運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2007-05-29 第166回国会 参議院 文教科学委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年五月二十九日(火曜日)    午前十時八分開会     ─────────────    委員異動  五月二十五日     辞任         補欠選任      秋元  司君     北岡 秀二君      小泉 昭男君     小泉 顕雄君  五月二十九日     辞任         補欠選任      北岡 秀二君     松村 祥史君      小泉 顕雄君     小泉 昭男君      広中和歌子君     櫻井  充君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         狩野  安君     理 事                 中川 義雄君                 中島 啓雄君                 佐藤 泰介君                 蓮   舫君     委 員                 荻原 健司君                 神取  忍君                 北岡 秀二君                 小泉 昭男君                 小泉 顕雄君                 中曽根弘文君                 松村 祥史君                 水落 敏栄君                 吉村剛太郎君                 櫻井  充君                 鈴木  寛君                 西岡 武夫君                 林 久美子君                 広中和歌子君                 水岡 俊一君                 山本 香苗君                 鰐淵 洋子君                 井上 哲士君        発議者      西岡 武夫君        発議者      鈴木  寛君    委員以外の議員        議員       近藤 正道君    国務大臣        総務大臣     菅  義偉君        文部科学大臣   伊吹 文明君        国務大臣        (内閣官房長官) 塩崎 恭久君    副大臣        文部科学大臣  池坊 保子君        文部科学大臣  遠藤 利明君    事務局側        常任委員会専門        員        渡井 敏雄君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       山中 伸一君        内閣規制改革        推進室長     田中 孝文君        総務省自治行政        局長       藤井 昭夫君        文部科学省生涯        学習政策局長   加茂川幸夫君        文部科学省初等        中等教育局長   銭谷 眞美君        文部科学省高等        教育局長     清水  潔君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        樋口 修資君        文部科学省国際        統括官      瀬山 賢治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○学校教育法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○地方教育行政組織及び運営に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○日本国教育基本法案西岡武夫君外四名発議) ○教育職員資質及び能力向上のための教育職  員免許改革に関する法律案西岡武夫君外四  名発議) ○地方教育行政の適正な運営確保に関する法律  案(西岡武夫君外四名発議) ○学校教育環境整備推進による教育振興  に関する法律案西岡武夫君外四名発議)     ─────────────
  2. 狩野安

    委員長狩野安君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十五日、小泉昭男君及び秋元司君が委員辞任され、その補欠として小泉顕雄君及び北岡秀二君が選任されました。     ─────────────
  3. 狩野安

    委員長狩野安君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  学校教育法等の一部を改正する法律案外六案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官山中伸一君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 狩野安

    委員長狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 狩野安

    委員長狩野安君) 学校教育法等の一部を改正する法律案地方教育行政組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案日本国教育基本法案教育職員資質及び能力向上のための教育職員免許改革に関する法律案地方教育行政の適正な運営確保に関する法律案及び学校教育環境整備推進による教育振興に関する法律案、以上七案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 おはようございます。自由民主党の小泉でございます。  質問に入らせていただきます前に、まず、昨日、突然御逝去になりました松岡農水大臣の御冥福を皆さんとともにお祈りを申し上げたいと思います。  余計なことでありますけれども、実は私は大臣と同じ大学の出身でありまして、二人しか国会議員がいないわけであります。そういう点で、非常に懇意に御指導をいただいたこともありまして、今回のこと、本当に悲しく思っております。改めて心から哀悼の誠を捧げたいと思うところでございます。  さて、昨年、新しい教育基本法ができたわけでありますけれども、その中で非常に大きな論点となった一つに、国を大切にする、愛国心という言葉にかかわって国を大切にするということがいろいろ議論になりました。どう書き表すかということでも議論があったわけでありますけれども、新しい法律ができて、実際に教育現場の中で国民一人一人が国を愛し、国を大切に思う心というものを育てていく、そういう実践をしていただくように学習指導要領の中でもこれをどういうふうに扱っていくのかということが早急に議論をされなければならないというふうに思うわけでありますけれども、幼稚園にも指導要領に準じるものがあり、小中高には指導要領があるわけでありますが、そういったものの中にこの国を愛する、国を大切に思う心というものを形づくっていくためにどのような配慮をした記述がなされていくのか、これについてまずお伺いをしたいと思います。
  7. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 改正教育基本法を受けまして、今回御提案を申し上げております学校教育法改正案におきましては、義務教育の目標として、「我が国郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国郷土を愛する態度を養う」と第二十一条の三号に規定をしているところでございます。また、高等学校につきましても、第五十一条の第一号で義務教育として行われる普通教育の成果を更に発展拡充させるという旨の規定を置いているところでございます。  このような態度育成につきましては、現行学習指導要領においても道徳社会科などを中心規定を設けているところでございます。例えば道徳におきましては、小学校高学年におきまして、「郷土我が国文化伝統を大切にし、先人の努力を知り、郷土や国を愛する心をもつ。」と定めているところでございます。  このように、現行学習指導要領においても我が国郷土を愛する心情態度について規定をし、その育成を図っているわけでございますが、今後、学習指導要領見直しを行う中で、改正教育基本法の趣旨や学校教育法改正案国会での御議論等を踏まえまして、児童生徒発達段階に応じた具体的な教育内容につきまして中央教育審議会において専門的な議論を深め、充実を図っていきたいと、かように考えている次第でございます。
  8. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 大きな論点として国会でいろいろ議論をされて一つの形ができたわけでありますから、やはりこのことをしっかり踏まえていただいて、自らが帰属をしておるこの国というものについて、国を愛し、また郷土を大切にする心情というものをしっかりと養っていける、そういう指導要領というものを目指していただきたいと思います。  同様にもう一点、宗教についていろいろ議論がありました。教育基本法では、宗教社会生活における地位教育上尊重すると、こういうような表現になっているわけでありますけれども、先ほどの質問と同じように、こういったものについてこの学習指導要領の中でどういうような取扱いをして、ある意味では宗教的な感性とかいったものを豊かに持った子供を育てるような工夫がどのようになされるのか、それについても御見解をお伺いしたいと思います。
  9. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいまお話がございましたように、改正教育基本法第十五条におきまして、従来から規定をされておりました宗教に関する寛容の態度及び宗教社会生活における地位に加えまして、新たに宗教に関する一般的な教養教育上尊重するということが明確に規定をされたわけでございます。  現在、宗教に関しましては、例えば高等学校では、倫理や世界史学習の中で宗教の持つ意義や日本人に見られる宗教観などについて指導が行われております。また、小中学校において、社会科歴史に関する学習の中で仏教の影響キリスト教の伝来などに関する指導が行われているところでございます。  今回、先ほど申し上げました宗教に関する一般的な教養教育上尊重するということが教育基本法規定をされたことを踏まえまして、今後これらに関する指導充実を図ることが重要だと考えております。中央教育審議会におきまして学習指導要領全体の見直しを行う中で、例えば中学校社会科において世界の各地域における宗教の特色あるいは宗教社会生活における役割などについて記述を盛り込むなどの点につきまして、更に検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  10. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 心の時代ということであります。日本人の心が今大変厳しく問われている中で、私は宗教教育というものが果たす役割というのは非常に大きいというふうに思います。だれがこの宗派を開いたとか何年にどういうことがあったか、それは知識として大事なので、そのことについてもしっかり伝えていくということは当然必要だとは思いますけれども、やはり宗教というものがこの社会において果たしておる役割あるいは果たしてきた役割ということをしっかり理解を深められるような、そういう配慮を私は指導要領の中でしていただきたいと、こういうふうに思うところであります。  今、心の話をしましたけれども、ついこの間も高校生が一度人を殺してみたいという欲望をずっと持っていて、ふと横に寝ていた、安らかに眠っている母親の顔を見て、その気持ちが抑え切れなくなって殺害をし、さらには首を切断をするという事件がありました。この一年間の間を振り返っただけでも、秋田県では三十三歳の母親自分の産んだ九歳の子供を橋の上から突き落として殺す。あるいは、年末から年始にかけまして、兄が妹のちょっとした言葉に逆上をして、本当に残酷な殺し方をして殺害をした上に、同じ両親から生まれて全く同じ血が流れている兄弟の間であるにもかかわらず、その妹の死骸をばらばらに切断をする。あるいは、奥さんが御主人を殺害をして、首をちょん切り、腕をちょん切り、足をちょん切りして、あちこちに捨てる。両親自分子供が休んでいる自宅に火を付けて、一気に三人の肉親を焼き殺してしまった若い母親とか。あるいは、先ほど言いましたその母親の首を切断した少年であるとか。  このわずか一年だけの間を考えても、他人他人を殺すということはこれまでの人類の歴史の中で繰り返されてきたことでしょうけれども、こんな短期間の間に親子とか兄弟とか夫婦とかいう、人と人との間で最も温かいものが通い合うはずのその関係の中に、何とも信じられない氷のような関係がだんだんだんだん広がっているということを私は端的に示す事件だと思うわけでありまして、ついに日本人もここまで来たのかなと、こういうふうに思うわけであります。  やはり戦後六十年間の教育の中に、日本人の心というものにこだわる、そういう教育が私は非常に不十分であった、そのあかしではないのかなとも思うわけでありまして、やはり教育基本法改正を受けて、これから新しい教育をつくっていく、教育再生をしていく、本当に重大な局面に我々は今差し掛かっているというふうに思います。  私がかつて学んだ教育心理学の中に、マズローという教育心理学者が言った言葉、非常に印象的に思い出すわけでありますが、人間というのはいろんな欲求を持っている、欲求のヒエラルキーがあると。その中に、所属欲求というか、自分所属している社会、小は家庭であり大は世界になるわけですけれども、自分所属をしている社会に認められる、そのことが非常に大きな満足になって自己実現への非常に大きな動機付けになるんだと、こういうような学説があることを学びました。本当にそうだなと思います。  今もう家庭にも帰属意識はありません。本当に、この父親の子供であることを喜ぶ、この母親子供であることを喜ぶ、ああ、自分は本当にこの家族の中の一員としてしっかり認められているな、しっかり受け止められているな、そういうような一番小さな家庭というところへの帰属しておる満足感というものが味わえない。家族でさえそうなんですから、社会にもそれをもはや求められないし。  私は、国を大切にするというところは、そういう意味で、もう一度この国に帰属をする、帰属しておるものに対して深い愛情を持つということを私は読んでおるわけであります。正に今問われているのは、喪失した帰属意識をどう取り戻すか、そういうことだというふうに思うわけでありますが。  いずれにしても、先ほど紹介しましたように、あってはならないことが連続して起こっておる、こういう状況について、私は、教育というものはどういう責任があるのか、また、できれば大臣自身がこういう現象についての日本教育責任というものについてどのようにお考えか、是非お聞かせをいただきたいと思います。
  11. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) まずその前に、宗教のことについて先生がお尋ねがあったことについてですが、多分先生のお気持ちとしては、政府参考人がお答えしたようなことを聞いておられたんじゃないと思います。先生所属しておられる宗派についても、例えば天台から法然が浄土を起こし、浄土が親鸞によって浄土真宗になり、浄土真宗がどう分かれてきたか、そんなことを教えるということを聞いておられるんじゃないんですよね。  聞いておられるのは、多分、すべての宗教に共通するのは、自分が命をいただいてこの世に生まれてきた、自分というのはやはり非常にちっぽけなものなんだという謙虚さ、それから同時に、しかしその中に自分が生かされてきたという命の大切さ、これはあらゆる宗教に共通してやっぱり教えておられるものであって、特定宗教布教目的ではないけれども、人間が生きていく上で基本的に大切な条理のようなもの、これをやはり教えるということは私は当然あっていいことだと思います。特定宗教布教目的をもって教えるということでなければ、そういう心の在り方を教えるということは何ら間違ったことではありませんし、それは学習指導要領でも別に排除しているものではありません。  その前提でお答えすれば、先生が今おっしゃったことは、そのことに根源的な関係はありますけれども、社会全体の変化の中で必然的に人間の弱さから起こってくる私はことだと思います。  具体的に申せば、これだけ豊かになっておりますので、今正におっしゃったように、他人に助けてもらわなくても、助け合わなくても何とか一人で生きていく、あるいは自分が職に就かなくても、だれかが、国が、だれかの税金か親か、だれかの汗か努力でともかく生きておられる社会になってきましたので、最低限一番小さな集団である家族自分、あるいは今おっしゃったように自分と会社、自分地域社会自分と国、こういうものに対する個と集団との関係が非常に昔と違って希薄になってきている。これがまず一番目にありますね。  それから、やはりこれだけメディア、電波その他が発達してきますと、いろいろな情報が安易に入ってきます、子供にも。その情報他人を傷付ける行為だとかをゲーム感覚でやったり面白く報道したりする、これも一つ影響がありますね。それから、少子化核家族化が起こってまいりますから、子供からいうと、地域社会あるいは友達との中での生き方、身の処し方、こういうものに対する人間関係能力が落ちてきていると。それから、この前からのいろいろな事件を見ると、やはり精神鑑定が必要だということを必ず加害者側の弁護士が言っておりますね。これは、これだけ社会が忙しくなって、これだけ多様なところに注意を払わないといけないという常時緊張感を持っていると、近代社会に特有なこととして、原始社会に比べるとはるかに人間精神的疾患は増えてくると。  こういうものがもうすべてない交ぜになって起こってきている現象ですから、教育分野では、改正教育基本法を受けて、先生が今おっしゃった宗教的な本来大切な、いわゆる宗教が持っている命の大切さ、自分が大自然に対していかに小さなものであるかという謙虚さ、こういうものを教えるとか、家族が大切であるというようなこととかみんな書いてあります。  しかし、これだけではやはり問題はすべて解決するわけではありません。よく言われるように、教育の原点はやはり家庭にあるわけでして、家庭集団である地域社会にありまして、学校は本来、これだけ社会が豊かになる前は、むしろどちらかというと知識を教える場であったわけですが、今はしつけと生きる知恵まで教師に期待をされる状況になっておりますので、もう少し社会全体の骨太な改革をしていくという中でこのことを考えていく、むしろそういう議論を私は再生会議に期待したいなと思っていたんですが、教育現場でやれることは先生の今の御示唆に従って全力を挙げて私どもはやる決意でございますが、そういう背景があるということはひとつ御理解をいただきたいと思います。
  12. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 何点かにわたりまして大変示唆に富んだといいますか、傾聴に値する御意見をいただきました。もっともっと直接意見やり取りをしながら勉強させていただかなきゃいかぬなということをつくづく思うわけでありますが。  何もすべてが学校責任でも、すべてが教育責任でもないということは分かるわけでありますが、私はやはり、こういう本当に何とも情けない状況になった非常に大きなやっぱり教育責任を負わなければならぬと思うわけで、自分自身も何年かにわたりまして学校教員をしていたわけでありますけれども、果たして自分が教えた子供たちに本当に十分なことができたのだろうか、彼らに夢や希望を与えられるような教育実践ができたのだろうか、いろいろ考えてみたときに、極めて不十分であったなという反省がありますし、自分も本当に人のことを責められない、まず自分反省することが大切かなと思ったりするわけであります。  同時に、私は僧侶であります、宗教家であるわけでありまして、こんなに心が混迷した時代になぜもっと宗教界から発言がないのかな、もう少し、お坊さんも神主さんもキリスト教の神父さんももうちょっと頑張っていただいたらいいのではないのかなと、こういう気持ちがするわけでありまして、これについても、自分自身本当に、本来の仕事があるにもかかわらずこうして自分の別の仕事をしておるようなことでありますから、これも反省をしなきゃいかぬなと。  教育者宗教者、随分反省をしなければならぬことがあるなと思うわけでありますが、しかし、それじゃこれまでの中で、今言われましたように、教育者宗教者責任ということを言うわけでありますけれども、それじゃ本当に、学校先生もっと頑張れよと、しっかり応援してやるぞと、そういうような政治があったかどうか。あるいはお寺さんが、あるいは神社が、あるいは教会が、もっともっと頑張ってくださいよと、日本人の心の健全な発展のためにもっともっと頑張ってくださいよというような応援のメッセージが政治の側からあっただろうかと、こういうふうに考えたときに、どうもやっぱり教育とか宗教に対する政治の側からの応援というのは少なかったように思うわけで、その意味では政治責任は極めて重いと、こういうふうに思うわけであります。  そうすると、私は教師しまして、坊さんしていて、政治家になっておるわけでありますから、自分ほど罪の深い者はないなと、こういうような思いをしまして、まあ、だからそういうところに自分存在価値があるのかなというようなことも開き直って思ったりもしているわけでありますが。  こういうような状況に立ち至ってしまった政治責任ということについてどのような御見解をお持ちか、是非お聞かせをいただきたいと思います。
  13. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 先ほど来るる私が申し上げましたことは、やはり政治というか国民意識の上に、国民の多数を持った政治というものがやはり取り組まねばならなかった多くの構造的な問題を含んでいるということは先生のおっしゃるとおりです。  宗教は、宗教に対してどういう援助と、これは先生、率直に言って、現行憲法下ではそれは難しゅうございます。しかし、宗教に対する尊敬を持つような雰囲気が日本社会にだんだん薄れてきているということは確かですね。それから同時に、外国のように宗教日本政治日本生活を直接コントロールしていないからこそ、日本は、率直に言うと宗教間の対立の戦争というものが、一向一揆のようなものは別にして、ほとんどなかったということもあります。  ですから、むしろ教師に対して、あるいは教育に対して政治がどのような対応をしてきたかということについては、これは先生の御指摘を我々政治家はすべて甘んじてやっぱり受けなければいけないでしょうね。  であるからこそ、民間の金のやり取り、価格を中心としたサービスのやり取りで処理できないこと、つまり教育分野再生安倍総理はやはり最優先の課題と考えたというのは、私は政治家として安倍さんの、もちろん政治理念によっていろいろ違いますよ、違うけれども、私は安倍さんのやはり見識であったと思いますし、せっかくの機運が盛り上がってチャンスが出てきたこのときに、今先生がおっしゃったように、与野党で英知を絞って、日本の将来のためになすべきことをやはりなすチャンスでもあるというふうに受け止めております。
  14. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 伊吹大臣の強力な指導力をもって今のお話是非形にしていただきたいというふうに思うわけであります。  教育再生が求められているわけであります。その第一歩として、まず教育基本法を新しく作るということを終えたわけであります。今三つ学校教育法、あるいは教員免許、あるいは教育委員会、この三つ法案について、要するに教育基本法改正の次の第二弾として、教育再生議論の第二弾として今審議がされているわけであります。  私は、第二弾がこれでいいのかなという気持ちがないことはないわけでありまして、先ほど来繰り返していますけれども、日本人の今の状況を考えたときに、もっとやらなければならないことがあるのかなと思ったりもするわけでありますけれども、教育再生というものの願いを受けて第二弾としてこの三つ法案が提出をされた、そのねらいといったものについてお伺いをしたいと思います。
  15. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) もうこれは先生よく御承知のように、改正基本法を通していただきましたが、六十年ぶりの新しい教育の理念法が通ったということだけであって、これを実現していくためには、法改正と、それから何よりも予算と、それから文部科学省と、私を含めてですね、そしてここに集まっていただいている特に教育に熱心な先生方も含めて、学校現場の校長先生、そして生徒と向き合っている教師先生に至るまで、新しい気持ちでこの教育再生に取り組むということで初めて実現できるわけです。  ですから、道のりはまだまだ遠うございますが、取りあえず、取りあえずですね、初等教育において緊急にやらねばならないこと、つまり教える内容、そして学校現場の組織整備、そしてその現場で働いていただいている先生方の資質の磨き上げ、そしてそれを全体として管理している教育行政の責任の所在、これだけを今回三法案でお願いしているわけです。これがすべてじゃございません。先ほど来申し上げているもろもろのことをみんな併せてやらないとできませんので、緊急に必要なことを取りあえず国会で授権していただきたいというお願いをしたと御理解いただきたいと思います。
  16. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 いずれにしても、教育再生というか、私は日本人が美しい心を失ってしまったというふうに思うわけで、そういう意味からの教育再生というものを願うわけでありますので、もちろん今の御趣旨はよく分かるわけでありますけれども、やはり第三、第四、第五の措置というものが速やかに打たれるということが大変必要だというふうに思うわけであります。特に、具体的な学校での教育内容を定める指導要領といったもの、これについても新しい指導要領の全貌というものが一日も早く明らかになることも私は大切だと思ったりもするわけでありまして、いずれにしましても、次の手、その次の手ができるだけ速やかに打たれることを心からお願いを申し上げておきたいと思います。  それで、ちょっと具体的な話になりますが、今回の教員免許の方の関係にかかわりまして、いわゆる更新制等のことについてあれこれ細かな質問をさせていただきたいと思いますが、いわゆる問題教師指導力不足とかいろんなものがあるのかと思いますけれども、大体およそ過去十年ぐらいにいわゆる問題教師であるというような判定を残念ながら受けられた教員の数はどういうような変化をしているのか、また、その傾向というのは今の段階で増加の傾向にあるのか、あるいは幸い減少の傾向にあるのか、そういったことも含めて御答弁をお願いをしたいと思いますし、問題教師といっても様々な事例があるんだろうとは思うわけでありますけれども、そういういわゆる問題教師として判定をされる先生方には何か共通するような傾向といったものが認められるのかどうか。そういうことが分かると、やはりそういう人間をつくらないという、そういう教師をつくらない、あるいはそういう教師を採用しないというようなことにもつながっていくわけでありますから、是非共通して認められるような傾向があるのかどうかについても併せて御答弁をいただければ有り難いと思います。
  17. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 文部科学省では、平成十二年度から指導力不足教員の人事管理システムの構築、運用に係る調査研究事業を実施をしております。各都道府県、指定都市の教育委員会において、順次こういった指導力不足教員の認定が行われているところでございます。  この平成十二年度以降の具体の認定者数でございますけれども、平成十二年度は五の教育委員会で六十五名でございました。それが順次増えてまいりまして、平成十六年度で五百六十六名、これは五十八の教育委員会で認定を行っております。それから、平成十七年度は六十一の教育委員会で五百六名という認定を行っているところでございます。これらの先生の中には、その後の研修によりまして現場復帰をされた方もおりますし、退職あるいは分限免職等になった方もいるということでございます。  十六年度五百六十六名から十七年度五百六名に減少しておりますのは、これまでの取組で、今申し上げましたように職場復帰を果たした方とか退職した方などが出ておりまして、一定程度の対応が進められてきたこと、指導力向上のための校内研修が整備をされまして、学校段階で早期に適切な対応が進められているといったようなことが考えられるところでございます。  それから、これまで指導が不適切、指導力不足と認定された教員状況でございますけれども、お一人お一人異なるものがあると考えられるわけでございますが、認定を行っている都道府県、指定都市の教育委員会に確認をいたしましたところ、一般的に大きく三点挙げられるんではないかということでございました。  一つは、コミュニケーション能力が不足をしておりまして、児童生徒との適切な関係を築くことができない場合があると。二つは、御自分の教え方や考え方に固執をいたしまして、校長先生などの指導や助言を素直に受け入れることができないケースがあると。三点目には、教科に関する知識指導力について、自分状況というものを客観的に認識することができないといったような傾向が見られるということでございました。  また、こうした状態に陥った背景については、四十代、五十代のベテランの先生でも指導力不足の認定を受ける方がいらっしゃるわけでございますけれども、これまで余り問題を指摘されることがなかったり、新しい教育課題や指導方法に対する研修意欲が足りなかったり、研修が十分でなかったりするといったようなことがあるといったようなことがあるようでございます。それから、若い先生につきましては、人間関係を構築する機会や社会経験等が乏しいということから、児童生徒との適切な関係を築けなかったり、あるいは保護者対応等にいろいろ課題があったといったようなことがあるというふうに教育委員会の方からは聞いているところでございます。
  18. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 今、共通する傾向として三点ですか、おっしゃっていただいて、一つはコミュニケーション能力が不足、一つは教え方、考え方に、要するにわがままというのか頑固というのか、それからもう一つ自分自身をしっかり見詰めることができない、自分の、どういうんですか、教科内容の知識とか指導力について自分自身で自己評価というものが十分できないという、そういう三つの傾向が挙げられたわけですけれども、こんな簡単なことは私は採用の段階で分かるんじゃないのかなと思うんですけれどもね。少し何かこう、ちょっとその採用試験というのに寒いものを今の答弁で感じてしまいましたけれども。やっぱり、採用試験そのものを考え直さなきゃならぬのではないのかなということをつくづく思うわけでありますよ。  それと、今もう一つ、四十代から五十代の先生でいわゆる指導力不足が発見をされたというような事例があると。これ、大阪でもそんなことを聞いたことがありますね、その方は現場を去られたというようなことでありましたが。私はあの話を聞いたときに、前も銭谷局長にお尋ねをしたことがあるけれども、例えば五十代で問題教師だ、指導力不足だと認定をされたのは、何も五十代になって突然指導力が足らなくなったんじゃなくて、元々から指導力がないわけでありますから、二十二歳で教壇に立っておったとすれば、二十八年間そのままずっと先生をして、五十歳になったときに調査をしてみたら、あれ、これ指導力が足らぬじゃないかと。そうしたら、二十八年間習った子供たちは、この不幸、だれが責任を取るんやと。前もお聞きしたら、そしたら責任を取る方はいませんというような答弁だった。それはそのとおりなんだろうと思うけれども、それがいかぬわけですわ。だから、責任を問われないから今いい加減にしてしまうというか、何というのかな、物すごく大切なことを大切にしないというようなことが今まで許されてきたわけでありまして、本当に今ちょっとつくづくがっかりしたわけでありますが。  今、その三点おっしゃったわけですけれども、採用試験に問題はないんですか、ちょっと御答弁をいただきたいと思います。
  19. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 教員に質の高い方をお迎えをして授業を行っていただくためには、やはり教員養成、教員採用、それからその後の研修ということがそれぞれやはり充実をしていかなければならないというふうに考えるわけでございます。  お尋ねの採用時につきましても、選考方法の工夫などによりまして質の高い教員の卵をしっかりと見極めることに各県努力をしているわけでございますが、今申し上げましたように、採用後の教職生活において、実際の指導に当たって様々な課題を解決できるように研修やカウンセリング体制の充実等を図っていくということもまた必要なことではないかと思うわけでございます。  そこで、教員の採用選考についてでございますけれども、現在、各都道府県、指定都市の教育委員会におきましては、採用に当たりまして、面接試験の工夫改善、模擬授業や場面指導の実施、受験年齢制限の緩和、社会人経験者を対象とした特別選考など、様々な工夫改善を行っているところでございます。  ただ、やはり採用のときに持っていた教職に対する情熱というものを持続をし、その後経験を積みながら教員生活を送るためには、こういった採用のみならず、その後の研修あるいは先生方に対するいろいろなカウンセリングなどの支援の体制の充実ということも併せて図っていくということが必要でないかなというふうに思うわけでございます。  なお、採用選考につきましては、各県市の取組につきまして、いろんな取組事例について私ども毎年事例集を作成をいたしまして各県市にお配りをして、それぞれの県市の採用選考の工夫改善にお役立てをいただいているところでございます。
  20. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 ありがとうございました。  お立場上いろいろなことがあっていろいろお答えをいただいたわけですけれども、何かそのお答えの中から、やっぱりしっかり先生を、教員養成というものを、さっきお話ありましたけれども、やっぱり希望を持って、やっぱり教員という職業にあこがれて教員養成大学であるとか、そういう免許の持てるコースに進んでいって、本当に、何というかな、物すごく夢を持っている人たち、そういう人たちのやっぱり養成をきちっとするということが大事で、そして養成をした者をきちっと今度採用の段階でもう一度チェックをして、少なくともさっきの三つのような事例には該当しない人物であるということをしっかり確認をして教育現場に送り出して、そして自主的な研修であるとか強制的な研修であるとかいうものをある程度していただきながら良い先生として育てていくという、この本筋がずどんとあるわけでありますが。  何かどうもお話を聞いておると、この本筋のところが何かいい加減にされて、社会人を採用してどうのこうのとか、何をしてどうのこうのとか、枝道のことが何かあれこれあれこれ議論をされていて、一番大切な王道と言うべき道というようなものが何か、軽視をされているという言い方はそれは失礼ですからいたしませんけれども、何かちょっと寂しいなという気持ちがしないでもありません。済みません。(発言する者あり)そうですね。それは後でやりますから。  今度、更新制が導入されるということで、更新講習三十時間ですか、がされると。で、既に今現場では、初任者研修がある、三年研修がある、六年研修がある、十年研修があると、このような形になっておるわけでありますが、この更新講習、十年に一回ということですから、この十年経験者の研修というものと更新講習との関係についてお尋ねをしますが。  せんだって、水岡先生とのやり取りの中でこのことが議論になったようであります。政府参考人からは、更新講習と十年経験者研修は異なると、それは異なりますわね、そういう説明があったわけでありますが、例えばいじめの問題とか不登校の問題とか、そういった非常に重要で深刻な問題については、これは片っ方は更新で取り上げるけれども、こっちは、十年研修は取り上げないとかそんな問題じゃなくて、やはり研修の都度こういう重要な課題については取り上げるべきではないかというふうに思うわけでありますが。そうすると、更新講習の内容、十年研修の内容というもので内容が重複するということはこれはあり得ることで、絶対ないということは言えないと思うわけでありますが、それについて御見解を伺いたいと思います。  ただ、重複した内容がありますと教員の負担ということも考えなければならぬわけでありますから、この点については負担を軽減するという柔軟な姿勢も必要ではないかと思うわけでありますが、この件につきまして踏み込んだ御答弁をいただきたいと思います。
  21. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 十年研修と免許更新講習の関係についてお尋ねをいただきました。  十年経験者研修は、各教育委員会の裁量によりまして、公立学校の各教員の得意分野づくりを促すための制度として今運用されております。一方、更新講習は、国立、公立、私立すべての教員に基礎的な資質能力を共通的に十年に一度身に付けさせる、そういう制度として構想されておりまして、両者はその目的を異にしているわけでございます。  加えて、十年研は主として教育委員会が実施をするものであるのに対しまして、更新講習は大学が最新の知識、技能を授ける、そういう講習でございます。それから、十年研は採用後十年に達した後の公立学校教員対象であるのに対しまして、更新講習は免許状を取得後十年までの間のみならず、二十年目、三十年目等の国公私立の学校教員すべてが対象になるということでございます。それから、十年研は例えば校外研修は二十日間という長期にわたるものであるのに対して、更新講習は三十時間という短期のものであるといったようなこと。また、十年研は修了認定ということがないわけでございますけれども、更新講習には厳格な修了認定があるといったように、それぞれの実施の仕方は大きく異なっているわけでございます。  ただ、例えばいじめの問題のように教育上の大きな課題についてはそれぞれで取り上げるということはやはりあるかなと思います。ただ、その場合も、同じいじめの問題についても、こういう研修あるいは講習の性格にかんがみて、取上げ方等については異なる視点からの取上げ方ということも考えられるわけでございます。  いずれにいたしましても、例えば更新講習で受講した内容を踏まえまして十年研の内容について一部再検討するといったようなことも今後必要になってくるかと思いまして、更新制の実施状況等も勘案しながら、今後、十年研について、実施内容や時間なども含めまして、その在り方を検討してまいりたいというふうに考えております。
  22. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 私も教員免許を持っているわけでありますが、今はもう全くその免許を使っていないわけでありますから、今度の制度の改革によっていったん失効するのかも分からないと思いますし、失効しなくても、もし万一、今度現場に出ることになるかも分からない、そうすると、当然私は更新講習を受けなきゃならなくなるわけですよね。そのときに、私はやっぱり現場から長い間離れているわけでありますから、今現場が抱えている問題、特にいじめの問題とか不登校の問題なんかについては私も随分知識が足らないわけでありますから、それはそういう、現場に私が仮に復帰するとしたら、復帰するに当たっての更新講習の中でそういったことについてはやっぱりきっちりと教えていただくということは、これは大切なことでありますから、そのような趣旨というか、意図もその更新の内容の中にも反映されるものだろうというふうに了解をするわけであります。  もう時間が余りありませんので、ちょっと持論を述べさせていただいて終わろうかなと思うわけでありますけれども、やはり、もう先ほど先生方からも御意見ありますように、私は更新ということを否定するつもりは全くありませんけれども、やはり養成ということが一番大切なんだというふうに思っています。  自分自身教員養成の大学の出身でありますからなおのこと思い入れが強いところもあるわけでありますけれども、やはりしっかり養成をしておけば、何というのかな、こういう指導力不足というような教師として判定される、そういう悲劇は私は避けられるのではないかというふうに思うわけでありまして、徹底的に教員養成の在り方についてはそろそろ見直しを始めていただきたいというふうに思うわけでありますが、それは野党、民主党さんの案の方では修士を要件とするような、免許の要件としての修士の話もあるわけでありますが、幼稚園の教諭などの大半は今短期大学の出身の方々が占めていらっしゃるという、こういう現実もあります。  実は、私は短期大学の経営側にいた人間でありまして、大体幼児教育関係の学科というのは、まあ表現は悪いですけれども、ドル箱的なところがありまして、非常に今大切なところなわけでありまして、二年間ではあるけれども、すばらしい幼稚園教諭を輩出をしてきたと、そういう思いも持っておるわけでありまして、そういう現実も踏まえていただいたときに、修士レベル云々というのはいささか、より現実からちょっと遠いところにあるんではないのかなと、こういうような思いも、気持ちも持ったところでありますが。  今私は、短期大学のドル箱という、そのことでお金の話をしてしまったわけでありますが、教育を語る上でやっぱり金は本当は言わない方がいいなというふうに思うわけで、なるほど国の財政危機というものは大変厳しいものがあるけれども、それを理由にして教育再生ということが遅れることがあっては決してならぬというふうに思うわけでありまして、私は、しっかり文部科学省の予算というものは獲得をしていただいて、本当にもうたっぷり金があるから頑張れというようなことを大臣の口からおっしゃっていただけるようになればこんなにうれしいことはないなというふうに思うわけであります。  もう一度ぐらい、質問をうかつにすると言うとあれですけれども、また議論させていただくチャンスもあるかと思いますけれども、今日は時間が参りましたのでこの辺で終えさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  23. 神取忍

