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-
○
中島啓雄君 ありがとうございました。
是非、やはり
国民に夢と希望を持てるような
経済計画を立てていただきたいと思っております。
財務大臣に御質問する予定でしたが、また後で、後ほどまとめてお答えいただければと思いますが。
次に、
公共投資について少し伺いたいと思うんですが、
小泉内閣になって、当然
財政再建、
歳出削減路線ということで、その目玉のような形で
公共事業費の
削減ということがやられてまいりまして、
平成十四年は
シーリングで
マイナス一〇%だと、それから
平成十五年度以降五年連続して
マイナス三%というような非常に厳しい
シーリングが課せられたわけでありますが、
現実は、
小泉内閣前の
平成十二年度と
平成十九年度の
予算を比較しますと、
公共事業費は五八・三%、約六割になっているわけですね。
一般歳出の方は九〇%ということで、一割減っているだけだと。
もちろん、
社会保障費の増等不可欠なものがございますから、ある
程度はやむを得ないんですが、
公共投資は
削減すればいいとか
削減することが正義であるというようなマスコミの世論、あるいは
民主党の方々もややそう思っておられるのではないかと思いますが、(発言する者あり)言ってない、いや、言ってないんならば結構でありますが、やっぱり適切なる
公共投資というのはやっていく必要があると思いますので、これ以上何か頭から三%というのはいささか問題ではないかと思いますが、この辺について
財務大臣からお聞かせいただきたい。
-
○
国務大臣(
尾身幸次君) 我が国のインフラの整備は私自身もまだまだ必要と考えておりますが、
財政状況非常に厳しい中で、
公共投資については厳しい
削減方針を貫いていくということで、
進路と
戦略におきましても、今後の
削減幅、三%ないし一%、一%から三%の
削減をすると、こういうことになっているわけでございます。十九年度については三・五%の
削減幅を
実現をいたしまして、
財政再建の
方向にこの
公共投資の部分でも一歩進めたと、こういうことでございます。
今後も、三%以上の
削減を行っていくことにしているわけでございまして、全体としての
財政再建を
実現をするということが
進路と
戦略の中にも盛り込まれているわけでございまして、私どもとしては、そういう
削減幅の中でめり
張りの利いた対応をしていきたいと考えているわけであります。
-
○
中島啓雄君 ありがとうございました。
私としては、
公共事業費を特に
削減する理屈はどうかねと、こうお伺いしたかったんですが、
公共投資の最適規模というのは非常にこれ難しい
課題だろうと思いますし、
経済学的には公共財の限界便益と限界コストが一致するような点までならばオーケーだと、こういうことだと思いますが、
現実の算定は難しいと。そこで、費用便益分析とかいろんなことがやられているんだと思います。その辺のことは御質問しようかと思っておりましたが、省略をさせていただきます。
今お話がありましたけれども、
財政再建に向かってどうするかというときに、赤字国債と建設国債の話があります。現在、二十五兆円の
国債発行額のうち二十兆円、約八〇%はいわゆる特例国債、赤字国債なんですね。建設国債は五兆円であるということで、これはむしろ九〇年代初頭のレベルより下がってきておると。
財政法四条というのは御承知のとおりであると思いますが、これは建設国債原則ということが定められていて、赤字国債は駄目だよと、だから、駄目なのをいいというふうにするために毎年毎年公債
発行特例法というのが出て、これを国会で議決しておると、こういうような格好になっておるわけですが、実は一九九一年から九三年までは赤字国債は
発行していないんですね。ですから、今から十四年前には赤字国債はゼロであったと。それがここまで、赤字国債八〇%というようなていたらくになってしまったわけでありますが、そういうことで、公共事業というのは本来削ればいいというんではなくて、やっぱり適切なる規模は確保していく必要があると。
そういう
意味で、例えば
アメリカについて言いますと、八〇年代、非常に道路が劣化をして混雑が激化したという教訓を踏まえて、九二年ごろから本格的に交通投資長期計画を立てて、六年計画ですけれども、これは前期計画の四八%増しとか四〇%増しとか三一%増しとか、非常に意欲的にやり始めていると。それから、我が国の港湾なり空港が非常に能力が劣っておるということで、東南アジア諸国の方にどんどん席巻をされておるというのはもう御承知のとおりだろうと思います。
そういう
意味で、もっと
公共投資について適正なる規模、あるいはマクロ的に本当に
効果があるのかどうかというようなことも考えていく必要があるのではないかと思いますが、その辺について
財務大臣の御感想を伺えればと思いますが。
-
○
国務大臣(
尾身幸次君)
財政法四条におきまして、健全
財政主義の原則の下に、公債の
発行は
公共事業費など国の資産を形成してその資産から受益が長期にわたるものに限るということになっておりまして、それ以外の公債の
発行は認められていないわけでございます。他方、
税収、税外収入を加えまして、そのような建設国債、公債を
発行してもなお不足する
一般会計歳出の財源に充てるために赤字国債を
財政法の特例として、毎年度、法律をもって国会の議決をいただいた上で
発行しているところでございまして、このような特例公債の
発行は、
高齢化の進展によります
社会保障費、あるいは景気の低迷に対応するための減税等の
影響もありまして、
歳出、歳入のギャップが拡大してきたことに伴い
増加してきたところであります。この着実な
削減が
財政健全化の上で極めて重要な
課題であると考えております。
ただ、建設国債につきましても、過去の公共事業、
発行に伴いました公債の利払いあるいは償還のための税源は特例公債によることになるわけでございまして、
財政健全化につきましては公債
発行額全体の
削減に努めていくことが大事であると考えております。
-
○
中島啓雄君 ありがとうございました。
ひとつ、
公共事業費をどうするかという問題も真剣に考えていただければと思います。
次に、小生のレパートリーであります
地域の公共交通の問題について
国土交通大臣にお伺いをいたしたいと思います。
地域において公共交通の担い手である鉄道あるいはバスといったものは、自家用車が普及をしましたとか、
地方都市あるいは町村においては人口が減少をしているというようなことで、輸送量が減少をしまして事業経営では赤字という事業者が続出をしております。それに対して
地方公共団体がいろいろ支援をしているところはまあまあでございますけれども、なかなか支援が得られないというところは路線廃止等が生じておるわけでありまして、こういった公共交通機関、やっぱり利用者が少なくなっても高齢者の日常の足、あるいは児童生徒といったように、自動車が運転できない人にとっては生活交通の手段として不可欠であると、こういうことだろうと思います。
人口減少化時代において、これから
地方都市なり町村の町づくりの一環として、やっぱり
地域の公共交通をどう維持していくかというのは非常に大事な問題だと思いますが、その辺の
現状認識と今後の対策について、
地域公共交通活性化再生法というようなことも国会に御提出いただいているようでございますが、
国土交通大臣から概括的に御
説明をいただければ有り難いと思います。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君)
中島委員におかれましては、
地域、すなわち
地方都市とかあるいは町村における公共交通の
現状を大変憂慮されまして、これに対する再生とか活性化に非常に熱心にお取り組みをいただき、いろいろな提言もいただいておりますことについて、まずもって心から敬意を表するところでございます。
御指摘のように、まず
現状認識でございますが、人口減少とか宅地の郊外化、それから驚異的な自家用自動車の普及等によりまして、日常生活における自家用車に対する依存度というものは物すごく大きくなっております。
昭和でございますが、五十年では自家用車に対する依存度は五〇%、そして公共交通に対する依存は五〇%という
状況でありましたけれども、
平成十五年には実に公共交通への依存は一六%まで減少しまして、その差八四%までを自家用車に依存しているという極端な
状況が続いております。まだこの傾向は続いていくように思われます。
そこで、路線バスはその中でももっと著しくて、五十年では三二%が依存していたんですけれども、十五年にはそれが四分の一の八%にまで減少いたしております。
したがいまして、これを受けまして、
平成十八年十一月には、鹿児島県のいわさきグループという大きなバス会社でございますが、運行していた七百六十三系統のうち百六十系統を廃止するということで大変大きな問題になりました。また、
地方鉄道につきましては、
平成十八年の四月に北海道のちほく高原鉄道が、
平成十八年十二月には神岡鉄道が廃止されるなど、利用者の著しい減少による経営環境の悪化等を伴う交通事業者の不採算路線からの撤退や事業の廃止が続いているわけでございます。このほか、
地方都市部においても、道路渋滞等によるバスの走行環境の悪化などによるサービスの低下も
課題になっております。
このように、
地域公共交通をめぐる環境は大変厳しい
状況にあると認識をいたしておりまして、これに対する
取組はどうかというお尋ねでございますが、このような
状況の中でも、高齢者を始め
地域住民の自立した日常生活や社会生活を確保する、あるいは活力ある都市活動の
実現をする、あるいは観光交流などの
地域間交流の促進などによる
地域の活性化を図る、環境問題への対応を図る等の観点から、良質な公共輸送サービスを確保することは極めて重要な
課題である。そしてまた、
地域の公共交通の活性化、再生が喫緊の
政策課題であるというふうに考えておりまして、
中島先生らの提言も踏まえまして、今回の国会に
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案を提出をいたしたところでございます。
私も一昨日、富山市へ参りまして、
次世代型の路面電車であるLRTの視察や試乗をさせていただきました。大変すばらしい
取組だと思います。また、藤沢市での連節バスにも乗せていただきました。それから北海道へも参りまして、DMVですね、線路と道路を両方を走行できる新しい公共交通でございますが、これも視察、試乗してまいりました。
このようなことから、様々な
取組がその
地域で工夫され取り組まれているのが
現状でございまして、国としても、このような
取組を積極的に支援するために、先ほど申しましたような
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案を提案したところでございまして、この法律に基づく措置あるいは
関係予算、
地方財政措置等によりまして、集中的にこのような
取組に対して強力に支援をしてまいりたい、
地方において主体的に創意工夫をして頑張っていただきたい、このような思いでおりますし、
先生方の御提言を積極的にとらえて取り組んでまいりたい、このように思っております。
-
○
中島啓雄君 ありがとうございました。
是非、よろしくお願いをいたします。
そんなことで、
財政厳しい中でありますが、やっぱり
国民生活に必要なことは
是非力を入れていただきたいと思いますが、
財務大臣、何かコメントでもございますれば一言お願いします。
-
○
国務大臣(
尾身幸次君)
地域公共交通が
地域経済の活性化のために大変大事であるということについては私どももよく認識をしておりまして、今後とも、国土交通省とよく相談をしながら、適切に対応してまいりたいと思っております。
-
-
-
○岸
信夫君 自民党の岸
信夫でございます。
まず、我が国のODAについて御質問をさせていただきたいと思います。
我が参議院におきましては、
政府開発援助に関する特別
委員会を設置いたしまして、独自の機能としてその特別
委員会で非常に突っ込んだ議論をしており、一般に非常に高く評価をしていただいているというふうに思っております。
その場では、ODAの専門家の方々、学者の皆さん、あるいは現場におられる方々、そういった方々から大変有意義なお話をいただいておるんですけれども、ODAというものは我が国にとって大変重要な外交のツールである、このことは皆さん、
関係者一致した御意見であるわけです。ただ、このツールというものが果たして期待どおりに使われているのだろうかということであります。
外交というものが、まず第一の目的として国益というものを守っていく、これが外交の第一の目的であるというふうにすれば、ODAというものも外交のツールとしてやはり国益を求めていく、このことも大変重要なんじゃないかなと、こういうふうにも言えるわけですね。国益につながるODAと、こういうことだと思うんですが、一方で非常に人道的なODAと、こういうものもあるわけです。世界にはまだまだ貧困がはびこっている、その貧困が最近のテロ活動の、何か国際社会の不安定要因になっている、こういうことでもあります。ですから、単に直接的な
日本の国益につながるということだけではなくて、やはりそういった人道的な援助というものも、巡り巡って我が国にとって国際社会の安定という
意味を持って我が国に返ってくるということにもなるんだと思うんです。
最近、イギリスのBBCの国際世論調査でもって、どの国が好
影響を与えているかと、こういう調査があったと思います。
日本は世界の中で最も良い
影響を与えていると思っていると、こういうふうに評価されているんだと思います。一部、中国とか韓国とか、周りの国々では非常に厳しい意見もあるわけですけれども、一方で東南アジアのほかの国々、インドネシアとかフィリピンあるいはインドとか、そういった国々ではおおむね非常にいい反応だったと、こういうことで、そのことを考えますと、これもODAが非常にうまく機能している部分もあるのかなと、こういうふうに実は思うわけです。
ただ一方で、我々政治家が地元に帰りましていろいろ支援者の皆さんとお話をしますと、このODAの話になると必ず出てきますのが、結局、世界のどこにあるかも分からないような国に対して援助する必要があるのかと、我々の
経済の方がもっと厳しいんだという意見がございます。皆さん恐らく同じようなことを支援者の方から言われるという
ケースもあるんだと思うんですけれども、ただ私は、その中でやはりODAの大切さというものを訴えておると、国にとって大変重要なものであるということは言っておるわけです。
ただ、
予算の推移を見ていますと、
平成九年度を、事業
予算ですけれども、ピークにして、ずっと減ってまいっています。恐らく、ピークから比較しますと四割ぐらい減らされていると、こういうことでありまして、国の
財政の
状況というのも分かるんですけれども、いろいろ特別
委員会の意見でも、やはりここまで減らされてしまうとそれなりに国際的な評価というものも下がってこざるを得ないんじゃないか、こういうふうにも言われています。
こういったことに関してなんですけれども、我が国としてこのODAは本当に大切な外交のツールとして位置付けがなされているのかどうか、このことにつきまして、まず
外務大臣からお話しいただきたいと思います。
-
○
国務大臣(麻生
太郎君) 平和的に外交というものを実施していく、国益を
実現していく、平和的な手段で
実現していくという今お話にあった点からいきますと、このODAというものは最も大きなツール、道具だということになろうと、私どももそう思っておりますし、事実そのような形になっておると思っております。
これは結構、
日本の場合は、ODAをやるのは単に金だけを出しているという感じではなくて、そこの国の
地域に結構うまく入り込んでおりますんで、
日本のODAに感謝して、例えばカンボジアとかラオスはいろんな、切手になったりお札になったりいろいろしておりますのはその感謝の表現として、いかに感謝しているかというおれたちの気持ちを伝えるのはこれだということになっておりましたり、インドに行きまして地下鉄やら何やら、もう数え上げれば例がないぐらいありますんで、そういったようなことは間違いなく上がってきておると思っております。
傍ら、
日本の場合は、今見てみますと、今、岸
先生言われました約四割ぐらいこの十年間で確実に減ってきております。それはもう誠におっしゃるとおりなんであって、傍ら、その間、この二〇〇五年を境にずっと減ってきておる中にあって、ほかの国々を見ますと逆にずっと伸びてきておりますんで、そういったところは今後我々としてはより、ほかの国でやられるというのは私いいことだと思っておりますけれども、結果として
日本はそれだけ相対的にはこういうことになりますんで、そこらのところは今後ともより効率よく、より
効果的にやっていく必要がある。それは決意を新たにやっていかねばならぬと思っております。
-
○岸
信夫君 ありがとうございます。
確かに我々も、特に今アジアの国々を旅をしていましても、いろいろなところで
日本の援助が生きていると、こういうふうにも感じることがあるわけです。ただ、場所によりましてはそういったことも余りうまくPRがされてないような場合もありまして、そういう
意味ではもう少し積極的にPRをしていくということも、これはまた今後も続けていかなきゃいけないんじゃないかなと思うわけです。
その外交ツールという位置付けにおきましては、我が国、特に去年まで国連の安保理の件がございましたけれども、このODAというのもそういう
意味でうまく使えていければいいと、こういうふうには思っておったんですけれども、一方で、海外に出ますと必ず出てきますのが中国からの援助がどうなっているのか、こういうことであります。OECDに加盟している国々の援助というものはある
程度規律を持って秩序ある形での援助がなされているわけですけれども、中国の行います援助につきましては非常に透明性がないという部分が問題になっております。
ただ、一方で、それを受ける方の国にとってはかなり大きなインパクトを与えるような形の援助というものもあるわけです。これが果たしてその国にとっていい形になっているかどうかというのはまた別にしても、その国の指導層にとっては非常に感謝されるような形というのもあったんじゃないかなというふうにまた思うわけですけれども、インドのみならず、新しいドナーというものがこれから幾つも出てくる中で、そういった国に対して我が国、あるいは国際社会としてどのように対処をしていったらよろしいんでしょうか。
-
○
国務大臣(麻生
太郎君) 御指摘がありましたように、新しく被援助国から援助国に変わっていく、
経済が発展してドナー国になるのはいいことです、私どもとしては歓迎すべきことなんだと思いますが。
ただ、そのやる手口、やり方に関して、やったその内容は何ですという、いわゆる透明性がないとか、それから、それ一回こっきりでそれだけで終わりじゃありませんかと、その国が
経済発展するための何かになりますかとか、持続
可能性みたいなものは全くないじゃありませんかとか。
それから、いろいろアフリカの国で人権侵害等々いろいろその統治の仕方に問題のある国はちょっと、ほかの国はみんなやめているのにそこだけやるのはいかがなものかとか、本当に相手国が真に必要としているものよりは、その国の統治者が必要としているものにやっているんじゃありませんか、議長公邸を寄附しますとか、それから副大統領公邸とか三権の長の御自宅を寄附しますというのはちょっとどうかねというのが正直、私らは一緒の立場におりますのでそんな気がいたしておりますので、いわゆるOECDの開発援助
委員会、通称DACと称するあそこの間でも、ちょっとこれはルールをきちんとしようやという話をし、そういった当該国に対してはこういったルールに基づいてやらないといろいろ問題が起きるんじゃありませんかということは我々も直接その国に対して言っております。
-
○岸
信夫君 ありがとうございます。
そういう形で我が国が本当に心のこもったODA、相手の国のためになるように、そしてそれがまた我が国に戻ってくるような形のODAを進めておるわけですから、そういったものが正しく評価をされるように
是非頑張っていただきたいというふうに思うわけです。
国連の分担金に関してなんですけれども、我が国は大変多額な分担金を
負担をしていると、こういう
状況でありますけれども、それに対して
日本人の派遣職員、あるいは派遣というだけじゃないかもしれませんけれども、現地で国連の本部そして関連組織で働いている人数が少な過ぎるんじゃないかと、こういうことがいつも問題になります。
アフリカなんかで活動しています農業
関係の国連機関の方にもお話聞いたりしたんですけれども、何より
日本人が現地で働く、現地で活動しているというプレゼンスというのが物すごく大きくて、相手の国からも感謝される、また実際に
日本人がやるときめ細かくフォローしてくれるということで
効果も上がっていると、こういうことだと思うんですけれども、この今不足している
日本人の職員、国連
関係者の問題、特に幹部職員もそうなんですけれども、これをどうやって増やしていったらいいか、その辺り具体的な方策でもございましたら教えていただきたいと思います。
-
-
○
政府参考人(
木寺昌人君) お答え申し上げます。
政府、国際機関双方の努力によりまして、若手を中心とする人材のすそ野の広がりが最近かみ合ってきた結果、邦人職員数は若干
増加してきていることはございます。しかし、現在の
水準は十分なものではございませんで、更なる努力が必要でございます。
政府といたしましては、引き続き国際機関への就職に関する
国民、特に若い方々への広報、それから候補者の発掘、育成、それから、これは
日本政府とそれから国際機関と協力して、ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー、JPOと申しますが、
日本政府の
予算による派遣
制度の実施、それから採用する国際機関に対する情報収集、働き掛けを更に行っていきたいと考えております。
こうした方策によりまして、若手の国際機関への派遣、その後のキャリアアップ、引上げでございますね、それから幹部ポストへの人の送り込みに努めまして、国連
関係機関全体における
日本人職員の増強に取り組んでまいる方針でございます。
また、人事面を含めまして国際機関に我が国の
政策をしっかりと反映させていくためにも、我が国の国力に見合った
水準の任意拠出金を確保してまいりたいと考えております。
-
○
国務大臣(麻生
太郎君) 御指摘のように、分担金、今年で一六・六%ぐらいになると思いますが、その中に占める邦人職員数が百十人ですから四%前後だと存じます。したがって、これはちょっと少な過ぎるというのがもう御指摘のとおりだと存じますし、国連
関係機関を見ましても、
平成十八年の一月で六百七十一人ということになっておりますので、これは二〇〇〇年に比べますと、過去七年間の中で見ますとこれは四〇%ぐらい増えております。そういった、確実に増えてはきてはおりますので、今後とも努力いたしますが、なかなかなり手がいないのも確かなんですね。国連機関というと、何となくちょっとこう、ちょっと引かしていただきますなんという話になるんで、ここがちょっと正直申し上げてなかなか難しい、人材確保としては結構難しいところではございます。
-
○岸
信夫君 いわゆるこの人の問題、まあお金の問題もそうなんですけれども、しっかりやっぱり
予算も掛けて、それに見合う人員もまず育成をしていく、そして派遣をしていくと、そういうプログラムを、さっきもお話がありましたけれども、しっかりやっていただきたいというふうに思うんですけれども。
安倍政権、主張する外交と、こういうことでございます。この推進のために我が国のODAはどうあるべきかということで、よく
戦略的にODAを使っていこうと、こういうことはよく口では言われるんですが、この
戦略的なODA、イメージでも結構です。その
外務大臣の御所見をいただきたいと思います。
-
○
国務大臣(麻生
太郎君) 新たに海外
経済協力会議というのを
内閣の中に立ち上げていただき、外務省の中にもそれの企画立案という本部を立ち上げさせていただきました。ここによって、各地区というのは、これまで
日本というのを見ますと、
日本の戦後の外交は三つが基本でして、日米基軸、国連外交、そして近隣諸国との友好と、この三つがこれまでの基本でありました。これだけ
日本等の
経済力が増してくる前の話からこうだったんですが、
経済力がこれだけ増し、今、
日本に対する、海外の
日本に対する評価、先ほどはBBCの例を引かれましたけれども、あれは昨年は単独一位、今年は、今年というか正確には去年ですけれども、去年は同率一位という形になっております。
そういった形で評価が上がっておりますので、それにこたえる責任も我々にはあろうと存じますので、自由と繁栄の弧という言葉を使わせていただいて、ユーラシア大陸の周辺国、ずっと大いに期待をされておる国々に対して、総理には西
ヨーロッパ、私は中央等と東
ヨーロッパに回らせていただきました。そういった国々に関しては、ODAを使わせていただくなり、いろいろ我々の援助なり支援というものを、これはお金だけじゃなくて人的支援も期待をされている国も多いと存じますので、そういった国々が繁栄していくことは結果として
日本の安定につながっていく、
日本の繁栄につながっていくと思っておりますので、そういった形は、大
戦略としてはそういった形を考えております。細目を言いますといろいろございますけれども、大
戦略としてはそういった形だと存じます。
-
○岸
信夫君 ありがとうございます。
その外交ツールという
意味でも、そのODAとまた並んでEPA、FTA、こういうものがございます。国際社会の中でますます我が国の
経済的な
意味で果たす役割というものも期待も高くなります。それに対して期待にこたえていかなければいけないわけでありますけれども。
WTOの枠組み、これは参加者が大変多いわけです。週末もいろいろな、上限関税の話なんかもございましたけれども、なかなかすぐにまとまるような話ではないかもしれない。そうした中で、補完する
意味でのFTAあるいはEPAと、この二国間であったりあるいは
地域との連携と、こういうことがあるわけですけれども、このEPA、FTAの我が国として推進していくことの意義について、また
大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
外務大臣、それから特に我が国の国内産業に対する
影響、これも非常に大きいと思うんですが、この辺りにつきまして、むしろその推進する立場なのかもしれませんけれども、
経済産業大臣、そして
農林水産大臣からもコメントをいただきたいと思います。
-
○
国務大臣(麻生
太郎君) EPAにつきましては、これはWTOを補完するという
意味におきまして、積極的に推進をしていくべきものだと思っております。
これの
経済的な利益といたしましては、少なくとも相手国の市場アクセスを改善する、相手国の、
日本が輸出なりあれする付き合う相手の。それから、
日本の進出いたします企業のビジネス環境を整えるというのが
二つ目だと思いますし、また資源のエネルギーとか食料の供給の確保等々、いろんなものができるので、いわゆる国という境を
前提にしたFTAと、それを取っ払った上でのEPAと大分違うと思っておりますが、そういった形できちんとした緊密な環境にいきますと、これは連携が
強化されると存じます。
例えば、よく豪州が例に引かれますけれども、豪州、今石炭で何割、鉄鉱石で何割といろいろ言いますけれども、エネルギーの換算で、例えば石炭なら石炭で全あれを換算いたしますと、多分
日本の石油の輸入量からいきましたら、エネルギー一番頼っておりますのはサウジアラビアの一五%が一番だと思いますが、エネルギーとかいうものを石炭でやってみたり、またウラニウムでやってみたり、いろんなものでエネルギー換算にし直しますと、多分オーストラリアの方がサウジアラビアより五%以上多いと思います。それぐらい
日本の輸入している量の絶対量は多いというのがオーストラリアの持っておる地位だと存じます。
したがって、この
関係を、今日、ハワード総理、訪日されておられますけれども、この午後話をすることにしておりますが、ただ我々の持っております食料を始めいろいろな極めてセンシティブな問題が一杯抱えておりますので、ここらの問題は、そこらのところはうまくいったがこっちは全くうまくいかなかったでは話になりませんので、そこらのところ、守るべきものはきちんと守る、そこのところが一番肝心だろうと存じます。
-
○
国務大臣(甘利明君) FTAやEPAは、一言で表現しますと、
日本の
経済国境を広げるという
意味があるんですね。つまり、
日本の中でしている商売と同じ環境でできるところのエリアを増やすということになります。ですから、これはいろんな
意味で
プラスが極めて多いわけであります。昨今はエネルギーを優先的に安定的に確保するという
意味もあります。それから、
日本の知財をちゃんと
日本と同じルールで守ってくれる、つまり模倣品、海賊版の撲滅という
意味もあります。いろんな
意味で
プラスになる。世界じゅうそうですが、
日本は特に貿易立国ですから
プラスが多いと思います。
ただ、もちろんセンシティブ品目というのはあります。農林水産品だけじゃなくて、工業製品でも化学製品とかあるいは皮革とか繊維は、
日本はある
程度の関税を掛けて国内産業を守っております。そういうそれぞれが持っているセンシティブ品目に関して極力相互の理解を進めながら、その障壁を、貿易の障壁を外していくと、投資の障壁を外していくということが
日本のみならず相手の国にとっても
プラスになろうかと思います。
-
○
国務大臣(松岡利勝君) お答えいたします。
今、麻生
大臣、それから甘利
大臣からも御答弁があったわけでございますが、私どもの立場からも、このEPA、またFTAというものは、これはもうWTOの世界的、統一的な多国間の貿易体制、これを補完するものと、そしてまた
経済、貿易という観点でも非常にこれは重要な
戦略性を持っておると、こう思います。また、
経済、貿易の枠を超えて、外交、政治的な観点から見てもこれは大きな
戦略性があると、このように認識いたしておりますが、したがって、それぞれの国や
地域間においてお互いメリットを求めてこれは進めるわけでありますが、その中で特にこの農林水産の分野が
先生も御指摘のとおり一番いろいろと
影響を受ける。したがって、そういった点については、これはしっかりと
マイナスにならないように、守るべきものはしっかり守っていく、こういう観点に立って我々も取り組んでいかなければならないと、このように思っております。
全体とそれから個別のバランス、こういう中で、しっかりと私どもとしては、
日本の農業、農林水産業全体、また農村や
地域全体にとって
マイナスにならないような、そういう観点からしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
-
○岸
信夫君 関連の三
大臣から大変貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。特に、今お話に出ていましたオーストラリアとの交渉、農林水産が大きなやはり
課題になってくるわけです。今
大臣おっしゃられたように、守るところは守ると、こういうことはしっかりやっていただきたい。
ただ、国と国との
関係として、オーストラリアはやはり大変重要な国でありますし、太平洋を挟んで、安全保障の
意味もあるんだと思いますけれども、これはしっかりと国と国との
関係を築いていかなきゃいけない。EPAといいましても、おっしゃられたように、貿易の問題だけじゃなくてやはりいろんな側面があるんだろうというふうに思います。そういったところを
是非評価をしていく必要があるのかなというふうに思うんですけれども。
一昨年にもうなりますか、WTOの香港閣僚会議がございました。その中で我が国は開発イニシアティブというものを発表しましたけれども、これは単純な市場開放ではない、特に途上国の生産から流通、販売までを一貫して支援していこう、その中で世界の貿易体制の中に彼らも引き入れて恩恵に浴すことができるような形をつくっていこうと、こういうことだと思います。
その当時非常に評価がされたと思うんですけれども、その後なかなかWTO自体が前に進まなくなってしまった。一方でEPAを、それを補完する
意味ですけれどもEPAを進める。そういった中で、この開発イニシアティブというものが、実際、今交渉を進めている中で生かされているのかどうかということについてお伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(麻生
太郎君) おっしゃるとおりに、昨年、香港WTOの騒ぎは随分もめた騒ぎでしたけれども、こういうものがあるというのでも、商売というのは物が作れても駄目と、売れなきゃ駄目と。売っただけでも駄目なんで、金が回収できて初めて売れたというのであって、商売というのは売れたら終わりなんて、金回収するまでは手形もらったって
意味がないんですよという、当たり前の話で、商売やってりゃ、住友商事にいらしたのでよくお分かりと思いますけれども。こういったことの分からない人って多いんですよね、世の中。売れましたって、売れたって、どこに何が売れてプロフィットはどうなったかという話だって、全然分からない人というのは一杯いますもんですから。それをきちんと当たり前の話を
説明するというのを、我々としてはきちんと
説明して、おたくでこれを、商品は分かったけど、これをもうちょっとこうしたらこの国にもっと売りやすいとか、それを回収するに当たってはこうされたらどうですとか、売るに当たってはとかいういろんなことの指導をするという普通の、初歩中の初歩みたいなもんですけれども、一村一品運動というのが結構英語みたいになりまして、これが広まっているというのを
前提にして使わせていただいたというのがその背景ですけれども。
いろいろWTOは止まっておりまして、こっちも止まったように見えますけれども、これはこれで非常に小さな話ですんで余り見えてこないところですけれども、いろいろなところでこの種の話が、お土産というのを
日本人にも作って売るなら、これが土産というものにしないと、もう飛行場に置いていなかったら土産になんかならないでしょうがというような話やら何やらは随分個別にさせていただいた記憶がありますけれども。結構LDCという国に行きますと、リースト・ディベロプメント・カントリーズというんですけれども、これらのところに行きますと、少なくともそういったものが前に比べればはるかに増えてきておりますと実感はいたしております。もっと進める必要があろうとは存じます。
-
○岸
信夫君 ありがとうございます。
今実際そういう、今
大臣がおっしゃられたように、
是非国際社会、特にその途上国も含めて彼らを引き上げていく、そしてそういう国際ルールの中に引き入れて活性化していくということが大変重要なんだろうというふうに思います。
ちょっと次に進みたいんですけれども、特にその食料の貿易、オーストラリアとのEPAの中でも問題になってくるわけですけれども、先日も新聞なんかでも報道されました。我が国が関税をもし引き下げたら、我が国の自給率は非常に、食料の自給率というものは非常に下がってしまう、こういうことだと思うんですけれども。
我々の食卓を見てみますと、戦後非常に厳しい
状況から、食うや食わずという
状況だったと思うんですけれども、その後、
経済発展とともに我々の食卓自体は非常に豊かになったと思うんです。ただ、一方で自給率というものは下がってしまった。大きな変換が、転換がここにあったんだと思うんですけれども、今その六割を逆に言いますと輸入に頼っているわけですね。
これが本当に、
日本の食卓の
現状として本当に豊かなのかなということはやはり問い直さなければいけない問題だと思うんですけれども、この特に
国民生活に対する
影響というものについて松岡
大臣の御意見をいただきたいと思います。
-
○
国務大臣(松岡利勝君) お答えいたします。
もう
先生の御指摘のとおりだと思います。昭和三十五年は七九%、約八割あったんですが、現在は四〇%ということでもうほぼ半分になっております。
この大きな原因は、やっぱり米の消費が減った。私どもの子供のころは大体百五十キロぐらい一人当たり食べていたんですが、もう今は六十キロ
程度、二・五分の一と。一方でこれは、肉食が増えましたし、畜産物が増えた、油脂が増えた。こういったようなことから、米が減って肉食、油脂が増えた、これが海外へ依存を高めましてこのような結果になってしまった。
そこで、もう
先生御指摘のとおりですが、
国民の皆さんがどう受け止めておられるか。これは、世論調査をやりました結果、やっぱり七割の人が自給率が低過ぎる、それから八割の人が将来のやっぱり食料の確保に不安を持っておられる。こういったことに対してどう対処していくかということが大きな政治の
課題でもございますが、何としても私どもとしては、まず二十七年には四五%は
是非達成をしたい、そしてもっと先ではせめて半分、五割以上は自給率を確保したい、こういう
方向を今定めております。
そこで、具体的には消費面からの
取組も大事でございまして、
日本型食生活、いわゆる食育という観点から、米を中心にした、副食は多様に組み合わされまして、栄養バランスの取れた、健康にいいという
意味での食事バランスガイド、こういったこともしっかりと示しながら、食育ということで
