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2007-03-15 第166回国会 参議院 文教科学委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年三月十五日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         狩野  安君     理 事                 大仁田 厚君                 中川 義雄君                 佐藤 泰介君                 蓮   舫君     委 員                 有村 治子君                 荻原 健司君                 神取  忍君                 北岡 秀二君                 中曽根弘文君                 水落 敏栄君                 鈴木  寛君                 西岡 武夫君                 林 久美子君                 広中和歌子君                 水岡 俊一君                 山本 香苗君                 鰐淵 洋子君                 井上 哲士君    国務大臣        文部科学大臣   伊吹 文明君    副大臣        文部科学大臣  池坊 保子君    事務局側        常任委員会専門        員        渡井 敏雄君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       山中 伸一君        文部科学大臣官        房長       玉井日出夫君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部長       大島  寛君        文部科学省生涯        学習政策局長   加茂川幸夫君        文部科学省初等        中等教育局長   銭谷 眞美君        文部科学省高等        教育局長     清水  潔君        文部科学省高等        教育局私学部長  磯田 文雄君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        樋口 修資君        文化庁次長    高塩  至君        厚生労働大臣官        房審議官     白石 順一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○教育文化スポーツ学術及び科学技術に関  する調査  (文教科学行政基本施策に関する件)     ─────────────
  2. 狩野安

    委員長狩野安君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  教育文化スポーツ学術及び科学技術に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官山中伸一君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 狩野安

    委員長狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 狩野安

    委員長狩野安君) 教育文化スポーツ学術及び科学技術に関する調査を議題とし、文教科学行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 中川義雄

    中川義雄君 自由民主党の中川義雄です。  今日は、大臣所信に関して、主にそれで質疑をさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。  今日の日本社会は、自由競争原理市場経済体制の下で、確かに経済は繁栄し、世界でも最も発達した国と言われております。しかし、その厳しい競争原理の下で、実は、競争に勝った者と負けた者、競争に強い産業、例えば自動車産業などの科学技術が生かされれば生産性がすごく伸びるような産業と、農業のようにどんなに努力しても、どんなに工夫してもそれほど生産性が期待できないような産業、そんな産業との間に格差ができます。また、どんなに努力してもその人間の一定の限界みたいなもの、強い人と弱い人もおります。そういう形でも格差が出てきて、今それが非常に格差社会とか言われながら、それが嫌な犯罪やいろんなこの国の社会の出来事の中で暗いものを生んでいることも間違いないと思います。  そして、その中で生まれるのはどうしても不公平感、そういう考え方がやはりこの社会の将来に暗い影を残していることは事実だと思っております。それを克服するためにはいろんな施策が集中しなければなりませんが、教育上の問題でも、これを何とか少しでも教育上でこの格差社会を克服する、そういうような結果を生んでいきたいものだと思いますので、そういった観点で今日は大臣所信を伺いたいと思っています。  まず第一に、公共精神伝統文化の尊重などについて、改正教育基本法により非常に明確となった教育目標でありますが、学校教育を通じてどのように推進していくのか、また今国会に提出する学校教育法の一部を改正する法律案の中でこの問題をどう取り上げているのか、大臣所見を伺いたいと思います。
  6. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) まず最初に、御質問前提として中川委員がおっしゃいました自由競争原理市場経済欠点というのは、私もそのとおりだと思います。ただ、人間歴史を振り返った場合に、結果の平等を求める余り自由競争原理市場経済ではない社会主義的、共産主義的イズムをもって人間社会発展をし幸せになったという世界史歴史的事実はございませんから、やむを得ずとあえて言いますが、我々はこのシステム、イズムを使っているということです。ですから、先生が御指摘になりましたように、これには多くの欠点があるということを謙虚に理解をしながら自由競争市場原理というものは使っていかねばならない。  で、その欠点をいかに是正していくかということになると、幾つかの政治思想がありますが、一番やはり私は大切なのは、その欠点を顕在させない人間をつくっていくことに尽きると思います。今御質問になった第一の答えが正にそこのところにかかわるものでありまして、改正教育基本法二条には先生が御指摘になりましたような公共精神や、日本社会において脈々と受け継がれてきた伝統文化の中で、勝っておごらず、負けて無気力にならずということを我々は教えられながら今日までやってきたと思います。  残念ながら、今その伝統的規範というものが非常に薄れてきておりますので、御指摘のように、改正教育基本法を受けまして学校現場でこれをどうするかということになりますと、今、中教審の御審議をいただいて、御答申の中に盛られているような精神に基づいて学校教育法改正しまして、そして指導要領をやはり変えていくと。その際に重要なことは、やはり改正教育基本法二条に書かれている教育の目的、目標、これを具体化していくことだと思います。  したがって、公共精神に基づき主体的に社会の形成に参画する態度であるとか、あるいは、伝統文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度、これはつまり我々が脈々と受け継いできた法に書かれざる暗黙の了解事項、こういうものを教育基本法に盛り込んでいただいているわけですから、これを学校現場で教えられる体制をつくっていくことによって、まあ豊穣の中の精神貧困という批判を受けている現在の日本文化を少しずつやはりいい方向へ変えていく。そして、先生が一番最初前提として御批判になったやはり現状に、時間が掛かるけれども直していく、これが改正教育基本法の私は一番大きなねらいであると思っております。
  7. 中川義雄

    中川義雄君 私も全く同感でありますが、そこで具体的にお伺いしたいと思いますが、やはり教育を通じて社会に出ての人間力、これを高めることがやっぱり一番大事だと思っているんです。そういう中では、やっぱり基礎的、基本的な知識をしっかり教えること、それから社会へ出て通用する技能技術といったものをどうやって子供たちに教えていくのか、そしてさらに、子供たち自らが進んで学ぶといったような、そういう雰囲気をどう醸し出していくのか。このためには学習指導要領全体を見直すという所信表明の話ですが、これを具体的にどうやって実行していくのか。と同時に、文部省がどれだけ立派なものを作っても、やはり教育の主体は地方教育委員会地方が握っているものですから、文部省地方との間でその伝達その他をどうやってやっていくのか、大臣考え方を教えていただきたいと思います。
  8. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) まず、先生の一番最初の冒頭の御質問にあったのは、やはり人の在り方子供のしつけにかかわるものに、そして今御質問になっているのは、それとあわせて、持たなければならない技能あるいは学力のようなものにかかわるところだと思います。  従来、文部科学行政上、我々はゆとり教育という言葉を使ったことはありませんけれども、いわゆるマスコミ用語としてのゆとり教育は、時間数の短縮ということと総合学習ということがごちゃ混ぜに私は論じられているのではないかと思います。  やはり、単なる知識の詰め込みだけではいけませんので、基礎的、基本的な知識を身に付けた上でそれを応用していくという総合学習、いわゆるゆとり教育と言われるものの理念は、私は決して間違ってなかったと思います。ただ、かなり自由に学校現場でやらせていた、そして成績を付けないというようなことがありましたので、間違った運用がなされていた教育現場もあるという批判は確かにございます。ですから、これを正しくやっぱり運用していくようにしなければならないというのが第一点。  それから、学習指導要領全体を見直して、やはり国語力ですね、国語の、自国語表現力、それから基礎的な将来のイノベーションにつながる理数教育の充実、こういうものについて御指摘がありましたような実社会との関連付けをしながら学習指導要領を少しずつ変えていって、そして時間数を基礎学力にある程度やはり割いていくということをしないといけないと思います。  いずれ国会学校教育法の法案を御審議願いますので、それをお認めいただけましたら、それに従って学習指導要領改正をいたしまして、予算の肉付けをして、教師人たちにもやはり気持ちよく働いていただく環境をつくらねばなりませんので、それを教育委員会がしっかりとやってくれる、やってくれない場合にどういうふうにするかという法律も併せて、地教行法という形でお願いしたいと思っております。
  9. 中川義雄

    中川義雄君 実は、私もこの次で国語力だとか理数科必要性を聞こうと思ったら、先に答えていただきましたので、それは省略させていただきます。そのとおりだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、今問題になっている高等学校履修科目、未履修科目問題が非常に大きな問題になっております。これは大学入試在り方に非常に大きく関連しているのではなかろうか。高等学校の必要な履修科目に対して大学入試科目が極端に少なくなっている。そのためには大学入学に有利な選択をどうしても、子供たち先生方もその方向で行ってしまうと。そうすると、その結果として大変な未履修、非常に偏った人間がそこでできてしまうわけでありますから、これをどう対応していくのかということについて、これは文部科学省担当当局考え方を聞かせていただければ結構です。
  10. 清水潔

    政府参考人清水潔君) 先生指摘のように、今回の未履修問題でございますが、高等学校教育において高校生に幅広い知識と教養を身に付けさせるという理念に基づき定められた学習指導要領を逸脱し、大学入試への対応を優先させたことが背景にあると、このように認識しております。  私どもとしても、正にこの未履修のこの問題、と同時に、他方では大学入学者に占める学力検査を経ない、推薦入学とか、その者の割合が四割に達している、こういう現状、両方を踏まえながら、高等学校大学とがどう円滑に接続していくか、こういう観点から大学入学者選抜在り方について中央教育審議会等の場で検討していきたい、このように考えておるところであります。
  11. 中川義雄

    中川義雄君 この課程で私もびっくりしたんですが、私が高等学校時代日本史世界史必修科目で、日本の良さというものをその中で随分教えていただいた、また世界に対してもいろんな好奇心を与えていただいた。ところが、いつどこでどう変わったのか知りませんが、日本人にとって一番大切な日本史必修科目でなくなったと。これでいいのか。いつ、どういう観点からこんなばかな改正が行われたのか、教えていただきたいと思います。これ、ちょっと通告していませんでしたから……。
  12. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 細かくは参考人から補足が必要であればさせますが、日本史の扱いは中学校では必修になっておるわけです。世界史高校必修にしているわけですね。ただ、中学校だけで世界史を教えるというのでは、先生の御質問は、多分深掘りの掘り方が浅くなるだろうと。  いろいろ学校現場の声も私、聞いておりますが、時間数の問題もあって、特に昭和になってからの現代史にはほとんど手が付けられていないと。これは、時間数の問題と同時に、歴史に対するある程度の判断が入ってまいりますので、非常に学校教師としては教えにくい分野であるから逃げるということもあるんだと思います。  ですから、もちろん高校では日本史選択になっておりますんで、その辺りの中学校高等学校の配分をどういうふうに考えるかというのは今後の学習指導要領一つの作り方のポイントだろうと思っております。
  13. 中川義雄

    中川義雄君 実は、私も海外へ行くたびに、それぞれの地域人たちがそれぞれの地域歴史に大変な誇りを持って、目を輝かせて得意になって説明していただくとき、それに対して私たち日本歴史や我々の郷土についてどれだけの理解をしているのかなと考えたとき、ちょっと寂しくなる思いをすることもありますので、やはり日本人としての誇り原点というのは、先輩たちがどのようにしてこの国を築いてきたか、そういうことが大事だと思いますので、大臣、そういう配慮を是非していただきたいと思います。  最近、本当に毎日朝、新聞を見たりテレビを見るのがちょっと嫌な思いをするぐらい、子供たちの痛ましい事件が次から次に起きてきております。こんなに子供たちが傷付け合い、また大人を殺したり、兄弟で殺し合ったり、こんな風潮は日本にはなかったような気がしてなりません。何で最近このようなことが多くなってきたのか。これ大臣、もしそれに対して大臣所見があったら、これはだれにも分からない、本当のことは、真実は分からないと思いますが、考え方があったら教えていただきたいと思います。
  14. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 先生がおっしゃったように、率直に言って見方はいろいろあると思います。子供が傷付け合い、殺すだけではなくて、子供も殺されているということですね。ですから、ちょっと抽象的な言葉になって恐縮なんですが、豊穣の中のやはり精神貧困のようなものが、これは経済発展を遂げて豊かになった国ではどこでも起こる現象なんですが、日本の場合は特に最近それが著しいと。子供というよりも、社会全体がやはり豊かになった中で、助け合わなくても一人で生きていけるだけの規模の経済になってしまったと。だから、共同体意識が非常に薄れているということ、これがまず一つあると思います。  それから、公共精神が非常に薄くなって、どちらかというと、自分というか、個人というものを非常に大切にしている。このことは決して、個人の権利とか個人の人権というものは侵すべからざる大切なものなんですけれども、それと同時に、やはり公共精神というものが合わさってやっぱり国家というものはできているわけで、その辺の率直に言うとバランスが崩れてきていると。これが戦後ずっと積み重なって今の時代ができているということだろうと思います。  同時に、技術がどんどん進展するために、テレビゲームを見たり携帯を見ても、相手を殺すようなゲームがたくさんあるんですね、これ。ですから、科学技術の進展とかメディアというものの影響もたくさんあると思いますけれども、やはりそういう中で子供他人を傷付ける行為に対する罪悪感とか規範意識というものが薄れてきている。そして、仲間でお互いにグループとして生きているよりも、少子化になり核家族になっていますから、人間関係の持ち方が余りうまくいってない。そういう中でいろいろな、もちろん受験戦争だとかいろんなことあると思います。だから、ストレスもかわいそうだけど掛かっている。こういうものが総合的に出てきているのが、今先生が慨嘆されたような現状。  ですから、安倍内閣としては、先般、国会でお認めいただいた改正教育基本法には、二条の「教育目標」に生命を尊ぶ態度を養うということを明記しておりますので、この教育目標学校教育の場で具現化して、そして、それで教えてもらった人が親になり、子供をしつけ、しつけられた子供が親になり、また子供をしつけ、教えてもらった人が先生になり、教えてもらったのがまた先生になり、この繰り返し、これをやはりやって、まあ五十年、百年仕事だと思いますが、その時代には日本に今のような悲しい社会ではない社会をつくりたいと、これがやはり安倍総理教育再生自分内閣の最優先課題だと言った思いだと私は思っております。
  15. 中川義雄

    中川義雄君 私も自分の人生をずっと振り返ってみて、私はやはり教育者として私の両親両親は二人とも貧農に生まれて字もよう書けない両親でしたが、父は全く、男として負けたら駄目だと、常に強く生きろといって殴られながら厳しい教育を受けましたが、母はまたそれとは逆でして、人には優しくしなさい、必ずどこかで神様が見ている、悪いことをしたら罰が当たる、もったいないことをしたら目がつぶれる、そんなことだけ言って教育をしていただいたこと、それがやっぱり三つ子の魂百まで、それが我々兄弟にとっては非常に掛け替えのない両親から受けたものだったと、こう思っているんです。  それが何か今失われてきている。宗教的な情操教育みたいなものが家庭の中からも、それからまた学校教育を通じても、それがなくなってきているような気がしてなりません。それにまた重なったのが、もうどうにもならない、これ以上おれらはもう望みがないという絶望感みたいなもの、それがまたいじめになったり、自殺原因になったり、人を傷付けたり、そんなことになっているのではないかと思いますが、これは私の考え方ですから答弁は要りません。ですが、やはり宗教的な情操教育というものを教育現場でどう醸し出していくのか、この点だけは大臣から、この一点だけは大臣考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  16. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 情操を教えるということは非常に大切だと思います。そして、常にあらゆる宗教に共通することは、やはり感謝の気持ちとか、自分が大自然に対して非常に小さな存在であるという謙虚さとか、こういうことを教えていくということは、正に先生がおっしゃった情操を養うという意味で非常に大切なことです。  ただ、御承知のような憲法上の規定がございますので、特に公教育公立学校においては、特定の宗教の教義を教えるということは非常に難しい。しかし、その中に流れる、先ほど申し上げたもろもろの人間として大切な心構えを教えていく、これが先生が御指摘になったことだと私は理解しております。
  17. 中川義雄