    ○神取忍君 自由民主党の神取忍です。本日はよろしくお願いします。  冒頭、松岡農林水産大臣の御冥福を心よりお祈り申し上げます。  今回の学校教育法改正案では、義務教育の目標の中に規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うことをうたっております。  そもそも、子供が規律や礼儀作法といった規範意識や公共精神を身に付けるのは、家庭地域社会生活、周囲の大人や子供たち同士の中で自然に育っていくことが理想だと思います。そもそも規範意識というのは、道端で会ったらおはようございます、食事の前にいただきます、終わったらごちそうさま、当たり前のことが原点になっていると思います。そして、それは家庭での日常の生活の中で生まれてこなければいけないと思います。その点について文部大臣はどのような認識に立たれ、教育再生を通じてどのような社会を目指していかれるのか、基本的な見解をお伺いします。
  24. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 基本的には今先生がおっしゃったとおりの私は考えでおります。問題は、再生会議が親学ということを言ったときに御批判があったように、それが一番望ましいことであってもできない人がいるときに、それをどうしてあげるかというのが政策なんですね。だから、政策とお説教は違うわけですから、私は、基本的には家庭でしっかりと教えていただく、そして地域社会も、昔は怖いおじさんがいたり、うるさいおばさんがいたりという中でしつけられてきたわけですから、そういうことが理想だと思います。  しかし、核家族になり、共働きという状況の下でそれがなかなか難しいという人たちもいるわけですから、それを地域ぐるみで例えば包んでいくというために、放課後子どもプランをつくったり、学校現場にも御無理をお願いしているということですから、やはりこれは社会総ぐるみでやらなければなりません。社会総ぐるみでやらなければならない、時代が変わってきたんだということを理由に、子供のしつけだとか、先生がおっしゃった生活習慣としてごく当たり前のことをしっかりと教えない、教えられるのに教えてくれない親にはそれなりのやはりこちらは注意をするということはあったって構わないと思うんですよね。だけど、やりたいけれどもやれない人に強制をするということは、労働基準法の問題その他をむしろ改正してあげて、やれる状況をつくってあげるということをやはり政治家は考えなければいけないと思います。
  25. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。  私は、中学のときに柔道を始めました。そのときにいろいろな礼節、規律、そういったものを学びました。私は、経験から、その礼節や規律、そういった相手を思いやる精神から生まれるものだと私は思っております。じゃ、逆に言えば、その思いやりは、思いやりのない規律、礼儀作法、それは全くそういったものは学べないと思います。  じゃ、その思いやりはどこから出てくるのか、それは自分は強さから出ると思います。しかし、その強さというのはなかなか、今、相手を倒すことだとか、どうしても強さというと野蛮なことにつながってしまいます。そういう強さではなく、自分自身の困難に打ちかつ強さとか、たくましく生きるとか、そういう強さを学ばなければそういった規範意識は生まれないと思います。なので、私は、その強さの大事さ、その強さから思いやりが生まれる、思いやりから規範意識は生まれてくると思います。そして、その規範意識はスポーツから生まれてくると思うんですけれども、その中で伊吹大臣はどのようにお感じになられるか、お伺いします。
  26. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 私は、実は地元の選挙区のスポーツ少年団というところの最高顧問という役割を仰せ付かっているんですが、野球、サッカー、あるいは柔道、少林寺、卓球、バレー、その他いろいろなことを指導者の人がほとんど無給で教えておられます、休みの日に。  そこで教えていただいていることが、先生が今おっしゃった、自分がどんなにすごい球を投げても一人で野球はできないんだと、レギュラーになっても、補欠の人がいるから一緒に強くなっていけるんだと、そして、勝ちたいけれども、相手が負けるから自分が勝てるんだと、こういうことをみんな教えているわけですね。で、私は地元の自治体に行って、ボランティアといってもそれは限度があるよ、少し何かできないのかと。グラウンド等がないというので、公園の予算をお願いしてグラウンドを造ったわけです。  やはり、そういうことをみんなが意識をしながら、スポーツを通じて、本来御家庭で教えているべきことを今スポーツの指導者が教えてくれているわけですね。それを理解しながら、ボランティアというのはただじゃないんだということだけはみんなで意識をして、お金のことはと先ほど小泉先生がおっしゃいましたが、お金は、お金がなければ生きてはやっぱりいけないんですよ。しかし、お金があったからといって生きている値打ちはないんですね、やっぱり。そのことをよく理解をして、スポーツというものを少しずつ、私はもう少しその教育効果に目を向けた方がいいと思っております。
  27. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。そういったスポーツを生かしていただければうれしく思います。  学校生活や教科の指導を通じて、道徳教育社会体験また自然体験活動など、規範意識が育てられていくことになると思います。しかし、これらの取組は普通の学校であればこれまでも行われてきたと思います。規範意識や公共の精神を身に付けるために、これまでの教育内容について文部科学省としてどのように評価し、これまでどのような点が不十分であったか、御説明願います。
  28. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 学校教育におきましては、これまで道徳教育や体験活動などを通じまして規範意識や公共の精神といった道徳心を育成をしてきたわけでございます。特に、平成十三年に教育改革国民会議の報告を受けまして学校教育法改正をいたしまして、学校教育における社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の充実ということを規定をいたしまして、小中高等学校を通じましてこういった体験活動の充実ということは近年図られ、一定の成果は上げていると認識をいたしております。ただ、小学生の暴力行為が増えているとか、いじめ自殺の問題などの課題があるのも事実でございますし、現在の子供について、決まりを守るといったことに関して意識が低いという意識調査の結果もございます。  そういったことを考えますと、学校におけるこれまでの指導について申し上げれば、課題として、やはり中心となる道徳の時間の指導が形式化していて実効が上がっているのかどうかということや、それから、学年が上がるにつれてこの道徳の時間の指導子供たちの役に立つという意識は低くなってきておりますので、こういった発達に即した指導が行われるように改善をする必要があるのではないか、それから、いけないことはいけないんだといったような指導の徹底といったようなことが必ずしも十分でなかったんではないかといったような点がこれから課題として考えていかなければならないこととしてあるのかなと思っております。
  29. 神取忍

    ○神取忍君 不十分な点は早急に手を付けていただきたいと思います。  学校での学習内容については学習指導要領で定められることになりましたが、現在、中教審において学習指導要領見直しについて議論が進められていると聞きました。規範意識などを育てる教育について、これまでの中教審の審議ではどのような問題点が指摘され、改善すべき方向を示しているのか、お伺いします。
  30. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 現在、中央教育審議会におきまして学習指導要領全体の見直し審議している中で、道徳教育についても様々御審議をいただいているところでございます。  その中で、今後、改善の方向性としては、先ほど申し上げました課題等を踏まえまして、今議論されている内容としては、第一に、小学校の低学年、それから高学年、そして中学校高等学校という子供たちの発達の状況に応じて指導内容の重点化ということを図っていきたいというのが一点でございます。  それから、二点目としては、例えば小学校集団宿泊活動、中学校で職場体験活動といった具合に、その道徳性の育成にも資する体験活動の推進ということを今後更に考えていく必要があるのではないかというのが議論されております。  それから、三点目といたしまして、道徳の時間以外の例えば社会科とか特別活動、これは学校行事とかいろいろございますけれども、こういった各教科や様々な学校教育活動の中で、道徳性の育成ということについて更に考えて指導配慮していくということが必要ではないかということが言われております。  そして、最後に四点目でございますが、学校はもちろん道徳教育充実に取り組むわけでございますが、家庭地域社会との連携、こういったことを進めていく必要があるといったことが議論をされているところでございます。
  31. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。  規範意識とは何かという問題について、伊吹大臣は衆議院特別委員会における答弁で、人間として生きていく上での最低限のマナーを身に付けることと答弁されました。先ほども申し上げたように、社会状況が変化したからといって、生きていく上での最低限のマナーを身に付けさせることを学校ですべてできるわけではないと私は思っています。そのようなことを学校にばかり求めるのは私は賛成できません。  しかし、家庭地域との連係プレーをしながら学校にもある程度の役割を求めているのであれば、現在の教育再生の取組の中で具体的な方策をしながら進めていく必要があるのではないかと思っています。例えば、道徳教育について、授業の進め方やどのような教材を使用するかによって様々な意見があったと聞いています。  今回の法改正の理念を実現するまでに、これまでより具体的な内容などを学習指導要領に示すことについて、文科省の認識をお伺いします。
  32. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 先ほど、道徳教育についての中教審の議論の方向について御説明をさせていただきました。その中で、小学校低学年、高学年、中学校、高校といった具合に子供の発達の段階に応じて指導の重点化を図っていくという議論があるということをお話を申し上げました。  その点に関連して少しお話しさせていただきますと、この指導要領議論の中で、例えば小学校の低学年では、幼児期からの教育との接続に配慮しながら、基本的な生活習慣、善悪の判断、決まりを守るなど日常生活学習の基盤となる道徳性の指導、これを重視をして促進をしていってはどうかと。高学年では、多様な体験活動を生かしながら、自分と他者との人間関係社会とのかかわりに目を向けて、夢や希望を持って生きることの指導を促進をすると。中学校以上になりますと、人間としての生き方についての自覚を深める指導、法や社会とのかかわりなどに目を向ける指導、人物から生き方や人生訓を学んだり討論したりするなど、多様な学習を促進をするといったようなことが議論されております。そういう方向で更に議論を深めていきたいと思っております。  それから、もう一つ道徳の授業で使う教材でございますけれども、一般には文部科学省で作成をいたしました心のノートという教材がございます。これが使われているわけでございますが、それに加えまして、教育委員会や民間会社による副読本、それからビデオ等の視聴覚教材などを用いて実際の道徳の時間の授業は行われております。さらには、地域の方のお話をお聞きをする機会を設けるなど、教材の有効活用や地域の人材の活用といったようなことにつきましても議論をされているところでございます。  こういった内容の重点化、それから指導方法の工夫、こういったことを基本にしながら、更に私ども議論を進めてまいりたいと思っているところでございます。
  33. 神取忍

    ○神取忍君 議論だけではなく、実現に向けて素早く行動していただきたいと思います。  先ほどもお話ししましたが、私は経験を踏まえて申すならば、やっぱり子供が規律や礼儀作法を身に付ける上で、スポーツ、特に競技としてのスポーツに取り組むことは大変有効であると思います。スポーツはルールに基づいて行われるものです。そして、必要な体力、技術を身に付ける一定の指導を受けるものです。そして、少子化生活環境が変化している現状で、学校教育の中に競技スポーツを取り入れ実践していくことは大変難しいとは思います。しかし、様々な場面で子供がスポーツに取り組むことのできる環境をつくっていく必要性を私は痛感しています。  是非、教育、スポーツにかかわる政策を実行する文科省において有効な政策を打ち出していただきたいと思いますが、伊吹大臣のお考えをお伺いします。
  34. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) これは先生、どこの小学校にも運動場というのはありますよね。ほとんどの小学校にはこのごろプールも設置をされておりますので、体育の授業はもちろんやっているわけですが、それ以外に運動部活動というものがやっぱり大切なんで、部活動を手伝ってくださる先生への、特に休日に、先般もここで議論が出ましたけれども、本当に限定された手当しか出ていない、こういうところを少しずつやっぱり改善をしていかないと私はいけないと思うんですね。お金は随分要るわけですが、国民理解を受けてやっていく。それと同時に、学校外においても御家族やあるいは地域ぐるみでスポーツに参加できるような環境をつくらねばならない。そのためには施設が要りますね。総合型地域スポーツクラブというものを今つくるということで文科省は頑張っているわけですけれども、そういうことをやっていくんだと。  私は実は個人的にはずっと今もテニスを続けているんですけれども、やはり学生のとき運動部で教えられたこと、つらかったことというのは今になって役に立つことは随分ございます。一番印象的だったのは、英国にパブリックスクールという、日本でいえばエリートのような中学校高等学校があります。そこにラグビーという高等学校がありまして、ここで初めて始まった競技が今のラグビーフットボールですね。そこでトライをしたときに審判がトライと認めてくれなかった。その生徒はそのまま黙って引っ込んだわけですが、第一次世界大戦で死ぬ間際に、あのとき私は必ずゴールラインの向こうに球を置いたと言って死んだという話があるんですよ。  だから、これは規律を守ることの大切さというものの一つのやっぱり私は教えだと思いますので、スポーツというものは、体力の向上だけじゃなくて、先生がおっしゃっている多様な役割を持っているということを理解をしてこれに当たりたいと思います。
  35. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。  今、先ほど大臣が言われたように、スポーツ振興計画でも、具体的な政策の一つとして我が国固有の文化としての武道に親しむための場所の整備充実が挙げられています。子供が武道を学ぶこと、礼儀作法を習得することは本当に必要なことだと思います。私も、先ほども経験からと言っているんですけれども、礼に始まり礼に終わる、その間というのは本当に身勝手な行動とか振る舞いは許されない、そういったことでしっかりと身に付けていくことは重要なことだと思います。  昨年の教育基本法審議においても、伊吹大臣は、武士道、商人道などを例に、日本の規範として大事なものは道であると答弁しておられます。武道はもちろんその一つであり、それを学校教育に活用することは、体力の向上伝統文化理解、規範意識の育成のために有効な手だての一つであると思います。その辺の伊吹大臣のお考えをお伺いいたします。
  36. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 日本の古来の武道は道という字が付いておりますから、これは、池坊副大臣の華道もそうですし、お茶の茶道もそうなんですが、やはり道というのは、一つのやはり、何というんでしょうか、礼儀とか作法とか、そこに流れる立派な精神的なものをやはり含んでいるからこそ道というものが付いているわけですね。柔じゃなくて、やっぱり柔道なんですね。  ですから、その道を、それをやれば、スポーツの側面と同時に道を究めるというか、道を教えてもらうという側面があります。正式な教科の体育の時間にどれを取るかというのは、これは学校現場の先生の得意、不得意があるでしょうけれども、課外活動としての運動部活動とか、あるいはそのための施設の整備とか、柔道であれば体育館の中の畳をつくっておくとか、そういうことはできるだけ私たちも、地方の教育委員会がおやりになることについて援助できる部分は援助していきたいと思っております。
  37. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。よろしくお願いします。  では、これまで義務教育における規範意識について伺ってまいりましたが、先日、日本学生野球憲章に反して四百校近い高校で野球部員の特待生制度が設けられていたことが日本高校野球連盟の調査で判明しました。この調査によって、非常に残念ながら、規範意識がつくられるはずのスポーツの場でルール違反が長年まかり通っていたことが明らかになりました。  この特待生問題は、子供たちだけではなく、高校野球を取り巻く大人の規範意識が欠如した結果だと思います。学校教育法改正案に盛り込まれた規範意識をどのように学校教育の中で今後教えていくかについては先ほど確認させていただきましたが、我々本当に大人の中でもそういった規範意識を身に付けなければならない現実がまだまだあるようです。  最初に、高校野球の特待生問題について文部科学省として把握しておられる事実関係を御説明願います。
  38. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおり、日本高野連は、先般、一部の学校におきまして日本学生野球憲章で禁じられております野球に関する特待生制度を設けていた事実が判明したことを受けまして、四月に日本高野連が加盟校に対する調査を行ったところでございます。  結果として、委員御指摘のとおり、三百七十六校において憲章違反に当たる特待生制度を設けていたことが判明したわけでありまして、日本高野連は、当該校に対する措置といたしまして、特待生制度の解消、顧問の謹慎、当該生徒の五月中の対外試合禁止を求めたところでございます。  しかしながら、特待生制度の解消によりまして、退学者等、特待制度を受けております野球部の部員等が退学のおそれがあるということで、日本高野連としても、そのような事態は本意ではないとして、五月の十日に生徒等に対する緩和措置を決定したところでございます。  五月十一日には、伊吹文部科学大臣日本高野連の脇村会長とお会いをさせていただきまして、特待生制度を利用して全国の中学校から選手を勧誘することは適切ではないが、他のスポーツ特待生制度が認められている中、野球だけが禁止されているのはやや現実離れしているのではないかと指摘するとともに、これまで特待生であった生徒に心配を掛けないような対応を高野連に要請をしたところでございます。  こうした状況を踏まえまして、五月二十四日には、日本高野連におきまして、私立学校関係者によります特待生問題私学検討部会を高野連の中に設けまして、特待生制度に関する新しい基準作りを始めたというのが現段階における状況でございます。
  39. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。  伊吹大臣が五月七日の衆議院教育再生に関する特別委員会で、制度を知らなかった少年が被害者になることは避けるというのが特に教育に携わる大人の責任であろうと答弁されていました。この点については、特待生を打ち切られた野球部員が経済的な理由から退学や転校に追い込まれそうな場合、学校側の裁量で新たな奨学金制度を設け、それを利用することを暫定的に認めるということで、おおむね大臣のお考えに沿うものだと思います。  ここで、先ほど手元にお配りした資料をごらんいただきたいんですけれども、問題になっている高野連の日本学生野球憲章の第十三条を見てみると、そこには二つの条項があります。第一項、選手又は部員は、いかなる名義によるものであっても、ほかから選手又は部員であることを理由として支給され又は貸与されると認められる学費、生活費その他の金品を受け取ることができないというものです。これが根拠となって今回の特待生問題が指摘されたわけです。  そして、第二項です。選手又は部員は、いかなる名義によるものであっても、職業野球団その他のものから、これらとの入団、雇用その他の契約により、又はその締結を条件として契約金、若しくはこれに準ずるものの前渡し、その他の金品の支給、若しくは貸与を受け、又はその他の利益を受けることができないというものです。先日のプロ野球の裏金問題もこの状況によって厳しく罰せられたわけです。  そこで、全国高等学校体育連盟の競技者及び指導者規程、競技者の禁止事項の第四条を見てみると、大会参加により授与される賞金、高価な商品を受領すること、企業等から入社契約若しくはこれに準ずるものの前渡しや金品の支給、貸与等の物質的利益を受けること、各種大会に参加するための旅費その他の経費を当該校関係又は大会主催者以外から受領することを禁止しています。これは日本学生野球憲章の第十三条の第二項にほぼ対応するものです。  しかし、第一項の、ほかからの選手又は部員であることを理由にして支給され又は貸与されると認められる学費、生活費その他の金品を受けることを禁止する条項は、全国高体連の第四条には存在せず、スポーツ特待生を容認していることが分かります。つまり、野球以外のほかのスポーツでは特待制度は広く存在し、アマチュアスポーツの振興に一役買いながら機能していることがうかがわれます。  確かに、特待制度を認めることによって野球留学やブローカーの暗躍に拍車が掛かるという高野連の懸念には一理あると思いますが、しかし今日に至るまで、野球に限らず多くのスポーツで特待生制度は現実として多くの高校生が採用し、その事実は多くの人が認識していたはずです。  日本学生野球憲章が高野連の定める内部的のルールであることを承知しており、しかし特待生制度が生徒の就学を左右する問題であり野球を除くほかのスポーツで特待制度を認めている以上、単なる内部的ルールの話としては見過ごすわけにはいかないと思います。なので、今求められているのは透明性のあるルール作りだと思います。  この野球憲章が制定されるのは今から半世紀以上前になります。また、最後の改正が行われてから三十年近い歳月がたっています。現実に即したルールを、野球だけの問題としてではなく、アマチュアスポーツ全体の問題として考えて適切な対応を取ることが望まれることだと思います。  一般論で結構でございますが、高校野球における特待生制度の禁止について、伊吹大臣の御見解をお聞かせください。
  40. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 特待生制度というのは、単にスポーツにあるだけではございません。成績が非常に、学業成績がいい児童も特待生制度というのはあります。  今先生が非常によくお調べになってお話しになっているように、配付いただいた資料の下の方ですね、この高体連の規約とそれから高野連の規約は明らかに違います。ですから、高体連という一般のスポーツ団体は、野球以外のスポーツ団体はスポーツを対象とする特待生について学業を対象とする特待生と同じように認めているわけですね、高体連の方は、野球以外のスポーツは。そして、高野連の方、野球の方は十三条の一項でそれが認められないという書きぶりになっています。  これは高校野球の団体がお決めになることですから、我々政治の権力を持っている者が介入すべきことではないという前提でお話ししますと、私が春、夏の甲子園の出場者の名簿を見ていますと、当該高校の所在地以外の人がずらりと並んでいますよ、出身地に。私はだから、この問題が起こるまで、高校野球にも当然特待生制度があるから全国からこんなに野球校に集まっているのかなと実は誤解をしておりました。  ですから、問題は幾つかありまして、高野連の方々が、私のような素人でも全国各地から学生が集まっているなということが分かるのがお分かりにならなかったというのは、ちょっと私は解せないというのがまず一点です。問題が発覚したら、自分たちは全く知らなくて、学校と生徒の責任だ、責任だと言うのが本当かなという気持ちは私は若干ありますね、率直に言って。  それから、ですからこの前、脇村会長にお願いしたのは、やはり児童生徒に被害が及ばないようにしてやってくださいと。それから、先ほど参考人が申しましたように、一般スポーツ競技で高校生に認められていることなら、野球においてもある程度認めるようにしてあげたらどうなんですかと、これは私の要請ですと。  しかし、三番目に大切なことは、全国からお金に任せてあるスポーツに特別の才能を持っている生徒を集めて、それでその学校の名前を上げようというのは本来の教育の趣旨には反するんじゃなかろうかと。これは先生のおっしゃった正に大人の規範意識ということなんです。  具体的に言いますと、私立からはいろいろな御意見が出ていますが、例えば三百人の定数の私立学校があったとしましょう。そのうち、スポーツ関係で全国から集めている特待生が五十人いたとしますね。そうすると、二百五十人の方の授業料と国民の税金である私学助成費でもって三百人の授業料やその他生活費を賄っていくわけですから、二百五十人の方の負担は大変高くなります。  こういうことをしてまで学校の名前を上げるのは私は余り感心しない。やはり、何人か在学生の中にスポーツに堪能な生徒がいる場合は、学業成績がいい生徒と同じように当然特待生制度を認めてあげるべきですが、正に先生が今御指摘になったように、大人の規範意識が問われている問題なんですよ、これは。子供に私は本来罪はなかったと思います。  だから、高野連にも少し現実的になってもらいたいし、しかし各学校にも、お金に任せて児童生徒を集めて、それで校名を高めて、これは進学校と同じことなんですよね、やっていることは。スポーツか東大に入るかの違いで、校名を売るということと同じことですから。特にこの特待生の特待の内容たるや、授業料の免除以外にいろんなことがあります、具体的なことは申し上げない方がいいと思いますが。これが本当にアマチュア精神に合致しているかどうかということは、やはりこれから大人になっていく子供を預かる教育者が私は考えていただきたいことだと思っております。
  41. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。  子供たちには本当に罪はないと思うので、大人の規範意識を身に付けていきたいと思っております。  これまで、学校教育における規範意識、また、それに関連して特待生問題のルール作りについて質問をさしていただきましたが、次に、子供の健康という観点から、学校における健康教育についてお伺いいたします。  これまで、肥満や糖尿病は成人病と呼ばれてきました。しかし、子供の肥満や糖尿病が増加するにつれ、大人だけの病気と言えなくなってきたのが今日の現状です。これは食生活の欧米化が大きな原因だと考えています。それは、主食である御飯を食べない、高たんぱく質、高脂肪のおかずや味付けの濃いもの、そしてエネルギーの高いファストフードをやっぱり頻繁に食べたり、さらに運動不足が加わると、当然肥満や糖尿病につながると思っています。これは大人の生活習慣が、子供がそれをすっかりまねしているだけだと思います。逆に言えば、そのような生活習慣、すなわち食生活を変えることができれば肥満や糖尿病などの生活習慣病は防げることができるんではないかと私は思っています。  そこで、食育基本法によって国民生活における健全な食生活やバランスの良い栄養摂取が進められるようになってきました。しかし、生活習慣病が子供にまで及んできているため、学校においても、成長期にある子供の食育を充実するために栄養教諭制度がつくられました。  現在、小学校の九九%、中学校の七〇%で完全給食が実施されておりますが、平成十四年九月現在で栄養教諭の全国の配置数は九百七十四人となっています。これは、約一万人の小中学生をたった一人の栄養教諭が食育を指導しているということになります。これでは、せっかく栄養教諭制度がつくられたにもかかわらず、その普及定着には不十分だと言わざるを得ません。  そこで、今回の学校教育法改正案では、子供の健康、食育という観点についてどのように盛り込まれているんでしょうか。食や健康という面では従来の規定もあり、今回の改正案では新たな項目が設定されているようには見受けられません。子供の健康をめぐる近年の状況、食育基本法の成立や学校における食育の充実を求められている現状を考えれば、法律上、新たな規定を置くことで国民の意識を変えていくことも必要ではないかと考えますが、伊吹大臣の認識をお伺いします。
  42. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 先生がおっしゃったとおりの前提で、今回、学校教育法、お願いしております学校教育法の二十一条、義務教育の目標において食育に関する規定を置いております。  これは、具体的に申しますと、家族家庭役割、日常生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養う、これは現在国会に提出しております学校教育法の二十一条の四号でございます。それから、同じく二十一条の八号に健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うことと。  ですから、教育基本法を受けて学校教育法改正をお願いをして、そしてこれを国会でお認めをいただけば、それに従って、その下部の法構成である、告示である学習指導要領を変えていくわけです。その学習指導要領に、高脂肪のものばかり食べればどういうことがあるとか、そういうことも教えますし、給食の場合のその内容だとか何かについてのいろんな配慮なども書き込まれる可能性もございます。  ですから、今後、この学習指導要領の改訂の際に、今申し上げた二十一条の四号、二十一条の八号を前提に、例えば総合学習とか家庭科だとかいうものの中で今先生が御指摘になったことが書き込まれて、教えられていくという手順になっているわけです。
  43. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。  学校給食を取り入れる義務のある小中学校以外での学校においても栄養教諭免許を拡大するということが、幼稚園はともかく、高等学校で給食を行っている場合は少なく、対象者も極めて限られているかと思います。  今回の改正によって、小中学校以外での栄養教諭免許の取得や、どのようにその配置を拡大していくのか、御説明願います。また、教育委員会の事務局で学校給食が適切に行われるための指導を担当する職員も対象ということですが、こうした職員は現在どの程度配置されているのか、日々どのように活動しているのか、御説明ください。
  44. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  栄養教諭の配置は、栄養教諭の免許状を有する者の中から各都道府県の判断により決定される仕組みとなっておるところでございますが、今回の改正によりまして、現在、幼稚園でありますとか高等学校、さらには教育委員会等に勤務する者が栄養教諭免許状授与要件の軽減措置の対象となることから、今後更に栄養教諭免許状取得者が増加し配置が進むものと私どもは期待しているところでございます。  なお、お尋ねの教育委員会の事務局で学校給食の指導を担当する職員の数は、平成十七年五月一日現在の数値が手元にあるわけでございますが、五百八十二名となっておりまして、域内の市町村教育委員会や管下の学校に対しまして、各学校等における食に関する指導実践に対する指導、助言でありますとか、学校給食の栄養管理や衛生管理に対する指導、助言、あるいは栄養教諭、学校栄養職員及び給食調理員などに対する研修の実施などの業務を行っていると承知しているところでございます。
  45. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。  本年初めて優秀教員の表彰が行われておりますが、こういった取組も併せながら、学校における健康教育の専門家である養護教諭、栄養教諭の活躍の場の拡大、また位置付けの向上と処遇の在り方について伊吹大臣のお考えをお伺いして、時間短いですけれども、質問を終わりにさせていただきたいと思います。
  46. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 養護教諭や栄養教諭にかかわらず、先生方がすべて使命感を持ってその仕事を果たしてくださることに対して、私たちはそれは十分お報いをしなければならないと思います。それであって初めて人は生きがいを持って働くわけですから。  ですから、給与の問題もあります。表彰の問題もございます。しかし、何よりも養護教員や栄養教諭に教員数の減のしわが寄っちゃって、結果的にそこが手薄にならないようにしていくということが私の一番の今役割じゃないかなということを考えておりますので、年末の予算編成に向けてひとつ私も微力でございますが努力をしたいと思いますので、与野党通じてひとつ御協力をいただきたいと思います。
  47. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございました。
  48. 狩野安