日本型食生活を浸透して消費面からも取り組んでいきたい。また、生産面からは、これ、農業と食品産業の連携等いろんな多様な
取組をしながら、また生産面からも自給率の向上に努めてまいりたい。
いずれにいたしましても、将来を考えますと、中国が大変な勢いで今この食料の消費というものが増大してきておりますので、そういった観点からも、
是非将来の食料需給等も見据えながらしっかりとした
取組をやってまいりたい、このように思っております。
-
○岸
信夫君 今の世界の需給
状況のお話もございましたけれども、例えば穀物、今世界的には増産はしていますけれども、一方で在庫量というのはどんと減ってしまっています。消費に対する在庫の比率というのも非常に下がっている。ということは、何かあったときに耐えられなくなってしまうわけですね。
ですから、六割を輸入している我が国がいつまでも本当にこの六割、買えるのかどうか、輸入できるかどうかというのはやはり大問題になっていく
可能性というのもある。特に、トウモロコシを見ますとエタノールの生産というのが大きく出てきて、これは大きな需給構造の変換になってきているんだと思うんです。
穀物自体、過去を見ますと、どちらかというと過剰でしたから買手が優位という
状況が続いていたわけですけれども、自由貿易体制の下で在庫が減ってくる、そうしたときに本当に不安になってこないか。我が国が、例えば過去
アメリカも輸出制限を掛けたこともあります。そうしたときに、やはり我が国はそういった国々としっかりと
関係を結んでおくということが大変重要なんだろうと思うんですけれども、そうした
取組についてお話しいただきたいと思います。
-
○
国務大臣(松岡利勝君) お答えいたしますが、もう正に岸
先生の御指摘はそのとおりだと私どもも認識をいたしております。
まず、世界的な食料需給ということでいいますと、まずは人口が増えます。したがって、その分食料消費もこれは増大をするわけでありまして、例えば今二十億トンの穀物が世界で生産されておりますが、例えばそのうち米が五億トンですけれども、この米だけでもあと十年後には六億トンになると。やはり一億トン増えて四分の一ぐらいまた需要が増大する。それに対して供給はどうかということになりますと、これまたなかなかそう簡単には増えない、こういったことでまた値段はタイトになってくると。
とにかく、
先生おっしゃいましたように、中国が
アメリカともし一人当たりが一緒なんかになってまいりますと、これはもう二〇三〇年ごろには中国の十五億だけで世界の穀物の三分の二ぐらい消費するんではないかと、まあこれは
計算上ですから実態がそうなるかどうかは分かりませんが、それくらい厳しい
状況になってくる。
一方で、またこれはエネルギーとの問題もございまして、バイオエタノール、こういったことで
アメリカ辺りは今もうトウモロコシが食料とエネルギーの取り合いになっている、このようなことでもございますし、そういった点から、やっぱりこれはしっかりと見極めて対策を立てなきゃならぬ。そういう
意味では、いろいろ貿易においてしっかりとした食料確保ができる、こういう
関係を結んでおくことはもう極めて重要である、必要である、これはもう
先生御指摘のとおりでございまして、そういう御指摘の観点に立って、私ども、食料の安定確保に向けた
取組を
強化していきたいと、このように今思っております。
-
○岸
信夫君 ありがとうございます。
今、そういう世界的には不安的な
状況になりつつある、だからこそ我が国の自給率を引き上げていかなければいけないんだと思いますし、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
大臣にはまだまだいろいろ御質問したいんですけれども、農林水産
委員会でもございますので、ちょっとほかの件を御質問させていただきたいと思います。
久間
防衛大臣に米軍再編について御質問させていただきます。
特に、私の地元、岩国基地を抱えております。このたびの再編では空母の艦載機が移駐されるということで、そうなりますと、米軍の航空基地として最大級のものになるわけです。人員やパイロット、整備
関係者も大変多い、増えるわけで、米軍のプレゼンスというものも大変大きくなるんですけれども、地元では、
説明不足もあるんでしょうか、
負担のツケ回しじゃないかと、こういう見方もされがちなんですね。そこで、特に国防にとってこれは大事、大切なんだということを
説明しているつもりではあるんですけれども、なかなか御理解をいただけない面も実はあります。
そうしたところで、国として、米軍再編によりこの岩国基地の位置付けというものはどのようになってくるのか、考えておられるのか、
大臣にお伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(久間章生君) 岩国基地は、米国の海兵隊の航空部隊あるいはまた我が国の海上自衛隊、いずれにとりましても大変国防上重要な位置を占めております。そして、特にこれから先、やはり我が国の抑止力ということを考えますと、これはやっぱりウエートが増すのはやむを得ないわけであります。
そういう
意味では、岩国に大変
負担を掛けるという思いでこれまでもその軽減策等についてもいろいろ考えてまいりましたが、沖合に少し飛行場を展開する、新しい飛行場を造ることによって安全性の問題あるいは騒音対策等についてこれが非常に助かるというようなことで、完成が目の前に迫ってまいりました。
そうしたときに、一方、米軍のそういう抑止力からいきますとどうしても我が国に航空母艦を展開せざるを得ない、そのときに、今、厚木でいろんな艦載機がおりますけれども、厚木は御承知のとおり周りがもう非常に密集した住宅街でございますから、純粋に厚木と岩国を比べてみますと、やっぱり岩国は、沖合に飛行場ができますとそちらの方が騒音対策その他からいってもやはり非常に有利でありますので、そこで、米軍再編に絡みまして岩国の方にそれを移そうということになったわけでありまして、確かに地元の皆さんから見れば何でおれのところにという思いがあるかもしれませんが、
日本の国防上はどうしても米空母が
日本におるということが大事なわけでございまして、そのための必要なものについてはやっぱりどこかでやらなければならない、そのときに、厚木と比べたら今度の岩国の方がまあ相対的にいいということからそう判断したわけでございます。
そういう
意味では岩国の皆さんには本当に御迷惑をお掛けしますけれども、その分、海上自衛隊の今度はまた航空の一部を同じ機種を持っています厚木の方に移す、あるいは空中給油機をグアムに移すという形で、幾分なりとも騒音あるいはそういうことから配慮して軽減もするので、何とかこれを御理解を賜って認めていただきたいということで今地元
説明会をしているわけでございますので、そういう
日本全体の
状況の中からこういう決断をせざるを得なかったということについて、地元の皆様方にもどうかひとつ、まあ温かくとはなかなかいけぬでしょうけれども、本当に無理を承知でお願いをしているわけでございますので、そこのところを引き受けていただきたいと心からお願いをしたいわけであります。
-
○岸
信夫君 こういう言い方をすると厚木にお住まいの方に大変申し訳ない部分もあるんですけれども、地元では、例えば厚木、基地が最初にあって後で住民が引っ越してきて、その人たちがうるさいから出ていけと、こういうお話があるわけですね。岩国はそれをじゃ全部引き受けるのかと、こういうような見方も実はありまして、また自衛隊のことをおっしゃいましたけれども、自衛隊は現地で非常に感謝されている部分も一方であります。ですから、そういったことに対して
是非真正面から、住民
説明会をやっていただいております、もっともっとしっかりと、また幾らやってもこれ足りない部分はあると思うんですが、
是非説明をしていただいて、住民の方々に防衛省の方から御
説明をしていただきたいというふうに思っております。
以上で終わります。ありがとうございました。
-
-
-
○小林正夫君
民主党・新緑風会の小林正夫です。
国土交通大臣にまずお聞きをいたします。
週末に、国土交通省発注の水門設備工事をめぐる談合で国土交通省の現職技官が関与している疑いが
関係者の話で分かった、こういう報道がされました。
昨年、
大臣のところで現職職員に聞き取り調査した結果、職員の関与を否定する見解を発表していた、私はこのように記憶していますけど、この事実
関係はどうでしょうか。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 今述べられたとおりでございまして、百六十七名、現職の職員について調査をいたしました。その結果も報告をいたしました。その結果では、その調査の結果では、そのような事実は認められないという結果を報告したわけでございます。
-
○小林正夫君 この報道の事実
関係ですけれども、これはこれから調査やるんですか。でも、
大臣は昨年、自分のところの職員には関与をしてないと、こういうふうに発表されているんですが、こことの整合はどうなんですか。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 昨年の調査では、具体的な端緒と申しますか、そういうものがありません。その段階で調査を始めたわけでございまして、したがいまして、それについては相当詳細に聞きましたけれども、現在の報道によりましてもそのような疑いがあるということについて本人が否定したり、我々強制した調査権というものを持っていないためにそのような結果になったんだろうと思いますが。
しかし、今回、そのような報道が具体的になされました。ということになりますと、当然、その者について厳しい調査をしたいし、それから
公正取引委員会もそのようなものを聞いていただいているんであればその資料もいただきたいし、それからこの相手方である事業者についても我々は詳細にその裏付けを聞いて、その事実
関係を確定したいと、このように思っております。
-
○小林正夫君 いつごろ調査結果を終わらして
国民の皆さんに発表する、こういうことはどうでしょうか。いつごろになるんでしょうか。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 現在、鋭意調査中でございますので、事実
関係を確定させるにはなお時間が要ると思います。
それから、六百名近くの者に対して調査をし、またそれについての疑いが出てくれば、先ほどのように何回も聞いたり、裏付けのために第三者からも意見を聞いたりしなきゃなりませんので、もう少し時間が掛かると思います。
なお、この入札談合防止対策検討
委員会には、内部の職員だけではなしに外部からも九名のいわゆる有識者の方に参加をしていただいております。高等裁判所の長官を経験された方とか、あるいは地裁の、特捜部の検事を経験された方、あるいは
公正取引委員会の事務
局長を経験された方、あるいは弁護士、それから学識者の中では大学教授等、九名の方に参加していただきまして、このように重要な疑いが具体的に特定された人に対してはこういう専門家にも入っていただきまして調査をいたしているところでございますが、なお、一回の調査で事実は確定できませんので、まだこれに対していつまでにどうするということは申し上げることができない
状況でございますが、これはなるべく早くすべきであるというふうに思っております。
-
○小林正夫君 一日も早く
国民の皆さんに明らかにしてこういう不信を払拭していかなきゃいけないと思いますので、早い調査をしていただいて
国民の前に結果を出してもらいたいと、このようにお願いをしておきます。
次の質問に移ります。電動車いすの安全対策についてお聞きをいたします。
今日、皆さんのお手元に資料を配付をさせていただきました。最近、特に高齢の方が、多分私が思うのには足腰が少し弱くなって、外出をしたいと、そこで、今日のこの資料のように、このような感じの電動車いすを町でよく見掛けることになりました。ただ、この資料にもあるように事故も起きておりまして、これらの安全対策について今回お聞きをしたいと思います。
まず、電動車いす、体が本当に不自由な方が活用されているものもあれば、今私が言ったように高齢者の方が足腰が弱くなって利用されている方もいらっしゃると思いますけど、この電動車いすの定義ですね。それと、最近このような電動車いすを見掛けることになって、何か定義を変える検討などあったのかどうか、ここについてお聞きをいたします。
経済産業大臣。
-
○
国務大臣(甘利明君) 電動車いすは速度、時速が六キロ以下であります。これは六キロを超えると車両扱いになりますし、六キロ以下ですと歩行者扱い、歩行者の行動を助けるものということの枠内になります。
そうしますと、
日本工業規格によるいろいろな安全に対する基準になるわけでありますが、
日本工業規格は国際標準化機構、ISOの規格に準拠して対応しています。ただ、ISOに比べて更に追加規定があるのは、例えば登坂性能とか降坂、下りてくるときの性能とか斜面に止まる性能とか、その種の若干のものを更に加えて工業規格といたしております。
-
-
○
国務大臣(溝手顕正君) いわゆる電動車いすについては
一定の基準、先ほど経産
大臣からお話があったとおりですが、これにつきましては道路交通法施行規則の中に規定しているところでございますが、その基準に該当するものにつきましては道路交通法上は歩行者として取り扱われるということになっております。
-
○小林正夫君 この電動車いす、どのぐらいの台数が世の中に普及しているのか、数を教えていただきたいと思います。
-
○
国務大臣(溝手顕正君) 電動車いすの製造メーカー等で組織している電動車いす安全普及協会というところがございますが、この調べによりますと、最近の電動車いすは、年間出荷台数約三万台前後で推移をいたしておりまして、
平成十七年までの累計出荷台数は約四十六万台となっております。細かく申し上げますと、協会に入っていないメーカーの入荷は含まれていないとか、廃棄されたのは含まれていないという、しっかりした統計は少し問題があるということでございます。
-
○小林正夫君
厚生労働大臣にお聞きをしますけど、この資料の、特に、限定はもちろんできませんが、お年寄りの方が足腰が弱くなってこういう電動車いすを見掛けるようになった、こういうことをイメージしながら、こういうものが普及されていくこと、この受け止めについて
厚生労働大臣はどのようにお思いでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 介護の必要な高齢の方とかあるいは体に障害がある方が電動車いす等の
福祉用具を利用されることで外出の機会が増えたり就労の機会が増えたりする、あるいはそういったことで社会参加の促進が図られるということは、大変好ましいことだというふうに考えております。
したがいまして、
厚生労働省としては、介護保険
制度や障害者施策を通じまして電動車いすの給付を行っているところでございますが、ただ、今
先生の御指摘のような安全性ということについて私どもも十分な留意をしながら適切な運用を図っていかなければならないと、このように考えているところでございます。
-
○小林正夫君 私も実は団塊の世代で、今年六十になります。この私たちの世代がこれから年を重ねていきますから、当然、高齢社会がどんどん進んでいきますね。私は今の段階でも、自分が足腰弱くなったらああいう電動車いすを活用するといいなと、このように思っているんです。
そこで、今の
大臣のお話ですと、これを購入するに当たって、
厚生労働省としては何か支援策をしているというふうに理解をしていいんですか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君)
厚生労働省は施策を
二つ持っておりまして、
一つは、介護保険
制度におきます
福祉用具の貸与
制度でございます。これは、要介護者等の日常生活の自立を助けるため、電動車いすを含めたそうした用具の貸与に要した費用について
一定の補助をしていると、こういうことでございます。それからもう一方は、障害者施策におきます補装具の支給
制度というものでございます。これは、身体機能を補完、代替するために、電動車いすを含めた補装具の購入、修理に要した費用をこれは支給をしているというようなことで、いずれにしても、この介護保険
制度あるいは障害者施策の中でこうしたものについて
一定の助成、それからまた全額の支給をしていると、こういうことでございます。
-
○小林正夫君 お手元の資料に、
平成九年から十八年までの事故発生件数、死亡者数などを記載をいたしました。事故の傾向としてどういうことが多いのか、あるいは都心だとか郊外における、この辺に何か事故の特徴などあるのかどうか、今後のいろんな対策をしていく上でこういうことをきちんと知っておくべき必要があると思いますので、質問をいたします。
-
○
国務大臣(溝手顕正君) 今
先生がお配りになった表のとおりで、交通事故の件数を申し上げますと、
平成十八年度は二百五十八件で、死者が十人、負傷者は二百四十五人という
数字となっております。
これらの特徴について、実は完全に把握しているとは言いかねない
状況でございますが、七一%が六十五歳以上の方だという結果が出ておりますが、電動車いす自体が高齢者がたくさんお使いになっているということで、どの
程度の特徴があるかというのは、なかなかこれだけでは判断できないだろうと思います。
それからもう
一つは、交通事故の形態を見てみますと、五六%が道路を横断中に事故に遭っているという特徴が見られています。せっかくのお話でございますんで、都心と郊外での事故の傾向はないか、いろいろ当たってみましたけれども、はっきりした
数字が出ていないというのが
現状でございます。
-
○小林正夫君 今国会で道交法の改正が予定をされていて、特に歩道を走る自転車、これらの対策も含めて検討されているというふうに聞いておりますけれども、今、事故の傾向などはなかなか把握できないと、こういうお話がありましたけど、今回の道交法改正に当たって、この電動車いすがこのように普及してきたこと、このことを加味して改正が検討されたのかどうか、この辺について教えてください。
-
○
国務大臣(溝手顕正君) 率直に申し上げまして、そこまで組み込んで考えているとは申し上げ切れないと思います。ただ、この電動車いすの扱いが歩行者ということでございますが、歩行者一般としての取扱い、注意義務、あるいは交通ルールの遵守という
意味では、常に日ごろ心掛けている中身になるのではないかと思っております。
-
○小林正夫君 私は、やはりこれから高齢社会になって、こういう電動車いすが普及をされて、なおかつお年寄りの方が表に出ていって空気を吸うという、大変いい私はこの電動車いすの利用方法があるんじゃないかというふうに思います。
ただ、そうはいっても、
前提はやはり安全でなきゃいけないというのが常なことだと思います。したがって、今までも、交通事故を見てみると、交通参加者とのトラブルも多いというふうに話を聞きますので、
是非新たな安全対策などを講じる検討の
取組をしていただきたいし、またしていく必要がある、このように指摘してこの質問を終わりたいと思います。
次に、給食費の未納の問題についてお聞きをいたします。
まず、官房長官にお聞きをしますけど、最近、社会のモラルが非常に低下をしている、このように私も思います。逃げ得だとかやり得、あるいは払わない者勝ちなど反社会的行為がまかり通る、こういう世の中では、私は公正公平な社会が崩れていくと思います。このような社会になっている原因は何なのか、背景は何なのか。与党自民党政治の反省点があるんじゃないかと思いますけど、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(塩崎恭久君) 与党自民党政治の反省点というような御指摘でありますけれども、そういう狭い
意味ではなく、いろいろな社会的なやっぱり看過できない動きもあるんだろうなというふうに思っております、その背景には。考えてみれば、これは一部の保護者が親として当然果たさなければいけないその責任を放棄しているということになるわけでありまして、学校とともに自ら子供を育てるという意識がやはり希薄になっている人がいるんだなということを改めて感じさせるような現象ではないかと思っています。
その背景は何かということで、なかなか大きい話で難しいわけでありますけれども、やはり大人はいつも子供を背中に向けて、その子供は大人を見て生きて育っていくわけでありますから、やはり子供に模範を見せるということが大事であって、社会人として給食費を払って子供を義務
教育に行かせるというのは当然のことであって、義務であるわけでありますから、その基本をきちっとやってみせるということが大事だと思います。
どうも子供に模範を見せられるような
状況でもないという
ケースが多いようにも受け止められますが、一体これが本当に増えているのかどうかということをちょっと
数字を確かめてみると、今この十七年度の学校給食費の未納
状況を見ると、全児童生徒数の一・〇%、それから未納の総額では〇・五%ということで、さてこれ、一%というのが本当に増えているのかどうか。増えていると感じておられる学校の現場の方々もおられるようでありますけれども、必ずしもそうでもないというところもありますが。
いずれにしても、子供に模範をきちっと見せながら子供をみんなで育てていくということが大事でありますから、親としての責務を果たせられないような親ではない人たちをどう育てるのかと、我々の世代なんかも含めて、反省をしながら努力を引き続きしなければいけないし、
教育改革は、これ
教育基本法の問題についてもこの場でも随分議論いたしましたが、今回、それに基づいた
教育三法、これから中教審の結果を受けて
政府としてもまとめていきたいと思いますが、今
先生が御指摘になったようなことを念頭に入れながら法案作りを図っていきたいというふうに思っております。
-
○小林正夫君 これは学校
教育法第二十二条の第一項に保護者の
負担とすると、このように明記をされているわけですから。そして、インターネットなどでいろいろ調べていくと、主要全国紙だけでも、この半年間で給食費の未納に関して二百十七件、二月末現在、そのぐらいの記事が出ているんですね。
衣食足りて礼節を知る、こういう言葉があるわけですけれども、私は、衣食足り過ぎて礼節を忘れている、こんな状態に今なっているんじゃないかというふうに思うんです。
文部科学大臣はこの根本的な原因は何だと思っているか、お聞きをいたします。
-
○
国務大臣(伊吹文明君)
文部科学省でこの辺りの調査をいたしました内容をかなり詳細にやはり考えてみる必要があると思います。今、全体の
数字は
先生がおっしゃったとおりでございますけれども、先ほど来お話がございますように、未納の原因ですね、これが確かに、衣食足り過ぎて礼節を忘れるという、保護者としての責任感や規範意識の問題だと回答した学校は全体の六〇%でございます。それから、保護者の
経済的な理由があるんだということを回答しているのが三三・一%あります。
後ほどいろいろお話があろうかと思いますが、六〇%の方についてはやはり
先生がおっしゃったような立場で、学校を管理している校長あるいはその
地方の市町村
教育委員会ですね、給食を実施している、がしっかり対応しなければならないと思いますが、三〇%の人が本当に
経済的な理由があるんだとすれば、これは生活保護、あるいは生活保護に至らないけれども
教育支援という
制度がございます。
この中に給食の援助というのは当然入っているわけなんですが、これが、まあ私の立場からいうと、三位一体という大きな流れの中で、
文部科学省が個別に手当てすべき補助金を
地方にお譲りをして、その代わり税源を
地方へ持っていっているわけです。ですから、
地方の独自税源で市町村が対応しているのか、足らざれば交付税の中で対応しているのかということになりまして、こういう
教育の分野を三位一体の形で
地方へ移したのが本当によかったかどうか、これは私は大きな反省材料だと思っております。
-
○小林正夫君 もう
一つお聞きをしますけど、給食費未納の
経済的な理由で払えない、こういう方が約三割ぐらいいらっしゃるんです。払えるのに払わない人がまあ逆に言えば六割ぐらいかなと、こういうイメージですけどね。
全国すべての都道府県で給食費の未納問題が全部発生しているわけですね、全国的に。こういう発生している学校は、具体的に給食費は、その欠損部分はだれがどう
負担しているんですか。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) 率直に言いますと、この給食費の未納が県によって濃淡がかなりございます、これはもう
先生よく御承知のとおりですが。これは各市町村
教育委員会各々によって対応が違うんではないかと思いますね。赤字のまま、民間的に言えば、何となく支払を転がしながら資金繰りとして動かしているような
ケースもないではないんじゃないかと思いますし、あるいは
地方の単費でこれを補てんしておられるところもあると思います。
土曜日に中教審の答申がありまして、国と
地方の
教育行政に関する関与の問題が今大きく新聞に取り上げられておりますが、この辺り率直に言うと、
先生の御質問にすべて私がお答えするだけの権限がないというのが非常にもどかしい
教育行政の
現状であろうと思いますので、中教審の御答申をも受けて、私たちもこの辺りのことがしっかりと分かるようなやはり
教育行政の筋をつくり上げないといけないと思っております。
-
○小林正夫君 私も調査結果を見させていただきましたけど、この欠損部分の扱いで、例えば二百円の給食を本来ならば食べるところを、お金を払わない方がいるので結局その給食費代を、百九十円の給食を食べているという例もある。もう
一つは、その二百円の分を確保するために、学校全体の総
予算の中から欠損分を充てているということもありました。さらには、学校全体じゃなくて
教育委員会からその欠損分を一時的に借りてくると、こういうようなことで対処しているという報告も出ていますが、これらのことについて
文部科学大臣はどのように思いますか。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) 率直に言って、学校現場の運営について大きな学校
教育法による学習指導要領の枠組みを
文部科学省が決めておりますけれども、そして学校給食は
先生が先ほどおっしゃった学校
教育法によってその規定があるわけですが、その具体的なやり方は
地方自治体というか
教育委員会に任されておりますね。そしてまた、その任されている中で、学校長の判断によって給食のメニューが決まってくるということです。ですから、いずれにしろ今おっしゃった三つのやり方は私は適当なことではないと思います。
それは、本来その
予算を使ってなすべき
教育の部分の
予算がそれだけ六〇%の、
先生のお言葉をかりて言えば、衣食足りて礼節を忘れた人のためにかすめ取られていると。しかし、三割、三十数%の方については、これはそういう衣食足りずに礼節を重んじようとしても重んじられない
状況であるわけですから、これは生活保護費の申請をしていただくなり、生活保護費までには至らないけれども
教育助成の申請をしていただくなりという指導をして、できるだけ他の
経費に迷惑の掛からないように、言葉を選んで言えば、
文部科学省としてはお願いをしているということでございます。
-
○小林正夫君
教育問題については、今
大臣おっしゃったように、歯がゆい問題もこれは相当含まれていますね。したがって、また別な場でしっかりこの
教育問題については論議をいたしますけど、この間出た調査結果は二〇〇五年のものですよね。それで二十二億円の未納があったとされています。これ、前年なりさかのぼって調べる必要があるんじゃないですか。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) このことがいろいろ問題になりまして、担当局で調査をしたのが
先生が今御指摘になった
数字でございます。
未履修の場合もさかのぼってというお話もございましたが、私は、未履修の問題と違って、この給食の問題は、さかのぼるよりもむしろ毎年これから調査をして、そして
現実がどう動いているのかということをしっかり把握して、そして対応をするべきだと思いますので、そのようなことを今部内で話し合っているところでございます。
-
○小林正夫君 いずれにしても、
地方自治体、
教育委員会とのかかわりが非常にこれ強いものなんですが、全国的にこういうものが発生しているという事実がありますから、
是非地方自治体とあるいは
教育委員会の方と十分な連携を取ってこれらの問題について対策を示していかなきゃいけないんじゃないかと私は思うんです。
そういう点では、前払金
制度にするだとか、まあいろんな方法があると思うんですけれども、よく国と自治体が一体となってこの問題の解決に当たっていただきたいと、このように思いますけど、この問題の解決に向けての
文部科学大臣の決意をお聞きをしたいと思います。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) 今
先生がおっしゃった徴収方法について言いますと、金融機関からの口座引き落としが七割です。それから、児童生徒が直接持ってきているのが一割、一三%ぐらいございますので、金融機関の振り込みにするのが一番、引き落としにするのが一番いいと思いますが、それ以前に本当に生活困窮者はどれぐらいなのか、これをやっぱりしっかり押さえて、その人たちの児童生徒につらい思い、恥ずかしい思い、そして仲間のうちで何となく金を払ってないのにみんなの、
先生のお言葉をかりれば、みんなの給食費をへつりながら自分は給食を食べているという思いだけは私はやっぱりさせたくないので、まあみんなが何らかの形で
経費を
負担するか、公的にそれを補てんしていくのか、子供を傷付けないように考えてみたいと思っております。
-
○小林正夫君 今
大臣おっしゃったように、この問題を放置していきますと、もう本当に公正公平な社会が崩れていって、やり得な、こんなような社会になっていくのは本当にモラルの低下につながっていくと思いますから、それと、未来の子供たちの問題であるということも踏まえて、
是非自治体と国と一体となって早急な
取組をお願いをして、この質問は終わりたいと思います。
次に、研究費問題について質問をいたします。
今日のニュースでも
厚生労働関係の研究費について事件が起きているという報道もありましたけれども、
科学技術関係経費というのは
平成十九年度
予算では総額で三兆五千七百三十三億円、こういう大変大きな計上がされております。その中で、
科学技術関係経費のうち、
科学技術振興費の
予算は一兆三千四百六十二億円になっています。調べてみますと、この
日本は巨額な
債務残高を抱えていますけれども、そして
経済状況が極めて厳しいという
状況がずっと続いているんですが、過去十年間以上にわたってずっと
増加を続けているのがこの
科学技術振興費、このようになっております。
そこで、
財務大臣にお聞きをしますけれども、この十年間で
科学技術振興費がどのぐらいの金額が伸びているのか、また伸び率はどうなっているのか、ここを教えてください。
-
○
国務大臣(
尾身幸次君)
科学技術は明日への投資でございまして、資源が乏しい国土の狭い
日本としては、この
科学技術創造立国を目指して
科学技術を発展させていくことが国家の将来のために極めて大事であるというふうに考えております。
そのような観点から、
財政事情厳しい折ではございますが、各分野で
予算削減が行われる中で科学振興費につきましては例外的に伸びを確保してきているところでございます。今のお話のとおり、この科学振興費、十年前は八千九百三十億円でございましたが、今年度
予算案では一兆三千四百六十二億円となっておりまして、過去十年間で五一%の増という
数字になっているわけでございます。
-
○小林正夫君 そのように、大変、過去十年間で五一%の
予算が伸びていると、こういう状態ですけれども、少し具体的に質問をしていきます。
総合
科学技術会議でランク付けがされておりまして、SとかA、B、C、こういうことに基づいてこの
予算が
張り付けられていると、このように認識をしておりますけれども、このS、A、B、Cとは何を
意味しているんでしょうか。
-
○
国務大臣(高市早苗君) これは優先順位付けと呼ばれておりますが、限りある
科学技術関係予算を有効に配分して活用するために、各府省が概算要求しました施策について、
科学技術担当
大臣と総合
科学技術会議の有識者議員が外部の専門家の助言を参考にしながら、その重要性と計画性の観点から総合的に判断している、まあ優先度と言うんですかね、そういったものでございます。
-
○小林正夫君 S、A、B、Cというのはどういうことを指しているんですか。
-
○
国務大臣(高市早苗君) このSというのは積極的に実施すべきもので、Aは着実に実施すべきもの、Bは
効果的、効率的に実施すべきもの、Cは内容を見直して実施すべきものということでございます。
-
○小林正夫君 Sというのは積極的に今後も進めていくということですね。
ところが、
平成十五年度と
平成十八年度を比較してみますと、Sについてが件数で九十件あったものが二十四件に減っている。金額比率でも、五三%から二八%にSという進めなきゃいけないという研究費の件数も額も減っているという事実。Bについてはいろいろ
課題もあるのでいろいろ検討しながら進めなきゃいけないという、私はそういうランクだと思うんですが、そのBのランクが件数で六十六件だったものが
平成十八年度では七十八件に伸びている。また、金額比率でも、
平成十五年一四%だったものが三五%へ増えていると。
したがって、優先順位付けの結果を反映していないんじゃないか、私はこのように思いますけど、いかがですか。
-
○
国務大臣(高市早苗君) この優先順位付けは、先ほど御
説明しましたとおりに、重要性とか計画性の観点から判断するものです。
一方で、優先順位付けの対象となる施策ですけれども、その進捗
状況によって
予算そのものは増えるものもあれば減るものもあるわけでございまして、前年度
予算に比べて
関係府省からは減額要求で来ているものであっても、やはり国の
科学技術としての重要性とか計画性を考えてSになっているものもありますし、大幅にその省から増額で要求が来ているものでも優先順位の低いCになっているものもありますので、私どもの優先順位付けというのは対前年度比で
予算を増やすか減らすかという観点で判断を示しているものではございません。
-
○小林正夫君 私にはよく
意味と理解ができませんけど、
財務大臣、問題、
課題がある、こういうBランクの
予算が大幅に増えたり、あるいは新規計上が認められている事業もあるんですけれども、中にはBランクなのに
予算が二〇%以上も
増加した事業があるんですね。これはなぜそういうような
予算の
張り付けを、
財務大臣、行っているんですか。
-
○
国務大臣(
尾身幸次君) このS、A、B、C付けの
制度は、私が二〇〇一年に小泉政権の初めのときに高市
大臣のポストにおりました。そのときに、やはり総合
科学技術会議の意見をできる限り
予算に反映すべきではないかという考え方の下に始めた
制度でございまして、全体としてはまだ試行錯誤の
状況にあるとは思っております。
科学技術調査につきましては、
一つ一つの事業につきましてその必要性とか案件としての成熟度などを精査して、国として取り組むべきものと判断するものにつきまして必要な
予算を付けるという考え方で査定を行っているところでございます。
その際、今の優先順位につきましても参考にさせていただいているところでございますが、事業の進行
状況等もありまして、この
科学技術会議における優先順位付けと
予算額の増減が必ずしも連動するものではないことは御理解をいただきたいと思います。
なお、全体として見れば、S評価を受けた事業の
予算は伸び、Cの評価を受けた事業の
予算は
削減されるなど、めり
張り付けを
強化した
予算の査定を行っているところでございます。
-
○小林正夫君
文部科学大臣にお聞きをいたします。
近年、科学研究費補助などの公募型の研究費、いわゆる競争的研究資金が大幅に
増加してきておりまして、
文部科学省の分だけでも、比較して、
平成十四年度二千六百五十六億円、これが
平成十九年度のこの
予算では三千六百八十九億円に、実に六年間で一千三十三億円の
プラスになっているんです。
ところが、そのお金が不正受給、これが世の中起きているんですね。したがって、この三年間で発生した不正受給件数、金額、返還命令をした額、これはどうなっていますか。
-
○
国務大臣(伊吹文明君)
数字をまず申し上げます。三年間で返還命令を行いました件数は二十七件、総額は五億四千二百九十三万円でございます。
-
○小林正夫君 私、大学などで研究費をきちんとチェックする体制整備をつくってこなかった、ここに大きな原因があると思うんですけれども、これは
政府の大きな責任じゃないかと思いますけれども、いかがですか。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) この系統の
予算が大きく増えたのは、やはり私は、官が直接自らの判断で研究所あるいは直轄のをやるのと併せて、当事者の選択を非常に重視するという
政策の流れの中にあったと思います。しかし、選択を許す限りは、権利を持っている者には義務がありますし、権限には必ず責任が伴うんですね。そこが