    中川義雄君 続きまして、関連していじめの問題。  もう本当にいじめの問題は深刻な大きな大きな社会問題になってきておりますが、これも考えてみますと、北海道の滝川市で起きた事例が何か物すごく伝染病にかかったように全国に波及していったわけでありますが、滝川へ行って私自身も調べてみたら、なぜこうなってしまったかというと、それは地域人たち学校先生も見ても感じても知らないふりをするという、そんなことがこの問題の解決を非常に遅らせた、自殺まで追いやるほど深刻化した。そして、びっくりしたんですが、あそこへ行って父母の会の代表の人たちと話したら、我々に対して、犯人を捜すことだけはやめてくれというような話をして、それが子供たちを守ることなんだというようなことをみんな異口同音に言っておりました。  これが私は非常に悪いのではなかろうか。そのことをやっぱり自らの問題として取り上げて、地域全体、学校も含めてみんなの問題として、いじめることは悪いことだ、いじめられることにも何か責任があるのかもしれない、それをすべて透明にして、そして地域を明るくすることによって、開かれた地域にすることによって、いじめの問題も、学校の一部の問題としてではなくて地域の問題として取り上げていったら、あんな滝川のほんの小さなコミュニティー、あの中で何年も気が付かないでいたということは、それを見て見ないふりをする。そのことは、教育全体、子供たち全体について何か社会が見て見ないふりをする。私たちが小さかったころは、おやじにもげんこを張られたが、必ず地域におっかないおじさんやおばさんがいて、他人でもへっちゃらでしかり付けたという地域社会でありました。今、そういう地域社会になっていないことが大きな原因なのかなと。  ですから、学校教育だけじゃなくて、学校教育を中心にして社会教育一般の中で子供をどうやってはぐくんでいくかという優しさが求められていると思うんですが、いかがでしょうか。
  18. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) おっしゃるとおりだと思いますね。  二つ申し上げたいと思いますが、社会が大きくやはり変わってきた中で、家庭のしつけ、地域社会教育力というものは今はほとんど崩壊に瀕していると思います。かつて家庭でしつけたこと、地域社会教育力をすべて学校先生に背負わせて、そして学校先生を非難するという傾向がありますが、私は、これはやっぱり間違っている、学校先生はこれじゃたまらないと思いますね。  ですから、やはり今回の改正教育基本法に書きましたように、教育原点はやはり家庭にあると。そして、学校家庭地域社会お互いに協力をしながら子供に向かい合っていくということを改正教育基本法には書いております。ですから、これを踏まえて、例えば具体的には放課後子どもプランとか、こういうものが始まっているわけですが、この三つの連携の中に子供を育てていくというやはり姿勢をしっかりと文科省が持って、地方教育委員会お願いをしていかなければならない。これが一点。  それからもう一つは、昨日、各報道関係の論説の方々と私は懇談をしたんですが、その際に申し上げたのは、マスメディアも例えば自殺だとか事件があると大きくそれを取り上げられます。しかし、事件にならないように黙々と努力をしながら自殺を防いだり学校現場の荒れを食い止めている何万倍の立派な教師現場にいるということも、やはりメディアの人は私は理解してもらいたいということを申し上げたんです。  ですから、何か失敗をするともうそのことを大々的に報道されるということになると、そのことが報道の役割として悪いわけじゃありませんし、我々もそのことを心しておかなければいけないんですが、いじめを出した先生は駄目だと、いじめを出した学校は駄目だと、いじめを出した教育委員会は駄目だという評価を社会がみんなしてしまうと、人間ですからどうしても隠そうとなるわけですよ。気付かなかったのか隠していたのか分からないんですね。  ですから、私は、いじめがある学校は悪い学校ではないと、いじめを放置していた学校が悪い学校だと。一番いい学校は、いじめがあったけれどもそれを見付けて、そして大きなことにならないようにきちっと処理した学校教師が一番いい教師だと。そういう形で学校現場に対応してもらうように、各教育委員会担当局長からお願いをしたということでございます。
  19. 中川義雄

    中川義雄君 所信の中で私は非常に勇気付けられたのは、幼児教育の大切さに触れております。私は、本当に三つ子の魂百までと、小さな子供のときに心の中に抱いたものというものはそう簡単に抜け切れない。ですから、幼児教育が非常に大事だと。  しかし、幼児教育は、家庭社会もまたそういう教育機関もしっかりしていかなければなりませんが、今この中で幼児教育の将来の無償化について検討するという話が出てきましたが、これは例えば幼稚園という中でそれを取り扱うのか、それから、または、今出ているのは認定こども園、そういったもの、これは保育所と幼稚園の機能を持ち合わせたようなもの、そんな中でそれを考えていくのか。できればその両方ともで、何とかして無償化もして子供心をしっかりと将来に向けて健全な心に育っていくようにやっていただきたいと思いますので、この点についての具体化にはどうするつもりなのか教えていただきたいと思います。
  20. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 改正教育基本法におきましても、幼児教育の重要性について規定が設けられているところでございます。  お話のございました大臣所信におきましては、幼児教育の将来の無償化の検討と認定こども園制度の活用促進の二点について述べられているところでございます。  幼児教育の無償化につきましては、骨太の方針などにおきまして、幼児教育の将来の無償化について、歳入改革に併せて財源、制度等の問題を総合的に検討しつつ、当面、就学前教育についての保護者負担の軽減策を充実するなど幼児教育の振興を図るということとされているところでございます。この問題につきましては、財源の問題もかかわりますので、国民の幅広い理解を得ながら議論をしていきたいというふうに考えているところでございます。  その際、認定こども園でございますけれども、これは昨年、国会におきまして制度の創設をお決めをいただきまして十月からスタートをいたしました。就学前の教育、保育に関する多様なニーズにこたえるためにその活用の促進を図っていきたいと思っております。そして、幼児教育のこの無償化を検討する場合には、幼稚園だけではなくて、認定こども園あるいは保育所につきましても併せて今後この幼児教育の無償化ということで検討していく必要があろうかと思っております。
  21. 中川義雄

    中川義雄君 続きまして教員の資質向上、これは本当に大切なことだと思うんですが、先般の教育再生会議の中で、第一次報告の中で取り上げて、中央教育審議会で取りまとめられた答申の中身によると、今国会教育職員免許法等の一部を改正する法律案という形の中でこの問題を具体化すると聞いておりますが、どんなようなことを考えているのか教えていただきたいと思います。
  22. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 去る三月十日に中央教育審議会から答申をいただいたところでございます。この答申の中では、教育職員免許法等の改正につきましては、教員が広く社会から尊敬と信頼を得られる存在となるように所要の改正を行うべきということを言われているところでございます。  具体的には、教員に必要な知識技能の刷新を図るために免許更新制を導入をすると。この免許更新制は、一定の更新講習を受講しそれを修了した者が更新をできるようにすると、その期間は十年とするといった内容でございます。さらに、加えまして、答申の中では、指導が不適切な教員を認定をし、その教員について研修を実施し、なおその結果、指導が不適切であると認定をされた者は免職をする等の新たな人事管理システムも導入するといったことも答申されているところでございます。  現在、こういった内容を踏まえました教育職員免許法及び教育公務員特例法、この二つの法律案を中心とした改正案について検討を進めているところでございます。
  23. 中川義雄

    中川義雄君 また、所信によりますと、めり張りのある教員給与体系の確立、本当にそうしていただきたいと思うんです。のほほんとしても給与は一定の水準にまでいく、これではやる気のある先生もやる気のない、まあ駄目な先生と言ったら失礼ですが、そんな先生も待遇だけは同じだというのであっては、これはある意味では社会的に見ると大変不公平な話だと思うのであります。  ただ、市場原理、なかなかここでは取りにくい。子供たち先生を選ぶ権利さえ与えられておりませんから、やはり行政や社会が教員を選んで、そしてその教員にある種の特典を与えていくということは非常にいいことだと思いますが、これやるのには非常に難しいと思いますので、これをどうやって具体化する、このいいことを是非実施していただきたいんですが、どうやってやっていくのか。今その問題解決策があれば教えていただきたいと思います。
  24. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 駄目な教師というような言葉マスコミ用語として使われますが、これは非常にやはり私は判断が難しいと思いますね。ですから、やはり基本的には校長の評定というもの、それから地域社会の親御さんたちをも入れた評価というものはやっぱりある程度重視をしないといけない。同時に、副校長、主幹、指導教諭というようなやはり職を設けるとか、それから現在一律な教職の調整額や手当をどういうふうに見ていくかとか、いろんな問題があると思います。ですから、少しここは先生がおっしゃったように非常に難しい問題であるだけに、教員の方々の士気を逆にそいではいけませんから、よく考えさしていただきたいと。  それからもう一つは、給与総額ですね。これは、まあ教員は非常に恵まれていると、こういうふうに一般に言われますけれども、私は特に財政事情が非常にいい、単費でいろいろなことができる、例えば具体的に言うと東京都のようなところの地方公務員の、何というんですかね、超過勤務手当の支給実態などと比べてどうかなということは、少しよく調査をして二十年度予算編成に臨まないといけないんじゃないかという気も今しております。  中教審の今回いただいた答申では、総論の中にやはり免許の問題、研修の問題と併せて教員のやはり各般の処遇のことをきっちり考えないといけないということは書かれておりますので、先生が今御質問になっている両方のことが両々相まって良き教師をやっぱりつくっていくんだという認識で今後の事に当たりたいと考えております。
  25. 中川義雄

    中川義雄君 このことですぐ思い出すのは勤評反対闘争、日教組による勤評反対闘争、それがある種のやる気のある校長先生や何かに大変な挫折感を与えてしまって、それが今日までもいろんな尾を引いているような気がしてなりません。これをやる以上はしっかりやり通してしまわないと、中途半端で終わると大変なことになると思いますので、これは今の大臣の下でないとできないと思いますから、是非しっかりやっていただきたいと思っています。  教育の条件の格差是正ということも非常に大切なことだと思います。例えば、図書費というものを昭和六十年に、これ補助事業だったのを地方の一般財源に移しました。最近も例えば、学校先生方の給与までも地方の一般財源にせよというような大きな声が地方から上がってきておりまして、二分の一の補助から三分の一の補助になったというような過程の中で、私も勉強さしていただいたものですから、一般財源化というのはどんなことかと。  例えば、図書費も昭和六十年のときに一般財源化したんです。そして、地方交付税で基準財政需要額で一定の額を計上して、そして全国的に見ると格差のないような図書費の配分になっていた。去年、おととしの例で私、調べてみてびっくりしたのは、不交付団体である東京都が基準財政額の倍ぐらいの図書費を使っている。ところが、非常に財政力の弱い地域はその三分の一も使っていない。ひどいところは十分の一ぐらいしか使っていない。子供たちの図書費というような本当のささやかなものまで、それを役場の職員か何かの給料に変えてしまったりするというような形で、一般財源ですから何でも使えるわけですから、そうなってしまっている。そのことが、財政力の弱い地域と強い地域では子供を育てる環境にも大変大きな格差になって表れていると思うんです。都会ではすぐそばに公設の図書館があります。しかし、財政力の弱い農山漁村におきますと、公立の図書館まで行くとしたら十キロ、二十キロ行かなきゃなりませんから、子供では絶対行けない。せめて学校の図書館ぐらい一定の水準を保たぬとならないが、財政がないためにそれまで使ってしまうというようなことで教育条件の格差が物すごく拡大する。  教育の機会均等という憲法上で保障されている問題も、実は地方の財源だとか何かによって大きな格差が出てくる。これをなくさないと、同じ子供がやはり育つ段階で教育条件の格差によって大変な差が出てしまうようなことがあっては私は重大な問題だと思いますが、この問題についての大臣考え方か当局の考え方でも結構ですから、教えていただきたいと思います。
  26. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) これは中川先生、まあ地方分権というものの一般的な評価にかかわってくることだと思いますね。  我々自由民主党がやってきたシステムというのは、どちらかというと中央が官主導でコントロールをしてきたと。それに対していろいろな非難があって、地方でできることは地方、民でできることは民という大きな流れがあって、実は自由民主党の総裁であるんだけれども小泉純一郎という人は自民党をぶっ壊すということを言って、従来の民主党の御主張をそのままむしろ私は取り入れておやりになったんだと思うんですね。その結果、格差というものがやっぱり顕在化してきたというのは、これはごくあり得ることなんですよ。  今、むしろ民主党がおっしゃっていることは、この格差を是正するために官が主導で農業の問題を扱う、あるいは地方の問題を扱うという形になって、私は多分その答えは両者の真ん中辺りにあるんだと思うんですね。だから、地方で補助金をやめて、地方に税目を渡して、そして不足分を交付税で措置するということになると、税目を渡してもらっても、税収が上がらない地域は交付税でもらうしか方法はないわけですよ。ところが、その交付税はずっと抑えられてきている。交付税で入ってきたものは何に使うかというのは、先生がおっしゃったとおり抑えられちゃうわけですね。そうすると、地方財政の中で何を重点にこの予算配分をしていくかというのは首長の判断であり、同時に、その首長の判断をチェックするところに地方議会の機能があるはずなんですね。この辺が必ずしも十分に動いているかどうかというところにこの問題があると。  だから、それがまずいからということで、補助金という形でもう一度国へそれを戻していただいて、国が本当に権力の行使ということだけを考えずに平等性、公平性を考えてうまくやれば、私は補助金方式の方がはるかにいいんだと思うんですね。ところが、現実は、国へ戻すとまたいろいろな弊害が出てくる。地方分権と平等性との間の、はざまに生じたような問題ですね、今御指摘になったのは。だから、できればやはり私は、地方の首長が教育とか福祉とか命、健康、教育、それから安全、安心にかかわるものについて重点的に交付税を配分、交付税を財源とした地方予算を組んでもらって、それを地方議会が監視していくというのが望ましい姿ですので、私たちは補助金を取り上げられてしまった官庁でございますから、できるだけ地方交付税の中で先生がおっしゃったようなことにならないようにお願いをするということはやりたいと思っております。
  27. 中川義雄

    中川義雄君 それで、今回の所信を見まして非常に感じたのは、ちょっと残念に感じたのは、イノベーションといった言葉科学技術学術、海洋開発とかナノテクノロジーとか、非常にいい話、でっかな話が随分目立つんですけれども、これも本当に大事ですが、しかしもっと地に足の付いた施策も必要ではなかろうかと思うんです。  その中の一つは、例えば職業教育。私、調べてみましてびっくりしたんですが、これは学校基本調査の結果ですから間違いない結果だと思いますが、農業高校、卒業者数三万一千六百人、うち農業に就職した人は七百八十五人、二・五%。今、日本の農業、私も日本の農業をどうしようかということで、非常に担い手を大切にして、しっかりとした担い手を支えて、そしてやる気のある農家に農地を集中してある程度規模を拡大するというような農政でやろうとしているときに、農業高校を卒業した人がたった二・五%しか農家にならない、そういう学校であると。  大学はもっとひどくて、大学の農学部ではもう農業を教えていないと言った方がいい。何だか専攻と難しい科目ばかりでして、私が今読んでみても、これが農業とどう関係するのかなと。言わば、すべて先端産業というか先端技術みたいな形で農学を教えている。言わば、農業の世界では頭でっかちになって、船頭ばかり多くなって、船頭多くして船山に登るというようなのが今の農業の実態ではなかろうか。やはり、まじめにやる農家をどうやって育てていくのかと。  例えば、私のふるさとにあった普通科と農業科が両方ある学校では、今なくなりましたが、農業科の実習生が帰ってくるころ普通科の生徒が帰ってくる。真っ黒な姿を普通科の生徒に見せたくなくなって、どこかじっと別なところで待って、みんなが帰るのを待って体をきれいにして帰ると、こんな惨めな形ではいい農家は絶対育ちません。  ですから、しっかりとした技能労働者や農民といったものをどう育てるかも教育上の大変立派な配慮だと思いますが、今回のこの所信にはそれがほとんど触れられていないことがちょっと寂しかったものですから。これは答え要りません。多分こうなっているということは間違いないんですから、将来に向けてこれを是正していっていただきたいと、こう思うわけであります。  次に、大学教育の、高等教育在り方について、具体的な例で。  ここ二、三年、地方の拠点となっている病院の勤務医が極端に急減しているんです。そして、それが地方においては命にかかわる大問題になっているんですよ。この実態を厚生労働省はどうとらえているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  28. 白石順一

    政府参考人(白石順一君) 医師の、お医者さんの偏在によりまして、一定の地域あるいは診療科あるいは医療機関において必要なお医者さんが確保できていないという状況が生じているということは承知しております。  背景は様々ございますけれども、主なものといたしましては、臨床研修の必修化あるいは国立大学の法人化など、大学病院を取り巻く状況の変化に伴います大学病院がお医者さんを派遣するという機能の低下がございます。それから、各病院に、特に産科、小児科の場合、一人ずつ配置されるという薄く広い配置では、夜間、休日の対応等々で病院の勤務医の職場環境が大変厳しいものになりがちであるということ。それから、特に産科を中心にいたしまして訴訟の増加というふうなことに対する懸念、あるいは女性のお医者さんが最近増えておりますので、どうしても、いわゆるM字カーブというのがございますので、それへの対応、そういったことから今言ったような状況が生じているというふうに考えております。
  29. 中川義雄

    中川義雄君 その説明を聞いたら、ぺらぺらぺらぺら説明聞いて、これに、命にかかわるこの大問題にどうやって、要因だとか何か、いろんな要因あるのは分かります、あったからこうなったと思います。じゃ、それをどうするのかということになると、何の手も付けられていない。  本当はたくさん聞きたいことがあったんですけれども、一つの事例で、これ端的にお聞きしたいと思いますが、根室市立病院というのがございます。根室市立病院は、最盛期のころは三十人近くの医者がいたと言われております。去年は十七人いました。今年は十一人になりました。六人減ったんです。その減った要因というのは、あそこの市立病院というのは旭川医科大学の卒業生、医局から医者を派遣してもらったと。今言ったように、大学の臨床医が少なくなったり、また大学も独立行政法人化で少しでも利益を上げたくなったりして、大学から六人医者がぽっと引き抜かれた、そして十七人から十一人体制になったんですよ、今年。そうしたら、十一人体制になったら、今審議官が言ったように、病院の需要といいますか、病人の数は全然減っていませんから、ですから残った人だけでその一定の医療水準を維持しようとしたら、これはもう死ぬような努力。急にそれだけ医者がいなくなった。三十人ぐらいだったのが十一人になってしまったから大変忙しい。今年の四月で、これから八人辞めて、十一人から八人辞めて三人だけ残るというんです。その要因を聞いたら、今度は医局から引き揚げられたんじゃなくて、今言ったように死ぬような苦しみになっちゃうわけです。患者が次から次に来るが医者がいない。しかし、医者の責任上、ほうっておくことできない。ですから、大変だということで、そのうちの五人は札幌周辺に出ていって開業医になったり、そこでの勤務医になっているわけです。  これは、私は、厚生労働省にも責任があると思うが、大学にも大きな責任があるのではなかろうかと。大学は、医科大学で医者を育てるというのは、しかも国立の、全部税金でやっている国立の大学で教える医者にどんな教え方をしているのだろうかと。すぐ引き揚げてしまうというような、それが附属病院の院長を始め幹部の先生方だとしたらこれは恐ろしい人だと、そう思うんです。  根室市というのは、次に近い大きな町といったら、こういう大病院のあるところといったら、釧路市まで約百五十キロ近くある。冬になると時間距離は五時間ぐらいになります。盲腸で、急性盲腸で入院したって、今外科医一人もいないんです。命にかかわっちゃう。産科も一人もいない。  それはもう、そういうことになると、その地域はもう無医村みたいなもんで、それを解消するために厚生労働省も、そして大学で医者を育てている文部科学省も、何となく無責任に、何ぼ私が言っても、どうにもなりませんと言っている。私は医者でありませんから私では本当にどうにもできないが、医者を育てて、医者の数はずっと増えているんですよ。人口十万人当たりの医者数も増えていっているんです、ずっと、この国は。なのに、辺地ではこういう状態になっている。その元をつくっているのは、大学の医師の派遣を引き揚げるところから始まっているということ。こんな大学であっていいんでしょうか。こんな人の命を厳しくするような大学で教わる、そこから生まれる医者はどんな医者が出てくるのでしょうか。  そんなことを考えると、教育上の問題でもあるし、それから地域医療をどう確保するかという医療行政全体の問題とも絡み合う問題ですから、両省庁の専門家の話を伺いたいと思います。
  30. 清水潔

