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萩原委員 この辺で最賃法の話は終わらせていただきたいんですけれ
ども、今
お話ししたように、冒頭に言いましたが、我々としても、
政府案として、実は非常に思い切った、
最低賃金を制度的な
意味で
上昇させよう、そして
成長や
成果の配分をきちっとしていこうという考えに立っている。そして、
民主党案については、思いはあるんだけれ
どもどうもうまくいくとは思えない、余りにも矛盾が多い。ぜひ、いい形で、よいところだけが残るように、
提案者にも御協力をお願い申し上げて、この項の
質問を終わります。
続きまして、
労働契約法でありますが、時間が大分たっておりますので、幾つか
質問にかえて申し上げておきます。
やはり労働契約のあり方というのは、その市場あるいはその国の
経済の
成長、発展、さらには、当然のことでありますけれ
ども、
社会的な安定、不安定につながる大きな課題でありますし、歴史的に見ると、この労働政策というものを過ったことが大変大きな
社会的混乱に結びついているケースというのがさまざまにございます。そして、その過つケースというのは、ほとんどのケースが、労働者の保護を一生懸命やる
方々がその裏側における供給曲線を無視してしまうことによって常に起こしているわけであります。
中南米における、一九八〇年代、非常に各
地域において失業率が高い。見ると、解雇無効ということ、あるいは解雇についての
政府の
許可が必要だという法制が当時の労働者保護という観点から導入されたことが、あの
地域におけるあの時期の失業率の増大につながっている、これはもう労働
経済史のある
意味では定説になっている。
あるいは、二〇〇五年のパリの郊外での暴動事件がございましたけれ
ども、移民の
方々を含めて失業がふえる。失業が移民の
方々にふえているのは、これは
社会的差別の問題というふうな
部分と、一方で、フランスにおける労働法規が、いわゆる硬性、つまり解雇不能型になっているために、現役を尊重し、新しい
方々が、フランスの母国出身であろうがなかろうがどうも強く排斥されざるを得ない、そういう形になっていたことというのが背景の柱である。このことは、きょう御参集の
方々はみんな御
理解だと思いますし、また
提案者にも御
理解されておられるというふうに目線で感じておりますので、よろしくお願いしたいと思うんです。
そして、それが非常に大きな問題になったために、労働契約について、
我が国と同じように、濫用廃止論というものをとろうという意見が出るんですけれ
ども、それを全部の労働者にやることはもはやフランスの政体として難しいので、一定の若者、たしか二十六歳というのを
基準にして、その辺の何年かだけについて解雇正当論というものを導入しようとしたものですから、今度は、何で自分
たちの世代だけにそのしわが寄るんだということで、逆の暴動につながっていく。
いかにもこれは、私
たちがやってはいけないことの典型を示している。そういう危惧をこの
民主党提案の
法案には私
ども強く感じている。そのことをぜひ、これは
質問したかったんですけれ
ども、時間がこうなっていますので、
お話を申し上げて、この点については終わりにさせていただきたいと思うんです。
次に、主に三点だけ、これは伺っておきたいと思うんです。もし
お答えがあればいただきたいと思います。
まずは、この
法案が本当に労働者のためになるのかという観点から幾つか聞いておきたいと思うんです。
例えば、労働契約の
成立について、十分な情報というのが
民主党案ではいわゆる縛りになっていますね。
政府案ではそれは縛りになっていないで、別条で、使用者側から雇用者に対して十分な情報を提供しろという形になっています。そして、
民主党ではそこがなくて十分な情報となっているものですから、これは使用者側から見ても、労働者からの十分な情報がなかったら解雇できるということになるので、労働者の地位が不安定になるんです。そのことはどうお考えになっておられるのか。
八条において、これは
民主党案ですけれ
ども、健康診断に縛りをつけています。これはある
意味では
理解できないこともないんですけれ
ども、健康診断の必要性が高い企業においては、健康診断に制限をつけると、基本的には医者の診断書を持ってこいという対応になるんです。そうしますと、労働者の
方々がみずからお医者さんに行って診療、診察をしてもらって、健診をしてもらって、証明書を発行代を払って持ってくるというので、労働者の手間と時間が物すごくかさばるんですね。それは本当に労働者の
方々のためになるのか。
次に、
民主党案の第九条で、内定通知を発したときは、「その時において労働契約が
成立したものと推定する。」とあるんですが、これは内定が一個の企業対一個の個人オンリーであればある程度
理解はできなくないんですけれ
ども、通常、若い人
たちの活動を見ますと、A社、B社、C社と内定をいただいて、最後、本決まりのときまでにその
判断をする。それに対して、自分のところに内定をしたから、おまえ、来ないのはおかしいじゃないか、契約違反だというようなことは企業から言えない形になっています。
このときに、内定通知を企業が発した瞬間に双務契約である雇用契約が
成立してしまいますと、これは悪用されますと若い人
たちが大変な目に遭う可能性があるんです。その辺は十分お考えになった上でおやりになられたのか、大変な不安を覚えるわけであります。
それから、
民主党案の第三十八条で、雇用契約について契約
期間を限定することになります。この
議論というのは、それは
一つの
意味があるんですが、これと、それから正規雇用と非正規の
賃金同一規制というものがありまして、お手元にありますように、現行における、九月における有効求人倍率、全国で一・〇五ですけれ
ども、このうち、正規が四四、その他が五五というふうになっていまして、ここのところに実は非常に大きなダメージが起こる可能性があって、この
法案が
成立して施行されたら、恐らく有効求人倍率が一を切ることは間違いないんです。当然そのことも御
理解をされた上での
お話ですか。
以上、本当にこの
法案が労働者のためになるのかという観点から、私ほかにもいっぱいあったんですけれ
ども、六点ほどお尋ねいたしますが、もし御見解があればお願いをしたいと思います。