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下田敦子君 私は、
県議会時代にこの
インターネットの問題が
青少年にどのような
影響を与えるかということが
大変騒ぎになったときがありました。十二、三年前の話であります。そのときに
質問をいたしまして、全く同じです。
通達を出す、役所の全くこれはもう本当にいつものやり方です。
通達をしてそれで
安心ができますか。なぜこういう
犯罪がどんどんどんどん出てくるか、それは何でもない、私
たちの責任なんです。それを結果だけを見て
厳罰化していくということは、私はおかしいと思う。
様々な国のこのたび勉強をさせていただきました。
欧米諸国の
青少年対策を見ました。後ほど申し上げますが、この
精神保健福祉士、
PSW、これを
中心に
凶悪犯の、
青少年の
犯罪の予防という
観点から、大変なプログラムを作って、
地域社会、
日本でいうならば保護司に当たるような
教育士、これをもって大変な緻密なネットワークをつくり組織化していることが、
日本にはないのです。だれかがやるだろうということの
意味合いが、結果としてしょっちゅう
重大事件でテレビにじゃんじゃん出てきて、ああ大変だ大変だ、
凶悪化が進んでいる、こういうことでは、私
どもがつくっていて、こういう結果を私
どもが受けているんです。そのことを一人一人がやっぱり感じなければ、この
少年法は、私は悪を生むということは申しませんが、結果としてはいいものにはならない。
この赤い
ノートのように
韓国はすぱっとこれをカットしている。なぜ
日本にこれができませんか。
日本から出ていっている恥ずかしいことなんです。
日本の
社会の病理が
韓国まで行っているんです。これに対して何もしない。私はおかしいと思います。
そこで、次に
お尋ねします。
歴史的に見ますと、我が国の
少年院の矯正
教育は、一九四九年、大変昔の話のように思いますが、私が生まれた九年後の話です。
少年院発足当時、
学校教育をモデルとして、生活
指導や職業補導に重点が置かれていたと思います。現在も集団規律訓練が主になりまして、個々の
心理カウンセリング、特に
少年院の矯正
教育という中で、
精神疾患を持っているかもしれない
青少年のカウンセリングは我が国において非常に歴史の浅い分野であると言われています。矯正
教育の一環として、精神医学、臨床
心理学、
教育学を統合したいわゆる総合的なプログラムが必要であります。
現代の
心理学では、
子供の成長にとって最も必要なものは、自己肯定感であります。これ、私も
社会福祉のオーソリティーにちょっと話を聞き、また、なおかつ今も一緒に仕事をさせていただいている八十歳近い方がいますが、決して話を聞くときには否定してはならないと、すべて肯定しなさい、これが元々の
社会福祉におけるカウンセリングの精神、心構えだということをよく言われました。
いわゆる
自分をそのまま受け入れてくれる養育者、これは親であり
教員でありますが、との人間
関係を通してのみ可能になると言われるこれらの
児童生徒に対する接し方、要するに
子供の
非行を防ぐためには人間
関係を紡いでいける、織物も織れるように紡いでいける
家庭が、あるいは親が、あるいは
学校が、
社会がどのようにつくられていったらいいか、
対象となる一人一人の
少年に即した援助、治療モデルを構築しまして、
処遇の体系化を進めていくことが必要だろうと思います。
そこで、ちょっと
お尋ねいたしますが、少しどきっとしますけれ
ども、今
日本日で、神戸市の須磨区で発生しました土師淳君の、当時十一歳です、殺害されて今日でちょうど十年が
たちました。この
少年に対しての
事件を
社会的に見て、これでは大変だということで、
処遇の様々なことが改善図られていったと思いますが、G3という治療の仕方をしている。
これは、関東医療
少年院の中、あるいはその
少年院の特別な生活訓練課程でG3を考案して、医師、教官、この方々が家族を演じて、その
犯罪を犯してしまった
少年、青年に赤ちゃんから育て直すということのプロセスをつくってこれを進めてきたということで、最近、時間がありませんので結果だけ申し上げますと、この男性は今年の三月、遺族に対して手紙を送った。退院直前に続いて二度目であります。御遺族に会い、僕にどのような人生を歩めと言われるのか聞かせてほしい。言われるとおりに生きていきたいのです。僕が更生するということはどういうことなのか、償いながら生きていけるということはどういうことなのか教えてほしい。これがG3の総括期に入った本当の最近の最近のこの
少年の思いをここまで生み出してきています。大変長い長い忍耐と
経験とその
環境をつくって、やっとここまで来たんだろうと思います。
ですから、
犯罪を犯してしまったこういう
凶悪犯に対しては、殊更に大変な忍耐力と
環境とセッティングされたものがなければ、すべてこれを
厳罰化していけば直るだろうと、むちを持って追い掛ければ直るだろうというのはとんでもないことであります。是非、こういうことで、どのようにお考えになるのか、このG3のプログラムを含めながら、最近のこの病的な状態をどのようにお考えであるか、総合的なプログラムの必要性をどのようにお考えかを
お尋ねいたします。