    政府参考人清水潔君) 先生指摘いただきましたように、まず一点目、大学病院の医師派遣機能の低下についてでございますけれども、基本的に、総じて言えば、若手の医師が魅力ある研修、勤務の場を自ら選ぶというのが今主流になりつつあり、かつて言われたような医局人事による医師の派遣ということを行い得る環境が失われつつあるということだと思います。  例えばその要因として、御指摘ございましたように、例えば臨床研修義務化によって例えば研修の場所の選択ができて、大学病院を選ぶ者が七割から五割に低下した。あるいは、修了後も、魅力ある勤務の場、あるいは医療能力の向上ということで、大学病院以外に行くようになった。あるいは、先ほど御指摘もございました病院における厳しい勤務環境を嫌って開業志向が増えてきたというふうなことが、なかなか医局人事による派遣というのが難しくなってきて、言わば総じてむしろ、それぞれ若い人たちがそれぞれには魅力を、あるいは地域医療に関する志を育てるような教育が正に必要になってくる、研修も含めてということであろうと思っております。  もう一つの要因は、国立大学の法人化によりまして、大学病院は地域の高度先進医療を行う中核的な医療機関でもございます。そういう意味で、その役割はどう果たすか。もう一つは、経営面でどう一層努力するかというようなことも必要な医師の確保の要因となってきている。  このような状況でございまして、私ども、厚生労働省とも協力しながら魅力ある研修プログラム、研修体制大学病院では、あるいは教育も含めて確立していくと同時に、医師紹介に当たっては、県、正に県における地域医療協議会での言わばそういう意味での透明な医師派遣システムの構築に大学病院が積極的な役割を果たす、そういうことのために努力していきたい、このように思っております。
  31. 白石順一

    政府参考人(白石順一君) 個別の地域の事例の紹介ございました。  確かに、おっしゃられますように北海道も、勤務医も、道全体であれば勤務医も開業医さんも両方とも増えているわけでございますけれども、その中でも特に地域の偏在というのがございます。  上川中部、旭川周辺と御指摘ありました根室の辺りでは三倍のお医者さんの人口当たりの差がございます。こういう地域の差というものもございますので、現在、道を中心にいろいろと対策を取っておるところでございますけれども、どうしても地域の中核病院である市立の根室病院、この大事さということは私どももよく承知しております。道とも協力いたしまして、また文部科学省、総務省とも連携しながらお医者さんの確保に我々もお手伝いができることないかということで、今調整をしておるところでございます。
  32. 中川義雄

    中川義雄君 今答弁聞いても、何となく空疎なんです。何か言い訳だけよく聞こえてくるが、具体的にちゃんと根室のこういう病院には医者を派遣するんだと、こうやって派遣するんだと、大学の責任でこうやると、厚生労働省の責任でこうやるというもの聞こえてこない、全然。こうなったからこうなったという言い訳ばかり聞こえてきて。  いいですか、命の問題なんです。命の問題。この問題をそう簡単に言われたんではたまったものではない。これで美しい国日本安倍総理が何ぼ唱えても、逆じゃありませんか。命がこんなに軽んぜられている醜い日本になるんじゃないですか、これは。  ですから、それを道の協議会に任せたとかなんとかと言っていますが、道の協議会にも何の権限もない。大学なんというのは道の言うことなんか全然聞かない。道立の札幌医科大学でさえ知事の意見も聞かないでやっているという、そんなもうていたらくでありますから、これ本当にもっと大胆に。  それから今度は、周辺部ばかりじゃないんです。調べてびっくりしたのは、札幌圏にも随分医者が集まっているんですが、札幌圏の中核病院であった江別市立病院も同じような状況になっている。これは、勤務医が忙し過ぎて辞めてしまったと、そしてまた、それを迎える病院も出てきたというような形で、しかし、それもよく聞いてみたら、大学の医局がそれに介在しているんですと、医局がですよ。医局が介在して、医局に余り協力しなかったからこうなったのかもしれませんが、こういうことは何としても排除していただきたいと。これは、やっぱり我が尊敬する大臣が先頭に立ってやっていただけることを期待して、私の質問は終わらせていただきます。
  33. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 おはようございます。  中川先生に引き続き御質問させていただきます。  現在、我が国には、安倍内閣が抱えている内閣におかれましては教育再生会議、そしてまた文部科学省においては中央教育審議会、二つの機関があるんですけど、いろいろ言われているこの二重構造に対して、大臣、どう思われますか。
  34. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) これは大仁田先生、マスコミは、マスメディアは面白おかしく二重構造と書いていろいろ批判をしますが、私は国家の法律を作り、そして教育行政の在り方をいい方向へ持っていくための筋だけはきちっと通したいと思ってずっとやってきたんです。  それは、まず安倍首相は教育再生自分内閣の最優先課題としたいという思いから、閣議決定をもって教育再生会議というのを作られましたね。ここでいろいろな提言がなされています。そうすると、これは非常に、安倍総理が最優先の課題として、同時に意見を聴きたいといって閣議決定をもってつくられた組織であるだけに、政治的な思いは、政治的な意味は先生、非常に重いです、これは。しかし、憲法上の国家の在り方からすると、この組織は閣議決定でつくられた安倍さんに対する、安倍さんの非常に教育再生に懸ける思いに対する意見具申の組織なんですよね。で、この意見具申を受けて安倍総理が取るものもあるし取らないものもあるというのは、これは当たり前のことなんです。で、内閣の総理として安倍総理は、こういう考えはいいよと、これはどうかなといろいろ判断をされて、私にもいろいろお話があります。私もそれを伺って、そして中教審は法律に基づいたこれは審議会ですから、総理からこういう御指示もあったけれども、このことについてお考えを述べていただきたいというんで、先般、御承知のように答申をいただきました。  で、答申をいただきますと、それを参考にして、答申をいただいたからそのとおりするというわけではありません、これは。法律の提出権は立法府にあるか行政府にあるか、憲法上二つしかないわけですから。だから、その二つを参考にしながら私の判断で原案を作って、そして議院内閣制でございますから、公明党、自民党の与党とお話合いをして国権の最高機関である国会へ提出をし、野党を含めて全国会議員の御審議を経て最終的な決定をすると。  ですから、中教審の意見も大切にしますが、再生会議の意見も安倍総理は大切にしておられると思いますが、最終的な決定は国会でしていただく。そして、国会への提出権は内閣にあるということだけは私はしっかり踏まえて行政をやっていきたいと思っております。
  35. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 大臣の言われていることはよく分かるんですが、どうしても大臣、マスコミが新聞などで教育再生会議がこういった答申や進言をしたとなると、どうしても一般の方々からすると教育再生会議が教育をつかさどっているんじゃないかという意識が、そういうふうに見えるんですよ。僕らでさえぱっと新聞を広げると、教育再生会議が何々を答申したとか進言したとかとなると、それがぽんと前に出てくると、じゃ一般の方々はどう受け止めるか、それに対して大臣、どう思われますか。
  36. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) メディア、一般の方がどう受け止めるかというのは、これは止められることではありませんが、大仁田先生を含めて、我々国民から主権をあずかった者は、各々の場で実は我々が最終責任を持つんだということを説明するというのが我々の義務だと思っております。
  37. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 そこで、質問の順番ちょっと替えさせていただくんですけど、責任って大臣が言われましたよね。僕は、すごく責任に対して、これはもういじめの問題についても何でもそうなんですけど、大人の責任とよく言われますよね。結局、僕は別に教育再生会議が憎いわけでも何でもありません、別に。ただ、ちょっとやっぱりパフォーマンス的な要素が、安倍内閣のパフォーマンス的な要素があるかなというのは否めませんよね。大臣、どう思われますか。
  38. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) いや、私はそうは思いません。安倍総理はしっかりとその点は判断しておられます。今回の中教審にお諮りをしている内容、あるいは中教審からいただいた答申の中で、今、大仁田先生がおっしゃったパフォーマンス的かどうか分かりませんが、再生会議がいろいろ言ったことで入っていることもありますし、入っていないこともございます。  で、その中教審の答申の大きな流れの中でこれを具体的にこうしていこうというのは、安倍総理が私に御指示をなすって、それで菅総務大臣共々、官房長官も入っていましたか、四人で話をして、で、国会にお諮りする案を決めようということを内閣として意思統一をしたということでございます。
  39. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 大臣も先日、地方で講演されると、ちょっと言ったことが、言ったことがマスコミに載ってしまって、それを責任問題問われるわけですね。だって、責任のある立場で大臣文科省大臣をやられているわけですよね。そうすると、責任問題問われるんですけど、民間から上げられてそういった答申やいろんな意見を言って、じゃ総理に上げた、それがマスコミにとらえられる。だけど、一般の人たちは、ああ、こういうふうに国が考えているんだって取りますよね、普通ね、普通。  そうすると、どうしても責任ということにおいて、じゃ質問なんですけど、第一次報告で教育再生会議が出した結論により中央教育審議会及び文科省の存在意義を問われるような問題がありましたと水戸市の講演における山谷首相補佐官の発言がありました。これに対して大臣、どう思われますか。
  40. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 山谷さんがどう言ったのか、山谷さんに聞いてみないと分かりませんが、今申し上げたように、憲法上の行政の筋は私はすべて通しております。
  41. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 山谷首相補佐官は、存在意義を問われるような発言をされたら、やっぱり大臣個人的にはちょっとはむかっとされると思うんですけど。いやいや、存在意義を問われるわけですから。だってそうじゃないですか。僕は思いますよ、大臣内閣において教育行政を束ねるのは文部科学大臣であり、その下で文部科学省人たちが長い間、手足となって働いてきているわけです。それを否定されると今までやってきた人たちがむっとするのは、これは当たり前だと思うんですけどね。それを束ねる長としてどう思われますか。
  42. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) まず大仁田先生先生に関してもいろいろ報道があったりすることがあってもそれがすべて真実じゃないということは、先生いろいろな経験でよくお分かりでしょう。それと同じことなんですよ。山谷さんが言ったことがどの程度正確に伝わっているか、私よく知りません。しかし、もし万一それが正確であれば、何と間違ったことを言っている人かなと私は思っているだけでございます。
  43. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 いや、本当に尾ひれが付いたりなんかするものですから、本当にこれが正確に、いや本当にそれはもう分かります。それは非常に僕も分かります。分かりますけれど、やっぱり補佐官としての責任とかそういったものというのは、これは何ですかね、補佐官というのは基本的に表に出ちゃいけないんですね、アメリカにおけるものというのは。ある種、大統領を補佐する役目であって、表に出るような役目じゃない。  じゃお伺いしますけど、この山谷補佐官は教育再生会議の中に入っていますよね、入っていますよね。
  44. 山中伸一

    政府参考人山中伸一君) 山谷総理補佐官は教育再生会議の事務局長ということで、補佐官として教育再生を始め教育についての事柄を仕事としておられるということでございます。
  45. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 別に山谷さんを攻撃しているわけでも何でもありませんけど。  僕は、僕は、じゃだれが教育をつかさどっているのかと。やっぱり僕は、僕は親方一本でいいと思うんですよ。ある種、何で安倍内閣教育再生会議が必要なのかと。だって、最初も言ったように、文科省の中に中央教育審議会というのがあるわけですから、議論する場所があるわけじゃないですか。あっちもこっちも議論しています議論していますと。議論に対して僕は全然、議論するべきじゃないということを言っているわけではありません。議論する場というのは必要だと思いますよ。ただ、ただ、僕が言っているのは、やっぱり人間の意欲とかそういったものをそぐようなものであってはいけない。しのぎを削るようなものであってはいいと思うんですけど、それが一方ばかりが表に、表面上に出ると、どうしても表現する方が、やっぱり小泉内閣を見てもそうじゃないですか。やっぱり、やっぱり表現するのがうまい方が、そっちが主導権を取っているように思われがちになることだってあるわけじゃないですか。そういうのはありますよね。それで、地味な作業をしている人間が、人間たちが、人間たちがちゃんと表現できなかったらやっぱりストレスがたまりますよね。そうじゃありませんか、人間として。いやいや、そうじゃありませんかと聞いているんですけど。
  46. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 今の教育再生会議からの事務局として来ているのは、大仁田先生の御質問からいえば、パフォーマンスが上手な方から来ているわけだからストレスはたまっていないんじゃないですか。むしろ、たまっているとすれば、先生がおっしゃっているとおりであれば、たまっているのは文部科学省の事務方でしょう。それで、パフォーマンスが上手なのか、パフォーマンスが上手なように見えているけれども実は演出者がどこかにいるのか、それはプロレスの世界だって分からないじゃないですか。
  47. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 大臣、ごもっともな御意見で。  僕は、たまっているのは文科省の方だなと思って御意見をお伺いしたかったんですけど、たまっていると言って、素直に言っていただければよかったんですけど。いやいやいや、いやいや。  教育再生会議が五月に提出予定の第二次報告による、教育行政が第二次報告によると、教育行政が大きな影響を受けることは予想されますよね。それに対してどう思われますか。
  48. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) それは、教育行政を基本的に責任を持っているのは、これは内閣なんですよ。その内閣の中で私がその仕事を分掌しているわけです。だから、再生会議はいろいろ御意見はおっしゃっても結構なんですよ。だから、スポーツ世界でもいろいろな提言、批評はあります。しかし、提言、批評は大いに参考にしたらいいんですよ。しかし、トレーニングを実際積み、試合に出るのはプレーヤーなんですよ。そこの原点だけは私はしっかりしておりますから。
  49. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 いや、大臣のそのお言葉は力強いもので。  あくまで教育再生会議は、自分たちが議論したことを総理に報告する機関ですよね。そうですよね、大臣。ということは、ということは、それがマスコミに出ていろいろ言ったりすると、それがいかにも教育、先ほど言ったように教育と思われると、おれたちからすると、それはむっとしますよね。いやいや、むっとするというか、そいつらだけがやっているのかみたいなことになると、いや、多少僕は精神的にはむっとしますよ。  ただ、僕が懸念しているのは、言いっ放しの状態、民間だから私たちは言っていい、責任はないから言っていいんだと、何でもかんでも言いっ放しの状態になるのはおかしいんじゃないかということを御質問したんですけど、どうでしょうか。
  50. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 大仁田先生、二つあると思います。  それは言いっ放しでないと困るんですよ。彼らが言ったことを文部科学省の中へ入ってきてやる、実施する権限なんて何もないわけですから、言いっ放しでないと困るんですよ。  もう一つは、言いっ放しじゃなくて、これは安倍首相に対する、今正におっしゃったようにアドバイスであり提言なんですよ。安倍さんがそれを取捨選択して、これでやろうかどうかということは内閣として判断するわけですよ。言いっ放したときにほとんど空鉄砲だったら世間から笑われるのは言いっ放した者なんですよ。だから、結構いい御提案がたくさんありましたら、我々は有り難くそれを採用させていただいたものもありますし、取らなかったものもあります。だから、責任は私が持ってやっておりますから、いい意見ならどんどんおっしゃっていただいたらいいし、空鉄砲なら世間に笑われるということです。
  51. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 いや本当に。  ちょっとお聞きしたいんですけど、教育再生会議の人選について、どのような基準で、答えられる範囲の中で、どのような基準で選ばれているんでしょうか。
  52. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) これは私は全く存じません、内閣に置かれているものですから。
  53. 山中伸一

