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2007-05-31 第166回国会 参議院 法務委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年五月三十一日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 栄一君     理 事                 岡田  広君                 松村 龍二君                 簗瀬  進君                 木庭健太郎君     委 員                 青木 幹雄君                 山東 昭子君                 陣内 孝雄君                 谷川 秀善君                 江田 五月君                 千葉 景子君                 角田 義一君                 前川 清成君                 松岡  徹君                 浜四津敏子君                 仁比 聡平君                 近藤 正道君    国務大臣        法務大臣     長勢 甚遠君    副大臣        法務大臣    水野 賢一君    大臣政務官        法務大臣政務官  奥野 信亮君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 英明君    政府参考人        警察庁刑事局長  縄田  修君        法務省矯正局長  梶木  壽君        法務省保護局長  藤田 昇三君        厚生労働大臣官        房審議官     荒井 和夫君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○更生保護法案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 山下栄一

    委員長山下栄一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  更生保護法案の審査のため、本日の委員会警察庁刑事局長縄田修君、法務省矯正局長梶木壽君、法務省保護局長藤田昇三君、厚生労働大臣官房審議官荒井和夫君及び厚生労働省社会援護局長中村秀一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 更生保護法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 山東昭子

    山東昭子君 国民が今一番恐れているのが治安の悪化だと思います。犯罪を減らし、世界一安全な国日本の復活を実現させるためには、犯罪者を検挙し、厳しく処罰することももちろんですけれども、もう一方で、一度罪を犯した者に二度と犯罪を犯さないよう立ち直らせる努力をすることも大切であると考えます。  平成十七年の一般刑法犯検挙人員中の再犯者の割合は約三七%であり、近年上昇傾向にあります。すなわち、犯罪を犯す人の三分の一はリピーターであるということです。さらに、刑事施設出所した者のうち四五%前後の者が五年以内に再び刑務所に入っているという統計も出ております。  刑務所に入った者も、刑期を終えれば社会に出てきます。そこできちんと更生し、社会に受け入れられるようにならなければ、結局刑務所への出入りを繰り返すことになってしまいます。実社会の中で生活を送らせながら、その改善更生を助け、犯罪を犯した人の地域社会への復帰を図っていく更生保護は、言わば刑事司法最終局面として重要な役割を担っていると考えますし、我が国の更生保護は、かねてから保護司を始めとする民間の方々の多大な御協力に支えられながら相応役割を果たしてきたと思います。  ただ、その一方で、大変残念なことに、刑務所から仮釈放になったばかりの人物が殺傷事件を起こすなど、保護観察中の人が事件を起こす例もなくなりません。この点、更生保護あり方を考える有識者会議報告書では、今日、更生保護制度機能不全に陥りかけており、その目的を十分に果たせていないといった大変厳しい指摘がなされているところですが、まず長勢大臣に、更生保護の現状についての御認識をお伺いいたします。
  6. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 御指摘のとおり、再犯防止といいますか、こういうことが今社会治安を考える上で国民の大きな関心となっております。その上で、更生保護制度の果たす役割は大変重要であるというふうに思っております。  御案内のとおり、更生保護制度官民協働体制保護司さんの御協力を得ながら相応の成果を上げてきたわけではございますが、しかし、十六年から十七年にかけて、保護観察中の者や以前保護観察を受けたことのある者による重大再犯事件が続発したことなどから、各方面から更生保護が十分機能していないのではないかという指摘を受けたところでございます。  昨年六月に取りまとめられました更生保護あり方を考える有識者会議においても、保護観察官対象者生活の安定を図ることを保護観察の主目標と考え、円滑な社会復帰を支援することを重視する一方、対象者による再犯防止をして社会を保護するという意識が不十分である、あるいは保護観察対象者生活実態の把握が不十分である、あるいは実効性の高い積極的な処遇が不十分である、あるいは更生意欲の乏しい者への対応が不十分である、保護司等へ余りにも依存し過ぎている、国民地域社会に十分に理解されるには至っていないなどの問題点指摘され、今日、更生保護制度機能不全に陥りかけており、その目的を十分に果たせていないという大変に厳しい指摘を受けたところでございます。  保護司さん、また観察官、それぞれ一生懸命やっておるわけでございますが、確かに現在の更生保護は近年の社会情勢犯罪情勢の変化に十分に対応できていない、そういう意味で国民期待にこたえていないという面があると考えております。こういうことから、この御指摘も踏まえまして、今回、更生保護制度機能を強化し、国民期待にこたえるものとするため、法令の整備、その運用、組織体制など、すべての面にわたって改革を行う必要があると考えており、そのために今回更生保護法案を国会に提案をさせていただいた次第でございます。
  7. 山東昭子

    山東昭子君 刑務所出所者再犯率が大変高いということですけれども、このように多くの人が懲りることもなくまた犯罪に及んでしまうことにはどういった事情があるのでしょうか。人それぞれでなかなか説明が難しい部分があるとは思いますけれども、保護観察実施者という立場から見た印象でも結構ですので、お話しいただけますでしょうか。
  8. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 若干、経験に基づいた雑駁なお答えになるかもしれませんけれども、保護観察をやっている者たちの感覚で申し上げますと、本人性格とか物の考え方の問題は別といたしまして、一般的に言いますと、例えば家族あるいは家庭が不安定であるというような事情一つ多く考えられます。それから二番目として、友人とか仲間というのが良くないという場合が考えられる。最たるものは、暴力団関係者仲間だというようなことであると思います。それから三番目は、仕事がちゃんとしたものがなくて生活が不安定だというようなことが考えられます。それから四番目といたしまして、罪種にもよるんですけれども、先ほどもちょっと申し上げました、一定の犯罪を犯す性癖がどうもあるというようなことが考えられようかと思います。
  9. 山東昭子

    山東昭子君 今言われたように、どのような生活環境に置かれているかということが大変重要だと思うわけでございます。今言われたように、暴力団からせっかく離脱した者が、行き場がなくて再び暴力団に身を寄せてしまうというような話も聞きます。自分一人の力だけで立ち直っていくというのは容易なことではありませんが、社会の誘惑やストレスに負けずに更生の道を歩むためには、今言われたように、家族や信頼できる友人など、将来にわたって支えてくれる人の存在が必要だと思いますが、出所後の生活環境について、実務上どのような手当てがなされているんでしょうか。
  10. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 出所後の生活環境調整につきましては、今回の法案で、今までは任意的なものとされておったんですけれども、今度は義務的なものとするようになっております。  したがって、ますますこれを強力にやっていきたいと思っておりますけれども、現在、刑務所に入った者につきまして、出所後の生活環境調整につきましては、具体的には、保護観察官を決めまして、また保護司さんをその対象者ごとに決めまして、被収容者が希望する帰住予定地を直接に訪問をして、家族その他の関係者面接をする、そして引受けの意思を確認をいたします。それから、引受人やその家庭状況でありますとか、帰住予定地の近隣の様子でありますとか、社会感情あるいは被害弁償様子被害者感情収容前の生活状況交友関係釈放後の職業や生計の見込み等について継続的な調査を実施いたします。また、釈放後のいろんなことについて、家族その他の関係者に助言や相談に乗ったりするということも行っております。  被収容者面接、通信をし、あるいは刑事施設福祉機関との協議も行いまして、社会復帰を円滑にする環境調整を漏れなく行っておるところでございます。
  11. 山東昭子

    山東昭子君 この法案趣旨説明の中で、更生保護目的明確化するというお話がありました。  法案の第一条では、再び犯罪をすることを防ぎ、又はその非行をなくしという箇所と、それに続く、これらの者が善良な社会一員として自立しという文言が新たに用いられていますが、このように表現を改めた趣旨について大臣にお尋ねします。
  12. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 先生、先ほど来御指摘のような更生保護のこれからの在り方についてその機能を十分に発揮するために、法律目的そのものも正確に明確化をしたいという趣旨で今回表現ぶりを改めたわけでございます。  現在の犯罪者予防更生法第一条では、再犯防止や善良な社会一員として自立することを助けるというような点は明示はしておりません。しかし、改善更生とは、犯罪非行原因となった生活態度等を改め、再犯のおそれや非行をなくし、実社会の健全な一員として復帰することであり、再犯や再非行に陥ってしまえば改善更生は致命的に妨げられるという関係にあります。  したがって、改善更生を助けることと再犯を防ぎ非行をなくすことが一体のものとして行われねばならないということは当然であります。このことは、有識者会議においても、その人が改善更生すれば再犯には至らず、逆に、その人が再犯に至ってしまえば改善更生の道は遠くなり、改善更生再犯防止は正に不即不離の関係にあるとされ、また、刑事司法の一翼を担い、犯罪非行をした人の改善更生を助け、再犯防止し、社会を保護することを目的とする制度であることを改めて認識し、国がそのために必要な役割を果たすことを明確にすべきであるというふうに述べられているところでもあります。また、対象者改善更生にとっては、更生保護援助等に依存することなく、自立して健全な生活を送れるようになることが重要であり、自立を支援するということも重要であります。  今回の法案では、これらの点を踏まえまして、社会内で適切な処遇を行うことにより再犯を防ぎ、非行をなくし、善良な社会一員として自立し、改善更生することを助けるという目的を明確にしたものでございます。
  13. 山東昭子

    山東昭子君 ところで、この法案第一条の目的規定について、再犯防止改善更生の結果としてもたらされるものとしてのみ求めるべきであるとして、その規定の仕方を批判する声があるそうです。  そこで、大臣にお尋ねいたしますけれども、この意見についてどのような見解をお持ちでございましょうか。
  14. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 改善更生が遂げられればおのずと再犯防止されることになりますけれども、一方、改善更生を図る過程で一たび再犯に陥れば、改善更生する上での致命的な障害や後退となるということでありますから、社会内処遇を実施していく過程においては、改善更生された結果としての再犯可能性の消滅を待つだけではなくて、再犯を防ぐことと改善更生を助けることが一体のものとして行われなければならないというふうに考えております。また、改善更生過程で、ある程度の再犯に及ぶことを許容してこれを防がず、安全、安心が現に害されることを国民に受忍させながら本人改善更生を助けることとするのは、刑事司法制度一環として国が担う制度としては受け入れ難いものではないかというふうに考えております。  このことは、有識者会議報告におきましても、従来の保護観察官意識について、保護観察官は、対象者による再犯防止して社会を保護するという意識が不十分である。再犯が発生したときには、国民に重大な被害を与えることになるという意識が必ずしも十分でなく、そのために、再犯の発生を何としてでも防止するという強い責任感が不足し、国民期待との間にずれを生じているという厳しい指摘がなされておるところでございます。  こういう指摘を自覚してもらわなければならないというふうに考えておるわけでございまして、今回の目的規定は、正に再犯防止改善更生一体のものとして行うという趣旨を明確にしたものでございます。
  15. 山東昭子

    山東昭子君 私もそのとおりであると考えます。  国が刑事司法一環として行う以上、処遇過程再犯が起きないよう意識しないことは許されないでしょう。この点、再犯防止が強調され過ぎて改善更生を助けることがおろそかになるのではないかという声もあるようですが、これについては大臣はどのようにお考えでしょうか。
  16. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 今御説明いたしましたとおり、再犯防止改善更生一体のものとしてともに行われなければならない。ただ、従来、先ほど御報告いたしました有識者会議報告書にあるとおり、再犯防止意識が不十分であったということから目的を明確にするという改正を行うことにしておりますが、今回の第一条というものが、再犯防止を殊更に強調して改善更生を助けることをおろそかにしていいという趣旨のものでは全くございませんで、両者は一体のものとして行っていかなければならないという趣旨のものでございます。
  17. 山東昭子

    山東昭子君 趣旨説明の中で、この法律案保護観察における遵守事項を整理し、充実させるものであるという御説明がありました。保護観察に付される人は、元々生活態度性格に何らかの問題を抱えている人も多いでしょうから、こういった人たち社会内で処遇して改善更生させるといっても、実際には決して簡単なことではないと思われます。  そうした中で、保護観察実効性を確保するためには、まずは基本的なこと、すなわち守るべき事項をきちんと定め、これを確実に守らせていくことが非常に大切であると考えます。  そこで、この遵守事項整理充実の具体的な内容について順にお尋ねいたしますけれども、まず五十条で規定されている一般遵守事項は、現在の犯罪者予防更生法とどのように変わることになるんでしょうか。
  18. 水野賢一

    ○副大臣水野賢一君) 現行法律と新しい更生保護法案で、一般遵守事項について変わる点というのは、今までなくて今度の法案で盛り込んだものといたしましては、一つには保護観察官又は保護司面接を受けること、そして保護観察官又は保護司生活実態を示す事実を申告し、又はこれに関する資料を提示することを守るということ、そしてさらに保護観察官又は保護司指導監督を誠実に受けること、これが今回の法案に明記をされたということでございます。  これらは保護観察を有効に実施する上で不可欠なことであり、現行法でも言わば当然守るべき自明のことというふうには解されておったんですけれども、その重要性にかんがみて、これを一層確実なものとして保護観察実効性を高めるために法文で明文的に規定をしたものでございます。  逆に、従来の法律犯罪者予防更生法に書かれていたけれども今回の法案で除いたものとしては、一般遵守事項として規定されていたもので除いたものとしては、正業に従事すること及び犯罪性のある者及び素行不良の者と交際しないことというような規定については、従来の法案でも執行猶予者保護観察法においては一般遵守事項とされていない上、必ずしもすべての保護観察対象者に義務付ける必要があるものではないために、同様の事項特別遵守事項として定められるようにして、一般遵守事項からは除いたということでございます。
  19. 山東昭子

    山東昭子君 特別遵守事項についてお尋ねいたします。  現行法でも個々の対象者ごと特別遵守事項を定める仕組みになっていますけれども、この法案では現行法とどのように変わっているのでしょうか。
  20. 水野賢一

    ○副大臣水野賢一君) 現行法特別遵守事項に関しては、実務上専ら生活の指針や努力目標にすぎないので、違反に対する問責が困難な事項までが含まれていて性格があいまいだというような批判、また、そのことが遵守事項違反に基づく措置が消極的に流れてしまうんではないか、そういうような指摘があったところでございます。  そこで、この新たな更生保護法案においては、特別遵守事項違反をした場合には、例えば仮釈放取消しとか、そういうことに結び付く規範だということを改めて明確にいたしまして、そして、こういう法的性格を有することを踏まえながら、保護観察対象者改善更生のために特に必要と認められる範囲内において具体的に定めるということといたして、その類型法律明示をいたしました。  さらに、現行法特別遵守事項保護観察の開始時に必ず設定し、以後変更ができないというものだったのに対して、新しい更生保護法案では、保護観察の途中でも特別遵守事項の設定、変更できるようにして、言わば取消しも含めて弾力的な処遇を可能にしたという点が新しい法案の特徴でございます。
  21. 山東昭子

    山東昭子君 特別遵守事項は本当に必要なものだけに絞り込む、違反しても仮釈放取消しのような措置におよそ結び付く余地がないようなものは定めさせないということですね。  それでは、実際にどのような事項なのか、具体例を挙げていただきたいと思います。
  22. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 法案の五十一条二項には、一号から六号まで類型が定められております。  重立ったものの例を申し上げたいと思います。  第一号でございます。何かしてはいけないという禁止のものでございますけれども、例えば保護観察原因になった事件共犯事件であるというような場合でございますと、今回有罪とされた事件共犯者と接触したり連絡を取り合ったりしないことというのが考えられます。それから、遊興を原因として金に困って窃盗等をしたというような場合でありますと、パチンコ、スロット、競馬、競艇又は競輪をしないことということが考えられます。第二号の類型で、これは何かすることというものでございますけれども、例えば正当な理由なく欠席、遅刻又は早退をせずに高等学校に通うことというようなことが考えられます。三号の類型でございます。これは、例えば現在の雇用先を退職するときは、緊急の場合を除き、あらかじめ保護観察官又は保護司に申告をすることということが考えられます。四号はプログラム関係でございますので、これは告示に係る性犯罪者処遇プログラムを受けることというようなことが考えられます。五号については、○○保護観察所に付設された宿泊施設に宿泊して保護観察官指導監督を受けることというようなことが考えられます。六号、その他というものでございますけれども、例えば○○施設の内部の規則たる施設内の禁酒を守ることというようなことが考えられようかと思います。
  23. 山東昭子

    山東昭子君 この法案遵守事項整理充実されることによって、仮釈放取消しなどの遵守事項違反に対する措置のとり方はどのように変わっていくんでしょうか。
  24. 水野賢一

    ○副大臣水野賢一君) 更生保護法案の下では、特別遵守事項内容というのは、これに違反した場合にいわゆる不良措置をとることが想定されるものに厳選するわけでございますので、また規範としても明確なものになることですから、保護観察対象者にとりましては、どういう行為をした場合には不良措置をとられ得るのかが容易に予想可能になる、また、必要がなくなった特別遵守事項は取り消すことができるということでございますから、改善更生が進めば制約が緩和されるので、改善更生に向けた意欲というものが一層喚起されるというふうになると考えられます。  その上で、逆に遵守事項違反して、社会内の処遇によっては改善更生を図ることが困難だという場合で、本当に不良措置をとらなきゃいけなくなった場合には、より迅速かつ的確に不良措置がとられるように、言わばめり張りが付くようになるんじゃないかというふうに考えられます。
  25. 山東昭子