先生のおっしゃっているとおり非常に私は不十分であった、特にこの原資が
国民の税金である限りは。
私が
大臣に就任をいたしましてから、こういうことを許してちゃいかぬと。しかし、これは余り厳しくやりますと、同時に研究の弾力的執行というのを非常に阻害するんですね。ですから、むしろ、この年度というのは人間が決めた
財政当局の
予算年度ですから、ですから繰越しは弾力的に認めてあげなさいと、しかし
残高は必ず銀行証明を取らせなさいと、ある
残高はですね。そして、
先生が御指摘のように、大学ごと、研究機関ごとの競争的研究費をもらった総額を各施設ごとに必ず管理をさせて、そして、そこで失敗をしたり不正支出があった場合には、その大学というのはやっぱり次の交付の上で、大学だけではありませんが、研究施設というのは非常に不利になるよと。
だから、使いでは良くするけれども、責任を持ってもらおうという大きな枠をつくらせまして、そして
政府全体もこのやり方でやってもらいたいというんで、全体の科学
政策を総括しておられる高市
大臣にお願いをして、そして総合科学会議で、私の申し上げましたような線でこれからはきちっと見ていこうということになっていると思います。
-
○小林正夫君
文部科学省だけじゃなくて
厚生労働省にも、昨日の夜から今日の朝にかけてのニュースでも、
厚生労働省から出向している埼玉県の保健
医療部長ら三人が、
平成十三年度と
平成十四年度の研究費として交付した補助金のうち二百十万円をだまし取った疑いがある、こういう報道がされていますけど、これは
厚生労働大臣、事実
関係はどうですか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 今
委員の御指摘のとおり、当省から埼玉県に出向中の職員が
厚生労働科学研究費補助金に係る詐欺容疑で逮捕されております。しかし、その事案の
現状というものについては、現在、捜査当局によって捜査が行われているということで、私ども、知る立場にないということでございます。
私どもは、この捜査当局の捜査に対して全面的に協力して事案の解明に役立つようにいたしたいと、このように取りあえず今の段階では考えているというところでございます。
-
○小林正夫君
財務大臣、今やり取りをしていまして、要はチェック体制をもっときちんとやっていかなきゃいけないということも大きな対策の
一つだと思うんですが、これが今日でもあしたにもでき上がればいいけど、なかなかこのチェック体制をつくっていくということも、ある
意味では少し時間掛かるかも分かんない。
したがって、この体制整備ができるまで、この研究費というのは十年間にわたっても伸びてきた、また競争的なこの研究費についても不正が多く発生をしている、こういうことを考えると、より慎重な
予算計上をしていく必要が私はあると思うんですが、こういう対策ができるまでは慎重な
予算計上をしていくという、こういうことは必要じゃないですか。
-
○
国務大臣(
尾身幸次君)
科学技術振興費の中のこの競争的資金につきましては、実は世界全体の大きな流れの中でこれを増やしていかなきゃならない、つまり
日本はこの分野が非常にパーセンテージとして低いわけでございまして、これから国際競争の中で
科学技術を振興させるためにはこれを増やしていかなきゃならないというのが、総合
科学技術会議でもつい最近も提言をされているところでございます。
ですから、そういう
意味でこれについては特段の配慮をこれからもしていかなければならないと思っておりますが、しかし、この研究費の不正使用というような問題が現に指摘されているわけでございますし、現に行われているということもあるわけでございますから、これにつきましては、
国民の理解と支持をいただきながら
科学技術を発展させていくためには、この問題については厳正に対応していかなければならないというふうに考えております。
そういうことを踏まえた上で、
科学技術予算については、選択と集中という
方向でその内容の向上を図っていくために努力してまいりたいと考えております。
-
○小林正夫君 私は、無駄遣いや不正受給を許してきた自民党政治の責任は大変大きいものだと思います。そのことを指摘して質問を終わります。
-
○
委員長(
尾辻秀久君) 残余の
質疑は午後に譲ることといたします。
午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午後零時三分休憩
─────・─────
午後一時開会
-
-
○前川清成君
民主党の前川清成でございます。七日の日の総論に続きまして、今日は少し各論をお願いしたいと思うんですが。
学費が安いはずの公立高校なんですけれども、奈良県の場合、全日制の県立高校の授業料が一、二年生は十一万五千二百円、三年生は十一万一千六百円です。全日制の県立高校の生徒が
平成十七年度、二万七千八十人いらっしゃいますが、このうち二千五百五十人が授業料の免除を受けていて、四百三十八人が半減免を受けています。率にして一一%になります。この点、全国的な統計はございますでしょうか。
-
○
国務大臣(伊吹文明君)
平成十七年度の公立高校における減免
状況でございますが、減免者数は約二十三万人でございます。生徒数は二百四十六万人でございますので、全生徒総数に占める減免者数の比率は九・四%ということになっております。
-
○前川清成君 奈良県で一一%、全国で九・四%というこの割合ですけれども、高いというふうにお感じになりますでしょうか。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) これは
二つの見方があると思いますが、憲法によるとやはりその保護する子女に
教育を受けさせる義務を負っているわけですから、高校が本来義務
教育にするかどうかという議論がございますけれども、そこからすると、こういう
数字はちょっと残念だなという気がいたします。
しかし、同時に、
日本の
制度の下においては、小学校、中学校を義務
教育とし、憲法上、義務
教育はこれを無償とするということになっておりますから、高校に行っておられるというのは、その方の選択と父兄の選択ということになりますと、やや率が私は高いんじゃないかなという気もいたします。
-
○前川清成君 私は、やっぱり
格差が拡大していく中で、これだけの保護者の方々がしんどい立場にあるんじゃないかな、そんなふうに思っています。
それで、この減免の対象になる要件についてお伺いしたいんですが、保護者の当該年度の市町村民税が非課税の場合、こういうふうにあるんですが、これは具体的に金額等で御
説明願えませんでしょうか。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) ちょっと具体的に市町村民税の
所得割の非課税がどの
程度かというのは、正確な
数字を手元には持っておりませんが、公立学校の授業料の減免について各都道府県等で減免の基準が少しずつ違うと思いますが、減免対象の例としては、保護者の当該年度の市町村民税
所得割が非課税の場合、地震、水害、台風等の災害又は火災に遭い授業料の納付が困難な場合、保護者の不慮の事故等により授業料の納付が困難になった場合、特別の理由により授業料の納付が困難になった場合、こういうことを各都道府県が条例で定めておられると思います。
-
○前川清成君 この減免の要件については、三月六日そして金曜日にも二度通告しておりますので、ちょっと残念なんですが、資料を持っておられないんだったら仕方ないんですが。
私はこの点指摘だけにとどめさせていただきますが、保護者の市町村民税が非課税の場合、こういう案内だけでは実際の
教育現場にいる生徒や親に分かりにくいんじゃないか。保護者というのが、通常の場合は、お父さん、お母さん、子供という家庭の場合にはお父さんだけを指すことが多いと思うんですけれども、授業料の減免に当たって、例えばその世帯の
所得というのが勘案してないのかどうか、あるいは今
大臣おっしゃっていただいたように、特別の理由により授業料の納付が困難となった場合というのはどんな場合なのか。その
制度の適用が恣意的になってはならないことはもちろんでありますけれども、同時に、減免を受けようとしている生徒やあるいはそれを案内する
先生方に、教員の人たちに分かりやすい案内が必要ではないか、金額等も明確にした要件で各学校等に通知しておくべきではないかな、こんなふうに思っておりまして、今の質問をさせていただきました。
この
方向自体はいかがでしょうか。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) これは
先生、いずれ国会にお諮りしなければいけない
教育行政の在り方の根本にかかわってくることだと思います。
大体、公立高校というのは基本的には、政令市の市立というのはありますが、県立高校でございまして、その設置者は御承知のように都道府県
教育委員会になっております。ですから、そこでの減免のやり方というのは、これはやっぱり条例で決めておられるというのが普通でございますので、大きな枠組みのようなものは都道府県
教育長会議でお示しするということはできると思いますが、いつも悩ましいのは、
地方自治の在り方と
教育の一貫性というものとのこれはバランスの中に生じてきている問題だと思いますので、余りこれが、やっぱり
先生が御指摘のように、
地方自治という名前の下にばらばらになるというのはやっぱり望ましいことじゃございませんので、御指摘のことは踏まえながら
教育委員長会議等でお話をしてみたいと思います。
-
○前川清成君
是非、子供たちや親たちに分かりやすい要件で御案内をお願いしたいと思います。
それで、前回の速記録を読み返しますと、
大臣が私に対して、お金が掛けたところがいい学校だという
前提でお話しになっていますがという一節がございますが、私はそのように申し上げたことも、思っているわけでもございません。具体的に調べたわけではありませんが、例えば松下村塾は恐らく学費は安かったんではないかな、そんなふうに思っています。ただ、私が申し上げたかったのは、
現実の問題として、いわゆる偏差値の高い大学に進学するには私立の中高一貫校が有利であるという
現実、この点はどうですかというお尋ねをしています。
この点の御認識、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) 統計的というか、対数的な傾向からいうとそういうことが言えるかも分かりません。しかし同時に、お金を掛けていないけれども自助努力によって、まあ何がいい学校かというのは大いに私は問題があると思いますが、社会的に恵まれた、社会的に
経済面で恵まれたと言った方がいいと思いますが、大学に進学しやすいのは私立の一貫校ということもありますが、同時に
先生、例えば筑波とか学芸大附属と言われるところは決して受験の授業はいたしておりません、これは。しかし、そこも進学率は非常に高うございます。
ですから、私が御答弁申し上げたのは、決して
先生が金さえ掛ければ何でもできるよとおっしゃっている
意味で申し上げたんではないんで、その人その人の努力、学校のカリキュラムの組み方によってやり方はかなりあるんじゃないかということを申し上げたわけです。
-
○前川清成君 私も
大臣の認識と基本的に一致なんです。ただ、
現実を言えば、お金を掛ける中高が有利な立場にあるので、それをもう少し見据えた議論をしないと、公正な
教育の機会、自主的な
教育の機会というのが確保できないのではないか、こういう視点でございます。
奈良県に東大寺学園という進学校があります。六年間で授業料が四百五万九千円掛かります。西大和学園、あります。これは、六年間で四百八万七千円です。しかし、東大寺学園の場合、卒業生二百九名のうち百十三名が東大か京大に進学しています。西大和学園の場合には、三百二十一名のうち百二十二人が東大か京大に進学しています。
ですから、親としては、子供の将来を考えて、子供が勉強できるんだったら、できたら東大寺や西大和行かしたいなと、こう思うかもしれませんが、問題は、この学費だけで四百万円を超える。ここに通学費だ、あるいは修学旅行の費用だと見ますと、やっぱり一年間に百万円ぐらい掛かるんじゃないか。そうすると、月額にして八万五千円になります。一人八万五千円、二人だと約十七万円の学費、これが普通の家庭で
負担できる金額かどうか、この点、
大臣、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(伊吹文明君)
日本人の平均家庭ですね、共働きも含めて、私のイメージからすると、今の金額はやっぱりなかなか厳しい金額だなということは否定できないと思います。
-
○前川清成君
厚生労働省の方からも資料をいただきました。一世帯当たりの、
平成十五年度の統計ですが、
可処分所得、税金や社会保険料を引いてですが、四百五十五万四千円になります。月額にして三十八万円になる。この三十八万円はもちろん全額
教育費に投入できるわけではありません。食費や衣類も要ります。あるいは、
日本の場合にはどうしても住宅費が高くなります。三十五歳から六十歳まで二十五年間の住宅ローンで三千万円借りますと、今、
金利変動型で月額の返済額が十三万六千四百八十一円になります。本当に平均的な家庭でもこの中高一貫校に進学させることは非常に
負担だな、私もそう思っています。
母子家庭の一世帯当たりでの平均
所得は二百二十四万六千円になります。平均的な母子家庭であってはほぼ無理だというふうに考えてよろしいでしょうか、
厚生労働大臣。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 今
委員、ちょっと私の手持ちの
数字と違う
数字をおっしゃったんですけれども、私の手持ちの
数字は、母子家庭の平均収入で申しますと、
平成十七年の
国民生活基礎調査の結果によりますと、二百三十三万四千円ということでございまして、これで見ますと、今
委員の御指摘のような中高一貫
教育の学校に通わせることは非常に難しいと、このように常識的に思います。
-
○前川清成君 ごめんなさい。私は、
平成十七年度母子家庭の母の就業支援施策の実施
状況という
厚生労働省の資料で指摘をさせていただきました。
そこで、今度、伊吹
大臣にお尋ねしたいんですが、私立の中学校に通わせると、そのための奨学金というのはないですよね。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) 私立に通うための、高等学校ですね。
-
○前川清成君 いえ、中学校。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) 中学校の奨学金というのはないと理解しておりますが、各々の私立の中学校、小学校ごとに独自のものを持っておられる例はあると思います。
-
○前川清成君 そこで、少し大きな話になってしまうんですが、
教育再生というのを安倍
内閣、掲げておられます。この
教育再生とは何かということをお伺いしたいと思っています。特に、親の財布の重さで子供たちの未来に差が付かないと、そういうような視点というのは、この安倍
内閣における
教育再生に入っているのかどうか、
大臣にお尋ねしたいと思います。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) これは、総理が再三御答弁を申し上げておりますように、安倍
内閣の目指している
教育再生というのは、児童生徒にすべからく最低限の学力と、それから規範意識を身に付けさせる機会を平等に保障するということです。東大や京大に入れるということではございません。
-
○前川清成君 もちろん分かっているんです。それだったら、東大の定数を百万人にしないといけません。そんなことを言っていません。それだったら、もう東大なくしたらいいと思うんですけど。
そうじゃなくって、貧乏な家に生まれても、お金持ちの家に生まれても同じ条件で競争できる、そういう土台はつくれないのかという質問です。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) これは、もちろん結果の平等ということをおっしゃっているんじゃなくて、
教育条件の競争の平等ということを言っておられると思うんですが、
教育条件の競争の平等ということは、親の結果の平等ということにもつながってくるんですよ。ですから、そこのところは、競争する児童生徒には何の別に問題もない。問題というか、競争の結果、勝ち組、負け組ということはないわけですから、できるだけそれは私は
先生のおっしゃっている
方向に沿った
政策が望ましいと思います。特に義務
教育におきましては、これは憲法の規定もございますから、あらゆる場面を利用してきちっとそういうことをしなければならないんですが、義務
教育において私立を選ぶかどうかというのはその方のやっぱり選択なんですね。ですから、そこのところはちょっと問題が別だと思います。
-
○前川清成君 私は、例として中高一貫校のこと等挙げたんです。もう少し大きな視点で話をしたいと思っているんですが。
私も、結果の平等を追い求めろなんということは言っていません。しかし、機会の平等をこの国に暮らすすべての子供たちに保障しなければならないと思っているんです。そこでいう機会の平等は、だれでも願書出せば東大受けれますよという
意味ではなくて、
実質的にそれぞれが望む職業に、例えば、貧しい家に生まれた子供であってもお医者さんになりたいなと思ってそういう高等
教育が受けれる、あるいは学校の
先生になりたいなと思って
教育大学に行ける、そういう機会の
実質的な平等、これを保障するために
教育制度を改革する必要はないのかどうかと。例えばですけれども、大学入試を手を付けないのかとか、あるいは私学助成についてどう考えるのかと、そういう
骨太の議論をお願いしたいと思っていたんですが、伊吹
大臣、もう一度いかがですか。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) 大学入試
制度というのは、私はやっぱり手を付けないといけないと思いますし、今回の中教審ではどちらかというと普通
教育、高等学校までの答申を今いただいているところで、
先生がおっしゃったように、入試を含めても、大学の在り方というのは、これから中教審はもちろんですが、
教育再生会議でも私は御議論をいただけばよろしいと思います。
だれでも大学に入れるようにするということは、入試
制度や大学の在り方を検討すればできると思いますが、希望する大学にだれでも入れるということになると、これは結果の平等になってしまいますので、そこは少し、
先生もそういうことは考えているわけじゃないとおっしゃっていますから、それは広い視野から今後再生会議でも議論されると思いますし、中教審でも議論していただきたいと思っております。
今回のところは取りあえず普通
教育のところに第一次再生会議の提案も出ておりますし、中教審の土曜日の御提案も限られているということでございます。
-
○前川清成君 母子家庭の話が出ましたので少しその話をしたいんですが、先ほどお示ししました、母子家庭の母の就業支援施策の実施
状況によりますと、離婚が増えて、
平成十七年度は二十六万二千組だそうです。この結果もあって、母子世帯は
平成十五年度時点で百二十二万五千四百世帯に達するそうです。子供を育てておられる世帯が一千二百九十四万七千世帯ですから、母子世帯というのは子育て世帯のおよそ一〇%に当たります。決して少なくない子供たちが母子家庭で育っておられます。
子供の側から見て母子家庭がどれぐらいの割合だという統計は、
厚生労働省、ございますでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 全国の子供の数についての国勢調査に基づく人口推計によりますと、
平成十五年十一月一日現在で、まず二十歳未満の人口が二千四百八十八、そのうち母子家庭で育っている子供については、これは全国母子世帯等調査によりますと、同じ十五年十一月一日現在で百九十二万人ということです。
それぞれ別の調査に基づく
数字ではありますが、この百九十二万人を先ほどの二千四百八十八万人で除すると母子家庭で育っている子供の割合というものが求められますが、これを求めますと、七・七%ということでございます。
-
○前川清成君 決して少なくない子供たちが母子家庭で育っています。
それで、安倍
内閣の再
チャレンジ支援総合プラン、この中で、マザーズハローワーク、これに十九億七千万円、あるいは母子家庭就業・自立支援センターに十九億一千九百万円の
予算が付いています。マザーズハローワークというのはどういうものなのか。また、この母子家庭就業・自立支援センターとマザーズハローワークとは役割を異にするのかどうか。この点、
厚生労働大臣にお尋ねいたしたいと思います。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) マザーズハローワークは、子育て中の女性のうち再就職を希望される方について、そのニーズを十分踏まえたきめ細かな支援が必要であるというふうな認識から設置されているものでございます。
ということで、全国で十二か所、現在マザーズハローワークが設置されておりますが、これを来年度、十九年度におきましては、そのマザーズハローワークと同様のサービスを提供するマザーズサロンというもので、先ほど
委員が御指摘になられたのでしょうか、三十六県に一個ずつということでこれを拡大しようということでございます。要は、先ほど申したように、再就職を希望される方を中心として就職の支援を行っているというところでございます。
他方、母子家庭等就業・自立支援センターというのは、現在、都道府県、指定都市、中核市に置かれているわけでございますけれども、これは母子家庭のお母さん等に対しまして、就業の相談から技能講習、就業情報の提供まで一貫した就労支援サービスの提供を行うとともに、養育費の取決めなどの専門相談を行う事業でありまして、これは十五年度から実施しているということでございます。
まあイメージでございますけれども、イメージとしては非常に今、これからもう本当に一から相談に乗ってもらおうというような方の場合には母子家庭等就業・自立支援センターの方に出掛けられるのがぴったりしていると思いまして、また、かつて就労したことがあるというような母子家庭のお母さんを含めて女性の方は、お母さんたちが出掛けるのはマザーズハローワークとか新たに設置されるマザーズサロンというようなところがフィットしているということが言えようかと思います。
-
○前川清成君 これ、
二つあることで、役所によくありがちな、たらい回しにはならないんですか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) これはそういう、マザーズハローワークは、もうハローワークの言わば分店のような形で、女性の方専門のいろんな支援をしております。実際にハローワークに行きますと、お母さんが個別に相談をしているときに、連れてきたお子さんを簡単な託児所ですけれども預かってもらうということもありますし、それからまた、そのお子さんを、自分が就労した場合にどこの保育園がどういうサービスを提供しているかという情報を併せて提供するといったようなことをしているわけでございます。
他方、母子家庭等就業・自立支援センターは、これはもう自治体が主としてこれに当たっているわけでございますけれども、場合によっては
厚生労働省
関係のいろんなところと提携をするというようなことも今後当然考えていかなきゃならないことでございまして、今のところはそういったことは私として問題視しているという
状況にはございません。
-
○前川清成君 このマザーズハローワークも母子家庭等就業・自立支援センターも、いずれも母子家庭の
経済的な自立を図る上で就業支援は極めて重要というような視点で設けられていると、こう理解してよろしいでしょうか。
-
-
○前川清成君 なぜ母子家庭の
経済的な自立において就業支援というのが重要なんでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) これは、最近のこの種のサービスにつきましては、全体として、
福祉というものの中に雇用だとか就労だとかというものをできるだけ入れ込んでいこうと、こういう考え方から、今申したようなことになるというふうに考えております。
-
○前川清成君 私もブレアの
政策については存じ上げておるつもりなんですけれども、少しだけ存じ上げておるつもりなんですが。
先ほどお示しした
厚生労働省の資料ですと、実は母子家庭の母は既に八三%が就業しておられるんです。ですから、母子家庭にとって大事なのは働く場所を提供することではないのではないかと。既に八三%も就労しておられて、しんどい立場にあるんだから、違う
方向の援助が必要ではないかと思うんですが、いかがですか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 確かに私も、母子家庭のお母さんたちの就労の率は現在においてもかなり高いということで、お母さんたちが奮闘されている姿をその
数字から読み取っております。しかし、やはりなお、実際にわざわざマザーズハローワークに行きましてもそうでございますけれども、熱心に就労の機会を求めて相談に来られる方がございますので、そうしたことを引き続いてその
方向の努力をしていくということは必要であるというふうに考えております。
-
○前川清成君 その八三%のお母さんが働いておられましても、母子家庭一世帯当たりの稼働
所得、働いて得る
所得は年間百六十四万八千円です。一か月当たり十三万七千円にすぎません。働いても働いても豊かになれない。それは、同じ資料にありますが、就業しているお母さんのうち常用雇用者が三九・二%しかない。むしろこちらの方が問題ではないんでしょうか、柳澤
大臣。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) これは、やはり今の非正規雇用とされている方々の中で、圧倒的にシェアも大きい割合を占めているのはパート労働でございますけれども、このパート労働の方ではやはり大きなシェアを占めているのは女性でございます。そういう
意味合いにおきまして、母子家庭のお母さんたちの働き方と申しますか、そうしたものも時間的制約その他で、勢いパートを中心とした非正規の働き方というようなことが、自らの言わば生活あるいは時間の割り振りからいってやむを得ない選択になっておられるという面もあろうかと思いますし、
現実にそういう姿になっているということだろうと思います。
-
○前川清成君 私は、母子家庭のお母さんたちが働いても働いても豊かになれないのは、
一つには最低賃金
制度に問題があると思っています。
奈良県の最低賃金は一時間六百五十六円です。八時間働いて一日五千二百四十八円、週四十時間働いて月額十万四千九百六十円にしかなりません。フルタイムで働いて十万円少しなんです。これでは生活はできません。しかし、例えばですけれども、奈良市で三十歳のお母さん、九歳、四歳の二人の子供を持つ家庭が生活保護を受けられますと、生活保護の給付額は十九万四百四十円、およそ二倍になってしまいます。
この最低賃金
制度に問題があるというふうに、
大臣、お考えになりませんでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 生活保護は、今
委員がおっしゃられるように、すぐに生活保護というと生活保護のその費用がその生活保護世帯、対象世帯に支給されるというふうにお思いになる方、まあ実に多いんですけれども、これはあくまで生活保護基準額なんですね、基準額でございます。したがいまして、常にそうですけれども、実際の収入がある場合もありまして、生活保護基準額と収入額との差額が
現実に支給されると、こういう
制度でございますので、その点はまず踏まえて御議論をいただく必要があるだろうと、このように思います。
それから、最低賃金額との比較でございますけれども、これはまた今の生活保護世帯の、そういう角度からの話ではなくて、いろいろ生活の基盤があるない、それはいろいろありましょうけれども、そういうことを土台にして働きに出掛けていったときの最低賃金ということでございますので、それを短絡的に結び付けて御議論をされるというのはちょっと、いろんな
ケース・バイ・
ケースの判断ということもありましょうけれども、少し飛躍があるのではないかと、このように考えます。
-
-
○前川清成君 はい。時間が参りましたのでこれで終わりますが、健康で文化的な最低限度の生活、憲法二十五条が保障しています。これを
具体化したのが生活保護なんです。最低賃金で働いたら、その健康で文化的な最低限度の生活の半分という
現実を、
大臣、
是非是非お認めいただいて議論していただきたいと思います。
これで終わります。ありがとうございました。
-
○
委員長(
尾辻秀久君) 以上で小林正夫君の
質疑は終了いたしました。(拍手)
─────────────
-
-
○
島田智哉子君 民主党・新緑風会の島田智哉子でございます。
私からは、子供の
医療、
福祉についてお話をお聞きしてまいりたいと思います。
まず、赤ちゃんポストをめぐる問題に関連をしてお聞きをいたします。
既に御案内のとおりでございますけれども、熊本市の慈恵病院が、様々な理由で子育てができない親から新生児を預かる、こちらの病院ではコウノトリが赤ちゃんを運んでくる童話にちなんで「こうのとりのゆりかご」という名称になさったようですけれども、いわゆる赤ちゃんポストの設置のために熊本市に対して、昨年十二月十五日、
医療法上の施設変更許可申請書が出され、そしてまた十二月十八日に熊本市の担当者が
厚生労働省を訪ねられております。また、その後、今年の二月二十二日に熊本市長が
厚生労働省をお訪ねになって御相談なり協議が行われたと、そのように承知しておりますけれども、まず、慈恵病院の許可申請に対して熊本市よりどのような御相談があったのでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 熊本市からの相談の経緯と内容でございますけれども、今、島田
委員もお触れになられたとおり、昨年の十二月十五日に熊本市のある病院が熊本市に
医療法上の構造設備の変更許可申請を提出いたしました。また、同年十二月十八日に熊本市が
厚生労働省を訪問されまして、熊本市から児童
福祉関係法令等の解釈について相談を受けたということでございます。その後、本年二月二十二日に熊本市長が同じく
厚生労働省に来訪いたしまして、
厚生労働省に照会の文書を手交したというのがこれまでの経緯でございます。
-
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君)
厚生労働省から熊本市に対しましては、まず第一に、保護者が子供を置き去りにする行為というものはあってはならない行為だということ、しかしながら今回の申請は熊本市からの
説明を聞く限りにおいて
医療法上の構造設備基準を満たしているということ、また、今回熊本市に設置が予定されている施設は、その設置場所が病院内にありまして、そこに置かれた子供の生命、身体への危険が生じないような措置が講じられておりますことから、今回の施設の設置が直ちに
関係法律に違反しているとまでは言い切れないこと、そういったことを考えまして
医療法上の変更許可をしないこととする合理的な理由はないと考えますということを、その旨を口頭で回答したということでございます。
-
○
島田智哉子君 また、このところ、その回答を文書で出す出さないということに対して、柳澤
大臣の発言、また
厚生労働省の事務次官の発言の内容が報道されておりますけれども、少なくとも所管する法律については文書で出すべきだと思いますし、出さないのであれば出さない理由を明確にされた方がよろしいんではないでしょうか。
例えば、昨年来、大変大きな問題となっている助産師業務については、
平成十四年に鹿児島県より
厚生労働省に文書での照会があって、それに対して
厚生労働省は文書で回答を出されました。そして、それが一連の無資格助産師問題の法的解釈の根拠になっている事実もあるわけですから、この点ははっきりされた方がいいと思いますけれども、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) こうのとりのゆりかごのような施設の設置につきましては、これはもう賛否両論、様々な意見があって非常に難しい問題であると考えておるところでございまして、このため、文書で回答することによってその設置を
厚生労働省として一般的に認めたという誤解を与えるおそれがございます。そういうことから、文書を出すことは、私どもといたしましては、誤解をかえって招くということから、難しい文書を出さないでおく方がよろしいんではないかと、このように考えているということでございます。
-
○
島田智哉子君 これまで一連の報道等々を通じて、赤ちゃんポストを設置することに対して、
大臣おっしゃるように、それぞれの立場から賛否両論の意見、出されておりますけれども、しかし、
厚生労働省が違法ではないとしているのは、
医療法上の赤ちゃんポストを設置することについて違法ではないとのことであって、これがイコール赤ちゃんをそのポストに置いてもいいんだと、ややもすれば誤解を与えかねないメッセージを発信されているのではないかなと、私はそのように感じているんですけれども、その
意味で、この問題に対する
大臣の記者会見での御発言を発言録を通して読ませていただきましたけれども、とても分かりづらい、なかなかメッセージが伝わっていないと思います。
例えば、二月二十三日、柳澤
大臣が記者会見で述べられたのは、従来も話題になった直後にお話ししたことがあったと思うのですが、そういうことをやってくださることによって失わなくてもいい小さい命が生を継続できるという非常に良い有り難い面がある一方で、そういうことがお母さんなりお父さんなり、子供をほかにゆだねてしまうということを助長するという懸念はないのかというような
二つの面でいろいろと考えなければならないことがあるとこういうことなんですね、しかし今度のことはそういう法律的な検討をしたということで、そういうことを受け入れる改造というか改修そのものについて何か法律上問題があるかと言えばありませんと、こういうことを申したとこういうことです、ですから多分そういうことであれば、そのこと自体が法律違反ということでなければ前向きに進んでいくであろうとこう思うんですけれども、我々としては慎重にその推移を見ていきたいと思っておりますと。
国民に対して非常に誤解を与えるメッセージになったと思われないでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 今、島田
委員がお読みいただいた私の発言ですけれども、私は今考えてもそのとおり自分の頭の中に、別に違和感なく入ってまいります。どこがどういうふうに誤解を与えたのかと、ちょっとよく
委員の御指摘の点が、私にとっては理解がちょっと難しいわけでございます。
-
○
島田智哉子君 そうですね、あくまで
医療法上施設変更に対して許可を出すということであって、そこに赤ちゃんを置き去りにするすべての行為まで法律で認められる、すべてが許されるということではないと、そのところをまず明確にする必要があるんではないかなと思うんです。
そこで、改めて柳澤
大臣にお聞きします。
今回のこの慈恵病院が熊本市に申請をした施設変更許可申請に対して、熊本市がそれを許可することについて、
医療法上あるいは児童
福祉法、児童虐待防止法に違反するのかしないのか、この点について
厚生労働大臣より御答弁ください。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) その施設の設置申請そのものについては
医療法上問題がないということを申したに尽きるわけでございまして、その施設をどのように御使用になられるかということにまで踏み込んで判断をしたものではないというのが、
厚生労働省の見解ということになるわけでございます。
-
○
島田智哉子君 それは、あくまで
医療施設の変更を許可するということのみの解釈でよろしいでしょうか。
-
-
○
島田智哉子君 それでは、その施設に赤ちゃんを置き去りにすることについては、これはまた別の問題だということ、確認させていただきたいと思います。
法務
大臣にお聞きいたします。刑法上の保護責任者遺棄罪について御
説明ください。
-
○
国務大臣(長勢甚遠君) 刑法第二百十八条に保護責任者遺棄罪というものが規定をされております。すなわち、老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは三か月以上五年以下の懲役に処するというものでございまして、幼児や病気の人など保護を必要とする人を保護する責任のある者がこれらの者を保護のない状態に置くことによって、その生命、身体を危険にさらすことを処罰する罪と、こう考えております。
-
○
島田智哉子君 そして、その許可の下設置された施設に赤ちゃんを置き去りにした場合、その場合において保護責任者遺棄罪が成立しないということになるんでしょうか。法務
大臣にお聞きいたします。
-
○