    政府参考人山中伸一君) 教育再生会議でございますけれども、昨年の十月、閣議決定で、二十一世紀にふさわしい教育体制を構築し、教育の再生を図るということで、教育の基本にさかのぼった改革を推進するということで内閣に設けられたものでございます。  これは、内閣総理大臣、官房長官、それから文部科学大臣並びに有識者ということで、現在十七名の有識者の委員の方でございます。教育学術、芸術、スポーツ、企業等、いろんな世界で活躍されている方、こういう方から選ばれたものでございます。この皆様については総理を中心にして人選をされたものというふうに考えております。
  54. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 先ほどから教育再生会議をアッパー、たたいているように思われがちなんですけど、僕はある種、一部個人の方々が民間で採用されて会議を議論されている。僕は、懸念しているのは、言いっ放しの状態でいいじゃないかと言われて、決めるのは大臣だと。そうじゃないですか。僕が思うのは、そういった総理の諮問機関である教育再生会議を利用するような、個人的なそこでパフォーマンスをするような、それを個人的な利益として誘導するようなことを教育の場でやってほしくないと思うことなんです。テレビに出てどういう発言をするか、それは知りません。ただ、テレビに出たりいろんなヒューマンドキュメントを撮ったり、それは僕なんかもやってきましたからそれに対して否定的なものはありません。  ただ、やっぱり教育をつかさどる、それも総理に、総理にちゃんと答申したり意見したりどうのこうのする諮問機関がやっぱりきちんとしたものを、自分の、自分のですよ、個人的パフォーマンスに走らず、やっぱりみんなで会議したものを、いいものを総理に提言してもらうような機関として文科省がちゃんとそういった部分で監視してもらいたいと思うんですが。
  55. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) これは、内閣総理大臣の肝いりでつくられ、閣議決定でつくられた会議でございますので、正式の国家行政組織法上に言う審議会ではないんですね。ですから、我々が監視をする立場にもありませんし、ここにはいろんな各層の人が来ているから自由に私は意見をおっしゃっていただいていいと思います。結構、なるほどなと私、聞かせていただくことも多いですし、首相に対して、総理に対して答申というんですか、意見具申をされた中で、総理がこれはいいなといってお取りになっているものもたくさんあるわけですから。ただ、その中で会議としてまとまっていないものを個人的に発表されたり、先生のお言葉をかりればパフォーマンスをされたりという事例があるのかどうか私はつまびらかにしておりませんけれども、まあ人間社会のルールからいって、恥ずかしいことをやればやっぱりそれは社会から見て恥ずかしくなるということなんじゃないでしょうか。
  56. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 僕は本当に議論は必要だと思います。大臣が言われるように、やっぱりいい意見もあれば悪い意見もある。ただ、やっぱり子供たちの問題や教育問題というのを、仮にそういった、僕もパフォーマンスで生きてきた人間ですから人のことは言えません。ただ、やっぱり教育をつかさどる、それも総理の諮問機関が余りパフォーマンス状態に走ってほしくないだけということ。  それから、やっぱり文科省の中で苦労している人間もたくさんいるということを教育再生会議にも分かってもらいたいんです。そういった部分で僕は質問したんであって、大臣、悪意に取らないでいただきたい。いつも文科省が気を引き締めながら教育審議会といい教育をつかさどっていってもらいたいなと思います。よろしくお願いします。  次に、政府が実施しているゆとり教育についてなんですけれども。  僕は、そのゆとり教育と詰め込み教育のはざまのときにちょうどインドへ行ってきたんですけど、インドはもう飛躍的に伸びていますよね。階級制度というか、制度があります。カースト制度なんですけど、だんだん崩壊しつつあるんですよね、大臣ね。  それで、下の、底辺の人たちにも教育を与えようじゃないかって、抜粋して全国から集めてきて、千三百人ぐらいがその施設の中に入って、一日平均十三時間から十四時間勉強するんですね。昼間も参考書を見ながら、パンをかじりながら勉強するんですね。それで、その子たち質問したんです。何で勉強するんだと言ったら、国のためだと言う。おい、違うだろう、自分のためだろうと言ったら、家族のためだと。それで、話をしてみると、コミュニケーションを取ってみると、自分の夢も確実に持っているんですよね。IIT、工科大学へ行って技術者になるんだ、ITの先端者になるんだとか、女の子で面白いのがいて、パイロットになるんだという女の子もいて、着実に夢を持っているわけですね。  僕は、詰め込み教育は決して悪いとは思っていないんです。日本の明治新政府が立てた義務教育制度なんてすばらしい教育制度だと思っています。  そんなことで、ゆとり教育なんですけど、完全週休二日制などが導入され、問題点として学力低下が叫ばれていますよね。まあ、マスコミのことを言うわけじゃないですけど、マイナス面も報道される一方、具体的な成果というものはなかなか見えてこないような、そういうふうなところもあるんですけど、実際はゆとり教育の成果としてどんなものが具体的に示されますか。よろしくお願いします。
  57. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 文部科学省ゆとり教育という言葉は使ってはいないわけでございますけれども、平成十年に改訂をされて現在実施されております現行の学習指導要領をいわゆるゆとり教育というふうに言われる場合が多いわけでございます。  この現行の学習指導要領の特徴は、知識を詰め込むということではなくて、精選された基礎的、基本的な知識は、これはしっかりと身に付けた上で、それを実際の生活で活用する力の育成ということを目指しているわけでございます。特に象徴的に言われておりますのが、学校週五日制と総合的学習の時間というものをこの教育課程の中に取り入れたということがあるわけでございます。  この総合的な学習の時間についてはいろいろな評価があるわけでございますけれども、自分が興味を持ったことをいろいろ自分で調べられるようになったとか、自分の将来の進路とか仕事、こういったことについて職場体験とかそういうことを通じて考えるようになったとか、こういった成果が見られるわけでございます。ただ、やはり課題として、この基礎的、基本的な知識技能の確実な定着、この指導が十分かどうかということは私どもやはり課題としてあると思っております。  こういった点を踏まえてこれから学習指導要領の見直しということに取り掛かっていかなければならないということで、今準備を進めているところでございます。
  58. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 いや、成果と言われても、本当に成果が見えているのかというのは何で表すのか。数字で表すのか何なのか分かりませんけど、学力低下はやっぱり数字的に表れているわけですから、そういった部分ではやっぱり見直しするところは見直ししなきゃいけないなと私は思っております。  アメリカは、ゆとり教育を実施して、結局、学力低下によってもうすぐに切り替えたわけですから、私はやっぱり切り替えるときには切り替えなきゃいけないと思うんですけど、アメリカの一連の教育改革について、俊敏に替えたじゃないですか、そういうふうなことに対しての評価というのはどう思われますか。
  59. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) アメリカの教育についてのお尋ねでございますけれども、アメリカは一九八〇年代に危機に立つ国家ということで、やはりアメリカの教育について大きな改革運動があったわけでございます。特に、基本的な読み書きというところが十分身に付いていない、このままではアメリカ社会というのが知的な社会として存立し得なくなるということで改革を進めたわけでございます。さらに、近年になりまして、その上に立って、一人も落ちこぼれをつくらない教育ということで、今また重点的な教育の改善に取り組んでいるというふうに承知をいたしております。で、その成果がどうかということについては、これはいろいろ評価があろうかと思っております。  日本の場合でございますけれども、日本は、昭和の時代というとちょっと古い話になりますけれども、この時代はまあ比較的たくさんの知識量を学ばせるという時代が続いたわけで、いわゆる一部に詰め込み教育といったような批判があったわけでございます。そういう中で、平成に入りましてから、子供たちに身に付けさせる共通の知識量というのは、これは精選をしようと。その上で、それをしっかり身に付けさせた上でそれをむしろ活用していく、そういうことで取り組んできたわけでございますが。  やっぱり物事というのは、一方から一方へ極端にぶれるというのがいいのか、あるいは真理は中間にあるのかといったようなことがあるわけでございまして、私ども今考えておりますのは、基礎的、基本的な知識、これはやはりしっかり身に付けさせるけれども、単に詰め込み的に量を多くすればいいというものでもないだろうというふうに思っております。やはりそれを実生活で活用する力、それから最も今、日本子供たちに求められているのは、学ぶ意欲といいましょうか、何のために学ぶのかということについてしっかり考えて、そうして意欲的に学習をする、また学習の習慣を付けるということが大事ではないかということで、今そういう観点から改訂の作業を進めているところでございます。
  60. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 僕はアメリカがいいとは、すべていいとは思いません。ただ、駄目なものは迅速に変えられるこのスピード感というのは現代に要求されているということだと私は思っております。駄目なものは駄目って自分で判断したら変える、国が変えればやっぱり民間も学びますから、やっぱりそういったことなんです、結局。自分が駄目だと思ったら変える勇気も必要だし、そういったことを大人社会が教えることが今重要なことだと思っているんですが。  済みません、時間が限られているもので、短縮できたら、お答えを短くしていただくと有り難いんですが。  文科省において平成十四年に「学びのすすめ」が公表され、学力の向上を目指すということがありましたが、教育再生会議の第一次報告でゆとり教育の見直しが一番の項目になっています。この報告をどのようにお感じになられましたか。
  61. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 私ども、この答申を、報告を受けまして、現在、中央教育審議会の教育課程部会で教育課程の見直しの作業を進めておりますけれども、基本的な考え方にそれほどの違いはないというふうに思ったところでございます。しっかり基礎、基本を学ばせるという点では、これは一致をしていると思いました。  それからもう一方、私ども非常に今大事だと思っておりますのは、子供たちにしっかりとした規範意識を身に付けさせるということも大事だということで、そういう観点からの検討も進めておりますが、その点でもそれほど大きな違いはないというふうに受け止めているところでございます。
  62. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 大臣教育再生会議の構成員となっておられますよね。ということで、やっぱり教育再生会議が第一次報告でゆとり教育の見直し、見直しされるべき教育とは具体的に何を示すのか、大臣の見解をお聞きしたい。
  63. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 教育再生会議の私はメンバーになっておりますが、私が出席をしているのは全体会議というか総会だけです。だから、個別に、どういう議論が個別の会議で行われているのかは承知しておりませんが、再生会議が言っておるのは、ゆとり教育の結果、基礎的な学力が低下をしてきていると、だからこの基礎的な学力を元へ戻すためにゆとり教育を正した方がいいという趣旨だと思います。  これはしかし、先生がさっきおっしゃった一番最初の御質問ともずっとかかわってくるんですが、そういう御意見があるということはよく承ればいいわけで、謙虚にいろんな意見は承りますが、ゆとり教育が本当にすべてまずかったのか、運用がまずかったのか、これは文部科学省が最終的に中教審の御意見も伺いながら判断をさせていただくということです。
  64. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございます。  教育というものは時代によってまた変わりますし、やっぱりその法律が施行されたときにそのような、日本社会がそういう状況だったかというと、またやっぱり違う差というのは出ると思います。  大臣所信で述べられた基礎的、基本的な知識の定着ということなんですが、具体的にどういうことでしょうか。
  65. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 簡単に言えば、人間として生きていく最低限の国語力、理数の力ということだと思いますね。  OECD等でも国際的な学力調査をずっとしておりますが、これは御承知のように、理科と数学においては日本はまだベストスリーぐらいに入っているんですよ。残念ながら日本語の表現力、そして日本語の理解力は、つまり自国語理解力、表現力は、日本はOECDの調査では世界の十四、五番目です。これはもう少しやっぱり私は元へ戻さねばならないと思うし、何より美しい日本語というのは大切にして、誇りを持って守っていかねばならない。  私は、大仁田先生一つ経験があるんですが、フランスに行ったんですよ。私は、残念ながらフランス語で濶達な会話ができませんので、英語で話しました。そしたら、向こうのフランス人が驚くほど立派な英国のオックスフォードで話しているなまりの英語で、私はフランス人だから英語が話せませんと私に言ったんですよ。それほど自国語にやはり自信を持っているというか、フランス人はね。やっぱりそれと同じように私たち日本語を磨いていく、そういうことも私が申し上げた所信の中に入っておると御理解いただきたいと思います。
  66. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 いや、私も同感です。私もフランスにいましたので、ドイツ、フランス、イギリスにずっと転戦していましたので、もう一年以上そちらの方にいたんですけど、僕も同感で、やっぱり日本語ができなくて何が英語だと僕は思っております。やっぱり日本語ができなくて、どうしても漢字を忘れてしまう、パソコンとか使ってしまって変換するものですから漢字を忘れてしまう自分なものですから、たまに漢字をテストをしたら、小学五年生のテストをしたら、自分で六十点しか取れなかった自分に情けないなと思って、もう一回漢字のテストをしなきゃいけないなと思っているこの昨今ですよ。そういった部分で私も同感ですので、是非そういった、初心貫徹じゃないですけど、やっぱり貫いてもらいたいなと思っております。  ちょっと最後に、昨日も電話で御両親とお話ししたんですけど、福岡県の筑前町のいじめの問題についてなんですけど、中川先生とも北海道のいじめについても事前に文教委員会調査にも行ったんですが、僕がちょっと懸念するのは、PTA側の意見、確かにそういった事件が起きると子供精神的な負担がある、いつもそうですよね。精神的な負担があるから、どうしても解明を早急にしないでもらいたい、子供たちのケアも必要なんだと思われるんですが、やっぱりある程度の原因については究明しなければ僕はいけないと思いますけど、大臣、どうなんでしょうか。
  67. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 原因は究明しないといけないでしょうね。先ほど中川先生がおっしゃったように、罪人を出してくれるなとかというお言葉がありましたが、それではやっぱりいけないと思います。  特に福岡のケースは、私どもは今の御承知のように法体系の下では直接教育委員会へ介入できませんから、命令権がございませんから、今回そこを若干直す法律をいずれお願いするわけですが、私どもの聞き及んでいるところでは、単なるいじめだけではなくて、本来いじめを止めるべき立場の者がそのいじめの輪の中に入っていたと、そしてそのことについて教育委員会が適切な指導をしていなかったということを、これは伺っているわけですよ、伺っておりますから、そういうことについてはきちっとその責任の所在を先生がおっしゃるように明確にして、そして二度とこういうことのならないようなけじめはやっぱり付けていただかないといけないと思います。
  68. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 報告も、報告書が提出されて、いじめということは具体的にはなかったんですよ。だけど、いじめを誘発するような言動をした事実はあったというふうな表現をされているんですけど、こういった教師に関しては教壇から外すなどを含めたやっぱり処置を僕はとるべきではないかと思うんですが、大臣、どう思われますか。
  69. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 福岡の筑前町の中学二年生の男子の生徒が自殺をした事件についてでございますけれども、大仁田先生にもいろいろと現地に行っていただいたりしていただいたわけでございますけれども、筑前町としては、事件後に行った原因究明のための聴き取りやアンケート調査等に加えまして、より詳細な事実関係を究明するための専門家や地域の関係者などから成る筑前町立三輪中学校生徒自殺事案調査委員会というものを十一月の七日に立ち上げまして、十二月の二十八日に報告書をまとめております。  報告書の中では、自殺した生徒は、入学当初から周囲の多くの生徒から長期にわたってからかい、冷やかし等を受け、相当な精神的苦痛を受けており、それはいじめに相当し、自殺に至った精神的苦痛の最も大きな原因一つとなった。こうしたいじめの事実について学校は事前に把握しておらず、いじめ対策に係る日ごろからの校内組織体制に不備があった。一年時の学級担任が行っていた不適切な言動は、生徒が自殺したおよそ半年前から一年前のことであり、自殺の直接の要因となったとは考えられないが、その時々の子供たちによるからかい、冷やかしにつながる要因となったのは否定できないというような内容の報告がなされております。  それから、こういった報告書を受けまして、学校運営の責任者でございます当該中学校の校長や一年時の学級担任らが、去る三月六日に福岡県教育委員会より懲戒処分を受けているところでございます。
  70. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 報告ありがとうございました。  文科省と、前回も言ったように文科省と法務省と警察庁のいじめ調査の結果に違いがあり、様々な指摘を受けましたよね。今後いかに連携を図っていくのか、説明を願いたいと思うんですけど。
  71. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 文部省が実施をしております自殺調査におきまして、いじめが主たる原因になっているもの、これが平成十一年以来ゼロという、こういう調査結果があったわけでございます。これが実態を十分に反映をしていないということにつきまして、私どもこれを遺憾に思い、反省を踏まえて、この調査につきまして調査方法のまず見直しを行ったわけでございます。  また、警察庁等とこの自殺の問題につきましてはその後連絡を取り合って、例えば自殺につきましては、警察庁の数字というものを文部科学省が把握をした上で、各教育委員会から報告されます数字と付き合わせまして、それでその数字にもし違いがあれば、今後、どうしてそこが違うのか、そういうところもきちんと突合して調査結果をまとめるといったようなことで今連携を図っているところでございます。
  72. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 個人的にですけど、これは個人的な意見というか、意見の場ですから、個人的な意見なんですけど、僕は基本的にやっぱり学校に守る人間も必要なのかなと思います。やっぱりいじめというのは卑屈なんだよという、そういった教育もなされていかなければやっぱり数は減らないと思いますんで。  あのとき、大臣及び文科省の方々も心労は大変だったと思う。連鎖的に自殺も起こりましたし。ああいうマスコミなんかが報道すると連鎖的に、気の弱い子や追い込まれた子は連鎖的に自殺をしてしまう。インターネットなんかの普及により、大臣、最近、やっぱり文科省の方々もそうですけど、やっぱり被害者の人たちが載るじゃないですか、被害者の顔がインターネットで全国に公表されたり、ああいうことというのは本当、ある種、ある種ですよ、卑劣なものであるなと思うんですよ。被害者は保護されなきゃいけないのに、逆に放置されてしまうみたいな弊害があるものですから、非常にマスコミとかそういった通信機器及びそういったもの、マスメディアとかそういった含めたものというのは本当に厳重に注意してもらいたいなと思うんです。  もう時間もないことですので、最後に、いじめについて御両親と話して、是非文科省及び大臣に伝えておいていただきたいという言葉があったんですけれども。  結果がすべてではないということを御両親の方々は言われていました。処分の問題ではない、だれだれを決め付けるとか犯人はだれだとかって、そういうことではないんだということなんです。やっぱり最終的に、時間もたって、自分子供が亡くなったということで、時間もたって大分落ち着かれたとは思うんですけど、やっぱり最終的にこの日本学校制度の中でいじめをなくしてもらいたい。そしてまた、残された生徒たちのケアだけに重点を置いて、いじめを根本的、ケア、ケアと言われたんですよ、僕も両親と話をしたときに、大臣、PTAの人たちが、ケアしながら真相究明しなきゃいけないから真相究明がちょっと遅れるんです、どうしても。そういったものに対しての御立腹な部分はあられました。  最後に一言、御両親が言われたことは、やっぱり第二、第三の犠牲者を出してほしくない。やっぱり教訓として、文科省及び教育につかさどる人間たちいじめを撲滅しようという意識の中でやっぱり戦っていかなければ減ってはいかない。ゼロになる、ゼロにならないかもしれない。だけど、いじめがゼロになるような姿勢で大人社会が、そして学校制度が、そしてそれを守る社会がやっぱり頑張っていかなければならないと思っております。  大臣、是非頑張ってもらいたいと思います。  今日はどうもありがとうございました。
  73. 狩野安

