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亀井(久)
委員 総理のおっしゃるようなことで進められてきたのならば私も納得するんですけれ
ども、諮問
会議といいながら、
民間の
委員は
総理が任命されて、
総理に対してしか責任を負っていない。
国民に対しても
国会に対しても何も責任は負っていない。そういう中でどんどんどんどん自分
たちの
意見を
政策にのせていこうとする。そういうように
国民も受けとめていたと思いますし、私
どももそのように受けとめておりますので、この問題は引き続き
総理にもよくお
考えをいただきたいと思います。
時間がありませんので先を急ぎますが、
小泉総理は、さまざまな構造
改革の中で、
改革の本丸は郵政民営化であるということを再三再四言われたわけです。なぜ郵政民営化が
改革の本丸かということを伺っても、きちっとした説明は最後まで聞かれなかった。
そして、郵政民営化の目指す
目標は何ですかということを伺うと、これは
委員会での
小泉元
総理の
答弁ですけれ
ども、貯金、保険を、これを分離、民営化して、その株式を全株市場で売却することが
目標です、そういうことをはっきり言われたんですね。だから私は、郵政民営化、
小泉元
総理の進められた郵政民営化というのはそういうことなのかなというように受けとめざるを得ないわけでございます。
もともと、
総理に申し上げるまでもありませんけれ
ども、郵政三事業というのは公益性、公共性という性格を非常に強く持っている。一方で、事業ですから、採算性、収益性というものも重視しなくちゃいけない。その
二つを両立させる経営の仕組みとしてどういう仕組みがいいのかなという
議論をさんざんやったあげく、橋本
内閣のときに、中央省庁等
改革基本法で新しい国営の公社として位置づけましょう、それが決まったわけで、この問題は私はもう結論が出た話だと思っておりました。それを
小泉総理になってから
改革の本丸だといって強引に進められた。
もう釈迦に説法ですけれ
ども、もともと郵便事業というのは、高い公益性を持っている、そして公益性を持っているがゆえに、どこの国でも国営ないし公営で運営しているということだと思います。
郵便事業というのはもともと構造的に赤字体質を持っておりますね。これは当然だと思うんです、はがきにしても郵便にしても、東京都内で集配するのと遠く
沖縄や北海道に送るのとでは一通当たりのコストが違うわけですから。それを全国一律、均一料金で均一サービスをやってきているわけですから、構造的に赤字体質を持っている。
しかし、
国民生活を維持するために必要な不可欠なサービスだから維持をしなくてはいけないということで今日までやってきた。そして、これに税金を投入してやるということを避けて、三事業一体経営ということで、そこで黒字を出しながらうまく回してきたというのが百三十数年の
日本の郵便局の
歴史なんですよね。だから、その
歴史の上に
国民と郵便局との強い信頼関係というものが生まれて、地域の生活の拠点として今日まで機能してきたということだと思います。
ですから、郵便局の収支を見ていただければおわかりですけれ
ども、一万四千数百が、全郵便局の七一%は赤字なんです。そして、郵便事業だけをとってみれば九四・五%は赤字なんです。そして、これを各都道府県別に見ますと、三十五の都道府県はみんな郵政三事業は赤字です。わずか十二しか黒字を出している県というのはないんですよね。しかも、それが三大都市圏ですよ、ほとんど。三大都市圏以外で黒字を出している県というのは、岡山県と香川県と福岡県と三県だけですね。だから、その姿をごらんになれば、郵政三事業というのは、まさに三大都市圏の金融
部分が支えてきたと言っても言い過ぎではないですね。そこを切り離して民営化するんでしょう、成り立つはずがないですよね。
郵便についてはユニバーサルサービスが義務づけられている、全郵便局でちゃんと事業展開してくださいよという法律になっておりますけれ
ども、貯金や保険についてはその縛りはないわけですから、これをどんどん株式売却していけば、どこにどういう事業を展開するかというのは経営者の自主
判断にならざるを得ない。株式を市場で売却しますから、どんどんどんどん買う。外国人にどんどん買われていったときには一体どうなるのか。こういうことも大変心配なことですね。だから、成り立たなくなる。どう
考えてみても
制度設計が間違っておりますから成り立たない。
成り立たなくなったときに、それじゃどうするかといえば、
