○市村
委員 やはりわからないんですね。
本当にこんなことで時間をかけたくないわけですが、大切なことだからちょっと議論を続けますけれども、もちろん、何事も交渉事がそう簡単にいくだなんということを私は申し上げているつもりはありません。ただ、こちら側から、最初から何で
飛行機が従になるのかということを前提に話をしていくのかということを申し上げているんです。もちろん、法的問題でいろいろあるでしょう。それから、交渉の時間はかかるのかもしれません。しかし最初から、いや、
飛行機は従ですね、冬だけでいいですね、こういう話をわざわざしなくてもいいじゃないですか。
向こうからむしろ、いや、そんな簡単に来てもらっても困る、表に出さないにしても、いろいろ思いの中で、そう簡単に来てもらっちゃ困るぞ、
飛行機なんかで来られちゃ簡単に来られちゃうなと。向こう側から、いや、それはちょっと、今は船でやっているんだから、頼むから船でやってくれよというならわかるけれども、何で
日本側がそうやって限定的に、まず交渉事を始める前に、ある種限定をして、こっちから交渉をしなくてはならないのか、それがよくわからないということを申し上げておりまして、これは、
飛行機の問題だけじゃなくて、多分後から議論したかったことにもつながるんですが、
日本側でなぜこうなるのかというのがわからないんですね。
では、ちょっと本題に入ってきてもいいんですけれども、私が、今回、国後島に行かせていただきました。それで、見たものというか現実は、本当に実効支配がここまで進んでいるのかという驚きなんです。私も、二十年ほど前に、北方領土
返還ということで、何か友人から誘われて、一度根室に行ったことがあったんですけれども、そのときは、根室の花咲港あたりから見て、それこそあれが北方領土だとは見えなかったんですけれども、あの辺にあるんだということで、ああ、なるほどな、こういう状況です。
しかし、行ってみて、それでその後国会に来させていただいて、
沖縄北方に入らせていただいて一年半ぐらいたつんですが、きょうの状況を見ると、どちらかというと
沖縄中心で議論が進んできたこの沖北
委員会も、きょうは特にロシアの話がよく出ているという話で、先ほど議論があったように、多分、恐らく日ロ
関係がある意味どこかでブレークしたというのか、日ロ
関係のやはりいろいろな意味での交渉の深まりが一面にあるんだろうな、だからこそ北方領土問題もまたクローズアップされてきたんだなということで、決してその側面は悪いとは思っていません。恐らくエネルギー問題を主として日ロ
関係でいろいろな議論が始まってきているということであります。
ただ、そこで私が見てきた北方領土の現実を考えていくときに、これまで
日本政府が求めてきたように、あれは我が国の領土であって早く返してほしいということが、本当にこのままいったら成るのかということなんですね。そこが非常に疑問なんです。
そのときに、先ほどからの議論を聞いていますと、
日本側の苦しい
立場もわからないでもないけれども、非常にあいまいなんです、物事が。こっちの言い方が非常にあいまい。一体いかなる戦略であの実効支配が進んでしまったものを返してもらうのか、もしくは、返してもらうということがだめならば、いかにしてあそこで
日本人が住めるようになるのか。今、
日本人がゼロですから、いかにして
日本人が住むもしくは
日本人も住むという方向に持っていけるのか。返してもらえないとなれば、つまり、返ってこないのであれば、こっちも住むような何か手だてを考えていかなくちゃいけない。そういうときに、いかなる戦略を持ってこの国がロシアとの交渉に立っているのか、ついているのか。経済
協力はいい、経済
協力の話は進んでいる、では、領土問題はまた置いておくんですかということですね。
これは、北朝鮮のものと似ていますね。いわゆる拉致問題よりもまず経済
協力というか、対話と圧力ということですね。あちらの問題というのはまだ僕は経済
協力というのが十分あり得ると思っていますが、こっちは極めて実効支配がもう進んでしまっているという状況の中で、いかに返してくるのかというときに、この
飛行機の問題
一つとっても、非常にこちら側から限定的に物を言わざるを得ないような状況に日ロ
関係の外交交渉の場というのはあるのかと勘ぐらざるを得ないような話になるんですね、さっきの御
答弁を聞いていますと。
何でもっと我が国の
立場はこうだと言った上で、しかし、交渉ではすべてをあっちがのむとは思えません、それは八〇かもしれない、五〇かもしれない、三〇かもしれませんけれども、少なくとも我が国はこうしたい、こうしていきたいというのが当然ないと、これは交渉事にならないですよ、こっちが初めから引いていたら。だから、そういった意味では、
日本政府としては一体どのような戦略を持って今後北方領土の問題については当たっていこうとされているのかということをきょうは議論したいんです。
ですから、まずは
大臣の方から、どういう戦略を持って今後当たっていくのか、ちょっとその辺のところの、なかなか細かいことは外交上言えないかもしれませんが、大まかな戦略で構いません、御見解をお聞かせいただきたいと思います。