    委員長狩野安君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  74. 狩野安

    委員長狩野安君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、教育文化スポーツ学術及び科学技術に関する調査を議題とし、文教科学行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  75. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 西岡武夫でございます。  今日は、伊吹文部科学大臣のさきに行われました大臣所信を中心に質問をさせていただきます。  私は、大臣所信の中で述べられました教育についての基本的なお考え方、具体的には、大臣のお言葉をそのまま申し上げますと、教育問題は国家百年の計であるだけに、その最終評価は、私たちがこの世を去った後に出てくるでしょうと、全くそのとおりだと、同感であります。私も一貫してそのことを今日まで言い続けてまいりました。  もう一点、教員の資質向上のことに触れられた中で、教育再生という言葉は、じゃ、今の日本教育は崩壊しちゃっているのかということになるんで、私は、教育再生という言葉が政権与党あるいは文部科学大臣からこのように語られること自体がちょっと問題だなと思うんですけれども、その点も後でお伺いいたしますけれども、大臣のお言葉をそのまま申し上げると、教育再生のかぎを握っているのは良き教師に尽きると言ってよいでしょうと。これも、この後段の部分、教育は良き教師に尽きると言ってもいいと、このこと全く賛成であります。  そこで、今触れました、大臣日本の特に義務教育を中心とする学校教育が崩壊しているという御認識でしょうか。
  76. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 崩壊しているという言葉は私は所信では使っていないと思いますが、いろいろ問題点があることは確かだと思いますね。横文字を使うのは私は余り好きじゃありませんが、再生という言葉はリバイタライズですから、新しき命を吹き込み、元気にもう一度立ち上がらせるということでございます。
  77. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 本委員会日本教育について論ずる日本国会でございますから、他国語を引用されてこの重大な問題を御説明になることは控えていただきたい。教育再生という言葉をお使いになる以上、再生ですからね、再び生き返らせるわけでしょう。どうなんでしょうか。
  78. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) どうなんでしょう、再び生き返らせるというか、再び生気を与えるというか、私は完全に息の根が止まったとは思っておりませんので、新たな命を吹き込むということでございます。
  79. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 それでは、これから少なくとも伊吹大臣の下で教育再生という言葉はお使いにならない、こういうことですか。
  80. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) いや、私は再生という言葉の解釈を、先生は御経験が大変深いですから、死んでいるもの、崩壊しているものを再び生き返らせるというお言葉を出しておられましたが、私は生気を取り戻させる、命を与えるというふうに解釈をしておりますから、横文字を使って説明するのはやめろという先輩の御叱正でございますのでその言葉は使いませんが、私がこの言葉所信を表明したときの文字どおりの意味は、先ほど横の言葉で申し上げたことを念頭に置いて再生という言葉を使っているわけです。
  81. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 この問題は、私は適当な言葉ではない、再生という言葉は、教育全体に与える、あるいは国民全体の教育に対するこの現状についての認識を過たせるのではないかという危惧を持って申し上げたわけでございまして、そのように受け止めていただきたいと思います。  ところで、大臣教育問題というのはとにかく百年の大計なんだと。私も、自分が生きている間にその成果が出るというふうには思わないで今日までいろんな問題に取り組んでまいりました。  ところが、これは小泉政権の下で、いわゆる行政改革の推進に関する法律案の第五十六条におきまして、御承知のとおりに、教育職員の人材確保に関する特別措置法の廃止を含めた見直しというものを平成二十年四月を目途に必要な措置を講ずるという法律があるわけです。私はこの人確法を提案し、立案し、これを立法化することに携わった者として、私が生きている間に廃止を含めて検討されるとは夢にも思わなかったんですけれども、大臣のこの人確法についての御認識についてお尋ねをしたいんですが、廃止を含めて検討するというこの法律について大臣はどうお考えですか。
  82. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 先生の今の、特に先生がライフワークとして教育に取り組んできておられる情熱からいえば、当然今のようなお言葉になると思います。  国がやっている仕事というのは、私ども後輩が申し上げるのもなんですが、幾つものことをやっているわけですね。無数の連立方程式の解を解くわけですから、一つの連立方程式の答えを満足させたけれども他の方程式の解になり得ないというものは、やはり総合的に国家を預かっている場面では取り得ないと。そのうちどれを重視するかというのは、その政権その政権の価値観、政治理念によって、まあプライオリティーはまたいけませんね、優先順位を付けるところだと思います。  小泉政権は、今御指摘になったように、財政再建というものを重視をして、しかもそれを歳出のカットを中心に進めてきたと、歳入のことは議論をしないと、自分の政権の間はですね、ということでやってこられたから当然こういう帰結になっている。これは、いい悪いじゃなくて、先生がおっしゃった事実に対する私の評価です。その上で、昨年末の予算編成のときに、今おっしゃったことを実現しようという動きが具体的にありました。  それで、人確法の趣旨からすると、どれだけが優遇されているのかというのは、これは見方によっていろいろ違いますけれども、例えば地方公務員の超過勤務の実態がどうなっているのか、一般地方公務員のですね、それとの比較で教員の超過勤務の実態と合わせて比較をして、公平に見てやらないと私は教員のために良くないと思っていますが、そういうことの中で二・七六%を閣議決定をしたので、昨年の暮れから削減をするという話があったので、私は先生と同じそのとき判断をしたわけです。  これは、安倍内閣教育を最優先課題とする限りは、小泉内閣のときにできた概算要求に従って二・七六%の教員給与をカットするというのは、私は取るべきじゃないと。安倍総理もその考えを理解されて、財務大臣が納得をして、昨年暮れでは二・七六のカットというのは延期になったんです。延期になりました。  ですから、いよいよ平成二十年度予算については概算要求時点から安倍内閣はかかわらなければいけないわけですね。人確法の精神を生かすにはどういう取組方があるか。二・七六のカットというものは閣議決定をし、先生がおっしゃっている法律があるから、それを認めた上で、それを上回る人件費の要求をするのか、あるいは二・七六と言っているのをやめさせるのか、いろいろな私はやり方があると思います。  今回いただいた中教審の答申もお読みいただいたと思いますが、その総論のところに、免許、研修、いろいろ書いてありますが、同時に、先生が先ほど引用していただいた、良き教師に尽きるということからすると、教師の勤務条件というものと合わせてやはり免許のことは考えなければならないということを中教審もわざわざ言ってくれているんです。ですから、これは二十年度予算編成の私は最大の問題というか争点になるところではないかと思って、ともかく十九年度予算編成では一応地雷は撤去したという状態になっているのが現状でございます。
  83. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 大臣のお言葉ですけれども、地雷を撤去されたとおっしゃっておりますけれども、地雷はあるんですよね。
  84. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) ありますよ。
  85. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 じゃ、撤去じゃないでしょう。  私は、現在人確法が、正に人確法そのものが再生しなきゃいけないと思っているんですよ。形骸化しちゃっている。これこそ再生ですよ。安倍政権の下で教育内閣優先課題にすると言われたわけですから。先ほど大臣は、いろんな施策を総合的にやるのが政治、政権の務めであるから、一か所の問題だけをいろいろ言い募っていたのではできないというような趣旨をおっしゃいましたけれども、内閣の最優先課題教育であると、教育であると。
  86. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) そういうことを言っているんじゃないんです。
  87. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 いや、安倍さんが言っておられるんですよ。そして、その教育の中心は教師にあるんだと。そうであるならば、人確法の再生こそが求められる。  したがって、伊吹大臣がこの所信をお述べになった以上は、今国会中に行政改革の推進に関する法律案の第五十五条と五十六条、この条文二つを削除するという法律を提案されてくれば、私は安倍政権は本気で教育問題に取り組むんだなと、こう思います。大臣、いかがですか。
  88. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) まず最初に、無数の要請を変数とした連立方程式を解かねばならないということは、小泉内閣においてとおっしゃったので、小泉内閣の連立方程式体系の中では、おっしゃったように人確法をカットするという連立方程式体系を組んでいるんだということを御説明しただけであって、安倍内閣は最優先の課題としており、良き教師に懸かっていると私、申し上げているわけですから、先生のお言葉で言えば、人確法を先生はそれを再生されるというふうに、再生という言葉をそういうふうにお使いになっているのかなと思って私、今聞いておりましたが、私は、あるいは再生という形でいくのか、つまり今あるものに新たな命を吹き込む、あるいは命を再び生き返らせるという先生のお考えでもいいですし、教員の給与、勤務条件体系を新たに創造するという考え方でもいいでしょうし、私は、何らかのそういうことをしたいなと思うことは再三御答弁を申し上げているわけです。これは、各委員会の、あるいは予算委員会の答弁等を議事録で引いていただければ私の気持ちはそれで理解していただくと思います。  今国会中に国会がお決めになった法案を私が殺すものを出すかどうかということについては、これは立法政策の話ですから、具体的にそこのところの決着を付けなければならないのは、先ほどお読みなったように平成二十年と書いてあるわけでしょう、法律には。ですから、二十年度予算編成の中で勝負になる最大のポイントだと私が申し上げたのはそういうことなんですよ。  だから、予算編成の中で勝負をして、必要なら、それに付随する予算関連法案を国会に提出する中で、先ほどの行政改革の法律法律どおりやりますと、しかし別に法律を上回る措置をとるというやり方だってあるわけですね。法律をやめますというやり方だってあるわけですよ。大切なことは、黙々と努力している教員に対して実質的にどういうことを報いてあげるかということが大切なんであって、法律をすぐに殺せばそれでその立場が分かるということでは私はない、いろいろな予算編成上のテクニックというのか、立法政策上のやり方があると思います。しかし、気持ちは、今、西岡先輩がおっしゃったことと私はそう違うことを考えているわけじゃないんです。
  89. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 まあ、大臣のお苦しいお立場というのは十分分かるんですけれども、私は、外務大臣と防衛大臣、この二つのポストは総理大臣と意見が違うということをみだりに発言してはいけないと、こう思うんです。しかし、他の大臣の皆さん方は、自分の所管の問題について総理大臣ともちょうちょうはっしの議論をされて結構だと思うんです、ましてや、総理自身が教育を最優先にする、この安倍政権はするんだと言っているんですから。  それならば、小泉政権のときに作ったこの行革推進法を、実態の問題として私は、五十五条と五十六条が文部科学省にとっては大きな壁になっていることは事実でしょう、大臣、政策を進められる上で。その壁の中で、こちょこちょこちょこちょやったところで知れたことですよ。この壁を取っ払わないと伊吹大臣がおっしゃっているようなことはできないんじゃないですか。
  90. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) それはそうじゃ、先生、ないんじゃないですか。私より与党での予算編成の御経験も今は野党だけどおありになるわけだから、どういう形で教員を優遇するというか、今の人確法の趣旨をやっていくかというのは、これは会計的に言えば極めて明白なことで、こちらの勘定を落とすというやり方をするか、こちらの勘定は残しておくけれども、それよりも更に大きな勘定を右側に立てれば差引きは同じことになるわけですよ。  だから、この法律をつぶすのか、あるいはこの法律どおりやって、それの今度はこの法律でつぶされた二・何、私はむしろ先生より教員のことを考えているんじゃないかと思うんですよ、そのとおりできなきゃ私は無能な大臣になるんですけど。私が考えているのは、二・七六を落とす、二・七六でいいと思っていないんですよ。二・七六を仮に閣議決定しているんだからそのとおり実施しても、三・〇の新規要求をした方がいいんじゃないかと思っているわけですよ、私は。だから、それはやり方の問題なんですよ、先生
  91. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 私はそういう、二・とか何・とかって、そんな細かい話をしているんじゃなくて、学校先生日本の将来にとって大事なんだと。これは、明治維新以来、一貫して日本が取ってきた姿勢だと思うんです。  人確法を作るときに、これは前も申し上げたと思うんですけれども、日本が第二次世界大戦に参戦をしてしまった、そして敗戦をしたと。それ以前の状況は、学校先生は兵役を免除されていたわけですね。私は、人確法を作成する過程の中で、兵役免除に代わるいわゆる、言葉としては適当かどうか分かりませんけれども、教師に対する優遇措置というものはないのかといろいろと模索をして、いろんな経緯がありましたけれども、結局人確法というところに行き着いたわけですね。それだけのことをずうっと我々の大先輩たちはやってきたわけですね。  それを考えると、どうなんでしょう、大臣。そういう今のような二・何%がどうという問題じゃなくて、基本的な考え方としてどうするんだと。それには、小泉政権がこの法律を作ったと、しかし、特殊法人とか独立行政法人なんというそういう名前で生き残って、全然手を付けていないところがたくさんある中で教育にばっとメスを入れてきた。これはもう大変な私は罪だと思うんですが、安倍政権になったんですから、安倍政権はどうするんだ。これを、五十五条と五十六条を削除するということをおっしゃる方が明快になると思うんですよ。
  92. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 先生の安倍政権への御指導、野党からの一つの御意見があったということは重く受け止めます。  しかし、私たちは、その二・七六が小さいとかということであれば、先生はしかし、人確法の優遇分をカットすると書いてあるじゃないかというところからお話を始められたから私はそのことを申し上げているんであって、数字で申し上げないとすれば、この法律に書いてあることをこの法律どおりやりながら、その法律を上回る新たな法律を作るというやり方だってあるわけですよ。  ですから、それは立法政策の問題なんですよ。だから、考え方としては、私は累次いろいろな委員会やなんかでも、本会議でも御答弁しているように、今の少し教員に対する、免許だとか研修ということだけで本当にいい教師がつくれるのかと。そして、何か失敗をすれば、あるいはいじめの問題、学校現場の荒れということがあれば、それは極めてまれなことであるからマスメディアは大きく取り上げるのであって、取り上げられないけれども黙々と努力している大勢の先生がいるということもやっぱり書いてもらわないといけないわけですね。そういう思いで私はいろいろ申し上げているから、お気持ちはそう違わないと思うんですよ。  ただ、それは先生、長い間国会におられて、今、小泉内閣の作ったこの法律の中の二つだけを安倍内閣ですぐにぽんと国会へ出せなんというのは、政治論としては、野党は喜ぶけれども、マスコミは安倍内閣を攻撃するための最高の材料を作るけれども、こちらは非常に困るぐらいのことは先生、御経験が長いからお分かりじゃないですか。
  93. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 私は、安倍政権が教育問題を最重要課題にするとおっしゃったから言っているんですよ。おっしゃらなかったらもう期待しませんよ。そうおっしゃっている以上は、少なくとも人確法の問題はかなり他のいろいろな施策にもかかわる問題で、大変なこと分かります。分かりますが、人確法を作るときは大変だったんですよ、全部の役所は反対ですから、その中で作った法律ですから。  ですから私は、伊吹大臣が、自分が生きている間に成果が出るというようなものでは教育問題はないんだと。私は、自分が生きている間にこの人確法がなくなるなんというのは夢にも思わなかったと申し上げたのはそういう意味なんですよ。ですから、それを上回る法律を作るとおっしゃっても、私には全然見当が付かない。人確法そのものが形骸化してしまっている、残念ながら。  ところが、日本が第二次世界大戦で戦いに敗れた後の学校先生方の給与は、この人確法がない以前です、他の公務員より二号俸上だったんです、初任給が、当時から。ですから、そういう大きな流れの中でやれないことはないと私は思うんです。  それと、教育問題はこれだけ大きな問題になって、免許法の改正も御提案になる予定になっておりますけれども、第五十五条というのも私は大変なこれは課題だと思うんですよ。これがあると、なかなかやろうと思ってもできないでしょう。  御丁寧にですよ、こんなに書いてあるわけです。第五十五条の三項には、はしょって読みますけれども、「教職員その他の職員の総数について、児童及び生徒の減少に見合う数を上回る数の純減をさせるため必要な措置を講ずるものとする。」と。ここまで書き込んでいるわけですね。そうしたら、文部科学省は、学校先生の配置とかそういう問題について多分にっちもさっちもいかないと思うんですよ。もう既にそうなっていると思います。それでいて、教育を大事にする、教育をこの安倍政権の第一の課題にするんだと言っている。政権は看板倒れになりますよ。どうお考えですか。
  94. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) いや、それは先生、そうじゃないんじゃないですか。  だって、先生は国権の最高機関の一員でしょう。だから、我々、今まで法律を変えていることは幾らだってありますよ。先生だって随分たくさん法律を変えてこられたと思う。あるいは、新しい法律を作ってこられたと思う。だから、最優先の課題として政権が考えた場合に、このとおりいかないんであれば、予算編成その他を考えながら必要な法律を出して、また国会の御議論を得るから、国会というのは法改正をする場じゃないんですか。いったん決めちゃったらそれにいつもいつも縛られて身動きもできないということであれば、法律を作っちゃったら行政が国権の最高機関になっちゃうじゃないですか。
  95. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 いや、ですから、私は、伊吹大臣がこの五十五条と五十六条を削除するという提案をされますかと冒頭に聞いたのはそういう意味なんですから、政府として。いや、それは国会でまた議論するわけですから、政府がどう考えているか。
