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鈴木寛君 これは
財団法人なんですよね。正に公益法人なんですよね。
公益法人というのは、正に不特定多数、世の中のために事業
活動を行うがために
財団法人の認可がなされて、それに伴って様々な恩典といいますか、をも享受しているということでありますから。しかも、公益性の
判断あるいは公益目的に基づく業務運営については、これは
文部科学大臣が明白な権限と責任を有しておられる。しかも、この刀剣保存協会は、国から二百六十五万円の補助金も出ている
団体ですよね。それから、
文化財保護法に基づく重要
文化財の管理
団体でもあるわけでありまして、公益法人の中でも更に今申し上げたような公金が出ていると、税金が支出されている。それから、正に我々の
日本の財産である重要
文化財を管理をするということを指定をされているという
団体でもあって、これは極めて公益性の高い
団体でありますから、それに対してはやはりきちっと毅然たる態度でもって臨んでいただきたいということを改めてお願いをしておきたいと思います。
その点は是非よろしくお願いをいたしたいと思いますし、また、明日以降の
対応については私
たちにも御報告をいただければ有り難いなというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
それで、次に移りますけれ
ども、今回の
国立博物館法の改正法案なわけでありますが、これは事務的にも申し上げましたけれ
ども、私は、新しいこの法人の名前に博物館という名称がなくなってしまったことは大変残念に思っております。もちろん、これはいろいろ知恵があって、博物館と
文化財研究所ですか、例えば博物館・
文化財機構とか、いろいろな知恵の出し方はあったんではないかなというふうに思いますが、今回の名称になっているということは私は残念だったなと、こういうふうに思っております。
それで、もちろんその間の経緯等々については、ちょっともう時間がありませんので、既に我々民主党での部門会議でもお話をいただきましたので、それについてのお答えは結構ですけれ
ども、そのやり取りの中で感じましたことは、博物館あるいはミュージアムというものについての認識というのが、少し私
たちの認識と
文部科学省、
文化庁との認識が違うのかなということを心配をしているんですね。
といいますのは、ミュージアムというのは今や単にハード、物のコレクションではなくて、それももちろん重要なメーンな業務の
一つでありますが、ミュージアムというのは正にそれは
運動体なわけですよね。
日本の芸術、
文化、学術を振興して、そのために必要な知恵あるいは研究という
活動、いわゆるソフトな
活動もやり続けていく。それから、それに従事する人材というものをそれこそ
育成をしていくと。こういうハードウエアとソフトウエアとヒューマンウエアと、この三つがいずれも重要で、そうしたことを非常にうまく目配りをしながら、かつ、有機的な連携も考えながら総合的に
日本の
文化の充実というものを具体的に実践をしていく、その
活動主体は私は博物館だというふうに思っているわけなんです。
今回、いろいろ条文を見てみました。大変残念なのは、確かにこれ、総務省とか財務省とかに言われて、独立行政法人の合理化というんでしょうか、有機的連携もあるんでしょうけれ
ども、そういうようなある種受け身的な、きっかけはですよ、きっかけはそういったことだったと思います。しかし、私はこの際もう一回、今申し上げたような考え方というのは恐らく
文化庁も共有はしていただいているんだと思うんですけれ
ども、そのハードとソフトとヒューマンと、人材と、なんですけれ
ども、いや、それはそうだという話になるんですけど、であれば、今回きちっと法案の中にも、法律上もそういう位置付けといいますか、再定義というんですか、改めてきちっとそうした、博物館というのはこういう機能を持っているんですよということを位置付けていただいたらよかったんではないかなということが
一つ。
それから二つ目は、今回もう一回考え直していただきたかったことは、今回の新しい
文化財機構が所管をするのは四つの国立博物館ですよね。それ以外にも、科学博物館というのは、これは生涯学習政策局が別に所管をしていて別の独立法人として存在をしますと。それから、民博とかあるいは歴史博物館、これは研究振興局が所管をする独立法人として存在をしていると。それから、同じ
文化庁でも、先日六本木に新しく生まれました国立新美術館も含めて、国立美術館という枠組みもあると。美術館、これ英語で何と言うのか分かりませんけれ
ども、これもアートギャラリーなんでしょうか、あるいはアートミュージアムなんでしょうか分かりませんが、いずれにしてもミュージアムのグループとして位置付けられるということはあるんだと思います。
こうした
日本のミュージアム行政というかミュージアム政策ということを、もう一回一からあるべき論というのを
議論して、そして今後それがうまくいくようにやっていくという、そういう組織論の
在り方、機構論の
在り方ということももっと踏み込んで見直していただくいいチャンスだったのにもかかわらず、それが私は不十分だったんではないかなというふうに思います。
それから、そういう
観点で申し上げますと、さっき申し上げました人材、人間の部分ですね。なぜ、
日本が
文化財あるいは
文化あるいは芸術といったことについてまだまだ十分でないところがあるとすれば、アーティストとか、あるいはそういったものの職人、あるいは伝承をする技術者、もちろんこうしたものの振興ということはかなり
文化庁も掲げておられますけれ
ども、むしろそうしたアート
プロデューサーとか、あるいはそうした人材を育てるためのいろいろなコーディネーションをする方とか、そういう人材の養成というところ、あるいは学芸員の養成とか、もっと広範な人材
育成というところがやっぱり
日本は不十分だったというところはあると思うんです。そうした人材
育成の
在り方、要するに今まで育ててきた人材だけでよかったのか、もっと別にそういった必要があったんではないかとか、人材の点というのは物すごく重要だと思います。
それから、ソフトウエアに関する事業についても、ただ単に物理的に美術館なり博物館に
日本じゅうから集まってくださいというのも結構ですけれ
ども、これだけITの
世界で、要するに正に国の宝物でありますね、いろいろなコレクションをもっといろいろな形で見せていく。例えば、デジタルアーカイブのようなものとか、あるいは
国民全体の芸術、
文化、学術に対するリテラシーというんでしょうか、そういう意識を高めるということも私はミュージアムとしての重要な要素だったと思うんですけど、何かこういうことがもっともっと
議論をされてもよかったのになと。そのことがきちっと法文上も位置付けられてもよかったのにな、あるいはこれを機に、ただ単に縮小ということだけじゃなくて、きちっと新しい事業にもう一回再構成されるとか、それに予算も付き、あるいは事業も出ていくとか。
そうすると、単に何か縮小の中のリストラじゃなくて、リエンジニアリングという
言葉がありますけれ
ども、きちっともう一回全業務を見直して、なるほどと、ああ、これで新しくむしろ効率的、効果的に芸術・
文化政策が進んでいくなと、そういうことになってほしかったなと思うんですが、なかなかそういう
意味で私は今回の法律改正というのは不十分な点が否めないなと、こういうふうに思っております。
この点、時間もうございませんので、是非こういうことは、今回の法律が変わるわけでありますけれ
ども、ちょっと引き続きこうした問題についてはやはりもっと抜本的に検討していただいて、もっと攻めのミュージアム行政をこれを機にやっていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。