    委員長狩野安君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十七分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  49. 狩野安

    委員長狩野安君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、北岡秀二君、小泉顕雄君及び広中和歌子君が委員辞任され、その補欠として松村祥史君、小泉昭男君及び櫻井充君が選任されました。     ─────────────
  50. 狩野安

    委員長狩野安君) 休憩前に引き続き、学校教育法等の一部を改正する法律案外六案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  51. 櫻井充

    櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井でございます。  ちょっと、本題に入る前に、政治の在り方について大臣と官房長官の御見解をまずお伺いしておきたいと思いますが、私は今の政治の在り方の中で、僕らは選挙で選ばれている、言わば国民の代表者です。それから、官僚は国家公務員法という規定があって、そこの中で、権利もありますが責任を負っているという、その義務を負っているという立場で仕事をしております。  しかし、最近の、内閣も含めて、この国全体の政治の動き方というのを見ていると、そういう全く義務、責任を負っていないような人たちが言わば自分の勝手な発言を繰り返し、それがあたかも有識者という名前で正しいように報道され、それがいつの間にか国の方針になり、それにちょっと反対すると抵抗勢力だと言われるようなことになっていますが、私はそれはめちゃくちゃおかしいと思っているんですね。  これは、たかが国家行政法八条に定められている審議会ですから、規制改革会議というのは。審議会というのは、それは意見は言えるかもしれないけれど、その後どうなったかということについては、どうするかということについては、これはその所管省庁であるとか国会議員にゆだねられるべきものであるにもかかわらず、規制改革会議の在り方というのは僕はそこから逸脱しているのではないのかなと、そう感じておりますが、お二人はいかがお考えでございましょうか。
  52. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 櫻井先生のかねてからの御主張かと思いますが、まず第一に、国家行政組織法の八条でつくられているものとそうじゃないものと、いろいろ政府内には御意見を聴く場があると思います。  今、公務員ではないというお話でありますけど、八条の、法律に基づいた、あるいは別の法律に基づいてつくられる会議体のメンバーは基本的には非常勤の公務員ということで公務員としての縛りが掛かる、これはまず押さえなければいけないと思っております。一方で、そういう根拠がない、閣議決定とかそういう形で出てくる会議体のメンバーは公務員ではございません。ですから、身分という意味ではそういう差があるということで、その両者が政府の中にいろいろな会議体を通して私どもにいろんな意見を言っているということでございます。  しかし、まず第一に我々達観しなければいけないのは、最終的に物事を決めるのは、あくまでも国権の最高機関は国会であって、最終的に法律となるものが決められるのはこの国会の場でおいて決まるということ、そして内閣提出法律案であれば、政府の中でいろんな形で議論しますけれども、それが決まる道筋というものも当然あるわけでありまして、今お話しの規制改革会議、物によってはもちろん尊重義務というものがあって閣議決定もされるわけでありますが、あくまでもそういった御意見を聴く場として私たちは御意見を聴いているわけであります。  したがって、最後は国権の最高機関たる国会、それもまあ内閣が提出する法律であれば最終的には選挙でこれは責任を取るというのが国会の規律でありますし、民主主義の原点はそこにあるわけでありますので、いろんな形の意見を、一億三千万国民がいればいろんな意見があるわけでありますから、私どもはいろんな意見を聞きながら、その中から取捨選択をしながら政府の中で決め、そして与党と相談をした上で法律に仕上げ、あるいはまた予算にして国会にお出しをして国会でお決めをいただくと、こういうことになっているわけでございますので、今先生規制改革会議に特に御指摘をいただいておりますけれども、──ええ、分かっておりますが、仕組みというのはそういうことでありまして、何らいろんな意見を聴くこと自体はおかしなことではないだろうというふうに思っております。
  53. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) まず最初に、委員長、理事、そして質問者の櫻井先生に、ちょっと外交案件があってなかなか相手の方お帰りになられませんので、四、五分遅参をいたしましたことをおわびを申し上げます。  今の御質問については、官房長官が答えましたことが憲法上の仕組みとして私はそのとおりだと思います。ですから、私も例えば税制を長くやっておりましたけれども、政府税制調査会の言ったとおりのことは私は与党ではやらなかったと思います。そのやらなかったことが法案化されて、最終的に国会へ出てきているわけなんです。  ですから、規制改革会議であれその他の会議であれ、いろいろな御意見をおっしゃるのは私は自由だと思いますが、その意見に反対をしたらどうだとかこうだとかという烙印を張るということは、これはもうマスコミを含め我々すべてが心しなければならないことだと思います。  ですから、再生会議でもおっしゃったとおりの精神は私は大切にして法案作りをしましたけれども、御提案になっているような仕組みで法案を作ってここへ出しているわけじゃございません。ですから、やはり議院内閣制の下で、選ばれた者が内閣としてどのようにそれを、提言や意見を料理をするか、そしてそれを最終的にどのようにして国会にお出しし国会審議にゆだねるか、正にそこのところは政治家として、あるいは内閣の一員としての力量も問われるところだと思いますし、ともかくラベルを張って批判をするという風潮だけは勘弁していただきたいなというのが私の率直な気持ちでございます。
  54. 櫻井充

    櫻井充君 伊吹大臣が僕はおっしゃったとおりなんだと思うんですよ。それから、塩崎官房長官もおっしゃっていましたが、それは手続上はもうそういうふうになっているけど、実際はそうなってないから私は問題視しているだけの話であって、それがそのように運用されていれば、ほかに大事な質問がありますから今ここで取り上げる必要性は全くございません。  僕は、官房長官の御答弁聞いていて、随分歯切れが悪くなって、私が以前知っていた塩崎衆議院議員とはもう全く違う感じがいたしております。是非、答弁もうちょっと短く、簡潔に、分かりやすくお願いしたいなと、そう思います。  私は、この規制改革会議というところは、ここの規制改革会議のちゃんとこれは組織令で定められているように仕事をされている分には何も申し上げませんが、ここには「経済に関する基本的かつ重要な政策に関する施策を推進する観点から、」と書いてあるのであって、規制改革会議そのもの自体が教育委員会制度にまで言及するというのは僕はおかしな話なんじゃないかなと、そういうふうに思うんですよ。  それから、もう一つは、規制改革会議というところは意見を述べるにとどまって、その後調整しろとか、何をどうやって実現しようとしていくのかとかいうことを述べる場にないところなんだろうと、そういうふうに思っています。  ところが、これは予算委員会でも取り上げましたが、一月の二十六日の今年の金曜日に教育ワーキンググループというまず会合を開きました。これのまず、私は問題点をもう一度整理して申し上げますが、このときのこのメンバーは正式なメンバーではありません。なぜならば、十二月に一応内定はされておりますが、一月の三十一日に規制改革会議のメンバーが閣議決定されておりますから、一月の二十六日というのは、これは規制改革会議のメンバーでもないような人たちが、よく分かりませんが、その人たちが集まって自由討議をされております。しかし、この自由討議が、二月の、その次の十三から十五の間、まあいろいろごたごたがあったようですが、そこの中で、規制改革会議見解だったかと思いますが、そこのたたき台としてもう作られているというところにまず根本的な問題があるんだろうと思うんです。  そこで、そこに何と言っているのかというと、要するに教育再生会議から第一次報告が出されたけど、これっていうのは何か問題があるんじゃないかと。これ事務局がまず、事務局はだれがやっているのか、これはまた調べなきゃいけませんが、私が聞いている範囲では、これは草刈議長のところの方が事務局を務められていたようですけど、この人がそういう問題の提起をしたと。  しかし、ここで考えていただきたいのは、教育再生会議に対してなぜ規制改革会議が一々意見を述べなきゃいけないのかということなんですよ。まして、申し上げておきますが、教育再生会議に白石委員という方がいらっしゃいますが、この人は規制改革会議のメンバーでもあるんですね。同じ人があっちの会議でもこっちの会議でももう適当に発言されて、その声だけが全部反映されたら、いろんな会議を立ち上げたというこれ意味全くありませんからね。  ですから、まずそういう人がやっている中で、もう一つは、草刈議長が最終って、会長が、要するに最後のところでは、総理との見解相違があるとたたかれる可能性もあるから渡辺大臣との会合を持って意見を合わせる必要があると、大臣意見を言わせた上でと、ここまで言わしているんですけど、それをサポートする形が良いのではないかと、福井さんという方が、大臣との意見調整が利けば流れを変えてくれる可能性もあると、まとめた見解大臣経由で総理に訴えて、山谷補佐官へ指示させる流れが良いのではないかと、ここまで言っているわけですよ。  こういうことをやっている人たちがまず有識者なのか、そして、こんなことをやらせておいて本当にいいのかどうかですよ。この人たちが、僕は今の日本政治をゆがめている最大の問題児だと思いますよ。  その意味で、まず委員長にお願いしておきますが、規制改革会議の、規制改革会議の草刈議長と、それから福井委員と、白石委員と、この三人をこの委員会に参考人として招致していただきたいと思います。
  55. 狩野安

    委員長狩野安君) 理事会で協議さしていただきます。
  56. 櫻井充

    櫻井充君 その上で、塩崎官房長官、こういうことをやっているわけです。  もう一度申し上げますが、一月三十一日の閣議決定を経る前からこんなことをやっておいて、自由討議だからいいんだというのは渡辺大臣でしたよ、しかし、それがたたき台になり、規制改革会議の会合が行われる前にメールで持ち回りでやりましたと、これは定められてないルールですからね、言っておきますけど。そして、今の時代メールでやったっていいじゃないか、会議を持たなくたっていいじゃないかと、そういうふうになっていますが、基本的に申し上げれば、規制改革会議の正式な見解として出すためには、これは会議を行わなければいけないことになっているはずですよ。そういうこともしないで、なおかつ、その後に行われた規制改革会議の中で、ほかの委員の、新しく委員になられた方はこの経緯がよく分からないと、当たり前ですよ、メール流されて、いいかって、了承するかって言われているだけですから。それで、補足説明までした上で最終的に了解事項になったのかどうかはよく分かりませんが、こういうことになっているわけですよ。  こういう手続を無視したようなやり方を許していいのかどうかということです。これは国会議員を僕は冒涜していると思いますよ。  要するに、私は自民党の議員の方々と話をすると、良識のある方々は皆、規制改革会議や経済財政諮問会議の在り方はおかしいと皆さんおっしゃいますよ。与党の立場では何とも言えぬと言うから、代わりに私は一緒になって、これは与野党の代弁者として私は言っているつもりですが、これは心の中で拍手を送っている方相当いらっしゃると思いますよ。ですが、こういうことをやらせちゃいけないですよ。  それから、まじめに一生懸命やっている官僚だって、もうばかばかしくてしようがないと思いますよ。こんなことをやっていたら、優秀な人たちが官僚にならなくなったら、この国家はどうなるんですか。官僚がすべて仕切るということもいいとは思いませんが、やはり事務方としてきちんとやってくれる人間を養成しないとどうしようもないわけですよ。  そういう意味で、そういう意味で私はこういうことをやらせておいちゃいけないと思う。これはちゃんと政治の力で是正する必要性があるし、それこそ政治家の僕は役割だと思いますが、官房長官、いかがですか。
  57. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 先ほどのこの規制改革会議見解というものについては、今メールでというお話がありましたけれども、いずれにしても議長が全委員の了解を取っているというふうに私も聞いております。  ですから、手続的に問題があったという話は私は聞いておりませんが、いずれにしても、先ほど伊吹大臣もおっしゃったように、最終的には内閣責任を持って法案化をする、政策にするということであり、また国会議論してもらうわけですから、それはいろんな意見があって全くおかしくないと思います。そして、手続をきちっと踏んでおればその問題も起きないということでありまして、問題は、最終的にいろんな意見の中で、内閣がどの意見を取って、どういうものを国会にお出しをして御審議をいただくかというところが問題なんであって、規制改革会議が言ったことが何か簡単に内閣の考え方として決まるだけのことはあり得ないわけで、そのままストレートにいくということはあり得ないわけで、我々は内閣責任において連帯して責任を負っているものとして諮っていくわけで、閣議はそのためにあるわけでありますから、その規制改革会議の言ったとおりのことが政策になるかどうかというのは、先ほど伊吹大臣がおっしゃったように、我々が問われるということでありますので、そこのところはきちっとやっているつもりでございます。
  58. 櫻井充

    櫻井充君 今の御答弁は理解いたしました。  問題があります。要するに、彼らがやっていることは、彼らの法律上定められていること以外のことをやっているんではないかと言っているんです。つまり、それは持ち回りで何とかしました、それはもう会議として省略しますと。でも、こんなあしき前例をつくるべきでは本当はありませんよ。  しかし、審議会という性質は一体どうなのかということから考えたときに、大臣にこう言ったらいいんじゃないか、最後は山谷補佐官に言わせたらいいんじゃないかとか、こんなもの、これ八条の審議会でやれる権限ですか。しかも、国家公務員だというお話でしたね、先ほど。これ、国家公務員法にも抵触しませんか、こんなことを言わせておいて。私は、官房長官、そこに問題があると言っているんですよ。ちゃんと制度に定められたとおり、手順を踏んでやっていないと。  それから、規制改革会議は経済の重要事項に関してやると書いてあって、教育委員会まで、これは伊吹大臣、相当苦しく御答弁されておりましたが、以前、これまで経済といったら何でもありですよ、何でも。何でもこの人たちが口を挟めばいいんですか。  さっき、午前中、厚生労働委員会質問してきましたが、私は。ですが、そのときに規制改革会議が何と言ったかというと、今国会に上程されている、まさしく最低賃金のことに対して、最賃なんか引き上げるっておかしいじゃないかって、そんなことまで言うわけですよ。こんなルール無視したような人たちを本当に有識者として呼べるんですか。  もう一度申し上げますが、問題点は二つあって、会議を置くなとは言っておりません。メンバーが悪過ぎる。メンバーが悪過ぎるということが一つと、それからもう一つは、審議会からはみ出したようなやり方をしているということが悪いこと、私はそう思いますが、官房長官、いかがですか。
  59. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 櫻井先生も当然御存じだと思いますが、この規制改革会議内閣府本府の組織令第三十九条に書いてあって、「規制改革会議は、次に掲げる事務をつかさどる。」ということで、今先生、経済だけだというふうにおっしゃっておるわけでございますけれども、これは、「内閣総理大臣の諮問に応じ、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制の在り方の改革に関する基本的事項を総合的に調査審議すること。」というふうになっていて、経済ということに限定しているわけでは決してないわけでございます。  実際、今申し上げた経済社会の構造改革を進める上で必要な規制についていろいろな議論を、医療もあればいろんな社会的規制、そういうことをやってきて、これまで教育委員会についてもこの会議になる前の会議のときにもずっとやってきたことであって、したがって、審議会的なものののりを外しているんじゃないかと、こういうお話でありますけれども、それは少し違うんじゃないかなというふうに思っております。
  60. 櫻井充

    櫻井充君 これは解釈の仕方によっていろいろあると思いますよ。それであれば、経済産業委員会なんというのがあったとしたら、もうこれは全部やればいいんですよ。医療から何から、教育から何からね。経済をそういうふうにとらえるのであれば、全部そこでやればいいじゃないですか。それをなぜ分けるんですか、じゃ。
  61. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 例えば、今、大学・大学院改革というのを安倍内閣としても正面から取り上げております。もちろん、一番のメーンフィールドは、これ中教審であるわけでありますけれども、それ以外にも、教育再生会議もあれば諮問会議もあれば、それから規制改革会議もあれば、あるいはイノベーション21もあれば、あるいは総合科学技術会議もあれば、いろんなところでいろんなそれぞれの与えられた、会議体をつくるときには目的があるわけですから、それに沿った問題意識で一つの例えば大学・大学院改革というものを考えるということをやっているわけであって、それは、それぞれのマンデートの下で一つの問題をいろんなところから光を当ててやっていくというのは全くおかしいことではないと思っています。  最終的には、法律はそれは文科省の所管でありますから、最終的には中教審がまとめて伊吹大臣がお決めになって、それを内閣が連帯責任で決めるかどうかの問題であって、したがって、医療の問題とかあるいは教育の問題を規制改革会議でやってはいけないということは全くないし、諮問会議も経済財政全般にわたって、例えば環境の問題であるとかそういうことを含めて、経済財政に関係するということであれば取り上げるべきものは取り上げていくということであるわけであって、必ずしも先生がおっしゃっているようにおかしいことはないんじゃないかなというふうに思います。
  62. 櫻井充

    櫻井充君 正直がっかりしました。少しは検討してみますとか、実態を調べてみますとか、そのぐらいの御答弁が来るのかなとは思っておりました。そうではなくて、さも一般論でるる答弁されるということを、僕はされると思っておりませんでした。私はきちんと調べて、それで私が調べてこれはこの場で質問させていただいております。官房長官は役人が書いた原稿を読まれて、そしてその上で答弁されていますよね。  実態は、じゃそれはきちんと調べていただきたいですよ。つまり、ああいう発言をされることそのもの自体を許されるのかどうか。福井さんは労働の問題でも、ちょっと今日は資料を置いてきてしまいましたが、様々な問題発言されていますよ。規制改革会議ではありませんが、経済財政諮問会議の八代委員などは、構造改革特区に関して言うと、我々有識者が各省庁と直接交渉できるようにしてやったらどうなんだとか、そういうことまで言っていますよ。こういうことを本当にやらせていいんですか。八代さんという方は、有識者なのかどうか私は分かりませんが、元々役人でしょう。その方が、ある種大学に入っちゃったら、もうそこまで今度は権限持たせるんですか、大学の教授になられたら。  おかしくないですか。私はおかしいと思っています。私はおかしいと思っているけど、今の官房長官のお話ですと、決してそこに対して余り問題意識を持たれていないんだというのが私のこれは認識でございます。  これ以上話をしても、残念ながら大事な質問時間をここで失うというのは極めて私にとっては損失でして、ここは。改めて僕は検討していただきたいなと、そういうふうに思います。  僕は今回の教育三法というのを読ませていただく中で、ちょっとまず分からなかったところがあるんですよ。それは何かというと、どういう教師を求めていこうとしているのか、それからもう一つは、どういう人たちを育てていこうとしているのか、そのことがどうもここの中から読み取れなかったんですが、目標はどういうところに置かれているんでしょうか。
  63. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) まず、どういう子供を育てるかということですが、これだけ国際化が進み、そして通信手段等も発達してきている中で、日本人としてのやはり素養というかアイデンティティーをしっかり持った、安倍流に言えば規範意識を備えたということになるでしょうが、そして世界に伍していけるだけの基礎学力を持った子供を育てたいと。そういう子供を育てていただける教師としての資質としては、やはりこれは職業としての教師ではありますけれども、師という言葉が付いている限りは使命感や誇りを持ち、子供に対する愛情、つまり教職に対する情熱というものをしっかりと持っていただく、それから、学習指導児童生徒を教えるための知識、技能などの教育の専門家としての確かな力量、それから、何よりも子供を包み込んでいける人間性や社会性、コミュニケーション能力、そういうものを備えた先生を是非つくりたいと。  ですから、もちろん立派な人に教師になってもらわにゃいけませんから、待遇の問題もありますし、いったんなってもらった方々の知識、技能のブラッシュアップもありますし、そういうことを今回緊急を要するものとして三つ法案でお願いしているということでございます。
  64. 櫻井充

    櫻井充君 今の中で、まず私めの感想、済みません、生意気ですが述べさせていただきますと、その世界の中に伍していくというときに、基礎学力というのはもちろんこれ大切なことだと思いますが、僕はもう一つ、今、私は月二回診療しておりまして、不登校であるとか引きこもりであるとか拒食症の患者さんたちの治療をしておりますが、そこの中で、学校に行けないとか働けないという人たちは基礎学力のない人たちかというと、必ずしもそうじゃないんですね。優秀な子供たちでも学校に行けなくなる子たちが随分いらっしゃいます。  そうすると、なぜ学校に行けないのか、なぜ社会で働けないのかというと、私が診ている範囲で言うと、自分自身に自信がないという点が一番大きいと、そのように感じております。そうすると、本来であれば、それは家庭教育の中で親が子供を認めるということによって養われるものなのかもしれませんが、現在のその家庭環境の中でいうと、両親がかなり忙しくて子供にそこまで手を掛けることができないとすると、私は、学校でそこの役割を担っていただけないと子供たちというのはなかなか自信を持てないんじゃないのかなと、そう思っております。  この間、地元の中学生が修学旅行に来て、あのとき大臣にもお世話になりましたが、あの子供たちとも話をしてみると、何がやはり一番うれしいかというと、まず親に認めてもらうことなんだと、それから先生に認めてもらうことなんだというふうに本人たちは話をしておりました。そして、そのこと一つ一つの経験が自信となっていって、自分たちが社会でやれるんだということにつながっていくんだろうと思いますが、僕が今診ている患者さんたちに一番欠けているのはそこの自信の部分、それから自分たちが社会の中で認められたことがないという、そういうような経験がないんだというところが実は一番問題なんじゃないかなと、そう思っているんですよ。  その点でいうと、学校先生に僕は求めたいところは、その子供たちのいい点をきちんと認めてあげてほしい、その子たちのいい点を伸ばすような形にしてあげてほしいと、そのことがあって初めて、子供たちだって意欲さえ持てば今度は勉強やスポーツやそういう点に一生懸命頑張っていけるので、まずそのことを本当はその小学校のレベルできちんとやっていくということが大事なんじゃないのかなと、そう思っておりますが、いかがでしょう。
  65. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 私はいつもこの衆議院手帳、私は衆議院議員でございますので衆議院手帳を持っておりますが、これは参議院の先生方も一緒で、後ろにまず日本国憲法が付いていると思います。二十六条には、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」と、そして、「義務教育は、これを無償とする。」云々と、こう書いてあります。そして、同時に、教育を受ける権利を持っているわけですから、ハンディキャップがあろうとなかろうと、その人たちは基本的にはやはり義務教育はきちっと受けられる仕組みをつくっていくというのが、これはもう当然政治責任であります。ただ、財政の事情その他があって一〇〇%満足をいくようにはならないですが、そういう精神の下で義務教育を行うということは、これは当然やらねばなりません。  そして、それを体して、先生方も愛情を持って、先ほど申しましたように、豊かな人間性や総合的な人間力と私は申しましたけれども、そういう子供たちをも包み込んでやっていただきたい、そういう先生に是非なっていただきたい、そういう気持ちでこれからの教師の在り方を私たちも努力をしていきたいと思います。
  66. 櫻井充

