○
江田五月君 いや、本当に、捜査の問題じゃないと。どういうか、
法務行政全体の信頼性の問題なんですよ。こういうことをこのままにしておいて、そしてうやむやにしたままで、幾ら
触法少年に対して
警察はこんなに優しくいろいろやっていますとかいったって、信用できないという話ですから、これはここで、この問題だけにかかわっておると
少年法の
質疑ができませんので次へ行きますが、本当に肝に銘じておいていただきたいと思います。
さて、
少年法改正案ですが、私は実は
少年法とか
少年保護についてはかなり長いかかわりを持っております。一九六三年ですからもう四十何年か前、懲戒
処分を解かれて大学に戻った後に、
長勢大臣とは一緒に入りましたから、
大臣は私より先に本郷の方に行かれておるんですが、私は後から付いていったんですが。
縁あって森田宗一さんの御自宅にしばしばお伺いをするようになりました。森田宗一さんは、戦後、
家庭裁判所の開設にかかわられたり、また
少年法の制定にも関与されて、例の有斐閣のポケットコンメンタールですかね、
少年法を団藤重光先生と共著でお出しになっている方で、
少年法の権威、今年二月に九十二歳で他界をされまして、私も葬儀に駆け付けました。つい先日、しのぶ会も行われましたが、この場をかりて
少年保護の大先輩の御冥福を心からお祈りをさせていただきたいと思います。
その後、私自身もまだ三十代のころに、裁判官として
少年審判を主宰をいたしました。森田さんあるいは同僚裁判官や職員の皆さん、特に
家庭裁判所調査官の皆さん、そして何よりも
少年自身から非常に多くのことを学んだと思っております。当時は付添人は本当に、
制度はあったんですが、付添人をやってくれる弁護士さんはほとんどいなかったですね。しかし一方で、補導委託先など
社会的な
少年保護のリソースというのはかなりあったと思いますし、また
家庭裁判所にやる気があったと思うんですね、当時。しかし、今、付添人は確かに随分増えてまいりました。ところが、どうも家裁の元気、あるいは
社会の
少年保護のいろんなリソース、そういうものはどうなっているかと思いますと、ちょっと心が寒くなるような思いがいたします。
私、なぜそういう話するかというと、そういった家裁の問題、あるいは児相の問題、あるいは
社会的な
少年保護にかかわるリソースがだんだん弱体化しているんじゃないか、そのようなことを、そのようなことを
少年にしわ寄せするような形で解決しては断じてならぬということなんですね。これはやっぱり、家裁ももっと元気に働けるように、あるいは
保護司さんたちもそうですし、またいろんな
社会のリソース、こういうものが
少年保護のために一生懸命頑張ろうという、そういう
制度をつくっていくように我々立法にかかわる者は最大限努力をしていかなきゃならぬし、また
法務大臣、
法務行政の中で、あるいは今日は厚労省の皆さんは呼んでませんが、児相の実際の運営の中で
少年の
保護、これを第一に置いて、国連の子ども特別総会決議にもあるように、チルドレンファーストということですべてが努力をしていかなきゃならぬと、私自身もそう自分自身肝に銘じておきたいと思っているところです。
今回の
改正は、私は実は若干責任を感じているんです。
長崎の
事件や
佐世保の
事件があって、当時私、ちょっと何をしていたか忘れたんですが、民主党の中の刑事司法
関係、
法務関係の何かの役を持っていたと思うんですけれども、この
事件は大変衝撃的な
事件で、この二つの
事件、
事案解明、刑事責任
年齢に達していないからというんで
事案解明ができないということでいいんだろうかとか、あるいは十四歳
未満で児童自立支援
施設にしか入れられない、しかし強制的
措置がとれる児童自立支援
施設というのは数が少ない、もっと多くの児童自立支援
施設が強制的
措置がとれるようにするのがいいのか、しかしそうすると児童自立支援
施設というもののまた性格ともこれは
関係するわけですから、それでいいかという問題も出てくる。しかし、何か一般の児童自立支援
施設だけで
社会が納得するだろうかというようなことを考えると、
保護処分の弾力化、
少年院送致の弾力化ということも考えなきゃならぬのじゃないかというようなこともちょっと言ったことがございまして、余り自分で思い上がっちゃいけませんけれども、私が言ったことがこういう提案になってきたかなというような思いがあって、それにしてはちょっとこの今回の提案は悪乗りが過ぎるんじゃないかとじくじたる思いも持ったりしながら質問をいたします。
まず、この今回の
改正の目的は一体何なんだということなんですが、
法務大臣に伺います。
安倍首相は、衆議院の
法務委員会で、これ我々から言わせれば強行採決ですが、採決の後に記者に聞かれて、残念ながら
少年犯罪が
凶悪化しており、
被害者の気持ちも踏まえればやむを得ない、各紙報道の、おおむねこういうトーンですね。残念だ、しかし
凶悪化がある、
被害者の気持ちを踏まえてやむを得ないと、こういう単語が並んでいるわけですが。
安倍首相に聞いてくれと言われるかもしれませんが、衆議院の方でこれについて
法務大臣お答えになっていますので、こういう安倍首相のコメントというのをどう思われますか。