    山東昭子君 次に、この法律案では犯罪被害者の関与について新たな制度を導入することとしていますけれども、この制度の概要と、これを導入することにした趣旨について大臣にお尋ねいたします。
  26. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 今度の法案で、仮釈放や少年院からの仮退院審理において、被害者等から意見等を聴取する制度及び保護観察を現に受けている者に対し被害者等心情等を伝達する制度を導入することとしております。  まず、仮釈放等審理における意見等聴取制度趣旨についてでございますが、被害者等仮釈放等審理に際して意見等を述べたいと希望することは往々にしてあるわけでありまして、こうした被害者等思いにできる限り配慮する必要があります。また、被害者等は、社会の中にあって対象者改善更生過程に強い関心と利害を有するものであります。仮釈放等審理においてこれを聴取することは有用かつ必要であります。そこで、仮釈放等審理における意見等聴取制度を導入することとしたわけでございます。  次に、保護観察対象者に対する被害者等心情等伝達制度趣旨についてでございますが、被害者等がその心情等保護観察を受けている加害者に伝達してほしいと希望することは往々にしてあるわけでありまして、こうした被害者等思いにできる限り配慮をする必要がありますし、また保護観察において、保護観察対象者の反省や悔悟の情を深めさせ、その改善更生を図るためには、被害者等心情等をできるだけ具体的に保護観察対象者に認識させることが有用かつ必要であります。そこで今回、保護観察対象者被害者等心情等を伝達する制度を導入するということにしたわけでございます。
  27. 山東昭子

    山東昭子君 この制度を導入した場合、まず仮釈放審理被害者やその遺族が意見心情を述べた場合にはどのような形で審理に反映されるのでしょうか。
  28. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 地方更生保護委員会仕事でございますけれども、仮釈放関係では、仮釈放又は仮退院を許すか否かを判断をするという仕事のほかに、仮釈放などを許す場合には、必要に応じまして本人に遵守させるべき特別遵守事項というものを定めます。それから、審理において把握された保護観察実施上の参考事項というものを保護観察を行う保護観察所長に伝えるということもいたします。  そういうことでございますので、被害者方々からお聴きした意見等というものは、一つには仮釈放等を許すかどうかという判断をする場合にしんしゃくされますが、また、それが許された場合の特別遵守事項をどう決めるかということ、それから保護観察所長に対してどんな参考事項を伝達するかということを決める場合、そういうことにも反映されることになります。
  29. 山東昭子

    山東昭子君 刑務所を出た後の住居の問題は、加害者更生にとって重要なことであると同時に、被害者にとっても関心のあることでございます。特に、刑務所から出てきた加害者被害者の住居から比較的近い場所に住むことになれば被害者にとっては精神的な負担が大きくならざるを得ず、実際にそうしたことで転居を余儀なくされるような事案もあると聞いておりますけれども、こうした問題は何とかならないんでしょうか。
  30. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 御指摘のとおり、被害者方々にとりましては、自分の住居の近くに加害者が帰住してくるというようなことは大きい負担になる場合が往々にしてあろうかと思います。そういうような場合には、加害者の帰住先を調整する環境調整という段階におきまして被害者の方のお気持ちをよくお聴きをいたしまして、その感情が極めて厳しいというような場合には他の帰住先を調整をするということで、そこに住むようにするということもあろうかと思います。しかし、やむを得ず被害者の方の近くに帰住させざるを得ないというような場合もあろうかと思いますけれども、そういう場合には、仮釈放の際に特別遵守事項といたしまして被害者の身辺に近づかないことというようなことを定めて、これを遵守するような指導をするということも考えられます。
  31. 山東昭子

    山東昭子君 ちょっと余り明確でないようですけれども、できる限り配慮をする、引き続きやはり注意を払うというようなことが必要ではないかと思いますけれども。  被害者から心情を聴くという作業はだれが行うことになるんでしょうか。保護司被害者の応対に当たるんでしょうか。
  32. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 被害者方々から心情等をお聴きするというのは、これは保護観察官仕事であるというふうに考えております。保護司さんにつきましてはそれを支援していただくということで、その被害者方々、いろいろと不安を持ち、慣れない手続でもあるということでございますので、例えば、これはどんなふうに表現したらいいんでしょうかとか、こんなことを言ってもいいんでしょうかとかというようなことがありますと、そういう相談に応じる、あるいは心情等を述べる場に同席をしていただくというようなことで気持ちを柔らかくして心情等が述べやすくなるようにすると、そういうような役割を担っていただくというふうに考えております。
  33. 山東昭子

    山東昭子君 資料によりますと、平成十七年中に新たに保護観察に付された者の総数は六万二千五百六十二人であり、そのうち三万六千二百六十人が保護観察処分少年、四千八百八十六人が少年院仮退院者ということであります。保護観察対象者の六五・八%が少年ということになりますけれども、その一方で、保護観察の重要な担い手である保護司の平均年齢は六十二歳を超えており、ちょっと少年から見ると年齢が離れ過ぎていて、実効性のある保護観察というものが期待できないのではないかということも言われております。  そこで、対象者の多くが少年であることへの対応策として、例えば保護司の中に年齢層の若い人や非行から立ち直ったような人物なども導入するということも必要なのではないかと考えますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  34. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 御指摘のとおり、本年の一月一日現在での全国の保護司さんの平均年齢は六十二・八歳ということになっております。最近、少し若返ってきてはいるところでございます。  確かに、保護司さんの中には、若者の言葉がよく分からない、あるいは物の考え方について知識が乏しいという方もいらっしゃることはいらっしゃるわけでございます。しかし、他方におきまして、親子の関係などいろんな問題を抱える少年に対する保護観察の実施に当たって、保護司さんの豊富な人生経験に裏付けされた指導、助言というのが大変に役に立っておりまして、年配の方も少年に対してきちんと指導をしていただいておるというのもまた現状でございます。  しかし、今後とも多様な年代の幅広い層の方々保護司になっていただくというようにしてまいる必要があろうかと思います。そういう観点から、現在、法務省におきましては、全国保護司連盟と一昨年から連携をして、保護司候補者内申委員会モデル地区事業というものをやっておりまして、いろんな層の方、例えば町内会の方、自治会の方、民生・児童委員、少年補導員、教育関係者等の中から委員になっていただいて、保護司の適任者、適任候補者を推薦いただくというようなことをやっておるところでございますけれども、これを拡大したいと思います。  また、非行から立ち直ったような方を保護司にということもございましたけれども、現実にもそういう方々が立派に保護司になっておられる例も承知をいたしておるところでございます。
  35. 山東昭子

    山東昭子君 とにかく、やはり余りまじめ一筋というような方だけではなしに、やっぱりちょっとぐれた経験のあるような人物の声というものも私は必要じゃないかなという気がしております。それによって、加害者側が本当に心情を吐露することができるというようなことにもつながるんではないかと思います。  一方、我が国の更生保護は、保護司方々はもちろんですけれども、更生保護女性会、BBS会、協力雇用主といった様々な民間ボランティアの方々協力があるものと伺っておりますけれども、こういった方々は具体的にはどのような活動をされているのか、お尋ねいたします。
  36. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 更生保護女性会の方々でございますが、これは女性の立場から犯罪非行のない明るい社会の実現に寄与するということを目的とするボランティア団体でございますけれども、例えば保護観察対象者等への支援活動といたしまして、更生保護施設において入所者の自立に向けた料理教室を開催する、あるいはそこにいる人の衣類を繕ってあげるというようなこと、あるいはお花を生けてあげるというようなことをされております。それから、社会を明るくする運動を法務省やっておりますけれども、これに参加をして街頭広報活動などをやっていただいております。それから、非行防止の基盤を整備するために、家庭教育とか非行防止について地域住民と考えるミニ集会というのをやっておられます。子育てについて若い母親の相談に応じるというような子育て支援活動も展開されております。  BBS会というのは、少年の兄とか姉というような身近な存在として、少年と同じ目線に立ってその自立を支援するというボランティア団体、青年のボランティア団体でございます。例えば、保護観察に付された少年の話し相手、相談相手となる、あるいは学習のサポートを行うというようなともだち活動というのをやっていただいておりますし、それから福祉施設での介護活動や公園の清掃活動というようなものに対象少年と一緒になって参加をしていただいたりいたしております。あるいは、親子で参加できるスポーツ大会とかの開催というようなことにも少年と一緒にやっていただいております。  それから、協力雇用主さんがいらっしゃいます。これは、保護観察対象者であるということを知った上で雇用をしていただける事業主さんでございますけれども、対象者心情を理解して、励ましたり指導をしたりというようなことで、単に仕事を与えるだけではなく、いろんな指導をしていただいておるところでございます。
  37. 山東昭子

    山東昭子君 こうした官民協働体制は、官が民に頼り過ぎることがあってはならない反面、犯罪を犯した人を社会の中で処遇して更生させ、社会に受け入れてもらうという更生保護の性質上、官と民の連携協力として必要不可欠なものであると考えます。  最後に、更生保護における民間との協働体制、連携協力について今後どのようにあるべきとお考えか、長勢大臣の御所見をお伺いし、質問を終わりたいと思います。
  38. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 先生御指摘のとおり、今後とも官民協働体制の下でこの更生保護行政を進めていく上で、民間からの御支援、御協力というものは必要不可欠というふうに考えております。  しかし、この協働体制、連携協力というものが民に頼り過ぎではないかという御批判もありますし、また内容がもっと改善すべき点がないかということは更に検討すべき点も多いだろうというふうに考えております。  保護司さんと保護観察官との適切な役割分担は、今回の法案でも規定を置いて配慮をする、また保護観察官が直接的に関与する割合というものも増やしていくというようなことも考えておるわけでございますが、同時に、今お話のありましたような更生保護女性会あるいはBBS等々の、あるいは協力雇用事業主等々の連携の在り方についても、皆さんがもっともっとやれることをやろうと思っていることもあるんではないかということも含めて、更に強力に進めていきたいと思っております。
  39. 山東昭子

    山東昭子君 是非、積極的に内容を充実させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  40. 松岡徹

    ○松岡徹君 民主党の松岡徹でございます。  私は、先日、本会議で代表質疑させていただきまして、その内容に沿いまして御質問をさせていただきたいと思います。今、山東先生の御質疑の中にあった部分も触れるかと思いますが、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  私自身は、この更生保護法が新たにこれまでの犯罪者予防更生法執行猶予者保護観察法、併せて統合するということについては極めて重要な意義があるんではないかというふうに思っております。代表質問の中でも私は申し上げましたが、犯罪者犯罪を犯すその原因、背景というものが極めて大事な、この更生保護法の主要な大事な点だというふうに思うわけであります。そういう意味では、その辺を是非とも充実させていきたいという視点でこれから御質問させていただきたいと思いますが。  その前に、先日の代表質問でも冒頭に御質問をさせていただきましたが、そのときに、要するに冤罪とか取調べの可視化の問題でありますが、大臣がさきの私の質問に対して御答弁をいただきました。それで、可視化をなぜ取り組まないのか、可視化を取り組むべきだということを申し上げました。それは、冤罪事件が多発をしているという現状をどう受け止めるのかということから考えますと、その原因となっているのが行き過ぎた取調べというものが大きな原因の、要因の一つになっているということは事実でありまして、そういう意味では取調べの段階の可視化というものを積極的に導入していくべきではないかと。折しも裁判員制度がもう間もなく到来をいたします。もう既に、一部では取調べの可視化の試行といいますか、そういったことにも入っております。そういう意味で私は質問をさせていただきました。  そのときに大臣は、その可視化を導入することにためらう原因として、被疑者に供述をためらわせる要因となる、可視化を取り入れれば、そういうふうに申されましたけれども、その点についてもう一度、その認識について改めて大臣の認識をお伺いしたいと思いますが。
  41. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 昨今、取調べの可視化についての議論、先生もでございますが、割と多いわけでございますけれども、行き過ぎた取調べがあるということからこの議論が出発、よく行われているふうな気がいたします。それであれば、行き過ぎた取調べをしないようにするということが一番大事な問題だろうと思いますが、それがすぐ可視化に直結する議論であっていいのかどうかということは、また別の観点からも議論してもらわなきゃいけないだろうと思っております。  そういう観点から、可視化をすればいいというものでもないという部分があることをいろいろな観点から申し上げておるわけでございまして、取調べにおきましては、単に犯罪事実に関することだけでなくて、事案の真相を解明するため犯行の動機や事件の背景事情、被疑者の生い立ちなど様々な事実を聞き出すことになりますけれども、その中には、当然被疑者や第三者のプライバシーにわたる事柄についてやり取りがなされることもあります。  取調べ官は、このように様々なやり取りを行う中で、被疑者から組織や共犯者その他第三者から恨みを買い、報復を受けるおそれがある事柄や、羞恥心等から他人に話すことがはばかられるような事柄についても聞き出すなど、事案の真相を聞き出す努力をしているのが実情であります。そして、このような取調べの過程で得られた供述のうち、被疑者が供述調書に記載することに同意した部分のみが供述調書に記載されて証拠化されているのであり、取調べの過程でなされたすべてのやり取りが供述調書に記載されるわけではございません。  しかし、仮にこれを録音、録画を義務付けるということになりますと、プライバシーにわたる事項など公にできない事柄に触れること自体が困難となる上、被疑者としては、自己の発言の一言一句が記録され、将来それが再生されることによって公になることを意識せざるを得ません。その結果、被疑者が自身や家族等が報復を受けることに対するおそれや、家族友人等に対する羞恥心あるいは打算等から供述をためらったり、様々な計算を働かせて発言したり、あるいはそもそも供述しなくなったりするおそれがあることは明らかであるというふうに考えられます。  こういうことも含めまして、この行き過ぎた取調べをなくするということは当然のことでありますけれども、一方、この可視化の問題はこの行き過ぎた取調べをやめさせるという目的と同時に、犯罪がきちんと適切に解明をするという目的でなければなりません。そういう意味で、刑事捜査手続の中でどういう位置付けになるかということも含めて各方面で御議論をされておるというふうに承知をいたしている次第でございます。
  42. 松岡徹

    ○松岡徹君 大臣の方も相当悩んでいるというふうに感じたんですね。  行き過ぎた取調べ、すべてとは言いません、先ほど大臣が例を申し上げたように、うその供述をするとか、あるいは容疑者との取調べのところで様々な、容疑者が逃げようとするような動きがあるという事案もあるかもしれません。しかし、この間の私は冤罪のところで申し上げているんですが、例えば行き過ぎた取調べというものが極めて冤罪を生む原因一つになっているということは事実でありますね。  例えば、先日も本会議でも申し上げましたが、富山で起きた強姦未遂事件の容疑者として逮捕されて、そして二年九か月にわたって服役させられた。その後、刑期を終えて出た後に、実はその男性は無実であったと。そうしたら、なぜその男性が容疑者として立件されていったのかということなんですね。  そのときに、実は、その人も証言をしておりますが、何を言っても認められないと。私はやっていないと言うと、何でそんなことを言うんだと、これからは、はいかいいえしか言うなと、今後言ったことをひっくり返すことは一切しませんということを署名捺印させられて、はいかうん以外は言うなというふうな取調べを受けたと。その結果、その男性は、はいかうんしか言えない。その結果、彼は容疑者になって冤罪が生まれていくんですね。  これは、こういった取調べは行き過ぎと思いませんか、大臣
  43. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) いろんな状況があるでしょうから、真相の解明の過程でいろんなことがあるんでしょうから、具体的にこれが行き過ぎであるかどうかということを私が今申し上げる立場にはないような気がいたしますが、いずれにしても富山の事件は真犯人でなかったことは明らかであって、その捜査の過程においていろいろ問題も指摘されておることでありますから、そういうことのないようにきちんとした取調べをすべきものであるというふうに思っております。
  44. 松岡徹

    ○松岡徹君 いやいや、真犯人でないということが分かったんですよ。なぜこんな真犯人でないという冤罪を生み出したのかという原因を今話しているんですね。  その原因一つに、彼自身も述べていますけれども、なぜこういうふうなうその自白をしたんだといえば、私はやっていないというふうに否認すれば、県警の取調べ官から、何でそんなことを言うんだ、ばかやろうとどなられたと。翌日、当番弁護士にも否認したんですけれども、すると、取調べ官から白紙の紙を渡されて、今後、言ったことをひっくり返すことは一切いたしませんなどと書かされて、署名捺印させられたと。そして、その後は、はいかうん以外は言うなと言われたんですよ。  彼は、後で言いますけれども、周りの人たちも、非常に気の優しい人だったと。こういうふうに威圧的に言われて、狭い取調べ室の中でやられて、そして彼は犯人にさせられていったんです。後で真犯人ではなかったと、犯人ではなかったということの結果を生み出したのは、これは正にそういう取調べは実は行き過ぎではないのか。すなわち、白紙に、今後言ったことをひっくり返すことは一切いたしませんというようなことを書かして、署名捺印させるということは、これは行き過ぎじゃないですか。
  45. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 私どもとしては、当該事件について今先生御指摘のような状況であったのかどうかは把握しておりませんので、具体的に申し上げることは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げればちょっとやり過ぎかなという感じはしないわけではございません。  同時に、これは私の常識として申し上げるんですけれども、逮捕された被疑者の方がやってませんと最初は言うのは一般的に多いことなんじゃないかなと思いますから、そこら辺で捜査の苦労もあるんだろうなと思います。
  46. 松岡徹

    ○松岡徹君 その一般論で別に言うつもりは毛頭ございませんが、その後、はいかうんしか言うなということまで言っているんですね。  鹿児島で起きた公職選挙法、いわゆる志布志事件でもそうですね。踏み字をさせるということが問題になりました。あれは取調べのときですよ。ああいうやり方も行き過ぎじゃないですか。  そして、取調べ官に対して、はいかうんしか答えるなというようなこと、こんなことが起こって実は無実の人たちが犯人にさせられていくという、こういうことが冤罪だと。その冤罪の原因一つは、そういう取調べの行き過ぎた取調べがあるからではないのかと。ということはもう今までも問題になっているからこそ、大臣も、これからの可視化の在り方については検討課題になると私は十分思いますし、積極的にそのことを取り組んでいくべきだというふうに思いますけれども、もう一度大臣、その辺を踏まえてお答えいただきたい。
  47. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 行き過ぎた取調べは起きないようにすべきであるということは、そのとおりだと思っております。また、そのことによって罪のない方が罪に陥れられるということは当然あってはならないことであります。  しかし、今、日本の刑事手続の中では自白が極めて重要な位置を占めておる、そして、それを可視化することによってその役割がどうなっていくのかと。逆にそのことによって犯罪者が発見されないというようなことになることも、これはまた考えなきゃならないことでございますから、刑事手続全体の中で真実、犯罪を摘発するという役割と、そういう行き過ぎたことが行われないようにするということをどういうふうにバランスを取るかということは大変難しい課題だと思いますし、今法曹三者の間で協議会も設けて御議論いただいておるというふうに思っております。
  48. 松岡徹