国務大臣(長勢甚遠君) この赤ちゃんポストの具体的な仕組みあるいは実際の運用というものが具体的には承知をしてないわけでございますが、一般的に申し上げますと、このいろいろないい悪いの問題はあるかもしれませんけれども、刑法上の問題に関して言えば、赤ちゃんポストに乳児を置き去りにしてもおよそその生命、身体に危険を生じさせるおそれがないということであれば、この罪の成立というものは認められにくいのではないだろうかというふうに考えます。
ただ、具体的に犯罪がどうなるかと、成否については事実
関係に基づいて捜査機関において判断することでございますので、先ほど申しましたように、実際の運用等を見極めて捜査機関において判断されることでありますので、私から具体的な結論を申し上げることは差し控えさせていただきます。(発言する者あり)
-
-
-
○
島田智哉子君 法務
大臣は赤ちゃんポストについては余り御存じないということでございましたけれども、ちょっとそれは意外でしたけれども、今の法務
大臣の御答弁は、逆に言いますと、法と証拠に基づけば保護責任者遺棄罪になり得る
ケースもあると理解させていただきました。それでよろしいですよね。
-
○
国務大臣(長勢甚遠君) 赤ちゃんポストの考えられている仕組みの概要はもちろん存じ上げておりますけれども、私が申し上げましたのは、そのとおりに運用されていくかどうかはこれからのことになるんだろうと思うんです。したがって、先ほど言いましたように、予定されている運用によれば、それによって生命、身体に危険を生じさせるおそれが認めにくいのかなということは一般論として申し上げたわけでございますが、御説のように、運用によってはそういう危険を生じさせるというようなことが事実として捜査機関によってはっきりしておれば、いわゆるこの遺棄罪の要件に該当するということは全くないということはないだろうとは思います。
-
○
島田智哉子君 では、
厚生労働大臣、お聞きいたします。
同じく、その許可の下設置された施設に赤ちゃんを置き去りにした場合、
ケースによっては児童虐待防止法など児童
福祉関係法規について違法行為になるということもあり得るという理解でよろしいでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) そういうことでございますけれども、例えば子供を置き去りにするという行為は児童の遺棄でありまして、児童虐待防止法第二条に定める児童虐待、すなわち児童の心身の正常な発達を妨げるような長時間の放置、その他の保護者としての監護を著しく怠ることに当たる場合があると、場合があるということです。だから、今法務
大臣もおっしゃられたように、いずれにしても、こうした法律違反か否かの判断については、具体的な個別の
ケースごとに行われるというふうに申し上げているわけでございます。
-
○
島田智哉子君 厚生労働省はこれまで、違法とは言えないとおっしゃってきたことは、あくまでも
医療施設の設置の問題のことであって、そこに赤ちゃんを置き去りにすることまでもすべて違法ではないとおっしゃっているのではないということを確認させていただきます。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 今、島田
委員が非常にうまくおっしゃっていただいたと思います。そういうことです。我々が言っているのは、この施設をすること自体が
医療法上の違反に当たるかどうかということについては、そういうことはありませんということを申し上げているわけで、行為についてはもう個々の
ケースによるだろう。一般論としては非常に安全というか、そういうことに配慮された施設であるということは言えると思いますけれども、ですから、何というかここに置いていかれることがもうすべてにわたって法に、行為法ですね、いろんな児童
福祉法とかあるいは場合によっては刑法とかといったものに当たるということはありませんよとまでは言えませんと、こういうことを申し上げているわけです。
-
○
島田智哉子君 なかなか分かりにくいので、熊本市に対してもやはりこれは文書で
是非お答えしてさしあげてほしいと私は思います。その上で、その子供の命を守るためにどうあるべきかを考えなくてはならないと思うんですけれども、
現実の問題として、子供を遺棄する事件というのは毎年数十件、そのうちの数人の子供たちは小さな命が奪われていることも事実です。
報道によりますと、総理は、基本的にそういうお子さんたちに対応するための施設もある、匿名で子供を置いていけるものをつくるのがいいのかという御発言をされたということであります。しかし、匿名でしかどうしようもない、精神的にも肉体的にも傷付いている場合もある、そういう
状況の中で出産をしなければならない女性がいるという
現実があることも事実です。そうした場合に、では公的機関が対応し切れているのかどうか、その点について、この問題を契機として国としてもしっかりと考えていかなければならないんじゃないでしょうか。
柳澤
大臣、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 児童
福祉法の三十条ですけれども、「保護者は、
経済的理由等により、児童をそのもとにおいて養育しがたいときは、市町村、都道府県の設置する
福祉事務所、児童相談所、児童
福祉司又は児童
委員に相談しなければならない。」と、こういうふうに規定をされているわけでございまして、総理がおっしゃっていることもそのラインでおっしゃっているというふうに私は解しておりますし、我々も同じでございます。
しかし、今、島田
委員がおっしゃられるようなことが
現実に起こっているということでございますので、それについては今御提案のありましたような更に検討すべきことがないのかといったようなことについて、私どもは考えていかなければならないと、このように考えます。
-
○
島田智哉子君 是非とも、傷付いた女性の方々のお気持ちをもっと深く考えていただきたいと思います。
また、生まれてきた段階で
格差があってはなりませんし、子供の命を守るということも最優先に考えていかなければならないと思います。
また一方で、望まない妊娠を防ぐということ、特に未成年の若い人たちについては、これは社会として、国としても支援が必要であって、それはもちろん
教育の在り方が大きな要素でありますでしょうし、また、その予防対策についても欧米諸国に比べてかなり遅れているのが
現状だと思います。
男女共同参画担当
大臣のお立場から、高市
大臣の
現状の御認識をお聞かせください。
-
○
国務大臣(高市早苗君) 十代の方の中絶が年間約三万件と聞いております。この望まない妊娠を予防するということは、まず大変重要だと思っております。
男女共同参画基本計画、第二次でございますけれども、こちらに、発達の段階に応じた適切な性
教育を進めること、それから避妊のための知識等の普及を図っていく必要、これを明記いたしております。現在、
文部科学省と
厚生労働省におきまして、それぞれ
教育の面、知識の普及等、
取組をしていただいていると思います。
この
男女共同基本計画に基づいて、各省庁でのお
取組というものは私どもの方でこれからもずっとフォローアップをしてまいります。
-
○
島田智哉子君 我が国の
政策上、その予防対策に取り組んできている経緯があることは承知をいたしております。しかし、果たしてその
効果がどうなのかと。十代の人工妊娠中絶について、統計上と実態には大きな乖離があるという指摘も多々ございます。
そうした予防対策につきましても、我が国よりも一足先に十代の性行動の活発化や妊娠が問題になっている多くの欧米先進諸国においては様々な予防対策が行われ、その
効果についても明らかになってきているわけですから、そうした諸外国の例も参考としながら、いま一度
政策の見直しを行う必要があるのではないかと思うんですけれども、柳澤
大臣の御見解をお聞かせください。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 十代の妊娠中絶実施率につきましては、今、高市
大臣もお触れになりましたけれども、この減少を目標として
厚生労働省におきましては
取組をいたしているところでございます。
具体的な施策として申し上げるといたしますれば、それは第一に、思春期のクリニック事業、思春期男女に対して医師等が妊娠等に関する相談に応じるという事業でございます。それから、妊娠について悩んでいる者に対する相談、援助事業、これも助産師等による情報提供、アドバイス、カウンセリングでございます。それから、女性の健康支援センター事業でございまして、これは保健師等によっていろいろな女性の健康に関する相談、指導を行う事業でございまして、こういうものを展開して、医師、助産師等による相談、指導の実施を支援しております。
今後ともこうした支援によりまして思春期の保健対策に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
-
○
島田智哉子君 それでは、次に参ります。周産期
医療についてお聞きいたしたいと思います。
先週も南野
委員から御質問がございましたけれども、昨年、奈良県のお母さんが分娩中に意識不明となり、十九の病院から搬送を断られ、赤ちゃんを出産した後にお亡くなりになったという誠に痛ましい事件がございました。亡くなったお母さんの命を無にしないためにも、周産期
医療体制の整備に努めていかなくてはならないと思います。
まず、高市
大臣より、
男女共同参画担当
大臣のお立場から周産期
医療体制の
現状の御認識をお聞かせください。
-
○
国務大臣(高市早苗君) 大変残念ながら、私の出身県であります奈良県も含めて、周産期
医療ネットワークが現時点で未整備の県が八県ございます。奈良県におきましては、
平成十九年度に
予算計上もして、必ず整備をするということなんですけれども、これらを
平成十九年度までに全都道府県で達成するように推進するということで、これはもう子ども・子育て応援プランにも書き込まれておりますし、国の方でも各県に連絡を取りながらプッシュをしているところでございます。
とにかくこの妊娠と出産の安全性確保というのは非常に、私の取り組んでおります
男女共同参画の立場からも、
少子化担当の立場からも大切な点でございますので、
男女共同参画基本計画にも明記されております。きっちりとした体制整備を私の方もチェックしてまいりたいと思っております。
-
○
島田智哉子君 ありがとうございます。
我が党の前川議員から私お聞きしたのは、奈良県の県南の方でしょうか、かなり病院が閉鎖されているという事実もあるということで大変な
状況だと思うんですけれども、今回の奈良の
ケースにおいて、亡くなられたお母さんの搬送を断った病院の多くがNICUが満床であったことを理由としておりました。出産数が減少している
現状の一方において、体重が小さく生まれてくる赤ちゃんが増えております。また同時に、NICUへの入院を必要とする赤ちゃんも増えております。さらに、人工呼吸器による長期の管理が必要な子供たちの中には、そうしたNICUに長期の入院を余儀なくされている子供たちが決して少なくございません。
私が議員になりましてから、こうした子供たちのQOLの向上を図るという観点から、その後方支援施設の整備について
厚生労働委員会などでも求めてまいりました。しかし、当初、
厚生労働省の問題意識は必ずしも深くはなかったというのが率直な印象でございました。そうした中で、本院
厚生労働委員会において昨年、
医療制度改革での附帯決議において、NICUの確保とともに、その後方支援施設の整備についても併せて付されたわけですけれども、その後
厚生労働大臣に就任された柳澤
大臣からかなり踏み込んだ御答弁をいただきました。
その後、具体的にどのような検討なり御対応をいただけたのか、柳澤
大臣よりお聞かせいただきたいと思います。
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○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 島田
委員から非常に御熱心にNICUの
状況あるいはその後方支援のための施設の
状況等について御指摘をいただきました。人工呼吸による長期の管理が必要な子供など、NICUに長期入院している患者がどうも多い。NICUの後方支援施設を含めて、その稼働率が低下しているという
状況もいろいろと指摘をされているわけでございます。
この問題も母子の生命を救いたいという必死の治療の結果として起きる問題でありまして、
医療技術の進歩や生命倫理にかかわる非常に難しい問題でございます。こうしたことから、現在、各都道府県に対してNICUの充足
状況や後方支援の実態などを把握するための調査を実施しておる、この調査結果を踏まえて私どもとしては必要な施策を検討してまいりたいと、このように考えております。
-
○
島田智哉子君 これは、単に直接担当部局である雇用均等・
児童家庭局のみならず、障害
福祉あるいは医政局など全省一体となった
取組が必要であって、必要
予算の確保についても積極的な御対応をお願いしたいと思いますが、重ねて柳澤
大臣、お願いいたします。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 今御指摘のとおり、このNICUも周産期
医療体制の一環だというふうに思いますので、単に雇・児局ということでなく、医政局等もしっかりとコミットした形でいろんな施策を考えてもらいたいという御指摘は大変もっともな御指摘だと、このように考えます。
先ほど申したように、調査の結果を踏まえて必要な施策について検討をしてまいりたいと、このように考えます。
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○
島田智哉子君 最後に、重症心身障害児施設についてお聞きをいたします。
NICUから退院した子供たちの中には、引き続き人工呼吸器による管理を必要とする状態で重症心身障害児施設に入所している
ケースがございます。しかしながら、その実情として、NICUに比べて診療報酬上においてまだまだ相当に大きな
格差がございます。もちろん、同じにすべきということでは決してございませんけれども、その施設との連携を必要とされている中で、今後、実態に即した御対応がいただけますように御要請させていただき、最後に柳澤
大臣の御見解をお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
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○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 重症心身障害児施設に対する診療報酬上の更なる評価ということでございますが、これにつきましては、その他の病院での診療報酬とのバランス等も考慮する必要がありまして、まずは
関係者の御意見をよく伺いますと同時に、中医協でも御議論をいただいて、慎重に検討をしてまいりたいと考えております。
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-
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○櫻井充君
民主党・新緑風会の櫻井充です。
まず最初に、冒頭、政治と金の問題についてお伺いしたいと思いますが、良識的である塩崎官房長官にまずお伺いしておきたいと思いますが、政治資金の報告書の中で、本来一円も掛かっていないと、一般論でお伺いしたいんですが、ゼロ円と計上すべきところに数百万円を計上した場合というのは、これ、適切でしょうか不適切でしょうか。
-
○
国務大臣(塩崎恭久君) 今の
先生の
前提条件がいま
一つよく分からないものですから、何ともお答えしようがないなという感じがします。(発言する者あり)いや、ゼロ円というのがどういうことを言っておられるのかよく分からないものですから、もう少し詳しく言っていただくと言いようがあるかなと思いますが。
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○櫻井充君 例えば、項目立ての中で計上すべきものが何もないと、一般的に言うと。その場合はゼロ円と計上することになりますね。例えば、そういうものでありながら、例えば数百万円というふうに計上したような場合には、これは収支報告書上はこれは違反になりますよね、問題がありますよね。
-
○
国務大臣(塩崎恭久君) 我々政治家は、政治資金規正法にのっとって、そこに書いてあるとおり公開をすると、報告をするというのが我々の仕事、責務だというふうに思っています。
-
○櫻井充君 済みません。こんなことで時間食いたくないんで。
そのもの自体をきちんと書いていなければ、それは適切か不適切かとお伺いしているんですよ。ですから、本来何も掛かっていないというものに対して数百万円ということを計上された場合には不適切ではないんですかと一般論でお伺いしているんです。
-
○
国務大臣(塩崎恭久君) 一般論として申し上げれば、我々の政治活動に掛かった費用などについて、あるいは集めた政治資金について、法律にのっとって適切に開示をするというのが法律に基づく政治資金規正法の精神だというふうに思っております。(発言する者あり)
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-
-
○櫻井充君 松岡
大臣にお伺いしますが、松岡
大臣のところの議員会館の水道代というのは、だれが一般的に
負担しているものですか。
-
○
国務大臣(松岡利勝君) 議員会館の水道代とおっしゃいましたですよね。それはこの前、参議院事務総長にお尋ねで確認をされておられたと思いますが、
民主党の方が。私もそのとおりだというふうに思っております。(発言する者あり)いや、それは参議院であれば参議院、
衆議院であれば
衆議院が
負担しているというふうにお伺いをいたしております。
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○櫻井充君 それでは、電気代はいかがでございましょうか。光熱費はいかがでしょうか。
-
○
国務大臣(松岡利勝君) 電気代も同様だというふうにお伺いいたしております。
-
○櫻井充君 塩崎官房長官は、一般論ではお答えいただけないと、具体論ならということでございましたので、今のように(発言する者あり)いや、そのように、理事の協議はそうなっていますよ。要するに、水光熱費そのもの自体が、本来はゼロ円で計上されているはず、ゼロ円で計上しなきゃいけないものに対して数百万のお金で計上されているのは、これは不適切なことではないんでしょうか。
-
○
国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、政治資金規正法にのっとって我々は正確に報告をするというのが政治資金規正法の趣旨であって、それにのっとってやられているものが我々の報告であるはずでございます。
-
○櫻井充君 それでは、政治家が虚偽記載をした場合には政治家の行動として不適切だと思われますか。
-
○
国務大臣(塩崎恭久君) 虚偽記載は法律違反であります。
-
○櫻井充君 仮にそういう虚偽記載をしている方がいたとすればです、これは仮定の問題ですが、その場合には
大臣としてふさわしいと思われますか。
-
○
国務大臣(塩崎恭久君) 仮定の問題には答えられないというところでございます。
-
○櫻井充君 もし、仮に国会で虚偽の答弁をされている場合には、法律上何か問題があるんでしょうか。これは法制局です。法制局。
-
○
政府特別補佐人(宮崎
礼壹君) ごく一般論としてお答えいたしますが、
国務大臣は、憲法第六十三条に基づきまして、議院で答弁又は
説明のため出席を求められたときは出席しなければならないという義務が課せられておるところでありまして、出席をする以上は国会におきまして誠実に答弁をする責任を負っていることは当然であるというふうに従来も述べております。
他方、
国務大臣がさきに申し述べたような義務に違反した場合にどのような責任を負うかにつきましては、憲法上、特段の規定が設けられておりません。
-
○櫻井充君 そうすると、ちょっと確認しておかなきゃいけないんですが、この場で虚偽の答弁をされてもいいということになるんですか。
-
○
政府特別補佐人(宮崎
礼壹君) お尋ねの問題につきましては、国会でのやり取りの問題でございますので、やはり国会におかれて御審議、御議論されるべき問題であるというふうに承知しておりまして、私どもとしてお答えする立場にはないと存じます。
-
○櫻井充君 ちょっと確認だけしておきますが、結局、それを規定している法律なり規則なり、それは存在しないということなんでしょうか。
-
○
政府特別補佐人(宮崎
礼壹君) お尋ねは、国会における虚偽の答弁そのものについて、これを直接法律的に責任を問うという法律があるかということだと思いますが、それは今のところ見当たらないということでございます。
-
○櫻井充君 まあこれは今初めて分かったことで、立法不作為、我々に、これはきちんとしていかなければいけないことなんだなと。そうでないと、何を自由に発言しても結果的にいいということになってしまいますので、そこは我々考えていかなければいけないことだと、そういうふうに思います。
次に、
規制改革会議についてお伺いいたしますが、先日もお伺いいたしました。二月十五日付けで、
教育委員会制度の抜本的見直しに関する
規制改革会議の見解に関して、その際に、言わばメールのやり取りで、渡辺
大臣はこれは不適切ではないというふうにおっしゃっておられましたが、不適切でないという法律的な根拠を教えていただけますか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 前回もお答えいたしましたが、この会議は非公式の会議であります。議決をしたわけではなくて、議論のプロセスの中で見解を表明したにすぎません。したがって、こういう議論の途中の見解を発表するのにメールあるいは電話でのやり取りを行ったということでございます。
-
○櫻井充君 メール等でやり取りをしたことは分かっております。それが許されるという法律的な根拠を教えていただけますか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 詳しい話は会議令というものに規定をしてございまして、そういったものに照らして不適切なことはないということでございます。
-
○櫻井充君 本当にそうでしょうか。
これは
平成十一年四月二十七日の閣議決定、審議会等の整理合理化に関する基本的計画の中で、審議会等のところに、審議会等としての意思の決定は、原則として、総会における総合的な審議を経た上で、総会の議決により行うものとすると、そう明文化されていますが、違いますか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君)
規制改革会議は議論の過程をできるだけ透明に公開をしていこうということでやっております。したがって、正式の議決を経るものではなく、中途、途中経過の見解についても公表をしたものでございます。
-
○櫻井充君 これは、見解というのは一体、じゃ法律上どういう位置付けになるんですか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 議論の途中のおおよその一致した意見を取りまとめたものでございます。
-
○櫻井充君 これは意思決定とは違うんですか、審議会の意思決定とは違うんですか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 議決事項ではございません。
-
○櫻井充君 見解と意思決定は違うのかどうかをお伺いしているんです。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 議決の必要な意思決定ではございません。
-
○櫻井充君 議決が必要な場合の意思決定の場合にはどういう形で表明されるんですか。
-
-
○櫻井充君 そうしますと、もう
一つ、審議会の下には下部組織を置くことができることになっていますが、その下部組織に今回のワーキンググループは当たるんでしょうか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 細かい話はなかなか私の得意とする分野ではないのでございますが、ワーキンググループは下部組織と言って言えなくもなかろうと思います。
-
○櫻井充君
大臣、この間も申し上げましたが、
規制改革会議ってかなりの権力を今持っているんですよ。そこのところの運営そのもの自体がでたらめになっているから、だから
一つ一つチェックしたいと申し上げているだけの話なんですよ。
もう一度お伺いしますが、じゃ、審議会は下部組織を置くことができますが、それは何ですか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) ワーキンググループでございます。
-
○櫻井充君 ワーキンググループとはどこに書いてあるんでしょうか。私の持っているものにはそう書いてございません。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 会議令というのがございまして、そのまた下の、議長が作りました会議のルールというものがございます。そういったルールに照らしてワーキンググループは認められるということでございます。
-
○櫻井充君 分かりました。済みません、それは法律上のどこに書いてあるのかだけ教えていただけますか。私が調べたものですと、審議会等の組織に関する指針の中では、下部機関として、分科会、それから部会等を設置することができると書いてありますが、ワーキンググループに関しては記載がありませんが。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) これは、
規制改革会議が
平成十九年一月三十一日付けで決めました
規制改革会議の運営方針に照らして、不適切ではございません。
-
○櫻井充君 分かりました。
では、もう
一つお伺いしたいのは、一月の二十六日にワーキンググループの会合が持たれていると。しかし、これは公式的なものではないけれどもこういう会合が持たれているという認識でよろしゅうございますか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 公式的なものではございません。あくまでも非公式の勉強会であります。
-
○櫻井充君 この非公式の勉強会だからこそ、ここの中で会長の秘書の方まで会議の中で発言してもいいということになるんでしょうか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 非公式の勉強会でございますから、非公式な運営ルールでやっております。
-
○櫻井充君 これは再生会議に対して意見言うために、こういう非公式な会合をある場所でやっているわけですね。しかも、そこの中で
関係のない人まで出てきて話もして、多分それを取りまとめたことになるんでしょうね。
ここの中に事務局が来ているんですよ、事務局。この事務局というのは一体だれでしょうか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 私がその場にいたわけじゃございませんので、分かりません。
-
○櫻井充君 ここの事務局というのは相当詳しい方で、一般的にこういう会議の中の事務局というとここの担当官ではないのかなと、私はそう思いますけれども、もし仮にこの事務局そのもの自体が公務員であったとすれば、これは問題がありますか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 非公式な勉強会でありますから、あくまで非公式でございます。
-
○櫻井充君 この非公式な会合に関して、もし事務局として官僚が出席しているような場合には、これは不適切ですか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 非公式な勉強会に官僚が出席しちゃいけないんでしょうか。
-
○櫻井充君 非公式な会合に官僚が出席していい理由は何ですか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 非公式な勉強会になぜ官僚が出席してはいけないんでしょうか。
-
○櫻井充君 これは反論権ありませんから、まず先にこちらの質問に答えてください。(発言する者あり)
-
-
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 非公式な会合である以上、問題ないと思います。
-
○櫻井充君 それは国家公務員法に抵触しませんか。
-
-
○櫻井充君 その根拠となる法文、条文はどれですか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 抵触するというのであれば、その根拠はどういうことでしょうか。(発言する者あり)
-
-
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 非公式な勉強会でございますので、服務規程に違反はしないと考えております。
-
○櫻井充君 服務規程に、職務に専念する義務というのが国家公務員法の百一条に定められておりまして、職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用いと、こういうふうに明言されていて、実は、非公式の会合に本人自らの意思で行くことはできないんですよ、実は。そうすると、もしその方が、
大臣がおっしゃるとおり行っても違反でないということになるとすれば、だれがそこに行ってもいいという許可を下ろしたんでしょうか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 私がその場にいたわけではございませんので、聞いておりません。
-
○櫻井充君 まあいいです。これは、いや、もう本当にがっかりしました。
私は、何でこんなことをやっているかというと、何回も申し上げますが、正式な会合も開かずにどんどんどんどんコメントを出してくる。行政手続上全部法律で決まっている、規則で決まっている違反をどんどんしながら、こんなことが許され続けること自体が私はおかしいと思っています。
この
規制改革会議は、
教育委員会制度の中で閣議決定違反であると、そういうようなコメントも載せておりますね。しかし、昨今の
教育委員会の法令無視、閣議決定事項無視のゆゆしき現況をかんがみればと、こんなことを書かれていますが、
規制改革そのもの自体が閣議決定無視のことを私はやり続けていると思っていますよ。その上で、この
規制改革会議の中の見解の閣議決定無視とか、その点は一体何のことを指しているんでしょうか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) この記述は二月十五日の見解に出てくるものでございますが、昨年の十一月に
内閣府が公表したアンケートによって明らかになった実態を指摘したものでございます。
-
○櫻井充君 具体的に教えていただけますか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 例えば、学校
教育法施行規則第三十三条では、市町村の
教育委員会は、中略でございますが、その指定した小学校又は中学校を変更できる場合の要件及び手続に関し必要な事項を定め、これを公表するものとするとされています。しかし、アンケート結果によれば、公表方法など必要な事項を想定していないし、公表する予定はないと回答した市区
教育委員会が百七もございました。
-
○櫻井充君 これに対して、伊吹文部
大臣はどうお考えでございましょう。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) 我が国は法律によって各省の所管業務が決まっておりますので、私が所管している業務について私が全く存じないところでいろいろ調査が行われてなされたコメントについては、私はお答えすべき立場にはないと思います。
-
○櫻井充君 それは、なぜ答えることが、必要性がないということになるんでしょうか。要するに、コメントをするに値しない内容だということですか。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) 普通は、この種の調査をする場合は、やはり所管
大臣にこれこれの調査をするということをまず了解を得るのが普通の規制ではないでしょうか。それは緩和されたのかどうか分かりませんが、私はその点について何も伺っておりませんので、その内容について具体的に法令違反があるないとおっしゃられても、その内容を承知する立場にはないということを申し上げているんです。
-
○櫻井充君 今の
文部科学大臣の御所見に、御答弁に対して、渡辺
大臣はいかにお考えでしょう。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 昨年十一月の時点で、私、
大臣でございませんので、コメントのしようがございません。(発言する者あり)
-
-
-
○
国務大臣(渡辺喜美君)
規制改革会議として、ずっと
教育問題については議論を積み重ねてまいっております。したがって、その中でこうしたアンケートを実施したわけでございまして、その結果、全体の一五%の市区
教育委員会が先ほど申し上げたような実態にあったということでございます。
-
○櫻井充君 答弁になっておりませんね。今のは行政手続上の問題として問題があるんじゃないかということを伊吹
大臣は申し上げているわけであって、行政手続上、瑕疵があるとは思いませんか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君)
内閣府としてあらかじめ文部省と協議しなければならないというルールにはなっていないと承知いたしております。
-
○櫻井充君 改めてお伺いしますが、じゃ行政手続上、瑕疵はないということですね。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) そのとおりでございます。
-
○櫻井充君 伊吹
大臣、私は瑕疵があると思いますが、
大臣、いかがですか。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) 私は、瑕疵があるとは御答弁はしてないんですよ。普通は、各省の所管事務というのは法令で決まっているわけで、
内閣府というのは、かつ
規制改革会議は、各省のことについて調査することはできるという規定はあります。ただ、普通の大人の社会の常識からすれば、そういうものは当然、担当
大臣に一応了承を取っておやりになるものでありますから、了承を取っておやりになればその結果についてこちらも聞かねばならないし、そして聞いたことについて
先生から御質問があればお答えを当然国会でするんですよ。
ところが、私の知らない間に調査をされて、そしてそのことについて重大な瑕疵があるということについてどうだという御質問がありますから、私は法律違反だとか、何というか、文科省に聞かねばならない行政上の手続がおかしいとか言っていることじゃなくて、ちょっと大人の対応ではないなということを申し上げているんです。
-
○櫻井充君 それでは、大人の対応でないやり方で出てきた文書を
大臣はごらんになっていますか。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) 私は、そのことについて担当の課長や何かと打合せをしておられるようですから、その大体の概要は伺っております。
-
○櫻井充君 このような位置付けの中での見解を出すためにるる時間を取ったり、それから会議を開くという価値があると、官房長官、お考えでしょうか。
-
-
-
○
国務大臣(塩崎恭久君) そのとき
意味があるからアンケートを取って、この
規制改革会議の議論に供しようと、こういうことでおやりになったんではないかというふうに私は聞いていて思いました。
-
○櫻井充君 ちょっと悲しいんですけれども、僕、そういう答弁しかされないと。
もう
一つ触れておきますが、実は第二回の
規制改革会議、二月の二十三日に行われている中で、議事概要の中で福井
委員から、二月の十五日のことに関しての補足
説明がなされているんですよ。なぜこれは補足
説明がされているかというと、ほかの
委員の方はよく知らないからです。よく知らない中で補足
説明をこういう形でしているんですね。真っ当な会議のやり方ですか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 補足
説明というのは、一回目の見解ですね、これを更に
具体化したものであるということでございます。だから
説明をしたんだと思います。
-
○櫻井充君 非公式な会議で議論されていたのは昔からのメンバーであって、新しい方は全然知らないんですよ。だから、そのことについて補足
説明してほしいということで
説明しているはずですよ。
大臣ね、官僚にコントロールされるようなつまんない
大臣になんないでくださいね。その点だけお願いしておきますから。
もう一点申し上げておきますが、