    櫻井充君 それはおっしゃるとおりでして、そして、その子供に対してそういう教育をしていかなければいけないんだということも、これ多分同意していただけることなんだろうと思うんですね。  そうすると、義務教育のところに、これは二十一条になりますか、二十一条に十項目ずっと羅列されておりますが、そういう観点のところというのが、無理して読めば読めないわけではないけれど、明確に記載されていないと。  例えば、数学が大事だとか、数学というか数理計算だったかな、何か、そういうことであるとか、例えば数学だろうなと思われるのは、その六号のところに生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこととか、次は理科なのかもしれませんが、生活にかかわる自然現象についてとか、五番のところがこれ国語ですね、読書に親しませと、そういうふうに書いてあるわけですが、個人というものをきちんとした形で芽生えさせるというか、自分がこの社会にとって必要な人間だという、そういう意識を持ってもらうとか、そこら辺のところが極めて大事なんですが、そのこと自体がそこの項目の中に十分書かれていないというところに私は問題があるんじゃないのかなと、そう感じておりますが、いかがでしょうか。
  67. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) これは先生、まず、今先生が御指摘になったような観点から日本国民全体をどういうふうに見るかということは、これは憲法の規定、それから教育基本法の精神、こういうところで大きく読むことであって、教育の目的、第二十一条各号に書かれている、いわゆる義務教育の目標というところに書き込むかどうかというのは、これは立法政策上の私は技術の問題だと思いますけれども、ここに書かれていることはむしろ教える内容のことを書いているわけで、今先生がおっしゃったことは、ハンディキャップを持っている人たちに私は限定する必要はないと思いますよ。一般の、なかなか自分は数学ができないけれども、君、数学ができないけど、ここまでよくできたねと言って自信を持たせるということも、これは教師としての一つの技術でしょうから、それは教える教師のテクニックのようなことで、目的として書くべきことなのかどうかは、ちょっと私は疑問に思います。
  68. 櫻井充

    櫻井充君 それはそれで理解いたしました。  ちょっと私の説明不足なのかもしれませんが、私は、決してそれはそのハンディキャップがある人たちに対してそういうことをしてくれと申し上げているわけでも何でもありません。  私が診療している人たちは成績はどうかというと、むしろ中の上、若しくは上のクラスの人たちの方が多いんですよ。ところが、一生懸命頑張ってはみたもののなかなか認めてもらえないと。私の患者さんで、例えば六年間掛けて高校を卒業した子供さんがいらっしゃいます。自分でハードルを高くして、親から認められるためには国立の医学部へ入らなきゃと思ってやろうと思ったけど、自分能力ではなかなか限界があって、もうあきらめようかなと思っていた中で、御自分、いろいろカウンセリングやりながらハードル下げて、もう勉強する時間もなかったんで専門学校へ行きましたが、でも、そこの専門学校で二年続けて一番ですよ。もう二年生の時点で三年生の、これは臨床検査技師ですけれども、試験をやってみたらもう国家試験通るぐらいまでちゃんと私、成績上がったんですって私に報告してくれるんですね。  本人は、よくできたじゃないかということを褒めたとしても、褒められた経験がないんで、私はそんな能力ありませんとか、私にできるんだろうかと。もうそういうふうに思っているから、これだけ能力がある子でも残念ながら社会の中に出ていくことが今までできなかったということなんですよ。そういう人材が物すごく多いということなんですよ。  それは社会の中で何が問題なのかなと思って、ずっと今現場で見ているところで申し上げると、とにかく認められた経験がないと。だから、自分自身社会の中で本当に存在していいのかどうか分からないと。これは信じられないかもしれませんが、その子がいろいろ自分は何でこうやってきたんだろうということを回顧しながら、あるときに、私がずっと褒め続けて認めてあげてたときに、やっぱり私はだれかに認めてほしかったんだと思うんだと、そういうことをまず言ったんですよ。  でも、しばらく、まだずっと過食が続いたりなんかしているときに、あるときにやっぱり両親から私は生きていていいんだよと言ってほしいと、そういうふうに言われました。そのことを両親お話ししたら、そんなの櫻井さんに言われたから言ったらおかしいでしょうとも言われたけど、でもそれを両親が言ってくれてから実はその子はがらりと変わっていくんですね。  そういう子たちを見ていると、元々の能力がなくて、ハンディキャップがあってとか障害があってとかいう子供たちじゃない子供たちが今そうなってきているところに僕は大きな問題があるんだろうと、そう思っているんです。  ですから、教育の在り方の中で、今回教育基本法の中に家庭教育というのを盛り込まれていったというのは、私はこれ至極当然の流れだと思っておりまして、この部分を否定するわけでも何でもないんですよ。とにかく人間教育の中で何をもう一度やり直さなきゃいけないのかということを、目標を定めて、それなりに目的を定めて、目標かな、やっていくんであったとすれば、僕は今義務教育の中でそこのところをきちんとさえしておいてあげると、本人たちが勉強することに気が付いたときに自分たちできちんとやれると思うんだけど、そこの部分がないから社会に対して自信がなくて、不登校から引きこもりになっていくような人たちがもうやおら増えているという実態ですから、むしろそこのところを改善するということの方が大事なんではないのかなと、私はそう思うんですけどね、いかがですか。
  69. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 今、先生は臨床心理、その他についての御知識が豊富におありになりますから今のような御経験が多いんだと思います。そして、私も国会審議というのを、これうまく答弁して時間を費やしているだけじゃないんですよ。必ず来ております政府参考人の者に言っているのは、今日は櫻井先生が何を言われたか、いいことを言われたか、こういうことはどうだと必ずメモしております。そして、今おっしゃったようなことは、私の理解ではですよ、半分以上やはり教えるテクニックに係ること、父兄の子供に接する態度その他に係ることのように思いますので、学習指導要領にどのようにそれを反映させていくかということだと思います。  ですから、今日の御意見もきっと貴重な御意見としてメモをしておると思いますので、指導要領を作ります際には、また是非御相談に乗っていただきたいと思います。
  70. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。(発言する者あり)ありがとうございます。  どこに書き込むのかということは、じゃ、それは別として、是非その観点をまず入れていただきたいなと、そう思います。  ただ、私の母もかなりきつくて、昔の僕は、多分教育者というのはああいう人なんだろうなと思うんですが、本人は本人で一生懸命育ててくれたと思って感謝しております。ただ、試験で満点取ってこないと怒られるわけですよ、いつもね。それが本当にいいかどうかというところがあって、要するに姿勢の問題なんだと思うんです。つまり、こうだったんですが、できないところをたたいてできるようにして、要するに全体に底上げをしていこうという教育の仕方もあると思いますし、それから、いいところを褒めて、そこを引き上げることによって全体として底上げされていくということもあると思うんですが、今の日本人に対して必要なことというのは僕は後者のやり方なんだろうなと、後者の基本姿勢なんだろうなと、そう思っているんです。  そうすると、学校に行ったときに、この間、たまたま短大の客員教授というのを引き受けておりまして、行った際に、短大の先生方がもう事細かに注意し続けているわけです、子供に対してですね。もういい大人だから、もう少し大人の扱いをしたらどうかなと思うんですが、事細かにもう注意だけし続けていると。そうすると、こういうやり方が本当にいいんだろうかと。つまり、先生になる方々、今、先生の方、教師の方もいらっしゃる前でこういうことを言うのも大変失礼かもしれませんが、やはりどちらかというとすごくまじめな方が多くって、子供たちの数が多いものですから、どうしても駄目なところをたたくということの方が多くて、一人の子を認めると何かほかの子も全部褒めなきゃいけないんじゃないかという話になるのかもしれませんけど、そこの基本姿勢そのもの自体はもう一度考えていただきたいなと。  そして、もう一つは、私は世界と闘っていく人を育てていくというところは、むしろ学問とかそういう内容よりは、それは後から僕は身に付くものだと思っていますから、そういった精神的な問題の方がすごく大きいというふうに感じているんですが、そこの部分がどうも欠落しているんじゃないのかなという感じがしているんです。  この間、法務委員会で少年法についてちょっと質疑さしていただきましたが、その少年法の中でも欠落しているのは何かというと、子供に対して、非行を犯した子供があくまでその加害者であって、被害者だという観点に立っていない。そして、その子たちの精神的なケアができ上がらない。家族関係がどうだったのか、親とのカウンセリングをやっていこうというのが大体世界の潮流になってくる中で、そういう視点がないという、そういったところにすごく僕はいろんな問題をはらんできていると思っていて、最後はやっぱりどこに行き着くんだろうということになると、教育の場に行き着くんですよね。ですから、その教育の場のところで、子供たちにちゃんと自信を付けさせて、自分たちがこういう中で生きていていいんだよということを教えてあげることの方がよほど重要なんではないのかなと、そう思っております。  いずれにしても、法文上ではないということであれば、是非その精神を中心に僕は据えていただきたいなと、そう思っておりますので、御検討いただきたいと思います。
  71. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 先生が今御指摘になった視点は教師として常に持っていなければならない一面であるということは、私は同意をいたします。ですから、そういう面を忘れてはならないということを必ずテークノートさせていただきたいと思いますが。  今先生がおっしゃったことは、多分、自民党も幅広い政党ですからいろんな価値観の方がおられると思いますし、御党はもっと広いんじゃないかと思いますが、結局、政治家が持っている、あるいは一般の方が持っておられるある意味での政治理念によるところが、大変重点の置き方が違ってくると思います。多分、私は、教育を預かっておりますから、両方の中間ぐらいに視点を置いてやっていかにゃいかぬということを常に自戒してやっているんですが、社会のために、日本のために、家族のために役に立つ人間をつくっていくのか、個としての充実をした人間をつくっていくのか、どちらに重点を置いて教育をやっていくのかというのは、これは大変議論のかねてからあるところなんですよ。多分、私は、真理は両方の真ん中辺りにあると思います。  ですから、民主党の提案者であった藤村先生と衆議院で議論をしたときも、個として充実した人間をつくっていくのが教育の目的であるという考えをお述べになって、それはそれで私は、そういう考えもあるということを認めております。しかし、同時に一方で、個としてのことばかり強調すると共同体としてのやはり存在が成り立たないという部分がありますから、その両々相まった教育をしていかねばならないんで、私は、行政を預かっている立場としては、できるだけ一方に偏らないように注意をしながら行政を執行していきたいと思っております。
  72. 櫻井充

    櫻井充君 若干ちょっと視点が違っておりまして、私は、個人を大切にする社会であるとか、それから集団するその生活の中でどうだとかいうことを申し上げているわけではなくて、個人の資質の問題について申し上げているんです。  つまり、学問的な資質だけ修得すれば十分ではないでしょうと。つまり、それを発揮できるというのは一体何なのかというと、きちんとした自分自分であるという自信を持っている人たちでないとなかなかその部分が体現できないので、私はそこのところを申し上げていることであって、個とか、社会に対してどういう人を育ててくるのかということを申し上げているわけではありませんで、そこはちょっと論点が違うんじゃないのかなと、そう思います。  済みません、もう時間がないので、そこの意味で、その意味で、僕は、いいところを引き上げてくれるような先生を育てていくということがすごく大事なことだと思っているんですが、免許の更新制ということで本当にそのことが可能になってくるのかどうかということ。それからもう一つは、免許の更新が必要のないような僕は立派な先生、随分いらっしゃると思うんですね。  今回の制度設計って一体何かというと、大変申し訳ないけれども、駄目な先生、その人たちがいるから問題なんであって、この人たちをどうするかという議論、これ医者の場合も必ず免許の更新制でそういう話が出てくるわけですが、そうしてくると、本当に優秀で、まあこのままで大丈夫でしょうという方にとってみれば、三十時間のこの講習というのはただの雑用になってしまうんじゃないかと。  私は、医師免許の更新のときに常々申し上げているのは、医師の国家試験を受けてみると、医師の国家試験そのもの自体が臨床の現場にすぐに役立つことかというと、必ずしもそうでないわけですよ。そうすると、今でさえ現場で忙しく働いているのに、そういったものを、医師免許の更新のためにもし仮に試験があったとすると、その試験のためにまた勉強させられるということになったら患者さんと向き合う時間が減ってくるわけですよ。  そういう点でいうと、今申し上げましたとおり、きちんとした先生にとってはただの雑用になってしまうんじゃないのかなと、そういう心配をしているんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  73. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) これは先生のような優秀な医師の立場からの御発言だと思いますが、一般に今回の研修というのは、まあ社会情勢が次々と変わってまいりますから、この研修によって駄目な教師を見付け出すとか、あるいは免許をどうするとかいう目的のためにやっているわけではございません。  この免許の更新の三十時間の研修というのは、変転目まぐるしい新しい状況に合った知識を吸収してもらうための研修であって、この研修を受けることによって、自信と誇りをもう一度大きく持ってもらって教壇に立ってもらうという目的のためにやっているわけでして、これが分限の対象になるなどということはこの法律には一切ございません。
  74. 櫻井充

    櫻井充君 私はそうはレクの際聞いておりません。  なぜかというと、概要のところの三番のところに、講習を修了できなかった者の免許状はその効力を失うというふうに私は説明をされまして、じゃ、要するに三十時間ただ黙って聞いていればいいんですかと。要するに、運転免許で何か違反をした際にそこで話を聞いている社会と一緒ですね、居眠りしていてもいいんですねという、そういう話をしたら、いや、決してそうではないと。つまり、簡単な、ちゃんと理解したかどうかの試験もするという話をいただきました。  つまり、そうすると、今大臣はそうおっしゃいますが、試験をするということは、試験をするということは、僕は、これは講習という書き方そのもの自体が本当は違っていて、講習ではなくて、ちゃんと試験をしてふるい落とすというふうにおっしゃっていた方が適切なんではないかなと思いますが、いかがですか。
  75. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) これは先生、今御質問になったところは、私どもが大変工夫をしまして、再生会議が考えているような方向は実現するけれども、再生会議の求めている方向性を取らなかったという一番ポイントのところを今正に鋭く御質問になっているんですよ。  それは、研修をした限りは、その研修の内容を十分理解していただいたかどうかという、試験という言葉を説明した者が使ったかどうかは必要なら参考人にさせますが、認定をしなければならないんですよ、一応は。何度やっても認定ができないということがあれば、それはそれで一つの分限の、別途の分限の対象になるという法構成をつくっているわけであって、研修そのものによって教師を排除するという目的にはなっていないんです。  ですから、この駄目教師を排除するというのは、本来、校長の評定その他で駄目な人は駄目だということでいろいろ研修を受けていただかなければなりません。その研修の内容については、また別の研修があって、それはこの前、当委員会で井上先生からいろいろ御質問のあったことなんですよ。  ですから、この研修はあくまで公立、私立を通じて先生方の能力のブラッシュアップのためにやっているわけです。しかし、何度、五回やっても六回やっても受講内容の認定ができないという場合は、それはこの法律ではない別途の教育公務員特例法の分限の対象になってくるという仕組みになっているわけです。
  76. 櫻井充

    櫻井充君 趣旨のところに、これは一枚物のペーパーで、説明を受けたペーパーですよ。そこの中に何て書いてあるかというと、教職員の免許状に更新制を導入すると。その理由付けは何も書いていないんです、実際のところは。ところが、指導が不適切な教諭等に対する人事管理に関する規定整備する等と書いてあって、後段の方は一体だれに対して何をするのかということをきちんと明記されているわけですね。もし本当にブラッシュアップだということをお話しされるんであれば、現役の教師が更にそういう形で自分たちの指導能力を上げていくために、それか若しくは時代に対応できるためにこうしますと書かれるのが筋だと思うんですね。  ところが、その説明には全く書いてなくて、その免許の更新制の導入のことだけるる書かれていて、最後のところの三の丸の二つ目のところに講習を修了できなかった者の免許状はその効力を失うと、そういうふうに書かれている。その説明を読んで、これのとおりに説明されれば、今大臣がおっしゃったようなことには僕はならないと思うんですよ。  私は、大臣、つまり、もし本当にブラッシュアップだ何だと言うんであれば、やっている人はちゃんとやっていますから、やる必要ないですよ、こんなこと、本当に本気でそうお考えであれば。いい迷惑です、はっきり言えば。三十時間ほかのこと自分たちでちゃんとやりますから、文部科学省に押し付けの勉強などさせられる必要性は私はないと思っていますよ、正直なところを申し上げれば。そして、しかも不適格な教員に対してはもう人事管理の厳格化を行うわけですから、これで十分じゃないですか。  うちの娘は、小学校のときにいわゆる不適格教員という方に指導されまして、結局、一回烙印を押された方なんですよ。二回目もそうなったときに、二学期でお辞めになりました。娘に聞いたら、何が問題だったと言ったら、うそをつくと、だから先生を信用できないと、そういうふうに子供たち言っていたし、暑中お見舞いのはがき出したって返事の一つも返ってこない人ですから、僕はやっぱりこういう人は、こういう人はやはりちょっと不適格なんじゃないかと思うんですよ。  だけど、その部分は、ちゃんとここの不適格な教員に対して、不適切な教員に対しての厳格化をおやりになるんであったとすれば、すれば、この免許制の導入のところは必要ないはずなんですよね。(発言する者あり)  いや、だから、そうはいかないと言うなら、そうはいかないと言うけど、今の御答弁は、だって、ここにじゃちゃんと趣旨として書いてくださいよ。その趣旨が書かれてないから、私は、大臣、問題じゃないですかと申し上げているんですよ。
  77. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 免許更新制と、それから不適格な教員に対する対応、両方につきまして御説明を申し上げたいと存じます。  まず、免許更新制でございますが、提案理由の方には書いてあるんでございますけれども、教員社会構造の急激な変化等に対応して、最新の知識、技能を身に付け、自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得られるようにするという目的でこの制度を設けるものでございます。そのために必要な三十時間の講習を受けていただくというものでございます。  先ほどちょっと先生からお話もございましたが、既に知識、技能が最新であると認められる教員については、改正法案の九条の二第三項で免許更新講習を受講しなくても更新制の目的が達せられる場合には更新講習の免除の規定を設けているところでございます。
  78. 櫻井充

    櫻井充君 なるほど、理解いたしました。  であるとすれば、なおさら、結局はいい人はいいんだけど駄目な人だけ受けなさいということですね、要するに。そういうことから考えてくると、やはりここに書いてあるように修了できなかった者の免許状はその効力を失うということであって、あくまでこれは講習ということではなくて認定試験じゃないですか。そういうことになりませんか。
  79. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 先ほど言葉が足りなくて失礼いたしましたが、この更新制は、講習というのは、日々の職務を支障なくこなして自己研さんに努めている教員であれば、通常は講習を受けて更新をされることが期待されるものでございます。だがしかし、単に更新講習を受講するだけではなく、修了の認定を受けることが必要だということでございます。これは開設をします大学等におきまして修了の認定を行うということでございます。  ただ、あくまでも更新制の導入はいたずらに教員に負担を課すものではなく、むしろ積極的な受講意欲を喚起をして、資質能力の確実な向上に努めてもらえるよう、この講習内容の充実、修了認定基準の明確化等を十分図っていきたいと考えております。
  80. 櫻井充

    櫻井充君 積極的に受講したいという人たちがどのぐらいいらっしゃるのかよく分かりませんが、例えばこれ医療の関係で言うと、もう何か厳格化厳格化というともう文書ばかり書かされているんですよ。患者さんを診る時間よりも文書を書いている方が長い。これもう歯科診療なんか特にそうですけど、今回調べてみると六十分から九十分ぐらい日常の診療の中で文書を書かされているんですよ。変な方向ですからね、これは。何かこういう講習さえ受ければ免罪符みたいな、そういうシステムというのはちょっと違うんじゃないかなと私は思います。  済みません、もう時間がなくて、せっかく総務大臣に来ていただいていて。  今回、僕ちょっと不思議だったのは、教育委員会制度の中で住民からの請求権がありますね、住民からの請求権。要するに委員を解雇できるかどうかということに対しての請求権がありますが、その請求権が極めて高過ぎるんじゃないだろうか。つまり、四十万人だと三分の一、それ以上を超えるとたしか六分の一だったかと思いますが、これはもう実質、住民から、国民から請求権を奪っていることにつながるんではないのかなと思いますが、いかがですか。
  81. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 地方自治法に規定をされております地方公共団体の議会の解散、議員又は長及び主要公務員の解職の直接請求権というのは、我が国のこの地方自治の根幹を成す意味で極めて私は代表民主制を補完する制度として大事だというふうに思っています。  今委員から御指摘がありました、当初実は人口規模にかかわらず三分の一でありましたけれども、二十六次の地方制度調査会、ここによって、やはり人口が多いところについては必要数の署名の収集が困難である、そういうことで、今言われましたように平成十四年、ここで四十万を超える地方自治体にはその規制緩和をしたということがあります。  この失職をさせるということは、例えばその任命権者そのものがそうした公務員の罷免もできる仕組みとなっておりますので、そうしたものと当然勘案しながら決めなきゃならないというふうに思っていますけれども、この人数が多い少ないという議論というのは必ずいろいろあるわけでありますけれども、ただ、十四年にいったん緩和したものでありますので、現在のこの要件というのはしばらくこのままにしていくという方向に考えています。
  82. 櫻井充

    櫻井充君 済みませんが、じゃ四十万の人に対しての三分の一という根拠は何から出たんですか。
  83. 藤井昭夫

    政府参考人(藤井昭夫君) お答えいたします。  これ、相当古い、地方自治法のできたところの議論なんですが、元々の政府案では、たしか何十万以上とか、そういういろんな使われ方はしていたんですが、たしか国会での議論の中で三分の一というふうに決まったというふうに承知しているところでございます。
  84. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、是非考えていただきたいのは、その当時と今と僕は全然違うということなんだろうと思うんです。これ、三分の一の要件というのは、下手すると憲法改正よりきついかもしれません。これ、例えば憲法でいうと、参議院選挙の投票率、今五〇%を超えるぐらいですね。これとまた同じように憲法改正国民投票をやったときに、これ五〇%だったとすると、過半数だと二五%なんですよ。これ、あくまで請求権ですから、これで決定するわけじゃないんですね。この後県議会に諮って、その後罷免するかどうかということを決める。その住民の請求権が下手すれば憲法改正よりもハードルが高いというのは、僕はすごくおかしいと思うんですよ。  その過半数、憲法改正の過半数というのも、あれ、戦後間もなくのときには、多分、有効投票から、それから有権者数から多分ほとんど同じ、つまり投票率が一〇〇%に近かったんで、ほとんど何の過半数を取っても変わりなかったから多分過半数と決めていたのであって、今のように投票率が極めて低くなる可能性があった場合には、過半数だけで定めたかどうかというのは、これ、疑問なんですよ、正直申し上げておきますと。  つまり、何を申し上げたいのかというと、社会の実情が変わってきている中でいうと、請求権そのもの自体のこれだけハードルを高くしておくという必要性がないんじゃないか。ですから、私は、ここの三分の一を例えば一〇%程度まで引き下げないと実効性が担保されないんじゃないかと、そういう感じがしますが、その点について御検討いただけますでしょうか。
  85. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 今御指摘のとおり、確かに請求権だけでなくて、議会での議決で初めて罷免に至るわけでありますけれども、ただ、任命権者そのものが罷免する権利も実は有しているということも是非御理解をいただきたいと思いますし、ただ、これだけ時代が変わってきて、この三分の一というのは確かに圧倒的に多い数字だというふうに思っておりますので、委員の御指摘も踏まえまして、私ども検討させていただきたいと思います。
  86. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  首長さんは基本的に間接民主主義の代表者ですからね、ここのところは。要するに、直接民主主義と間接民主主義と、やっぱりこれ違いますから、だから直接民主主義の部分をどうとらえていくのかということになるんだろうと思うんです。  もう一つ、地方分権の観点で、時間がないので端的に申し上げますが、教職員の採用そのもの自体は今県で行うことになっておりますね。例えば、宮城県の豊里町のように、小中一貫教育を行うといって特区を申請して、これ認められました。だけど、そこの教師も恐らくは県から採用された人ですよね。ここが僕は最大の問題だと思うんですよ。  つまり、小中一貫教育という制度設計はつくりましたと。しかし、そこで教えてくる人は何ら代わり映えのない人ですと。県からただ回って、ただと言ったら怒られるかもしれないけど、順番かどうか分かりませんが、そういう形で回ってきますと。だけど、市町村としてこういう人材を育成したいんだという形でつくったとすれば、制度をつくったとして、そこに人がなかったら変わらないわけでしょう。だから、そういう点でいうと、その人事権そのもの自体を、むしろ民主党が提案しているように、市町村に僕はゆだねるべきではないのかなと。  それから、もう一つ申し上げると、地方でも今、今日、多分、厚生労働委員会で雇用対策法の議論されていますが、地方に公務員の枠が増えるということは、こんなにいいことはないんですよ。もう公務員そのもの自体に応募してくる人たちは一杯いますから、そういう点でいうと、地方で募集したときに、昔のように定数割れするんじゃないかと、そういう心配事は全く必要ないと。  それから、もう一つ言うと、地域を愛している人であればこそその地域学校に根差していろんなことを僕は教育できるんじゃないのかなと、そう思うんですよ。私がいた仙台一高という高校は、先生が最後転勤しませんでしたから、もう二十年も三十年もいる名物教諭がいて、その人たちが僕は伝統をつくり上げてきたのに、もう今五年とか十年でぽんぽんぽんぽん転勤させられるでしょう。そうすると、伝統もへったくれもないんですよ。みんなそれが均一化されていいような話をされるけど、僕はそれ全く間違いだと思いますね。  ですから、そういう点でいうと、その地域の特色を出そうとしているこういう町の場合には、むしろ人事権は市町村に渡しちゃった方がいいんじゃないか、私はそう感じているんですけど、その点についてはいかがですか。
  87. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 地方分権を推進をして、そして地方の自律、責任、そうしたものを考えたときに、委員の御指摘の点というのはまた一つの考え方であろうというふうに思います。  ただ、そういう中で、実は二十八次の地方制度調査会においては、中核都市まで権限を落とすように言われました。問題は、その中で、全面的に市町村に落とした場合、広域での人事調整、当然これ必要になってきますから、そこをどうするかという問題が一つ実はあるわけであります。そういう問題を考慮しながらも、やはり地方分権の考え方、そういう中でどこまで落とすかどうかということについて私は議論をする必要があるというふうに思っています。  いずれにしろ、私も地方分権を推進する担当大臣として、本来であれば市町村に落としたい。しかし、そこにそういう広域的な人事の問題があるということだけ是非御理解をいただきたいと思いますし、委員の御指摘は私どもも十分検討させていただきたいと思います。
  88. 櫻井充

    櫻井充君 そこはそこで分かりますが、ちょっと済みません、教育基本法なくなっちゃいましたけど、教育基本法の中に、たしかふるさとを愛するとか、そういう文言も盛り込まれたと思いますね、地域を愛する心だったかな。  そうすると、地域を本当に愛している人たちがそこの中で教育をしないと、そういうことというのはできないんだと思っているんですよ。申し訳ないけど、足掛けで転勤で何年間かそこの地域にいて我慢したらまた仙台に戻ってこれるとか、そういう感覚でやっている人たちだったとすると僕はそうならないんだと思うんですよ。その話をすると、地域にも枠があって、それは別に予算を自分たちで調達すれば地域で雇えますからと言われますが、地方財政もう厳しい中で、三位一体改革の中でみんなだまされているんですから、地方は。そうでなくたって予算を削減されてぴいぴいぴいぴい言って困っているんですね。どうやってそのお金を出すんですか。  つまり、本当にそういうことをおっしゃっているんであれば、この精神が教育基本法の流れのところが大事だとされるんであれば、そんな人事がどうのこうのということじゃなくなる。どちらが優先されるかということになれば、私はやっぱり地方の方に人事権と財源を移すべきじゃないかなと思うんですけど、いかがですか。
  89. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 先ほど申し上げましたけれども、私も基本的には地方分権の中でそうした方向で調整することというのは大事だと思いますけれども、ただ、市町村全体の人事交流というものを考えないと、やはり現実的問題としてうまく機能しないということもこれは是非御理解をいただきたいと思います。
  90. 櫻井充