    ○松岡徹君 警察庁にも来ていただいていますけれども、こういった例がたくさんありますけれども、特にこの富山のやつとか志布志事件のやつで、こういった取組によって自白させられたと、強要されというふうにこの方たちは言っています。そして、そういうことが実際やられたということが明らかになっています。そして、この富山の方なんかは、それによって自分のふるさとへ帰ることすらできないという状況になっています。要らぬ犯罪者という汚名を着せられて、冤罪の下に自分のふるさとを捨てて、ひっそりと隠れるように過ごしていたという状況なんですね。この期間はその彼らにとっては取り戻すことができないんですよ。  こういった取調べによって犯人にさせられてこういった被害を被ったときに、そういった行為をしたことが明らかに間違いであるというふうに、こんなことは二度とあってはならないというふうに思いませんか。
  49. 縄田修

    政府参考人縄田修君) 委員御指摘の富山の事案、あるいは志布志の事案につきましては、これは大変重く受け止めておりまして、私どももその事実関係等につきましても調査もいたしましたし、判決文等につきましても十分精査もいたしながらこれまで対応いたしております。  それぞれ、富山の事案につきましては、これは正に委員がおっしゃられたような、男性、そういう性格ということもあります。そういったことも考えながら取調べをしていくということになろうかと思いますけれども、供述が得られたものの、御本人が話された中身につきまして客観的事実がどう付いていっているのかといいますか、そういった裏付けが十分なされてないというふうなことがある。そういったことを総合して事実認定をしてしまって大変な誤りを犯してしまったということで、これは捜査としては極めて拙劣であったというふうに認識をいたしております。  志布志の事案につきましては、これは委員の御指摘のとおり、長時間あるいは長期間にわたる取調べ、あるいはその取り調べられた方々に対してかなり威圧的なと受け取られるような言動が多々あったんじゃないかということで指摘されておりまして、これも非常に重く受け止めております。  こういった事案につきましては、私どもも、幹部の会議といいますか、管区警察局長会議あるいは刑事部長会議あるいはそれぞれの捜査担当課長会議、私もかなり時間を割いて指示をしながら、また個別に各県の指導担当の管理官を呼んで、管区単位で個別に半日間じっくり教養もするというようなこともやりながら、あるいは警察大学校等での教養の仕組みも、適正捜査という項を別途新たに抜き出して時間を設けるとか、様々な努力もしながら、今後、適正な捜査、取調べにおきまして誤りのないようにということで、徹底を今いたしておるところでございます。更に努力を重ねていきたいと、こういうふうに思っております。
  50. 松岡徹

    ○松岡徹君 決して正しい方法ではないというふうに思うんですけれども。ただ、この取調べ官、どっちも、志布志も富山もそうですけれども、そういうやり方をやった取調べ官は処罰されてないんですね。処罰されてないんです。処罰せえへんかったらこんなことはやってもいいということになってしまうんじゃないですか。対策にならないでしょう。二度と起きないという保証はないではないですか。なぜ処罰しないんですか。
  51. 縄田修

    政府参考人縄田修君) 取調べをめぐりましては、例えば暴行とか脅迫とか刑事罰を科す事案につきましてはこれまでも厳正に対処いたしておるところでございまして、場合によっては逮捕する、あるいは検察庁に書類を送致するということで、刑事処分等も受けているケースもございます。今回の事案につきましては、何とか事実を解明しようといいますか、真相解明のためにということで捜査官として努力をしている過程でかなり、若干行き過ぎがあったということで私どもは理解をいたしております。  富山県、先ほどちょっと御指摘がありました踏み字の事案につきましては、これは大変調べられた方々に対して精神的な苦痛を与えたということで、これにつきましては国家賠償でも原告の主張が認められたということで、そういう状況もございましたし、私どもとしては、いかがなものかということで、これにつきましては減給処分をいたしたところでございます。  富山あるいは志布志の事案につきましては、富山事案につきましては、当時の警察署長、主任官等、捜査に関与した者につきまして、警察本部長の方から厳重に注意をいたしたところでございます。志布志事案につきましては、当時の警察本部長につきまして、警察庁長官から文書による厳重注意処分をいたしました。さらに、当時の捜査主任官あるいは警察本部から応援に行っておった捜査指揮に当たった者につきましても本部長から厳重注意をいたしたというところでございます。
  52. 松岡徹

    ○松岡徹君 その違法な行き過ぎた取調べによって、片や被害者の方はその人生を大きな傷付けられてるんですよ。片一方は注意だけですよ。私たち言っているのは、こういうことを二度と起こさないようにどうするかということを言っているんですよ。厳重な処罰をするということは内部の規律にもつながってくるわけでしょう。そして、そういったことが起きないようなシステムとして可視化というものを導入するべきだというふうに思っているんですよ。  富山なんかは、先日、彼の無実を証明するための再審という手続がもう今取られています。そのときに検察官の方が、新聞に載っておったんですけど、来られて、富山地検、検察から無実を証明するための調書を取ると説明を受けて、検察官は県警の捜査員や富山地検の支部の副検事の実名を挙げて、男性に、こういったことの取調べをしたこの取調べ官も含め、恨むか恨まないかというふうに質問したと。男性は無実の強姦事件で取調べを受けた際の威圧的な態度を思い出したと。そのときに、彼は一人で、検察官とか複数の人が来て恨むか恨まないかと聞かれた。その昔のうその自白を強要されたことを思い出して、恨みませんというふうに彼は答えたんです。そうすると、検察官は、その言葉を盛り込んだ調書を朗読して、男性にその調書に署名捺印をさした。余計なことですよ、これ。  これ、自分たちの責任逃れのために彼に言わしているというふうにしか映らないんですよ。こんなことは普通やるんですか。大臣、どう思います。
  53. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 個別の事件のことでありますので、ちょっと私はお答えは差し控えさしていただきます。
  54. 松岡徹

    ○松岡徹君 個別やなしに、こういうことが実際に検察官でやられたということですよ。こんなことはあるんですか。こんなことはあると思いますか。
  55. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) ちょっと私は、あったかなかったかも含めて分かりませんので、それから、そういうことは、個別の問題についてはお答えは差し控えさしていただきたいと思います。
  56. 松岡徹

    ○松岡徹君 この問題であんまり時間を取るわけにいきませんので、是非ともそういう機会でやりたいと思いますが。要するに、こういう態度が、こういう対応が結局威圧的で行き過ぎて、その人の証言とか発言を誘導するということにつながっていると思うんですよ。こんなことは二度とあってはならないというふうに思います。  私は、一方で、先日、フィリピンで起きた保険金殺人の事件で、検察の側が、そのときの取調べのDVDが証拠採用されて、それが映されたというふうになっています。すなわち取調べのDVD、映像と音声です。それがフィリピンで起きた保険金殺人の事件にかかわって証拠採用されたということなんです。すなわち、取調べの可視化、そのことは、明らかにどちらに対しても、そのときに言っているんですよ。警察庁のある幹部は、検察官による取調べの録画の証拠採用が定着すれば、警察の取調べが適切だったとの証明にもつながると言っています。これは逆も言えるということですよ、これ。すなわち、公正に公平にやられるべきだと。こういうこと、実例としてあるんですから、今後の取調べの可視化についてはこれ拒否できないといいますか、断るあるいは否定する理由はないんじゃないですか。  改めて、可視化に向けての大臣の決意といいますか考え方、お聞かせ願いたいと思います。これについての見解も含めて。
  57. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) この可視化について、検察当局においては、被告人の自白の任意性を迅速かつ効果的に立証するのに実施する必要が認められる事件について、取調べの機能を損なわない範囲内で取調べの録音、録画を試行しておるというものと承知をしております。  しかし、全体としての可視化という話になりましたら、先ほど来御答弁申し上げていることを含めて、さらに法曹三者の中で、刑事手続全体の中で御検討されておられますし、我々としても、各国の状況等、いろんな観点からの検討を内部的にも進めておりますので、今後、更に検討してまいりたいと思います。
  58. 松岡徹

    ○松岡徹君 この辺でこの件については終わりたいと思いますが、こういう社会の情勢といいますか時代の変化、そして何がそれに対応する大事なシステムかということを考えれば、私は完全可視化というものは避けて通れない重要な課題だと思っています。大臣がそういう消極的な態度ではなくて、むしろ積極的に検討をする、あるいは導入に向けた取組をしていきたいというふうな態度をこれからは是非とも発揮していただきたいということを要望して、次に移りたいというふうに思っております。  いよいよ本題でございますが、先ほどもありました提案理由のところであります。改めて提案理由の内容についてお聞かせいただきたいというふうに思っています。  有識者会議からの提言を受けまして、大臣のそれの受け止め方であります。先ほどの山東先生の質疑の中にもありました。そこで、改めましてこの提案理由の中にある、近時、社会及び犯罪の情勢が変化する中で、更生保護はその目的を十分に果たせていないとの指摘があると、そういった指摘を受けて、大臣はさきの衆議院の委員会でも、様々なところでも答えております。  そこで、犯罪情勢の変化というのはどういうふうにとらえられているのか、そしてその更生保護の、保護というのはその目的を十分に果たせていないというふうにも答えられております。その点についてどういうふうな認識か、改めてお聞かせいただきたい。
  59. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) この保護観察中の方々再犯事件、特に重大再犯事件が起きたということがこれはもういろんな議論の契機になっておるわけでございますが、先ほど山東先生からも御指摘がありましたように、更生保護中の者が再犯を犯すということが非常に高い率で起きておって、そのことに対して国民の皆さんが大変不安を感じておられると。その原因として、有識者会議指摘されておるような、先ほども御説明いたしましたけれども、保護観察官は、この対象者の円滑な社会復帰を支援することを重視する一方、再犯防止して社会を保護するという意識が不十分であること、あるいは更生意欲の乏しい者への対応が不十分であること、あるいは実効性の高い積極的な処遇が不十分であることなどの問題点指摘されており、こういうことから機能不全に陥っておるという厳しい指摘がされておると。これらの指摘はそれなりに当然考慮すべき事項であるというふうに思っております。
  60. 松岡徹

    ○松岡徹君 ちょっと分かりにくいんですが、犯罪情勢が変化しているというふうにあります。先ほど大臣も、国民世論の意識というものを受け止めなくてはならない。すなわち、この犯罪情勢の変化というのをどういうふうに大臣はとらえられておりますか。
  61. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 昨今、少年犯罪が大変世間の話題を呼んでおりますし、それが凶悪重大化しておる、また非常に低年齢の方々にも起きておる、さらに今、犯罪に対する社会的な対応といいますか仕組み、社会的な対応がますます希薄化しておりますので、治安に対する国民の不安は非常に高まっておると。そういう中で、再犯という問題が、再犯事件も頻発しておりますので、そういうことに対する国民の不安も高まっておるというふうに思っております。
  62. 松岡徹

    ○松岡徹君 犯罪の全体の総数としては別に急増しているわけではないと思うんですね。横ばいという状況だと思うんですね。  国民世論の感情犯罪情勢の変化といったときに、私はどう見るかというのは、やっぱり、例えば以前あったあの青森で起きた保護観察中の者が犯した犯罪、それと安城市で起きた仮釈放で幼児を殺したあの事件、非常にセンセーショナルなショッキングな事件で、社会に与える影響といいますか、非常にショッキングな事件でありました。  少年犯罪もそうであります。少年の犯罪の凶悪化というのが本当に増えているのかどうかということを考えますと、私は特にメディアの働きというのが大きいと思うんですね。犯罪件数そのものはそんなに増えていない、むしろ横ばいか減少傾向、まあ上下はあるかもしれませんが、そんなに増えていない。そういう意味では、そういうショッキングな、衝撃を与えるような重大な事件がいち早くメディアでずっと報道されていくということは、国民にとっては無防備にその現象のみを受け止めてしまいます。そういう意味では、いたずらに不安をあおってしまうという側面もあるんではないかというふうに考えるんですね。  だから、犯罪情勢の変化というものをとらえるときに、私は決してそのことはいいとは思いませんが、そういった特別なといいますか、そういった世間にショッキングな事件となったそのことだけをとらえて更生保護の改正といいますか、そのことだけを力点に置いたようなやり方は、やっぱりちょっと、これはいたずらに世論の不安をあおる結果につながっていくんではないかというふうに思うんですね。だから、冷静に見るべきである。  大臣は、以前からも申し上げております、更生保護というのは刑事司法一環としてあるものだと。そういう意味では、施設処遇社会内処遇というこの関係という立場でしっかりと受け止めなくてはならないというふうに思うんですね。そういうふうに是非とも受け止めていただきたいと思いますので、そういう意味で、これまでの更生保護制度機能を十分果たせてこなかった、果たせていなかったんではないかという批判、あるいはそういうふうにも感じる、受け止めると、だから今回、整備しようという趣旨は私も分かりますが、どこがこれまでの更生保護制度機能が十分果たせてこれなかったのか、こなかったのか、どこに原因がある、何が原因かというふうに思われますか。
  63. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 有識者会議でも指摘されておりますが、一つは、更生保護に当たる観察官方々意識の問題もあろうかと思います。また、保護司さんに頼り過ぎておるという体制の不十分さということもあったかと思います。そういう意味では、その組織、内容、法制、いろいろな面で見直す点がありますし、また保護司さんの方も観察中の方々に十分な指導が取れるような法制的あるいは体制的な状況にあったかということも、反省すべき点がたくさんあるんではないかと思っております。
  64. 松岡徹

    ○松岡徹君 そういうところも一面あると私は思います。  しかし、それだけではないと思うんですね。例えば、先ほど言った重大な、世間にショッキングをもたらすような事件を犯した仮釈放者、保護観察対象者は、そういう観察官とか、そういうものの体制の弱さ、だから起きたんではないか。それ以外に、その人を、仮釈放決定を下した側ですね、すなわち施設処遇のありようにも問題があったんではないかというふうに思いますけれども、いかがですか。
  65. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 御趣旨は、仮釈放を決定した側にも責任があるのではないかという御趣旨でございましょうか。  当然、仮釈放は適切な手続の下に地方委員会判断をしておるわけでございますが、当然いろんな釈放後の状況、在り方も踏まえて、そういうことの状況も踏まえて適正に判断をしなきゃならぬということになっておるわけでございまして、反省すべき点があったかと言われればあったケースもあったのかもしれませんですね。ちょっとあったとは言いかねますけれども、当然適切にやっていくように更に努力をしなきゃならないと思います。
  66. 松岡徹

    ○松岡徹君 素直な答弁ありがとうございます。  是非、やっぱり完璧はないんで、いろいろあると思いますから、その辺は踏まえて今後の在り方について生かしていくというのが大臣の姿勢だったと思います。  それで、私は、先ほども言ったように、こういった重大事件だけを殊更事例として挙げて、今回の更生保護のありようというものは、再犯防止ということだけに力点を置くというのはいかがなものかと。更生保護目的は、犯罪を犯した者が自立更生改善更生していくことが、もって再犯防止につながっていく。すなわち、大臣が答弁でいただきました、一体のものとして受け止めていくべきだというふうに答えられました。  それで、この法案の第一条の目的のところで、以前の法律と違うのは、この法律は、犯罪を犯した者及び非行のある少年に対し、社会内において適切な処遇を行うことにより、再び犯罪をすることを防ぎ、又はその非行をなくし、それらの者が善良な社会一員として自立し、改善更生することを助ける。すなわち改善更生、この更生保護法の目的は、再犯防止というものが極めて重きに置かれているような気がいたしまして質問させていただきました。すると大臣は、そうではないと、それは一体のものとして受け止めるべきだというふうにおっしゃっていただきました。  先ほどの山東委員とのやり取りの中でもそのとおりだと思っておりますが、改めて、この目的規定の解釈運用について、更に改善更生の認識、重要性というものが認識されなければならないというふうに思いますけれども、改めて大臣の御答弁をお伺いしたいと思います。
  67. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 先ほども御答弁申し上げたとおりでございまして、再犯防止改善更生というのは一体的なものとして行わなければならないものだと考えております。そして、いったん再犯になれば改善更生はもう実現不能になってしまうということの意識を持ってこれをやっていかなければならないということでございますから、改善更生が大事なことであるということは当然のことであります。
  68. 松岡徹