規制改革会議の方々が、メンバーが各省庁に行って直接交渉することもあるんでしょうか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 会議令では、行って議論をするというよりは、集まって議論をすることができるようになっているはずでございます。
-
○櫻井充君 確かに規則上は、その何かを、意見を求めてそういう形でやるということになっているはずなんです。ところが、各省庁に乗り込んでいって、そしてそこのところで恫喝している
委員もいらっしゃるんですよ。これは越権行為に当たりますか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) そういう例は寡聞にして聞いておりません。
-
○櫻井充君 それでは、
制度上の解釈だけお伺いしておきますが、そういう各省庁に乗り込んでいって議論するということはできないことになっていますね。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 会議令では、意見を聴くことができるはずでございまして、恫喝はよくありませんが、意見を聴くことはできるはずでございます。(発言する者あり)
-
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 場所についてのルールの取決めはございません。
-
○櫻井充君 もう
一つ、今度は
規制改革の中の特区のことについてですが、LECの大学が改善勧告を受けたかと思いますけれども、この認可に関して
文部科学省は、ちょっと問題があったんじゃないかという答弁いただきました。
規制改革、まあ
内閣府としてその点についていかがお考えでしょう。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 特区法に定める要件に適合しているかどうかを判断し、
文部科学省の同意を得て認定をいたしておりますので、認定の手続は法令にのっとっていると承知をいたしております。
-
○櫻井充君 この当時、これはホームページに掲載されていますが、審査期間の短縮だけではなくて、手続の簡素化、大学設置、それから学校法人の審議会の関与の排除等、LEC社の要望に対して
文部科学省が相当難色を示していたと、それが見て取れますが、そしてしかも、その再検討要請まで行って、なぜこういうことを急がなきゃいけなかったんでしょうか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 第三次特区提案において、
平成十六年の四月から株式会社立の大学の開校を可能とするための提案がなされたわけでございます。
内閣府としては、こういう提案をできるだけ
実現をしていこうというのがミッションでございますから、計画の認定時期についてできるだけ早くということで検討を行ったと聞いております。
-
○櫻井充君 要望が上がったというお話ですが、こちらの社長は、折々、
内閣府から頼まれたから大学をつくったというコメントをされていますが、いかがですか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 承知いたしておりません。
-
○櫻井充君 それでは、この当時の特区室の責任者は一体だれになるんでしょうか。私は、これは質問通告してあります。特区室と、それからこちらのLECとのやり取りを全部出してほしいと言ったのにもかかわらず、全く資料が出てこなかった。だれですか。
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 存じ上げません。(発言する者あり)
-
-
-
○
国務大臣(渡辺喜美君) 今、調べております。(発言する者あり)
-
-
-
○櫻井充君 それでは
委員長に、資料請求ということでお願いしたいと思います。
このLECと、それから特区推進室と、やり取りすべてに対して資料請求いたしたい。それから、そこのところにかかわった人間に対しての情報もすべて公開していただきたいと思います。
-
-
○櫻井充君 この大学というか、本当にひどい大学でして、学生さんたちが本当に困っているんですね。ですから、そこのところを認可したところそのもの自体が実は大きな問題で、この後株式会社立大学も入ってこれないようなひどい状態になってきています。ですから、そこの責任は私は問う必要があると思っているんです。
もう
一つ、特区という
制度で法制局にお尋ねしますが、憲法で定められた平等権と特区はこれなぜ認められるんでしょう。
-
○
政府特別補佐人(宮崎
礼壹君) お答えします。
一般論でございますけれども、憲法第十四条第一項に規定します法の下の平等は、絶対的、機械的平等を
意味するものではなくて、合理的な理由に基づく区別は許されるものというふうに考えられております。
したがいまして、構造改革特区法でございますけれども、
地域の特性に応じて一般と異なる規制の特例を設けることにつきまして、合理的な
説明が可能であれば法の下の平等には違反しないということでございます。
お尋ねの株式会社立の学校につきましては、構造改革特区法の十二条に、
地域の特性を生かした
教育の実施の必要性、それから
地域産業を担う人材の育成の必要性、その他の特別の事情に対応するための
教育研究を行う株式会社があれば、そのようなものはその認定を厳しく行った上で認定をするという
制度が法律上組み立てられておりますので、その合理性があるということについて十分意識した法律の組立てになっていると存じます。
-
○櫻井充君 それ解釈違っていませんか。自治体が責任を負うということがあるからじゃないんですか。
-
○
政府特別補佐人(宮崎
礼壹君) お答えします。
もとより、特区につきましては申請は
地方公共団体が申請いたしますけれども、その規制の特例が認められることが合理的かどうかにつきましては、
内閣総理
大臣が具体的に詳細な法律の規定に基づきまして認定をするという手続を踏んだ上でございます。
-
○櫻井充君 法の解釈ではなくて法の制定下における解釈です。
-
○
政府特別補佐人(宮崎
礼壹君) ちょっと御質問の趣旨がうまく取れませんでしたけれども、法律の制定の趣旨ということであれば、これまで申し上げていましたように、憲法十四条の一般的な規制につきましても、特段の必要があれば別段の規制をするということが可能だという
前提に立ちまして特区法ができているものというふうに承知しております。
-
○櫻井充君 これは特区に関して言うと本当は憲法上いろいろ問題があったはずなんです。しかし、今自治体が責任を負うということでかなり限定してこの
制度が導入されてきているはずなんですね。
その上、でなぜこういうことを申し上げるのかというと、このときにLECの方とやり取りをしていたその責任者の方の発言の中で、特区というのは自治体のものという誤解をしていらっしゃる方が多いと、これは
規制改革を皆さんから御提案いただく
制度ですと、こういうふうに言って自分の手柄のような形で吹聴している方がいらっしゃるわけですよ。そういうことが行われている限り、実を言うと特区というすばらしい
制度が僕はめちゃめちゃになっていってしまうんじゃないのかなと、そういう危機感を持っております。
いずれにしても、最近、行政手続そのもの自体がかなりいい加減になってきていて、そのために相当各省庁が混乱していますから、そういうことのないように、それこそ伊吹
大臣のおっしゃる規範意識を持って臨んでいただきたいということをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
-
-
-
○足立信也君
民主党の足立信也でございます。
私、今日は児童手当のことと、それから高病原性鳥インフルエンザのワクチン製造のこと、そして
日本でどうしてなかなか新規開発の医薬品ができないのか、未承認薬が多いのか、イノベーションに関連してその三点をお伺いしたいと、そのように思います。
まず、安倍
内閣が十九年度
予算で重点を置いたと言われる
少子化対策、その中での児童手当の位置付けについてお伺いします。
改正後の子供の出生順位、第一子、第二子、第三子、それと年齢による児童手当の金額の差、これを
少子化対策における意義と併せて教えてください。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 今回の児童手当の乳幼児加算は、昨年六月に取りまとめられた新しい
少子化対策という決定に基づきまして、若い子育て世代等の
負担軽減を図るために盛り込まれました。
具体的には、三歳未満の児童の養育者に対する児童手当の月額を第一子、第二子について月額五千円増額し、出生順位にかかわらず一律一万円とする、三歳以上の児童の養育者に対する児童手当については、これまでと同様、第一子、第二子、月五千円、第三子以降は月一万円とするというものでございます。
この趣旨でございますけれども、今回の改正案において加算の対象を三歳未満の児童としたのは、三歳未満の乳幼児を養育する親は一般的に年齢が若く、
所得水準も相対的に低い場合が多いということで、こうした子育て家庭の
経済的
負担を特に軽減する必要があるというふうに考えたからでございます。
-
○足立信也君 今、第一子、第二子に関して、三歳以降、それまで、三歳未満は
経済的に
所得が低い家庭が多いからだということが言われました。じゃ、三歳以上のお子さんを持つ家庭で
所得が増えているという根拠はありますか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 子供の
成長と世帯の
可処分所得の変化を
平成十六年の全国消費実態調査より観察いたしますと、やはり夫婦子一人、その子がゼロ—二歳までの年齢にある場合、それから夫婦子二人で長子がゼロ—二歳までの年齢にある場合等におきましては、一月当たりの
可処分所得はやはり他の長子三歳から就学前なぞの世帯に比べてこれが低いという統計結果が読み取れるわけでございます。
-
○足立信也君 皆さん、お手元に資料をお配りしております。資料の二をごらんください。
大臣、上が、同じ調査を今
大臣おっしゃられたわけですけれども、上が収入ですね、下が
可処分所得です。今
大臣が言っていることは正しいですか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) これによりましても、収入金額でも特に実際の世帯の家計の
状況をより反映する
可処分所得で見ますと、夫婦子一人で二歳までの子供を養育している場合、あるいは夫婦子二人で長子が二歳までの子供を養育している場合は、やはり
可処分所得は他に比べて低いというのが読み取れるのではないかと、このように考えます。
-
○足立信也君 そうですか。収入だけを見ても、夫婦のみの家庭に比べてお子さんが一人増えると収入で七万円減っていますね、世帯としては。
可処分所得でもお子さん一人増えると五万円以上減っておりますね。三歳以降になっても、これは小学生になってやっと夫婦のみの世帯と同じ収入あるいは
可処分所得になるんではないですか。
-
-
○足立信也君 夫婦のみの世帯に比べて子供が三歳を超えた時点で更にまだ低いんだということを私は言っているわけです。
上の表でいいますと、夫婦のみ、それからその中で長子が三歳以上になった場合、これ五万円低いわけですよ。下の表でも同じ欄を見ますと三万二千円低いんですよ。言っていることが違いませんか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) いや、足立
委員がおっしゃること、この子供のない世帯との
関係ではそれはおっしゃるとおりでございますけれども、今回の我々の乳幼児加算というのは、正に三歳以上について別段従来と変わっていないわけでございまして、特に第一子、二子について三歳未満のところが低いと、低いことは低いわけですから、そこに対して手当てをしたということでございます。
-
○足立信也君 私個人も、それから我が
民主党も、子供が生まれる順番によって差は付けない、その年齢によっても差は付けるべきではないという考えに基づいて今質問しております。
三歳以上になっても夫婦のときよりも収入も
可処分所得も低い、この
現実があるわけです。この点はどうとらえますか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) やはり、一子、二子が三歳未満のときというのは、総体的に言ってその世帯の
所得の稼得者の年齢が若い、だから通常はそこは
所得も低いということに着目して今回の乳幼児加算を行ったという趣旨を御理解いただきたいと思います。
-
○足立信也君 それでは、夫婦のみの世帯に比べて、お子さんが小学校へ入学するまで、就学前の世帯においては
可処分所得も低いということはお認めになりますか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) それは私、
委員と同じ資料を使っているわけでございまして、そういうことは
数字の示すところであると私も同意を申し上げます。
-
○足立信也君 なぜそうなっているかということを資料一に基づいて質問いたします。
二十五歳から三十四歳までの男性の就業形態による配偶者のいる割合、これを
説明してください。
-
○
政府参考人(金子順一君) お答えをいたします。
就業構造基本調査によりまして、一九九二年と二〇〇二年のデータがございますので御報告をさせていただきます。
まず、一九九二年でございますが、配偶者のいる男性の割合を就業形態別に見てみますと、二十五歳から二十九歳層では、正規従業員の場合三四・八%、非正規従業員につきましては二〇・〇%。この非正規従業員のうち、いわゆるフリーターに該当するような方、求職者等も含めましてパート・アルバイト就業者ということで取ってみますと一三・五%という
数字になっております。また、三十代前半の三十から三十四歳層でございますが、正規従業員につきましては六七・八%、非正規従業員四〇・四%、パート・アルバイト就業者二八・八%となっております。
その十年後の二〇〇二年について同じデータでございますが、二十五歳から二十九歳層では、正規従業員三四・四%、非正規従業員一四・八%、パート・アルバイト就業者等で一〇・二%。三十歳代前半層では、正規従業員五九・二%、非正規従業員三〇・三%、パート・アルバイト就業者一八・六%ということでございまして、二十五歳から三十四歳層ではいずれもこの十年間の間に有配偶者率は低下しておりまして、非正規、パート、アルバイトでその低下幅が大きくなっていると、こういうことが言えるかと思います。
-
○足立信也君 これは昨年版の労働
経済白書です。一番上の欄がそうです。二十代後半はすべて配偶者を持つ率が減少しますけれども、特に非正規で五%以上減少しているということです。それから、三十代前半では、正規、非正規、パート、すべてにわたって十年前に比べて一〇%以上減少していると、こういうことです。
では次に、正社員を離職した女性が正社員に復帰する割合について
説明してください。
-
○
政府参考人(西達男君) お答え申し上げます。
平成十八年版
国民生活白書におきましては、育児のため離職した女性のうち、離職前に正社員であった女性が再就職後も正社員として就職する割合を九・三%と
計算しております。
-
○足立信也君 そういう
現状だということです。
そこで、去る三月七日に発表されました第四回の二十一世紀成年者縦断調査のこの概要を教えていただきたいと思います。特に、正規雇用、非正規雇用による違い、育児休業
制度の有無による違い、夫の家事、育児へのかかわりによる違いについて
大臣はどういうふうに解釈されているか、
説明してください。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) お尋ねの二十一世紀成年者縦断調査による結果を今御指摘のポイントについて申し上げます。
結婚につきましては、仕事が正規の方が非正規よりも男女とも結婚の率が高くなっている。また、妻の出産率及び出産後の就業継続率の双方についても、仕事が正規である方がそれぞれ高い傾向となっている。次に、妻の職場に育児休業
制度があれば、出産率、出産後の就業継続率ともに高い傾向となっております。さらに、夫の家事、育児時間が長いほど、二人目以降の出産率、出産後の就業継続率ともに高い傾向となっている。
こういうことでございまして、このような結果を見ますと、正規、非正規、育児休業の有無、夫の家事、育児への参加が出産等に対し
影響があると読み取られると思います。
-
○足立信也君 以上の内容は、分かりやすく私なりに資料一の一番下の欄にまとめてみました。これは、三年間連続で一万九千三百六十七名をフォローしたという、かなり私は精度の高い、いいデータだと思っております。
もう一度まとめますが、非正規と正規社員を比べると、非正規社員は、男性は結婚しない、女性は結婚したら離職率が高いということですね。それから、子供が生まれにくい、生まれたら離職する率が高い、二人目の子供を望む率が低いということです。育児休業
制度が利用しやすければ、子供が生まれる率が高い、出産後の離職率が低い、二人目を望む割合が高い。夫の家事、育児時間が増えれば、出産後の妻の離職率は低い、二人目を望む率が高く、結果として二人目の出生の割合も高い。そういうことなんですね。
そこで、これは具体的には通告しておりませんけれども、育児休業中の
年金の保険料控除というのがございますね、控除というか納付の免除ですね。どうして
国民年金だけないんでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 育児休業の間において、雇用者
年金である厚生
年金については、今
委員が御指摘になられるとおり、保険料の免除の規定があるわけでございます。
これに対して、
国民年金の場合には、雇用者
年金でもないということで、育児休業という位置付けが雇用者
年金の下にある労働者とは異なるということでございます。
-
○足立信也君
国民年金の加入者、今過半数が無職の方というのは認識があると思います。残りの半分の方を分析してみると、自営業者よりも実は雇用者、被雇用者の方が上回っているという認識はございますか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君)
国民年金の加入者について、かなりいわゆる非正規雇用の雇用形態の下にある方が含まれているという認識はございます。
-
○足立信也君 そこで、育児休業
制度、育児休業を取った場合、保険料の、
国民年金保険料納付の免除がないということは、これは相当、私は通常の厚生
年金あるいは共済
年金に比べてその差が歴然としてきているんではないかという気がいたします。
今、数を言いました。実際には被雇用者が多くなっている。ということは、先ほど
大臣が
説明された、雇用
関係にあるから休業
制度があって、それが
国民年金にはないから納付の免除がないんだとおっしゃったことには合わないんじゃないですか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 雇用者
年金である厚生
年金等の場合には、これは雇用者相互が助け合ってこの
年金を支えているということから、今申したような育児休業期間中の保険料の免除も行われているということでございますけれども、
国民年金にはそうした事情がないと、自営業者もいるし、またいろいろの方がいらっしゃるということから、そうした
制度が設けられ得ないということであろうと考えます。
-
○足立信也君
現状はそうですね。であるならば、育児休業期間については納付を免除するという、保険料のですね、
方向性の検討は可能ですか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) これはなかなか難しい問題になると。つまり、同じような性質の雇用、被雇用者が相互に支え合う
制度として厚生
年金ができ上がっていますし、その体系の中でこうした
制度も位置付けられているということを考えますときに、
国民年金について同様の
制度を検討する余地というのは狭いと言わざるを得ないと思います。
-
○足立信也君 確認になると思いますが、パート労働者、非正規雇用者で厚生
年金へ加入するその割合ですね、もう一度、大体何%を想定されておりますか、今度の改正が成立した場合ですね。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) ただいま法案を提出すべくその中身について検討中ということでございますので、そういうことで、また法案提出の暁に御議論を賜りたいと思います。
-
○足立信也君
厚生労働省の発表では一%ではないかなということでしたね。
厚生
年金に加入してなければこの育児休業
制度の
年金保険料の納付の免除というのは成り立たないというその論法は、私はすべてが当てはまるわけではないんだと思っています。これは、雇用、被雇用の
関係にあるところ、
関係にある方々という観点で見るべきだと私は思っています。
そこで、イノベーションのところまでたどり着かないかもしれないので、高市
大臣、以上のような、先ほど正規と非正規、それから、育児休業
制度あるなし、夫の休業ということ、話をしました。このような結果は個人の努力による違いでしょうか。つまり、個人差でしょうか、それとも、置かれた立場、与えられた環境、そこからくる結果の差、つまり
格差、どちらでしょう。
-
○
国務大臣(高市早苗君) これは個人の努力ということもあるんでしょうけれども、一方で社会的な背景というのは非常に私は大きいと思います。
この調査で出ている、
委員が御指摘の点ですけれども、例えば若い方々の
経済的な自立が十分にできない
状況ですとか、それから育児休業ですね、これが会社で
制度としてあってもそれが使いにくい、会社の中の空気ですとか、もうそもそも
制度そのものを整えていただいていないとか、そういったお声もまだまだありますし、夫の育児参加の、さっきのお話でもやはりワーク・ライフ・バランスということはまだまだ社会的に浸透していない。
考えますと、社会的背景という要因というのは私は非常に大きいと思いますので、今度の子どもと家族を応援する重点
戦略日本、
日本重点
戦略の検討会議でございますけれども、この中でも特に、今まで累次の
少子化対策をやってきたけれども掘り下げが足りないとされて、特に分科会で取り扱われるテーマが正にワーク・ライフ・バランスであり
経済的自立であり、そしてまた企業や社会の意識の変革でございますので、ここを重点的に取り組んでまいりたいと思っております。
-
○足立信也君 私どもが
格差是正国会と名付けたのは、つまり個人の努力による差ではなくて、先ほど
大臣がおっしゃったような、正にそのことが
格差なんだという認識の下にやっているわけですね。
そこで、また柳澤
大臣なんですが、昨年来、医師不足の問題が非常に取り上げられまして、
国民の関心も非常に高いところがございます。私の調べているところでは、二十代の医師、毎年男性が百人減り、女性が三百五十人増えている、こういう
状況ですね。そこに、その中で、女性勤務医についてお伺いしますが、先ほど問題になっている妊娠・出産に起因する離職ですね、これ、離職率の調査はございますか。幾らでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 結論的に言いますと、そのような調査については手を付けておりませんで、結果も当然分からないわけでございます。
二十一世紀成年者縦断調査において女性の全体の出産後の離職率というものについては調査をいたしましたが、その際、職業についての調査、職業の区分による調査は、管理的な仕事、事務的な仕事などの業務分野による区分で行いました。したがいまして、勤務医など専門的、技術的な仕事に含まれるという方々については格別、別にして調査を行っておりませんところから、女性勤務医の妊娠・出産に起因する離職率は把握しておりません。
-
○足立信也君 総理を始め、答弁で必ず毎年三千人を超える医師が増えているという話をされるわけですね。
先ほど言いましたように、二十代では男は百人減っているんです。女性は三百五十人増えているんです。その方々が実際にそのまま継続して働いていけるのかという調査をしていないということがそもそも大問題ではないかと。医師不足の問題を解決するに当たって調査をする予定はございますか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) これは、予定は聞いておりません。私、事務当局からは聞いておりませんが、私は今ここで足立
委員にお答えしますけれども、それは必要だと考えます。
-
○足立信也君
是非やっていただきたいと思います。
ちなみに、私の友人といいますか、小児科学会のデータをちょっとお示ししますね。
産休の代替要員がない病院は五割、産休中の身分保障がない病院は二割、育児休業
制度がない病院は三割でございます。そして、三十代になって女性医師の半分が妊娠・出産を機に勤務医を辞めております。こういう
現状なんですね。
非常にもったいないという意見が今出ておりますが、このことはもう十数年前から分かり切った事態なんです、女性が増えてくるということは。その調査すらもしていない。ただ、
大臣は今調査は必要だとおっしゃっていただきましたので、
是非その対処が私は急務だと思っておりますので、よろしくお願いします。そして、離職しなくてもいい環境づくり、これが何より大事なんですね、これは医師だけではなくて。
ここで医師のことを取り上げておりますから、じゃ、病院保育サービスの中で院内保育を実施している割合、病院の中でですね、どれぐらいあるでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君)
平成十七年の
医療施設調査によりますと、九千二十六病院のうち二千七百五十四病院、率にいたしますと三〇・五%の病院が保育サービスを実施いたしております。
院内保育所の運営につきましては、昭和四十九年度から補助を実施していることはもう足立
委員御案内のとおりでございます。
平成四年に
策定した看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針におきましても、
地域の実情や利用者のニーズに応じた院内保育体制の整備の充実を図る旨定めております。
院内保育所の運営への補助は、看護職員の勤務の特殊性にかんがみ、看護職員の児童を対象としてまいりましたけれども、
平成十四年度からは女性医師等の
医療従事者の児童についても補助対象として追加をし、
制度の充実を図っているところでございます。
なお、
平成十九年度
予算では、より多くの
医療施設を対象とするために補助要件の緩和を図ってございます。
-
○足立信也君 資料四を、今の答弁の内容です、資料四をごらんください。院内保育施設があるのは、院内では二二%ですね。最低が青森の七%です。赤は一五%未満のところを私が抜き出しました。青は四〇%以上です。とはいっても、最高は滋賀県の院内保育としては四二%ということです。
今の答弁と重なるかもしれませんが、これでは離職率を下げることは難しいと私は思いますが、もう一度この率をごらんになって、やはりどうあるべきかということをもう一度御答弁ください。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 今、女性の学生と申しますか医師候補と申しますか、医師候補の皆さんの医師免許試験におけるこのシェアは三分の一になっていると、こういう
状況でございます。場合によってはこれは更に増えるかもしれないという
状況かと思います。そういう女性医師が結婚、特に出産によって退職をするということは、私は本当にこれは
日本のこの医師不足問題の
一つの側面としても重大な問題だと、このように考えております。
それを緩和するためと申しますか、防ぐためにどうしたらいいかということの有力な施策として今院内保育所の問題を足立
委員が御指摘になられまして、私も全く同じ考え方を持っております。したがいまして、今この
数字を指し示されましたけれども、こういう
状況はもう本当にできるだけ早急にもっと引上げを図っていかなければならない、このように考えます。
-
○足立信也君 私が大学に入学したのは昭和五十一年で、その当時は数%から一割が女性でした。しかし、そのもう十年後には四割の医学部の学生が女性でした。ということは、もう八〇年代後半からその事態はもう分かっていたわけです。今早急に取り組むべきだと私は思っております。
次は、高病原性鳥インフルエンザについて、新型インフルエンザも含めてですね、そのワクチンについて質問いたします。
タミフルの問題については、これはその有効性あるいは安全性については疑問のところもございます。それから、備蓄量に関しては、
日本で二五%、三千二百万人が罹患するといいながら、備蓄は二千五百万人と、その差の七百万人は一体どうなるんだという話もございますが、ここは、もっと有効性のあると思われるワクチンです。
ワクチンの製造には鶏卵は欠かせません。鶏卵をワクチン製造用に供給している農家及びその
地域はどれぐらいあるんでしょうか。
-
○
政府参考人(高橋直人君) お答え申し上げます。
インフルエンザワクチンの製造は、通常期のもの、それから新型のものも、国内の四社で製造が行われております。この四社がそれぞれインフルエンザワクチン製造用に必要な有精卵を供給する三から四
程度の農家と個々に契約を結んでいるところでございます。
供給契約を結んでいる農家の具体的な名称、
地域等については、これは契約の内容でございますけれども、所在地といたしましては、工場が本州、四国、九州でございまして、農家もその近辺に立地をしているというところでございます。
-
○足立信也君 本州、四国、九州という話がございました。工場は四か所。四か所がどこにあるかは教えていただけますか。
-
○
政府参考人(高橋直人君) 四社、新潟県と埼玉県とそれから香川県と熊本県でございます。
-
○足立信也君 私がちょっと気になっておりますのは、これは地元の市議会議員の方の指摘もあったんですが、移動制限区域って設けられますね、鳥インフルエンザが発生したときに。その中にワクチンの製造をやっている工場あるいはそこへ鶏卵を供給している農家が含まれた場合に、その鶏卵の供給はどうなるんでしょうか。
-
○
政府参考人(町田勝弘君) お答え申し上げます。
高病原性鳥インフルエンザの発生確認された場合には、ウイルスによります、その拡散によります本病の蔓延防止を図るということで移動制限を実施しております。その移動制限区域内にワクチン用発育卵の生産農場があった場合、これも、この農場も対象に含まれるということでございます。
御指摘の大分県の事例でございますが、十六年に発生がございましたが、二月十七日に発生が確認された段階で移動制限を実施いたしました。移動制限の対象となったのは全体で五十一農場ございまして、このうちワクチン用の発育卵の生産農場八か所ございました。その後、周辺農場のウイルス検査で異常がないことを確認されましたことから、専門家の意見も伺いながら、十六年の二月二十八日でございますが、発生農場から半径五キロ以上三十キロメートル以内の区域を搬出制限区域といたしまして、ワクチン用発育卵を含めた鶏卵の出荷を認めたところでございます。
-
○足立信也君 ワクチン製造用の鶏卵を供給している農家も移動制限区域に入った場合には同じように扱われるという解釈でよろしいですね。
-
○
政府参考人(町田勝弘君) そのとおりでございます。
-
○足立信也君 ワクチン、まあ鳥インフルエンザあるいは新型インフルエンザも大流行した場合に、その同じような扱われ方、あるいは格段の防御策というのは必要だと思いますが、どのようになってますか。
-
○
政府参考人(高橋直人君) 先ほどもお答え申し上げましたが、
現状におきまして、一メーカー大体三から四の農家と契約いたしております。したがいまして、仮に一部の供給の農家が移動制限区域内になったとしても、他の供給施設からの補充ということでワクチン製造への有精卵を確保するということは可能な体制になっているというふうに聞いております。
-
○足立信也君 その卵の確保のために、
予算は十七年度はどのように使われていますか。
-
○
政府参考人(高橋直人君) 十七年度の補正でございますか。
-
○足立信也君 はい。
-
○
政府参考人(高橋直人君) 十七年度の補正におきましては、こういった農家との契約で卵の供給を受けまして、四社で、これ全部で一千万人分のワクチンでございますけれども、その製造についての
予算を付けているところでございます。
-
○足立信也君 卵の確保で
予算、今はっきりおっしゃらなかったような気がしますが、幾らですか。
-
○
政府参考人(高橋直人君) 鶏卵などの資材の確保に努めまして、七十七億円を計上いたしたところでございます。
-
○足立信也君 七十七億円の使われ方というのはフォローしているんでしょうか。
-
○
政府参考人(高橋直人君) 七十七億円における内訳でございますけれども、これ、製造のための
経費でございます。これ、卵から確保してそれからワクチンの原液までの製造の
経費でございます。
-
○足立信也君 四社に対して補助七十七億円ということですか。
-
○
政府参考人(高橋直人君) これは途中で社団法人を通してのその四社への補助でございますが、四社に対しての総額が七十七億ということでございます。
-
○足立信也君 特別なインフルエンザに対する防御策は何をされてますか。
-
○
政府参考人(高橋直人君)
予算の中では特別に、それぞれの農家が防御施策について講じることについて特別の
予算は私ども計上いたしておりません。
ただ、このワクチンメーカーそのものが、元々、このワクチン製造のための有精卵を供給する農家としては、当然、通常の食用卵の卵を供給する農家とは違いまして、ずっと衛生管理面で注意していただかにゃいけないことが多うございますんで、メーカーサイドはそういったものについて、相手の農家を選ぶ際に十分そういった面に注意をして農家と契約をしているということでございます。
-
○足立信也君 七十七億円のその使用の仕方は会社にお任せという
意味ですか、今の答弁は。
-
○
政府参考人(高橋直人君) 衛生管理面でどういうふうな注意をするということについては、それは企業サイドにもちろんお願いをしているということでございます。もちろん、補助金のそういった適切な執行という
意味ではもちろん私ども管理をいたしております。
-
○足立信也君 では、どのような指導あるいは指示を出されているんでしょうか。
-
○
政府参考人(高橋直人君) ですから、先ほど申し上げましたように、ワクチンの製造用のための原材料というのは、いわゆる有精卵については、これは通常の人間の食用に用いる無精卵とは違いまして、ずっと高いレベルの衛生管理が要求されます。それについては当然メーカーサイドでそういったものに留意をされて相手方の農家を選んでいるということでございます。
-
○足立信也君 メーカーへお任せということですね。
-
○
政府参考人(高橋直人君) 当然、そのメーカーがその辺を十分留意をされて選んでいるというふうに私どもは承知いたしております。
-
○足立信也君 発生したときに、あるいは予防のためにも、ワクチン開発、製造が
是非とも必要だということは皆さん共通認識だと思います。それが、インフルエンザの感染区域に入った場合のその防御策ということがほとんどないというお話でした。これ以上のお話は、集中審議、あした用意されておりますので、我が党の議員がすると思います。
以上で私の質問を終わります。
-
○
委員長(
尾辻秀久君) 以上で足立信也君の
質疑は終了いたしました。(拍手)
─────────────
-
-
○
広中和歌子君
民主党・新緑風会の
広中和歌子でございます。よろしくお願いいたします。
最初の質問は、私の知人、この方は独身女性でございます。この方が賃貸住宅に住んでいたわけですけれども、そこで立ち退きを求められた。その理由というのは、建て替えをするから出てくださいということです。そのことについてはその女性は何も文句言っておりません。そして、その近所に同じような、今まで払っていたと同じような家賃の賃貸が一杯ありましたので、いろいろ物色したそうです。ところが、実際に契約という段になりますと、その女性の年齢は私知りませんけれども、六十歳以上あるいは六十五歳以上ということで借りられないということで断られてしまうらしいのです。
それで、法務
大臣にお伺いしたいんですけれども、年齢ゆえに断られるということは、何というんでしょう、これはいわゆる差別、年齢差別ということを言ってもいいんじゃないかと思いますけれども、差別に当たるとお思いになるんでしょうか。
-
○
国務大臣(長勢甚遠君) 一般的に、住宅を貸すかどうかは、まあ私人間の契約でございますから、契約自由ということが原則だろうとは思いますが、ただ、今御指摘のように、高齢であるということだけで入れないとかという話になりますと、もちろん個別的な事情にもよりますけれども、差別というか、人権擁護上の問題になるということはあり得るんではないかというふうに思います。
-
○
広中和歌子君 私もそう思うんですけれども、いわゆる
日本におきましては性差別というのは、この前、
男女共同参画法か何かで、女性であるがゆえに職業から排除されるということは禁止されるというふうに、少なくとも努力義務になったわけですけれども、性差以外に人種とか年齢、それによる差別、それにかかわる差別ですね、それの法律は存在いたしますでしょうか。