    櫻井充君 済みません。時間になりまして、そこはそれでまあ一応はとどめておきますが。  最後に、私は、今回こうずっと調べてきていて、やっぱり何が問題なのかというと、この社会がどういう方向に向かおうとしているのかということがよく明示されてきていない。美しい国と言われるけど、美しい国って一体何なんだと。規制緩和をします、構造改革をしますと言っているけど、この国は一体どういう国に向かっていこうとしているのかが分からない。だから、今度は教育の現場で、その国づくりのために、それから地域のために、それから個人が生きていくためにどういった形でその教育をしていったらいいのか、どういう人材を育てていったらいいのかということが分からなくなってきているところに教育のその混沌とした状況があるんではないのかなと。  戦後の日本の復興期を支えてきたというのはやっぱりあくまで人であって、そのときにきちんとした教育がされていたと思います。つまり、この国を引っ張っていく人たちはリーダーとしての教育を受けておりましたし、それから、申し訳ないけれどもあとはみんな協力してやっていこうと、言わばこの国のために歯車になってくれと言われた人たちは、それで歯車になって一生懸命頑張ったから僕はこの国がこれだけ驚異的な成長を遂げたんだと思うんです。  ところが、その目標が達成された中で、混沌としている社会で何をどうしていったらいいのかということがきちんとされていないから教育の現場というのも本当に御苦労されているんじゃないのかなと、そこら辺のこの国の在り方そのもの自体をもう一度改めてきちんと議論していただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  91. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 民主党の佐藤泰介でございます。  それぞれ、大臣、大変御苦労さんでございます。  私は、文科大臣伊吹文科大臣の就任直後の所信に対する質疑で、大物大臣として予算の増額を期待すると、このような発言をさせていただきました。そして、大臣は機会あるごとに、我々の質問に対しても、予算増を求める決意を込めて私には答弁されているように思います。とりわけ、総理入りの質疑には総理に要求するような態度で臨んでおみえになることを私は感じています。この点に関しては敬意を表するとともに、更に概算要求時に向けて御努力をいただきたいと、こう思う次第でございます。  また、昨年の教育基本法改正も、文科大臣伊吹大臣でなければ成立が危ぶまれたという声も与党内から聞こえてきました。このことは私たちにとっては大変残念なことでありますけれども、このような強い決意を持って日本教育向上させようという大臣と我々は同一の認識に立っていると思っております。重ねて申し上げますけれども、八月の概算要求、全力を挙げて様々な取組がうまくいくように頑張っていただきたいと思います。  しかし、非常に残念なのは、前回の委員会だったと思いますが、鈴木発議者と言い争ってみえる、大変大きな声で不規則発言をその前でやってみえたことは非常に残念だと思いますので、是非、民主党の、我々の案に対しても真摯に受け止めて、時々例には引かれますけれども、なかなかそれが実現いたしておりませんので、是非真摯に受け止めていただきたい。ほかの大臣の皆さんもよろしくお願いしたいと思います。  私は、まず今日は、学力テストの問題と、午前中に高野連の問題は神取委員がお聞きになってみえましたので、重なる部分がないように質問をしたいと思っております。そして、教員免許法の具体的な事項についてお聞きをしたいと、このように思っております。  まず、学力テストについて伺いますが、四月二十四日だと思いますけれども、四十三年ぶりに全国学力・学習状況調査が実施をされました。二十五日には、大臣は、国家百年の計の中でこれをどう扱っていくかという観点が一番大切なポイントだと答弁されておみえになりました。それとともに、私は、国家百年の計の中で今回の調査による弊害はなかったのか、弊害にも目を向けて、来年度以降、見直すべきところは見直していくことが必要だと思っております。  一つは、新聞報道によりますと、文科省の作った学力テストの予備調査の問題や教科書を参考にある町の教育委員会が問題集を作成し、実施直前の四月二十日に正答率を各学校から報告させていたというような記事を読みました。悉皆調査とした理由は、各学校児童生徒の各々が実力を把握し学習向上に取り組むとされています。今後、全国の学校がテストの傾向と対策を分析し、模擬テストを繰り返すような状況が生まれてくる可能性もあると私は思います。  伊吹大臣は、こうした新聞記事等、弊害が伴うことについてどのようにお考えになるのか、あるいは問題集を作ってテストだけの点数を上げるという、そういう状況に陥るのか陥らないのか、その辺りの御所見をまず伺います。
  92. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) ただいま先生がおっしゃったことで実はすべてが尽きているわけですが、先月実施いたしました全国学力・学習状況調査というのは、今後どのような施策や指導の改善を図っていくかのために、児童生徒のふだんどおりの学力や学習状況を把握をして、そしてきめ細かにこれを分析をして、その上で様々な施策のためにこれを利用させていただくというためにやっているわけですから、もちろん教育委員会あるいは学校がふだんから学力向上のために様々な取組をしてくださることはいいことなんですけれども、今先生がおっしゃったように、全国学力・学習状況調査のためにあらかじめ対策を講ずるとか問答集を配付するなどということになるとかえって把握する現状が間違ってまいりますから、このようなことは本来の趣旨に反すると思いますし、同時に、なぜそういうことをするのかということを考えておかないと、私がここでそもそも論だけ述べておっては解決になりません。  だから、各予算の配分その他、学力調査の結果によって学校評価や教員の評価をするということではないし、また、そういう予算配分などをするつもりもないということをやっぱり徹底させる必要があると、今先生の御質問を聞いて私は感じております。
  93. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 正に今の答弁のとおりだというふうに思いますけれども、もう一つ例を挙げさせていただくと、これは私がしっかりと調べたわけではありませんけれども、福岡県の嘉麻市で問題があったと。それはどういう問題かというと、学力テストの際に平均点を上げるため市内の学校で成績の悪い生徒に試験を受けさせなかったと、こういう事例があると。これは私が調べたわけでないんで、とはいいながら、ここまで言い切ってこのファクス、メールいただいたわけですから、多分間違いないだろうと私は思っております。  私の経験からしても、私が中学校教師をしているころですけれども、校外テスト、統一校外テストというのがございました。それで、ほとんどその校外テストでランクを付けて学校順位が並べられます。残念ながら、私の勤めていた学校は最下位でございました。年間四回やって三回最下位でございました。一回だけ下から二番目になりました。それで、周りに聞いてみると、おまえのところ、おまえのところは言葉が悪いかもしらぬ、おまえの学校、今回ラストツーになったけれども、ちょっとできぬのを欠席させたんじゃないかと、こういうことを言われました。うちの学校は私の考えで、どうであれ全部が受けようと、受けるんなら受けようと。その後これは廃止をされましたけれども、鳩山文部大臣時代に、校外テストというのは。  しかし、そういうことを思うと、現実にこういうことは私はあるんではないかと、こう思っております。それは、今大臣が言われたように、現場では、このテストをどう使うんだろうか、やっぱり成績順に出るんじゃないか、やっぱり序列化するんじゃないか、あるいは教員評価をされるんじゃないかと。悉皆調査にするとそういう状況が起こりますよということを私は強く言いたいと思うんですね。  文科省として傾向や対策をつかむだけならば、私は何も悉皆調査でなくても、ある程度統計学上これぐらいの統計をすれば方向性あるいはその対策、確かな資料として統計学上成り立つんではないかと。悉皆テストにすることによって、やはり順番に並べられるんじゃないか、それだったら成績の悪いのはちょっと除いておこうと、あるいは事前にこういうテストを準備して、力を付けて同じような問題が出てきたら解けるようにしておこうと。私は、正に現場の見識が問われる問題だとは思っておりますけれども、どうしてもそういうふうに動いてしまう、これは私、一つの弊害ではないかと、このように思っているわけです。  したがって、今の大臣の答弁からすると、なぜ、悉皆でなければならないのか、抽出では駄目なのか、あるいはそれを受け止める学校側にこれは評価にはつながりませんよということが徹底されていなかったことが原因なのか、やっぱりその辺り、ちょっと今年始まったこのテストですから、当然来年もやらないということはないと思いますので、その辺りの問題を一度調査をしていただくなり、そういうことを踏まえて次年度への新たな取組に対してはそうした方向で取り組んでいただきたいと思います。  というようなことを、今私が申し上げたようなことについて御見解があれば伺いたいと思います。
  94. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 先ほど来私が申し上げましたように、これは全国的な学力の状況を把握をして今後の教育政策の判断材料にするためにやらせていただいているわけでございまして、私が就任いたします前の昨年の六月に事務次官通知というものを文部科学省では出しておるようでございます。  これによりますと、文部科学省は、国全体及び都道府県の状況は公表すると。しかし、学校間の序列化や過度な競争が生じないよう、個々の市町村名や学校名を明らかにした結果の公表は行わないと。都道府県教育委員会には当然その結果が行きますので、各教育委員会等も個々の市町村名や学校名を明らかにしないということを前提にして調査に参加をしておられますから、今回の調査に関しては、学校が順番で公表されるなどということはあり得ませんし、佐藤先生のような優秀な先生がおられるのにしりから一番目だとかということはあり得ないことだと私は思いますが、今御懸念のようなことにならないように、それから、先ほど来おっしゃっていた個別事例で行き過ぎたことがあるかどうかは、今後のこともありますから、私どももよく注意して、実情を一度伺ってみたいと思います。
  95. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 是非一度全国的に眺めていただいて、その大臣あるいは文科省の趣旨が徹底されるようにお願いをしたいし、絶対にこの序列化というようなことにならないように、教育委員会で既にそれを心配しているところもあります。したがって、そのようなことにならないように、新たな取組に向けて考えていただきたいと思います。  私がおったからびりで、びりでないというのはそれは関係のない話で、私もこういう質問を受けたことがあります。同じ教科書を使って、私、名古屋ですから、同じ名古屋にある学校で、そして同じ先生が転勤するわけですから、同じような先生がおられて、なぜこんなにテストの点数が悪いんですかと私は保護者から質問を受けたことがございます。それ、私は答えようがなかったです。しかし、びりだったんです、やっぱり。  私は、それは大体どの辺を基準にいろんなことを進められるのかなとは思いますけれども、私は学力といっても様々な要素があるというふうに思っております。地域性というのも一つ大きいんではないかというふうに思っております。非常にこう、名前を挙げては申し訳ないですけれども、東京都の足立区なんかもそんなようだということを聞いたことがあります。  私の勤めておった学校は、それ以上いろんなことが起きた学校でございます。極端に言えば人殺しがなかったというだけで、あとすべてはありました。夜の夜中にうちへ電話が掛かってまいりました。女房が出ます。警察ですがと、御主人はお帰りですかと。女房はびっくりしますよね、さもあらんかな、うちの亭主ならと。それはびっくりしますよ、それは。それで、私が出てきて電話をすると、どこどこで子供が今捕まっているから、先生、取りに来てくれと。うちの学校のあった県の警察とはもう顔なじみですから。そういう地域的な要素もあるんですね。かえって、そういうところだからびりであっても文句は言われなかったかもしれませんけれども、もう少し、これ上位の方の学校だったら大変だと思うんですよ、親の受け止め方も、いろいろと。逆にこれはびりの方だったからその程度で済んだんだろうというふうに思いますけれども。  今大臣がそう申されましたけれども、今年の一月に終了した規制改革、先ほどの櫻井委員とは違いますけれども、規制改革・民間開放推進会議は、平成十七年十二月二十一日に規制改革・民間開放の推進に関する第二次答申を提出しています。その中で、ある教員が担当する特定の学級単位の特定の科目について例えば他の教員が担当していた一年前と比べてその集団の学力が向上した、あるいは低下した場合、その貢献と責任は基本的にすべてその教員帰属するものであるとした上で、現在、全国的な学力到達度調査について検討が進められているが、教員評価に資するなど同調査を実効あるものとするためには、悉皆的に実施し、学校に関する情報公開の一環として学校ごとに結果を公表することが必要であると。  この答申を受けて閣議決定がされております。学力調査結果の取扱いについては、適切に学校教員の学力向上が促されることとなるよう努めるとともに、子供たち学習意欲の向上に向けた動機付けを与えるものとするとされています。  やっぱりこれ、今読んだ規制改革・民間開放推進会議の答申を読めば、当然これ評価につながると、じゃないかと、私はこう理解するわけです。大臣はそうじゃないと、これは。そういう公表はしない、そういう教員や各学校の評定には使わないと。したがって、四十三年ぶりに、私、これなるんじゃないかと、こう思うんですよ。四十三年前にもいろいろとすったもんだあったんでしょう。私はそのころまだ教壇には立ってませんので分かりませんけれども、恐らく四十三年ぶりにというのは、その四十三年前までやっていたことの中からいろんな問題があって、ここへ来て整理をされたんではないかと。したがって、四十三年ぶりになったんではないかと。  しかし、やっぱり四十三年前と同じような懸念があるんではないかと、こういうことが、現場の先生方にもそういう意識があり、結局これは評価されるんではないかということですので、これは絶対ないんだと、あくまで傾向と対策をつかむだけだと、再度、全国の教員あるいは保護者、子供のためにメッセージを出していただきたいと思います。
  96. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) ちょっと、今先生がおっしゃった規制改革会議は、先ほど来、櫻井先生と塩崎官房長官との間のやり取りもございましたけれども、いろいろ多様な意見はおっしゃっていただいて結構ですが、教育行政は私がお預かりをいたしておるわけですから、私の責任でこれはやらなければなりません。  今、規制改革会議の提言があった後、閣議決定された内容というお話がありまして、私、ちょっと閣僚の一員であるにもかかわらず、寡聞にしてその閣議決定の内容をよく知りませんし、私の就任前にそういうことを閣議決定したのかどうか、ちょっとお許しをいただければ政府参考人から答弁させていただきたいと思います。
  97. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 全国学力・学習状況調査の実施に当たりましてはいろいろな御意見があったわけでございますけれども、基本的には、閣議等の決定その他を踏まえましても、私どもが今回実施をしましたやり方、公表の仕方というのが今回の学力・学習状況調査において確定をしているものでございます。国は国全体及び都道府県の状況は公表をする、しかし、学校間の序列化や過度の競争が生じないように個々の市町村名や学校名を明らかにした結果の公表は行わないと、このことは本調査の実施要領、昨年六月の事務次官通知におきまして明記をしております。この実施要領に基づき、各教育委員会等は個々の市町村名や学校名を明らかにしないことを前提として調査に参加をしております。  今回の調査は、冒頭、大臣からも御答弁がございましたように、ふだんの学習状況というものを把握をして、その結果を分析することによりまして、それぞれの学校指導改善、それから、私ども全国的な教育指導の改善のための諸施策に反映をさせていくというものでございます。
  98. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 私の話し方がまずかったのか、閣議決定は規制改革・民間開放推進三か年計画再改定の十八年の三月三十一日の閣議決定のことを申し上げたんです。これにはややぼかしては書いてあります。その前段の規制改革・民間開放推進会議そのものの答申よりはややぼかして書いてありますけれども、つながって考えるとやっぱりそんなふうに私は読み取れるということでございます。しかし、文科大臣、その閣議に参加をして、そういうことはないんだと、これはあくまで学校ごとの公表はしないんだと、今政府参考人も含めてそのようなことを言われましたんで、是非、そういう私が懸念したようなことが今後起きないようにお願いしたいというふうに思う次第でございます。  しかし、保護者に対しては、私は、説明責任の観点から、各学校を通じ我が子の通う学校の結果が伝えられるというような説明があったわけですけれども、この点はどうですか。
  99. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今回の学力・学習状況調査につきましては、参加をした子供については結果をお返しをするということにいたしております。その際には、今回の調査結果についてこういうふうにデータを読み取っていただきたいとか、そういうことは丁寧に資料としてお付けをしたいというふうに考えております。
  100. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 済みません、もう一度お伺いします。  保護者には説明、求めがあれば、うちの学校は何点だということを公表するということですか。それとも、今回はこういう問題でこういう答えだ、そういう説明をされるのか。保護者が、我が子が通う学校について、うちの学校は何点ですかとこう尋ねられたときに、結果説明が求められるというように私は事前に聞いたんですけれども、どうですか。
  101. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 先ほど御説明を申し上げました実施要領におきましては、各学校自分学校の結果を公表することについてはそれぞれの判断にゆだねております。ただし、今回の学力・学習状況調査により測定できる学力は学力の一部分であることや、教育活動の取組の状況等を示して、調査結果の分析を踏まえた今後の改善方策等を併せて示すなど、序列化につながらない取組に配慮することが必要であると考えております。それぞれの学校がどういう事項の結果について公表するかということについては、それぞれの判断にゆだねられているということでございます。
  102. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 結局そういうことですよね。親が求めれば、端的に言ってしまえば、点数を知らせなさいよと、しかしそれは学力の一部ですよと、こういうためにやったんですよと、うちの学校の序列なんかは言いませんよということですけれども、何でも導入するときはそういう形で導入されていきます。そして、導入された後、保護者間、あなたのお子さんが行っている学校は何点、うちの子の学校は何点、何点、何点と、こううわさが流れて、そこへ教育産業が入って序列の表を作るんですよ、大体。そういうことが常ですよ、世の中は。そんなきれい事だけでは私は収まらぬと思いますよ。  親に説明したら、教育産業、ここの学校、ここの学校、聞きに回りますよ、大体こんなところですよと。そういうことに対する歯止めは、私は文科省はできないんだろうというふうに思います。しかし、多分そういうことをやる民間の業者が恐らく出てくるんではないかということも心配をしています。  そういうことをやめるためにも、私は悉皆調査はやっぱり問題があるんではないかと、こんなふうに思いながら質問をしているわけですけれども、国は、県と何かだけですよと、ここまでしか発表しませんよと。しかし、学校では学校の判断、何点と聞かれりゃ、学校先生も話さなきゃいかぬですよ、うそを言うわけにもいきませんし。そうすると、そのすき間に教育産業が入り込んで、そして序列化してこうだ、こうだと、あなたの学校、A中学校はこれだけですよと、B小学校はこういうふうですよということになる危険が私は十分あるんではないかなと、このように思っております。  文科大臣に聞くのか、官房長官、眠いようですので、官房長官、今まで聞かれてどうでしょうか。
  103. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) ちょっと元気になるまで私が答えますが。  文部科学省としての姿勢は先生に先ほど御答弁したとおりですが、多分、各教育委員会の対応として、いろいろなデータを欲しいと各学校が言った場合は、各教育委員会の判断でそういうことのデータを渡す場合があるでしょうし、今度は各学校の立場からすると、御父兄から言われたときに、自分の平均点がどれぐらいでお子さんはこの程度の点数ですよということを言うと、それを金もうけというか、受験産業の人たちが聞き回るということは十分あり得ることでして、それを私は否定するものではありません。  できるだけしかしそうならないように各教育委員会にはお願いをいたしますが、私どもが心しておかねばならないことは、全国悉皆調査をした結果出てきた成績、結果で予算の配分だとか公的権力の行使はしないと、この原点だけは私はしっかりと指導していきたいと思います。  それから、だから悉皆調査はやめた方がいいという先生の御主張については、どの学校を選ぶのか、あるいは選ばれなかった学校の御父兄からうちもやってほしいという気持ちもやっぱりあるでしょうし、それから、どの学校を選ぶのかは、現在の教育行政の流れからいうと、直接文部科学省が指定するわけにはいきませんですよね、これは各教育委員会に任せなければならない。そうなった場合に、果たして公平な調査ができるかという問題もございます。  ですから、私どもは公的な、いろいろな予算配分その他について序列化はしないという原点をまず確認した上で、先生の御注意のようなことができるだけ起こらないように各教育委員会にお願いをし、お話をしたいと思っております。
  104. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 大事な点を私、忘れておりましたんで、今文科大臣、原点的な、それによっていろんな資源の配分が変わるんじゃないということは、本当に有り難い意見を言っていただいたと思っております。  バウチャー制度も言われているようでございますので、そういうことに基づいての制度ではないと。入れるかどうかは私、議論したいと思いますけれども、そういうことによって入れるのは私も反対でございますので、私もやっぱり教育産業がそういうところに入ってくる可能性が防げるんなら防ぎたいなというふうに思っております。  それで、この実施の調査用紙にもあえて、調査結果は入試の資料としては用いられるものではないと、このようなことも書き加えられて、いろんな配慮がされて悉皆調査になっているんだと思いますけれども、とはいえ、そういう私が申し上げたような問題も生ずる可能性があるということも御理解をいただきたいというふうに思います。  ちょっと通告をしておりませんが、次に、ちょっとどういう対応をされるのかお聞きしたいのは、今はしかの流行というのがありますね。それで教育実習ができないと。ちょうどこの六月が大体実習の時期だと。しかし、学生、その通う学校が休校になってしまって、なかなかこれ時期をずらすといっても、現場がそれができるのかどうかという問題もございますし、私もこうした方がいいという名案はないわけですが、これはどんなふうに対応をされるのか。  ちょっと通告していないんで、政府参考人でも結構でございます。
  105. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 現在、各大学ではしかが大変はやっておりまして、休校している大学も多くあるわけでございます。三年生、四年生、教職課程を履修している学生は、大体五月、六月が教育実習の一つの時期になっております。それで、現実にはしかで休校になっているような学校の学生も実習ということになるわけでございますので、受け入れる学校、中学校、高校などと、その学生のはしかの予防接種の状況とか、そういうことを確認をした上で結局受け入れてもらうということになるわけでございますけれども、その辺が、やっぱり中学生、高校生にこれまたうつすというわけにもこれはいきませんから、結果的に教育実習この時期できないという学生が出てくるおそれがございます。  それで、今状況も調べておりますが、秋以降とか、そういう時期に教育実習の機会がまた持てるように校長会それから大学側、いろいろと協議を進められるような、そういうことについて準備をしていきたいというふうに思っております。(発言する者あり)
  106. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 いや、その辺は分からぬのよ。(発言する者あり)ああ、そう、ごめんなさい、ごめんなさい。  是非、その辺の調整を図っていただきたいというふうに思っています。  それぞれの教育委員会が考えることなのかもしれませんが、附属を持っている学校は比較的時期をずらしてもやりやすいだろうと思いますけれども、普通の公立学校ではなかなか、受け入れる側ももう五月、六月で受け入れる体制をつくっているだろうと思いますので、その辺は何とかそういうことができないという、実習が受けられないということがないように文科省としてもその点について御努力を賜りたいというふうに思います。  じゃ、次に、地教行法の改正案との関係についてちょっと伺いますが、学力テストのですね、今回の全国学力・学習状況調査には多分全国で我が愛知県の犬山市だけが参加しなかったと、こう思っております、犬山市教委が不参加を決定したためでございますけれども。  今後、地教行法改正案四十九条によって、教育委員会の法令違反又は怠りにより生徒の教育を受ける権利が侵害されるとして、ここで、改正法で定められた是正要求というようなものは、この学力テストをやはり断った教育委員会の最後までその意思が尊重されるのか、それともこの四十九条との関係で一体どうなるのか、この点ちょっと確認をさせていただきたいと思います。
  107. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 結論から言うと、四十九条に規定する是正要求の対象にはならないと私は考えております。  というのは、全国学力あるいは学習状況調査というのは、小中学校を設置する教育委員会そのものが文部科学省の要請を受けて、その判断に基づき調査に参加するか否かを決めているわけですから、そして、先ほど来先生と私とのやり取りをしましたように、全国の児童の学力や何かを把握をして将来の教育行政に役立てるためにお願いをしていることでございますので、そういうことには、私は対象にはならないと理解しております。  ただ、お気に染まないかも分かりませんが、教育委員会が全国学力状況調査の実施を決定したにもかかわらず、一部の学校でそれに対する妨害が行われたりしてその調査が行えないような場合には四十九条の私は対象になると理解しております。
  108. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 それは勧告にならないということで、それは当然、全国が決定して妨害するというんではなくて、その教育委員会でしょう。今回のも全国が決定して、一個だけなかったわけですから、その所管する教育委員会がやると決定をして、さらにそれに妨害した場合はこの四十九条に入ると、係るというふうに理解すればいいですか。──はい。  じゃ、ちょっと犬山の問題について伺いますが、犬山市教委が先ほど申し上げたように今回不参加を決定したわけでございますけれども、保護者には賛否両論があります、やっぱり。不参加に賛成する意見として、これもすべて網羅して取ったわけではありませんので、一部の方の意見でございますけれども、形骸化している教育委員会が多いと、議論も説明会もなく参加を決めたケースも多いと聞くと、これほど熱く議論して不参加を決めた犬山市教委に敬意を表すと、こういう意見も保護者の中にはありますし、あるいはその反対に、保護者説明会が開かれたが納得できなかったと、参加したいなら犬山を出ていけと言われているような気がしたと、来年度に参加できるようにと思っていると、このような意見もあるわけです。  ここで私がお尋ねしたいのは、犬山市教委は昨年の二月に、序列化や過度な競争を引き起こす危険性がある、国が個人情報を収集することにも問題があるということで不参加を表明しました。それで、その後に文科省からも指導に行かれたんだろうと思いますが、行かれたとするならどんな指導をされたのかということもお伺いしたいと思いますし、しかし、昨年の二月に不参加を決めて、その年の十二月、昨年の十二月に市長選があったわけです。学力テストの実施を公約に掲げて当選したんです、新たな市長が。それで、その市長が臨時教育委員会を開いて、市民の声にも耳を傾けた結論をと、参加を教育委員会に要請したわけです。そうすると、市長と市教委との間の対立が続く中で、最終的には、これはいい結論だったんだろうと思いますけれども、教育委員会の決定が決定になって再度不参加になったと、こういうことです。  この一連の決定について、伊吹大臣はよく選挙を例に出されますけれども、選挙で決められた議員が決める、ここで決めるんですよということをよく言われます。この犬山の例でいえば、去年の二月に不参加を表明して、その年の十二月に市長選があって、この市長選では、私が当選したら学力テストやりますよということを項目を加えたわけです。それで、その市長が当選したわけです。そして、教育委員会に参加してくれと言ったわけです。そうしたら、それは駄目だと。それで教育委員会の意思は通ったんですけれども。  行政委員会がやっぱり教育行政をやること、この前西岡発議者が言われましたね、日本のようなところは非常に例がないんだと、そういう行政委員会教育行政をやるのはアメリカとカナダぐらいだと、たしか西岡発議者が言われたのを私は覚えていますが、日本のような形を取っているところはないんですね。アメリカですら私は公選制になっていると思うんですよ。同じような形式ではあるけど公選制になっている。日本もスタートは公選制であったということですよ。  そうすると、こういう問題は一体、それは行政委員会がやるんだから、教育委員会が不参加を決定したらそれに従うんだといっても、市長部局と教育委員会とが対立関係にあって、その後の犬山の行政を進めていく上で本当にそういうことでいいんだろうかと率直に私、疑問を持つんですよ。ということは、やっぱり民主党案の市長部局に集中する方がいいのかなとも思うんですよ、世界的にいっても。  やっぱりこういうこと起きるんではないかと思いますけれども、やっぱりこれは、そういう決定した教育委員会の意思が決定されると、尊重されるということになったんだろうと思いますが、こうしたことについて一体どう考えていったらいいのか、総務大臣と文科大臣にお尋ねをします。
  109. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 地方行政に深くかかわることでございますので総務大臣から後ほど御答弁があると思いますが。  まず、先生、私は、やはり選挙の結果ここで決めるんだと申し上げているのは、これは憲法の規定によって、主権の存する国民は、正当に選挙をされた代表によってその主権を行使するという憲法の規定を申し上げているわけです。ですから、犬山の新しい市長は、ちょっとやはり国会とは訳が違って、御自分の権限がない公約をされたと私は思いますよ、今の地方行政の仕組みからいうと。ですから、教育委員会はやはり政治的な中立という立場から、地方公共団体における教育行政の中心的な担い手として、首長から独立した合議体の執行機関と位置付けられておりますから、教育委員会の決定が当然私は優先するということで構わないと思います。  しかし、そこに先生がおっしゃったようにねじれ現象が起こりましたですよね。じゃ、どうなんだと。地域住民の御意見が、多分、その学力テストに参加をするということだけに集中して現在の市長さんに投票されたかどうかは疑問のあるところなんですけれども、もしも学力テストに参加をしたいという地域住民の人の数が非常に多ければ、当然、地域住民の代表として議会を構成している犬山の市議会がその議論をされなければ地方自治の力は発揮できませんね。そして、それだけ地方自治の力として住民代表である犬山市議会が議論されているにもかかわらず、なお教育委員会が独善的な行為を行った場合には、先ほど来、櫻井先生が正に御質問になっているような解任の問題が起こってくる、これが地方自治の構成なんですね。  その力が真に発揮できているかどうかということが正に問われる問題であると私は認識しております。
  110. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 今の佐藤委員の犬山の件でありますけれども、現在の教育委員会制度、これは行政の長から独立をした中立的な機関ということでありまして、そういう意味では現在の制度に基づいての私は結論だったと、これは素直にそう考えたいと思います。
  111. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 今お二人の大臣の答弁、納得いたします。けれども、現状では納得するということで、法律的にもそうなっているということでは分かるわけですけれども、やっぱりそこに住む住民にとっては大変な不幸というか、首長と教育委員会が対立していて、その下にある学校があって、子供たちがおって保護者がおるという、こういう関係ですから、できればそこに対立がないようなことがいいわけですよね。  文科省、この部分について昨年何か指導されましたか、犬山市教委を。まだお答えがありませんが。
  112. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 先ほど先生からお話がございましたように、昨年の二月に犬山市の教育長が不参加の方針を表明をしたわけでございます。  それで、文部科学省は、昨年の六月に全国の学力・学習状況調査に関する実施要領を策定をいたしまして、これを各都道府県、指定都市の教育委員会等に通知をいたしました。その後、この実施要領に基づきまして、各都道府県の教育委員会に担当が出向きまして、こういう趣旨の調査ですという説明会を催しました。愛知県では昨年の七月七日に説明会を開催をいたしました。ここには市町村の教育委員会の方々にも御参加をいただきまして、こういう趣旨の学力・学習状況調査でございますという説明をいたしまして、そこにはたしか犬山市も御参加いただいたと思っております。それから、同様の説明会を割と調査が近づきました今年の二月にもやはり愛知県において開催をいたしております。  こういった説明会等によりまして、犬山市を含む各市町村の教育委員会に対しまして私どもはこういう趣旨の調査であるということの説明を行ってきたところでございます。
  113. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 ありがとうございます。  まあ、伊吹大臣の言われることが正しいんだろうと思いますけれども、全国で首長選挙が行われる場合、教育問題は公約に掲げてはいけないよというわけではないですね。いろいろやられますよね。三十人学級を我が県では実施しますと、知事選の場合。いや、うちの県では三十五人学級を実施しますという公約を掲げて選挙というのは争われますよね。  今年の二月に行われた愛知の知事選でも、当選した現職の知事は三十五人学級を実現すると。これは小学校一、二年と中学校一年だったか、これは確かじゃないですけれども、既にその当選した現職知事の下で小学校一年生だけは三十五人クラスになっていたわけですよ。それを二年生まで拡大する、中学校一年生にも入れるという、こういう公約を掲げられました。一方の惜しくも落選した、私が頑張った方でございますけれども、落選した知事候補の方は三十人学級を掲げてやりました。それが大きな争点の一つになって選挙が戦われました。  そうすると、どちらも権限のないことを公約に掲げてやったという──違います、ちょっと説明してください。
  114. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) これは先生、学力テストに参加するかしないかということを公約に市長が掲げたとすれば、これは教育委員会の決定事項なんですね。今、正に先生が整理をしてくださったんで非常に答弁がしやすいんですが、教育に関する事務のうち首長の権限に属するのは何かというと、予算の編成と執行、それから条例案の提案権ですね。このような権限については、まあ一応行政の執行の在り方としては教育委員会意見を聴取しなければならないと思いますが、その上で首長が責任を持って首長の判断の下でそういう予算を組むということはできるわけです。ですから、先生が頑張られた方の候補も、その頑張った人に勝った候補も、権限のない公約は私はしておられないと思います。先ほど私が申し上げたのは、全国統一選挙に参加するかどうかという決定の権限は、これは首長にはやっぱりないんじゃなかろうかということです。
  115. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 よく理解をさしていただきましたが、こういうことはよく起こるんですよね、いろんなところで。もう一つ例を挙げますと、こういうのもあるんですよ。  福井県のあわら市長選で、中学校二校の統合問題をめぐり、二校存続を訴えた候補者が元職を破って当選。そして教育長は、前の市長とともに中学校の統合計画を進めてきた、市民が選挙で計画を否定する判断を下した以上、今の立場にとどまることはできないと話をし辞任を表明、そして残る市教委四人も辞任の構えと。これも校舎の統合というのは、学力テストのこっちに言われた部類に入るのか、条例でできる部類に入るのか分かりませんけれども、やっぱりこういうことはよく起きるんですよ。ということは、四年という教育委員の任期、その途中で首長が替わる場合というのはあるわけですよ、やっぱり。  そして、じゃ、その首長さんがこの教育長、教育委員を辞めてもらおうということを考えた場合、複数ですからたくさん自分の賛成する委員を選んで議会で承認して入れれば多数を取れるわけですよね。それを今度は辞めていただこうとすると、非常に、先ほどの三分の一や何分の一のハードル高いわけですよ。だから、一つの問題として、やっぱりその首長のサイドと行政委員会教育行政をするということにそろそろ私は問題を感じていただきたいなと、こう思っているわけです。  こう話をしてくると、昨年の教育基本法改正のときに大臣議論した不当な支配を思い出すんですけれども、どっちが不当な支配しておるんだということを思い出して今質問をしているわけですけれども、そうすると今は教育委員会サイドの方が筋が通っているということですから、首長の方の、犬山の場合、全国テストをやってくれというのはやっぱり不当な支配なんですかね、これ。
  116. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 不当な支配というか、正に自分たちのイズムだとか政治的な理念を強制をしたという、法律に反して強制をしたということが不当な支配になると思いますし、結果的に公約をしたけれどもそうならなかったんだから不当な支配という現実は起こっていないわけですよね。やはり、それだけ健全に市長さんも御理解をなすって解任動議その他をお出しにならなかった。お出しになったら多分御自分が傷付くと思われたということもあると思います。
  117. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 伊吹大臣の答弁内容は納得をして聞きましたが、ここのところにかかわっては民主党の考え方、やっぱりちょっとお耳を傾けていただくと、民主党の案は、教育行政に地域住民の声を反映させる観点から、直接選挙で選ばれた首長を教育行政の責任者として位置付けるとともに、現在の教育委員会教育監査委員会に発展的に解消し、首長の行う教育行政の監査を行う組織にすべきと、これ提案をしておるのが民主党の案でございますが。  伊吹大臣は、今御答弁ありましたように、不当な支配はどちらか分かりませんけれども、首長に権限を移せば教育行政の中立性あるいは安定性、継続性が損なわれるおそれがあると、このように答弁をされてみえますが、地方においても首長の考え方だけで教育行政が変わるわけでは私はないと思うんですよ。国の法律という大枠があり、行政をチェックする地方議会があり、何よりも地域住民の目があります。大臣が言われたとおりだと思います。その中で首長は直接選挙により住民の負託を受けて教育行政を行うのであり、十分な権限と責任、使命感とスピード感を持って教育行政を実行できるはずだと私は思います。    〔委員長退席、理事中川義雄君着席〕  伊吹大臣は地方自治体に過度の不信感を持っておみえになるのか分かりませんけれども、適切な役割分担という観点から、やっぱり一方を信用しなければ、対立ばっかり続いておってはこれ子供たちがかわいそうなわけでございますので、まずは教育委員会の必置義務を、民主党案まではいかなくても必置義務を撤廃するということはどうなのかなと私は思っております。首長がやる気のある地域教育委員会が活発な地域地域の事情は様々でしょうから、地域の選択に任せてみることも地方分権の点から大いに意義があるのではないかと、このように私は思っている次第でございます。  菅総務大臣も衆議院の再生特のところで、それも一つの考えだと、我が党からの質問か我が党からの提案だったか知りませんけれども、それも一つの考えだ、頭から否定するのではないと、そのように答弁しておみえになると思います。  そうであるならば、きちっと課題にのせて、教育の根本にさかのぼって改革をするというならそれぐらいの議論を一遍やって、やっぱり独立行政委員会の方がいいとか、首長に移した方がスムーズにいくとか、そこら辺りをどこかで一遍議論をして、民主党案もやっぱり、非常に迷ったところです、しかしその方がうまくいくということで、教育行政を独立行政委員会から首長さんに移した方がうまくいくんだと、こうけんけんがくがくの議論をしてそこに到達をして出させていただいたわけですから、私は、現行でいえば伊吹大臣の今の趣旨の答弁が正しいんだと、こう思いますけれども、根本的にそこへさかのぼって議論すればもっといろんな議論ができるんではないかと、こう思っておりますので、一度その辺りの議論を。  六十年ぶりのせっかく教育基本法、三法を変えるというときに、ちょっと浅いところだけ話し合って、学区制も変わらぬわ、何にも変わらぬわ、ただ免許制が入るわ、教員の首は絞めるわ、あと何にもないじゃないかと。三法、三法と言うほどの中身はほとんどないと私は思っているんですよ、正直言えば。新聞で、重要法案三法、三法と出ると、何がこれ重要だと。教育基本法のときは重要でしたよ、あれは。この三法は一体、本当に安倍内閣が首を懸けるほどの三法なのかと。教員免許制度を入れるということぐらいしか、学教法は教育基本法によって変わるわけです。免許法は更新制が入る。それから、あとは地教行法で勧告や何かの是正ができる、それも非常にまれな例としてできるというふうに変わっているだけですよ、私の理解では。  そうすると、重要三法、重要三法と。そして、正直言えば、理事会を始めるとテレビが頭撮りしてくれる、入っていこうと思うとテレビが頭に。これが教育基本法のときはやっぱり意気込んでやりましたけど、今も意気込んでやっていますけれども、それほどこの教育三法が、基本法を前提としてしまえば、余りにも浅い考え方ではないか、教員の首だけ絞めるんじゃないかと私は思うんですよ。教育行政を独立行政委員会からやっぱり撤廃してそっちへ移してみるとか、あるいは学区制を議論してみるとか。  今、学区制の問題はそのままになっていますけど、私の経験からいうと、小学校一年から六年生まで集めておくのは本当にちょっと不都合ですよ、やっぱり。もうちょっとどこかで切らないと、私の意見です、あくまで。小学校一年と小学校六年は大分違いますから、同じ朝礼で校長先生が話をされても、一年生のレベルに合わせりゃ六年生がぴしっとしませんし、六年生に合わせれば一年生の方は分からぬと、こうなるので、やっぱり教育委員会制度も根本的な議論が欲しかったなということを、そして、民主党の案にもちょっと耳を傾けていただいてそんな議論をできる環境をつくっていただければ有り難いなと、こういうことを申し上げて、今申し上げたことに対して、簡単で結構ですから、文科大臣総務大臣の方からお考えをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  118. 中川義雄