    ○松岡徹君 ありがとうございます。  やはり、改善更生にどういうふうにしていくのか、犯罪を犯した者がなぜ犯したのかということを考えれば、先ほどの答弁もありましたけれども、すなわち後の遵守事項の問題にもかかわってきますが、生活の改善といいますか生活のありようというものが一つ原因にもなっているとか、様々背景があります。だからこそ、そういった健全な生活態度を送らしていくということを支援する、援助していくということが大事なことだと思うんですね。それは、その犯罪を犯した者を、二度と再犯を起こさないような改善更生につなげていくことになりますから、そういう意味では改善更生の手だてという、重要性というのはそういうところにあるんだと思います。  大臣は、今年夏に大阪で世界陸上というのを行われるのを御存じですか。世界のアスリートたちが大阪に集まって行われます。当然、アスリートは記録、そういったものを競い合うわけですね。高さや速さやというものを競い合います。記録を競い合うんです。しかし、その記録ばかりに目をとらわれていては駄目なんですね。私は、記録という、犯罪防止ということだけに力点を置くんではなくて、むしろその記録を生むアスリートの能力をどういうふうに高める環境をつくっていくかというものが大事だと、これが私は改善更生の特に大事な点だというふうに思っております。結果として記録、すなわち再犯防止というものが達成されていくというふうに思いますので、この更生保護目的はそういう理念で是非とも進めていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  そこで、国の責務についてでありますが、いろいろありますが、この法案の、私は、先ほど言いましたように、環境づくりといいますかね、すなわち更生保護のありよう、自立へ向けた、改善更生へ向けた取組でありますが、法案の五十八条の補導援護というのがございます。あるいは四章八十二条の収容中の者に対する生活態度調整、これは極めて大事な視点だというふうに思っています。しかし、犯罪者予防更生法の三十六条のところではこういったことが極めて同じように強調をされています。  それで、自立した生活を営むことができるよう、その自立の、自助の責任を踏まえて援助していくということが大事になってきます。そして、社会復帰を円滑にするために必要な釈放後の住居とか就業先、その他いろいろなものが調整が必要だと。すなわち、これは大事な点ですが。  そこで、これまで、国が行うべき責務の範疇になると思うんですが、私も申し上げたように、再犯防止あるいは自立、改善更生していく道は住居と特に就労なんですね。就労を達成した者はやはり再犯率が極めて低い。こういう時代ですから、是非とも就労対策であります。  そこで、昨年、総合的就労支援事業が厚労省と一緒に取り組まれました。その辺の実績等について、どんなことをやってどういう実績を上げてきたのか、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
  69. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 具体的な総合的就労支援事業の内容でございますけれども、就労支援対象者を試行的に雇用した事業主に対する試行雇用奨励金の支給、それから対象者に対する事業所での職場体験講習、それから就労セミナー、事業所見学の開催、それから就職するときに身元保証人がいない者に対する身元保証を行うことというようなことが内容でございます。  試行雇用制度関係でございますけれども、これは厚労省の予算の関係ですが、八十七人分、三か月四万円という計算で千四十四万円の予算が付けられております。それから、職場体験講習の関係、これも厚労省の予算でございますけれども、八百八十八万円の予算がありまして、三百七十人に対するものでございます。それから、セミナーの関係、これも厚労予算でございますけれども、三百八十九万九千円の予算が付いております。それから、身元保証制度、これは法務省の予算になります。これは合計で三千四百七十六万円で千七百三十八人分の予算をいただいております。これは途中から関係のNPOができたものですから、身元保証制度関係では、今千七百三十八と申しましたけれども、約一千人余りの実績ということになっております。  いずれにしましても、こうした就労対策というものが功を奏しているというふうに私ども考えております。  平成十八年じゅうに保護観察を終了した者が四万七千六百四人でありますけれども、その中に占める無職者の割合でございますけれども、九千六百十三人というふうになっておりますが、これは前年に比べまして九百十九人、約九%の減ということになっておりまして、相応の成果が上がっておるように考えております。
  70. 荒井和夫

    政府参考人荒井和夫君) 先生御指摘のように、再犯防止などのためには就業意欲のある方々に対してしっかりした就労機会を提供することが重要だと考えてございます。今法務省の方からもお話がございましたように、平成十八年度から総合的な就労支援対策を開始いたして、厚生労働省と法務省で連携した対応をしております。  具体的には、ハローワークそれから刑務所、少年院、更生保護機関などが連携しまして、この間で就労支援チームをつくって働き掛けを行う。また、安定所においては、ハローワークにおいては、担当者制によってきめ細かく職業紹介、相談をいたしてございます。また、職場経験のなかなか少ない方々に対しては、職場体験講習を事業主の協力をいただいて行ったり、すぐに常用就職に結び付かない方々のためには、トライアル雇用を三か月ほどやっていただいて、それから常用就職に結び付けるなどの取組を行ってございます。そういうことの結果、着実に実績を上げてございます。  平成十八年度の就職状況、これは安定所、ハローワークでの取扱いを見ていきますと、新規求職申込者が二千二百六十八名でございますが、そのうち七百三十人を就職に結び付けてございます。また、この事業、始まった当初はなかなかチームが動かなかったんですけれども、徐々に円滑に動いておりまして、月を重ねるごとに実績を上げてくるという状況になってございます。
  71. 松岡徹

    ○松岡徹君 また一遍、細かな資料を是非ともいただきたいと思うんですが、今言ったトライアル雇用制度というのは一か月以上の試行運転なんですね。要するに、試験的に雇用ということでしょう。その実績が七百三十人が就労に達成できたということですか。  要するに、まあもうよろしいです、細かな数字はもういいですが、いずれにしても、この就労支援にかかわる総合的就労支援事業というのは、厚労省と法務省が連携をして去年から始まったんですね、大臣ね。去年から始まった。やはり就労対策というのは、こういう改善更生にとっては極めて大事な課題でありますから、今言っただけでもハローワーク、公共職業安定所を始めとして、関係部局との連携というものは極めて大事になってくると思うんですが、これは昨年で終わりではないですね。今後どういうふうにしようとしているのか、大臣、お考えお聞かせください。
  72. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 現在、御指摘の、ただいま申し上げましたような総合的就労支援事業を鋭意行っておるところでございますけれども、今後、厚労省との連携を一層緊密化いたしまして、事業の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。  近年、高齢者など職に就くことができない刑務所出所者等も増加いたしておりますので、その関係でも、厚労省あるいは福祉機関との連携によりまして、必要な支援が受けられるようにいたしたいというふうに思っております。  また、協力雇用主さんのことを先ほど申し上げたんでございますけれども、こういう方の拡大と、それから現実に雇用される人の数、これも増やしてまいるようにいたしたいと思います。  関係の省庁との連携を強化いたしたいと思います。
  73. 松岡徹

    ○松岡徹君 この法案の中で新たに入った地方公共団体の協力の関与というのがございますね、大臣ね。これまでの犯罪者予防更生法にはなかった項目なんですね。要するに、ここで新たに書き加えられたということは、地方公共団体にどのような協力とか関与を期待しているのかについて、ちょっとお聞かせ願えますか。
  74. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 地方公共団体との関係というのは、更生保護にとりましては非常に重要なものでございます。それで、現在でもいろんな支援、協力をいただいておるところでございますけれども、今後とも、先ほど申しました高齢者を福祉につなぐ、具体的には生活保護を受けられるようにしていただくというようなことでございますけれども、あるいはアルコールの中毒の人を病院に行かせるとか、あるいは精神的に問題がある方についてもそういう支援をいただくというようなこと、あるいは犯罪予防活動の関係でも民間のいろんな団体に対する支援を、現在もいただいておりますけれども、今後ますます強化してまいりたい、そういう観点から地方公共団体との連携というものを緊密にしたいという趣旨でございます。
  75. 松岡徹

    ○松岡徹君 私も非常に大事な点だと思っておりますので、それについては期待を申し上げたいというふうに思っています。  そこで、もう一つ保護司の皆さんとの連携であります。  今回の有識者会議のところでも指摘がありますように、民間に多分に頼っているところがあると。その中で大きいのは保護司さんですが、保護司さんの現状を見ますと、極めて高齢化しておりますし、その負担が強いというふうに思っています。  そこで、この保護司さんの今の平均年齢が六十二歳ちょっとだと思っています。定数も、約五万二千人に対して四万八千人台というふうに、定数も割れています。だんだん保護司になろうというような人たちが減ってきているんではないかというふうに思っています。こういった現状、保護司さんの今の現状ですね。これからも重要な役割を担っていただくというそういうふうになると思うんですが、この保護司さんの現状について、どのようにしようと考えておられるのか、お聞かせ願えますか。
  76. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 保護司さんには本当に重要な役割を担っていただいてきておるわけでございますが、御指摘のように、定員よりも実人員が下回るというようなこともありますし、また高齢化もしておると、かつ、その補充もなかなかうまくいってない、いくことが非常に困難になりつつあるということも事実でございまして、私どもとしては、何とか保護司さんに適任者になってもらえるような体制を取っていきたいと思っております。やはりこうなるのは、保護司さんといえども一人で活動されているわけではなくて、その地域社会の中でいろんな協力を得ながら活動をされるということになると。しかし、地域社会が非常にいろんなことから希薄化をしてきておることもあって、非常にまたその役割を果たすことも非常に難しくなる、そのことも影響しておるんだろうなというふうに思っております。  そういうこともありますので、これまで退任をされた場合には後の人を紹介してもらうという形でやってきたんですけれども、そういうことだけではなくて、一昨年から、法務省と保護司連盟が連携をして保護司候補者内申委員会モデル地区事業というものを行ってまいりました。これは、例えば町内会、自治会関係者、民生・児童委員、少年補導員、教育関係者等々、地域事情に詳しい方々に委員になっていただき、適任者を内申委員会に推薦していただくということで、広く保護司候補者を確保していこうという試みでございます。平成十七年六月から十八年十一月までの一年六か月間で、全国の六十八保護司会をモデル地区として設置したところ、それ以前と比較をして保護司の委嘱者が百十八人増加という成果もありましたので、こういう試みも含めて保護司の適任者の確保に全力を挙げていきたいと思っております。
  77. 松岡徹

    ○松岡徹君 それで、次に地方更生保護委員のありようについてお聞かせいただきたいと思いますけれども、有識者会議の提言で、要するに、地方更生保護委員の構成で、仮釈放審理が内輪で行われていると。あるいは、公正性、的確性、透明性を高める必要がある。そのためにも、委員に民間出身者を登用すべきだというふうな提言があります。  大臣は、昨年、四人の民間登用を強調されておられますけれども、それだけではなくて、要するに幅といいますかね、積極的に、より積極的にしなくてはならないし、すなわち専門性という観点もありますしね。  そういうことから考えますと、例えば刑事施設視察委員会というのがございますね。あの委員の構成は、むしろ積極的に、例えば法律、弁護士の日弁連とか、あるいは医師会の方からそういう専門家の推薦を受けて委員にすることができる、あるいは積極的にそういう委員に就任していただいているということがあります。  こういったことも事例としてありますので、この地方更生保護委員会の委員の任命に当たってはそういう人事をしていくことが大事だと思いますけれども、大臣、考え方をお聞かせいただきたい。
  78. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 地方更生保護委員会委員に更生保護官署出身者以外のいわゆる民間の方々を登用するということは報告書にあるとおりでありまして、我々としても努力していきたいと思っております。  しかし、現実にはなかなか難しくて、この委員会仕事仮釈放等審理を適切に行うというのが責務になるわけでございますが、おっしゃるような専門的な知識、経験も必要でありますけど、同時に、受刑者等々との面接等々、非常に時間的な拘束も多いわけでございます。そういうことから、なかなか適任者が得れないというのが御理解いただかなきゃなりませんけれども、御指摘のとおり、この民間からの登用ということに私としても積極的に努めてまいりたいと思っております。
  79. 松岡徹

    ○松岡徹君 ちょっと歯切れが悪いんですけれども、具体的にはっきりとこの全体の数からすれば何人ぐらいを民間から登用すべきだというような目標を挙げなかったら、この構成、今の現在のこの更生保護委員会地方更生保護委員会の委員の構成は大体同じ所管から来た人たちなんですよ。要するに、同じジャンルというか、同じところになりますので、やっぱりしっかりと目標値を挙げるべきだと思いますけれども、どうですか。
  80. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) おっしゃることはよく理解はできますけれども、この委員については、今申しましたように、非常に専任的にこの仕事をしなきゃならない職務である、また、専門的な知識、経験が必要な部分であるということもあって、目標を立てたから、それは目標を立てて実現するというやり方でうまくいくかというと非常に難しいということは御理解いただきたいと思うんです。できる限りこの適任者を得るように全力を挙げていきたいとは思いますが、目標を立てて進めるというやり方は必ずしもなじまないんじゃないかなというふうに思っております。
  81. 松岡徹

    ○松岡徹君 目標を立てて取り組むというのはなじまないというのは、その考え方の方がなじまないと思うんですけどね。やっぱり計画的にやっていかにゃあかんと思うんで、非常に答えにくいという、今の段階で答えにくいという意味は分かりました。しかし、こちら側が提案している積極的な意味も理解をしていただきたいというふうに思っています。    〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕  それで、次、仮釈放審理の点について幾つか御質問をしたいと思いますが、まず最初に、この更生保護法のところで若干ちょっとお聞かせ願いたいんですが。  法案の三十四条のところに、仮釈放審理に行くときに、仮釈放及び仮釈放の申出というのがあります。三十四条の刑事施設の長又は少年院の長は、懲役又は禁錮の刑の執行のため収容している者について、前条の期間が経過し、かつ、法務省令で定める基準に該当すると認めるときは、地方委員会に対し、仮釈放を許すべき旨の申出をしなければならないとなっている、申出なんですね。  ところが、犯罪者予防更生法の二十九条、仮釈放審理の開始のところで同じくありましたけれども、それぞれの長から仮釈放、仮出場又は仮退院の申請があった場合にというふうになっている。要するに、この申請というふうになっていた犯罪者予防更生法の申請の部分が、今回、申出というふうになっているんですね。これはどういうふうに理解したらよろしいですか。
  82. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 御指摘のように、犯罪者予防更生法におきましては、刑事施設の長が地方更生保護委員会仮釈放の申請をする、委員会の方はこれを不相当であれば棄却するというふうな決定をするというふうに規定しております。地方更生委員会は、こういう規定から見ますと、単にその申請のときのみを判断しているんじゃないかというふうにも見えるところでございます。  しかしながら、本来、仮釈放等を許すという処分、これは地方更生保護委員会の責任において主体的にやらなきゃいけないものであるというふうに思います。現行法でも職権でやれるということもあるんでございますけれども、やはり、職権でやれるということが正に主体的にやるということを示しておるわけでございますので、そういうことから考えまして、この更生保護施設の長からの申請、求めというようなものは、これは審理を開始するきっかけを与えるものとして位置付けるのが適当であると。    〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕  この趣旨が明確になるようにするために、今回は申出というふうに改めまして、申請といたしますと、棄却というふうな決定をして、何かこう相手が主体でこちらがどうかというふうなことになりますので、そういうことではないように申出ということにいたす、今後は棄却ということはなくなるということになろうかと思います。
  83. 松岡徹

    ○松岡徹君 申出と申請で違うというのは、ちょっと今のところよく分からないんですけれども、今までの批判の中で、例えば収容者が、この三十四条にあるように、その一定の期間を経過して、そして法務省令で定めるところの基準によって仮釈放対象者として適任ではないかというふうなことをそれぞれの長が申請するんですね。この申請するときに、それぞれの長が恣意的に、あるいは処罰的に使うという弊害がこれまでもなかったのかどうかというような気がするんですね。すなわち、施設の長の権限というんですか、要するに、申請上げるか上げないかは施設長の腹一つだと、そういうふうに施設長の恣意的な運用といいますかね、というものがなかったか、あったのか、こういう危険もあるんです。今そのことはどうなのかということは、今申し上げるつもりはありません。  そういうことから考えると、今回申出になったというのはどういうことなのかと。そういった弊害をなくすという意味もあるのかどうかという意味でちょっと理解できるのかどうかなんですが、いかがですか。
  84. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 今御指摘のような弊害があるかどうかにつきまして、私どもとしては承知しておりませんけれども、ただ、今回のように申請を申出に変えるという改正をもちまして、地方更生保護委員会審理というものが一層主体的になって緻密になっていくということは間違いないと思いますので、抽象的に申し上げますれば、御指摘のようなマイナスのような問題というのはますます起こりにくくなるというふうに思います。
  85. 松岡徹

    ○松岡徹君 こっちの懸念事項を細かくは言うつもりは今回はありませんが、いずれにしても、先ほどから大臣が答弁しているように、この更生保護法、改善更生という課題、あるいは仮釈放という制度というものは刑事司法一環としてあるものでありますから、そういうことからすると、一定の期間が経過したもの、そして法務省令で決めた基準に合致しているものは当然その対象者としてもあり得るんですね。  その対象者として当然審理されるべきものが施設の長の腹一つで恣意的に審理されないとかいうことがあってはならないと思うんですね。そういう意味で、そういう弊害をやっぱりなくしていくべきだと、あるとすればなくすべきだと。今、保護局長はそんなことは把握していないと言いますけれども、把握していないだけで、そういうことが以前からも懸念されてきたということは聞いています。  そういう意味では、今そのことをどうのこうの言うことではありません。新たに今回の法律が冒頭の趣旨のように作られるわけですから、そういった弊害はなくしていくということは当たり前だと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
  86. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 申請であれ申出であれ、刑事施設の長が今おっしゃるような内容にわたるようなことがあってはならないということは当然のことでございます。  今回、先生からはそういうことがあって変えるのかという御指摘であれば、そういうことのためにこの改正をしているわけではございませんで、申請を申出に変えたのは、先ほど局長から御答弁申し上げたとおりでございまして、これによって施設の長の権限が変わるとか、弱くなるとか強くなるとかいうものではないというふうに御理解いただきたいと思います。
  87. 松岡徹

    ○松岡徹君 それで、仮釈放の基準なんですが、今までも有識者会議の中でもありますが、要するに仮釈放の基準は非常に分かりにくいというのがあります。それで、仮釈放の基準というものをどういうふうに考えておられるのか、改めてお聞きしたいと思うんですが、刑法二十八条にあるところの改悛の状というのがありますね。これは何をもって改悛したというふうに判断をしているわけですか。
  88. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 刑法二十八条は、改悛の状があるときは仮に釈放することができるという規定でございます。それ以上の規定はございませんので、これをいかに運用するかということになるわけでございますけれども。  法務省令でございますが、仮釈放、仮出場及び仮退院並びに保護観察等に関する規則の三十二条によりますと、仮釈放は、次に掲げる事由を総合的に判断して、保護観察に付することが本人改善更生のために相当であると認められるときに許すものとすると書いてあります。一号が悔悟の情が認められること、二号が更生意欲が認められること、三号が再犯のおそれがないと認められること、四号が社会感情仮釈放を是認すると認められることと、このように規定をいたしておりますので、具体的な事例がこの四つの指標に照らして総合的に判断をして改悛の状があるかと、認められるかということを判断をしておるというのが実情でございます。
  89. 松岡徹

