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福島委員 今、
年金制度に対しての
信頼が揺らいでいる。
民主党の
皆さんが、だから税でやったらどうかと言うことは、わからないではありません。しかしながら、今の日本の国家財政というものを考えたときに、少しでも歳出について見直しを厳しく行っていこうということをやっている
わけであります。その中にあって、恒久的な制度としてどういうものを設計すべきなのか、このことについては、十分私は勘案をしていただく必要があると思います。
そしてまた、
年金に対しての
信頼を回復するためには、単に、
保険料を流用しません、こういうことではなくて、やはり、厳に、
皆様からちょうだいした
保険料であれ、また税であれ、それをいかにして無駄なく使っていくのか、
厳正に使っていくのか、この組織をきちっとつくっていくということが最重要の課題ではないかというふうに思います。
私
どもは
民主党案に対比するような形で
法案を出させていただいた。これは、国会に対して、実際に
保険料をどのように使ったのかということについて具体的な
報告をさせていただき、きちっと御審査をいただく、こういうことを加えさせていただきました。そういう
意味では、
保険料をきちっと使わせていただく、この体制を私
どもはつくっていくということが大事ではないかというふうに思っております。
そして、いろいろと
議論があるのでありますけれ
ども、
参議院でも繰り返されましたし、今ほど
田村委員の方からもいろいろと御指摘もありましたので、重ねることは避けさせていただきたいというふうに思っております。私のそういった思いを述べさせていただくのにとどめさせていただきます。
先ほど申しましたけれ
ども、歴史は繰り返すという言葉がありますけれ
ども、五十年前と同じような
議論をやはり日本はしている。この五十年の間に日本の
年金制度というものがどれだけ
国民に浸透したのかな、理解されたのかな、こういう点について、いささか、まだまだ十分理解されていないんだな、こういう思いがする一人でございます。
還元主義という言葉を御存じでしょうか。裁定主義ではありませんで、還元ということがいっとき非常にうたわれた
わけであります。
保険料を納めている、これに対して、
年金というのは将来の給付ですから、そもそも還元というのは
年金を受け取って初めて還元なんですね。しかし、かつて繰り返された
議論というのは、払った
保険料に対して見返りはないのか、こういうことを労使双方が強く求めた、こういう歴史があります。これは
年金制度に対しての基本的な理解がやはりそのころは不十分だったんだろうな、私はそんな思いがいたします。
また、
年金制度、これだけ長く続く間に、
保険料の引き上げ、こういうことを
年金再計算と同時に行ってきましたけれ
ども、そのたびに国会で行われた
議論というのは、基本的には私はこうだったと思っているんですね。
保険料はできるだけ上げない方がいい、給付はできるだけ上げる方がいい、こういう
議論です。
負担は少なく、給付は多くというのは、とてもわかりやすい
議論なのでありますけれ
ども、この
議論が繰り返されて、実際に何が残ったかというと、積立金も百四十兆を超える水準がありますけれ
ども、過去債務というのははるかに大きい
わけですね。要するに、給付に見合っただけ、積立方式であれば当然あるべき積立金というのがない。それは要するに、見合っただけの
保険料をちょうだいしてこなかった、こういう話でも実はあるんですね。ただ、それ
自体は
年金制度全体の
運営の話ですから、将来世代においてどう清算していくのか、こういう話でありますけれ
ども。
そういう
意味では、
国民の
年金制度とどう向かい合ってきたか、特にまた立法府がどう向かい合ってきたか、ここのところにやはり大きな問題があったんだろうなというふうに私は思っております。
還元事業ということで、どんなことを言われていたか。与野党問わず、労使の意向の反映、被保険者の意向の反映として還元事業を推進すべきだと。ずっと議事録を調べてみたんです。特に、大規模
年金保養基地の整備を進めるために、四十八年に
国民年金法の改正をしていますね。その当時の
議論、例えばこんな意見があるんですね。あえて、どこの党のだれとは申しません。
「原則的には、積み立てた
年金積み立て金というものはすべて、こういう賦課方式とか積み立て方式ということを一応抜きにして、」一応抜きにしちゃうんですね、やはり当時の
議論は。「いまの制度のもとでは膨大な、こういう積み立てられた資金というものを、一〇〇%
国民の福祉面に還元する、こういうことが妥当ではないのか、」こういう発言がしっかりと国会で繰り広げられている、こういう
状況ですよ。
かつて、
民主党の枝野さんが李登輝の言葉を、前の通常国会の
議論の中でありましたが、政治は時間の関数であると。まことに関数でありまして、マイナス、プラスと関数が変わっているような気がいたしますけれ
ども、そういう
議論が繰り広げられた。
また、
年金保養
協会、これは、グリーンピアで問題になりました大規模な保養施設の建設に当たって、これをPRするためにつくられた
協会。ここには、労使双方、大企業の役員も入っている、また総評の議長さんも入っている、また同盟の書記長さんも連なっている。ですから、今でしたら連合の高木さんなんかが連なる、こういう話だと思うんですけれ
ども、そういうことで、国を挙げてといいますか、労使双方が、また国会も与野党問わず、還元すべきだ、こういうことを一生懸命言っていた。
今、現時点に至りますと、こういった考え方そのものが、
年金に対して
信頼を損ねる大きな出発点になったということが問題だろうというふうに私は思うのでありますが、この点について、御意見といいますか、御感想をおっしゃっていただければと思います。
〔
委員長退席、
吉野委員長代理着席〕