    ○理事(中川義雄君) 伊吹大臣、端的にお願いします、時間ですので。
  119. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 常に耳を傾けております。率直に言うと、私は国に教育の最終責任があるとおっしゃっている案は大変立派というか、高く評価しております。  その流れの中で先生いきますと、やはりこれは地方自治法の中からいえば、これは法定受託事務にならなければいけないんですよ、知事や市長がおやりになる場合は。ところが、法定受託事務ということになりますと地方の特色はほとんど生かせないので、法定受託事務の中で、地方の条例等で変えられる範囲はどの程度あるのかなという気がいたします。ですから、そうなると、知事というのは地方の有権者から選ばれた立場であると同時に、昔の、戦前の地方長官的、教育については役割を果たされる流れが非常に強く出てまいりますね、あるいは自治体の長は。それが果たしていいのかどうなのか、それは一つの筋の通った考えです。  これと地方分権ということを組み合わせるということは、非常に私は流れからいうとちょっと難しいかなと。むしろ、西岡先生がかつて御主張になったように、義務教育もすべて国家公務員として教職員を扱えという方がむしろ筋が通っているんじゃないかというような議論を衆議院ではかなり濃密にやりました。いずれまた御質問があればお答えさせていただきます。
  120. 中川義雄

    ○理事(中川義雄君) 菅総務大臣、時間ですので、端的、本当に端的にお願いします。
  121. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 佐藤委員から御指摘がありましたように、私はいわゆるこの必置規定を廃止をし、また選択制ということについては一つの検討に値する考え方だということを衆議院で述べました。そしてまた、地方分権を担当する大臣として私はそのように現在も考えておるところでありますけれども、ただ、この問題につきましても、例えば二十八次の地方制度調査会、ここについては選択制にすべきだ、しかし中央教育審議会、ここについてはやはり必置義務だと、こういう意見もあります。私と伊吹大臣の間にも、こうした意見というのは、意見交換もさせていただきました。  ただ、私どもとすれば、やはり自治事務で認められる関与の範囲内、そのことをやはり私どもはこれしかと守っていきたいというふうに思いました。その中で、今回内閣として選んだ道は今回の法案ということでありますので、御理解いただきたいと思います。
  122. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 ありがとうございました。
  123. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。よろしくお願いいたします。  今回の教育関連法案は、昨年の教育基本法改正を受けまして、この我が国教育システムの枠組みを大きく変革するものとなっております。新しい時代にふさわしい教育環境づくりになりますよう、教育現場の実態、また児童生徒の皆さん、保護者、教師等の声を踏まえながら質問させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、本日は学校教育法改正案につきまして、これを中心に逐条的に質問させていただきたいと思っております。  まず、副校長その他新しい職の設置についてお伺いをしたいと思います。  今回の改正では、学校運営充実指導体制、その強化を図るために小学校、中学校等に副校長、主幹教諭、指導教諭を置くことができる、このようになっております。新設されるこういった職の役割、また校長先生、また教頭、主任、そういった方々との権限の違い、また関係性をまず初めに分かりやすく御説明を願いたいと思います。
  124. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今回、学校教育法改正によりまして新たに副校長、主幹教諭、指導教諭の職を置くことができることといたしております。  まず、校長と副校長の関係でございますが、これは校長が校務のすべてについて判断、処理する職であるのに対しまして、副校長は校長を補佐する職であり、また、校長の命によりまして校務の一部を自らの権限で処理することができる職でございます。  また、副校長と教頭の関係でございますけれども、教頭が校務を整理することにとどまるのに対しまして、副校長は、先ほど申し上げましたように、校務の一部を自らの権限で処理することができる職でございます。副校長と教頭が併せて置かれる場合には、教頭は校長及び副校長を補佐する立場に立つことになります。  次に、教頭と主幹教諭の関係でございますけれども、教頭は校務全体を整理する者であるのに対しまして、主幹教諭は校務の一部を整理する職であるとともに、教頭を補佐する立場に立ちます。  次に、主幹教諭と主任の関係でございますが、主任が担当する校務について教員間の連絡調整や指導、助言を行う者であるのに対しまして、主幹教諭は担当校務について一定の責任を持って取りまとめ、整理し、他の教諭等に対して指示する職でございます。  指導教諭と主任の関係でございますけれども、主任が例えば年間の指導計画の作成などの校務について指導、助言や各教員間の連絡調整を行う者であるのに対しまして、指導教諭は例えば具体的な授業方法等を指導、助言する職であるということでございます。  今回の副校長、主幹教諭、指導教諭の設置は、学校組織としての力を発揮できるよう、組織運営体制や指導体制を整備するものでございまして、このことによりましてより充実した学校教育が行われることとなるものと考えております。
  125. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  ただいま新しい役職の役割、また関係性について御説明をいただきましたが、こういった新しい職が置かれることによりまして、もう少し、どのように教育現場が変わるのかということで伺ってまいりたいと思いますが。  御存じのとおり、今教育現場では様々な問題や課題を抱えております。いじめや不登校、また学力向上、そのほかにも安全、安心の学校環境づくり、こういった問題を抱える中で、また、先生方からも本来の仕事よりも事務作業に追われている、こういった声を多くいただく中で、こういった教育環境の中で、こういった新しい役職を置いて、職を置いて新しい環境を整えていく中で、教育現場が本当に変わっていくのか、また先生方の負担が減っていくのか、これが変わるのかということが一番重要かと思っておりますが、具体的にどういうふうに変わっていくのかということで再度お伺いしたいと思います。
  126. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今回の新たな職の設置は、学校の必要に応じまして新たな職を置くことによりまして、学校組織運営体制の充実を図り、各教員が適切な役割分担と協力の下に子供たちと向き合い、保護者や地域社会の期待にこたえることができる学校を目指すものでございます。  学校組織については、よく校長、教頭以外は同じ教諭というなべぶた型の組織ということが言われるわけでございますけれども、こういった在り方が組織的な学校運営にとってこれでいいのかという指摘がかねてあったところでございます。今回の学校教育法改正案第三十七条による副校長や主幹教諭の職の設置が実現できますれば、こういう職に就かれた方が権限と責任を持って校務を組織的に取りまとめ、効率的に処理することが可能となりますので、一般教員の事務負担の軽減につながるものではないかと考えております。  もちろん、まだこの主幹教諭等について、これから必要な定数等の問題残っているわけでございますけれども、こういう職を置くこと自体も事務の、校務の組織的な取りまとめという観点から一般教員の事務負担の軽減につながるものであるというふうには考えております。
  127. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 是非とも一つの課題として教員の方々の事務的負担の軽減につながるような体制になることを願っておりますが、それに関連しまして、教員の方々の環境整備ということでちょっと関連してお伺いしたいと思っておりますが、やっぱり先生方がそういった事務的な負担を軽減する中で子供一人一人と向き合う時間をしっかりと確保していく、これも重要な、これからも教育におきまして大きな課題になってくるかと思います。  また先日、私事で恐縮ですが、小学校の五、六年生のときの担任の先生とちょっとお話しする機会がありまして、その先生はちょうど私を担任しているときに結婚されて、その後三人のお子さんを産んで育てられた方なんですけれども、ちょうど二十年前と比べると、二十数年前と比べると確実に仕事の時間は二時間から三時間増えましたと。その中で自分自身母親として、また奥様として子供を育てながら教員として活躍してきたということで、そういったお話も伺いまして、先生御自身のこの一人一人の子供に向き合う時間の確保とともに、先生御自身、教員自身もそういった子育てとか家庭の時間、また趣味の時間だったり、そういった精神面やそういった部分での充実を図っていくための時間を確保していくこと、これは働き方の見直しをいろんな場面で今叫ばれておりますが、教員の方に関しましても是非ともこのワーク・ライフ・バランスの推進、私生活充実して仕事充実する、そういった関係性があると思っておりまして、そういった意味でも、是非とも教員の方々の事務的な負担の軽減、これは今回のこういった新しい体制を図ることもそうですし、先ほども予算のお話もございました。そういった対応も含めまして、更に教育現場の、教員の方々の環境づくり、これを更に推し進めていく必要があると考えております。  この件に関しまして、是非大臣からも御見解をちょうだいしたいと思います。
  128. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 今政府参考人から申し上げましたことに加えて言えば、やはり先生がおっしゃったことをやるには類型的には三つの方法があると思うんですが、一つは、教師の方々がおやりになっている事務その他を、外部に発注できるものはお金を払って外部に発注をすると。それから、お辞めになった先生地域の方あるいは一芸に秀でた方を、お金を若干お支払いしてボランティアとして学校の中へ入れてきて先生のお仕事をカバーしていただくと。それから、三番目は、やはりこれは正攻法で、教職員の数を増やすということなんですね。この三つはいずれも法律改正や予算が伴いますから、そうしたらいいというのは分かっているわけですが、従来の法律を変えるとか予算を分捕るとか、あるいは去年までの骨太の方針を変えてもらうとか、そういうことがなければこれはできないんです。  ですから、そこへ向けて私は文教行政を、文部科学行政を担当しておりますから、私はもう全力を尽くして今先生がおっしゃっているようなために努力をしたいと思っていますが、政府全体で決めることでございますし、議院内閣制の与党で決めることですから、是非、公明党もひとつ、今先生がおっしゃったことを与党の一員としてバックアップして実践をしていただきたいと願っております。
  129. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。私もしっかりと取り組ませていただきたいと思います。  次に、先ほどのちょっと質問に戻りたいと思いますが、局長の方からどのように変わるのかということで御答弁をいただきました。組織の体制が充実するというお話でございますが、その一方で、この教員定数の現行の枠内で行う人事でございますので、この新たな職の設置によりまして管理職が増えて、その管理職以外の方の教員の負担が増えるのではないか、こういった懸念の声もいただいております。その点につきましてどのようにお考えか、お伺いいたします。
  130. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいま大臣からも御答弁いただきましたように、最近文部科学省が実施をいたしました勤務実態調査によると、先生方、相当いろいろと超過勤務等をされたりし、かつ子供と向き合う時間が十分確保できていないという、そう考える先生も多いという結果が出ているわけでございまして、先生方が子供と十分向き合える時間の確保ということは私ども非常に必要なことだと思っております。そのため、三つの方策ということを大臣からお話ございましたけれども、私どももそういう観点から努めていかなければならないことがあると思っております。  一方、今回の主幹教諭、指導教諭、これ新たな職として設置をされるわけでございますけれども、この方々は児童生徒に対する授業はもちろん行う方でございまして、また副校長も学校の実情に応じて校長の命を受けて授業を受け持つこともあり得るわけでございます。そして加えて、副校長や主幹教諭等が権限と責任を持って担当する校務を組織的に取りまとめて事務の効率化を図るといったようなことが可能になるわけでございますので、新しい職の設置によってこういう副校長、主幹教諭など以外の教員の方の授業の負担が増えないようにやっぱりしていくということはできると思っております。
  131. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 今回こういった様々新しい役職を置くということで、設置しただけで終わるのではなくて、実際に配置されたそれぞれの職を皆さんが的確に全うしているのか、またそういった学校運営が軌道に乗っているのか、そういったことを今後検証するというか、しっかりと今後見ていく必要があると思うんですが、そういったことをされるのかどうか、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。
  132. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今回の学校教育法改正案をお認めいただき、この三つの職の設置が図られた際には、これまでこういう職をそれぞれ独自にやっている県もあるわけでございますので、そういった県での副校長、主幹教諭等の配置あるいは勤務の状況、そういうもののいい事例というものを私ども集めて御紹介をしたり、さらに、この法に基づきます副校長、主幹教諭等の配置が進んだときに、その状況についてはよく把握をして、また各教育委員会の方に情報を提供していきたいというふうに思っております。
  133. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 是非、より良い体制になるためにも今おっしゃったような対応をしっかりとしていただきたいと思います。  続きまして、指導教諭についてお伺いをしたいと思いますが、この指導教諭は、児童生徒教育をつかさどるとともに、他の教員に対して教育指導の改善充実のために必要な指導、助言を行うという、こういった役割があるとのことでございますが、この指導教諭がほかの教員に対しましてどのようにかかわっていくのか、具体的にお伺いをしたいと思います。
  134. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 指導教諭は、職務の一つとして、教諭その他の職員に対して教育指導の改善及び充実のために必要な指導及び助言を行うということがあるわけでございます。  指導教諭の具体的な指導、助言の場面としては、一つには、校内において模範授業としての授業の公開といったようなことがあろうかと思います。また、二つには、他の教諭の方々の授業を見ていろいろとアドバイスをするということがあろうかと思います。さらに、三点目としては、その学校における指導改善のための研修会の企画をしたりするといったようなことが考えられるわけでございます。こういう場面を通じまして他の先生方に指導、助言を行うことになるほか、日常的に他の先生方にアドバイスをするということは当然あることだと思っております。
  135. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 日常的にほかの先生方にかかわり、またアドバイスをしていくということでございますが、言うまでもなく、こういった指導教諭の方は、だれから見ても、指導力も含めまして、人間性も含めてやはり優れている方ということで、そういう方がならなければ逆に教員の方々の間の信頼関係も崩れてきますし、そういう意味で、この指導教諭の方の任命するときの専門性の判断が大変に難しいのではないかと思っております。  この指導教諭の方の採用するときのこの専門性の判断をどのようにしていくのか、それと併せまして、しっかりと採用の際の公平性、これをどのように確保していくのか、この二つをお伺いしたいと思います。
  136. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 指導教諭は、やはり高い指導力を持って教育現場で優れた教育実践を展開をしている教員であって、その実践的な指導力に基づき他の教員に適切に指導、助言することができる方が任用されるということを想定をしている職でございます。  したがいまして、この指導教諭の専門性としては、一般的には授業の実践力、学級経営の力量、生徒指導能力、こういったことなどが考えられるわけでございます。具体的な指導教諭の選考に当たりましては、各地域学校の実情に応じまして、任命権者でございます各都道府県教育委員会等におきまして適切に判断されるべきものと考えております。  なお、採用の公平性といったようなお話もございました。私ども、法案がお認めをいただきました後に、各任命権者が指導教諭の例えば選考の要綱を定めまして公表することなどを通じて、その指導教諭の職にふさわしい方が公平に選考されることとなるように促してまいるとともに、各都道府県の成功事例を共有できるように、そういった情報の収集、周知などの工夫を講じていきたいと思っております。
  137. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 是非とも、日常的にほかの教員の方々とかかわる指導教諭でございますので、繰り返しになりますが、専門性の判断、また公平性をしっかりと、採用の際の公平性の確保ということでしっかりとやっていただきたいと思います。  次に、大臣にちょっとお伺いしたいと思いますが、今回、副校長等の新しい役職が置かれることによりまして、これまでの学校の管理運営責任が多少分散といいますか割り振りがされるかとも思います。そのことによって、逆にこの責任が分散をしてしまってその責任の所在が分かりにくくなったりとか、また連係ミスにつながったりとか、そういうことになってはならないと思いますので、そういった意味で、その学校の最高責任者でありますこの校長先生のリーダーシップ、どのようにこの学校運営含めて指揮を執っていくのか。これが更に校長先生役割が大きくなっていくのではないかと思っております。  そこで、大臣の方から是非、この校長先生役割について御認識、また校長先生につきましては都道府県の教育委員会の方で管理職の研修を行っているということでございますが、これは都道府県の教育委員会の取組でございますのでどうこう言うことはできないかもしれないんですが、私個人としては是非これ充実も重要かと思っておりまして、もしこの点につきましても御意見がありましたらちょうだいをしたいと思います。
  138. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 管理職というか副校長等の新しい職ができますので、おっしゃっているように校長のリーダーシップは従来より更に重要になることは御指摘のとおりです。特に、カリキュラムの編成、学校の管理等は校長先生にゆだねられていますので、私どもがどこまでそれを各教育委員会に徹底できるかは別として、校長先生にやはり予算権と人事権をかなりの程度下ろしていかないと学校の管理ができないと私は思っております。    〔理事中川義雄君退席、委員長着席〕  したがって、今回も校長先生の評定を受けた市町村教育委員会の人事評定を重視をしながら都道府県は人事異動をしなければならないという項目を入れてあります。その上で、今先生が御指摘になりました各県と政令市において管理職のマネジメント研修をしておりますので、その各県がやっております内容を収集しまして、そしていいものを中心教育会議その他で、あるいは校長会などにもお教えしたり、そういうことをやっていきたいと思っております。
  139. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  是非、今学校の抱える問題も多様化しておりますし、様々変化の連続でございますので、そういった校長先生もベテランの先生ではございますが、そういった研修等も重ねながら、より良い学校づくりということでリーダーシップを発揮していただきたいと思いますので、今おっしゃったような取組を是非強力に推進していただきたいと思います。  続きまして、学校評価について質問させていただきたいと思います。  改正教育基本法十三条に学校家庭及び地域住民等の相互の連携協力について規定が設けられておりますが、学校家庭地域と連携を取りまして社会総掛かりでこの教育に取り組んでいくということで、その上でもこの学校評価と情報公開というのは大変に重要な位置付けになると認識をしております。  では、どのようにしてこの実施をされていくのかということで質問させていただきたいと思いますが、前回の委員会でも山本委員の方からも質問がございましたが、この第四十二条に規定をされております「大臣の定めるところにより」、このようにございますが、これは一体何を定めるのか、お伺いをしたいと思います。
  140. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今回の学校教育法改正案第四十二条では、各学校は、文部科学大臣の定めるところにより学校評価を行い、その結果に基づいて学校運営の改善を図る旨規定をしているところでございます。  この文部大臣の定めとして、これからいろいろ検討すべきこと多いわけでございますが、今考えておりますのは、自己評価や外部評価の実施及び公表の在り方や、各学校が行った評価の結果を設置者である教育委員会に報告するといったようなことを促すこと等の内容を考えております。  この法案をお認めいただきました場合には、法案審議における御議論を参考にし、また専門家の御意見を踏まえながら、具体的な内容について定めていきたいというふうに思っております。
  141. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 前委員会でも山本委員の方からも確認がございましたが、この「大臣の定めるところにより」というのは、例えば評価の仕方とか評価項目、こういったものを一律に決めてこのようにやっていきなさい、そういったものではないということで確認をさせていただいておりますが、そこで改めて、この「大臣の定めるところにより」、これが一体どういうものなのかということで、この性格といいますか、それを確認をさせていただきたいと思いますが、平成二年、福岡県の伝習館高校事件での最高裁の判決によりまして、学習指導要領は法的拘束力を持つものとの理解をしておりますが、まず、この学習指導要領の性格についてお伺いをしたいと思います。  あわせまして、この学習指導要領とこれから規定をされるであろうガイドライン的なもの、これがどういった法的位置付けになるのか、学習指導要領と同等のものなのか、また違うものなのか、この二点をお伺いをしたいと思います。
  142. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) まず、学習指導要領でございますけれども、学習指導要領は、学校教育法施行規則の規定に基づきまして、教育課程の基準として文部科学大臣が告示として定めるものでございます。いずれの学校においても教育課程を編成、実施をする場合、この学習指導要領に基づいて編成、実施をしなければならないという点で法的な拘束力を有するものでございます。  この点につきましては、昭和五十一年五月の旭川の学力テスト事件の最高裁判決におきまして、学習指導要領は法的見地から教育における機会均等と全国的な一定の水準の維持という目的のために必要かつ合理的な基準として是認をされているところでございます。また、お話のございました平成二年一月の伝習館高校事件最高裁判決におきましても、先ほどの判決が踏襲をされ、学習指導要領が法的拘束力を有することが確認をされているところでございます。  一方、義務教育学校における学校評価のガイドラインでございますけれども、これは、学校の教職員による自己評価や保護者等による学校評価につきまして、学校教育委員会における取組の参考に資するように、評価の項目などについて参考あるいは目安となる事項を示した文書でございます。よって、この学校評価のガイドラインは、法的拘束力を有するということではなくて、学校評価の方法や評価項目が必ずこれに沿って行わなければならないという性質のものではございません。あくまで評価は各学校教育委員会によって、その創意工夫によって実施をされるわけでございまして、そのための参考となる資料であるということでございます。
  143. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 もう一度、最後確認をさせていただきたいと思いますが、この改正案四十二条に基づく評価というのは法律上の義務ではなくてあくまで努力義務でありまして、また、この大臣の定める内容というのは参考にとどまるもの、そのように理解してよろしいでしょうか。再度確認をさせていただきます。
  144. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 学校教育法改正案の四十二条に基づきます学校評価は、これは各学校行っていただくわけでございます。ただ、その評価を実施するに当たりまして、どういう評価項目でどのような形の評価を行うかにつきましては、これはそれぞれの学校の創意工夫が求められているわけでございます。  したがいまして、例えば評価項目等につきまして、学校評価ガイドラインで参考となる目安等は私どもまたお示しをしたいと考えておりますが、これが全国一律の強制的な性格のものとはならないように考えているところでございます。
  145. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  では、今後の方針についてもお伺いしたいと思いますが、昨年定められましたこのガイドラインでございますが、その中にも、今後継続的に見直す、そういったことも書かれておりまして、これも前回の委員会で確認がございました。局長の方からも、今回の法案について認めていただければこのガイドラインについても見直しを行っていく、そういった答弁がございましたが。  そこで、改めてお伺いしたいと思いますが、今後こういったガイドライン等の見直しがあっても、将来的にも、このガイドライン的なものなんですけれども、性格は変わらないのかということで、学校評価はあくまで現場の主体的な取組ということで、性格的なものは変わらないのかということで、将来的な方針を確認させていただきたいと思います。
  146. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今回法案をお認めいただきました後、学校評価のガイドラインについても見直しを行うことが必要と考えておりますが、その際には、各学校教育委員会がその実情に応じて創意工夫を発揮して、学校評価をより一層充実することができるように、ガイドラインについては全国一律の強制的な性格のものとはならないようにしたいと考えております。
  147. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  この学校評価の推進状況でございますが、自己評価をほとんど公立学校で実施をされていると伺っております。また、より良い教育環境づくりを進めるためには、是非、この学校評価をする上で児童生徒の声をしっかりと聴いていくことが重要ではないかと私は考えております。やはり学校の中で、教育現場教育環境、一番影響を受けるのは、もちろん言うまでもなく児童生徒でございますので、この児童生徒学校に対して、また教員に対してどう見ているのか、どう感じているのか、是非この児童生徒の声を聴く、そういった自己評価の推進が重要であるかと思っております。  今、児童生徒による学校評価がどのように進んでいるのか、また、児童生徒による学校評価をこれからもしっかりと推進していくことが重要であると思っておりますが、その点について文部科学省の御見解をお伺いしたいと思います。
  148. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 平成十七年度の調査結果によりますと、各学校学校評価を行う際に児童生徒を対象にアンケート等を実施をしている割合は、公立学校で四一%でございます。  学校評価を行う過程におきましてこの児童生徒意見や要望を把握するということは必要なことだと考えておりまして、先ほど来お話に出ております学校評価ガイドラインにおきましても、自己評価の実施に際しまして、児童生徒等の具体的な意見や要望、あるいは児童生徒に対する授業についてのアンケート結果を活用するといったようなことも一つの方法であるということを参考に示しているところでございます。  各学校が、児童生徒意見や要望等も参考にしながら、学校評価の結果の全体を踏まえてその教育活動の改善が図られるように促してまいりたいと考えております。
  149. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今回、四十二条、四十三条で、学校評価制度の推進、またその情報公開、これが更に推進していくようにということで私も願っておりますが、最終的な目標としてはやはり学校運営が改善されることが重要でございますので、そういった意味で、この学校評価をして、またその学校評価に基づく情報公開をして、それは大前提といたしまして、その後、学校評価を基に様々学校の課題が出てくるかと思います。  その課題に対しまして学校側がどう今取り組もうとしているのか、改善に向けてどう行動しようとしているのか、そういったことを、すぐ結果に結び付かないものもあるかと思いますので、今このようにやっています、進行中のものでも結構だと思うんですが、是非とも、学校がこのように改善に向けて取り組んでいるということのその部分の情報の公開もすることによりまして、地域住民の方や保護者の方、そういった方々の信頼を得るためにはその部分の情報公開も重要であるかと思っております。  学校評価の実施、またその情報公開、またその後にどう取り組んでいるのか、その部分を積極的に是非学校側も情報を提供するような、そういった体制づくりも重要かと思っておりますが、大臣、御見解をお伺いしたいと思います。
  150. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 今の先生の御質問は、今回提出いたしております学校教育法改正案の四十三条に「情報を積極的に提供するものとする。」と書いてございますので、やっていただかなければいけません。  ただ、今政府参考人が御説明を申し上げましたように、ガイドラインを作りまして、学校評価の結果やそれに基づく改善方策を保護者や地域住民に積極的に情報提供をするわけなんですが、自己評価はほとんどの公立学校でやっておりますけれども、残念ながら公表率は六割にとどまっております。したがって、今後、学校学校評価の内容や改善方策の中間的な情報ですね、今おっしゃった、ようなものについてもやはり積極的に提供をし、例えば学校協議会の場だとかいろいろな場があると思います。地域社会と御家庭の協力を得なければ学校は一体となって児童生徒教育、しつけができないわけですから、そこには、何というんでしょうか、積極的に先生の御示唆のようなことを各教育委員会を通じて促していくというのが我々の仕事だと思います。
  151. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  是非、この学校評価の制度、また情報公開が反省的なもので終わらないように、本当に学校の改善につながるようなシステムになるように、是非とも先ほどおっしゃっていただいた対応をよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、この法律とは関係ないんですが、現職教員特別参加制度というものについて、最後、質問させていただきたいと思います。  先週の委員会でも中曽根委員の方から、長期社会体験研修制度、また中国、韓国との教員者の交流事業、この充実について質問がございました。教員の方が社会活動、様々な経験を積んだ中で人間性を豊かにして、人間としての幅を広げて、そういった取組を私も大変に重要であると思っておりまして、是非ともそういった取組も更に推進をしていただきたいと思っておりますが、それと別に、私自身も本当にすばらしいなという制度がありましたので、その制度の推進のために今日は質問させていただきたいと思っておりますが、それは青年海外協力隊現職教員特別参加制度というものでございます。  これは、青年海外協力隊に現職の教員の方がその身分を保持したまま開発途上国に行きまして教育に携わる、こういった制度でございます。この制度は、日本の国際貢献につながるのはもちろんでございますが、教員自身が今まで経験したことのない教育環境の中で、また子供たちの中で様々体験をすることができますし、大変に有意義な制度であると思っております。  私自身も、この制度に参加をした教員の方々から直接声を伺うことがあったんですけれども、その参加された一人の女性の先生は、まずなぜ参加をしたのかというところで、やはり日々の仕事に追われていて閉塞感を感じていて、何かやっぱり変えたいということで応募をされて参加されたそうでございます。その方はドミニカに行かれたそうなんですが、まず現地に行って感じたことは、今まで仕事が本当に大変と思ってきたけれども、ドミニカに行って、逆に自分は本当に恵まれた環境の中で仕事をしていた、そのことに気付いたということと、また、学校で今までは何か問題があれば全部子供たちのせいにしていたけれども、そうではなくて全部自分責任である、そういった派遣を通して感じたこと、また戻ってきて自分教師として働いていく上で自分の姿勢が、全部自分責任があるんだと、その姿勢が変わったときに子供たちにも笑顔が出てきて、子供たちの様子も変わってきた、このようなお話も伺いました。  また、実際に行かれた方々が戻ってからの活動もすばらしいなと思ったんですが、音楽の先生、パラグアイに行かれた音楽の先生は、南米の音楽を通して南米諸国の状況を伝えたり、戻ってからそういう活動をされております。そのほか、先ほどのベトナムの先生も、世界には鉛筆一本を手に入れるのも大変に厳しい環境の中で子供たちは勉強していると、あなたたちも感謝の思いを持って頑張っていきましょう、そういった授業を行ったり、戻ってからもそういった経験を生かして授業等取り組まれていると伺いました。  そういった今回の派遣制度でございますが、私も改めてお話を伺って、本当にすばらしい制度でありますので、先生方の資質向上もそうですし、また、昨年改正されました教育基本法にも、「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」、このように教育の目標にも書かれておりますので、この達成という観点からもこういった制度の充実が重要であるかと思っております。  今お話ししたことに対しまして、感想でも結構ですし、また御見解、この制度の充実、重要かと思っておりますが、大臣から御見解をお伺いしたいと思います。
  152. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 先生がおっしゃったとおり、率直に申せばお説のとおりだということでございます。  それで、国公立の現職教員文部科学省からJICAに御推薦を申し上げて、そしてJICAで出していただいているわけで、何というんでしょうか、所属しておられる都道府県に対してその給与の八割を上限としてJICAが補助をしながら、そして、もちろん先生が行かれると都道府県の定数には穴が空きますから、その代替教員義務教育国庫負担費の対象にして、ですから、八割までの予算を別枠として助成しているということですね、結論的に言うと。  そういうやり方をして、現在、八十名から九十名の方が毎年海外に出ていただいておりますので、日本理解していただくと同時に、今おっしゃったように、出た国の今度文化を持って帰って日本人理解していくということは非常にいいことだと思いますから、積極的に推進したいと思っております。
  153. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 今大臣からもおっしゃっていただきましたが、毎年百名の枠があるということでございますが、実際に派遣されているのは大体六十名から八十名ということで、この枠を満たしていないのが現状でございます。その枠を満たしていない理由を簡潔に教えていただきたいと思います。
  154. 瀬山賢治

