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国務大臣(渡辺喜美君) まず、公益法人、特殊法人等の改革についての
お尋ねでございます。
公益法人、特殊法人等については、先ごろの通常国会で成立した行革推進法並びに公益法人制度改革関連法に基づいて、
政策金融を始め抜本的な改革、見直しを進めているところであります。また、特別会計に関する法律、随意契約の適正化の取組などにより、公益法人、特殊法人等に関する歳出の合理化、透明化の向上を図っております。
さらに、今般の国家公務員制度改革は、予算や
権限を背景とした人事の一環としての天下りを根絶をするものであります。これまでは、OBがいるために、公益法人、特殊法人改革が進みづらい面があったと思います。その意味で、今回の改革は更に抜本的な法人改革を進めるための突破口になるものと
考えております。
政府としては、引き続き後世代にツケを回さないよう徹底した合理化を図るため、公益法人、特殊法人等の改革を進めてまいります。
新公庫の分離、再合併及び民営化等についての
お尋ねがございました。
新公庫の合併、会社分割、事業譲渡、解散等については、新公庫
法案で別に法律で定める旨を
規定をしております。このため、このような重要な組織変更については、別に法律で定めない限りは行えないようなっております。
また、新公庫については、
政策金融として行う業務の適切な実施等を
確保する
観点から、
政府が一〇〇%出資するとともに、常時全株式を保有し続けることを法定しているところであり、民営化を想定しているものではございません。
新公庫に統合される機関と民営化される機関を分けた基準に関する
お尋ねがございました。
政策金融改革については、経済財政諮問
会議において、民にできることは民にという
考え方を基本とし、
政策金融の手法を用いて真に行うべきものを厳選することが必要であるとの認識の下、現行
政策金融機関の担っている機能について、
政策金融から撤退をするもの、残すものに分類がなされたところでございます。
この分類において、商工組合中央金庫については、民間金融機関同様のフルバンキング機能であることや、所属団体向けの組合金融であること、日本
政策投資銀行については、大企業、中堅企業向け融資であり、民間市場から様々な形態で資金を取り入れが可能であること、これらから、ともに
政策金融から撤退をし、その組織について完全民営化をすることとされたところでございます。
他方、今回統合する中小公庫、国際協力銀行等の機関については、中小零細企業、個人の資金調達
支援、国策上必要な海外資源
確保、国際競争力
確保に不可欠な金融など、
政策金融として残すべき真に必要な業務に限定した上で、その業務については行革推進法において新たに設立する一つの
政策金融機関に担わせることとされたわけでございます。
なお、新公庫の業務については、今回の
法案に
規定されているとおり、新公庫が一般の金融機関が行う金融を補完するものであることを旨とする
観点から、新公庫の業務に関し不断にチェックを行い、その上で、必要があると認めるときは、業務の廃止その他の
措置を講じてまいります。
次に、新公庫の組織管理上の効率性についての
お尋ねがございました。
新公庫は、零細事業者への貸付けから国際金融まで多様な業務を担うことから、それぞれの
政策分野に
責任を持つ主務大臣がきちんと業務実施を監督していくことになっております。ただし、新公庫の運営が縦割りになってはならないことは当然のことであります。シナジー効果を発揮し、一体的、効率的な組織運営が行われることが重要であります。
このため、まず新公庫の運営に当たっては、新公庫自身が取締役会による意思
決定、そして業務執行の監視等のガバナンス
確保、これに資する会社法上の
仕組みを活用することによって、各勘定別の縦割りの運営ではない一体的、効率的な組織運営に努める必要があると
考えております。また、主務大臣においても緊密に連携し、新公庫の一体的、効率的な組織運営が図られるよう
指導監督を行っていく必要がございます。行革担当大臣の
立場からも、運営が縦割りとなることがないよう、しっかりと監視をしてまいります。
新公庫の性質が収支相償機関であるか否かについての
お尋ねがございました。
新公庫においては、
政策目的ごとに財政資金をきちんと分別管理をし、各
政策の適切な実施と透明性の
確保を図るため、主要
政策ごとに勘定区分を行うということになっております。
国際部門と国内部門の業務の性格の相違から、収支相償原則の下で運営を行うか否かについて、国際部門、国内部門とでは取扱いを異にいたしております。すなわち、国際部門に係る勘定に関しては、収支相償原則の下で運営を法律上
規定をしておるわけであります。一方、国内部門については、必要に応じ予算の国
会議決を経て財政
措置を講ずることが想定されるものと
考えております。
異なる性質の業務を一つの機関に担わせることによる御懸念についての
お尋ねがございました。
新公庫においては、主要
政策ごとに勘定区分を行い、他の勘定との損益通算等は行わないということになっております。国庫納付については、勘定ごとの決算で剰余金が生じた場合には、他の勘定の損益と通算することなく、必要な内部留保を行った上で残余を納付することになります。したがって、国際部門で行われてきた国庫納付が統合を
理由として行われなくなる御懸念はございません。また、国内部門に係る勘定については、
