○田中(眞)
委員 これは多国籍
企業の穀物メジャーと言われている業者なわけですけれ
ども、こういう大きな会社、今は、世界の穀物、小麦、トウモロコシ、大豆、菜種、その他ですけれ
ども、お米も含めて、こういうものをこの大手五社がほとんど世界に供給する力を持っている、掌握をしていると言われていますので、世界の食料に関心のある方
たちは常識問題なわけでございます。第二次大戦後はずっとこうした会社が、途中でMアンドAなんかもありますから、六社が五社になりましたけれ
ども。
その中で特筆して言いたいことは、アメリカのカーギル社。これは、私は一年生議員のときに、
自民党におりましたときに、カーギルのことは勉強した方がいいと御指導いただいたんですけれ
ども、カーギル社というのは、資産百億ドル、年間
売り上げ六兆円、世界の穀物貿易の二五%はこのカーギルが動かしております。世界六十カ国に七百以上の事業所を持っておりますし、カントリーエレベーター、群馬県にも新潟県にもありますけれ
ども、あんな規模ではなくて、実際に見た方に聞きますと、水力発電のダムぐらいの規模のものを八十カ所も持っている。
ところが、この会社は株式公開をしておりませんで、そして、今いろいろうわさになっている遺伝子組み換えでありますとか、そういう研究とか、生産から流通から販売から、もう鉄道から船から港から全部持っていて、金融にも大きな影響力をもちろん及ぼしている。そして、アメリカの、
日本もしょっちゅういろいろ痛い目に遭っていますけれ
ども、通商代表でありますとか農務副長官というポストについたりする方もおられる。
そういう極めて世界の大きな穀物市場を差配しているグループの名前を申し上げたので、ひょっとしたらば、よくお勉強なさっている
総理だから御存じかなと思ったわけでございますけれ
ども、こういう世界の穀物メジャーの中に
日本の農業、
日本だけじゃありませんが、しっかりと組み込まれているんですね。
日本だけが単独で歩いているわけじゃないんです。
そこで、そういう世界の食料事情の中で
日本の農業があるということで、農業問題について伺いたいと
思いますけれ
ども、ことし、二〇〇七年を
政府は大きな農業
改革の年にしようとしている。個人の場合は四ヘクタール、集落営農だったらば二十ヘクタール以上、それには
補助金を出す。逆に言うと、四ヘクタール以下の小さな農家に対しては
補助金は出しませんよということでもって、言ってみれば、専業で大きいものをどんどんつくっていきましょうということを言っているわけですけれ
ども、
日本の農家数が約三百万戸あるわけですね。その中で、本当に専業農家といっているのは二割なんです、二割に満たない。ほとんどが、御存じのとおり、兼業であります。
そして、その中で、どういう状態にいるかというと、彼らの結論は、とにかく後継者がいない、それから収益性がよくない。
新潟県のケースで恐縮ですけれ
ども、一俵、六十キロですけれ
ども、お米、これは額、コシヒカリでしたら二万円で売れるんです。ところが、ことしになりましたらば、米余りだと言われて、農協で仮渡金を二千円カットされて一万八千円になってしまった、したがって意欲が低下する。後継者も、後継ぎも見つからないんじゃないかということが言われています。
さらに、
日本の農業は、先ほど言ったような世界の大きなマーケットの中の一部であるにもかかわらず、農地法があったり、農地法も私もよく勉強いたしましたけれ
ども、農村基本法とか食管法とかがありまして、要するに、いろいろな細かい制度が、複雑なものがたくさん入り込んでいる。さらに、猫の目行政でマイナーチェンジがしょっちゅうあるものですから、とてもとても、国、法律の変更に農家はついていけないというところに来ているわけですよ。そこで、もう悲鳴が上がって、
日本の農家は火が消えるというところに来ています。
もう何度もお聞きになっていると
思いますが、耕作放棄地というのは三十八万四千ヘクタール、
日本全体のいわゆる農地、一般の、野菜も入れて、農地の一割がもう既に耕作放棄地になっています。しかも、過去五年間で完全に二十倍にふえている。すごい速さでもって耕作放棄地がふえているわけですよ。
耕作放棄地がふえると、洪水とか土砂崩れ、自然災害が起こりやすいという中にあって、食料自給率は、もう耳にたこができるほどお聞きでしょうけれ
ども、四〇%を切っている。フランスの場合は一〇〇%、直近は一二二ですね。アメリカは一二八、オーストラリアは二三七。
日本の一戸当たりの農家の
面積、
日本の農家が一戸当たり一であればオーストラリアは一八〇〇もあるんです。私が理想的だなと思っているフランスの場合は二十五倍あるんですね。
そういう中で、
日本はどんどんと輸入をしているんですが、いろいろ輸入している中で、こういうものを
総理は、お忙しいでしょうから、またどれだけ関心がおありかわかりませんが、ごらんになったことはありますか。これはお野菜の種なんですよ。トウモロコシ、ホウレンソウ、大根、ニンジンといった最もポピュラーな、世界じゅうで愛されている、
日本人がみんな好きなものですが、これは農家の方
たちに聞きますと、種がみんな
外国だと言うんですね。
農協、あらゆるところ、ほかの県から集めましたけれ
ども、一番多いのはアメリカです。次はオーストラリア、デンマークです。私が近くで買ってきたものを見ましても、ニンジン、オーストラリア、大根、アメリカ、ホウレンソウ、アメリカ、トウモロコシもアメリカ。しかも、この大根に至りましては、本種子は農薬メプロニル処理してあります、本種子を食用、飼料には使用しないでください、また、小児、子供の手の届くところには保管しないようにと書いてあるんですね。
だから食べて毒かどうかわかりませんが、この種を、これで大根をつくっている農家がこう言いました。眞紀子さん、私
たちは大根をつくっている、大根おろしやこれからおいしくなるふろ吹き大根にはいいんだけれ
ども、
日本古来のたくあん、お好きですか、たくあん。ああいうものにはこれは加工できないそうですよ、幾らつるしても。
日本古来のものが種からして違ってきているんだ、こういう農林行政をやっているということを御存じでしたか。