-
○
国務大臣(長勢甚遠君) 正確にはお答えできませんが、例えば基準法などでは、一部、労働基準法など個別の法律によってはそういうものを規制をしているものがあるだろうと思いますが、一般的な高齢者差別禁止法というのは、ちょっと私、今分かりません。
-
○
広中和歌子君 少なくとも西欧先進諸国におきまして、民主主義、法の支配、人権、そういうものを信じる国々においては、こうした差別、性差、それから人種、年齢による差別というものは基本的には禁じているわけでございます。
日本は一応その
先進国であるわけでございますけれども、そうした法律が
日本にないということに関して、法務
大臣としてはどのようなお考えをお持ちでしょうか、そしてまたそれに対して今後どのような対応をなさっていくおつもりか、まずお伺いいたします。
-
○
国務大臣(長勢甚遠君) 先ほど御答弁申し上げましたように、各事例に即した法律はあると思いますが、一般的な差別禁止法ということになりますと、その要件その他いろいろ議論していかなきゃならないことが多いんだろうと思います。
-
○
広中和歌子君 そこで止まっていただいては困るんで、
先進国としての我が国、人権を大切にする国として、
是非こういう問題に対して法務
大臣としては積極的にリーダーシップを発揮していただきたいということをお願いいたします。今の段階では、法務
大臣お一人ではどうにもならないというようなお気持ちでいらっしゃるんじゃないかと思います。
そこで、具体的にここで困っている女性がいるわけです。その女性以外にもたくさん似たような方がいらっしゃるんではないかと思いますけれども、
国土交通大臣のお立場としてこうした行為を規制する法令というのはあるんでしょうか、お伺いいたします。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) そういうものを規制する法律はありません。けれども、その背景となっている、なぜその高齢者の方の入居を抑制するといいますか、するのかという事情を見てみますと、単身の老齢の方が賃料の支払について不安があるとか、あるいは退去の際の原状回復、あるいはその方が亡くなった場合にその賃貸借は終了するわけですけれども、そのときに元どおりに直していただくというようなことについて不安があると。というようなことがあるものですから、我々としましては、そういう問題を解決するべく、まず高齢者の方とか障害者とか、あるいはドメスティック・バイオレンスですね、そういうことで主人から暴力を受けてどうしても家を出なきゃならない女性とか、まあ反対の場合もありますけれども、そういう人たちのために入っていただく民間の賃貸住宅業者に対して、そういう人たちも受け入れていただける住宅を建てていただくについて我々はこの建設費を補助するというものを、今年度もそういう
制度を
予算措置をとりました。
そういうことで、特にその
地域において賃貸住宅というものについて入手するについての配慮を必要とする世帯、今申し上げたような世帯、そういう人たち向けに住宅を建てていただくのであれば、おおむね建設費の二〇%近くにもなるんですが、そういうものを我々は助成するという、
地域住宅交付金というものを生かしてそういうものを建てていこう、これは
地域優良賃貸住宅
制度というものでございます。
それから、そういう困った方々がそういうところに安易に入っていただけるように、円滑に入っていただけるようにするために、あんしん賃貸支援事業というものも行っておりまして、例えば家賃の一部、最高は四万円ですけれども、月額、まあ四万円以下ですね、これを家賃補助をしますということ、それからその賃料債務とか原状回復債務、こういうものを保証しますという
制度をつくりました。
そういうことで、契約自由の原則ですからそれを規制する、もう何が何でも貸しなさいというような法律体系はなかなか難しいと思うんですね、今法務
大臣言われた。しかしながら、そういうふうにお断りになるという、統計上も、最近の統計ですけど、八・四%の家主が貸し渋っているということが分かりましたので、そういう
制度をつくっているところでございます。
-
○
広中和歌子君 大変前向きなお答えをいただいて、大変いい、すばらしいと思うんですけれども、デンマークの
ケースでもそうですし、私が住んでおりました
アメリカでもいろいろな形で高齢者の住宅というものを、
政府というのか自治体というのか、そういうものが保証しているということがあるわけでございます。
これから高齢者がますます増える、しかも単身の高齢者が増える。女性だけではなくて、男性もそういう場合がある。そして今、東京の実情を見ましても、これから建て替えを必要とする住宅があると。建て替えを理由にして出てくださいと言われると、居住権も使えないというようなことで本当に困る方が続出するんじゃないかと。その人が病気で何とかというんであれば
福祉施設に行くこともあるでしょうけれども、一応元気で働いていると、こういう方たちのために
是非ある種の保証
制度みたいなものをおつくりいただいて、そして業界にPRをしていただくと、そのようなことを
是非お願いしたいと思います。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 先ほども言いましたように、あんしん賃貸支援事業等を通じまして、いろんな形でそういうものをPRし、そして気軽にそういうお困りのお年寄りの方が相談をされ、そしてそれが我々の言っているそういう住宅への入居について、特段の我々が配慮、支援ができるような世界をつくっていきたいと思っております。
-
○
広中和歌子君 どうもありがとうございました。
次の問題に移らせていただきたいと思います。
私ども
民主党にはいわゆる医学、
医療の専門家一杯いらっしゃるわけですけれども、私はそうした立場ではなくて、一人の患者となり得るそういう立場から、つまり
医療の受け手の側から以降御質問をさせていただきたいと思います。
臓器移植についてお伺いしたいと思っております。
愛媛県の宇和島徳洲会病院の病気腎移植の問題についてお伺いしたいと思います。新聞報道によりますと、この事件を契機にいたしまして、病気腎移植の原則廃止を
日本移植学会など五学会が打ち出している。一方で、一部の患者の支持、署名運動などもあって、六万人の署名を出しているということがあるわけでございます。
それで、
厚生労働大臣にお伺いいたします。現在、人工透析を受けている方は何名ぐらいいらっしゃるんでしょうか。
-
○
大臣政務官(菅原一秀君) 人工透析の患者についてお答えをいたします。
現在、
日本透析医学会の調べによりますと、慢性的に透析療法を受けている患者数は、二〇〇五年十二月現在で約二十五万八千人ということでございます。
-
○
広中和歌子君 それから、人工透析に掛かる費用は年間一人当たりどの
程度でしょうか。総額と患者
負担額、保険
負担額、国庫の
負担があればその額についてお答えいただきたいと思います。
-
○
大臣政務官(菅原一秀君) 現在、一人当たりのこの透析に掛かる年間の
医療費、約四百八十万円前後ということになっておりまして、したがって、先ほど申し上げたように二十五万八千人を掛けますと、年間一・二兆円というふうに承知をいたしております。
-
○
広中和歌子君 一・二兆円が掛かるということでございます。
それでは、腎臓移植でございますけれども、その費用はどのくらいでしょうか。本人
負担、保険
負担、まあいろいろあると思いますけれども、大まかな移植の費用についてお答えいただければと思います。
-
○
大臣政務官(菅原一秀君) お答えいたします。
日本移植学会のまとめからの報告によりますと、大体、移植一回当たり約百万円前後ということになっておりますが、その後のケアがございますので、約一年間掛かります総額が手術費用を含めまして三百五十万から四百万円、そして二年目以降は大体百二十万から百七十万と、このような報告を受けております。
また、腎臓移植患者の自己
負担についてのお尋ねがございましたが、腎臓移植を受けて退院するまでの間、透析
医療に関する、御案内のとおり、高額
医療費
制度の特例が適用となっておりまして、透析と同様に月額一万円、そして月収が五十三万円以上ある方につきましては二万円となっております。さらに、身体障害者手帳の交付を受けている方につきましては、自立支援法による更生
医療が適用になりますので、それによって
所得に応じた
負担軽減措置も適用されているところでございます。
以上でございます。
-
○
広中和歌子君 現在腎臓の移植が必要だとされている方は何名ぐらいいらっしゃるんでしょうか。あるいはその潜在需要と言ってもいいかもしれません。
-
○
大臣政務官(菅原一秀君) 今待機をしている方、大変恐縮でございます、
先生の御配付の資料にも出ておりますが、腎臓に関しましては一万一千八百九十三名というふうに報告を受けております。
-
○
広中和歌子君 一万一千八百九十三名が、この方たちは臓器ネットに登録しているということでございますね。ですから、透析を受けている患者が二十五万ぐらいいらっしゃるわけですから、潜在的な需要というのはもっとあるというふうに受け止めてよろしいでしょうか。
-
○
大臣政務官(菅原一秀君) 大変恐縮でございますが、その正確な
数字、今把握をいたしておりません。
-
○
広中和歌子君 私が非常に心配いたしますのは、腎臓の提供を受けたいという方、そしてまた、しかしながら、その腎臓の提供、実際の提供にギャップがあるということでございます。
という中で、愛媛で病気腎の移植が行われた背景には腎臓提供の不足あるいはシステムの不備があったんではないかなと、そのように思うわけでございますが、厚生
大臣、今回の宇和島徳洲会病院の事件について、
政府はどのような見解をお持ちでいらっしゃいますでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 臓器移植におきましては、移植を希望する患者の方に比べまして臓器提供あるいは臓器移植の実績が限られているという実情がございます。こうした背景の下で、腎臓病等の患者から治療のために摘出した臓器を第三者への移植に用いた事例が明らかとなったものではないか、こういう御指摘でありますが、そういった背景があろうかと考えるわけでございます。
しかし、病気腎移植の問題につきましては、移植を受ける患者さんにとって病気腎が移植されることによる危険がなかったのかどうか等の医学的問題と、それからもう
一つ、ドナーとなる患者からインフォームドコンセントが適切に得られていたか等の手続の面の問題がある
可能性が否定できないわけでございます。
このため、現在、移植を実施した病院等において、
関係学会の推薦する専門医も参加した調査
委員会を設置して調査が実施されているところでございます。
政府としては、この調査結果を注視しているというのが現在の
状況でございます。
-
○
広中和歌子君 注視した結果、
一定の規制の下に第三者に移植する仕組みというものも考えられますでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 治療のために腎臓を摘出する場合として考えられる
ケース、例えば尿管がんが考えられるようでございますが、その摘出された腎臓は腎機能を依然として有しておるといたしましても、がんがレシピエントにうつることが懸念されるわけでございます。
このように病気腎の移植は医学的に問題がある
可能性がございまして、先ほど申し上げた手続面での問題も含めて、現在移植を実施した病院の調査
委員会等で調査中ということになっております。さらに、
関係の学会では、三月末に調査結果を踏まえまして、病気腎の移植の問題について見解を整理するというふうな予定だと聞いておるわけでございます。
政府といたしましては、これらの医学的見地からの調査検討を受けまして病気腎の移植の問題に対処してまいりたい、こういうふうに申し上げるのが現在の段階でございます。
-
○
広中和歌子君 腎臓の移植を望んでいる方がいると。そして、しかしながら提供が非常に少ないという中で、海外渡航による移植という問題もあるんではないかと思います。
厚生
大臣にお伺いいたしますけれども、心臓、肺、肝臓、腎臓の海外渡航移植の件数を過去十年間について教えていただきたいということでございます。
-
○
大臣政務官(菅原一秀君)
平成十七年度の
厚生労働科学特別研究事業という、その実施いたしました研究報告書によりますと、昭和六十三年から
平成十七年末までに海外へ渡航し心臓の移植を受けた患者数、百二名でございます。あわせまして、肝臓につきましては二百二十一名、腎臓が百九十八名、さらには小児循環器学会の調査によりますと、過去に渡航して肺の移植を受けた方につきましては七名でございます。
以上です。
-
○
広中和歌子君 我が国は
医療先進国でありますし、そしてまた人口の母体も非常に大きいわけですけれども、そういう
日本人が海外に行って移植を受けなければならないという
現状について、厚生
大臣はどういうふうにお思いでしょうか。もっと
制度を整備することによって、必ずしもすべての人が満足できる
状況があるとは思えませんけれども、しかしながら、もうちょっと努力があってもいいんではないかと思います。
で、皆様方にお配りしておりますけれども、各国の死体からの移植の実施数、
日本が非常に少ないということでございます。この資料でございます。それについてどのようにお思いになりますでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 議員立法によりまして臓器移植法が制定されたわけでございますけれども、それにもかかわらずと申しましょうか、とにかく実態は、今、広中
委員が御指摘のとおりで、なかなかこの法律の下で移植が行われるという実例は他国に比較するとかなり低
水準であるということでございます。
これは言われるところによりますと、まあいろいろな誤解も
一つあるのではないかと。脳死下での臓器提供につきましても、何と申しますか、本人というか、本人の同意とかあるいは家族の同意というものが、まあ両方要るというふうなことになっておりまして、先ほどちょっと私、誤解と申しましたけれども、そういうことで要件が厳格過ぎるんではないかというようなことを指摘される向きもあるというふうに聞いております。しかし、同時にまた、そもそもが本人の同意についても、やはり
日本人の死生観というようなものを反映して、ひとつの、他の諸外国に比べてそうしたことが
影響しているのではないか等々、いろんな議論があるわけでございます。
しかし、これらについては現在、元々のこの臓器移植法を議員立法で行われたこともございます。そういうようなことで現在においても、広中
委員も御存じかと思いますけれども、現在その
二つの考え方による議員立法の改正法案が国会に提出されて継続審議になっているということであるわけでございまして、私どもとしてはその行方を見守っているという
状況でございます。
-
○
広中和歌子君 私も臓器移植法ができましたとき議論に参加したことを覚えておりますけれども、それから少し
状況が進化すると思ったのですが、依然として海外に渡航して移植を受ける患者の数も少なくないし、また、腎臓なんというのは、冒頭で申し上げましたように、非常に費用も掛かるだけではなくて、人工透析をするための苦労ですよね。というようなことで、腎臓移植をした場合、クオリティー・オブ・ライフという点ではもう非常に社会にとって
プラスにもなる、もちろん本人にとってすごい
プラスになる。そうしたことでも余り増えていないと、十分に増えていないということに関して、もうちょっと努力してもよろしいんではないか。
確かに文化的なものもあるかもしれませんけれども、そういう中で、いわゆるドナーカードとかシール、その方法があるわけでございますね。どのような
状況になっているのか、お伺いいたします。
-
○
大臣政務官(菅原一秀君) 昨年の十一月に
内閣府が実施いたしました臓器移植に関する世論調査の中で見ますと、臓器提供意思表示カードなどの所持
状況は大変残念なことに七・九%という
現状でございます。七・九%。
-
○
広中和歌子君 いろいろな努力がなされているということは聞いているわけですけれども、私は自分で健康保険証をもらって、それを持って病院に行きます。使いながら思ったんですけれども、健康保険証そのものに自分が何かのときに臓器を上げてもいいとか絶対困るとかという意思表示を書く欄があれば大変に結構なことじゃないかなと。少なくとも臓器移植について、あるいは生と死について真剣に考える機会を与えるんではないか。そして、保険証というのは毎年ですか、あるいは隔年か知りませんけれども、リニューされるわけですから、更新されるわけですから、更新のたびにその自分の意思を確認するということもできるんではないかと思いますけれども、そういう
制度についてどのようにお考えでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 臓器移植法におきましては、臓器提供の要件として、原則的に本人がまず生前に臓器提供の意思を書面により表示していることを定めております。
被保険者証に意思表示欄を設けるなど、臓器提供に関する意思表示方法を多様化したらどうかと、こういうことは確かに
課題だというふうに考えるわけでございます。
で、
平成十五年の健康保険法施行規則を改正し、被保険者証への意思表示欄の記載を可能とすることにいたしました。現在、
厚生労働省では、
政府管掌健康保険につきまして本年から意思表示欄を設けた被保険者証を順次交付することとしておりますが、そのほか、一部の健保組合や現在三十七の市や町の国保で既に同じような保険証欄にこの意思表示欄を記載することを行っておるところでございます。
また他方、今
委員もちょっとおっしゃられましたけれども、臓器提供意思に関するプライバシー保護も必要でございまして、その観点からカバーシールを作成することが必要になる、そういうことで来年度の
予算に計上しているところでございます。
移植
医療につきましては、
国民の理解を深めるための措置を講ずることが国及び
地方公共団体の責務でございまして、今後ともこの意思表示の機会の普及に力を尽くしてまいりたいと、このように考えております。
-
○
広中和歌子君 ついでで恐縮ですが、申入れをしたいと思うんですけれども、健康保険というのは家族に一枚ですよね。そうではなくて、個人にカードが与えられるような、そういう
方向に一日も早く変えていただくということが本当に望まれているんじゃないかと思いますけれども、そういう声はありながら遅々として進まないというのが
現状じゃないかと思いますが、いかがでしょう。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 健康保険証につきましては個々人が持つということが、もうそれが原則の形になっているんですが、現在、まだ世帯別のカードになっているというのは、まあ移行措置としてそういうことを許容しているということのためでございますので、まあ広中
委員のおっしゃられる
方向に進んでいるというふうにお受け取りを願いたいと思います。
-
○
広中和歌子君 できるだけ使い勝手のいい、そしてその際にはドナーになるかならないかの意思表示もきっちり書き加えられるような、そのようなものを御考案いただいたら有り難いと思います。
それでは、法務
大臣、申し訳ありません、お伺いしたいと思います。
国籍の問題なんですけれども、先日、二月二十七日ですけれども、東京高裁で、
日本人男性と外国人女性の間に生まれたお子さんについて、両親が結婚されていないという理由で
日本国籍の取得を認めないとする判決がございました。
しかしながら、その同じ
ケースですけれども、昨年、一審の東京地裁では
日本国籍を認めたのに上級審で覆ったと、このことについてちょっと御
説明いただけませんでしょうか。
-
○
国務大臣(長勢甚遠君) 国籍法の三条一項というのがございまして、
日本人の父と外国人の母、今の場合はフィリピンの方ですが、という場合には、出生後に国籍を取る場合には父母の婚姻と及び認知を要件として三条一項で規定をしておるわけでございます。
これで御指摘の東京地裁の判決では、
二つの要件があるんですけれども、この婚姻要件の部分については合理性が認められないということから、その部分は憲法第十四条に違反して無効であるということで、認知要件のみを満たす子供たちに国籍取得を認めたと、これが東京地裁の判決でございます。
これに対しまして東京高裁の判決では、嫡出でない子よりも父母の婚姻により嫡出子の身分を取得した子の方が我が国との結び付きが密接であることは首肯、肯定し得るということ、また今申しました国籍法三条一項において、三条一項の規定は、認知と婚姻と、この
二つによって嫡出子たる身分を取得した子に対する規定ということでありますけれども、この規定では嫡出でない子は含まれないというものとして規定されているところであるから、父母の婚姻要件のみが憲法第十四条に違反し無効であるとして、認知要件のみによって国籍取得を認めること、これは地裁の判決でございますが、こういうことは法解釈の名の下に自主的に国籍法に定めのない国籍取得の要件を創設することにほかならず、裁判所がこのような国会の本来的な機能である立法作用を行うことは許されないという判断でございまして、東京高裁ですね、そういうことでございまして、今回の
ケースは父母の婚姻要件を満たさない子供たちの話でありますので、その人たちの国籍取得は認めることはできないということとしたものでございます。
今申しましたように、両方の判決、地裁と高裁では三条一項における父母の婚姻要件についての評価が異なったということから判断が分かれたというふうに理解をしております。
-
○
広中和歌子君 最終的には最高裁の判断を仰ぐことになるんでしょうか。
-
○
国務大臣(長勢甚遠君) そのように考えております。
-
○
広中和歌子君 いずれにいたしましても、今
大臣の御答弁を聞いて、本当に失礼とは思いますけれども、本当にややこしいですよね。私も聞いていて分からなかった。生まれる前に認知すれば
日本国籍を上げる、そして生まれた後に認知では上げないとか、もう本当にややこしいところが一杯ございますので、整理をなさって、国会の立場から、立法府の立場からこの問題をきっちり整理していただいた方がよろしいんじゃないかと思います。
これから国際化の中で、好むと好まざるとにかかわらず大勢の外国人の親から子供が生まれ、そして
日本で
教育を受けるはずでございますよね、それを希望いたしますけれども。そして、新しい
日本人が育っていく、そういう中におきまして、やはりきちんとした法体系を作るという、整備するということは大切なことだと思います。いかがですか。
-
○
国務大臣(長勢甚遠君) 確かに私も理解するまで少し時間掛かったんで、ややこしいことは事実でございますが、ただ、国籍の問題、我が国の
国民の範囲をどうするかという根幹にかかわる重要な問題でございます。おっしゃったようなことも含めて最高裁の動向を見極めながら検討していかなければならないと思います。
-
-
-
○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。
各
大臣また
関係者の皆様におかれましては、連日大変にありがとうございます。
まず、私の方からは初めに
成長力底上げ戦略につきまして、またそれに関連して何点か質問させていただきたいと思っております。
まず、
大田大臣にお伺いいたします。
この
成長力底上げ戦略では、働く人全体の
所得や生活
水準を引き上げつつ
格差の固定化を防止することに重点を置いた
戦略と承知をしておりますが、この
戦略を進めることによりましてどのようになっていくのか、この将来像をお伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(
大田弘子君)
成長力底上げ戦略は
成長を支える基盤である人材と中小企業の向上を図ろうとするものです。
〔
委員長退席、理事
吉村剛太郎君着席〕
これまで職業能力を高める機会に恵まれなかった人、
生産性向上の機会に恵まれなかった中小企業にその機会を提供すると。そして、だれでもいつでも能力を高める機会を得られる社会、能力を発揮できる社会を目指しております。これによって労働市場の参加それから生産性の向上が図られまして、働く人全体の
所得水準、生活
水準の向上につながると考えております。
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
意欲のある人やまた中小企業等が自らの向上に取り組める、最大限にそういったチャンスを拡大していただくということで、こういったこの
方向性、私も支持をしたいと思っておりますが、いずれにしても、この
戦略を進めるに当たりましては、この
戦略の中にもうたわれておりますが、能力開発、また
福祉から就労への移行、そのほか生産性の向上と最低賃金の問題、こういった働く人全体の底上げを目指したこういった
政策といいますのは、いずれも企業や
経済界の皆様に変革や
負担、また企業や
経済界の皆様の賛同や協力がなくては進まないものばかりだと思っております。
そこで、
政府といたしまして、どのように企業、
経済界の皆様に働き掛けて、官民一体となった
取組を進めていくのか、その
方向性とまた御決意をお伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(
大田弘子君)
先生御指摘のように、産業界との連携が不可欠です。そのために、この底上げ
戦略推進するために、
経済界、労働界、
政府の三者による円卓会議を今月中に設置いたします。その後、
地方においてもこの円卓会議を設置して、
実現に努めてまいりたいと考えております。
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
また、
地方におかれましてもこういった会議が行われるということで、やはり
地方によりましても様々
課題も違うかと思います。よりきめ細かいこういった各界の皆さんとの審議を進めていく中で、しっかりとしたきめ細やかな就労支援含めまして進むことを希望したいと思っております。
そこで、次の質問に入らせていただきますが、企業界、
経済界の協力を得ていくためには、できることは官庁からしっかりと率先して取り組んでいく、企業に、企業の方に範を示すということが望ましいかと思っております。
そこで、我が党としましても、国家公務員におきましても中途採用の拡大、これを推進していった方がいいんではないか、こういったことを訴えさせていただいておりました。そこで、来年度から国家公務員の中途採用者選考試験、これが実施されることになったと伺いまして、これ三十歳から四十歳以下で学歴や職歴は問わない、採用予定数、予定者数は約百名ということで伺っております。
是非これも成功させていただきたいとも思いますが、同様の観点から、国家公務員よりもはるかに雇用規模が大きくまた生活の現場に近い
地方公務員におきましても、多様な人材の登用また再チャレンジ、こういった促進の観点からも
地方公務員におきます中途採用の拡大、これも
是非進めていくべきではないかと思っておりますが、
総務大臣に御見解をお伺いいたします。
-
○
国務大臣(菅義偉君) 鰐淵
委員御指摘のとおり、やはり
地方公共団体においても、
一定の社会を経験をしたそうした人材を対象に経験者採用試験を実施し、継続的に中途採用を行っているところも実はあります。
総務省としても、やはりこうした多様な人材を確保していくことは極めて大事である、こう考えておりまして、こうした中途採用された職員の体験談、こうしたものを実は幅広く紹介をいたしております。また、昨年十二月にまとめました再チャレンジの支援プラン、この行動計画の中でも、
地方公共団体においても中途採用の推進が盛り込まれております。これを踏まえ、今後とも
地方公共団体に対しての中途採用、この推進というものを総務省として推進をしてまいりたい、こう考えております。
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございます。
地域によっても様々実情はあるかと思いますが、
是非とも、先ほども申し上げましたが、
国民の皆様の生活の場に近い、より良い、本当に近い場でもありますので、そういった
意味でも
是非積極的にこの
地方公務員の中途採用の拡大、進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、次の質問に入らせていただきますが、この
戦略の中で、自らの能力を発揮できる社会の
実現ということで、ジョブ・カード
制度の運用が盛り込まれております。これは求職者、企業の双方にメリットがありまして、フリーターなどの方の求職、就職活動を円滑にする、そういった画期的なシステムであると評価をしております。
しかし、このジョブ・カードがその人の職業能力、また人材としての格付になるようなものにならないように、そういった配慮をする必要もあるかと思っております。
働く意欲のある人、そういう方々の能力のステップアップ、これが図れるような柔軟な
制度にすべきであると思っておりますが、御見解をお伺いいたします。
-
○
国務大臣(
大田弘子君) ジョブ・カードは、今
先生がお話しになりましたように、フリーターや子育て後の女性など、仕事を続ける人が実際の企業の現場で職業訓練を受けることを支援する
制度です。まず、コンサルティングを受けまして、企業の中でトレーナーに付いて職種ごと、業種ごとに作成されたプログラムに沿って訓練を受け、目標
水準を達成した場合にその実績評価がジョブ・カードに記入されるというものです。
したがいまして、その格付をしたりランク付けをするというものではありませんで、訓練を受けて、その実績の評価が書かれるということになります。大学や専門学校でも実績型
教育プログラムを用意しまして、それを受講した記録もジョブ・カードに記入されます。
これまで
日本は企業内訓練が主流でしたので、正社員になれないと能力を高める機会も得られないと。したがって、一度フリーターになりますとフリーターにとどまらざるを得ないということがございました。それが
格差を固定化しがちですので、ジョブ・カードは、この企業内訓練を社会横断的な訓練へと転換させるものになります。
是非、実効性ある柔軟な
制度に育てていきたいと考えています。
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
この
制度運用に関しましては
厚生労働省の方でもかかわることでございますので、御答弁は結構でございますが、
是非、
厚生労働大臣、こちらの方もよろしくお願いしたいと思います。
次の質問に入らせていただきますが、この
戦略の中では、先ほども申し上げましたが、自らの能力を発揮できる社会の
実現を目指すとうたわれておりまして、こういった社会の
実現にはやはり
教育が大きくかかわってくるかと思います。働くということは、ただ単に生活のためだけではなくて、自分自身の
可能性や個性を発揮して生かしていく場である、そういったような考え方、大目的を持って自分たちの
進路、
方向性を決めていけるような、そういった
教育が必要であると思っております。
そこで、
文部科学大臣にもお伺いしたいと思いますが、これまで
文部科学省におかれましても、職業体験やキャリア
教育、こういったものを活発に展開していただいておりますが、私は昨年、
文部科学省の専修学校を活用した職業意識の啓発推進事業、これの一環といたしまして、鳥居徹也さんという方が授業されておりますフリーター・ニートになる前に受けたい授業、この授業を視察させていただきました。この
先生はメディア等でも取り上げられておりますので御存じの
委員の方も多いかと思いますが。
この
先生の授業内容でございますが、これは、フリーターと正社員の生涯賃金の差、そのほか、健康保険のないフリーターが風邪を引いたらどのぐらい診療代が掛かるのか、こういった具体例を出しまして、クイズ形式で、子供たちに関心を持ってもらえるような、また、子供たちを楽しませながらこういった講演をされておりました。
この授業は、ただ単にフリーター、ニートの
現状を訴えるだけのものではありませんで、働くことの意義や自立することの意義、また、この
先生御自身のサラリーマン時代の自分の失敗談を通して、先ほども申し上げましたが、働くことの意義、自立することの意義、こういったことをこの授業を通して訴えられておりました。
私も、正直、最初は学校の中でこのような授業が必要なのであろうかという少し疑問もあったんですが、この
先生の授業を受けまして、また生徒の感想を聞きましたときに、こういった
教育も必要であるなという、感じることがありました。
それは、中学生の感想でありましたけれども、私は将来フリーターになろうと思っていましたと、フリーターは楽しくて自由に仕事ができる、そう思っておりましたと、ですので、今日
先生の話を聞いて自分の
進路、
方向性をもう一度考えてみようと思いました、こういった感想があったり、また中には、自分はこれからどうしていったらいいか分からない、半分あきらめていましたと、でも、努力すれば今からでも間に合う、そういうことが分かりました、こういった声が割と、割とといいますか、大半を占めておりまして、私も驚いたんですけれども。
やはり、先ほども申し上げましたが、生きる
方向性を決めるような、仕事の面でももちろんですけれども、こういった
教育が今大変に重要ではないかと思っております。そういった
意味でも、引き続き
文部科学省におかれましても、能力発揮社会、この
実現に向けた
教育、大変重要かと思っておりますので、今後どのように取り組んでいかれるのか、決意も含めまして、
文部科学大臣にお伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) 先般、国会でお認めをいただいた改正
教育基本法には、
教育の目標というのを御承知のように書いておりますね。その第二条に書いております目標の第二項に、正に今
先生がおっしゃったことが書かれているわけです。個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を養い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うことと。これを、いずれ学校
教育法を改正し、そして指導要領の中に、今もそれは既にあるわけですけれども、更にしっかりと書き込んでいくということになると思います。
具体的には、今おっしゃったような、働くということの
意味、そして、損得勘定だけで言えばいけませんけれども、フリーターやニートでやっていくということとの随分な
経済的な違いが出てくるということ、今おっしゃったような、こういうことなども教えなければいけませんし、同時に職場の体験をして働くことは楽しいんだということも学ぶ必要がありますし、例えば、高等学校などに私は拝見に行ったんですけども、工業高等学校なんかだとみんな目が輝いていますよ。そして、会うと必ずあいさつをしますね。一般の高等学校と違います、かえって。
そういう
教育をやはりしていくということが非常に私は大切だろうと思いますが、ただ
一つ注意をしておかなければいけないのは、私は、フリーターになりたいと言われるのはやっぱりちょっと困るんですよ。しかし、現にフリーターである方、ニートである方がすべて悪いという感覚を持ってやっぱり接しない方がいいと思うんですね。いろいろ仕事を自分でやったけれども、どうも仕事に合わなくて、次の定職を見付けるまではフリーターでつないでいるという人もいるわけですし、それからニートも、ある仕事を見付けて一生懸命やったけれども、しばらく次の仕事を見付ける間は職業にも就かないし学校にも行かないという方もいる。人それぞれやっぱりあるわけですから、そういう方を許すだけの
経済規模に
日本はなっちゃっているということなので、個人の価値観に係るところはやはり誘導して直していくのが必要なんで、頭からニートやフリーターが悪いという感覚でやりますとやはり少し私は間違ってくるんじゃないかという気がしておりますから、そうならないように子供のころからやっぱり教えていくということを重視をしていきたいと思います。
〔理事
吉村剛太郎君退席、
委員長着席〕
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
中高生におけるキャリア
教育の重要性ということで私もお話しさせていただきましたが、
大臣も現場の方に行かれて子供たちの様子も見ていただいたと伺いました。
是非、関連の
大臣の皆様もこういったキャリア
教育、職業体験、こういった現場でまたどういうことを進めていけばいいのか、現場に行きますと様々工夫をしたりされているところも多いかと思いますので、
是非そういった
意味でも現場に行っていただいて、また先ほども申し上げましたが、中高生中心としたキャリア
教育の充実に更に取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
続きまして、また
大田大臣の方に質問させていただきたいと思いますが、この
戦略の中で生産性の向上と最低賃金の引上げについて盛り込まれております。この
戦略の中では、中小企業等における
生産性向上とともに最低賃金を引き上げるための
取組を推進するということでございますが、これは、生産性の向上が見られたら後追いで最低賃金を引き上げるという、そういったことなのか、今回のこの