  96. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) いやいや、そうじゃないんです。  先生はこの国会にとおっしゃいましたよ。我々はそういう気持ちはありませんということを申し上げているんであって、実質的に二・七六とか数字の話のようなちまちまとおっしゃるけれども、先ほど来のお話を伺っていると、二号俸高かったとか、みんな結局金銭の優遇のお話をしておられるから、私も、金銭的に優遇をするということであれば、今の二・七六を削減してもそれよりも大きな予算を付ける。あるいは、場合によっては、先生が今御指摘になったような法律があっても、再生のために新たな、例えば今教員が子供と向き合う以外の時間を取られているから、そこのところを埋めていく職員を別枠につくるとか、それがこの法律と相反する事実となれば、それはこの法律を殺す法律国会へ出さないといけないんですよ。  しかし、それをいつ出すかは、もちろん民主党は議員立法の提出権がありますからお出しになってもいいと思いますし、我々がいつ出すかは我々が判断をいたしますと申し上げているわけです。
  97. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 いや、私が今国会と申し上げたのは、何も特別な話でも何でもなくて、二十年の四月までにと書いてありますから、法律に。平成二十年の予算編成は、その各省の予算の概算要求というのは参議院選挙終わったらばすぐ出るわけですね。もちろん、そこで政権交代していれば問題ないんですけれども。それは一応おいておいて、伊吹大臣の決意を聞いているわけですね。だって、三年先の話じゃないんですから。来年の予算編成ですから。それにかかわるから今国会でと申し上げたんです。  これは、今ここで今国会に出しますなんということを大臣がおっしゃったらば政権としても大騒動になるんでしょうからこれ以上申し上げませんけれども、この問題はやっぱりきちんとこの国会であろうと臨時国会であろうとなさるべきであると、今の安倍政権が続く以上は御検討になるべきであると、このように御指摘を申し上げておきます、この点について。  それから、今回の中教審の答申ですけれども、私が、長いことずっと中教審の各審議も見てまいりましたが、私が寡聞にして、あるいは記憶違いかもしれませんけれども、大きな課題を中教審が中間答申も出さないままわずか一か月で大臣に直接答申出しちゃったという例は、これは参考人で結構ですから、過去にありますか。
  98. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 今回の答申に至ります経緯を御説明を申し上げたいと思いますが、今回は確かに一月で答申に至ったわけでございますが、重要な中教審答申に至ります一般的な手続で申しますと、委員御指摘のように、中間発表をし、一般の御意見を徴する機会を提供するというのがこれまでの手続でございましたし、今回は、例えば、一月の期間ではございましたが、例えば一般の方々の御意見を聞くといった手続に配慮するなど、期間は短うございましたけれども、審議の充実を図るための様々な手当ては尽くされておるものと理解をいたしております。
  99. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 この答申の初めの、これは初めも当然答申の一部でございますから、この中に「時間的制約のある中で、」、こんな答申、私、今までに聞いたことないんですね。私は異常だと思うんです、こういうやり方は。  もしも大臣が、本来なら中教審にかけなくてもできることだと、私はそうだと思うんですよ。その点は、大臣、どうお考えですか。
  100. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) まず、その前に、先ほど来先生と議論してきたことは、先輩の貴重なアドバイスとして私、受け止めさせていただきます。いみじくも最後におっしゃったように、先輩のお気持ちに沿う答弁をしたら大ごとになるという御期待に沿った答弁をできなかったことはおわびをいたします。  そして、確かに、かつて、先生の先ほどの御指摘もそれに相通ずると思いますが、小泉内閣のときは二分の一堅持の答申をしているんだけど、内閣はそれを受け入れていないんですね。そういう事実はあります。だから、審議会というものは、これの意見をどう文部科学大臣あるいは内閣が受け止めるかは、むしろやはり内閣サイドの判断権は担保されていると思います。ですから、かけなくてもいいということは、多分法制局的に言えばオーケーだと思いますね。  しかし、私は政治的に考えたんですが、再生会議という、大仁田先生の午前中の御質問にるるありましたが、再生会議というものが閣議決定によって出されて、そして再生会議の場で、これ正に先生が今おっしゃったのと同じことを再生会議の方々の中で御意見があったということが新聞にも報道されておりました。私は、再生会議というものが閣議決定だけでできている会議であるだけに、ここはやはりきちっと国家行政組織法上の審議会にやっぱりかけて、そして立法作業に入るのが、まあ私は穏当じゃないかという判断を私がしたわけです。  ですから、安倍総理も、この国会に是非出してほしいという要請をされました。そのことも中教審に御迷惑をお掛けしたことなんですけれども、そういう私の判断の結果、中教審には大変タイトな、御迷惑をお願いしたというのがありのままの事実でございます。
  101. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 その間の経緯は十分分かりますし、先ほど、午前中の質疑で大仁田議員から再生会議との関係等々について触れられましたから、私はもう重複を避けて、私も大仁田委員と全く同じ意見でございますので省略をいたしますけれども、いずれにしても、少なくとも教育行政、教育についての直接的な責任は文部科学大臣が持たれるということで進められるべきだと思うんです。  そこで、お尋ねなんですけれども、もう一つ、これも小泉政権の下で行われて今なお行われている、教育制度について特区制というのを導入していますね。  この間、新聞等でちょっと拝見しますと、特区でできた、株式会社ですか、株式会社何々学校、これがいろいろ問題があるという指摘文部科学省がなされたという報道がありましたが、それだけではなくて、株式会社何々中学校なんというのは私はもってのほかだと思うんですけれども、そういうシステムがですね。どんな名前であろうと、特区であろうと何であろうと、株式会社が、この株式会社の概念そのものがおかしなことになるので、学校を設置するというやり方は私は適当でないと思います。  それよりも、しかしもっと大きな問題は、特区と称して、小学校中学校高等学校のそれぞれの区切りを自由にできると。これは伊吹大臣は、こういう学校の刻み方を、いわゆる学制そのものを、特区という正に何か変なやり方で崩していくというやり方についてはどうお考えですか。
  102. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 日本全体が特区の申請をすれば、もうこれは特区じゃなくなるわけですから、基本的には、今の六三三四という区切りというものはきちっと決めているわけですから、これを特区という形でなし崩し的に崩すのは必ずしも適当なことでは私はないと思います。  しかし、同時に、西岡先輩のかねての持論のように中高一貫でやった場合に、それでうまくいくかどうかという実験をやってみる、そして、実験をやってみた結果それでよければ、六三三なのか六四二なのかということを本格的に入れるということはあっても私は構わないんだと思うんですね。  ですから、特区というのはあくまで限定的に、実験的にやるのであって、それが大きく日本全体の制度を変えてしまうということがあるのならば、それは当然、法律なりなんなりで国会にお伺いを立ててやるというのが筋だと思いますし、特区自身も、これは、国会でこの法律が通ったということに沿ってやっているわけですから、行政が自由にやっているわけではないんですよ。
  103. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 大臣、多数の議席を持っている与党の、政権担当内閣の一員が御答弁になるときに、大臣の御答弁は、最後はいつも国会がお決めになるということで、それは当然ですよ。当然ですけれども、それだけに多数を衆参両院で持っている与党の責任というのは非常に重いわけで、大臣、重いわけで、それが、そこでやっていることを最後は国会でお決めになるんだからというふうにすり替えられると困るわけで、大臣のお考えをお聞きしているんですね。  今、研究的にとおっしゃいましたけれども、文部科学省文部省時代から、昭和五十年前後から長きにわたって、研究指定校制度というものを活用していろんなことを学校にやらせているんですよ。それはもう、私も資料を見ようと思うとこんな膨大なもので、とても時間がないぐらいその成果は出ているわけですね。そんなのは全部お蔵に入れちゃって、特区と称してまたやって、その実験の結果どうのと、実験台になった子供たちはどうなるんですか。
  104. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいま先生お話ございましたように、文部科学省では、研究開発学校という制度を持っておりまして、学習指導要領で定められました教育課程によらない教育課程を編成をして、実験的な教育活動を行うという事業を実施をしてまいりました。  これは、成果として、例えば小学校の低学年で、かつては理科、社会が一、二年生にあったわけでございますけれども、これを、教科を統合いたしまして教育課程を編成するといったような試みをやりまして、そういった試みが重なって現在の生活科という教科の礎になったとか、そういった幾つかの成果は上げているわけでございます。  現在、お話のございました小学校中学校一貫教育の研究というのは、これは研究開発学校でやっている事例もございます。それから、いわゆる研究開発特区と申しまして、特区の指定を受けまして行っているものもございます。  具体的には、学制そのものをその地域で変えるということではなくて、小学校中学校一貫教育ということで、この九年間を、カリキュラムにつきまして、例えば、四年間のカリキュラムと、その上に三年のカリキュラムを乗せて、そして更に二年のカリキュラムを乗せるといった活動をやってみると。例えば、東京の品川区では、小学校中学校一つの校舎の中に入りまして、カリキュラムを四三二というふうに組みまして、それで教育活動を実施をしてみるといったような実験的な試みを行っているわけでございます。このほかに、五年のカリキュラムと四年のカリキュラム、五四というような試みをやっている事例もございます。  いずれにいたしましても、小中一貫教育に関しまして、先行的なカリキュラム開発を伴ういろいろな試みを今私ども認めている、特区とかあるいは研究開発学校で認めているということでございます。
  105. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 私が指摘しているのはそういうことではなくて、先ほど大臣が、特区でいろいろやってみて、その成果を実際に学校制度全体に参考にして、改革する場合は改革するという趣旨のことをおっしゃったのでお尋ねしているわけで、それならば、前は研究指定校と言っていたでしょう、昔は。研究指定校というのがあったんですね。  ですから、そこでいろいろやっている分にはいいんですけれども、市町村単位で、小学校四年と、その上に三年をということになると、人口移動が全くないという前提でお考えなのか、それぞれの行政区の中で。一つの市が特区として認めると、そこから、そこで学んだ子供が途中で親御さんの関係で転勤して別のところに行った場合にどうなるのかというところまではお考えじゃないんですか。
  106. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) もちろん、研究開発学校でございますから、研究開発学校あるいは特区でございますから、全く学習指導要領の定めどおりというわけではございませんけれども、それは例外が幾つかございますのであるわけでございますが、基本的には、例えば四三二のまとまりで小中一貫教育一つの校舎の中で小中学生一緒に実施をしている場合でも、四の固まりの四年生のところを終えて、ほかの学校でいきますと五年生に進級するときに転校したというときには、その四年生までのカリキュラムについては基本的には共通性が非常に高いわけでございますから、転校してもそれは困らないようにはカリキュラムは作っているわけでございます。
  107. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 今の御説明では説得力がないんですね。研究指定校とか研究開発校という学校を特定した場合には、まあ百歩譲ってその学校に行きたくないと思って行かなきゃいいんですから。ところが、行政区丸ごと、何々市の丸ごとがその特区の申請をして、そこの小学校は、今のように四年制、三年制と、そういうものをやられちゃうと、子供たちが実質的に大きな被害を結果として受けるんじゃないかということを私は懸念しているんです。  そこで、そういうことをてんでばらばらおやりになるくらいなら、大臣、そろそろ、そろそろといっても大分昔からの議論でございますが、六三三四という学制改革をなぜなさらないんですか。これは、中曽根康弘総理大臣のときに、私が具体的な案を立てて、中曽根総理も御承認になって党の政策決定まで行って、自民党のです、当時、決定まで行って、選挙をやったことがあるんですね。そこまで行ったことがあるんです、学制改革は。ところが、その後うやむやになってしまったという経緯があるんです。  ですから、伊吹大臣お願いなんですけれども、学制改革に取り組むということを御決意になったらどうですか。
  108. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) まず、特区の法案を出しましたときは御党も賛成をしていただいているわけですから、私は自民党だけで決めたことを言っているわけじゃございませんので、このことはまず最初に申し上げておきます。  それから、今の学制、この六三三四の見直しについては、西岡先輩が情熱を燃やしてあれだけのことをおやりになった後、なぜうやむやになったんでしょうか。私はやはり、社会のいろいろなところに、率直に言うとかなり定着した制度としてあるんで、これを変えるということについてはやっぱり広範な同意が要るというふうに思います。これは、人それぞれの政策を進めていく持ち味ですから、そんなものけ散らしてやってしまえというやり方もありますし、やっぱり少し遅いねと言われても、まあ摩擦なくやっていった方がいいという考えもあると思いますし、今のまま常に固定していいんだというふうには私は思っておりませんから、先生のお気持ちも体して、私の考えを練ってみたいと思います。
  109. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 これは、私の別に思い込みではなくて、かの有名な四六答申、森戸辰男中教審の会長の下で行われた四六答申においても学制改革のことは明記されているわけです、昭和四十六年に。  ですから、これはとっぴなことでもないし、国民全体がそれに対して受け入れるという素地が全くないという事柄でも決してないと思うんです。ところが、大臣所信の中では、高等学校のところについては、検討しなきゃいけないということは触れておられますけれども、もう一歩踏み込んだところまではおっしゃってないんですね。  それと、事のついでに申し上げますけれども、大臣のこの高等学校のところについての御発言の中で、「大学入試在り方を見据えた高等学校教育について検討してまいります。」と。この大学入試は、入試センター試験というのは元々、私は当時、大学入学資格試験制度にしてはどうかという考えがあったわけです。ところが、そこまでなかなかまいりませんでスタートをしてしまったと。今の連立与党の中には資格制度にしたらどうだという、センター試験を、御意見もあるやに聞いておりますけれども、そういうこととの絡みの中で、高等学校のやっぱり在り方というものを早急に解決するためにも、学制改革に私は着手すべきだと思うんです。是非御検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  110. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 先輩の貴重なアドバイスとして受け止めさせていただきます。  私も、未履修の問題があったときにも、大学入試高等学校在り方、センター試験のこの三つの組合せが今のようなことで本当にいいのかなと、そして高等学校というのはどういう立場のものなんだろうということをいろいろ考えました。  そして、法案が通った後なんですが、御党の教育基本法には普通教育という表現がありましたけれども、与党案には、私が文科大臣になる前に既に提出されていたんですが、高等学校の記述がないんですよね。そのことも併せていろいろ考えてみたことがございます。ですから、貴重な今の御提言として、特に先輩の御提言として私なりに考えさせていただきたいと。  そして、先ほどのやはり特区の問題は、民主党さんも特区法案にも株式会社の参入にも賛成をしておられるんですよ。ですから、お互いにこれからそのことについて、私はかなりこの特区法案による学校への株式会社参入には、私自身は大いに問題があるという認識を持っておりますので、それはあの当時は御党も我が党も賛成だったかも分からないけれども、その後の事柄を見ると、必ずしも私はいいとは思わない面がありますから、この点も御一緒に考えさせていただきたいと思います。
  111. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 時間がそろそろ参りましたから、今の特区の問題は、多分、当時全体の問題として特区制度というものは一つの試みでいいだろうと、地元でお酒を造ったりとか、ビールですか、ビールを造ったりとかいろいろありましたね。それと、株式会社何々中学校とは別ですよ、問題は。そこで取捨選択すべきなんですよ。そこまでは民主党は賛成していたとは思えないんですけれども、それはまあ一応、その行政の判断ということが残っちゃったわけですから、やむを得ないと思います。しかし、改めるべき事柄であるということを申し上げておきます。  それと最後に、まだ法案が出ておりませんから、議論は法案が出てからさせていただきますけれども、免許の更新制についてお考えのようでございますが、私は、なぜそれをお考えになるならば養成制度に、教員養成制度に手を付けられないのか。あるいは、まだ法案を今お作りの状態ですから間に合うと思うんですよね、養成制度に手を付けると。それと両々相まって初めて教師の問題についての一つの筋道が立つと思いますけれども、いかがでしょうか。
  112. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 養成制度と先生がおっしゃったのは、具体的には、教員免許試験を受ける例えば資格、あるいは合格した後の任用の期間、その間の身分ということですね、そう理解してよろしゅうございますか。  当然、将来のこととしては教職員大学院等を考えて今もうその作業は進んでいるわけですから、例えばフィンランドのように、教師はすべてマスターであるというようなこともひとつ考えねばならないと思いますし、同時に、任用期間が国家公務員と比べて私はできるだけ長く取った方がいいんじゃないか、任用試験期間をと言っているんですが、その身分の不安定性その他いろいろ議論がございます。  ですから、今すぐ資格をマスターに上げちゃうということは可能かといえば、それはもう当然のこととして現実的ではないということは先生もお分かりだと思いますから、いや、だって、今のある人を今度はどう、今の、マスターの資格でないと試験を受けられないということにするんであれば、今ある人とのバランスをどう取っていくか、これからマスターの資格を受ける人と今までの学士の資格だけで受けられる者との間の時間的なずれをどう調整していくか、いろいろな検討課題がございますから、ただ資質を上げていくという意味で免許を考えるためには、先生が御提案になったような問題意識も私は持っておって事務局といろいろ議論はしているんです。  先生のいろいろな御質問に私が、まあ先輩の大変有益な御提案ですから、第一の質問のときに先生がいみじくも明かしてくだすったように、すべて同意をしちゃったらこれは国会がひっくり返りますから、それはもう大変なことになりますから、それは先生のしっかりとした御意見として受け止めさせてください。
  113. 西岡武夫