    政府参考人(瀬山賢治君) お答え申し上げます。  JICAの方では百名の枠がございますが、実際派遣されている人数は百名以下でございます。その理由、幾つかございますが、一つは、百名を超える応募者があるけれども、応募人数の三割程度の方が現地の生活環境や医療事情を考慮して比較的厳しい基準が設けられている健康診断において不合格になっておられます。  ちなみに、平成十九年度派遣は、応募者百六十七名に対しまして五十三名の方が健康診断で不合格になってございます。また、派遣国の要請と本人の希望の不一致、ミスマッチがございます。その結果不合格になる例もございます。  いずれにせよ、派遣者数を増やすためにはより多くの応募者を得る必要があります。昨年、都道府県教育委員会に対して行ったアンケートによりますと、例えば各都道府県の財政事情による派遣人数の制約、また派遣期間中の代替教員確保などの課題があるという結果が得られてございます。  以上でございます。
  155. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 百名の枠を満たさない理由ということで今御答弁いただきましたが、是非とも、すばらしい制度でございますので、一人でも多くの方に参加をしていただきたいと思いますし、そのためには、先ほど答弁がございましたが、応募者数を増やすしかないと思いますので、是非ともこういったすばらしい制度があるということ、行かれた方の経験、活動報告も含めて、是非もっと積極的に教員の方々にアピールをしていただきたいと思っております。(発言する者あり)ありがとうございます。  そこで、具体的には、パンフレットとか、そういうものをしっかりと、初任者研修とか十年研修とか、そういったときにお配りするとか、また帰国報告大会みたいな、そういうこともやられているようですので、それを是非ビデオにしたりとかDVDにしてお配りするとか、様々方法はあると思いますが、是非ともこの応募者数を増やす努力ということでやっていただきたいと思いますけれども、その点についていかがでしょうか。
  156. 池坊保子

    ○副大臣(池坊保子君) 私も派遣教員の報告会に出席いたしまして深い感動を覚えました。教師が積極的に社会活動をすることに対して、もっともっと推進していかなければいけないと思います。子供と向き合うことはもちろん大切ですけれども、ほかの様々な活動をすることによって、更に子供と向き合う気持ちが違う角度から生まれてくるのではないかというふうに思います。  今おっしゃいましたように、こういう、JICAと協力いたしまして、「青年海外協力隊」、これよくできていると思うんですね。これ十万部も配布しているんですが、皆様ごらんになったことないんじゃないかと思います。どこに行っちゃっているのかとむしろ思いますぐらいで、これをもっと有効的に使いたいと思っておりますことと、それから報告会も実施しているんですね。だけれども、余りこれが機能していないのではないかと思いますので、もっと積極的に教育委員会だとか、それから校長会でも私もPRしてまいりたいと思います。委員も是非PRに参加して、いろんなところで言っていただけたら。まず知られなくては、行こうと思う人の、希望者の数を増やすことはできないと思います。  それから、私、残念に思いますのは、百名の定員があるにもかかわらず八十七名なんですね。これは三割ぐらい減るんです。ですから、私は補欠ということで、採るときに百名きっちりというんではなくて、百三十名、百四十名を採って、やっぱり私はここには行きたくないとか、健康診断で駄目ということが出ますから、もうちょっと多めに採っていいのではないかというふうに思いますので、その辺の工夫もしたいと思います。  それから、先ほど大臣がおっしゃいましたように、八割出ますよね。でも、北海道など工夫をしているところもございますので、こういうのをやっぱり周知徹底して、こういう工夫をしているところもあるんだから、皆さん方も、教育委員会が頑張っていろんな工夫をして、青年海外協力隊に是非先生を参加させてくださいということを呼び掛けていきたいと思います。これを是非していきたいと思います。
  157. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  是非、教員の方々の周知徹底と、先ほどもお話しいただきましたが、教育委員会や周りの方々が本当に快く送り出してくれるような環境づくりも重要ですので、そちらの方の環境づくりということでしっかりとお願いしたいと思います。  時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  158. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  今日は、学校教育法改正案に盛り込まれた学校評価にかかわって、いじめ問題に対する学校教育委員会の対応について質問をいたします。  まず、親の知る権利についてお聞きします。  先日、いじめによる自殺で我が子を亡くされた被害者の親の皆さんと、日本共産党として、親の知る権利について要望書をいただいて、懇談をする機会がございました。昨年の福岡や北海道滝川のいじめ自殺の遺族の方など要望に来られたわけですが、それ以外にも約八十人の遺族の方がこの要望書に賛同をされておられます。  この要望書は当日文部科学省にも届けるというお話でございましたが、まず確認をしておきたいんですが、大臣のところには届いて、読まれたでしょうか。
  159. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 五月の二十五日だったと思いますが、国会等の呼出しがありまして、私は直接お会いすることはできませんでした。  民主党の千葉先生の御紹介で、小森さんという方の名刺が付いておりましたが、滝川と福岡の筑前町のいじめ自殺の御遺族など四名が文部科学省に来られて、池坊副大臣に要望書を手渡されて、池坊副大臣から私が受け取って、目は通しております。
  160. 井上哲士

    ○井上哲士君 あの遺族の方々は、いじめなどで子供が自殺をしても、学校教育委員会から情報が来ない、そして、学校で何があったか分からないということを訴えられました。  要望書の中では、親の知る権利についての遺族の思いを様々書かれております。耳を覆いたい事実があるかもしれませんので今後生きていく上では知らない方が楽かもしれません、しかし、遺族となった親にとりましては、せめて我が子の身に起きた真実を知りたいのですと。残念ながら、亡くなった我が子に一番近いところにいるはずの親が、個人情報の名の下で行われている偏った情報管理のために真実から一番遠く追いやられているのが現実ですと、こういうふうに書かれておりました。  あわせて、様々そういう全国の実例についても一覧表をいただきましたけれども、例えば、これは東京町田市の例として書かれておりましたが、遺族が事故報告書ができているはずだと、その開示を学校に求めたわけですが、学校はそういうものを作っていないと、こういうふうに言われるんですね。その後、市教委と交渉すると、実は報告書が出ているということが分かりましたものですから、校長に再度見せてくれと言ったら、それは皆さんに見せるために作ったんじゃないということで見せていただけなかったと。ところが、その事故報告書のコピーは市教委によって、いじめた生徒の名前を塗っただけで、市議会の文教委員会、秘密会ではあったそうでありますけれども、配付をされたと。なぜ親には見せないんだと、こういうことなんですね。  それから、同じように、これは鹿児島の例でありますけれども、校長は遺族には口頭でしか説明をしないと。ところが、市議会やマスコミには事件に関する膨大かつ詳細な資料がコピーで渡されている。かつ、学校は、全校生徒七百人にアンケートを取っているんですが、これは、親が見せてくれと言ったら、公表しないと生徒に約束したということで、わずかな概略を説明しただけで見せてもらえなかった。ところが、この鹿児島の例も、市議会の総務文教委員会学校はアンケートを提出しておりまして、マスコミにもコピーが配付をされたと。ですから、遺族はマスコミを通じてその内容を確認をするけれども、中には明らかな誤解があったということで訂正を求めていると、こういうような例も書かれておりました。  この我が子に一番近いところにいるはずの親が真実から一番遠く追いやられているという現実と、こう被害者の皆さんが訴えられているこの状況を、大臣、どう受け止めていらっしゃるでしょうか。
  161. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 事実関係については、一部司法の手にゆだねられているような部分もございますし、一つ一つその確認をして、やっぱり慎重にお答えすべきことだと思います。  一般論として言えば、自殺などの問題が起こったときに、学校教育委員会は隠すことなく家庭地域にそのことをお話ししなければならないということは、私は当然のことだと思います。問題の存在はなかなか認めないという教育委員会学校の体質にむしろ問題があると思います。ですから、当然遺族の方と情報が共有されなければならないというのは先生の御指摘、一般論として言えばですよ、御指摘のとおりだと思います。  それと同時に、これも一般論として言えば、亡くなられた児童と最も近いところの親にあるいは保護者に情報を遮断するという人たちも困る、誠にそれは困ることですが、一般論として言えば、亡くなられた子供さんに一番近いところにおられる親が子供さんと相談を受けておられたのかどうなのか、子供さんから得られた情報学校にどう提供されているのかどうなのかということもやはりよく考えて、児童生徒が一番の被害者でありますから、お互いに相手を非難するんじゃなくて、情報を保護者も学校と共有しながら子供を守ってやれるような私は日本であってほしいと思います。
  162. 井上哲士

    ○井上哲士君 正に被害者の方が言われているのも今大臣が言われたことなんですね。  二つ言われておりまして、一つは、再発防止策を立てるためにも事実の確認が非常に大事だということ、もう一つは、親にはやはり我が子について知る権利があると、この二つのこと言われております。  国連の被害者の人権宣言というのが出されておりますが、そこではその家族を含んだ被害者の知る権利は最も基本的な権利として認められておりまして、学校教育委員会が知り得た情報を個人情報保護の名の下にやっぱり親に知らせないということは被害者の知る権利や親の権利を侵しているんじゃないかと、こういうこと。もう一つは、正に親と学校が真実を共有してこそ再発が防止できるんだと、こういうことも被害者の方は言われている。ですから、学校で何が起きているのかということを知ることができるシステムをつくってほしいと、こういう要望なわけですね。  ですから、事実調査の経過や結果をやっぱり第一に被害者や遺族、そして加害者として名前が挙がっている本人や保護者や当事者に報告してほしい。それから、事故報告書には必ず遺族を含めた当事者の意見を併記するように、そういう言わば事項のフォーマットも作成をしてほしい。こういうことも言われておりまして、ですから、自分たちに状況も聞いてほしいし、そして学校が持っている情報もちゃんと伝えてほしい。そうやって共有してこそ問題の解決にもなるし親の知る権利も守られるんだと、こういう立場での具体的な提案をされているわけで、私、やっぱり親の知る権利ということも踏まえ、そして再発防止のためにも、こうした遺族の皆さんの提案にこたえて具体化をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  163. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) ちょっと先生、意図的ではなかったと思いますが、私のもう一つお願いしていることを先生おっしゃらずに、正に言っているとおりだということをおっしゃいましたけれども、私が申し上げているのは、それは確かにその学校教育委員会というのは、一番子供と身近なところに情報を遮断しているのは私はおかしいと思いますよ。しかし、親は一番身近なところにいるわけですから、子供から相談がなかったんでしょうか。あるいは、子供から相談がないような関係であったらやっぱり困るんですね。そして、親は、一般論としてですよ、これは、一般論として言えば、やはり相談を受ける、子供との間に相談を受けるだけの親子関係を確立して、そしてその子供のつらさを学校へやっぱり情報提供するという、双方のこれはこの流れの中で子供というものの命をやっぱり守っていかなければならないんですよ。  ですから、今のは私はシステムの問題じゃなくて、事実を隠ぺいしたいという、今の例でいえば、あの問題が起こったときは私は即座にそれはけしからぬことだと申し上げたように、教育委員会学校現場の問題もございます。しかし、一般論として言えば、保護者の方も常時、子供に一番身近なところだとおっしゃるわけだから、子供の苦しみをやっぱりよく理解できるような親子関係の中で、情報学校にも提供するという、双方の気持ちの中に子供というのは守られていくんだということだけは、一方通行じゃなくて、私は理解しておくべきだと思いますから、これはシステムの問題じゃなくて、むしろそういう人間関係が不十分なところに起こっていることが起こらないようにするためには、行政サイドは隠ぺい体質をやめさせるという努力をいたします。同時に、親御さんもまた、家庭というもので教育が一番の原点だということであるわけですから、子供の苦しみを聞いてやれる親、そしてそれを学校へしっかりと届けて、それでもなお学校が不十分なときは学校に対して十分のやはり社会的制裁が下されるという関係でなければならないと思います。
  164. 井上哲士

    ○井上哲士君 私が同じと申し上げたのは、この要望書の中でも、事実調査については学校の調査だけでなく被害者や遺族の意見を重視してくださいと。要するに、被害者や遺族によく聞いてくださいということも言われているということを指して申し上げました。  今大臣答弁ありましたけれども、一般的なその隠ぺい体質ということとその親の知る権利ということは、共通ですが別の話なんですね。先ほど申し上げましたように、報告書があって、マスコミなどには一部出たり、議会には出されていても、親に知らされない。ですから、家族地域や保護者といじめなくすために様々な協力をするということは当然なんですが、その中で、やはり親については特別に知る権利がある、そして、そこにはきちっとやっぱり情報を提供するということは特別の問題として重視をしてほしいと、こういうことなんです。一般的な隠ぺい体質じゃない。  そこは、しかし、ですから、例えば調査報告書などは、ちゃんと教育委員会に出したものは例えば親にもお見せするとか、そういう形のシステムとして確立をしてほしいという願いなわけです。その点いかがでしょうか。
  165. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) これは、いじめというのも千差万別ですし、子供の尊い命が失われるというのもいろんな状況によって違ってきますから、一概にシステムという問題で私はこれを処理すべきことではないと思うんですね。  先生のおっしゃっていること、私は不同意じゃないんですよ。今回のことについて言えば、私は明らかに隠ぺい体質があったと、積極的に親御さんにお示しすべきことだったと思います。ですけれども、システムの問題じゃなくて、だから、一般論として言ってしまえば、やはりこれは人間の信頼関係、相互関係をいかに日常的に築けているかという問題になるんですよ。そのためには、親御さんも子供との間の信頼関係を築いて、一般論として言えば、そして、こういううちの子供は悩みを抱えているということを命を失われる前に学校にインプットしていただかないと困るんですね。そして、学校もまた、子供さんがこういう状況であるということを進んで御家庭にお知らせして、そして、むしろ未然に命を絶たれることを防いでいくと。  不幸にも命を絶たれた場合には、そういうものを一方に、どこか、議会に出してマスコミに出して、御本人の親御さんに見せないなどということのような人間関係であっちゃ本来いけないんですね。だから、常日ごろの双方の情報交換と人間関係をやっぱり保護者と学校とが双方で努力をしてつくり上げていく、そういう学校現場の努力を促すということは私はやりたいと思います。
  166. 井上哲士

    ○井上哲士君 現在進行形のものについてそういう対応していく、それは必要であります。同時に、今私が問題にしているのは、不幸にもそういう事件が起きてしまったときに、やはり圧倒的に学校側の方に様々な情報量ありますし、アンケートなども学校取るわけですね。そして、人間関係と言われましたけれども、現に被害者の皆さんはこういう現実があるということを踏まえた上で、踏まえた上で、例えば事故報告書には遺族を含めた当事者の意見を併記するような欄を作るとか、やっぱり現実に親の知る権利が生かされてないという現実がある以上、システムとしても前進をさせてほしいと、こういう思いなわけですから、私はこれ是非、現実に十分に親の知る権利が保障されてないというものがある以上、システムとしてもやっぱり前進をさせていただきたいと、こういうことを、親の皆さんの気持ちを是非受け止めていただきたいと思うんです。  その上で、今、現在進行形のいじめの問題も大臣からございましたけれども、このときにも当然親の知る権利は私は認められるべきだと思うんですね。民法上の養育義務を果たす上でも事実を知ることは必要でありますし、逆に子供が安全に生きる権利を保障するという点でも親が知ることは必要であります。  去年、いじめが大問題になったときに、十月に文部科学省として通知を出しておりますが、その中に「いじめを把握した場合には、速やかに保護者及び教育委員会に報告し、適切な連携を図ること。」と、こういう文言があるわけですが、これはやはりこういう、当然保護者、親に知る権利があるということを踏まえたことだということでよろしいでしょうか。
  167. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 昨年の十月十九日に発しました局長通知を引いてお尋ねがございました。あの局長通知は、基本的には、いじめの問題に対して問題を隠さないで、学校教育委員会家庭地域が連携して対処をしていくべきだという考え方から発したものでございます。  具体的には、いじめの問題については学校のみで解決することに固執してはならない、学校においては、いじめを把握した場合は速やかに保護者及び教育委員会に報告をし適切な連携を図ること、保護者等からの訴えを受けた場合には、まず謙虚に耳を傾け、その上で全員で取り組む姿勢が重要であること、こういったことを徹底をしていこうという趣旨でございます。  先ほど来のお話にもございましたように、子供教育について第一義的な責任を負って子供の安全、安心について大きな関心を持つ保護者の方が情報を知りたいと、また情報学校が提供して、情報を共有をして連携を図るということは当然必要なことでございまして、そういう趣旨で指導を行っているものでございます。
  168. 井上哲士