戦略の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
現状においては、我が国の最低賃金は世界の
先進国の中でも低位にありますし、生産性の向上がそういった
効果が見られてからでは、最低賃金を見直すということでは遅いかと思っております。
そういった
意味で、この賃金の底上げについて、喫緊の
課題としてこの
成長政策と同時進行で、同時並行でしっかりと進めていくべきであると思いますけれども、御見解をお伺いいたします。
-
○
国務大臣(
大田弘子君) 中小企業の底上げ
戦略は、生産性の向上とともに最低賃金を引き上げてまいります。いきなり最低賃金だけを引き上げますと、中小企業には大きな打撃になります。
生産性向上と併せて取り組んでいきたいと考えます。これは、産業
政策と雇用
政策を一体的に運用する試みになります。
今後の方針につきましては、政労使の円卓会議で合意形成を行いつつ決めてまいります。
生産性向上を踏まえながら最低賃金を引き上げていくということで取り組んでまいりたいと思います。
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
ちょっと時間の
関係で詳しい
政策等はちょっと伺う時間がないんですけれども、いずれにしましても、先ほども申し上げましたが、この産業
政策と雇用
政策、これを一体的に運用、一体的に進めていくことが重要でもあると思いますので、
厚生労働大臣、これもう答弁結構でございますが、今私が申し上げたことも踏まえて、
是非とも今後検討、審議進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、今回の底上げ
戦略の直接的な
課題ではございませんが、厚労
大臣にお伺いしたいと思いますが、この雇用問題の
一つの
課題といたしまして、正規社員の長時間労働が挙げられております。家庭生活の充実、また
地域社会への様々なかかわり、貢献、また自己啓発など、こういったことを可能とするような仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスの推進が重要であると思っております。このワーク・ライフ・バランスの推進がひいては雇用する企業にも
プラスにつながることになると思いますし、
成長力の底上げにもつながると考えております。
今後、どのようにこのワーク・ライフ・バランスを推進させていくのか、この
取組を
大臣の方にお伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) ワーク・ライフ・バランスの推進、これはもう
委員御指摘のとおり、多角的に非常にいろんないい
効果が生まれるというふうに考えております。まず第一に、何といっても家庭の生活が充実したものになるでしょう。そうしますと、先ほど来話のありますように、子育てを夫婦、お父さん、お母さんで共同してやるというようなこともできますでしょうし、また
地域への貢献、いろんな活動もできるでしょう。さらにはまた、自己啓発というような時間も生み出すことができるだろうというようなことで、様々に
効果があることでございます。そういう
意味合いで、私ども、今年度の施策におきましても、いろいろとこの長時間労働の抑制を始めとする労働環境の整備を行おうとしているところでございます。
五つばかりちょっと触れますが、第一に、法定割増し賃金率について、これは中小企業の皆さんには配慮しつつこれを引き上げるということで、労働基準法改正案を今国会に提出をいたします。
それから二番目に、時間外労働の
削減に積極的に取り組む中小企業に対する助成金を創設いたします。
それから三番目に、限度基準告示におきまして、
一定時間を超える時間外労働をできるだけ短くするように努めるということでの、これまた法律の改正を行うわけでございます。
それから、労働基準監督署による重点的な監督指導の
強化を行います。
それから最後に、労働時間等設定改善法に基づく労使による
取組の推進等を図りまして、いずれにせよ、長時間労働の抑制に取り組むことといたしております。
以上でございます。
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
今るる
取組を御紹介していただきましたが、これもやはり企業の皆様、また社会全体の意識変革がまず重要にもなるかと思いますので、そういった
意味でも
是非、
厚生労働省としましてもリーダーシップを発揮していただいて、この意識変革、まずそこからも進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
大田大臣に最後お伺いいたしますが、この
戦略は
平成二十年度から本格的に実施すると伺っておりますが、今抱える様々なこういった
課題がございますので、少しでも可能な限り早く施策を講じていくことが重要であると思っておりますが、この
戦略のスケジュール、見通しについてお伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(
大田弘子君) 政労使の円卓会議は、三月中にも設置し、推進体制をつくります。その上で、十九年度に本格実施への準備とともに先行的な
取組を行います。例えばジョブ・カードにつきましては、円卓会議の下に構想
委員会をつくりまして、準備の整った業界や企業から先行プロジェクトを実施することといたしております。そして、二十年度に本格実施いたします。
戦略全体として、原則として三年間に集中的に取り組むこととしております。
-
○鰐淵洋子君 済みません、重ねての要望になりますが、少しでも早く、前倒しできるものは早急に取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、視覚障害者の方に対する支援について質問させていただきたいと思います。
先日、視覚障害者の方に私がお会いしましたときに、自分の点字の名刺をその方にお渡ししました。しかし、その方がおっしゃいましたのが、せっかく名刺をいただきましたが私は点字が分からないんですということで、済みませんということでその方がおっしゃいまして、これまでも視覚障害者の方の中で点字が利用できない方は多いとは伺っておりましたが、今回改めて、そういう方々にどういった支援が講じられているのか今回質問させていただきたいと思いました。
そこで初めに、この視覚障害者の方の人数と、またその視覚障害者の中で点字を利用できる方の人数を教えていただきたいと思います。
-
○
政府参考人(
中村吉夫君) お答え申し上げます。
厚生労働省が
平成十三年六月に実施をいたしました実態調査によりますと、我が国におけます視覚障害者は約三十万人でございます。その中で点字ができる方は、およそ一割に当たる三万二千人と推計しております。
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。点字を利用できる方は全体の約一割ということでございました。
私たちの日常生活の中で書面や印刷物から情報を得ることが多いのですが、新聞や書籍からは社会情勢や生活にかかわること、またそのほか公共料金の請求書、通知書、また銀行の通帳、
医療情報、こういったプライベートにかかわることなど、書面から瞬時に私たちは情報を得ることができますが、それに対しまして視覚障害者の方は、まあすべてに点字が付いているわけでもございませんし、また点字をできる方も本当に少ないということで、こういった方々への情報収集、これが大変に今困難な
状況に置かれているのではないかと思います。
今の言い方で言いますと情報
格差、これがあるんではないかと思っておりまして、こういった方々への、視覚障害者の方々への情報支援が今どのようになっているか、
現状を教えていただきたいと思います。
-
○
政府参考人(
中村吉夫君) 点字を習得されておらず、利用できない視覚障害者の方につきましては、残存視力能力の
程度やあるいは利用の目的等に応じまして、音声や拡大文字など、様々な方法により情報を入手されているところでございます。加えまして、視覚障害者用のポータブルレコーダーなど情報支援機器を有効に活用することで、手に入れることのできる情報の幅が広がり、利便性が向上しておると認識しております。
情報支援機器につきましては、障害者自立支援法の
地域生活支援事業の
一つでございます日常生活用具給付等事業におきまして、市町村の判断において給付されておるところでございます。
平成十六年度の給付実績について見ますと、視覚障害者用ポータブルレコーダーにつきましては七千三十八件、それから視覚障害者用活字文書読み上げ装置につきましては四百五十五件、視覚障害者用拡大読書器につきましては三千八百九十九件というふうになってございます。
さらに、十八年度の補正
予算におきまして、公的機関に情報支援機器等の整備を緊急的に行う特別対策を十八年度から二十年度にかけて講じることとしております。
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
今、情報・意思疎通支援用具、こういったものが視覚障害者の方に給付されるということで御紹介していただきました。
今日、資料をお配りさせていただいておりますが、この主な支援機器をこちらに紹介させていただいております。
上の方がポータブルレコーダー、これは録音図書を聞くための、再生するための機械、再生機でございます。その下の機械が活字文書読み上げ装置というもので、この右下の二センチ四方のバーコードに約八百字
程度の情報が記録されておりまして、このバーコードをこの装置に差し込むことによって音声で再生ができる、こういった機器だと伺っております。
先ほども申し上げましたが、ほとんどの方が点字をできない。そういった中で少しでもこの情報収集、視覚障害者の方がスムーズにできるようにしっかりとこういった支援事業を周知していくことが大事かと思っております。なかなかこういった支援事業や支援機器があるということを御存じでない方が多いと聞いておりますので、例えば市町村におきまして研修会なり展示会なり、こういった支援がある、こういった支援機器がある、こういったことを
是非ともきめ細やかに皆様にお知らせして、そういった
取組を進めていただきたいと思っておりますが、
厚生労働省の
取組をお伺いしたいと思います。
-
○副
大臣(石田
祝稔君) お答えいたします。
視覚障害者が情報を取得する際には実際に触れて体験することが重要であり、議員から御指摘のあった
福祉機器展等につきましても有効な
取組の
一つだと、このように考えております。そのため
厚生労働省といたしましても、
一つは、視覚障害者のための情報支援機器の展示会であるサイトがある、これは去年第一回を開いたわけですけれども、こういうこととか、全国規模で定期的に開催されている国際
福祉機器展、こういうものの
関係団体の実施する展示会に対し後援等を行っております。
また、日々、情報支援機器に触れる場として、
一つは全国の点字図書館等における情報支援機器の展示や体験、そして
二つ目にはIT関連施策の総合サービス拠点である障害者ITサポートセンターにおける指導等を通じて、様々な情報支援機器等の情報提供にも努めていっているところでございます。今後もこうした
関係団体や自治体等と連携を図りながら、視覚障害者が情報支援機器を体験できる環境づくりに努めてまいりたいと思っております。
委員がいろいろと御提案いただいていることも大変大事な観点だと思っております。
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
是非、この視覚障害者の方への情報
格差を解消する
取組ということで、
大臣、
是非また先頭に立って頑張っていただきたいと思いますが、できましたら決意を一言お願いいたします。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 本当に鰐淵
委員が最初に御自身の体験を通じて、点字を読める方が実は視覚障害者の中に割と少ないんだという御指摘をいただきました。我々も、その点もう一度改めてその事実を再確認して、これからこのような方々に対する言わば情報のギャップを埋めていく、そういう努力をしないといけないということを心から思った次第でございます。
各般の施策については今副
大臣それから部長からお答えしたとおりでございますが、私からは、
関係省庁や
関係機関と連携しながら情報バリアフリーの促進に努力していきたいということを申し上げて決意表明とさせていただきます。
-
○鰐淵洋子君 力強い御決意、大変にありがとうございました。
続きまして、高市
大臣の方にお伺いしたいと思いますが、この障害者の方への公共窓口での対応ということでお伺いしたいと思います。
やはり、今申し上げました視覚障害者の方も様々
状況ございますし、そのほかにも様々障害をお持ちの方がいらっしゃいます。そういった方々が公共窓口において適切なサービスが受けられるように、そういった
取組を
是非とも推進していただきたいと思っております。
公共サービス窓口における配慮マニュアル、こういったものも作成されていると伺っておりますが、改めてこの公共窓口におきます適切な対応を要望したいと思いますが、
大臣の御見解をお伺いいたします。
-
○
国務大臣(高市早苗君)
内閣総理
大臣が本部長を務めております
政府の障害者施策推進本部におきまして、この今御紹介いただきました配慮マニュアル、これは公共サービス窓口における障害者の方への対応のマニュアルなんですが、これを作成しまして各窓口の対応円滑化を推進しております。
それから、窓口利用に当たりましては点字に加えましてスーパーコード、SPコードでございますね、この情報読み上げ等の新技術が開発されておりますので、
内閣府の方では障害者週間の中でこの広報、スーパーコードについては広報をさせていただいております。
それからまた、障害者施策推進本部の下に設置されました課長会議がございまして、ここで各省庁に対して情報提供を行っております。
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。
次に、官房長官にお伺いいたしますが、昨年の十二月に国連総会におきまして障害者権利条約が採択されました。障害を理由とする差別を禁止して、障害者に他者との均等な権利を保障することを義務付ける条約でございます。この条約を早期締結すべきであると思いますが、
政府の御見解をお伺いいたします。
-
○
国務大臣(塩崎恭久君)
先生御指摘のように、昨年の十二月の十三日に国連の本会議におきましてこの障害者権利条約が採択をされました。
我が国は起草段階からかなり積極的にかかわってまいったところでございますけれども、今後は国内で、例えばこれは障害者基本法であるとか学校
教育法であるとか、こういった法律、国内法、必要な措置をとらなきゃいけないということで検討を行っているところでございます。
これを早期に、できる限り早期に締結できるように
政府としても検討を進めてまいりたいというふうに思っておりますし、今、国内の
関係省庁、
関係各課を構成員といたしまして障害者権利条約に係る対応推進チームというのをつくって、ずっとこのところこれを検討をしているところでございます。この推進チームを中心に、早期締結に向けて頑張っていきたいと思っております。
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
是非、障害者の方の権利保障につながる重要な条約でございますので、
是非とも早急な対応をよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、
教育関係で質問させていただきたいと思いますが、最近、昨今、いじめや不登校、また
教育格差などの問題が、そういった
課題が、私たちの党にもそういった声が届けられておりまして、私たちとしましてもしっかり現場に行かせていただいて、またお子さんや学校の
先生、また積極的にそういった問題について対策を講じている自治体、そういった方々の視察を重ねてまいりました。そうしまして、緊急性の高い
課題に絞りまして、緊急提言・現場からの
教育改革、こういったものを党としてまとめさせていただきました。
その中で、この
一つの項目でございますが、
教育の機会均等のための公
教育の充実ということで、幼児
教育の
負担軽減も含めたこういった
取組が重要ではないかということで取り組ませていただいております。これに対する
大臣の御見解ありましたらいただきたいと思います。
-
○
国務大臣(伊吹文明君) 三つ子の魂百までと言いますから、小さなときに基本的なことをしつけるということは極めて大切なことだと思います。
今、小学校の前は、いわゆる
福祉施策としてずっと行われてきた保育と、それから
教育として、幼児
教育として行われてきた幼稚園とありますが、どうも、私も現場を幾つも見に行きましたけれども、実態的にやっておられること、子供に接しておられることはそんなに違わないんじゃないかという気もしますね。そういうことからすると、
負担の問題のバランスその他がありますから、この幼児
教育について義務
教育化しろという御意見が出てくるのは自然の流れだろうと思います。
ただ、これを義務
教育化するということは、これはもう申すまでもないことですが、膨大な
国民負担が掛かりますね、義務
教育は無償と憲法に書かれているわけですから。ですから、去年の七月七日に閣議決定をしたいわゆる
骨太の方針と言われるものの中では、幼児
教育の将来の無償化について、今申し上げた歳入改革と併せて、財源、
制度の問題を総合的に検討しつつ、当面は就学前の
教育について保護者
負担の軽減を図るなど幼児
教育の振興を図るということを
内閣として決めております。
したがって、税制改正ができ上がるまでは幼児
教育の振興を図るということだと思いますし、税制改革はとかく
福祉、
年金ということを中心に論じられがちでございますが、
厚生労働大臣が手を挙げるときは文科
大臣も必ず手を挙げさせていただきたいと思っております。
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
その
教育の機会均等のための公
教育の充実ということで、
一つ課題といたしまして、授業が分からないからもう学校に行けない、こういったことが理由で不登校につながったりとか、また先ほども申し上げましたが、この
教育費の
負担が掛かるということで、これが子育てしていく上での
一つの阻害要因といいますか、そういった声もございますし、いろんな
意味でこの審議を進めていかなければいけない
課題もあるかと思いますので、また具体的に
委員会の方でも質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、放課後子どもプランについてお伺いいたします。
この放課後子どもプランは、子供たちの安全、
地域で子供を育てていくという観点から大変すばらしい
取組であると期待をしております。そこで、
文部科学省におかれましては、この放課後子ども教室、来年度は一万か所実施ということで、しかし全国の小学校は二万強ですね、二万校以上ありますので、更なるこの全国展開に向けた拡充が必要であると思っておりますが、御見解をお伺いいたします。
-
○副
大臣(池坊保子君)
平成十六年度から、私たちが通称居場所づくりと言っておりました子ども教室推進事業の後、その
強化と拡大でこれをいたしております。しっかりと
予算も拡充いたしまして、六十八億二千万計上しておりまして、これはどういうのに使うかと申しますと、例えば学習アドバイザー、それからコーディネーター、安全管理員などの謝礼でございます。それから、新たに催すための教室において設備費、これは八億五千万、コーディネーターの育成に一億五千万等を計上しております。
ただ、今おっしゃいますように、計画は一万か所というふうに思っておりますけれども、これは
地方公共団体の
財政措置でございますので、三分の一都道府県は持っていただいて、市町村が三分の一持っていただくということです。ですから、なかなか今
財政が県などのレベルでは難しくて、これができないというところもございますので、これは社会総掛かりの
教育ということが求められております。放課後、子供たちがきちんとした居場所をみんなの力によってつくっていくということは大変必要なことだというふうに思っておりますので、
教育委員会を通しまして周知徹底を図るとともに、都道府県、市町村レベルで
是非これをやっていただくように御協力をいただきたい。何しろ子供に掛けるということを最重要
課題に県も市もするようにということで、私どもは力強く今
教育委員会等々に働き掛けているところでございます。
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
同じ観点から、このような
取組を
是非中学校でも行ってはどうかと思っております。中学生になると様々個人の意思も出てまいりますが、この放課後の子供の安全、
地域で子供を育てるという観点からも、中学生でもこういった展開もあってもいいのではないかと思っておりますが、御見解をお伺いいたします。
-
○副
大臣(池坊保子君) 取りあえず今小学校一万か所ということですけれども、まだ一万か所に達しておりませんので、私は中学校でも
是非やるようにというふうに、それぞれの
地域の事情に応じて
是非してほしいというふうに進めて、推進しております。
おっしゃいますように、今中学校が一番いじめだとか校内暴力があるんです。お母様方も、子供が中学校になったから働こうかしらんとお思いの方もいらっしゃいます。多感な中学生の居場所をしっかりと確保することは、いじめやまた校内暴力などを防ぐことにもなるというふうに思っておりますので、私は
是非これは中学校にも強力に働き掛けていきたいというふうに思っておりますし、二十年度からは更にそれを進めたいと思っております。
十八年度においても、今中学校で活動しておりますのは四%ございます。それから、中学校の生徒のみを対象としているのは一%ということですが、一%というのはいかにも少ないというふうに思いますので、これは倍増していきたいと思っております。
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
最後に、日中
関係について質問させていただきます。
今後の日中
関係、より良い
関係を発展させるためには、次の世代を担います青年の交流が私は重要になってくるかと思います。今後、
政府を挙げまして、積極的にこの大型の青年相互の交流を進めていただきたいと要望させていただきたいと思います。官房長官にお願いいたします。
-
○
国務大臣(塩崎恭久君) 日中
関係でこの青少年の交流というのが極めて大事だということは御指摘のとおりだと思っておりまして、昨年から二十一世紀交流事業ということで、高校生を中心として、短期、長期、たくさん中国からおいでをいただき、またこちらからも高校生に行ってもらうということでございます。
今年はちょうど国交正常化三十五周年でもございますし、日中文化・スポーツ交流年というのが今年に当たっております。そういう中で、東アジア・サミット参加国を中心に、今後五年間で毎年六千名の青少年を招く交流計画を実施していくことになっておりまして、中国につきましても最大限の規模で交流を進めて、相互理解に基づく未来志向の
関係を築いていこうというふうに考えています。
昨年は約千名、先ほど申し上げたように青少年を
日本に招いたわけでありますけれども、今年はこの数の大幅な
増加を図っていこうと。昨年は、約四十名ぐらいの方は中国から高校生で一年間の予定でホームステイで各地で滞在をしていただいています。私の地元でも一人、県立高校に預かりながらホームステイでやっておりますけれども、私自身が高校のときに
アメリカに一年ホームステイでいましたが、引き続き、そういうつながりが非常に大事な二国間
関係にもつながっていきますので、ホームステイでも
是非たくさんの中国の子供たちを預かりたいというふうに考えておりますので、また、ホームステイをやってくださる方がたくさんいないと、なかなかいい先を探すのも苦労しているものですから、
是非御協力をいただきたいというふうに思います。
-
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
最後に、
冬柴大臣に質問させていただきます。
これから人の流れ、物の流れ、これを更に発展させていくために、そのかぎといたしましてこの羽田空港と上海の虹橋空港、このチャーター便の就航が大変に期待されているところでございます。今後の見通し、お伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 上海の虹橋空港は上海市街から十二キロという至近の距離にありまして、十数キロの羽田と虹橋の間で飛べば、日中交流は金浦と羽田のようにすごく乗客の便利にも資することができますし、大いに伸びるだろうというふうに期待しています。そういうところから、昨年、安倍総理が就任されて初めての訪問国を中国と定めまして、十月の初めに中国に行かれて温家宝主席とお会いになったときにこの話を、今の話をされまして、両者でそれは前向きにやろうという合意をされたわけでございます。
しかしながら、大変難しい問題がある。それは、虹橋は国内線専用であるということから、CIQという、税関とか諸施設を全く取り払ってないということとか、上海の発展でその国内線も大変に立て込んでいるというようなこと等が、障害があったわけです。しかしながら、これは前向きにしようということで、私も十二月の初旬に中国へ行きまして、楊元元民用航空
局長と会いまして、この問題は首脳間で約束したことなんだから、これは早急に
実現をして、今年は、先ほどのお話にありましたように日中国交三十五周年の佳節を刻む年でもあり、日中の文化交流年でもあるし、そしてまた上海において行われる博覧会ですか、万国博覧会等も射程に入れれば絶対これは必要だということでいたしましたところ、いろいろ困難があるけれども頑
張ります、任してくださいというような話までしていただきました。
その後も、今月七日、八日に、私の方から
審議官を中国へ派遣しまして、この問題についても協議をしていただきまして、向こうも本気になってやるという意思があるようでございまして、できる限り早期に
実現したいと考えているところでございます。
-
○鰐淵洋子君 終わります。ありがとうございました。
-
○
委員長(
尾辻秀久君) 以上で鰐淵洋子君の
質疑は終了いたしました。(拍手)
─────────────
-
-
○
吉川春子君
日本共産党の
吉川春子です。
白ナンバーダンプの運転手の労働実態についてお伺いいたします。
今年の年明け、一月九日に全労連建交労栃木支部がダンプトラック百三十台も参加してストライキを決行いたしました。砕石の運搬は時間給で五百三十一円にしかならない、栃木県の最賃以下だと、このように訴えて、マスコミ各社も大きく報道しましたけれども、その有様は映像で見ても壮観でした。こんなことをしたら仕事が干されるかもしれない、しかし運転手さんたちは決死の思いでストライキに出ました。公共事業に使う生コンに砕石は欠かせないものです。生コンの砕石は首都圏の需要の三分の一を栃木県が供給しています。それを運搬する運転手の労賃は最賃以下です。採算割れの単価では廃業者が増えています。そうなれば、生コンの砕石等の安定供給ができなくなります。
そこで、国交
大臣にお伺いしますが、
政府は一九九八年にダンプカーによる土砂等の運搬に関する実態報告書を出し、八八年の十月にダンプカーによる交通事故及び違法行為の防止対策について提言を出しました。白ナンバーのダンプカーの
現状をどのように把握しておられますか。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君)
委員が今述べられたとおり、いろいろな零細な業界構造を改善しなきゃならないという観点から、協業化を進めるようにしてまいりました。
その結果、
一定の改善が見られたところでありまして、昭和でございますが、五十年には十万九千百十二事業者が自家用ダンプを使用していたわけでございますが、十七年には六万五千六百十二にまで減らすことができております。そして、その中でも一人が一台持っているというのが圧倒的に多いわけですけれども、五十年には七万八千台ありましたが、この今年、十七年度にはそれが四万七千五十六台まで減っております。
そういうことで、いろいろと手を打ったところ、そのような結果が出ているというふうに思います。
-
○
吉川春子君 ダンプカーの廃業が増えているという
数字ではないんですか。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 廃業ではなしに、五台以上持った協業が進められているという実態でございます。
ちなみに、営業用ダンプ事業者数というものは、昭和五十年には三千七百三十四事業者でございましたが、
平成十七年には一万二千二十五事業者になっております。
-
○
吉川春子君 私は、栃木県に行ってダンプ運転手の実態を調査してみました。
資料を三枚お配りしておりますけれども、まず資料一は、生コンの材料の石灰等を運ぶダンプ運転手は一日十五時間から十六時間労働という長時間労働です。これは、青色が労働時間、水色が睡眠、白が食事その他。睡眠時間が四時間半、ハンドルを握りながらお食事をし、お握りを食べると、こういう実態です。
それから、資料二は、Aさんの例ですけれども、過積載と法定積載の収入の比較をしております。余りにもダンプの運賃が低く、過積載なしで
計算すると、燃料代を引くと一日二千六百五十五円しか残りません。栃木県のダンプ労働者は、一日に東京へ一往復あるいは二往復、往復した後、浦和や茨城など近場を数回往復するなどの長時間労働です。燃料の軽油は、過去五年間でリッター六十円から百円に一・七倍になりました。ダンプ単価は燃料代に消えてしまうんですね。ダンプ単価の三分の一は車のローン、三分の一が燃料代、残りの三分の一が生活費です。
それから、資料の三なんですけれども、そういうわけで、運転手さんが受け取る賃金というのが、労賃というのが最賃以下なんです。これはパネルと同じ資料をお配りしておりますけれども、(資料提示)青いところが生活保護基準、黄色いところが最賃、これ以下がダンプの労賃という形になっております。
これは本当にダンプの単価の改善というのが、
大臣、必要なんじゃありませんか。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 国土交通省が所管をいたしておりますのは、いわゆる建設業法によってどういうふうにするかということでございますけれども、建設業法に言う請負というのは建物等の完成を引き受ける作業でありますので、土砂とか生コンを運ばれるものを直接そういうふうに所管するところではないわけでございます。
しかしながら、今
委員が指摘されたように、相当劣悪な状態で働かされるということがないように、我々としましては、建設業全体の健全な発展とかそういうものを図りまして、建設業者に対して行う指導、例えば契約を作りなさいとか、あるいは単価はこういうふうにしなさいとかいう、そういうものをこういう業界にもできるだけそれに準じて扱うようにしてほしいという要請を建設業団体等に行っているところでございます。
その単価等につきましては、我々の方では公共工事の行う入札等に資するために予定価格というものを作成するわけであります。そのときに、十トンダンプトラックの一日当たりの積算価格、単価というものを公にしております。これは、工事発注の時期や場所によって個々に算出されるものでありますけれども、二〇〇六年四月の東京地区においては、諸
経費を除き四万三千円としております。その内訳は、一般運転手の一万五千三百円、燃料を七千四百円、それからダンプトラックの償却費、損料ですね、これを二万三百円としております。そういうものを流通実態を踏まえて
地域別かつ定期的に調査し、それらの平均値や最頻値から
地域別に決定しているわけでございまして、先ほど述べました東京地区においての四万三千円というのはそういう
意味でございます。
-
○
吉川春子君
大臣、
一つ伺いますが、白ダンプは国土交通省が担当してないとすると、どこで担当しているんですか。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 本来は青、営業用の運送業者として届出をしてほしい、そのためには五台持っていただくということになりますので、先ほど、冒頭申し述べましたように、そちらの方へできるだけ集約をしてやっていただきたいということをやってきたところから、先ほど述べましたように、個人の白ナンバーというのは徐々に減って協業化が進んでいるというのが現在の実態でございます。
-
○
吉川春子君 どこが担当しているんでしょうか、伺います。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 契約に基づいて、自ら契約自由の原則に基づいてそれをやっていられるということ、商売をやっていらっしゃるということでございまして、我々は監督しているわけではありません。
-
○
吉川春子君 マル建、マル販のマークはどこが出しているんですか。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法というものがありまして、土砂等の運搬の用に供するための大型自動車を使用しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を
国土交通大臣に届け出るとともに、表示番号の指定を受けなければならないと。これは四十二年の大変多くの事故が起こったりしたときに作られたものでございまして、そういう特別措置法に基づいて行われているわけであります。
-
○
吉川春子君 白ナンバーの担当省庁は、それではどこなんですか。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 先ほどから述べているように、安全に関する部分についてはこの特別措置法で我が国土交通省が担当いたしておりますけれども、その価格がどうだとか、そういう問題については自らやっていただく以外にないわけでありまして、業法としてされる場合には、五台以上の営業車をお持ちになれば我々の方で所管をさせていただくことになります。
-
○
吉川春子君 公共事業の原料を圧倒的多数の白ダンプが運んでいるんですけれども、その面倒を国土交通省は知らないと、契約だから勝手にやってほしいと、そういうことですか。
今
大臣の御答弁では四万三千円という
数字が出ました。そうだと思うんですが、実際に白ナンバーの方は一万八千円ぐらいしか収入がないという資料をお示ししています。こういうものについてきちっと指導をして改善していくという責任はどこの省庁が負うのか、言ってください。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) これは一人親方で自ら営業をやっていらっしゃるわけですから、管理をするといっても何を管理するんですか。私どもは、事故は防がなきゃならないということで、そういう法律、特別措置法に基づいて届出をしていただき、そしてボディーに大きな字で識別できるように、汚れても事故を起こした場合にはそれが見られるように、そういう措置はとりますけれども、御商売を幾らの値段でされるかということまで私どもは、もしそれが運輸業ということになればそれは我々の所管になりますけれども、運輸業じゃなしに白ナンバーで、自家用の車で自ら営業される、それは、それまで我々は禁止できないわけでありまして、契約自由の原則に基づいて、本人が需給に従って決められた値段で営業をされるということになるんではないでしょうか。そういうことだと私は思います。
-
○
吉川春子君 いろいろ、契約自由の下にいろいろ御商売されてても、それぞれその担当する官庁、省庁があって、そういうところが行政指導しているんですけれども、白ナンバーのダンプについては、じゃそういう官庁はどこもないと、こういうことですね。
-
-
○
吉川春子君 公共事業の一番重要な材料をたくさん運んでいて、ここに頼っている、そこの、法律がないことは承知していますけれども、行政指導その他について、全く指導したり見る官庁がないというのはこれは欠陥だと思いますけれども、いかがですか。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) どこ、だれを指導するんでしょうか。元請、下請の
関係で、元請にもっと金払ってやれという指導をせいということですか。それとも、そこら辺がちょっと、私、ちょっと
委員の御
説明では分かりにくいんですが。
-
○
吉川春子君 じゃ、どこもないという理解でよろしいんですね。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 白ナンバーのダンプカーを持っている人が業をやっていても、それを、業を監督するところはございません。
-
-
-
○
吉川春子君 罰する法律がないどころじゃなくて、ちゃんと国土交通省がマークを与えて認めているわけで、違法でも何でもないんですね。それで、そこはきちっと欠陥であるということを指摘をしておきます。
公取委に伺いますけれども、物流特殊指定の目的は何でしょうか。