    ○松岡徹君 局長、そんなの私聞いているんじゃないですよ。刑法二十八条の、だからそうでしょう。この法案で言っている三十三条、刑事施設の長又は少年院の長は、懲役又は禁錮の刑の執行のために収容している者について、刑法第二十八条又は少年法第五十八条第一項に規定する期間が経過したとき、この二十八条というのはその改悛の状というのがあるわけでしょう。その改悛の状というのは、何をもって判断しているんですかと聞いているんです。
  90. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) これは、地方更生保護委員会がいろんな調査をいたしまして、その調査に基づいて審理をするということで判断をするわけでございます。その調査としてはどんなことを調査するかということでございますけれども、これはまず刑事施設の長からいろいろな資料が参ります。受刑中の行状であるとか、そういうことがいろんな資料が参りますし、それから、保護観察官に事前の調べを、下準備をさせます。そこで、環境調整の結果でございますとか、その後のいろんな家族関係仕事関係、そういうふうなことを調査したその調査結果も参考にいたします。それから、委員そのものが調査を、本人面接をして調査をいたしますその結果等を基に判断をいたしております。
  91. 松岡徹

    ○松岡徹君 今おっしゃったように、改悛の状は一体何を根拠に判断をしているのかと聞いたときに、要するに保護観察官がその環境を調査したり、更生保護委員の皆さんが面接したりと。保護観察官の方が環境を調査するいうたって、要するに刑事施設収容されているんですよ。その中で何を調査して、それが改悛の状に当てはまるというのは全く分からないんです。それと、地方更生保護委員会の皆さんも面接したって、その面接の、たかだか何回か数回面接しただけでその人が改悛をしているというふうに何で分かるのかということを聞いているんですよ。  結局、これ極めて保護観察官なり委員の主観的な判断に頼ってしまうということになるんですね。主観的な判断に頼るその保護観察官更生保護委員というのは、しっかりとした知識と良識と、そういうものを見抜く力を持っているんだからその人に任すんだと、これはますます分かりにくいんですね。だから、その辺を聞いているんです。  だから、今回もそうですが、有識者会議の中でも指摘されているように、何が基準になっているのかというのが、仮釈放基準が非常にあいまいだと。これは、先ほど保護局長が言いましたように、法務省令、例えば刑法二十八条の改悛の状も含めて、法務省令で定めている悔悟の情とか更生意欲再犯のおそれ、社会感情の是認とか、こういった主に四つの法務省令にある基準に基づいて総合的に判断して仮釈放決定を下していくんですね。そうでしょう、これが基準になっていると。今度もそういう基準で行くつもりですか。大臣、いかがですか。
  92. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 有識者会議報告書では、現行仮釈放の許可基準が不明確であるので改正を検討すべきであるということにされております。現在、この許可基準の改正についても検討を進めておるところでございます。  この仮釈放基準の改正ということになりますと、仮釈放の在り方そのものに大きな影響を及ぼすものでありますし、刑法の仮釈放規定の解釈にも、先生も今御指摘になりましたけれども、関連することになりますので、学識者を含む各方面からの意見を聴取するなど様々な観点から慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。
  93. 松岡徹

    ○松岡徹君 仮釈放不相当という決定が出る場合もあるんですね。そのときの主な仮釈放不相当の理由とすれば、その法務省令、すなわち基準の中にある再犯のおそれと社会感情の是認、その二つの理由で仮釈放不相当というのが大体多いというふうに聞いているんですね。  やはり先ほど、今大臣おっしゃったように、これからはそういう様々な専門的な知識も入れて、どういう基準にしていくか、仮釈放の、していくかというのは大事だと思うんです。だからこそ委員の、あるいは保護観察官の構成も、やはりそういった社会学や教育学や医学とか心理学とか精神医学とか、そういった専門家も入れたものにしていかなくてはならないし、そういった観点からの基準もしっかりと、はっきりと分かるような基準にしていくべきだと思うんです。  先ほど大臣おっしゃったように、この基準の新たな法務省令の検討というのを着手されているというのは言われておりますので、そういう客観的な判断基準に是非とも作り直していくべきだというふうに思うんですが、いかがですか。大臣、もう一度。
  94. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 今御指摘の点も含めて、許可基準自体についても検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  95. 松岡徹

    ○松岡徹君 時間がございませんので、次に行きたいと思うんですが。  要するに、基準が非常に不透明だと。今までもそうでしたし、そういった判断仮釈放を認めてきた。その結果、去年の犯罪者予防更生法のときに議論した、うちの前川議員が質疑をさせてもらいまして、そのときに安城事件をやっているんですね。この安城事件で、その事件を犯した犯人は、実は仮釈放されて収容施設に宿泊して、そこからいなくなって、二日、三日後ぐらいにあの事件を犯しているんですね。実は彼自身が、この悔悟の情とか再犯のおそれとかいうものの、すなわちこの基準で仮釈放出たんです。ところが、捕まってみれば、実は彼は精神的にそういう病といいますか、そういうのを抱えていたんではないかということもあります。  そういう意味では、あの犯罪が起きたのは、こういう仮釈放の基準というものが非常にあいまいで、その対処があいまいだからこそ出てきたんだというふうに私は思うんですね。だからこそ、先ほど言ったように、総合的な、客観的な判断基準、そして専門的な知識を持った人たちを積極的に登用した体制をつくるべきだというふうに思います。  もう一つの視点は、例えば職権で仮釈放の審査をしたときに、大体不相当にする、あるいは上がってきても棄却、棄却といいますか不相当にする、仮釈放不相当というものがあります。その人たちは、仮釈放を認められないわけですから、刑期が満了するまで刑事施設収容されると。その人たちが例えば出た場合、出た場合はどうなるのか。保護観察は付かないんですね。ところが、刑事施設におる間は、仮釈放にはできないという判断されているにもかかわらず出てしまうと。これはどう考えます、大臣。  このときに、うちの同僚議員の前川先生が質問したときに、そういった視点で質問したら、当時の杉浦元法務大臣が、その当時の三ッ林政務官を中心としたチームで再犯防止のためのプロジェクトチームというのをつくって検討しているとおっしゃったんですね。それで、私は事前にそのプロジェクトチームの検討結果はどのようになったんだということを聞きました。そして検討課題は何なんだと聞いたら、例えばこのチームの検討課題は、再犯防止のための施策を幅広く検討するが、主として以下の項目、すなわち収容施設を出た者の受皿づくり、継続的な再犯研究及び処遇効果の検証の導入、満期釈放者及び仮釈放期間が終了した者に対する対処、こういったことを検討するということでやったんですね。その成果として、今現在、自立更生促進センター構想を推進中と。そして、十八年度からは性犯罪者処遇プログラムの効果検証を実施予定等々あるんですね。  これの行き着く先といいますか、大臣は今の、前大臣の杉浦大臣から替わった長勢大臣は、これについて今も併せてどうお考えですか。
  96. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 現行の体系では、刑罰を執行する刑務所と、そのプロセスの中で仮釈を認めて社会復帰を早くやるという体系になっておって、刑期が満期してしまったらもう突然関係なくなっちゃうという体系が基本になっているわけで、それでいいのかなという御懸念は、まあ私も素人的には何か変だなという気が実はしております。  今御指摘の前大臣の時代に、三ッ林プロジェクトでございますが、収容施設を出た者の受皿づくりという観点では、現在、従来満期釈放となっていた者などを受け入れて保護観察官による直接かつ濃密な指導監督や手厚い就労支援を実施するための自立更生促進センター構想というものを今推進をしておりますし、また、継続的な再犯研究及び処遇効果の検証の導入の観点からは、矯正局、保護局において、平成十八年度から導入された性犯罪者処遇プログラムについてその効果につき必要な検証を行い、今後の施策に役立てるということにいたしております。  満期釈放者及び仮釈放期間が終了した者に対する対処というテーマについては、現在法制審において、被収容人員の適正化を図るとともに、犯罪者再犯防止及び社会復帰を促進する観点から、刑事施設収容しないで行う処遇等の在り方について審議が行われておりまして、その中で刑執行終了者に対する再犯防止社会復帰支援策についても検討が行われておるというふうに承知をしております。
  97. 松岡徹

    ○松岡徹君 もう時間がありませんので最後の質問にさせていただきたいと思いますけれども、特別遵守事項の設定のところですが、その特別遵守事項について、現実に仮釈放者、保護観察対象者に対して達成可能な遵守事項にしていくということが大事だと思うんですね。達成もできないような無理な遵守事項を与えたって、はなからそれはもうできないというのは分かるわけですね。だから、すぐにその仮釈放を取り消すというような措置ということになれば、これは決して本来の更生保護目的を達成することにならぬだろうというふうに思うんですね。  そういう意味で、達成可能なもの、あるいはそれによって意欲を持たせる、本人意欲を持たせるということが大事でありますから、そういうものとか、あるいは直ちにそういったことが不良措置に結び付けるということではなくて、例えば遵守事項を守れなかったとき、様々な理由がある場合があります。そのときは、遵守事項内容を変更するとか様々工夫をしていかなくてはならないというように思っております。  さきの衆議院のこの法務委員会で、参考人で来られた三重県の保護司会の会長の森本さんというのがおられます。遵守事項そのものは極めて大事な、重要な問題でありますけれども、保護司の立場からすれば、守らなかったら施設収容しようとは保護司は考えていない、みんな決してそういうふうにはしたくないので、ひたすらその遵守事項を守るためには、ちゃんとしたものを守ることによってあなたの自立更生がなされるというふうに指導するんですね。だから、そういうようなものとなるような教材として力強いものを与えてほしいというように、その森本さん、保護司会の三重の会長はおっしゃっていました。  すなわち、現場で直接、改善更生に向けた本人と対峙している保護司の皆さんは、これを守られなかったからすぐに収容するんだって言わなくて、いや、守らせるように、守ることが本人改善更生につながるんだというような教材になるようなものにしてほしいというふうにおっしゃっています。  そういう意味では、本人の一人一人の違いはあろうかと思いますが、それが遵守可能なもの、あるいは意欲が高められるもの、そして、もしそれが一部守られていなかったとしても、次、プログラムを変える、すなわちこういうやり方で守れ、こういうことを次は守りなさいというような変更可能なものにするとか、そういったものを遵守事項の考え方として取り入れるべきだというふうに思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  98. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 保護観察目的、またこの特別遵守事項を設ける目的は、不良措置をとって対象者を矯正施設に送るということを目的にするものではないわけであります。当然のことでございます。  そういうことでありますから、おっしゃるように、現実に遵守することが不可能な事項遵守事項ということになりますと遵守事項としての意味はないわけでありますし、かえって改善更生に向けた意欲を減退させ、改善更生にとって有害でありますから、こういうものが特別遵守事項になるということはないというふうに考えなければならないと思いますし、また、ささいな違反があったことをとらえて安易に不良措置をとるということは先ほど申しました制度目的からしてもないわけでありまして、特別遵守事項を付加、変更するなどして指導を重ねたにもかかわらず、問題行動が一向に改善しなかったり重大な逸脱行動が認められるなどした場合に、これ以上社会内処遇によっては改善更生を図れないという場合に不良措置を講ずるということになるというふうに考えておりまして、私どもとしては、そういうことにならないように改善更生のための十分な支援をしていかなきゃならぬと、こういうふうに思っております。
  99. 松岡徹

    ○松岡徹君 じゃ、終わります。
  100. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ─────・─────    午後一時十五分開会
  101. 山下栄一

