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佐藤正久君 非常に難しい問題だというのは私も承知しております。ただ、今回の総合取得改革の検討におきましては、この実態というものをやっぱりしっかり踏まえて
議論をしていただきたいというふうに思います。
防衛大臣御存じのように、やはりいろんなところで企業の現場では痛みが出ていると。二〇〇二年には日産自動車が航空宇宙事業部門をIHIの方に譲渡をしたというのは大手の方では有名ですけれ
ども、同じ年度の調査では、撤退した下請企業のある
防衛産業は約三〇%に上ったと。戦車関連の企業においては、十八年度までに十二社がもう撤退をし、八社が倒産、個体ロケットモーター関連企業においては、十八年度までに十六社が撤退、弾薬の関連企業は
平成九年度以降に四十六社が倒産あるいは撤退しているという情報もあります。
防衛産業の研究
開発費も当然削減をされており、その
開発に携わる人員も削減も顕著であるという話も漏れ聞いています。そういう技能工の育成には約十年必要と言われることも耳にしておりますので、この辺、状況も踏まえながら、また検討を私も
努力しながらやっていきたいなと思っています。
それでは、海外の状況はどうかと見てみますと、
アメリカやEU、英国、フランス、ドイツなどの同盟国や友好国の実態を見ますと、国として
防衛産業政策をしっかり持って、国内の
防衛産業は
防衛戦略遂行のための重要なパートナーと位置付けるなど、官産学協同による研究
開発の促進な
ども行っているというふうな情報もあります。各国内の実態というものも踏まえながらの御検討というものをお願いしたいと思います。
次に、武器の輸出管理についてお伺いいたします。
防衛装備技術、それから民生技術への活用という例も多くあります。また、その
防衛装備というものと民生装備というものの境目を線引きするというのも難しいという意見もございます。
我が国では武器輸出の厳しい規制から国際的な技術協力が阻害され、現状のままでは欧米との格差が拡大してしまい、単に
防衛装備技術のみならず、科学技術立国
日本の更なる発展すら阻害されるおそれもあるという話も聞きます。実際に、海外での学会やシンポジウムで
防衛技術などを発表する際には、武器の輸出に抵触するか否かの審査機関も明確でないため、すべて各社、各個人のリスクを負う形で発表するというのが現状であって、発表テーマが制限され、自由な意見交流が阻害されているという話も聞きます。
また、実際、輸出規制のため、次のような事例もあったと聞いています。
空中で給油を行う輸送機の
調達に当たっては、
日本の国内メーカーが米国のメーカーの下請を行って
飛行機の胴体を造っていると。そこで窓の問題があったと聞いています。実際、輸送機は窓がないという輸送機なんですが、窓がない状態の胴体のまま
アメリカの方に、米国メーカーに輸出してしまうと、それは武器とみなされ、できないと。わざわざ窓を付けて米国の方に輸出をし、
アメリカにおいてその窓をわざとふたいでしまうという状況もあって、そうすると強度の面、お金の面も逆に割高になってしまうと。
また、湾岸戦争当時は、医師や記者たちが自己防護のためにヘルメットや防弾チョッキを
日本から携行しようとしましたが、これは武器として認定され駄目だったという例がございました。
武器あるいは
防衛技術の定義、あるいはその輸出管理がやや時代にマッチングしてない部分もあるように思います。また、救難飛行艇のような人道的な
装備品も規制する必要があるのか、
議論すべきものと私は思います。ある程度の部分を見直し、あるいは緩和すれば、競争力が生まれ、
価格も安くなり、技術力も向上するとも考えられます。当然歯止めは必要ですが、今回の
防衛省の取得改革に併せて検討すべき分野と考えます。
まず、
経済産業省の認識というものをお伺いしたいと思います。