    ○西岡武夫君 私は、国会がひっくり返るぐらいの改革をやらなきゃいけないと思うんですよ、本当に、まじに言っているんですよ。是非、大臣の勇猛果敢なお取り組みをお願いをして、質問を終わります。
  114. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。  西岡先生に引き続きまして御質問をさせていただきたいと思います。  まず、質問に入ります前に、ちょっとお礼を申し上げたいと思いますが、昨年九月に安倍政権発足いたしまして、伊吹大臣も御就任になられて、本会議で私から放課後学校プラン、私ずっといろいろNPOや学生と進めてまいりまして、これは放課後子どもプランという形で受け止めていただいて、そこで質問をさせていただきました。本当に伊吹大臣から真摯にかつ誠実な御答弁をいただいて、かつ今回の予算案、全体論については私も野党でございますので立場はございますけれども、そのことについてはあそこでお答えをいただきましたように、きちっと前向きに取り組んでいただいておりますことを大変に感謝を申し上げております。  お願いは、これはステップ・バイ・ステップということでございますから、来年度の概算要求に向けてということで聞いていただくだけで結構なんですが、今回は小学校ということではございますけれども、是非やっぱり要望の強い、社会的ニーズも高い事業でもございますので、中学校についても何らかのやはり、いろいろな要素ありますけれども、塾に行ける子と行けない子の格差を埋めるとか、あるいは地域の人との斜めの関係をつくっていくとか、本当にいろんな多様な要素がございますので、そうしたことも御検討いただきたいと思いますし、今年度はむしろ準備段階なので六十八億円の文部省計上で、あとは県と市がこれに三分の一ずつということで、これも逐次大臣の御指示の下に事務方に何度も御説明に来ていただいて、私もその額も含めて今年の措置としては非常に妥当だと思っておりますが、これは来年一挙に、本当に一万校単位で、数千校単位で広めていかれるということでありますので、是非御奮闘をお願いを申し上げたいというふうに思います。  それから、併せて御礼を申し上げますが、奨学金の件も、今年、五万二千人更に上積みをしていただきまして、百十四万人ということで、伊吹大臣のテリトリーといいますか、そこについては非常に私どもの真摯なお願いを正面から受け止めていただいていることに心から敬意を表したいと思っております。  それで、ただ、それでそれはお礼でございます。次に、そこには何のあれも付きません、ただというのは取り消しますが。  でありますが、同じ本会議のときに、先ほど来、西岡先生大臣との間で御議論がありました、行革推進法の話を安倍総理に私、聞かせていただいたんですね。聞いた相手が間違ったなと、伊吹大臣に聞けば問題は片付いたのかなと思って私の至らなさを反省しているんですけれども。  先ほどの御議論は、大臣がおっしゃったとおりなんですけれども、私、残念だったのは、やっぱり第八次定数改善計画、これは少なくとも昨年の暮れ、伊吹大臣のリーダーシップの下で予算編成が行われて、そしておととしの暮れのときに、正に小泉政権下で第八次定数計画が見送られたのは、これは小泉政権の中の連立方程式という議論で分かりますけれども、昨年は正に安倍総理伊吹文部科学大臣、そして尾身財務大臣と、この政権の下で二回目の持ち越しといいますか、が行われてしまったわけであります。  それで、行革推進法の直し方、これはいろいろ方法があるということ、私どもが方法があるとおっしゃるけれどもそうでないのではないかと思っている理由は、今までも、もう大臣御存じのようにといいますか、大臣もおやりになられたと思いますが、例えば行政改革で総定員法の大原則があって、総定員法の中で定数削減が各省一律に掛かっている中で、しかし、必要なところには一律分の定削は受けるけれども、しかし必要な行政分野については定数増をすると、こういう手法でやってきたことはございますし、大臣もそのことを念頭に置いておっしゃっているというふうに思いますし、そういう手法論というのは、二・七六削ってこちらで三とか四とか増やすと、これは私どもも理解はしているんです。  なんですが、先ほどの繰り返しにもなりますけれども、行革推進法、これもう釈迦に説法でございますが、教育をねらい撃ちにしているものですから、要するに一般政策を個別政策でオーバーライドするというのは、これはよくやる、正に立法あるいは政策論なんですけれども、教育についてねらい撃ちしていますから、要するに教育個別政策なんですね。そうすると、そこでのバッティングというのは、要するに一般法に個別法がオーバーライドするという原則では解決ができないものですから、そこでコンフリクトが生じるんで法的な手当てが必要じゃないでしょうかと。  私どもは、教育についてきちっと体制を整えるということであれば、その附則か何かで、行革推進法の五十五条、五十六条を、そちらの法律の附則でいじるというようなことがいろいろ勉強をしておりますと必要になってくるなということを我々日々研究と、で、悩みながら、そして御一緒に何とかこの日本教育現場を立て直すために正にこの文教委員会で与野党超えて知恵を出したいなと、こういうことで臨ませていただいているということでございまして。  質問戻りますけれども、八次定数ですね、これを見送らざるを得なかった、伊吹大臣ですら見送らざるを得なかった背景というのはどういうことだったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  115. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 私からまず経過を御説明をさせていただきたいと思いますけれども、教員定数の改善につきましては七次の改善までをやってきたわけでございます。十八年度に第八次の新しい改善計画をやりたいということで概算要求をいたしましたけれども、十八年度は見送られたという経緯がございます。  十九年度につきましては、十八年度見送られた後のことでございましたので、私ども、本当に緊急に必要な特別支援教育とか幾つかの事項に限定をして緊急三か年間の定数改善をできないだろうかということで概算要求をしていたわけでございますけれども、これにつきましても、大変現在定数に非常に厳しい状況の中で、これにつきましてもいわゆる純増という形での定数改善はできなかったということで、合理化を一部定数について行いまして、そして特別支援教育あるいは食育について定数改善を行ったという経緯でございます。  今後、私どもとしては、教育界の教育の、今の教職員の状況あるいは学校教育現状を考えたときに、二十年度以降の教職員定数をどうするかということはやはり大きな課題だと思っておりまして、今こういう行革推進法がある中でございますけれども、この問題についてはまた二十年度概算要求以降よく考えていかなければいけない課題だと思っております。
  116. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 事実関係は今参考人が申し上げたとおりなんですが、安倍内閣ができたのは昨年の九月なんですよね。財政法の規定によって概算要求の締切りは八月三十一日なんですよ。これは小泉内閣ですべての作業が終わっておったということは、もうこれは先生は公務員をやっておられたからよくお分かりだと思います。  同時に、この定数のしりだけを我々は持っているわけであって、実際はこれは地方の財政計画にも関連してくることですね、基準財政需要にも関係してくることですから。勝負はやはり二十年の概算要求段階からかかわれるときでないと、先ほど西岡先輩がおっしゃったように触れないというのが行政の常識なんですね。そこでひとつ頑張ってみたいと思いますから、是非ひとつ応援もしてもらいたいと。  そして、一番最初先生から聞いたことについては、一応やったなというお話がありますが、私はさっき西岡先輩と大変いいお話をさせていただいたと思いますが、国会を私は大変重視をしているんです。ですから、教育特のときも民主党の皆さんの御質問あるいは民主党案というのもかなり私は参考にして、今回ああいう総理の決断をなさったときに総理にインプットしているものもかなり参考にさせていただいているつもりなんです。そして同時に、民主党も賛成された株式会社のあれは参入法案なんですよ。そういうことも尊重しながらやっているわけですからね、どうぞ間違いのないようにしてください。
  117. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 私はよく分かります。大臣のテリトリーの中では相当いろいろ玄人好みの知恵も出されて御努力されているというのはよく分かっております。そのことは大変私自身は評価させていただいているんですけれども。  ただ、結局、前提となっているといいますか、文部省からすると追い込まれている前提というのがありますよね、それは小泉内閣からの慣性力の部分もあろうかと思いますが。そこの土俵を広げないと、狭い土俵の中では本当に御奮闘いただいているというのはよく分かるんですけど、例えば暮れの予算でも、今局長からもお話いただいたように、その土俵の中では最大限の、一番現場のニーズをとらまえて、そこに何といいますか、今年は特別支援教育元年でもありますし、食育も始まるという中で、そこの整合をきちっと付けようとされている。そういうところは非常に分かるんですけれども、やっぱり今、六十年ぶりに教育基本法を変えて本当に平成の大教育改革ということの中で、やっぱり大きな枠組みについてもう一回ゼロからあるべき論を議論しようではないかと、こういうことで我々は議論に臨ませていただいているんですが、二十年度の予算編成を大変期待したいと思いますが。  お考えをちょっとお聞かせいただきたいんですが、今まで、結局七次まではまあ順調にといいますか、もちろん中身のその数が多い少ないという議論はあれど、少なくとも六次、七次ときちっと五年ごとに決めると、それを実施すると、それをいろいろ現場に照らして検証してという、正にプラン・ドゥー・シー・チェックというか、PDCAサイクルがこの教員定数についてはきちっと回ってきたんですね。ただ、我々危惧しているのは、もちろんあの厳しい中で定数を増やしていただいた、頑張っていただいたことは多とするんですけど、そうじゃなくて、これまで来たそういうフレームワークがどうなってしまうんだろうかというところが懸念なんです。  だから、結局今まではそれが法制化しないまでも、かなり慣習法に近い省庁間のルールとしてなされてきましたから、それを別に明文の法制にする必要はなかったと思いますし、けれども、結局二年ない状態で続きますと、じゃこれが三年、四年、そもそも第何次定数改善という枠組み自体どうなってしまうんだろうかと。やっぱりここは心配といいますか、それをなくすならなくすでまた別の枠組みをつくらなきゃいけないし。それから、事務方に聞きますと、八次やりたかったけれども行革推進法がありましてと。まあ、ありましてというのは、法的にあるからできないということなのか、そういう安倍内閣のあるいは小泉内閣から引き継いできたときの力関係という意味でおっしゃっているのかは、それはここではあえて細かくは問いませんけれども。  むしろ、二十年の、未来の話の議論として、きちっと年次年次で、八次、九次、十次と、こういう形での枠組みというものをどういうふうに考えておられますかということをちょっとお聞かせいただきたいんですけれども。
  118. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 教員の定数改善の場合は、一つには学級編制との関連ということで、いわゆる四十人学級まで定数改善は来ているわけでございます。それで、第六次とか第七次の定数改善計画は、むしろ少人数指導とかチームティーチングとか、そういったきめ細かい指導をするための教職員の加配措置を中心に平成十七年度まで掛かって言わば定数改善を行ってきたということでございます。現在の教職員の定数というのは、したがってこの十七年度までの定数改善の状況を引き続いて、そのままの状態で基本は引き続いているということでございます。  教職員の定数というのは、御案内のように、基礎定数と加配定数と、こういうことから成り立つわけでございますが、学級数に応じました基礎定数は、これは別に悪くなるとかそういうことではなくて、現在の状況が続いているということでございますし、加配定数につきましても、子供の数等を見て、それに応じた数は確保されているわけでございますから、いわゆる生徒と教員の関係における教育条件というのは現在の水準を悪化させないというのが十八年度、十九年度の状況でございます。  それで、私ども第八次の、先ほど申し上げましたように第八次の教職員定数改善計画、これを策定をして十八年度概算要求したわけでございますが、残念ながらそれが認められなかったと。十九年度は緊急三か年対策ということで特別支援教育と食育を中心に改善要求をしたわけでございますけれども、事実上の実質増ではなくて、合理化を伴う定数改善ということで、特別支援教育と食育について三百三十一人の所要の措置、定数措置ができたという状況でございます。  二十年度以降につきましても、私ども、現在のこの行革推進法の中でございますけれども、そのことも含めまして、二十年度以降の定数改善につきましては現在の教育条件を悪化させないと、その中で、かつ本当に必要な教職員の定数措置をするということで、概算要求に向けてどうするのか真剣に今考えているところでございます。
  119. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 真剣にということなんですが、枠組みを提案しましょうということを私、申し上げていまして、だから枠組みをどうするかと。ですから、局長のおっしゃった答弁は、私も標準法を読んでいますから、標準法って物すごいトリッキーな作り方ですよね。恐らくこれは、この法律ができたときに大蔵省からこのようなことを強いられたんだと思いますが、そのときに伊吹大臣がいらっしゃったかどうか分かりませんけれども。要するに、定数改善ですからね。だから、ほっておくと維持なんですよね。ずっと状態が維持なんですね、標準法の状態が維持で、それで附則でもって五か年というのを担保していますから、そうすると、その法律状態が実現されるというのは五年のうち一年しかないと、四年間は全部附則の状況、移行期間という極めてトリッキーな、本当に知恵が出たんだな、そのころの大蔵省はと思うんですけれども。逆に言うと、そこも含めて、ちょっと反転攻勢といいますか、やっぱりきちっと分かりやすく、これやっぱり分かりにくいですよ、この標準法のトリッキーな枠組みというのはですね。  だから、もちろんその財政状況あります。そして、もちろんもっと重要な教育のニーズというのはあります。それはだから、その内容の改善の度合いとかというのは、それはいろいろ議論をしたらいいんだと思いますけれども、枠組みとしては今回せっかく、私どもは反対はいたしましたけれども、教育基本法改正の中で教育振興計画というのができて、恐らく教育振興計画というのは、内容の話はそんなに文部省が口出すという話ではなくて、基本的なこと以外はですよ、むしろやっぱりこういうふうな環境整備といいますか、その体制整備ということなんでしょうから、だから、そういう議論の中でこの定数改善の問題もやっぱりきちっと位置付けていただいて、そういう枠組み論も含めて真剣に御議論いただいて、堂々と大蔵省に、財務省に要求をしていただくということを是非御期待を申し上げたいというふうに思います。  何かありますでしょうか。
  120. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) ちょっと参考人の答弁と先生のおっしゃっておられることがかみ合っていなかったと思いますが、大蔵省、当時の大蔵省がトリッキーなことをやったのか、自治省がやっぱりこれは一番難しいんですよ、率直に言うと。地方財政の問題ですからね、基本は。ですから、自治省との間で話をして、もちろん財務省も絡んでまいりますよ、文部科学省予算に計上されている部分がありますから。ですから、(発言する者あり)うん、教育。だけど、財政の要請だけですべてが決まるんなら教育というのは一体何だったかということになるわけですから、先ほど西岡先輩がおっしゃったような安倍政権の姿勢を反映できるようなものをつくっていかなければならないわけですから、ひとつ先生も選挙が終わったら是非御協力をいただきたいと思います。
  121. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 ありがとうございます。  では、ちょっと質問を変えますが、これもせっかく教育再生を唱えておられる内閣の中でもう一押し頑張っていただきたいなというお話でございます。  弱視者用の拡大教科書の件でございますが、これは今でも大変感謝しておりますけれども、前小坂文部科学大臣が、この文教科学委員会の場でも御議論をさせていただいて、非常にリーダーシップを発揮していただいて、平成十八年の七月の二十七日に教科書発行会社の代表に極めて明確に要請をしていただいたんです。このことは本当に弱視教育に携わっておられる方は大変感激をし、そして本当に喜んでおられたわけでありますけれども、この要請以降、この拡大教科書問題は今どういう状況になっているのか、ちょっと概略をお話しいただけますでしょうか。
  122. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 昨年の七月の二十七日に、国会等での議論を踏まえまして、当時の小坂文部科学大臣から各教科書発行者の代表者にあてまして書簡をお送りをして、弱視の方のための拡大教科書の充実について要請をいたしました。  内容的には、一つには、教科書本文のデジタルデータの提供ということをお願いを申し上げたわけでございます。それからもう一つは、教科書発行者による拡大教科書の発行の検討をお願いをしたという、この二点が要請の主たる内容でございました。  この点につきましては、教科書協会の方におきまして、この要請文を受け、九月の業務連絡会で各社集まったところで審議をし、前向きに取り組んでいくということは確認をいたしております。その後、役員の改選等が行われ、ちょうどこの三月から新体制になりましたものですので、今正に具体的な取組を始めているところでございます。  拡大教科書の普及充実のための調査研究小委員会というのを教科書協会の方でつくりまして、具体的な今検討を行っております。具体的には、二十年度用に向けまして、今年の十一月ごろまでに提供できる本文デジタルデータについて検討していこうということになってございます。需要の多い主要科目の書目について検討していこうということで、国語社会、理科の順でデジタルデータの提供をやっていこうということになろうかというふうに伺っております。  それから、各教科書会社自身が拡大教科書の発行をするということにつきましては、現在は一社が小中学校国語について発行しているわけでございますけれども、十九年度からもう一社、中学校の一年の国語について発行を今予定をいたしているところでございます。その他の各教科書発行者におきましても、拡大教科書の発行についてまだ検討の段階だというふうに認識をいたしております。  なお、平成十九年度の予算案におきまして、拡大教科書の普及充実のための調査研究費というのを文部科学省におきましても計上させていただいております。この経費も活用しながら、教科書発行者によるその拡大教科書の発行が多くの教科書について一日も早く発行されるよう、私どもまた努めてまいりたいと思っております。
  123. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 弱視のこうした教科書のサポートをされているボランティアの皆さんは、実はこの四月の教科書からもう少し何とかなるんじゃないかなという期待があったものですから、私どものところにも何とかならないのかなと、こういう要望が来ております。もちろん、ボランタリーな要請に基づいてボランタリーに協力いただくというフレームワークですから、なかなか難しいのは分かるわけですけれども、今回も中教審で憲法に規定された教育を受ける権利が侵害され、教育を受けさせる義務が果たされていない場合には文部科学省が是正措置をするというようなことも議論されていると。これは、相手は教科書会社でありますからちょっと対象は違いますけれども、学ぶ側から見れば、私たちも学習権ということをずっと申し上げてきておりますけれども、やっぱりすべての学習者、その方が弱視であっても、逆に言うと、あればこそなおということだと私は思いますが、しかも今年は特別教育元年と、こういうことでもありますので、その方に教科書が十分に行き渡らないと。  ここはやはり私は、国の責任で最後は何とかしていかなければいけないんではないかなと。この半年、いろいろ手を尽くしてみてこういう状況になっておりますから、それこそ教科書法を手直しするなり、あるいは教科書法に基づいていろいろな制度をいじるなりして、これは何としてでもすべての学習者に検定教科書が行き渡るように、ここは強力にやっていただきたいし、それから今後、二十年に相当な改善が見られると、こういう御答弁でしたから、それをちょっと関係者に事前に、こういうタイムスケジュールでこうなりますよと。もう本当に大変疲れておられて、ボランティアの方々も。非常に、逆に言うとどこまでどれだけ頑張ればいいのかっていうやっぱりめども含めて、コミュニケーションをよく取っていただければ有り難いなと思いますが、これは御要望でございますが、これは大臣、よろしくお願いいたします。