    委員長山下栄一君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、更生保護法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  102. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 午前に引き続きまして、質疑を続けたいと思っております。  更生保護法案、今回新たに出たわけでございますが、午前中から議論があったように、この法案が出た大きな理由は、やはり保護観察対象者による痛ましい事件が相次ぎ、これはいろいろ議論は分かれるところですが、やはり重大事件が起こる中で見直す必要があるとの指摘があり、これを受けて更生保護あり方を考える有識者会議が設置されて提言が提出されたと。もちろん大臣もこれをお読みになったと思うんですけれども、提言にしては非常に過激な、極めて厳しい、普通、有識者会議とか設置しますと、ある程度抑制したような提言が出てくるんですが、もう極めて、今の制度はどうなんだと、機能不全だとまで言う極めて厳しい内容だったことは御存じのとおりでございます。  それを受けた形で今回法案が出されてきたわけでございますが、ともかく、抜本的な改革を急務とした上で、実効性の高い保護観察体制の構築、有効性の高い強靱な保護観察を実現するよう求めているわけでございますが、改めて大臣、午前中も御発言でございましたが、本来この更生保護制度目的とは何なのか。また、更生保護制度の在り方について、基本的なことについて審議を始める前に御発言をいただいておきたいと思います。
  103. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 我が国の更生保護制度は、官民協働一つの特色として、民間の方々の多大な協力もいただきながら相応の成果を上げてきたと思いますが、その一方で、今御指摘のとおり、有識者会議報告書でも大変厳しい御指摘をいただいておるわけであります。再犯防止して社会を保護することに対する保護観察官意識が十分でなかった面や保護司に過度に依存していた面がある、こういうことなど様々な問題点をまだ含んでおるわけでございまして、安全、安心な社会の実現という国民期待に、この我が国の更生保護制度、従来のものが必ずしも期待に十分こたえていなかったんではないかというふうに思っております。  更生保護は、刑事司法の言わば最終段階として犯罪非行をした人を社会内で処遇するものであり、保護観察の期間中に再犯に及ぶような事態を防ぎ、対象者改善更生させ、将来にわたって二度と再犯に及ぶことのないようにしていかなければならない、こういう目的のものであると考えております。  そのためには、対象者指導監督し、これを律するという面と、自立した社会生活を送れるよう援助するという面の双方においてバランス良く処遇を実施していかなければならないと考えておりまして、そのような更生保護の充実を図るため、法令の整備、運用、組織体制など、すべての面において必要な改善を進めているというところでございます。
  104. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今回のこの更生保護法案、これまではこの更生保護という面は、犯罪者予防更生法という法律執行猶予者保護観察法という法律と、この二つで対応してきたわけですが、今回これを一本化するようになったわけでございますが、そもそも、じゃなぜこれまで我が国はこの更生保護に関してこの二つの法律をもって対応してきたのか、これを今回一つになぜしなければならないのかと、併せて根本的なことを御答弁をいただいておきたいと思います。
  105. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 御指摘のように、犯罪者予防更生法は昭和二十四年にでき、執行猶予者保護観察法は昭和二十九年に制定をされておりまして、五十年以上にわたって二本でやってまいりました。  その経緯を調べてみましたけれども、若干長くなって恐縮ですが、なかなか省きにくいものですからちょっと御説明させていただきますと、昭和二十四年に制定された犯罪者予防更生法の中には、当初案には執行猶予者に対する保護観察規定するようになっておりました。しかし、国会審議の過程で、保護観察は執行猶予者に不利益を与えるものではないかという懸念が示されるなどしましたために、結局、十八歳以上の執行猶予者に対する保護観察に係る部分が除かれたという形で成立をいたしました。その後、昭和二十八年に刑法が改正されまして、再度の執行猶予者に対する必要的な保護観察に関する規定が置かれたことに伴いまして犯罪者予防更生法も改正されて、再度の執行猶予者に対する保護観察については犯罪者予防更生法の中で規定をされることになりました。で、昭和二十九年にまた刑法が改正されまして、初度の、最初の執行猶予者についても裁量的に保護観察を付することができるということになりまして、この際に、昭和二十八年の犯罪者予防更生法の改正に係る国会審議の過程で、執行猶予者に対する保護観察仮釈放者や少年に対する保護観察と同様に取り扱うことについて疑問が呈されるなどしたこともございまして、執行猶予者に対する保護観察についてはすべて犯罪者予防更生法とは別の法律規定しようということになりまして、当該部分が除かれまして、その昭和二十九年に執行猶予者保護観察法が成立したということになって、それ以後、現在までその状態で参っております。
  106. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今回それを一本化するわけですから、有識者会議指摘の中の抜本改正という抜本的な改革というのはまさかこの二つを一つにすることだけが抜本改正と思っていらっしゃらないと思いますが、抜本改正というのは一体、この新しい法案を見ていくと、どこが一体その抜本改正というふうに当たるのか、御説明いただきたい。
  107. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 先ほどちょっと申し落としましたけれども、その二本でやってきたものをなぜ一本化するかということについては、やっぱり分かりにくいということが保護司さん方、あるいは一般の方々からの御意見もございまして、これは国会の附帯決議でも一本化しなさいというものが出ておったところでございます。  この有識者会議報告書での抜本的な改革をしろということの柱でございますけれども、一つ国民地域社会の理解の拡大を図る、それから保護観察制度目的明確化して職員の意識を改革するなどしてより強靱な保護観察を実現すること、実効の高い官民協働体制を実現すること、こういう点が挙げられておるところでございます。  こういうことを新たにやろうということでございまして、まず一点目の国民地域社会の理解の拡大ということにつきましては、二条において国の責務を新たにいたしております。それから、強靱な保護観察の実現につきましては、第一条で更生保護目的を改めて明確にする、それから遵守事項をきちんと整理をいたしまして、寛厳よろしきを得た保護観察の実現を期するということでございます。それから、官民協働実効性を確保するということにつきましては、保護観察官保護司の適切な役割分担に関する規定を整備いたしております。六十一条でございます。保護司に無用な負担を掛けないで観察官が本来果たすべき責任は果たそうということでございます。  その他の細かい規定はございますが、これが主な柱になるものでございまして、この法案による法制度の改革というのが非常に大きいものでございますけれども、運用面、組織体制面にわたる体制も改革をいたしまして、抜本的な改革を実現したいと思っております。
  108. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今おっしゃったように、今度の法案というのが第一条に再犯防止を第一に掲げたと。先ほど、これは午前中、山東先生からも御指摘があってたんですけれども。  ただ、今ある二つの法律ですよね、今度統合する、前の二つの法律がどうなっているかというと、例えば犯罪者予防更生法の第一条は、犯罪をした者の改善及び更生を助けることを第一に掲げている。そしてまた、執行猶予者保護観察法を見ていただくと、これも保護観察に付された者を速やかな更生に資することを目的規定している。ある意味では、更生をというふうに今までの法案はある意味では前面押し出していたと。ところが、今回の法案というのは、まず第一に再犯防止というものを前面に掲げる形になる。  そうすると、確かにこの更生保護改善更生とそれから再犯防止というのはもう表裏一体関係だとはいうものの、法律だけ読んでしまうと、今までの法律改善更生というのをまず掲げていたのに、今度の法律になった途端、なぜこの再犯防止というのを前に掲げてくるのかなと。何かそこに、大臣は表裏一体だとおっしゃいましたが、何か意図があるのかなと取られかねないような面があるんじゃなかろうかと心配もするんですが、その点についてどうですか。
  109. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 大臣答弁と同じことを申し上げますけれども、改善更生というのは、本人が心の中においても、また社会的な生活の仕方においても再犯のようなことをしないというようにするということでございます。その中に再犯防止というのは既に含まれた概念ではございますけれども、やはり本人がどのようになるかという観点からの用語であろうかと思います。それに対して再犯防止は、およそ社会における再犯ということがないようにするということであろうかと思います。  改善更生をすれば再犯をしなくなるということはもう当然でございますけれども、しかし、改善更生をずっと待って、その結果として再犯をしなくなるのをじっと待つというわけにもいかなくて、再犯をすれば改善更生妨げられてしまいますので、再犯もやはり常に防がなきゃいかぬと。そういう意味で一体のものとして行うということになるわけでございます。  従来からそういう気持ちでやってくるべきものだということでこの法律規定されて、犯罪者予防更生法等は定められていたものだと考えておるわけでございますけれども、いかんせん、やはりこの保護観察の最近における実情を見ますと、どうもこの支援的なものというんでしょうか、生活支援的なものに非常に力点を保護観察の実情が置いておるように見えて、再犯防止という意識がどうも少な過ぎるんではないかという御指摘がございましたので、それはそのことを確認的に今回明らかにさせていただくというものでございまして、他意もないし、常に一体に行わなきゃいかぬというものでございます。
  110. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 その法律の書き方とはどうあるべきかというのがちょっと分からないところあるんですけど、やはり今回の法律の第一条読むと、どうしても何かこの再犯防止というものが前面に出ているようなイメージを与えかねない。表裏一体なら、どちらも大事だというならば、どちらも大事というふうに並立して書くような一条の書き方ってなかったのかなとも思ってみたり、いろんなことをちょっと思うんですけれども、ともかく、更生保護の在り方としては、再犯防止というものに偏ってしまうとこれまた監視社会のようなおかしな格好になりかねないところもある。そういった意味ではその点は重々注意する必要があると思うんですが、まあもう一言伺っておきますか、局長に。
  111. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 正にこの再犯防止に偏った保護観察というのはあってはならなくて、再犯を防ぎながら本人改善更生をして社会復帰をさせるということが正に更生保護目的でございます。
  112. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それでは、今度は第二条、国の責務についてお聞きしたいと思います。  第二条は、国の責務につきまして、前条、つまり一条の目的に資する活動であって民間の団体又は個人により自発的に行われるものを促進し、これらの者と連携協力するとともに、更生保護に対する国民の理解を深め、かつその協力を得られるよう努めなければならないとしているわけでございまして、昨年六月に提出された更生保護あり方を考える有識者会議報告書では、更生保護制度は国の責任において充実強化すべきと指摘をされているんですけれども、何かこれだけ見ると、国の責務はどこにあるんだろうかと、何か民間の依存度を更に高めるようなことを何か前提にしているんじゃないかというようなふうにも取られかねないような一面もあるような気がいたします。  そこで、この際、国の責務についてはっきり御答弁をいただいておきたいと思うんです。
  113. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 更生保護を行う責任、これはもう国が持っておるわけで、それが国の責務であることは全く御指摘のとおりでございます。  この点につきましては、明示的な規定というのもなかなか今までも置いておりませんし、関連法との整合性を見ても、国が更生保護をやるんだということは余りにも当然のことでございますので、置くまでもないということで置いておらないわけでございますけれども、例えば法案中の保護観察に関する規定、あるいは生活環境調整更生緊急保護、これが更生保護の三本柱のようなものでございますけれども、こういうものについての条文の中で、国の機関である保護観察所が実施するんだということを明示をいたしておるところでございます。  それで、法案第二条でございますけれども、これは国が更生保護の担い手であるということを当然の前提とした上で、更生保護にあっては必要不可欠な民間の活動あるいは国民の理解、協力というものがより一層促進されるようにしようという観点からの規定を置いたものでございます。
  114. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今回のこの更生保護法案の、私たちも大きく前進したととらえている一つの点は何かというと、犯罪被害者の方たちの関与というところを明確にしてきたと、これまでになかった点をきちんと入れ込んできたというところを高く評価をしているわけでございますが、この犯罪被害者等の関与の問題ですけれども、まず仮釈放審理において、被害者等が希望する場合、更生保護委員会被害者等から仮釈放に関する意見被害者に関する心情を聴取するという規定が盛り込まれたということでありまして、この仮釈放に関する被害者等意見がどのように扱われるかと。  これ午前中、ちょっと質問に対して、例えばこの御意見を聞いた上で実際に仮釈放をするかどうかというそういう条件の一つにもなるんだとか、ちょっと幾つかおっしゃっていたようですが、明確にどういう形でこの仮釈放に関して被害者意見が取り扱われ、どういうことにこの仮釈放について被害者意見が生かされることになるのかといった点をちょっと明確にしていただけますか。
  115. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 地方更生保護委員会仮釈放や仮退院を許すかどうかを決定するということでございますけれども、許す場合におきましては遵守事項特別遵守事項を定める、今度は任意的になりますけれども、必要があれば定めます。それから、実際の審理において把握されました当該対象者保護観察実施上の参考事項というものを保護観察所の長に伝達をするということもいたします。  これを踏まえまして、犯罪被害者等の方々からお聞きをしました御意見等につきましては、まず第一に、仮釈放等を許すか否かの判断の際にしんしゃくされます。第二に、仮釈放等が許された場合の特別遵守事項をどのように定めるかということについての判断に反映されます。第三に、保護観察実施上の参考事項保護観察所長に伝える、その参考事項内容を決めるに当たってもしんしゃくをされます。以上、三点でございます。
  116. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 しんしゃくって難しいですね。だから、それがどう取り入れられてどうなっているのかというのが、その委員の方たちを信頼し、委員の方たちが御判断なさる問題なんでしょうけど。ただ、何かもう少し分かりやすい方法はないかなと思うんですけれどもね。まあ、でも、しんしゃくですかね、言葉は。
  117. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 被害者方々の御意見等は非常に重いものでございますので、これを重く受け止める必要があろうかと思いますが、しかし、それはほかの事情ともやはり総合考慮していろんなことを決めなきゃいけないという意味におきまして、そのまま反映されるというわけでもないというふうなことから、しんしゃくという言葉を使わせていただいた次第でございます。
  118. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 じゃ、この場合、被害者等ですよね、関与できる、犯罪被害者等の関与となっています。この被害者等という範囲というのは、どんなふうに考えればいいわけですか。例えば、犯罪の種類によって、例えば死刑の方だったり、無期の方だったり、長期十年、いろいろ、それによって仮釈放の条件も違うんですけれどもね。そういう犯罪の種類によって被害者等という範囲が変わってくるのか、それとも、ある意味じゃ、その被害者というのがどの辺、等も含めてどういうものを考えればいいのか。
  119. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 犯罪被害者等というまず用語でございますが、これは新法の、法案の三十八条に書いてございまして、その犯罪により害を被った者又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹ということになっております。  それで、仮釈放等審理におけます意見聴取制度につきましては、重い犯罪についてだけ被害者等意見を聴けばいいという御意見もあるところでございますけれども、やはり当該被害を発生させた犯罪の法定刑によってその被害者等意見心情の大切さといいますか、そういうものが区分できるというわけでもないのではないかというふうに考えるところでございまして、被害者等の範囲を法定刑が一定限度、一定程度以上の犯罪被害者等に限定するというのは必ずしも望ましくないのではないかということで、そういう犯罪の種類や法定刑に限定をしないで、あらゆる犯罪被害者を対象にして意見等を聴取するようにしたいというふうに考えております。
  120. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、この被害者等意見とか心情を述べるわけですよね。ただ、その被害者の皆さんにとってみると、やっぱりその相手のイメージというのは犯行時のイメージであってみたり、裁判時におけるその加害者ですよね、この印象とか感情にやっぱり基づいて、そこの時点でとどまっている可能性が高いんじゃないかと。  もしそうであるとするとどんなことが起きるかというと、仮釈放という問題のこの審査資料としてその意見を聴こうとしたら、この仮釈放をなかなか認めないというような方向へ、この被害者意見はなりかねないというおそれがあるんじゃないかと、こういう指摘が現実になされているわけであって、やっぱりその被害者の皆さんは加害者が、じゃ、その刑に服してどういう状況だということをある意味じゃある程度知った上で意見心情を述べるべきでありますし、そのためにこの制度の中には被害者等心情等保護観察中の加害者に伝達する制度も導入されるわけなんですけれども、逆に受刑者や少年院在院者の様子被害者等に伝達する制度も必要ではないかというような意見もこれ、実際あります。加害者の、矯正施設でどんなふうに改善更生の経過があるのか等、特に仮釈放を認めるかどうかのときに意見聴くわけですから、そのとき、至ったとされる根拠となる事実も含めて被害者等に伝達すべきではないかという指摘もありますが、この辺についての考え方についてはどうお考えですか。
  121. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 御指摘のとおり、そういうことも大切かと思います。  犯罪被害者等基本計画におきましては、今回のような制度のほかに、被害者等に対して判決確定後の加害者の情報を提供すること、あるいは保護処分決定確定後の加害少年に関する情報を適切に提供することについて検討して、施策を実施するというように求められておるところでございます。  今回の法律案の中では取り入れておらないところでございますけれども、判決確定後の加害者情報につきましては、現在、具体的にどんな情報を提供することができるかということを矯正局等とも協議をして検討をいたしておるところでございます。  それから、保護処分決定確定後の加害少年に関する情報の提供、これにつきましては、少年の健全育成に配慮しながら適切に行えるように、いかなる場合にいかなる情報を提供するかなどについて慎重な検討を続けておるところでございます。その検討の中で、仮釈放審理において意見心情を述べる被害者の方に対しても加害者に関する有用な情報が提供できるよう、検討をしておるところでございます。
  122. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今おっしゃるみたいに、今後、その情報伝達の在り方、いろんな形で詳細をお定めになるんだろうと思いますが、改善更生というのはその保護観察対象者本人意欲に基づくものでもあるんですけど、それをより実効性を高めるための一つの方法として、仮釈放審理において、この被害者等意見が聴取される際に、この加害者仮釈放後の生活における改善更生へ向けた自分の決意などの意見保護観察官保護司を通じて被害者等に伝達させる、そんなことも考えていらっしゃるのかどうか、そこも確認をしておきたいと思います。
  123. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 判決確定後の加害者や保護処分確定後の加害少年に関する情報の提供につきましては、先ほど申し上げましたように現在検討をいたしておるところでございまして、仮釈放等審理において意見心情を述べる際に、有用な加害者に関する情報についてもそのプライバシー等にも配慮しながら適切に行われるように検討を続けております。
  124. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それでは、仮釈放審理の問題について何点かお尋ねをしていきたいと思います。  仮釈放審理、この在り方もやはり不透明さとかいろんなことも言われました。やる人はこれでいいのかと、いろんな問題があるんだろうと思います。必要があれば見直すことも検討しなければならないと思うんですが、まず現状として、この仮釈放審理事件というのは新受理人員がどれくらいあって、許可人員がどうであって、実際に棄却されるようなケースがどれくらいあるのか。例えば棄却率というのは過去五年間ぐらいでどんなふうな状況になっているのか。この辺を数字でお示しいただきたいと思います。
  125. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) まず、仮釈放申請の新規受理人員でございますが、これは平成十三年から十七年までの五年間を見ますと、一万六千件から一万八千件程度で推移をいたしておりまして、平成十七年は一万七千九百十六件です。それから、許可人員ですけれども、五年間で一万四千件から一万七千件程度で推移しておりまして、平成十七年は一万六千六百二件です。棄却人員でございますが、五年間で三百四十件から六百七十件程度でありまして、やや増加傾向にございます。平成十七年は六百六十七件でございます。それで、この棄却率でございますけれども、これを平成十三年から申し上げますと、平成十三年の棄却率は二・三%、十四年が二・六%、十五年、十六年も同じ二・六%、平成十七年は三・九%と少し棄却率が高くなっております。
  126. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今教えていただいたとおり、過去五年間を見れば、ほぼ毎年棄却率が数%しかないわけですから、九六%以上が許可決定を受けると。約二万一千人ぐらいが仮釈放されていることになるんだろうと思うんですけど、これについては、仮釈放審理の現状、これは更生保護あり方を考える有識者会議の中間報告では、更生保護、検察、矯正行政の関係者が内輪で、職業上の経験と勘に依拠して判断が行われ、詳細な理由も示されずに決定が行われており、判断経過の透明性を欠き、判断の正当性の担保も十分ではない。私が言っているんじゃないですよ、これ。これ中間報告で有識者会議が言っておるんですよね。だから、もうよく言う、極めて厳しい指摘なんですよ。  そういう意味では、そういった一面がないとは言えなかったんだろうと思いますが、ともかく、例えば、じゃこの審理を行う地方更生保護委員会の委員ですか、五十六名いらっしゃると聞いているんですけど、これ前職というのはどんな方たちになるんですかね。
  127. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 平成十九年四月の段階で、地方更生保護委員会の常勤職員五十六人の前職を見ますと、保護観察所長経験者が四十二人、その他の法務省出身者が七人、法務省以外の省庁出身者が三人、学校長経験者が三人、マスコミ出身者一人というふうになっております。平成十八年十月以降にマスコミ出身者等四人の方を任命をしております。
  128. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 これも午前中、大臣が答弁なさっておりましたが、何とか民間の登用もしようという努力はするけども、時間的にも非常に拘束されてなかなかその候補者も見付けにくいというような御指摘も実際ございました。ただ、それはそうでしょうけども、やはりそうであっても見付ける努力をしないと、余りにこれやっぱりいろんなところと比べて、例えばこれ、弁護士さんなんかはどうなんですかね。こういうものに適任なのかどうか分かりませんが、弁護士会は協力したくないのかな。まあ分かりませんが、いずれにしてもこれ、少し広げる必要が、まあ努力はなさっているんだろうと思うし、厳しい条件もあるんだろうし、そこも踏まえた上で、それでもより一層の努力をすべきだと思いますが、御答弁をいただいておきたいと思います。
  129. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) この委員というのが常勤の委員でございますし、非常に仕事も専門性もございますし、待遇の面等から弁護士さんやお医者さんがなっていただけるかどうかというのもなかなか難しい面もあるわけでございますけれども。
  130. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 駄目か。
  131. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) しかし、いや、お忙しいということでございますが、今後とも民間の委員の方々をどんどん増やしていきまして、充実した審理ができるようにいたしたいと思います。
  132. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 是非御努力をしていただきたいと、もうこう申し上げるしかないんであって、是非努力を続けてもらいたいと思います。  ところで、この審理実態なんですけども、実際にその申請から許否、いわゆる認めるか認めないかの決定までの期間はどのくらい掛かっておるのか、今おっしゃったようにこの地方更生保護委員というのは常勤だとおっしゃいましたが、この地方更生保護委員会での合議体による審理というのは週にどれくらい、何回行われておるのかと。一回当たり審理件数はどんなふうになっているのか。もっと言うと、一件当たりの審理時間、どれくらい本当に実際やっていらっしゃるのか。審理ではどのような議論をなさっているのかと。御報告をいただきたいと思います。
  133. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 仮釈放の申請から決定までに要する期間につきましては、事案によって異なりますけれども、短い事件で一か月以内、長い場合では一年を超える場合もないわけではございません。最新の統計によりますと、平成十七年において終結をしました受刑者の仮釈放等審理事件のうち、約八割は仮釈放申請によって審理を開始した後、三か月以内に審理を終結をいたしております。  地方更生保護委員会での合議体による審理は、一般的に言えば大体一週間に一回程度行われております。それ以外のときは、委員は刑務所に出掛けていって面接をしたりいたしておるわけです。それで、一回当たりの審理件数は平均いたしますと約二十件になります。この二十件で八時間を割りますと一件当たり約二十四分ということになりますけれども、いろんな下準備もいたしますし、まためり張りを付けて、場合によってはうんと時間を掛ける事案もございますし、スピーディーに進む事案もあるということでございます。  主査委員というのが決められまして、この主査委員が仮釈放申請書のほかに既に地方委員会に送付されております身上調査書とか環境調整報告書、これ保護観察官が作ります、あるいは保護観察官の作った仮釈放事件調査票等の関係書類の検討を行います。また、主査委員は、本人との面接によりまして、本人の人格とか、刑事施設収容されている間の行状、職業の知識、その収容前の生活方法、家族関係、その他の関係事項を調査いたします。で、調査した結果を総合いたしまして、明らかになった事項、それから事案に関する意見、これを審理票に記載いたしまして関係書類とともに合議体に提出をいたします。  合議体においては、主査委員による審理結果報告が行われまして、確認によって質問やそれに基づいた討議が行われ、最後に評決をするということになります。
  134. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、先ほど被害者等意見の聴取の問題をちょっとお聞きしましたが、そうなると、今の形でいくと、被害者等意見を聴取する場合は、地方更生保護委員会の合議体が直接聴取することはなかなか難しいんじゃないかとちょっと思うんですけれども、じゃ、あらかじめ例えば保護観察官保護司等がその被害者から聴取した内容を報告するのか、それともその合議体に来ていただいて被害者は発言をするのか、これどんなふうになるんですか、ここは。
  135. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 被害者等からの意見の聴取につきましては、地方更生保護委員会の合議体でやる場合もあり得ると思っております。それから、合議体の構成員である委員、主に主査委員になろうかと思います。それから、地方更生保護委員会の事務局に保護観察官がおりますので、この保護観察官にやってもらうということも考えておるところでございます。  今後、具体的なやり方を詰めてまいりたいと思います。
  136. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ここで、仮釈放の問題で先ほど改悛の状という話をしたんですけど、刑法二十八条、つまり仮釈放の場合は改悛の状がまずある。そして、有期刑については三分の一やった、無期刑については十年経過した、これを要件にして改悛の状というのが認められると仮釈放、仮出場、仮退院というようないろんな問題が出てくるんですけれども、この改悛の状について、この仮釈放、仮出場、仮退院及び保護観察等に関する規則第三十二条にはどんなことをうたっていますか。
  137. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 御指摘の規則三十二条によりますと、仮釈放は、次に掲げる事由を総合的に判断し、保護観察に付することが本人改善更生のために相当であると認められるときに許すものとする。一、悔悟の情が認められること、二、更生意欲が認められること、三、再犯のおそれがないと認められること、四、社会感情仮釈放を是認すると認められることと規定されております。
  138. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう少しこの問題を議論したかったんですが、私は五十五分までですから。ただ、また議論の機会があるようですから議論をさせてもらいますが、大臣にちょっと一つだけ先に聞いておきたいなと思ったのは、やっぱり仮釈放基準の問題なんですよ。  やっぱり、更生保護あり方を考える有識者会議報告書なんかも私見て、仮釈の基準がやはりあいまいなんじゃないかと。そこに、ある意味ではいろんな問題があり、いろんな、要するに一番の問題点はこうじゃないかという、仮釈放審理の在り方ですよね。ちょっと今日は少し触りだけを御指摘をしたんですけれども、そういう意味では、仮釈放審理の在り方について大臣の御意見を今日は伺って終わりたいと思います。どうお考えになるか。
  139. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 仮釈放審理の仕方あるいはその審理の基準ということについて少し検討しなければならないのではないかという御意見をいただいていることはそのとおりでございまして、これはやっぱり検討しなきゃならぬと思っております。部内では今、検討を始めておるところでございます。  基準について言いますと、今御説明をいたしましたように、規則ではいろいろ書いてあるわけでございますが、これについてもいろんな意見があるんだろうと思うんですね。それぞれの規定があいまいじゃないかと、どうなったらこの規定に当てはまるかどうかが分からないというような御意見もあれば、これはもうちょっと要件を、こういうことでなくて考え直すべきではないかという御意見もあるでしょうし、そういうことも含めて少し真剣に検討を進めたいと思っております。
  140. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  141. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  この法案について、提案理由のこれまでの法律の整理統合というお話を伺っておりまして、今日の審議を通じても、やっぱり改めて今度の法案は、社会内処遇の言わば基本法、そういう役割を今後果たしていくのであろうかという思いを持っております。中でも社会内処遇についての理念、これは法案でいえば目的や国の責任ということで、今日も随分議論がありました。通告はしておりましたけれども、今日随分議論がありましたので、ここの議事録を私も精査をさせていただいて、次の機会に詳しくはお尋ねをしたいと思っておりますが、一問だけ今日、大臣にお尋ねをしておきたいと思うんです。  といいますのは、今日、先輩議員の御議論も聞いておりましても、更生保護の分野というのはやっぱりこれ、なかなか難しい分野といいますか、人間の心だとか行動ですね、ここの深みにかかわっていく分野で、大変奥深い仕事だなということを改めて私も感じているんですけれども、大臣の御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  142. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 更生保護法が、いわゆる社会内処遇の基本的な枠組みを決めるという制度性格のものだと思います。しかし、いろいろ犯罪あるいは非行ということになりますと、いろんな社会的な状況の中でいろんなケースがあるわけで、家族なり性格なりあるいは地域なり、いろんなことがあるわけですから、これをきちんとやるというのもなかなか大変な、今先生のお言葉をかりれば、奥深いものだということはそのとおりだと思っております。  それだけに、余り一律的な制度であっても良くないし、といって何らかの支援ばっかり、支援だけをしておって、そのことがどういう本人の行動につながるかということを見定めないままということであっては良くないだろうし、今後、そういう点は専門的な知識を踏まえながら適切な運用、そして社会期待にこたえられる制度運営に努めてまいりたいと思っております。
  143. 仁比聡平