政策として必要な業務を実施するため、収支相償原則は適用されず、それにより中小零細企業向けの貸し渋りや貸しはがしが発生するという懸念もございません。
いずれにせよ、新公庫の成立後、民業補完を旨としつつ、
政策金融として必要なところに必要な資金が円滑に供給されるよう運営していくことが重要であると
考えております。
新公庫の役員の人数及び天下りの
考え方についての
お尋ねがございました。
新公庫の役員数については、この
法案を成立させていただいた後、組織の具体的な姿を固めていく過程において決めることになります。具体的には、設立委員が必要最小限の役員数を
検討し、その上で主務大臣が判断し、役員数を定款に定めることとなります。その際、行革大臣としてもしっかり見てまいります。
新公庫の経営
責任者については、行革推進法及び新公庫法の
規定により、新公庫の設立
目的とその担う金融業務に照らし、必要と認められる識見及び能力を有する者から選任されるということになっているんです。また、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないようにするということにもなっております。また、新公庫の役員の選任については主務大臣の認可が必要であり、認可に当たっては役員全員について官房長官の同意が必要になります。代表取締役会長及び社長については、閣議の口頭了解というチェックが掛かることになっております。こうした
手続により、適材適所の人選が行われるものと
考えております。
なお、今般、国会へ提出した国家公務員法
改正法案においては、再就職規制の対象法人の範囲は営利企業だけでなく非営利法人にもその規制は掛かるということになっておりますので、新公庫の再就職もその規制の対象になるわけでございます。
次に、新公庫のガバナンスを向上させるための具体的な工夫、委員会設置会社、
政策目的の
明確化、業績評価の透明化、組織の効率化についての
お尋ねがございました。
新公庫のガバナンスについては、それを可能な限り強固とするための
措置を講じております。具体的には、会社法に基づく
株式会社とすることにより企業的な組織運営を図り、民間企業会計や会計監査人による監査も導入いたします。また、
政策金融業務の適切な実施等を
確保するため、国が監督を行います。リスク管理については金融庁の検査も行います。さらに、その予算について国会の議決を要し、決算は会計検査院の検査を経て国会に提出することを要するとしております。
また、四機関の統合に当たっては、管理部門等の共通する業務の一元化を行い、同一
地域に複数の支店が存在するところではこれを極力統合する方針でございます。以上の
措置により、一体的で効率的な組織運営を図ってまいります。
また、
政府の各
政策の
内容を踏まえ、新公庫の経営陣が
政策金融業務に関する目標を策定し、その実施
状況について情報公開の徹底を図りつつ、その評価をしっかりと行うことが必要であります。このため、
政府の行政改革推進本部の下、行政減量・効率化有識者
会議にワーキングチームを設け、しっかりと見ていただくことにしております。
なお、委員会設置会社とするかどうかについては、新公庫の経営陣が中心となって具体的な内部組織等を
検討していく中で、必要に応じ
検討されるものと
考えております。
次に、随意契約の見直しを含めた新公庫の経費削減の見通しについての
お尋ねがございました。
新公庫の経営の効率化を図るため、各経費について最大限の合理化努力を図っていくことが重要であり、管理部門等の共通する業務の一元化や支店の統廃合による役職員の縮減、経費の節減を図ることになっております。具体的には、支店の統合について、国内三公庫の二百三十三の店舗のうち、六十
地域で同一
地域に複数の支店が存在することから、これを極力統合していくとの方針であります。新公庫の役職員の縮減につきましては、行革推進法に基づく総人件費改革により、五年間で五%以上の
人員の純減又は人件費の削減を行うことにしております。これに加えて、本店の管理部門等の一元化等により、円滑な業務遂行に必要な職員は
確保しつつ、更なる縮減の努力を行っていただく
考えであります。
随意契約の見直しについては、最近の
社会情勢や各機関の置かれた
立場等を踏まえ、必要に応じ、入札を始めとする競争性ある契約に移行するよう、契約方法について不断の見直しを行います。適切に対処してまいります。
いずれにせよ、統合後の具体的なコスト削減については、新公庫の経営
責任者に継続的に取り組んでいただくことになります。
最後に、新公庫における業績評価及び人事管理の
お尋ねでございます。
新公庫においてどのような業績評価、どのような人事管理を行うかについては、一義的には組織の一体化を踏まえ新公庫が決めることになります。その際、業績評価については、新公庫の経営
理念や目標に即して的確に業務を遂行しているかどうかの
観点から適切な評価が行われ、それに基づき、昇給昇格が適切に行われることが必要であります。人事管理については、行革推進法において、国内と国際の部門ごとに専門能力を有する職員の配置及び育成を可能とするとされていることに十分留意をしてまいります。これを踏まえ、新公庫の業務の
内容、求められる専門性等を総合的に勘案し、採用、研修、配属、人材交流等に関する具体的な
仕組みをつくってまいります。
いずれにしても、新公庫の管理運営に当たって、強固なガバナンスの下、一体的かつ効率的な組織運営が図られ、新公庫の役職員が一体感と高い士気を持ってその能力を十分発揮できるよう
環境を
整備することが重要でございます。
以上。(
拍手)
〔
国務大臣尾身幸次君
登壇、
拍手〕