-
○
政府特別補佐人(竹島一彦君)
平成十六年に下請法を改正いたしまして、それまで製造業、修理業だけが対象だったものに対しまして、役務についても下請法の対象にするという改正をさせていただきました。
そのときの議論として、運送業においても下請
関係がある、それは分かっていると、しかしながら、荷主との
関係で不公正な取引方法ということになりがちであると、したがって、荷主と運送業者の間の取引について特定のものについてはこれは独禁法違反になりますよということを分かりやすく示すべきであると、こういう御議論がありまして制定したものでございます。
-
○
吉川春子君 そうすると、確認しますが、ダンプ労働者、白ナンバーも物流特殊指定の対象となるんですね。
-
-
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 過積載が行われているということが分かり、それが危険であると、事故も、それから車両の保安基準から見てもそういう重量に耐えられないという事故を起こす危険があります。
したがいまして、そういうものについて、土砂等を、先ほど言いました、運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法、いわゆるダンプ規制法というものを制定をして、自家用ダンプ及び営業用ダンプに対しまして、砕石、砂利採取等の事業の種類ごとに表示番号を表示し、自重計の取付けを義務化し、交通事故を起こした場合の自動車の使用の禁止などの規制を行ったわけであります。
過積載に関しましては、悪質、危険な事例が多く見られることから、
平成五年に過積載の取締り規定の整備及び罰則の
強化等の道路交通法の改正を機に
関係九省庁間で過積載防止の申合せを行い、
関係団体に通達を出しその徹底を図ったわけでございます。その結果、死傷者数は大幅に減少いたしました。昭和四十三年に一万四千三百十二名の傷害があったわけでありますが、そのうち七百八十六名が亡くなったという大変なことがありましたが、これが十七年には一万四千だったものが五千二百三十一名に減り、うち死亡者は七十八名、すなわち七百八十六名が七十八名、一割にまで減少させることができたわけであります。
そして、過積載に対する行政処分も大幅に減少いたしました。
平成二年は五千百七十八件でございましたが、十七年度には七百十八件と減少させることができたわけでございまして、過積載は大変問題であるという認識でございます。
-
○
吉川春子君 警察にお伺いしますけれども、過積載の対策として、ダンプ運転手だけではなくて、その背後の検挙というのも非常に必要なんですけれども、過去五年間のダンプ運転の過積載の違反での検挙数を教えていただきたいと思います。
-
○
政府参考人(矢代隆義君) お答え申し上げます。
過積載のダンプカーの検挙件数そのものは統計上把握してはおりませんが、過積載で検挙いたしましたダンプカーに対する道路交通法に基づく警察官に対する措置命令の件数でお答えいたしますと、
平成十三年七千六百八十三件、十四年七千八百六件、十五年七千五百二十八件、十六年六千四十八件、十七年は四千六百五十四件でございます。
-
○
吉川春子君
国土交通大臣、事故は業界や運転手さんの努力によって減ったんですけれども、過積載の実態は今報告のように減ってないんですよ。その背後に何があるというふうに御認識でしょうか。
-
-
○
吉川春子君 いや、実際にはかなり件数は多いですよね、減ってはいるけれども。
現実には件数は多いですよね。
-
-
○
吉川春子君 だから、劇的に減らない理由についてちょっとお伺いしています。(発言する者あり)済みません。
-
-
○
吉川春子君
現状で過積載の検挙数、かなり多いと思うんです、減ってはいるけれども。その背景に何があるかと伺っています。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 先ほど申し上げました特別措置法とかあるいは道路交通法の改正が行われたのは、そのような過積載が行われないようにするために取り締まるためにやったわけで、
現実にやはり七千件が四千件に減るという
効果はあったと思うわけであります。
しかし、
経済的にその背景は何かと言われれば、それはやはり相当熾烈な競争がそこにあるんだろうと思いますし、公共事業も半減しているんですね。
平成十年の十四兆九千億の
予算がありました、これは補正後ですがね。今審議していただいている
平成十九年度は、それから前年度比で三・五%削りまして六兆九千億、半分以下になっているんです。したがいまして、公共事業のものが、工事が激減しているということも
一つの背景だろうと思います。
-
○
吉川春子君 要するに、多くの運転手さんは、さっき生活実態示しましたけれども、過積載の部分で生活していると言っても過言ではないような実情があるんですね。過積載せざるを得ないほど、今
大臣もおっしゃった過当競争もあるわけなんですよ。
是非、
大臣、こういう重要な業界ですので、マークを与えているということもあり、
是非この実態を、昭和五十三年に調査していただいて以来その後していないんで、この実態をつかんで過積載、過積載というのは法違反ですから、本当はゼロじゃないといけないわけですよね。そういうことのために奮闘していただきたいと思いますが、いかがですか。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 先ほども冒頭申し上げましたように、我々は建設業法から、元請、下請
関係というものが健全になされ、契約がきちっと契約書によってなされ、そしてそれが正当な価格が保証され、元請の優越的な地位に基づいて不当な値引きとか一方的な値引きを強いたりするようなことはないようにという、その建設業法に基づいて、その建設業者に対しては、我々はそのような指導なり通達なりあるいは立入調査もしています。
そういうことまでやって不当なことが行われないようにしていますけれども、残念ながら、白の一台限りの持込みのものにつきましては、そのような精神に基づいて
是非そういうことが起こらないようにしてくださいという要請をするにとどめざるを得ないんですね。先ほど来、
説明しているとおりでございます、建設業法の対象に入っていないわけでございますから。しかしながら、我々は建設業者、元請の人に対してはそのような指導はしてまいります。
-
○
吉川春子君 七八年に調査をされましたけれども、それはどういう調査でしょうか。
-
○
政府参考人(岩崎貞二君) 昭和五十三年でございますが、当時、このダンプ規制法は
内閣官房の交通安全対策室が所管しておりましたけれども、当時、
大臣もおっしゃいましたように、ダンプカーによる交通事故が、非常に違法運行が多かったということで、ダンプカーの事故防止対策について総合的に調査をしたというものでございます。
-
○
吉川春子君 その調査はどこが引き継いでその後の実施をしていますか。
-
○
政府参考人(岩崎貞二君) ダンプ規制法は、国土交通省で所管しております。
-
○
吉川春子君 このときの調査に基づく指導が、実は
大臣さっきおっしゃったような事故の防止とか減少とかそういうところに結び付いているんですね。しかし、根絶には至ってなくて、今新たな問題も生じていますので、かなり前になりますので、もう一度この種の調査を引き継いでいる国土交通省でおやりいただけないかと、こういう要請でございます。
-
○
政府参考人(岩崎貞二君)
大臣、答弁させていただきましたように、事故なり違法がかなり減ってきております。そういう
現状にかんがみまして、かつ運賃等こうした問題については私ども直接所管しておりませんので、ダンプカーにつきましては、引き続き警察庁と連携取りながら、過積載の防止等について必要な対策を打っていきたいと、このように思っておるところでございます。
-
○
吉川春子君 それでは、
大臣、ここはどこが所管したらよろしいんでしょうか。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 営業をする業種ごとに所管の役所が全部なければならないということではないと思います。したがいまして、我々は五台以上の営業車を持つ業者につきまして、道路運送業として所管をさせていただき、そして監督をさせていただくんですが、白で営業しておられる方、一台持って、そこまで我々が所管していろいろ指導するとかどうとかいうところまでは、今のところ発想はありません。
-
○
吉川春子君 私はそれは大変問題だと思うんです。じゃ、白ナンバーのダンプの運転手さんたちはどこの役所を頼ったらいいんですか。それはもう私は本当に欠陥だと思いますね。
政府においてどこが担当したらいいのか、検討はしてくれますか。
-
○
国務大臣(
冬柴鐵三君) 今日、
委員からそのような質問があったことは重く受け止めさせていただきます。
-
○
吉川春子君 こういう人たちが、これから国会の議員会館も建てられますし、既に羽田空港も建てたし、そういう材料を運んでいるんですよ。そして、生活保護基準以下の、最賃以下の生活なんですね。
今度は柳澤
大臣にお伺いいたしますけれども、この白ダンプの運転手が労働者だという認定をしましたね。金沢地裁はどのようにして認定されたんでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 今、
吉川委員の御質問は、いわゆる労働基準法上の労働者性ということにかかわる御質問でございます。
労働者性の判断基準といたしましては、使用従属性というのが非常に重要な要素になっているわけでございまして、その
意味内容ですけれども、これは契約形式のいかんにかかわらず、仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対する諾否、これを承諾するか承諾しないかの自由性の有無ということと、もう
一つは、報酬の労務対償性ということなどのいわゆる使用従属性の有無等を総合的に勘案し、個別具体的に判断するということになっております。
この金沢地裁の判決について、私が今申しているのではなくて、一般論として申し上げているわけでございます。
したがいまして、請負契約の形式を取っていても労働者性が認められる場合には労基法の保護の対象となりますけれども、いずれにしても、勤務の実態というか、そういうものによって個別に判断することが必要になると、こういうことでございます。
-
○
吉川春子君 事務当局でも結構です。金沢地裁はどのようにして労働者性を認定しましたか。
-
○
政府参考人(青木豊君) この金沢地裁での判決でございますが、これについては、その労働者性につきまして、少なくとも毎年三月から十二月まで会社に専属していると、生活費を得るためには被告会社の業務に従事するほかはなかったと、そういうことでその就労の自由も
実質的に制限されていたと、それから報酬の態様の定め方についても労務と報酬の対償性が失われているとは言い難いということを理由に労働者であると認められて、その原告の請求が認容されました。
その後、これは名古屋高裁に控訴がされまして、控訴審におきましても第一審と同様に労働者であると認められて控訴が棄却されたというふうに聞いております。
-
○
吉川春子君 柳澤
大臣、このように、その白ダンプの運転手さんの中にはかなりの部分が労働者であると認定するような
状況があるんですね。判決は非常に詳しく認定しております。
こういうような人たちが最賃以下の、生活保護基準もちろん以下、最賃以下の労賃で働かざるを得ない。その人たちが重要な公共事業の原料を運んでいる。こういうことを考えたときに、やはりその生計費、国が決めている生計費以下で働くこれらの人たちについて、やはり最低限の生計費の基準というのはやはり保障していくというのが、すべての
国民に保障していくというのが、これが法の精神、憲法の精神ではないでしょうか。その辺についての御所見を伺います。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 最低賃金
制度は、言うまでもないことですけれども、労働者について賃金の最低額を保障することによって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上、あるいは労働条件の改善を図ることに資することを目的といたしているものでございます。
この場合の労働者は、労基法九条の労働者というものとされているわけでございまして、その判断は、先ほど来申し上げておりますように、個別具体的に判断するしかないと、こういうことでございます。
したがいまして、個別具体的な判断の結果、労働者性がないということになると最低賃金法も適用されないと、こういうことになります。もちろん、労働者性があるということになれば最低賃金法も適用されるわけでございますけれども、そのレベルについては、今度の私ども法改正によってその引上げを図っていくわけですが、その際の生計費的な要素の判断基準としては、生活保護の基準との整合性というものをよく考えてこれを引き上げる
方向で検討したいと、このように考えているところでございます。
-
○
吉川春子君 さっき国交
大臣に激しく迫りましたけれども、頑としてうちは面倒見ないよと、こういうふうにおっしゃったわけですね。そして、今度、労働者性もないよと今度厚労
大臣にも冷たくされますと、一体この人たちはどうすればいいんだと、こういうことになるんですよ。
だから、少なくとも生計費、最低限ですね、そういう基準以下で働いている人々については、この精神というものは及ぼさなきゃなんないと思うんですけれども、その点については、柳澤
大臣、いかがお考えでしょうか。
-
○
国務大臣(柳澤
伯夫君) 労働者性がないということになりますと、労基法も適用にならないし最低賃金法も適用にならないと、こういう法の下で私ども仕事をさせていただいているということでありまして、それを乗り越えて何か
実質的に物を考えろと言われましても、私どもなかなかそれは難しいということを申さざるを得ないと考えます。
-
-
○
政府参考人(
中村秀一君) お答え申し上げます。
生活保護は、自立自助を基本といたします我が国の
経済社会の中で、生活保護、自助努力をしてもなお生活を困窮する方に対して最低限度の生活を保障する、言わば最後のセーフティーネットとしての役割を果たすものでございます。
今、様々、今度の一人親方の方についていろいろありますけれども、生活保護につきましては、働くことができる場合に働いていただいて、それから資産や、お子さん、親族からの扶養、その他社会保障の施策がある場合にはこれらを最大限活用していただいて、あらゆる手段を尽くして、なおその収入等に生活保護基準に満たない場合に保障するということでございます。
ですから、今御指摘ありましたけれども、労働者性の有無とかそういったことではなくて、生活保護につきましてはその要件を満たす場合に適用されると、そういうものでございます。
-
○
吉川春子君 もう時間がないので私終わりますけど、これ見てください。(資料提示)働いているんですよ。生活保護じゃないんですよ。働いている人たちが生活保護基準よりも低い、最賃よりも低い、しかも大事な公共事業を担っているんですよ。こういう人たちのこの生活実態、これでいいかということを私は聞いたんですけれども、残念ながら、
政府の答弁聞いていると、本当にこの人たちをどうにかしようという熱意が伝わってきません。これではワーキングプアが増えるばかりじゃないですか。
こういう問題について、本当に真剣に検討して、
国民が安心して暮らせるような
格差をなくす社会をつくることを強く要望して、私の質問は終わります。
-
-
-
○
福島みずほ君 政治資金規正法施行規則上の光熱水費の定義を、総務省、教えてください。
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○
国務大臣(菅義偉君) 光熱水費とは、政治資金規正法施行規則の別記第七号様式の記載要領において、電気、ガス、水道の使用料及びこれらの計器使用料をいうとされているところであります。
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○
福島みずほ君 私がおいしい水を飲み続ける、これは消耗品になりますよね。
大臣。
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○
国務大臣(菅義偉君) 支出項目別金額の記載に当たっては、会計責任者が事実に即して適切に支出を分類し、それぞれ該当項目を提出することになっております。
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○
福島みずほ君 電気、ガス、水道の使用料となっていますので、私がおいしい水を飲む、あるいは浄水器、ストーブ、これは光熱水費に当たりますか。一般論で結構です。
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○
国務大臣(菅義偉君) 電気、ガス、水道以外のものが光熱水費に計上されることはあり得ると考えています。
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○
国務大臣(菅義偉君) まあこれは非常に難しい話でありますけれども、例えば冷暖房の燃料費だとか、あるいはミネラルウオーターだとか、そういうものの判断というのは非常に迷うところであると思います。
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○
福島みずほ君 ミネラルウオーターは水道の使用料にはならないですね。
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○
国務大臣(菅義偉君) 使用料にはなりません。等の中であります。
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○
福島みずほ君 松岡
大臣にお聞きをいたします。
一週間前に、明らかにせよとこの
委員会で問題になりました。私もお聞きしたい。内訳を教えてください。
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○
国務大臣(松岡利勝君) 福島
先生にお答えいたしますが、内訳につきましては、現行の法
制度ではそこまで報告が求められておりませんので、ここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと、このように思います。
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○
福島みずほ君 規正法の目的は、政治活動が
国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするためということに明確に反しています。そして、政治資金規正法上、九条、会計帳簿、支出簿が義務付けられております。支出簿の提出を求めます。いかがですか。
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○
国務大臣(松岡利勝君) もう福島
先生は御存じの上でおっしゃっていると思うんですが、政治資金規正法上求められておりますものにつきましては、すべてそのとおり提出をし、報告をいたしております。それ以上の対応につきましては、これは私個人だけに、私だけの判断でそれを求められましてもそれはお答えすることは困難でございまして、これは各党各会派において協議の上、その上でどういう対応になるのか、扱いになるのかということが決まった上でのことであると思っております。
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-
○
国務大臣(松岡利勝君) それはもう法律に基づいて対応することが基本だし、そのように対応したいと思っております。
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○
福島みずほ君 政治資金規正法九条は、会計帳簿、支出簿を備えることを命じております。それの提示を私は求めたいと思います。いかがですか。
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○
国務大臣(松岡利勝君) それは先ほどから申し上げておりますように、法の定めに、求めに従って対応したいと。もう既に法の定め、求められているものについてはすべて対応いたしております。
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○
福島みずほ君 支出簿の備付けが義務付けられておりますので、今
委員会におきまして支出簿の提出を求めたいというふうに考えております。
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○
福島みずほ君 松岡
大臣、お聞きします。
水道光熱費、乱高下しているんですね。二〇〇五年までの十一年間の合計が四千四百七十六万円。年度によって違います。光熱水費がなぜこのように変わったか、教えてください。
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○
国務大臣(松岡利勝君) 報告をいたしているとおりでございまして、その内容にわたることにつきましては、これは今の法
制度ではそこまで求められておりませんので、何度も申し上げておりますように、それは私だけに特別、法を超える形で求められましても、その対応はこれは困難でありまして、それをお求めになるのであれば、ひとつこの国会なり全体でその対応をお決めいただいて、その上で私も対応するということになると思います。
そういうことでございまして、今にわかにというか、ここで福島
先生のおっしゃられることにお答えするような法
制度にはなっていないと、こう思います。
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○
福島みずほ君 規正法の目的である政治活動が
国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするためと。
大臣として、国会議員として
説明責任を尽くすべきだと考えますが、いかがですか。
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○
国務大臣(松岡利勝君) 法の下ですべてその責任は果たしていると思っております。
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○
福島みずほ君 不思議なので聞いているんです。光熱水費、国会は無料なんですよ。多額の計上をしていらっしゃるので、やはりそれは知りたいです。もしこれが虚偽記載であれば、明確に政治資金規正法の虚偽記載、刑事告発の対象です。いかがですか。
説明をされるべきです。
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○
国務大臣(松岡利勝君) これははっきり申し上げますが、虚偽記載は一切ございません。したがいまして、もう既に、法に求められた、定められた責任は果たしております。
-
○
福島みずほ君 虚偽記載でないということを
説明していただけますか、理解できないので。
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○
国務大臣(松岡利勝君) 何度も申し上げておりますが、法に定められ、求められたものにつきましてはすべて報告をしているとおりでございまして、それは公表もされ、そして閲覧にも付されているわけであります。
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○
福島みずほ君 全く答えていません。虚偽記載でないということを教えてください。
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○
国務大臣(松岡利勝君) 法に基づき報告をしていると、それがすべてであります。(発言する者あり)
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-
○
委員長(
尾辻秀久君) 速記を起こしてください。(発言する者あり)
速記止めてください。
〔速記中止〕
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-
○
福島みずほ君 私は全く納得できません。
国民も全く納得できないと思います。
説明をしていただけないのであれば、会計責任者、そして松岡
大臣の証人喚問を要求します。
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○
福島みずほ君 クラスター爆弾というのはどういう爆弾と考えているか、
政府は教えてください。
-
○
国務大臣(久間章生君) いきなりでございますけれども、
一つの爆弾の中に子爆弾を内蔵しておりまして、
一つの爆弾が破裂すると同時にその子爆弾が破裂するような、そういう仕組みになっている爆弾をクラスター爆弾と言っております。
-
-
○
国務大臣(久間章生君)
日本がどのようなものを幾ら持っているかを言うことは、手のうちを明かしますので言うわけにはまいりませんけれども、
日本自身も自衛隊自身もクラスター爆弾を持っているのは事実であります。
-
○
福島みずほ君
アメリカはこれを明らかにしています。米国議会の資料で、
日本は百四十八億円分持っている、
アメリカのデータから出ておりますが、これでよろしいですか。
-
○
国務大臣(久間章生君)
アメリカはよそから攻められることもないかもしれませんが、
日本の場合、クラスター爆弾を持っているのは、外国を攻めるために持っているんじゃなくて、攻撃されたときに、海岸線が長いから、それに耐えるために使うわけでございますから、幾らをどれだけ持っているか、手のうちを明かすわけにはまいりません。
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○
福島みずほ君 クラスター爆弾の保有量は
アメリカは議会に報告しています。
日本はなぜやらないのか。
大体、海岸で落としてどうやって回収するんですか。
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○
国務大臣(久間章生君) 海岸線が長いところで、そして敵が上陸してきたときに、限られた人材でこれを守ろうとしますと、どうしてもその撃破を広範囲にわたってしなければなりません。陸上に上がってしまって狭小なところで受け持とうとすると大変苦しい立場に追い込まれますから、まずそこで攻撃するわけであります。
そして、破裂しますと、原則としては、これは一応爆発してしまえば回収する必要はないわけでございますが、
アメリカの場合は確かに不発弾があったということを聞いておりますけれども、これは〇・一%から五〇%まで非常に不発弾の確率は幅があるわけでありまして、
日本の場合、そういうような不発弾がないように努めてこれから先も研究を重ねていこうと思いますが、これは、できるだけ終わった後、
日本が無事に着上陸を阻止することができて、
日本人が生き残ることができたら、きちんと不発弾についても回収しようと思います。
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○
福島みずほ君 NGOのデータで、世界に三千三百万個以上の不発子爆弾が回収されずに転がっているというデータがありますが、いかがですか。
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○
国務大臣(久間章生君) 各国の事情については分かりません。私どもが持っているのは、よその国に持っていって使うことはまず考えられません。
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○
国務大臣(久間章生君)
アメリカから購入すると同時に、ライセンス生産で
日本国内でも生産いたしております。
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-
○
国務大臣(久間章生君) その辺、余り手のうちを明かしたくございませんので、まあどこの会社がどのぐらいというようなことにつながってまいりますし、また会社の名前、またそれを言いますと、そこの従業員その他にも迷惑掛けることになりますから、そういうことについても一応御勘弁願いたいと思います。
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○
福島みずほ君
平成十八年度までの累計で、
日本製は約七七%と
政府から教えてもらっています。
ところで、このクラスター爆弾、先日オスロ会議におきまして、
日本はなぜこの廃止について、オスロ宣言について、
日本はなぜ支持を見送ったんでしょうか。
-
○
国務大臣(麻生
太郎君) このクラスター爆弾についてはよく御存じなんだと思いますんで
説明を、
前提を省かさせていただきますが、発出された宣言の内容をよく御存じ、読まれたと思っておりますが、この議論の取り進め方や
方向性というものに関しましては、
アメリカも中国もロシアも全然入っていない段階での宣言というものに関しましては、私どもとしてはなかなかなじまないと。
方向性だけ決めておるけれども、肝心のところが参加していないというのではいかがなものかということで態度を保留させていただきました。
-
○
福島みずほ君
日本が保留をしたことで大変失望感が広がっているのですが、その点についていかがですか。大国追従をやる必要はないと思います。
-
○
国務大臣(麻生
太郎君) 他国の失望を買ったと言われますけれども、
日本には
日本の都合がありますんで、他国の都合だけ合わせてやるわけにはまいりません。
-
○
福島みずほ君 大国に追従するということでしょうか。なぜ不支持なのか、教えてください。
-
○
国務大臣(麻生
太郎君) 冒頭御
説明申し上げたとおり、そのオスロ宣言の、仮にそれに我々がサインしたとしても、それによる
効果というものがどれだけ得られるかというのを考えたら。
-
○
福島みずほ君
日本政府は、地雷除去のためにこの間大変頑張ってきました。
平成十年以降、どれだけの
予算を使って地雷除去をし、貢献をしてきたか、教えてください。
-
○
国務大臣(麻生
太郎君) 既にお手元に資料をお渡ししてあると思いますんで省かせていただきますが、
平成十年度が十一億、
平成十七年度まで三十九億の間、いろいろな伸びがあったということだと存じます。
-
○
福島みずほ君
日本は二百二十八億円
予算を使い地雷除去に努力をしてきています。地雷除去に努力をしながら、クラスター爆弾はまた地雷のような
効果を示しています。
日本は九条を持つ国として世界の軍縮の先頭に立つべきだと思いますが、その理念について、
外務大臣いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(麻生
太郎君) この軍縮の理念の先頭に立つということも、私どもとしては、これまで小型武器の取引等々、いずれの場合も先頭に立ってきたのはもう御存じのとおりなんであって、このクラスター爆弾を、先ほど申し上げた事情で私どもとしてはオスロ宣言に対するものを留保したからといって、我々がこの種のことに関して不熱心だということには当たらないと存じます。
-
○
福島みずほ君 不熱心には当たらないと聞いて安心しました。これからどのように熱心さを示していただけるでしょうか。
-
○
国務大臣(麻生
太郎君) オスロ宣言等々、CCWの一連の経過を見ながら対応させていただきます。
-
○
福島みずほ君 五月にペルーで禁止会議が開かれる予定ですが、
日本政府はどのように動き出すべきだと考えておられますでしょうか。
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○
国務大臣(麻生
太郎君) 今からよく検討させていただきます。
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○
福島みずほ君 積極的に禁止に向けて
是非動いていただきたいのですが、いかがですか。
-
-
○
福島みずほ君
日本こそ、クラスター爆弾を廃絶するために努力することが
日本の価値を高めるというふうに考えておりますので、
是非よろしくお願いいたします。
外務大臣、いかがですか。
-
○
国務大臣(麻生
太郎君) 重ねて御答弁申し上げますが、御希望としてはよく預からせていただきます。
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○
福島みずほ君 よろしくお願いします。
ところで、イラクに対する米軍の増派についてお聞きをいたします。久間
大臣、この
アメリカの米兵の増派について、どうお考えですか。
-
○
国務大臣(久間章生君) 私たちが今考えておりますのは、イラクが一日も早く安定することであります。そのためにあのように混乱した事態をどうやって切り抜けるか。やっぱり
アメリカが一番当事者でありますからこれは苦慮しているんだと思います。そのときに増派をすることによってこれを切り抜けていこうという決意をしたわけでありますから、私はそれはそれなりに、当事者である
アメリカがかなりの決意をしたんだなと。
しかも、下院でのああいう反対決議があるにもかかわらずやっているというのは、結構やっぱり決意が重いんだなというふうに思っておりますから、そこまで増派してでもこれは安定させるという、そういうようなことなのかなと、率直にそう受け止めております。
-
○
福島みずほ君 おっしゃいましたように、下院では反対決議が出て、これから
アメリカの
民主党はイラク撤退法案を出そうとしています。イラク
状況を久間
大臣はどうお考えですか。
-
○
国務大臣(久間章生君) 恐らくもっと早く混乱から抜け出すことができるだろうと思っていたんでしょうけど、かなり混乱、特にバグダッド周辺、ここが大変なようでありまして、あとの南部
地域とかクルド地区、この辺は比較的安定してきているようでございますが、バグダッドの市内周辺が大変だというような、そういう認識をしております。
-
-
○
国務大臣(久間章生君) それは私には分かりません。
-
○
福島みずほ君
アメリカでいろいろ議論があります。
私が問題だと思うのは、一月十日、ブッシュ大統領から安倍総理に事前に電話連絡があったときに事実上支持を表明している。一月十一日に官房長官、麻生
外務大臣はコメントを発表しています。つまり、
日本の国内でどのような議論があったのか、増派に関して。余りに間髪入れずに増派の支持をしているのではないか。
久間
大臣、どのような議論を
内閣でおやりになったんでしょうか、この増派を決めるに当たって。
-
○
国務大臣(久間章生君) 具体的には、私はその増派に対しては加わっておりませんけれども、しかし、先ほど言いましたように、かなりの決意を持って臨んでいるんだなという、そういう
意味での
アメリカ大統領の決意に対する認識はほぼみんな同じじゃないでしょうか。
-
-
○
国務大臣(久間章生君) 総理としては、
アメリカがそういう決意でその安定化に向けて臨むという、そういうような行動についてそれを支持したわけでありまして、それはやっぱり
日本国
政府としても、その
アメリカのそれだけの決意でもってとにかく安定を図っていくという、そういうような行動については支持をしていいんじゃないでしょうか。
-
-
○
国務大臣(久間章生君) しかし、治安の安定、治安を回復する、それに当たっている人が、とにかくこれじゃ、もう少し増派せぬといかぬというふうに思って増派をする。増派すればまた死傷者といいますか被害もあるわけですから、それにもかかわらずそういう踏み切るというのはかなりのやっぱり決意があっているんじゃないでしょうか。
だから、私は、それは選択肢として
アメリカが決めることでありますから、私は、そういう決意をしたということは、それは素直にそのまま支持してもいいんじゃないでしょうか。
-
○
福島みずほ君 大問題だと思います。
アメリカは
アメリカで判断をするが、
日本は
日本として
現状をどうするか。
国民に対して増派を支持することについての
説明責任を尽くすべきです。間髪入れずに支持して、
アメリカが決意をしたんだから
日本は支持するという態度は、
日本政府の主体性がないと言われてもこれは過言ではない。
アメリカの中ですら議論があることです。いや、首をひねっていらっしゃいますが、
日本が
国民へ
説明責任すら尽くさずに増派を直ちに決定し、
アメリカ内部で逆に反論が大きく出ているということは実に皮肉なことだと思います。
歴史上
日本政府の判断も批判をされるということを強く申し上げ、私の質問を終わります。
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○
委員長(
尾辻秀久君) 以上で
福島みずほ君の
質疑は終了いたしました。(拍手)
明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時四分散会