国民にとって不可欠なサービスだから財政資金でこれは何とかやりましょうということになったのでは、何のために民営化したのということになる。そこが国鉄の民営化とは基本的に違うんですよね。国鉄の場合には代替手段がある。バスにしてもあるいは私鉄にしてもあったでしょう。しかし、郵便というのは、今、市場には参入できますよといって郵便法の改正をやったけれ
ども、どこも全国展開していないでしょう。それは、もうからないところでやるわけないですよね。ですから、それは公的責任できちっとやらなかったら成り立たない。
ですから、竹中さんにもあの当時さんざん私は言いました。もしやれなくなったときには財政資金投入してやるんだということを確約してくれますか、それだったら
一つの
考え方でしょうと。しかし、そのことは絶対に言われなかった。それを言ったら何のための民営化だということになってしまう。ですから、私は
制度設計
そのものが基本的に間違っている。
もう既に民営化、十月一日からスタートいたしましたけれ
ども、その前の郵政公社の段階で、四千七百もあった集配局が千もなくなってしまっている。ですから、この間の所信表明で
総理は、
国民に不便をおかけしないように着実に推進しますと一行で片づけられたんですね。だけれ
ども、不便をおかけしないようにと言われているけれ
ども、もう既に不便がかかっている、不便になっているわけですよね。
そういう現状があるわけで、これはもう明らかに
制度設計
そのものをやりかえなければ、将来、大変な財政負担になるか、さもなきゃサービスを思い切ってやめてどんどん過疎地や離島の郵便局をなくしてしまうか、どっちかの選択しかなくなってくるんですよね。そこを私
どもは大変心配をしております。
同時に、大都市圏はそのほかに
民間の金融機関がありますから、年金や恩給の受け取りができないとか預貯金ができないとかいうことはないかもしれない。しかし、今度は国債市場に私は大きな影響が出てくると思っているんです。
今、国債を大量に
政府が発行している。それを市中で、外国から借金せずに、外国で引き受けてもらうんじゃなくて、
日本の国内でちゃんと消化している。だからうまく回っているわけですけれ
ども、その中で郵貯、簡保が大きな役割を果たしているというのは、もう申し上げるまでもないと思います。
そういう中で、もし、これから民営化がスタートしてどんどん株式が売却されていく、経営者の自主
判断で、国債を引き受けるよりも外債を買った方がいい、外国株式を買った方がいい、そのことに対して、全株売却した後だったら、国は何にも文句言えないですよね。
民間会社だから経営者の自主
判断、そうならざるを得ないわけでございます。そうなったときに、それじゃ国債のかわりにほかのものを買いましょうということになったらば、国債はどうなりますか。
今、
財務省が一番そこのところを前から心配しているから、巧みにその仕掛けを隠しておりまして、独立
行政法人をつくって、そして、いわゆる
政府保証のある定額貯金とかそういう
部分はそちらが所有をして、しかし、所有をしながら、その運用については、自分でやったらリスクをしょうからやらない。それは貯金銀行にしょわせるわけでしょう。その運用リスクをしょわせて、それでやっていく。だから、それがあれば国債をちゃんと消化できると思っておられるかもしれない。
しかし、これは税金と違うわけで、
国民から預かった金ですから、郵便局の将来、どうかな、これは危ないぞ、貯金銀行の将来危ないぞなんて言ったらば、貯金している人はどんどん解約を始めますよね。そうなったら、今抱いている国債を処分せざるを得ないということになったら、国債市場は大混乱するでしょう。長期金利がばあんとはね上がるでしょう。
そうしたら、これは
地方だけの問題じゃないです。国の経済全体を直撃する金融危機を招くということにもなるわけでございますね。住宅ローンの金利だって長期金利が上がればばあんとはね上がりますから、大変な事態になる。そういうことも私
どもは
最初からもう想像しておりましてわかっておりましたから、こんな民営化はやめるべきだ、国益にもならない、
国民生活のためにもならないと反対をしたわけでございます。
私
ども、前
国会で野党共同提案で凍結法を出しましたけれ
ども、残念ながら、これは廃案になってしまいました。今、私
どもといたしまして、株式の売却を凍結する、その法案を準備しておりまして、野党の皆様方の協力を得ながら、何とか今
国会で提出をしたいと思っているわけでございますが、今の私の話をお伺いになって、
総理大臣の所見を伺いたいと思います。