    仁比聡平君 法案の一条、目的の言葉で言いますと、社会内において適切な処遇を行うというふうに言葉も書かれておりまして、この適切な処遇とは一体何ぞやという辺りは、そうそう一律に言えないものがあるんだというふうにも思うわけです。それだけ社会内処遇というのはデリケートであり、一方では妙味があるといいますかね、その中で国際的にも積み重ねられてきているんだというふうに思うわけです。  詳しくは次の機会にお尋ねをするとして、今日は、局長、通告と同じ角度なのかどうかちょっと私も不安がありますけれども、提案理由で遵守事項の整理、充実というふうにされています遵守事項、中でも施設収容との結び付き、ここについてお尋ねをしたいと思うんです。大臣も是非聞いておってください。  まず、仮釈放保護観察付執行猶予の取消し、あるいは少年院からの仮退院者の戻し収容ですね、これはこれまでも長きにわたって運用されてきたわけでございます。このこれまでの運用の中で積み重ねられてきた判断基準あるいは判断の実質というものがあると思うんですね、どういう場合に仮釈放を取り消すのか、あるいは仮退院をした少年がどういう状態になったらば戻し収容を行うのか。そのそれぞれの手続の発動に、保護の現場におられる保護観察官を始め保護分野が深くかかわっておられるんだと思うわけです。  この保護観察の在り方について規範性をもっと明確にするべきであるというような議論があって、そうすると、これまで行われてきた仮釈放や執行猶予の取消しあるいは少年院の戻し収容などのこの判断基準というのが厳しく変えられてしまうんだろうかという懸念が起こってくるのは当然だと思うわけです。従来、今やっている判断の基準、この子を少年院に戻すべきかどうなのかという、その判断の基準が厳しくなるんでしょうか、まずその点を。
  144. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) この有識者会議指摘と申しますのは、保護観察というものが、めり張りというんでしょうか、そういうことが必ずしもできなくなっているおそれがあるという御指摘だろうと思っております。  それで、今のような仮釈の取消し等の不利益措置不良措置と呼んでおりますけれども、そういうものをとらなければならなくて当然とるべきだというような事案においても、あるいはとらなかった場合があるのではないかという観点がその中には一つ入っているかもしれないと思っております。  それは、現行法においても、本当は当然にそういう場合には取り消すべきだというのが現行法の精神であるにもかかわらず、必ずしもその一般遵守事項がきちんと具体性がない、あるいは特別遵守事項については法令に内容規定もないというようなことから、明確でない。それは、対象者本人から見ても明確でないし、それから保護観察を行う観察官等の側から見ても明確でないという、そういう二重の意味の不明確さがあったということが遠因を成しているんだろうというふうに認識をいたしておるわけでございます。  したがいまして、そういう本来現行法においてもやるべきようなものについて今後きちんとやっていきましょうという、この法律をきっかけにやっていきましょう、そういうことでございます。  しかし、それは逆に言いますと範囲が明確にお互いになりますので、やっていけないこととやっていいことの区別がよくできて、そして対象者本人にとりましても生活がしやすくなるといいますか、判断がやりやすくなるというような面があろうかと思いますので、結局において、現行より厳しくなるか、より緩くなるかという観点からはなかなか一概には言えないと思いますが、やるべきことをやれるようになる、また、やらなくていいことはやらなくてもよくなるという、非常により明確に、いい意味で明確になるというように思っております。
  145. 仁比聡平

    仁比聡平君 つまり、基準を厳しくしていくということでは、そういう角度ではなくて、これまでの運用の中でもしかして漏れているというようなことがあったとするなら、それはきちんと明確化をしてきちんと適用していくんだという御趣旨のように受け止めました。うなずいていらっしゃると思いますので、もうこれ以上聞きませんが。  その中で、先ほど松岡議員も御紹介をされましたけれども、衆議院で保護司の森本さんが参考人として述べられている点は大変私も印象的でございまして、森本参考人、こうおっしゃっているんですね。遵守事項によって余り私たちの保護観察が助けられたということはなかったようで、これまで会話の中で、遵守事項を守っているねと言ったら、守っていますと言いますけれども、ちょっと省略しますが、保護司の言っていることは、別に守らなくてもバックするわけでもないし、ええ加減に聞いておいたらいいぞと、そんなふうに対象者に思われているようでございますと。保護司方々が言葉を尽くして、どういうふうにその遵守事項を守って改善更生を尽くさなければならないかということを対象者に働き掛けるけれども、なかなか届かないという思いがよく伝わる気がするわけです。一方で、心の中に基準を持ってほしいんだと。これを守らなかったら矯正へ収容しよう、そういうことは保護司としてはみんな思っておりませんし、決してそういうふうにはしたくないと。この辺りの微妙さですよね。ここが社会内処遇というものなんだろうと思うんですけれども。  そこで、保護観察における、これは一般も特別も通じてですけれども、遵守事項というのはどのような機能を持っているものなのか、局長の御見解を聞きたいと思います。
  146. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 保護観察における遵守事項は、正にその保護観察の中核的な要素を成すものだと思っております。  それで、それは本人が守るべき事項といいますか、それをもって、これからそれを守らないことは、要するに違反によって不利益を受けることもあり得るという、守る義務、責務を課するというのが一つ機能かと思います。もう一つは、ちょっと重複した言い方になりますけれども、本人にとってだけではなくて、今度は逆の目で、保護観察官の側あるいは保護司さんの側から見て、守らせる指標といいますか範囲を画するようなものであろうかと思いますので、その結果として、遵守事項違反するということが明確になった場合には、今度は不利益措置を発動するというのが保護観察官仕事になってくると。  そういう意味で、両者にとっての言わば保護観察中における生活の枠というようなものであろうかと思います。
  147. 仁比聡平

    仁比聡平君 今局長のお話にありました、対象者の側においての守る責務というものなんですけれども、これは例えば刑事政策だとかの教科書なんかを見ますと、社会内において一定の心理的な緊張感を持って自立的な更生を図るという特徴を、保護観察を始めとして社会内処遇で言われることがあるわけですけれども、そういう自立性あるいは心理的な抑制、そういうようなものというふうに理解していいわけですか。
  148. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 私の説明よりも今委員御指摘のような説明の方がよりよろしいかなというふうに存じます。
  149. 仁比聡平

    仁比聡平君 その上で、私どもは強く反対をしましたけれども、成立をした少年法との関係で、今度から皆さんのおっしゃる不良措置と結び付くことになった少年の保護観察についてお尋ねをしていきたいと思うんです。  まず最初に、同じ保護観察ではあるが、仮釈放、例えば累犯を重ねて長期の受刑から仮釈放をされた方への保護観察と、初めて虞犯で家庭裁判所の審判を受けて保護観察の対象になった中学生と、これは随分、扱う観点ですね、実施者にとってこれ違うんじゃないだろうか、おのずから違うんじゃないだろうかというふうに思うんですけれども。  そこについて、今度の更生保護法案は一条の目的がすべての対象者に係っていく形になりますですよね、節は分けておられるところもあるわけですけれども。この辺り、どんなふうに考えたらよろしいでしょうか。
  150. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) この法案におきましては、保護観察の種類、四種類あるわけでございますけれども、それぞれに、共通のものについては共通のものとして規定をいたしておりますので、御指摘のような第一条等は共通のものでございます。  ただ、実際に保護観察をやっていく過程で、少年に対する場合とそれ以外の成人に対する場合とでおのずから、相手の年齢だのいろんな人生経験だの、人間関係家族との関係、そういうものが異なるわけでございますので、そこのところは、とりわけ少年に対しましては健全育成ということを旨としてやっていこうという指針も示しておるところでございます。  また、再犯者と初犯者というのはまたおのずから異なるものでございますので、遵守事項違反すれば、即何か不利益処分をしてしまおうというようなことではなくて、その人その人に応じた粘り強いいろんなやり方での働き掛けをして、遵守事項に、できるだけこれを守っていくようにさせて、そしてどうしても駄目なときに初めて不利益な措置を検討するというようなことになっていくものだと思っております。
  151. 仁比聡平

    仁比聡平君 実際私も、審判を受けて保護観察処分となった少年に付き添って保護観察所を訪ねて観察官面接を受けたことがあるわけです。これまでの保護観察官の皆さんの現場での取組というのは、今局長要約しておっしゃいましたけれども、実際の対象者に対する個別の事情や特性をしっかりと踏まえた上での対応をしてこられたんだと思うんですよ。そこが、この法案が作られることによって何か厳罰化への方向とかいうことに根本が変えられるということは、僕はおかしいんじゃないかなと。これまで更生保護の現場の取組は、確かに安城の事件を始め幾つかの重大な出来事が起こってはいるけれども、全体としては私は大きな役割を発揮をしてこられたんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  152. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 大変評価をいただいて有り難いと思います。私どももこれまでの保護観察のやり方というのはそれなりに相応の成果を上げてまいったというふうに認識はいたしておるところでございます。ただ、それで、じゃ直すところがないのかというような観点になりますと、やはり有識者会議報告書で御指摘いただいたような問題点が、それは多々あるんだということもまた事実でございますので、この基本的な理念は変えませんけれども、やはりやるべきことをきちんとやり、一層更生保護観察の実を上げるように努めてまいる必要があると考えております。
  153. 仁比聡平

    仁比聡平君 冒頭大臣にもお尋ねをしたように、本当に奥の深い、人間を相手にした、それもその相手の人生にも実施者の方の人生にもかかわる分野だと思いますので、確かに幾つかの問題点指摘をされていると、だけれども、これをどう取り組んでいくのかということについても本当にじっくり取り組んでいく必要があるんじゃないかと思うんですね。  それで、特別遵守事項の定め方について一点お尋ねをしておきたいんですが、これは通告をさせていただいているんですけれども、現行犯罪者予防更生法、この三十八条で少年に対する特別遵守事項の定め方についての規定がございます。これの二項を見ますと、保護観察所の長は、特別遵守事項を定めたときは、本人に対して書面で示して、署名又は押印をもってその事項を遵守する旨を誓約させなければならないというふうな規定になっているんですよ。  これは私も実際に経験もいたしました。君にはこういうことを守ってもらいたいからということで書面を観察官が読み上げられて、それを少年に示して、納得していること、受け止めていることを、確認をきっとされているんだろうと思うんですけれども、その上で署名をさせ、捺印をさせると。それは少年にとっても、この約束をきちんと守っていかなければならないという、その自覚を持って保護観察を開始するのに大変私はいいことだと思っているんです。  この法案の五十五条を見ますと、これは一般も特別も同じですけれども、遵守事項は書面を交付しますというふうにさらっと書いてあって、この交付ということは、紙を渡せばいいやという話にも読み取れかねないわけですよね。そうなると、先ほども議論がありましたけれども、国連の規則、東京ルールズなどでも要請のある、現実に達成可能かだとか、あるいはその対象者の自立性に基づいた社会内処遇が行われるのかという点でも私は問題が起こり得るんじゃないかなと思うんです。  それで、五十五条の規定ぶりは私が今申し上げたようになっているんだけれども、今後どういうふうにしていこうと思っていられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  154. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 御指摘のように、この誓約をさせるということは、本人にとっては遵守事項内容重要性を自覚をさせたり、あるいは内容そのものをよく認識するという効果があるというふうに考えるところでございます。ただ、そのような効果というのは、法的な効果ではなくて、どちらかというと事実上の効果でございます。  そこで、法律を今回新たに作るときに特に誓約という手続を規定することはいたさなかったわけでございますけれども、御指摘のような有効なものであると思いますので、今後、運用においてはそのように引き続きやってまいりたいと思いますので、例えば下位法令においてそのような手続を定めるということを検討いたしております。
  155. 仁比聡平

    仁比聡平君 それで、その特別遵守事項違反をした場合の少年院への収容なんですが、ちょっともう時間もなくなってまいりましたから局長に一問だけお尋ねする時間しかないと思うんですけれども、少年法の改正案の審議の中で、先週でしたか委員会で答弁に立たれて、少年法の虞犯としての通告は現実には少ないという趣旨の御答弁がありました。  そうすると、これからは、虞犯に当たらないような少年でも特別遵守事項違反をしていれば、この法案の警告をし、そして申出の対象になるということに本当になるのか。その辺りについてちょっと御答弁をいただいておきたいと思います。
  156. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 法律上、理論的にはそのような場合、つまり虞犯事由には当たらないけれども遵守事項に当たっていてそれの違反になると、そしてそれの程度が重いというような場合については、警告や少年院の新たな保護処分、そういうことの対象になり得るということは理論上はあり得るかと思います。
  157. 仁比聡平

