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大塚耕平君 いや、お気持ちは分かります。しかし、その成長をどうやって実現するかというときに、今日も冒頭
議論させていただいたように、労働生産性を上げるんじゃなくて、資本の生産性を上げたりあるいは技術革新を起こすと、資本の生産性上がれば労働生産性とはトレードオフですから、別に
国民の皆さんに過度に負荷を掛けなくても全要素生産性は上がるようになってますから、そこのプロセスが正しく、しかも全体像が見えるように御
説明いただいているなら、
総理のおっしゃる考え方にも賛同できる部分はあります。
私が調べた限りというか、国会図書館の方にも御協力いただいて教えていただいたんですが、上げ潮路線というのは多分この言葉からきているんではないかと。(資料提示)ケネディ大統領の、ア・ライジング・タイド・リフツ・オール・ボート、多分これじゃないかとおっしゃるんですね、この頭の部分。なるほど、上げ潮だなと。多分評論家の方かどなたかがお付けになったんじゃないかなと、それが独り歩きし始めているんじゃないかなと。今日は英語の大変堪能な塩崎
官房長官がおられますけれども、これが多分語源ではないかと思うんですね。しかし、この文章全体はすべてのボートを上げるからということであって、実はケネディ大統領の取った
経済政策は企業減税もやったけど、大幅な所得税減税もやったんですよ。ところが、
安倍総理の
経済政策は、片方はやったけど片方はやっていないんですね。
私が申し上げたいのは、いや、これは対立軸が分からないというふうに我々もよく批判されますので明確にしなきゃいけないと思っています。あえて、上げ潮という言葉がマスコミで定着していますので満ち潮なんという言葉、引き潮ではちょっと困ったなと思いましたから、上げ潮に対しては満ち潮。つまり、今の上げ潮路線は、先ほどの小渕政権のときの論点整理で申し上げたように、
国民の皆さんの負担増と給付切下げで、確かに
プライマリーバランスの均衡に向かって一歩近づいていることは、これは事実です。それは、だから、評価します。ただ、それもたまたま超金融緩和とそれに伴う為替円安と大変な合理化に伴う景気回復による増収も影響していますので、一〇〇%評価はできませんが。
したがって、どうも
安倍さんの言っておられる上げ潮路線、
安倍さん御
自身が言っておられるわけではありませんが、
財政均衡のための負担引上げ潮路線だなと。私たちが望んでいるのは、それは反対されるかもしれませんが、そうではなくて
歳出改革をやってほしいんですよ、本当に
国民の皆さんが望む
歳出改革。そうしていただければ、満足度の高い、まさしく
国民の皆さん全員が成長できる満ち潮路線になるんではないかと。
私は、これ、例えばこれが映画のタイトルだとしたら、これ全文が映画のタイトルだとしたら、みんなが満足するということですから、この最初のところだけだと上げ潮ですけど、全文を多分一言で映画のタイトルで翻訳者が訳したら、ひょっとしたら満ち潮という言葉になるのかなとも思うんですが、これは単なる思い付きですので余り深くお考えにならなくて結構だと思うんですが。
さて、そこでこれでございます。(資料提示)もう谷垣さんの時代から
財務大臣は、日本はこの社会保険料と税金の負担率、いわゆる政府の言う
国民負担率が四〇%、アメリカに次いで低い国なので、低い国なので、これを高くしたい、高くさしていただかないと、ある程度高くさせていただかないと、つまり
財政運営ができない、国の運営ができないと、こういう御
説明をずっとしておられるんですね。でも、これはあくまで政府の言う
国民負担であって、本当に家計の皆さんが感じていらっしゃる
国民負担と私は違うと思っています。
なぜならば、スウェーデンやフィンランドや、ヨーロッパは、日本の言う
国民負担率が六割、七割でも、皆さん日本の方ほど文句言いませんね。なぜか。お預けしている社会保険料や、お預けしているじゃないですね、
国民の皆さんが政府に一時的に預けている社会保険料や税金を使って、どのような医療、介護、年金、雇用、教育
政策をやっているかという、つまり
財源から出てくる
政策の
中身、つまり
歳出の
中身ですよ、
歳出の
中身がある程度納得できるから、日本の
国民負担率よりもはるかに高くてもある程度御納得をいただいている。
そこで、実際は、このように仮にこの縦の箱をある家計がもらっていらっしゃる所得だとすると、税金と社会保険料引かれます。確かに、平均で四〇%です、
財務大臣、そんなものですよね。だけど、そこから医療費自己負担も、私の任期中でサラリーマンの方も二割から三割に上がりました。去年は、先ほども申し上げましたけれども、介護療養ベッドは十三万床全廃、医療型療養ベッドも二十五万床から十五万床。行き場がなくなって保険も利かないから医療費の自己負担上がっています。リハビリの日数にも上限付いた。脳梗塞の方は百八十日。百八十一日目からどうするんだと、根性で治せという国かと。介護の自己負担も上がっています。個人年金保険料も上がっています。雇用保険料、毎月毎月納めているけれども、イギリスのように公的職業訓練をやってくれるわけでもない。教育費はOECDの先進国と比較すると公教育に係る
予算は非常に少ない。だから、老後が心配だから老後の蓄えもやっぱりしなきゃいけない。
本当の
国民負担というのは、老後などへの蓄え、この部分も含めて、ちょっとこの線が下にずれていますけれども、これら全部を含めたのが本当の
国民負担であって、つまり預けた税金と社会保険料で一体何をやっていただいているのか、政府に。そのことを全部含めた上での
国民負担率を言わないと、
財務大臣、これは生活実感と違うんですよ。
私はそう思っていますので、
総理、政府の言う
国民負担ではなくて、本当に今家計の皆さんが十年前と比べてどのような家計の
状況になっているか。つまり、本当の可処分所得はどのくらいなのかということに
議論の軸を置いてこれから
経済政策を組み立てていくというお気持ちはございませんか。