんですよ。全く別物だと。
残念ながら、日本には先ほど言いましたヒューマンエラーやシステムエラーの
考え方が非常に弱いです。何かあったら、それは
医療者側の
責任だろうという発想が非常に強い。まずやるべきは、当然のことながら
医療従事者の自浄
機関があるべきなんですが、そもそも
医療事故というものはなぜ起きるのか。そのことの共通
認識がないから、そのことをやるのがまず最初なんです。そして、無過失補償
制度に行くんであれば、これは別の意味での過失認定が当然必要になってくるという発想に立たないと、本質が見えていないと思うんです。
このことをまずは私は提案したいんですが、私の今までのいろんな
会議での
認識の中でそこに
問題点があるような気がしてならない。そのことについて
大臣の見解をまず伺いたいなと思います。