    ○井上哲士君 情報の共有は当然必要なんだということなんですが、これと、通知と一緒にいじめ問題への取組についてのチェックポイントというものも配付をされているわけですが、これを見ますと、「児童生徒等の個人情報の取扱いについて、ガイドライン等に基づき適切に取り扱われているか。」、こういうポイントはあるんですが、いじめが起きた場合に保護者に速やかにやはり情報を提供するということが明記はされていないわけですね。  私は、やっぱりこれでは親の知る権利が後景に追いやられ、しっかり情報を共有して取り組むということにならないと思うんですが、この点、チェックポイントの中にも明確にそういうことを明記すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  169. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 昨年の十月十九日に示しましたチェックポイントは、通知の別添資料として、具体的に点検すべき項目の参考例として示したものでございます。  今お尋ねの点でございますけれども、このチェックポイントにおきましては、学校向けのチェックポイントの中に、いじめについて訴えがあったときは、問題を軽視することなく、保護者や友人関係等からの情報収集等を通じて事実関係の把握を正確かつ迅速に行い、事実を隠ぺいすることなく的確に対応しているか、それからもう一点でございますが、いじめが起きた場合、学校として家庭との連携を密にし、一致協力してその解決に当たっているか、いじめの問題について学校のみで解決することに固執しているような状況はないかと、こういった書きぶりで保護者との連携協力について示しているところでございます。  先ほど申し上げましたように、通知本文におきまして、いじめを把握した場合、速やかに保護者及び教育委員会に報告をし、適切な連携を図ること、実際にいじめが生じた際には、正確な情報提供を行い、事実を隠ぺいしないということを通知本文においても記載をしているところでございます。  私ども、このいじめの問題については、とにかく問題を隠すことなく、学校、保護者、そして地域教育委員会、一致協力して問題に当たるということが最も大切なことだと思っております。
  170. 井上哲士

    ○井上哲士君 確かに一般論としては事実隠ぺいすることなくと、こうあるわけですが、私、先ほどから繰り返していますように、やはり被害者の親というのは特別の立場があり、特別の思いがあるわけですから、そこにきちっと報告し、情報を提供し、共有するということは、やはり特記されるべきだと思うんですね。この中にやっぱり一般的にうずもらしてはならないと思います。そこは是非お願いをしたい。  さらに、このいじめ問題でのいわゆる学校の安全配慮義務についてお聞きをいたしますが、二〇〇二年一月の東京高裁の判決で、学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係における生徒の安全確保配慮すべき義務があり、特に生徒の生命、身体、精神、財産等に大きな悪影響ないし危害が及ぶおそれがあるようなときは、そのような悪影響ないし危害の現実化を未然に防止するため、その事態に応じた適切な措置を講じる一般的な義務があるということで、この学校側の安全配慮義務について認める判決を下しておりますが、文部科学省としては、このいじめ問題での学校の安全配慮義務についてどういう認識で、どういうふうにして徹底をされているでしょうか。
  171. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) いわゆる学校の安全配慮義務につきましては、ただいまお話がございましたように、平成十四年の一月の東京高裁判決におきまして、学校に一般的な生徒の安全の確保配慮すべき義務があるという判決が出ているわけでございます。  文部科学省としては、こういう学校における教育活動及びこれに密接に関連をする生活環境における生徒の安全の確保配慮すべきことは、これは大変重要なことでありますし、いじめ対策の前提となる重要な考え方だと思っております。  昨年の十一月の二十一日に関係判例とともにこの考え方を教育委員会に周知をしているところでございます。また、本年に入りましてからも、都道府県教育委員会等の生徒指導主事を集めました会議など複数の会議におきまして、教育委員会にこの安全配慮義務という考え方について周知をしているところでございます。
  172. 井上哲士

    ○井上哲士君 周知されているということだったんですが、やはり安全配慮義務というのは、いじめを継続させないと、そこまでがこの義務だという、その中身の核心を是非周知していただきたいわけですが、同時に、被害者の会の会長さんが奥さんと一緒に車で全国行脚をされて、四十七都道府県を全部回って講演されています。各県の教育委員会に行かれて、とにかくこれ以上いじめ被害者を増やしたくないという思いから懇談をされているんですが、どの教育委員会でも、この安全配慮義務について、少なくとも対応された方からは知らないということだったと、こういうお話なんですね。  結局、あれこれのいろんな文書の中の一つになっているんじゃないかと。被害者の方々が最も願っていることがこういうことではこれはまずいわけでありまして、更に私はきちっと徹底をしていただきたいと思うんですけれども、改めていかがでしょうか。
  173. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 学校の安全配慮義務につきましては、これまでの判例等も私どもお示しをしながら周知を図っているところでございます。昨年十一月には文書によりまして周知も図っているところでございますが、引き続き、会議等の場を通じまして、機会をとらえて周知に努めてまいりたいと思っております。
  174. 井上哲士

    ○井上哲士君 いじめ問題については教育基本法質疑のときも問題になりました。そして、私たちは、今後、国が教育振興基本計画の中にいじめをなくすための数値目標を定めるということは、逆にありのままを報告をして実態に即して対応することを妨げてしまうのではないかと、こういう指摘もしたわけでありますが、今、振興基本計画の議論がされていると思いますが、このいじめ問題というのはどういうふうに盛り込まれようとしているんでしょうか。
  175. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 昨年改正をされました教育基本法に基づきまして教育振興基本計画を策定すべく、現在、中央教育審議会におきまして教育振興基本計画特別部会を立ち上げて議論をしているところでございます。  この教育振興基本計画に盛り込む内容は、改正教育基本法規定をされました新たな教育の目的や理念を実現するための施策を総合的、体系的に実施するための事項を盛り込むということになろうと考えておりますが、具体的な内容については、今議論が始まったところでございまして、その議論等を踏まえつつ検討していくということになるかと思っております。
  176. 井上哲士

    ○井上哲士君 いじめ問題で五年で半減とか、こういう数値目標を持つというのは逆に解決の妨げになるというのは、実はこのいじめ自殺の被害者の皆さんの要望書にもある、言わば共通認識なんですね。この要望書の中では、正しい情報が収集されるように、目標数値の設定はやめてくださいと。現場の先生は目標数値内に収めなければ様々な評価に響くので本当の数字は書けず、今のシステムでは正しい調査結果は望めませんと、こういうふうに述べておられます。  今後、これから学校評価が進められていくわけでありますが、こういう数値目標などが項目や指標になっていくということになりますと、やはり被害者の遺族の皆さんの懸念するような事態になると思うんですね。やっぱり問われるのは、いじめの多い少ないじゃなくて、どういうふうになくすかについて取り組んでいるかと、こういうことがしっかり徹底されなくちゃいけないと思いますが、それに反するような評価になっては私はならないと思うんですが、その点、大臣のお考えをいただきたいと思います。
  177. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 先生が正におっしゃったように、いじめを減らすんじゃなくて、どういう努力をしていじめがなくなるかということが大切だとおっしゃるのはそのとおりだと思いますよ。  ただ、目標をつくったから、その目標に合わすために隠すという人も困ったものだけれども、目標が全くないから、野方図に行政が現場で行われるというのも困りますので、要は教師教育委員会を含めて、何度も私、申し上げておりますけれども、規範意識というのか、隠ぺい体質を払拭しない限りこの問題はいい方向へやっぱり先生、向かわないんですよ。  ですから、システムとかどうだとかということではなくて、私どもも、御遺族が考えておられるような痛みをやっぱり共有できるような教師教育委員会というものをつくっていくために最大限の努力をいたします。
  178. 狩野安

    委員長狩野安君) 時間ですから。
  179. 井上哲士

    ○井上哲士君 問題点を助長するようなシステムになってはならないと思います。是非、遺族の皆さんの願いに正面からこたえていただきたいと思います。  終わります。
  180. 狩野安

    委員長狩野安君) この際、お諮りいたします。  委員議員近藤正道君から学校教育法等の一部を改正する法律案外六案についての質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 狩野安

    委員長狩野安君) 御異議ないと認めます。  それでは、近藤君に発言を許します。近藤正道君。
  182. 近藤正道

    委員以外の議員(近藤正道君) 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  ただいま私のために委員先生方から委員外発言、特別に認めていただきまして、本当にありがとうございます。心から感謝を申し上げます。  教育三法でございますけれども、私は、教育免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案に絞りまして、三十分質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず、教育免許法の教員免許更新制度についてお尋ねをしたいというふうに思っています。  教員資質向上のための施策であるということでございます。教員資質向上のための施策、方策は幾つかあるんだろうというふうに思いますが、その中でこの免許更新制度を選択をされたと。しかし、これは先進国の中でもアメリカの一部の州で行われているだけで、ほとんど行われていない。しかも、〇二年の中教審の中では種々の意見を理由を付けて一度否定されたものでございます。それが今回こういう形で法案化をされました。〇二年度のときの言わば否定の理由、まだ幾つか残っているものもありますし、私自身はなぜ教員だけに免許の有効期限が付くのか、公務員制度全体の中での調整は十分付いていないというふうに思っておりまして、なぜ資質向上のためにこの免許更新制度なのかということについては、率直に言って納得できないものがございます。  その上でお尋ねをするわけであります。これにつきましては、代表質問でも、あるいは今日の午前、午後の質疑の中にありましたけれども、重複することをお許しいただきたいんですが、まず最初に免許更新制度の目的でございます。  資質向上は分かるんですが、これだけではなくて、いわゆる不適格教員の排除の趣旨も含まれているんではないか。主たる目的は資質向上だということは承知をしておりますが、不適格教員の排除ということもこの中に含まれているんではないかと思えてならないんですが、いかがでしょうか。
  183. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) まず、免許更新制の導入のねらいでございますけれども、国際化が進み、価値観が変化をし、自然科学が進化をするなど世の中が時々刻々と変化をしている中で、国立、公立、私立を問わず、学校に在職する教員がその時々で必要な知識、技能を確実に身に付ける、そういう免許更新講習を受講を修了して、教員免許に対する信頼を高めていくという観点から導入を考えたものでございます。  もちろん免許更新講習は受講し修了してもらう必要がございますので、更新講習を受講して修了認定をもらえない方はこれは更新できないわけでございますけれども、何回やっても修了認定もらえないというような人については、それは別途いろいろな対応はあろうと思いますけれども、基本の考え方は、先ほど言いましたように、その時々で必要な知識、技能を確実に身に付けるための免許更新制という考え方でございます。
  184. 近藤正道

    委員以外の議員(近藤正道君) 質問にストレートに答えていただかなかったようでありますが、今の御答弁でも、主たる目的ではないけれども従たる目的の中には入っているようにお答えになっているように思うんですが、再度お聞きしたいというふうに思います。  世論は、このことについては、例えば日経新聞の世論調査を見ましても、免許更新制度導入結構だと。しかし、その理由として、七、八割の人たちが不適格教員を排除するために有効だからこの制度必要だと、こういうふうに答えている。だから、皆さんのおっしゃっていることと相当ずれがあります。  そしてまた、安倍総理も御自分の著書、例の「美しい国へ」という中に、不適格教員を排除する、そういう一つの有効な手段として免許更新制度というものを位置付けられておられる。そしてまた、昨年の十二月の教育基本法の論議、衆議院の中でも、安倍総理、明らかにこの免許更新を不適格教員のチェック、こういう脈絡の中で免許更新制度を位置付けられる答弁をしている。私は、素直に読めばもうそういうふうにしか理解できないような答弁をされておりますし、また、再生会議でもそういう不適格教員を排除するために免許更新制度を入れると、こういう議論が行われている。  さらに、あの〇六年の中教審の答申の中にも、ところどころに不適格教員の排除という、まあ言わばねらいといいましょうか、意図といいましょうか、そういうものが出てきております。つまり、今ほど局長がおっしゃった言葉と重なりますけれども、免許更新講習の受講修了ができない者はその時点で教員として必要な資質能力を有していないこととなり、結果として教員として問題のある者は教壇に立つことがないようにすると、こういう効果を持っていると。こういう趣旨のことは二か所ないし三か所出てきます。  ですから、私は、こういうものを考えれば、それは確かに必要な資質の刷新、これが第一義的なあるいは直接的な目的であるということは認めます、法の第一条に書いてあるんですからそれは認めますけれども、しかし、第二義的あるいは間接的な、そういう結果的なものとして不適格教員の排除、これも法案のやっぱり目的であると、これも明確なんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  185. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今回の法案の提出に当たりまして、その基となりましたのは今年三月十日の中央教育審議会の答申でございます。この中央教育審議会の答申の中では、その時々で求められる教員として必要な資質能力が保持されるよう定期的に必要な知識、技能の刷新を図るための方策として免許更新制の導入を図ると。今回の更新制は、教員が、社会構造の急激な変化や学校教員に対する期待等に対応して、今後も専門職としての教員であり続けるために、最新の知識、技能を身に付け、自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ていくという前向きな制度であるということで、まず趣旨として免許更新制はこういう考え方に立っているということを明確に述べているところでございます。  それで、あと、先ほど来先生がおっしゃっておられるのは、免許更新制は更新講習を受けて修了認定を受けるというのが更新の要件になりますので、教員としてその更新講習を修了できない方は、これは教員として必要な知識、技能を有していないこととなって教員免許が失効するわけでございますので、結果として、結果として教員として必要な知識、技能を有していないという、こういう方は教壇に立つことがないようになるということにはなるということでございます。
  186. 近藤正道

    委員以外の議員(近藤正道君) ですから、同義反復なのか分かりませんが、私は、いわゆる第二義的あるいは間接的、結果的に不適格教員の排除、こういうものもその目的の中に含まれる、これむしろ明確にやっぱりされるべきなんではないか。  その上で、いわゆる不適格教員の排除、これは本来は分限でやるべきだと。能力向上はやっぱり研修でやるべきだと。その本来の姿に合わせてきちっとやっぱり任務分担をさせるということの方が私は非常に分かりやすいんではないか、そういうふうに思えてならないんですよ。大臣、いかがでしょうか。
  187. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) いや、先生がおっしゃったとおりの構成になっているんですよ。  ですから、これは確かに、先生がおっしゃったように、再生会議や何かにもいろいろな意見がありました。しかし、法制局的に言えば、我々はやはり実務をやっているわけですから、従来の流れと違うことはできないですよね、幾らおっしゃっても。ですから、やはり一応職業免許として交付をしている免許状を、駄目教師だからといってその免許を強制的に失効させることによって失職させるということは、法制局的に言えば私は非常に難しいと思います。ですから十年ごとに研修をやると。そして、本来、駄目教師の排除というのは先生がおっしゃったとおり分限でやるんですよ。ですから、校長の評定でこれはどうしても駄目だという評価を受ければ、前回、委員外ですからお見えになっておりませんでしたけれども、その場合は、井上先生が御質問になったように、別途の研修があるわけですね。それをクリアしなければ即座に分限の対象になります。  今回は、十年たてば世の中も変わっておりますし、能力が一定であっても、世間の動きに応じて教えていく教え方だとかそういうものが、もう一度再確認をして新しい知識を入れようと。それに、認定を受けられないというんならもう一度受けてもらえばいいわけです。もう一度やっても駄目だと、三度、四度やって駄目な場合は分限の対象になってくるということであって、三度、四度駄目だからすぐに教師としての資格を排除するということ、学校現場から排除するという構成にはなっていないということを参考人が説明しているわけです。
  188. 近藤正道

    委員以外の議員(近藤正道君) 私が申し上げたいのは、むしろ位置付けを明確にして、やっぱり残滓が、不適格教員排除のやっぱり残滓が免許更新制の中にあるんですよ。だから、それをもう完全に排除して、これはもうとにかく基本的にみんなこれ受かると、よほどのことがない限り不合格になるなんということはやっぱりない、そういう実質研修だというふうに位置付けて、駄目教師、不適格教員についてはむしろ分限でやる、そういうふうな仕分をびしっとやっぱり私はやった方がはるかに分かりやすい。  ところが、スタートが、不適格教員排除というところからスタートしたもので、異物が入っていて非常にこれ理解が不徹底だ。だから、むしろこの際、更新講習については、基本的にそれは、それはいったん免許、私は期限が切れるということ自身が基本的におかしいと思うけれども、ここではやっぱり基本的には落とさないんだよと、こういう原則をきちっと固めるべきだ、打ち出すべきだ、私はそう思いますが、いかがですか。
  189. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 新しい時代に合った知識を十分付けておられるかどうかというのは、研修をお受けになったらやはり認定させていただかないと困るんで、それを頭から成績が悪くても何であってもすべて落とさないんだということを言えというのは、先生、それは無理というものでございます。  ですから、実際の運営先生のお気持ちに沿ったような運営になると思いますよ。通常、日常の業務を的確に行っておられる先生で、研修をまじめに受けようという意識さえお持ちであれば、三十時間たって認定が受けられないなどということは普通は私はないと思いますから、先生の御心配になっているようなことにならないような運営は担保されていると御理解いただいてよろしいんじゃないでしょうか。
  190. 近藤正道

    委員以外の議員(近藤正道君) 私は、まず大前提として、その免許更新制度といいましょうか、終身免許がここへ来て有限の免許になった、それ自身のやっぱり合理性に基本的な疑問を覚えておりますんで、それをクリアするための免許更新講習は、基本的に、よほどのことがない限りそこで落ちるなどということはないようにしてやらないとこれはおかしいんではないかと、そういう趣旨を申し上げているわけです。言わば、不適格教員の排除は、それは分限のところできっちりやっていただければいいと、そういうことでございます。  次に、その脈絡の中で聞きますが、更新講習の対象者の中で免除をされる人が出てくる。最初、管理職ということだけだったんだけれども、成績優秀者、そのうちに、答弁の中で勤務実績良好な教員などという話が局長の中から出ました。勤務実績良好なんということになると、正に校長先生とか教頭先生の覚えめでたい人ばっかりみたいな、そうでない人だけが更新講習の受講対象になるような、そんなイメージを持って、非常に恣意的で不公平な、そういう私はおそれを抱くわけでございますが、この免除者の範囲、なぜそういうものを設けるのか。私は、講習をやるというんなら、本来、教育にかかわる立場の人はみんな受ければいいと、こういうふうに思っておるんですけれども、ここへ来て大幅にかなり、優秀な人については免除するということですから、どういう考え方なのか、基本的な考えを聞かせてください。
  191. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 改正法案の九条の二第三項で、知識、技能その他の事項を勘案して免許状更新講習を受ける必要がないものとして文部科学省令で定めるところにより免許管理者が認めた者は免許更新講習を受講することなく更新ができることとなっております。  その場合、最新の知識、技能があると認められる者というのが一つの判断基準になろうかと思いますけれども、今考えておりますのは、優秀教員として表彰をされた方、校長、教頭等教諭を指導する職にある方、そして、今お話がございました勤務実績を勘案して受講する必要がないと認められる方、こういう方を今想定しておりますが、例えば、勤務実績が良好であることによって受講を免除すべき者としてどういう方がいるのかということでございますけれども、例えば、教諭ではあるけれども更新講習のむしろ講師をしている方とか、そういったような人は対象になり得るのかなと考えておりますが、これは関係者の納得が得られる免除の基準というのを今後きちんと検討していくことになろうかと思っております。
  192. 近藤正道

    委員以外の議員(近藤正道君) 次に、更新講習の中身についてお聞きしたいというふうに思うんです。  こういうことを言うと大臣は怒られるかも分かりませんが、この免許更新制度が出てきたとき、とりわけ昨年ぐらいまでは、新聞の社説等にも、これは教員の個人の思想の踏み絵の役割を果たすんではないかと、こんな社説が一部の新聞などにも出ました。それと、昨年の十月に自民党の中川昭一政調会長が、デモや集会に出るような教員なんかはむしろ免許を、資格を剥奪した方がいいんだと、こういうふうな発言もされますと、まあそういうことを文科大臣が意図しているとはとても私、思えないんですけれども、やっぱりそういうこともかなり心配であるという、そういう声がいろいろ出ております。  そして、衆議院では、特別委員会で更新講習の内容の妥当性に関して、例えば更新講習のときに日の丸を掲揚し、あるいは君が代を斉唱させるというような講習内容、これは実技だとかあるいは演習とかということもあり得ますので、そういうこともないという理解でよろしいのかと、こういう質問が出ましたよね。このことについては大臣、直接答弁されないで、とにかく、いずれにしても学習指導要領に基づいてちゃんとやってもらいますと、こういうふうに御答弁をされました。  しかし、昨年の教育基本法改正教育の目的、愛国心だとか、あるいは国や郷土を愛する心、このことについては個人の内面の自由とのかかわりで様々な議論がありましたよ。学習指導要領についても、そういう形で過去も現在もこの議論が続いているわけでございますが、学習指導要領の内容を全面的にこの更新講習の中で行っていくということになりますと、場合によっては個々の教員の思想だとか信条をチェックするような、こういうこともあるんではないか、こういう質問も衆議院でありまして、このときに銭谷局長は、そういうことはないと、こういうふうに御答弁をされましたけれども、しかしこのことの議論はやっぱり繰り返し出てきているわけでございます。  今回、学校教育法の中に改めて教育の目的というものが改正教育基本法からまた引用されまして入ってきておりますが、個人の内面と微妙にかかわる様々な問題が出ておりまして、この各教員の思想、信条をチェックすることにつながるおそれはないかと、こういう疑問は引き続き出ております。  そして、これからいろいろ省令で講習内容が決まる。しかし、講習内容は、筆記だけではなくて、実技だとかあるいは口頭試問だとか、そういうこともあり得る。そういう中で教員個人の思想、信条の吐露が求められるような、そういうふうな懸念がないのか、十分留意をしてここら辺はやっていただきたいというふうに思いますが、大臣にこういうことはあり得ないということを明確にひとつここで御答弁いただければ有り難いと、こういうふうに思います。
  193. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 思想、信条というようなものをチェックするということは、それはあり得ないでしょう。  しかし、例えば教育基本法改正の際にも大きな議論になりましたけれども、この法律及び他の法律の定めるところにより教育は行われねばならないわけですから、この法律及び他の法律に定めるところにより、つまり学習指導要領に違反したようなことをおやりになった場合には、これ、ある人はそれを思想、信条の吐露だと考えるかも分からないけれども、行政を、教育行政を預かっている者としては、この国会国民の代表が決めたことどおりおやりにならないことについては、それは分限の対象になりますよということは、先生、それは当然起こり得るということを何度も教育基本法のときにはやり取りをしましたね。それが不服だとおっしゃる方があっても、それは不思議じゃないんですよ。それはもう司法の場で争うより仕方のないことなんですね。  ですから、この免許そのものが、あなたは何党を支持していますかとか、あなたは何イズムですかとか……
  194. 近藤正道

    委員以外の議員(近藤正道君) 講習内容の話ですよ。
  195. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) そんなことを講習内容にするなんということは考えてもおりません。  ただし、学習指導要領に抵触するようなことがあっては困りますし、自民党の政調会長の中川昭一さんがどういう表現をしたかは私、つぶさには分かりません。しかし、職場を放棄をして、地方公務員法に反する行為をした場合は、それはその思想、信条をとがめられるんじゃなくて、職務専念義務や地方公務員法違反ということで分限の対象になるということは、これは別の問題です。
  196. 近藤正道

    委員以外の議員(近藤正道君) 私は、公務員や教員が非違行為をやって、そのことが地方公務員法等で問われるということ、それはあるかもしらぬ。私が今申し上げているのは、更新講習の内容においてそういう個人の内面に触れるような、そういうものの吐露を求めるような、そういう内容は厳に慎重であってもらいたいと、そういうことを申し上げているわけでございます。  もう一度どうぞ。
  197. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 中川昭一さんの例を引かれたり、あるいは日の丸・君が代のことを例に引かれたりしましたので私は学習指導要領教育基本法の十六条の御答弁を申し上げたんで、当該研修については思想的な踏み絵をするという先生の御心配が当たるような運営はいたしません。
  198. 近藤正道

    委員以外の議員(近藤正道君) 分かりました。  そういうことをきちっとやっぱり担保する意味でも、私は、これは更新講習、一定の大学等でいろいろお願いをすると。その開設の認定基準だとかあるいは講習内容等については、少し第三者の目も入れたところできちっと議論をして大綱をお決めになった方がいいんではないかと、文科省だけで決めるんではなくて。そういうふうな思いがあるんですが、だれがどういうふうにこの講習内容等を決めるんでしょうか。
  199. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) これは、法律をお認めいただければ、中教審の御意見も聴くということもありましょうし、当然パブリックコメントを出さないといけません、国会の議決を経ない部分については。国会は最大のパブリックコメントの場所ですから、法律についてはパブリックコメントを要請しているということはございませんけれども、国会にかけないその下部のいろいろなものについてはパブリックコメントの要請もあります。ですから、広く意見を結果的に聴くということになると思います。  先ほど来先生にお答えしたように、思想の踏み絵をするという気持ちは全くありません。しかし、ある人の考え方によると、例えば学習指導要領をこういうふうに実施してもらいたいということを言ったときに、その人の判断としては思想、信条に踏み込まれたと考えられる場合があり得るんですよ。ですから、私、再三申し上げている。だから、私は、思想、信条の踏み絵というようなことはやりませんと申し上げていますが、いや、言ったから、こんなことを出しておかしいじゃないかというところは、あるいは争いが起こる場合はあるかも分かりませんよ。
  200. 近藤正道

    委員以外の議員(近藤正道君) 時間がありませんので最後の質問に入りたいというふうに思っています。  いずれにしても、今度は不適格教員の問題については地教行法ではなくて教特法、教育公務員の特例法で対応すると。私は、基本的に地教行法があるのに、なぜ教特法を改正してまでそういうことをしなければならないのか、その理由については理解ができません。  しかし、こういう形で今出されていますんで一つお尋ねいたしますが、この法律が通りますと、教特法の二十五条の二に基づくガイドラインというものを設定、作られると、こういうお話がございました。これについては今現在も地教行法で一種の通知、ガイドラインがあるわけですよね。今度はその教特法が成立すると、またガイドラインを作られると。その教特法のガイドラインというのは今までの地教行法のガイドラインとどこがどういうふうに違うんでしょうか、それ聞かせてください。
  201. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 指導が不適切な教員に関する人事管理システムは、各任命権者がその権限と責任において実施するものでございまして、文部科学省としてお示しをするこのガイドラインというのは、認定基準等の参考となるようにお示しをするものでございます。あくまでも任命権者の参考のためのガイドラインというふうに考えておるところでございます。
  202. 近藤正道

    委員以外の議員(近藤正道君) 最後ですけれども、今まで地教行法でガイドラインがある、それぞれ地方自治体は自分たちの立場で不適格教員の認定だとかいろんな手続をやっていた。今度は文科省が新たにそれを作ってその指導をするというのは、私は、場合によっては文科省がこういう形でやりなさいと、個々の判断、勝手な判断なんて許さぬよと、こういう形でどんどんやりなさいと、こういうふうに見える側面があるんですが、いかがなんですか。  これ、やっぱり原則は今までと基本的に変わらないと、それぞれ都道府県のやっぱり自主性、教育の正に地方分権なんですから、その立場にきちっと立って、変な介入というか、もっとやりなさいという形ではないんだと私は思うんですけれども、どういうものなんでしょうか、これは。
  203. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 不適格教員の認定はあくまで任命権者が行うものでございます。それで、私どものガイドラインというのはその任命権者の参考となるようにお示しをするものでございまして、その地方分権を損なうといったようなものではございません。
  204. 近藤正道

    委員以外の議員(近藤正道君) 終わります。
  205. 狩野安

    委員長狩野安君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時六分散会