    仁比聡平君 理論上はあり得るというのは私も分からないわけではないんですよ。というのは、虞犯というものと特別遵守事項違反というものは、これは法律の概念が違いますから、競合する関係にないという意味ではそうなんだろうと思うんですね。というか、どっちかに吸収されるような関係にないという意味ではそうなんだろうと思うんです。だけれども、虞犯としてこれまで保護観察所の方でも通告をしてこなかったような、つまり施設収容を必要だとこれまでは解してこなかったような対象者について今度は少年院に送るぞという話になるのかというのが大変な懸念になるわけです。  この答弁だけ伺って、終わりたいと思います。
  158. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 今、理論上と申し上げましたが、厳密に言えば制度上ということになろうかと思いますけれども、虞犯事由と特別遵守事項違反事由というのは異なるものがあることは間違いないと思います。  それで、前に答弁のときに申し上げたかと思いますが、非常に、保護観察というのは一度悪いことをした非行があった上で保護観察処分を受けておるわけなので、本人にその自覚が全くなくて、およそもう保護観察改善更生趣旨にもとるといいますか、もうとんでもない事態であるというようなことが虞犯事由以外で存在しますならば、それはそれであり得ることかなというふうに思います。  ただ、実際上そういう警告等を発動するということをどういうふうにするかということになりますと、これについてはあくまで社会内処遇をできる限りやっていこうという、そういう精神に基づいて運用をしていくことになると考えております。
  159. 仁比聡平

    仁比聡平君 あとは次回に。終わります。
  160. 近藤正道

    ○近藤正道君 お疲れさまです。社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  何点か質問を用意しておりましたけれども、もう既に皆さんに聞かれてしまいまして、虫食い状態になっておりまして大変苦慮しておりますが、二十五分の短い時間を仮釈放被害者意識聴取、ここに絞って聞きたいというふうに思っています。いずれにいたしましても多少重複をいたしますが、ひとつ御勘弁をいただきたいというふうに思っています。  私も、可能な限り多くの人たち仮釈放の機会を与えるべきであると、こういうふうに思っておりまして、その仮釈放審理というのは公正、透明、検証可能なものでなければならないというふうに思っております。  しかし、この仮釈放については、元々刑法の二十八条に改悛の状これあるときというふうに書いてありまして、ここは何も変わってない。にもかかわらず、今回、法が新たに統合整理をされまして、そしてこの法案の第二章、仮釈放等というところはかなり新たにいろんなものが加わったりあるいは削除されたりという形になったわけでございます。  問題は、刑法の二十八条の文言そのものは変わっておらないわけでありますが、この改悛の状の解釈基準について、これがどうも変わるようであると先ほど来お話があります。仮釈放の言わば運用基準が変わるようでございますが、確認の意味で冒頭お尋ねをいたします。なぜこれを今変えていくのか。変えるその方向と言いましょうか、先ほど来あいまいとか主観的過ぎるとかいろんな話がありました。これは基本的にこれからいろいろ議論をして具体化させるんですけれども、私が今日お聞きするのは、なぜ変えるのかということと、変えるその骨太の方向、これは是非明確にしていただけないだろうかということでございます。
  161. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 仮釈放の許可の基準につきましては、先ほど来申し上げておりますその省令がございまして、三十二条で悔悟の情と更生意欲再犯のおそれと社会感情ということが書いてありまして、これを総合して判断をするんだというふうになっております。  それで、この有識者会議報告書といいますか、そこでの議論でございますけれども、これは幾つかのことが指摘されましたが、例えばその総合的に判断するというのがどうなんだと、分かりにくいんではないのかと、もう少し分析的にといいますか、やり方はないのかというようなことで、例えば一号と二号、悔悟の情が認められて更生意欲があれば、そしたら基本的には仮釈放するというようなことにし、それでしかし再犯のおそれとか社会感情というようなことで難点があるならば、今度はしないように例外的にすればいいではないかというようなのを例えばということで指摘がなされておるところでございます。あるいは、その前提として、再犯のおそれがないと認められるといっても、ないというのは非常に評価的な概念であって、実際の見方によっては、あると言えばいつもあるということでもあるのではないかというような議論もあったようでございますけれども、そういったことから、これだけ、四つだけの基準ではあいまいであるというような指摘でございました。  それで、そういう御指摘を受けて、私どもとしてはこれについて検討をしなきゃいかぬということで検討を始めておりまして、相当検討をしたんでございますが、ただ、これはなかなか難しい問題だなと。刑法の改悛の状あるときというそのたった一言でございますけれども、これの解釈を、あるいは運用を変えていく大きい影響を持ってくるおそれもあるということで、有識者会議報告書の御指摘は重く受け止めるわけでございますけれども、もっと引き続きいろんな意見も聞いてこれは考えていかなきゃいけないんじゃなかろうかというようなところでございます。  そこで、これにつきましては、大臣の方からも慎重な検討というお答えがございましたけれども、やはり慎重に十分に検討をいたしたいと、そういうことで、現在の段階で方向性がどうかということについては申し上げられない段階でございます。
  162. 近藤正道

    ○近藤正道君 法案の第三十四条に仮釈放及び仮出場の申出という規定が新たに盛り込まれております。施設の長から地方の更生委員会に対して、今まではその仮釈放の申請という行為ができるものだったんですが、これが今度は申出に変わるということでございます。  お聞きしたいのは、申請から申出に変わるということは、施設の長から地方の委員会に働き掛ける行為の性格そのものが法的に変わるのかどうかということが一点と、もう一つは、現状に比べてどこがどのようにこの申請から申出に変わることによって変わってくるのか、この二つについてお聞かせください。
  163. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 法的なことでございますけれども、用語の問題といたしますと、申請の請の字が付いておれば応答義務が一般的には課される場合が多いんだろうと思います。それに対して、申出というのは必ずしも応答義務まではないという、そういう法的な用語の違いはあろうかと思いますけれども、しかし実際上はそれに基づいて必ず審理をするかしないか検討をいたすわけでございます。その結果も連絡もいたすわけでございますので、実際には変わらないと。ただ、変わるのはどこかというと、申請という場合には棄却ということもセットで法律に書いてあったわけでございます。そういうことはしないけれども、連絡もするし検討もするということで、実質的な変更はないということでございます。
  164. 近藤正道

    ○近藤正道君 それは全く私は分からない。それは意味があって概念を申請から申出に変わるわけでしょう。基本的に、申請の場合は応答の義務があるけれども、申出の場合はないですよね、聞きおくだけ。これは、皆さんは実態は変わらぬなんて言っていますけど、法的には大きなやっぱり私は変化ではないかと。  今の世の中は、昔のように特別権力関係なんということは言わないで、受刑者であってもやっぱり一人の人間として可能な限り尊重すると。ですから、一定のその法律関係はきちっと認めて、収容者がその施設あるいは審査委員会、こういうところに一定の働き掛けをすれば、それに対してきちっとやっぱりこたえを行うと。それは権利性があるかないかとは無関係に、そういうことが今の正に近代、現代の流れだと思うんですよ。ところが、今は法が改正されたのに、一層何か職権主義的になって、とにかくこたえる義務もないと。何を言われようが、こたえようがこたえなくても我々の自由だと。職権主義的な、非常に裁量的なところが肥大化をするというのは、私は基本的に歴史の流れに逆行しているんではないかと。今はもう特別権力関係なんというのを収監者に対しても適用なんかしない、こういう時代なのに、何でこういう、聞きおく、捨ておくというような、こういう一方的なその方向に法を改正していくのか、私はこのセンスが全く分からない。教えてください。
  165. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 若干その点、申請と申出、この件についてだけ申し上げましたけれども、この法律を作るときに、今までの犯罪者予防更生法なんかのいろんなところに申出とか申請とかといういろんな言葉が割と雑多に使われているのではないかということで、それを整理する程度の意味を実は持っておるというわけでございます。  それから、一点補足させていただきますと、この更生保護法案におきましては、三十四条におきまして、刑事施設の長等は一定の場合に地方更生保護委員会仮釈放等の申出をしなければならないという義務付けを新たにいたしておるところでございます。これは今までになかったことでございます。  こういう義務付けがございますので、申出があった場合に地方更生保護委員会がこれを黙殺するということは、法律上、申出義務を刑事施設の長等に課した趣旨を没却するということになるわけでございますので許されないということで、審理を行った上で一定の判断を下さなければならないということになるわけでございます。
  166. 近藤正道

    ○近藤正道君 もう一回聞きますけれども、今、皆さんは、施設の長と地方委員会関係をおっしゃいましたね。  そこのところは少し明確になったかなというふうに思うんですけれども、しかし法的には、これは地方委員会の職権の発動を促すだけであって、きちっと報告する義務というのはあるんですか、ないんですか。それが一つと。もう一つは、いずれにいたしましても収容されている本人には全く関係のない話なんではないですか。収容者本人にとってみれば全く変化はない、逆に、かえって関係は疎遠になっていく、これは否定できないんじゃないでしょうか。これを二つお答えください。
  167. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 先ほどのあれは、申請という場合は棄却という形での応答義務をセットでつくるのが相当だろうということで、現行法もそのようになっておるわけでございますけれども、今度はそのように、棄却だのというように受け身的に地方更生保護委員会がとにかく申請があればそれについて考えますよというようなことだけではなくて、自分なりの、現行法でもございますけれども、職権での仮釈放審理ということも可能なわけでございますので、そういうことも含めての考え方の整理になろうかと思います。  言葉の問題といたしましては職権の発動ということになろうかと思いますけれども、先ほど申しました三十四条の規定がございますので、これを放置するということはやはりあり得ないことでございますので、そういう意味においては、応答する義務といいますか、そういうものがあるというふうに考えるところでございます。  それで、受刑者本人関係でございますけれども、これは、現行法におきまして受刑者本人仮釈放の申請権というものは認められておらないわけでございます。  その趣旨でございますけれども……
  168. 近藤正道

    ○近藤正道君 それはいいです、聞いていないです。
  169. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) はい。
  170. 近藤正道

    ○近藤正道君 施設の長に一定の場合に申立ての義務がある、その限りにおいて地方の委員会は応答の義務があるといっても、それはあくまでも職権の発動が促されるだけであって、そのことについて仮に職権発動をしなくても別にとがめられることもないし、そのことを施設の長に、あるいは受刑者に報告する義務なども全くないわけですよ。これは私はやっぱり問題だというふうに言っているわけであります。  次にお聞きしたいのは、有識者会議の中で受刑者本人の関与、これを一定の範囲でやっぱり認めてもいいのではないかという答申がかなりにわたってなされていますよね。  確かに、仮釈放の申請権まで付与する必要はないと、こういうふうに言ってはいますが、例えば、審理開始を求める本人からの申出を受けた地方更生保護委員会が職権による審理開始の要否を検討することとか、本人釈放後の生活設計を主体的に示させ、委員等による面接の中でその当否を自覚させること、あるいは仮釈放申請を棄却した場合に本人にその理由を告知することなど、本人の関与を拡大することにより仮釈放審理をその後の改善更生に一層資するものとする方向で検討を加えるべきであると、こういうふうに言っています。これは確かに、仮釈放申請権までは付与するとは言ってないけれども、しかし、何らかの形で受刑者本人の関与を認めていけと、これは世界の私は流れだと思うんですよ。  こういう有識者会議の提言が今回の法案では正に全部無視された、完全に無視されていますよ、これは。何でここまで徹頭徹尾この点については無視するんですか。お聞かせください。
  171. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) この受刑者本人仮釈放申請権を付与しないということにつきましては、これは仮釈放性格上そういうことになるんだろうというふうに考えるところでございます。  これにつきまして、その有識者会議は、今御指摘のように、受刑者本人に一定の関与をさせるというようなことの提言があるわけでございます。この点につきましては、運用面におきまして、仮釈放審理における委員による面接というのは、これは制度上今もあるわけでございますから、その面接の中で本人仮釈放後の、釈放後の生活設計を主体的に示させるようにすると、で、その当否を自覚させることについて現在の実務内容をより充実させる。だから、この今ある制度の中に、有識者会議の提言の趣旨を生かした運用をやりたいというふうに考えておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、審理のための調査等に際しまして、更生意欲とか生活設計とか被害弁償の意思等につきまして受刑者本人から具体的で詳細な書面の提出を行わせて、面接においてその当否を一緒に考えるというようなことをいたしまして、受刑者本人仮釈放審理に係る一連の過程の中に主体的に関与ができるような運用の在り方を検討しようと考えておるところでございます。
  172. 近藤正道

    ○近藤正道君 私が聞いているのは、今の制度では、現行制度ではほとんど収容者本人の関与というのは認められていないですよ。ところが有識者会議は、まあ権利とまでは、請求権を認めろとまでは言わないけれども、やっぱりある程度認めてあげなさいと、あげるべきだという形で幾つか提言しているけれども、それが完全に無視をされていると。  世界の流れは、やっぱり本人の関与を認める方向ですよ。請求権まではいかないけれども、何らかの形でそれを認めていて、そして、せめてその結末ぐらい、自分が仮釈の審理の対象になったときにはその結末ぐらいは教えられる、このぐらいのことは私はあってもいいんではないかというふうに思うんです。  今正に、今の制度では、仮釈放は全くの密室で行われているんですよ。受刑者やその家族、代理人は、仮釈放を申請するどころか、結果の報告を受けることもできない、質問一つできない。そういう状況の中で、とにかくある日突然やってくるまあ言わばお上の恩恵をただひたすら待つだけ、そういう存在ですよ。これはやっぱり問題なんではないか。多少なりとも本人の関与を認めるべきだ、こういう有識者会議の提言が正にゼロ回答ですよ、これは。ほかのところではそれなりに、多少なりとも頭出ししているんですけれども、ここだけは完全にゼロ回答。  なぜここにそんなにこだわるのか。私は、さっきも言いましたように、監獄法だってもう九十年ぶりに変わったわけですよ。正に、ところが、皆さんの意識は昔の特別権力関係そのもの。それを多少認めたからといって、収容のその受刑の目的がそがれることなんか私ないと思うんです。  正に憲法の理念からいけば、可能な範囲で本人関与をやっぱり認めるというのが私は憲法の理念そのものだと思うんですが、なぜここまでゼロ回答に終始をしたんですか。法務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
  173. 長勢甚遠

    国務大臣長勢甚遠君) 世界の流れ、憲法の云々ということで、御意見でございますが、受刑者本人仮釈放申請権を認めないということにしていると、これについての考え方は今局長から申し上げたとおりでございまして、詳しい議論はまたいろいろあるのかもしれませんが、総括的に申し上げると、何か言えということであれば、何か見解が合わないなということしかありませんです。よろしくお願いします。(発言する者あり)
  174. 近藤正道

    ○近藤正道君 しかし、いろいろ応援もありますけれども、まあ、こんなこと言うのはおかしいんですけれども、もし大臣があれなら局長の方から、なぜこれほどまでにこの点については、本人関与の点についてはゼロ回答に徹したのか。私は、この有識者会議の扱いについての差別性みたいなものが非常に気になるんですが。
  175. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 私どもの整理でございますと、有識者会議報告書を基本的に踏まえて制度をつくろうということで考えておるわけでございます。そのときに、個々の条文に、これは明示するけれどもこれは明示しないということもあり得るかなというふうに思っておるところでございます。  それで、先ほどちょっと言及されました仮釈放を許す処分をしなかった場合に本人に伝えるということでございますけれども、これはなかなか、この理由を伝えるということになりますと、例えばその受刑者の本人の資質とか生活環境面の問題性などに照らして仮釈が相当ではないと考えられた場合など、その本人努力でなかなか乗り越えられない理由によって仮釈が許されなかった事案、そういうような事案も多々あるわけでございます。  そういうときに、本人に、おまえはこういうことで仮釈は駄目なんだよというような説明をするということになりますと、本人改善更生意欲が非常に妨げられるというようなこともあろうかと思います。あるいは、被害者引受人への逆恨みを招くというようなこともあろうかと思います。  そこで、一律にそういうことをやるということもなかなか難しい問題があるというようなこともございまして、先ほども申し上げましたような運用におきまして、有識者会議の提言の趣旨をそんたくして適切な運用をやってまいりたいというふうに思っております。
  176. 近藤正道

    ○近藤正道君 法案三十五条の、必要があると認めるときは職権で審理を開始することができると。その必要があるときの場合に、収容者本人から申出があるということも運用で可能なんですか。可能にすべきなんじゃないですか。
  177. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) これは、職権で審理を開始するということは委員会判断でございますけれども、そのときに委員会が何かの情報に接して、これは審理しようというふうに思うということになろうかと思います。そのようなきっかけを与える情報の一つとして、今御指摘のようなものも除外されないと考えております。
  178. 近藤正道

    ○近藤正道君 そうすると、収容者本人が地方の審査委員会のところに文書を、お願いの、職権発動を促す文書を出して、それが受け入れられる余地もケースとしてはあるということなんでしょうか。
  179. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 本人からそのような手紙が来たということをもって、そこに書いてある情報が意味のあるもので仮にあった場合に、本人から来たんだから、無視するとか軽視するというようなことはあり得ないと思っております。
  180. 近藤正道

    ○近藤正道君 最後の質問でありますが、被害者意見聴取のことについてお尋ねしたいと思います。  これは今までも規則の三十三条の四つの要件の一つ社会感情の中に実は含まれているわけですよね。今度は新たに法案の中にこれが書き込まれる、三十八条に書き込まれる。このことによってどこがどういうふうに今までと変わってくるのかという点が一つと。もう一つ、先ほども少し話がありましたけれども、その被害者の心、意見を聴取するということは、仮釈放の門戸を狭めることになりはしないか、この懸念についてどういうふうにお考えですか。これだけ聞かせてください。
  181. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
  182. 藤田昇三

    政府参考人藤田昇三君) 被害者意見等を聴取したその内容につきましては、仮釈放の基準、四つの、四号まで申し上げましたけれども、その中の主として社会感情一つとして考慮され得るということになろうかと思います。  それから、仮釈放を許すか否か、これは矯正施設内での成績とか反省の態度とか帰住予定地の環境など、様々な事情、そしてそれに被害者等意見等も総合して考慮することに相なるわけでございますので、そのことによって一般的に仮釈が困難になるとかならないとかというようには結び付かないものと考えております。
  183. 近藤正道

    ○近藤正道君 終わります。
  184. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  185. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  更生保護法案の審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 山下栄一

    委員長山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十七分散会