○
別所政府参考人 副
大臣が申し上げたことを若干補足させていただきます。
ベトナム
政府は、十月六日に国家事故
調査委員会を立ち上げております。これまで合計五回、この
調査委員会を開催してきているということで、
委員会はクアン建設
大臣が
委員長ということでございまして、
関係省庁、例えば交通運輸省などの行政官庁、それから、関連分野での技術的な専門家などが参加しているということでございます。
委員会自身は、まず事故の原因を明確にするということ、それから、各
関係者の責任を明確にする、それから、工事過程、各段階全体を点検して、プロジェクトの続行のための具体的な解決方法を提案するということと定められているようでございます。これらの点について議論されております。
現時点でございますけれ
ども、
先ほど副
大臣が申しましたとおり、事故原因の詳細、それから事故の予見可能性などについては、まだ結論が出ていないという
状況だと承知しております。具体的には、事故の主原因が仮設支柱の基礎工の沈下にあるということは、
先ほど副
大臣が申しましたように、ほぼ統一の見方となっておりますけれ
ども、この崩壊のメカニズムについては
意見の相違がまだ埋まっていないということで、実証実験を踏まえたことをやる必要があるということでございます。
日本側からは、最も
日本の中でも知見を有する方のお一人ということで、八戸工業大学名誉教授の塩井様にこの
調査委員会に参画していただいております。
塩井名誉教授から現状について御報告いただいておりますけれ
ども、それを今ここで読み上げさせていただければと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
まず、総論でございますが、
委員長は、
委員会の統一見解が形成されるまでは、中間報告といえ
ども発表できないという立場だそうでございますが、理由は、発表後に
委員会の中から異論が出てくると説得力を損ない、科学的根拠に基づかないと責任追及もできないためだということだそうでございます。そういうことで、
委員長から、建設
大臣でございますけれ
ども、
委員に
委員会での議論の
内容については口外しないようにと厳しく
要請されているそうでございます。
それを踏まえまして、塩井教授からは、可能な限りでとにかく話を聞かせていただきたいということで報告をいただいているわけでございます。
委員会の構成につきましては、
先ほど申し上げたことと重複いたしますので省略させていただきますけれ
ども、塩井教授は、具体的な
委員会の
活動の中で、
我が国の受注
企業それからベトナム側実施機関等の事業
関係者より事故原因に係るヒアリングが行われたところに立ち会っておられます。
また、十一月二日の
会議では、事故原因についての見解の統一、あるいは事故責任を
確認するための検討、事故現場の解体と新たな施工計画及び安全対策の検討を念頭に議論が行われたということでございまして、十一月八日には第五回
会議が開かれて、事故原因に関する
委員の
意見をさらに議論を闘わせ、事故原因に応じた契約当事者の責任の
確認などについて議論が行われたということでございますが、最終結論には至っていないということだそうでございます。
これまでの事故原因に関します議論でございますが、まず、事故原因の論点は、現時点において、事故の原因の詳細及び事故の予見可能性について
委員の中で見解が必ずしも一致できていない。
ただ、具体的には、事故の主原因が仮設支柱の基礎工の沈下にあるということについては統一の見方となっているが、その後の崩壊のメカニズムについては、
意見の相違があって、今後議論と
調整を要する。基礎工の沈下は、何らかの原因により基礎工の支持力が低下したことで発生したと考えられるが、そのプロセスの分析には、メコンデルタ、この現地でございますが、メコンデルタの特殊な地質構造、透水係数が低いということでございますが、こういったことを考慮する必要がある。こういった特殊性のために、定量的な分析を行うことはなかなか特質的に困難な部分があるということでございますので、載荷実験を、実際に実験を行いまして、実証データに基づく分析を行うということが不可欠だという結論になっているそうでございます。
なお、若干メディアなどに出ておりました
我が国コンサルタントが作成した注意喚起の内部文書という話については、コントラクターがその
内容に従って補強したことが
確認されたので、
委員会では、言及はあったけれ
ども、議論の対象にはなっていないということだそうでございます。
最後に、
委員会の今後の見通しでございますが、
先ほど申しました載荷実験を行うためには、基礎工と同様のくいを調達し準備するという必要がある、一定程度の時間が必要と見られるということでございまして、事故原因の最終結論を得るにはなおさらに時間が必要と見られるというふうに塩井教授からは報告をいただいております。
以上でございます。