○阿部(知)
委員 医療の場合のいわゆる警察権力の介入というものは、万やむを得ない場合あり得ると
思いますが、しかし、なるべく抑制的に行えるような、
医療の中の自律的な事故の究明や救済のシステムや、あるいは、なぜか、原因究明、そして
患者救済、あるいは再発防止、この三つがいずれも大事であると私は
思います。
そのためには、
医療者も、そこに
報告したことが他に逆に不利益となって返ってこないだけのやはりある種の安心感がなければ、隠ぺい工作は進みます。申しわけないが、
厚生労働省のこの間の隠ぺい工作も、あるいは防衛庁の給油をめぐる隠ぺい工作も、みずからを守ろうと思って真実を隠すことに必死で、
行政をよくしようとする観点がございません。
この
調査委員会においても、
大臣にごらんいただきたいですが、右側に、いわゆるここに明らかになった、
報告されたものが、例えば民事
訴訟での証拠として採用されたり、刑事手続に持っていかれたり、医師の
行政処分につながるような書きぶりもございます。しかし、
大臣、ここは本当に
考えどころです。この
調査委員会をより多くの事案を集めて
医療の現場をよくするものに向けたいのであれば、やはり隠せない、隠さないという気風を育てねばなりません。
この一点は、私は、この表を見たとき、大変懸念されます。別の仕組みで、医師の例えば刑事罰、
行政処分もあり得ることと
思いますから、きょうこの点はお答えを求めませんけれ
ども、これからなっていくものと
思いますから、重々御検討をいただきたいと
思います。
きょうの
質問は、いわゆる亡くなった方の死因を
調査するときに、どういう人材がそこにかかわるかという問題でございます。
医療の中では、人を直接診察する産科や小児科や外科や内科のほかに、人間の
組織や一部病気のあるところを取ってきて、あるいは亡くなった方を解剖してその一部を診る病理という分野がございます。お手元の二枚目の
資料ですが、病理診断と言っております。これは、がんの診断でもそうですし、外科手術でもそうですし、乳がんなどは、どのくらい取ればいいかということは病理
組織で決まってまいります。四番目に書いてございますのは、
医療関連死を、どうして亡くなったのと診る場合に病理医が絶対的に必要であります。
ところが、おめくりいただきまして二枚目、病理専門医試験合格者数の推移と書いてございますが、病理専門医は、ごらんになっていただきますればわかりますように、新たな臨床研修
制度が始まってから、不人気と言うと失礼ですけれ
ども、がくんがくんと減ってまいりまして、今二十歳代の病理医は全国で八十五名しかおらないという窮状になっております。
引き続いて三枚目の
資料をごらんいただきたいと
思います。ここには、足りない足りないとよく言われる私の小児科、あるいは崩壊の危機の産婦人科、そして麻酔科も手術ができないほど足りないと言われます、その医師
たちの年齢別構成が書いてございます。
大臣には既に違う形でお示ししたことがありますが、ここで深刻なのは、病理医と産婦人科医は若手がどんどんどんどん減っているということであります。
私は、
大臣に二点
お願いしたいです。文部科学省と一緒になったいろいろな取り組みの中で、病理医不足ということが項目として上がってございません。しかし、
厚労省側から、本当に死因究明のためのその人材をきちんと確保するためには、病理医の問題にも提案をしていただきたいということと、なぜ病理医がこの間、大学の独立
行政法人化、あるいは研修の話の中で減ってきたかというと、人を診ることは診療報酬に即はね返っても、病理の検査というのは、なかなか診療報酬上、きちんとした評価を得ていません。放射線の診断医はそれのみで診断評価をされます。病理の方は、そうした評価が甘く、少なく、いわゆる成り立たない形になっております。
大臣には、これらをごらんになって、
日本の
医療、どこの科も足りないです、もちろん。でも、もしきちんと
調査委員会をマンパワーで支えようと思ったら、病理医の不足は何としてでも手をつけねばならない課題であると
思いますが、まず御所見を伺います。