  124. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 承りました。
  125. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 ありがとうございます。それではよろしくお願い申し上げます。  それでは、引き続き中教審の答申の件についてお伺いをしていきたいと思っております。  今回、三法と言われておりまして、その最終的な今法案作成の段階だと思います。今日の議論も踏まえていただいて、どんどんいいものにしていっていただきたいと思いますが、少しちょっと分からないことがありますのでお伺いをしたいと思います。  中教審答申では、学教法の改正をすると。そこで副校長、主幹、指導教諭という職を追加をする、創設をすると、こういうことでございます。学校評価とか情報提供の整備というのは、これは私ども日本教育基本法案の中でも提案させていただいたことをお酌み取りいただきまして、ですから、先ほど伊吹大臣が我々の提案もよく勉強していただいているということを、もう中教審の答申を見ながら、感謝一杯で読ましていただいているんですけれども、そこはそれで大変結構なんですが、例えば、教頭と副校長というのは違うのか同じなのか、あるいは教頭がなくなって副校長に変わるのか、でも主幹は副校長及び教頭を助けると、こういうことになっていますから。だけど、世の中の理解は何となく、しかも市によっては、市区町村によっては教頭を廃して副校長にしているところもあったりして、ちょっとこれ混乱するなと思いまして、是非そこをお尋ね申し上げたいと思います。
  126. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 学校に副校長等の新しい職を設置をするということにつきましては、既に中教審は平成十七年十月の答申で触れているわけでございます。また、教育再生会議でもそういった趣旨のことが報告をされております。加えて、中教審の給与の検討をする中でこういった新しい職についていろんな意見が出てきたということを踏まえまして、今回三月十日の答申の中に、副校長その他の新しい職の設置に関する事項ということで、学校教育法改正内容として示されたところでございます。  まず、副校長、それから主幹でございますけれども、これは各学校に置くことができる職として提案をされております。  副校長につきましては、校長を補佐をし、校務を整理するとともに、校長から任された任務について自らの権限で処理をすること、こういう規定でございまして、教頭に比べますと、校長から任された校務について自らの権限で処理することということが付け加わっておりまして、言わば教頭よりも自分で処理できる権限を持つというところが権限として加わっているという形でございます。  それから、主幹につきましては、校長、副校長及び教頭を補佐するとともに、校長から任された校務について、校長等が判断、処理できるよう取りまとめを整理すること、あわせて児童生徒等の教育担当することということになっておりまして、校長、副校長、教頭の補佐役として、校務の取りまとめ、整理に当たると。例えば、今教務主任という方がおりますけれども、こういう方が例えばこれからは主幹、教務担当といったような形で校務の処理に当たるということが考えられるわけでございます。  なお、副校長と教頭につきましては、副校長は置くことができる職でございますので、最終的には設置者の判断になろうかと思いますけれども、副校長に教頭を切り替えていくというところも考えられますし、一方で、複数の教頭先生いるところは、お一人を副校長というような扱いということも考えられますし、あるいは、高等学校などでは全定通とかいろいろ課程が分かれておりますので、例えばそういう場合には課程ごとに副校長とかそういうのを置くとか、ある特定の課程に置くとか、いろいろな置き方がそれぞれの学校の事情で考えられるところでございます。
  127. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 ちょっと手短に事実関係だけ教えていただきたいんですが、副校長、主幹、指導教諭というのは担任を持つんですか、持たないんですか。それぞれイエス・オア・ノーで答えていただきたい、可能性として、標準形として。
  128. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 典型的なことで申し上げますと、副校長はまあ持たないケースが多いと思います。それから、主幹も一般的には持たないのかなと思います。指導教諭は、担任持ってもこれは全くおかしくないというふうに思っております。
  129. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 私も答申読みましたけれども、主幹は、割とアドミニストレーションみたいなことも校務ということになっていますからサポートするのかなという印象受けたんですけど、そこは、もちろん教諭からなるのもありだし、それからそうでない、そういう理解でいいんですよね。今、教務主任とおっしゃったんで、もちろん教務主任もいろんなことやっていますけれども、そこは教諭、教員からなるのか、それとも事務職からもあり得るのか、そこはどういうことで考えておられるんでしょうか。
  130. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 基本的には教諭からなるというふうに、そういう人が圧倒的に多いとは思います。
  131. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 分かりました。是非、更に詰めていただければと思います。  それで、次に教員免許更新制の議論ですが、先ほども御議論がありましたけれども、私どもは、先ほど西岡先生からお話があったようにフィンランドのようにマスター化というのはあるんじゃないかと。移行過程の話は、この委員会でも薬剤師を六年にするとかということはやってきていますから、それはテクニカルな話だと思います。  それで、私、確認をさせていただきたいんですが、教育再生会議の議論が少し荒れてて、更新制の目的が、要するに不適切教員の排除というような、これは報道ぶりなのか何なのかよく分からないんですけれども、それで中教審の答申を読みましたら、文部省は一貫して不適切教員の排除ではなくて必要な知識技能をリニューアルしようということでその更新制を導入するんだということで、不適切教員の排除とはきちっと整理して分けて御議論をされていらっしゃると理解をしておりますが、その理解でよろしいですか。
  132. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 再生会議は、各分科会の会議に私は出席いたしておりません。総会というのか、全体会議でしか議論を聞いておりませんが、まあいろんなことをおっしゃるわけですよね、皆さんが。ですから、先生がおっしゃったような議論もあると思いますし、逆に中教審が考えているようなイメージでとらえておられる方もいらっしゃると思います。
  133. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 これは、どこかのタイミングというか、まあこのタイミングだと思うんですけれども。やっぱり文部科学大臣がきちっと整理していただいた方がいいと思うんですね。もちろん出ておられないんで今までのことは知らなかった、それはもう別にそこをどうこう言うつもりはないんですけれども。  国民の皆さんが、まあそれはメディアを通じて情報を得られているわけでありまして、何か更新制をやると学校現場から不適切教員が直ちにいなくなる、だけど直ちにいなくなるんじゃないんですね、更新制ですから、十年ですから。例えば十年なのか七年なのか、いずれにしても。更新期間十年に決まったんですか、十年ですよね。そうすると、まあ遠くは十年、近くても一年と、要するにタイムラグがあって、逆に言うと不適切な教員が十年も残っていてもらったら困るわけですから。要するに、不適切教員、不適格教員の排除の議論と更新制の議論というのが、どうもこれはメディアが勝手にそういうふうに結び付けているんだと思いますけれども、やはり、やや誤解に基づいて国民世論が引っ張られるということは、これは不幸なことですから、それは私はしかるべきタイミングできちっと整理をしていただいたらいいんじゃないか。まあ、僕は中教審の理解でいいと思っているんですけどね。
  134. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) これは、しかし再生会議に物を言うなってわけにいきませんからね、物を言うために集まっておられるわけですから。  しかし、先ほど来、午前中の大仁田先生、そして西岡先輩とのやり取りでもありましたように、いろいろなことは、御意見は御意見でたくさん出していただいて、有益なものたくさんありますよ。しかし、最後に決断するのは内閣が決断するわけです。で、内閣がそれを法律として出しますから、法律案として、それは正に国会のその法律案審議の過程で、また鈴木先生が御質問になって、きちっときれいに整理をなすって、それを国権の、国民の代表として整理なすったことを国民がなるほどと納得するわけで、私が何か言論統制を再生会議に対してしくというわけにはいきませんのでね。
  135. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 これは言論統制というか、閣僚の中で最も教育制度に通じた、かつ、その今少なくとも政府の解釈権限者ではいらっしゃることは間違いないわけでありまして、その大臣が少なくとも事実関係といいますか、制度論の解説を、解説を積極的にメディア、世の中に対してしていただいたらいいんではないかということでございますので、そのようにお受け止めをください。  ということで、認識を一緒にしますと、実は大事なのは指導が不適切な教員の人事管理の厳格化の方ですよね、世の中も心配しているし我々も問題だと思っているし。今も既に地教行法四十七条の二で、そうした指導力不足教員、ちょっと時間がありませんから、不適切な教員と指導力不足教員と、まあちょっとごちゃごちゃにしますけれども。その不適切教員を、一般職員への配転というのは平成十三年のここの場で議論をしてそういうふうになりましたと。結局それがうまく機能をしていない。  聞くところによりますと、全国に百万人の教員がいらっしゃって、研修受けた人が五百人ぐらいで、配転した方が数名程度と、こういうことですから。そうすると、国民の皆さんが考えておられる、まあ不適格というか不適切というか、という教員の割合と、この一般職員への配転措置、四十七条の二に基づいて行われたものと、余りにも期待値と結果において乖離があるということから問題が発しているんだろうというふうに思います。  それで今回も、任命者が審査会の意見を聴いて認定をすると、そして研修をして必要がある場合には免職をするという、まあフレームワークとしては、最後の免職か配転かというところは違いますけれども、それからその認定のところが審査会の意見ということになりましたから、もうその部分が非常に手厚くなっているということで、そこがうまく深化していることは私も認めているんですけれども。  そもそも、なぜ四十七条の二の一般職への配転のスキームが動かなかったのかと、ほとんど動かなかったのかと。その原因はどこにあるというふうに認識しておられますか。そこの原因を絶たないと、せっかくスキームをより改善させても結局同じことになってしまうおそれがあるということを私は懸念しているんでこういうことをお伺いしているんですけど。
  136. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 平成十三年に制度改正をいたしまして、教員が他の職に転任できるように規定を整備をしていただいたわけでございます。ただ、現実の問題として、指導力不足の教員の認定を受けた方で転任、他の職に移った方というのは、これまでそれほど多くはないというのは、ただいま鈴木先生がお話をいただいたとおりでございます。  その背景としてやっぱりございますのは、教員として指導力が足りないあるいは不適格とされた方が、教職以外の職とはいえ、それぞれやっぱり必要な職として公共団体の中に置かれているわけでございますから、なかなかその受入れ側と話としてまとまりにくいといいましょうか、そういうこともあったのと、意外と他の職というのが、あるようでないと言うと変な言い方でございますけれども、教員の方が、これまで教員だった方が行く職というのが意外となかったと、職そのものがですね、そういうこともあったのかなと思っております。
  137. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) これは先生、最終的には任命権者である教育委員会、具体的に言うと教育長の腕次第なんですよ。私の地元のことを言うといけませんが、京都市は割にうまくやっているんですね。  ですから、そして教育長が当該自治体の中でどの程度のヒエラルキー、横文字はいけないんですね、その組織体の中の尊敬を受ける、ポジションもいけないのかな、その地位にいるかということも影響するんですよ。それから、首長がそのことに関心を持っているかということにも左右されます。そして、最後に、ほかの役職に、ほかの職に転職できないから公務員を辞める、公務員資格を、もう公務員を離れるという人も中にはいるんですよね。  その辺までのきめ細やかなやはり人事上の管理をしっかりできる体制がないと結果的には、我々は直接の介入権がありませんので、問題点の所在は分かっているんですが、いよいよこの免許更新制が動き始めたら、少し具体的な成功例だとか何かをもう少し地方自治体に伝達をして、共有してもらってやっていかなければいけないと思っております。
  138. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 私も大臣と全く同じ現状認識なんですよ。私も門川さんと大変仲よくさせていただいて。逆に言うと、京都ぐらいです、うまくいっているのは。いや、私も本当に全国いろいろ見させていただきましたけれども、だからそれだけ僕は名教育長だと思いますし、それをきちっと支援されている市長さんもいて、非常にいい本当にモデルケースですよね。それと、政令市ですから、人事権が京都市にもあるしという、いろんな要素が重なって京都は本当にうまくいっていると思いますが、東京は大失敗しています。首長は物すごく熱心なんですけれども、不適格教員の排除について。でも、熱心過ぎてまた動かないということにもなっているんですけれども、東京の場合はですね。  大臣おっしゃったように、正に人事管理の問題だと私たち思います。結局、やっぱりそこのところに、だから、これはこれで私は本当にいろんなお知恵を絞られて、こういうフレーム、枠組み、枠組みならいいですね、を深化させられたことは非常にいいと思うんですけれども、結局また同じことになりやしないかなと。人事管理体制が整わなかったときに、あるいはいい教育長を得なかった場合に、あるいは首長が関心がなかった場合に、あるいは過剰な、ちょっと偏った関心だったときに動かなくなるということを私は心配するんですよ。  それで、更に申し上げると、今、配転、私、昔、労働法をやっていまして、配転と解雇だったら、解雇の方がやっぱり大変なんですよね。これは免職ですから、より難易度は上がるわけでありまして。そうすると、これ一番大事なポイントなんだけれども、これが本当に動くだろうかと。私どもが、これ改めて申し上げますけれども、なぜ去年の臨時国会のときに、もちろんいろんな議論はあるのは承知しておりますけれども、首長に任命権をということと、それから、結局、首長だと、配転先の任命権者、人事権者も首長なんですよ。そうすると、同じ任命権者が教育現場から一般職員にということも考えて我々は同じ首長を任命権者にしたと、まあその議論はいいんですけれども。  しかし、我々と同じふうにしてくださいとは言いませんが、何かやっぱりきちっとリーダーシップを発揮して、不適格・不適切教員の問題に取り組む人が任命権者になるように、あるいは任命権者に座った人がそういうことに前向きに、門川さんのように取り組むような枠組みを用意しないと、引き続き京都だけもっともっとうまくいって、残りのところはうまくいかないということになってしまったのでは具合悪いなと。  それからもう一つは、思っていますのは、任命権者のリーダーシップの問題と、もう一つは、ここで言うところの審査会への認定申請者の問題もあると思うんです。結局、四十七条の二はその審査のこの、済みません、スキームにのっけて、もうちょっとこう口がぐちゃぐちゃになりますから許していただいて、そこにのっけるときに、基本的には校長ですよね、校長がその審査にのっけると。で、なかなかやっぱりのっけないですよね。  門川さんのすばらしいのは、そうした校長先生とか教頭先生とかもう全部お知り合いで信頼関係ができていますから、そこをうまく相談して、そこをうまく校長に、妙な恨みが残るとか人間関係が気まずくなるとかという、そういうところまでケアされているから京都はうまくいっているわけで、そうでないところは、やはり一緒に毎日仕事をしているチームの一員である教員を校長が、いや、これは不適格ですということを審査会に認定申請をするというところがボトルネックになっているんですよ。だから五百件なんですよ、と私は思っているんです。  だから、そこの部分を変えないと、だから我々はどう考えたかというと、もちろん校長、学校側もその認定申請者であっていいんですけど、加えて学校理事会がその認定者になれば、もちろんパラレルにやるということですよ、これはね。いろんな道を厚めにつくっておくと、ここのスキームにのっていくケースが多くてこれがうまく回るかなという判断なわけです、我々はね。  ですから、何かそこにそういう、その点についての手当てというか方策がないと、結局私はまた同じことになってしまうということを懸念しているんですけど、そこはどういう御議論なんでしょうか。
  139. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 民主党案であった地方自治体の長に教育権を渡すということについては、その面についてはよろしいですけれども、先生がおっしゃったように、他にいろいろ問題があるということはおっしゃっているとおりだと思います。  それで、今般、安倍総理が私と菅総務大臣におっしゃった、法律はこういうふうに変えてほしいということの後言われたことは、教育委員を任命し、それに同意を与える地方議会というものが、本来地方自治の本旨にのっとって地方自治の在り方をよくフォローをすると、これが地方自治の本来の役割であるので、その由を促すようにということを菅大臣に言っているんですよ。  それで、今先生がおっしゃったことは、私は、これは文部科学大臣やってみて、まあ本当に何か靴の上からかいているようないらいらいらいらした気持ちで、心情的には、かつて西岡先輩がおっしゃったように義務教育の教員はみんな国家公務員だということであったら、先生の言っておられるようなことは一発で私やったっていいんですけどね。  現実には、地方自治というやはりもっと大きな、そして政治の不介入というもっと大きな建前があるから教育委員会というものを動かしているんですから、そこに何らかの手だてを、私どもももちろん、成功事例だとか何かを現行の法律の下でお示ししたりして、地方教育委員会に要請をいたしますよ。要請というかお願いをいたしますけれども、指示はできないわけですから。  だけれども、本来は、おたおたしている教育委員会教育長の行政上の、何というか、不満足さをしっかりと指摘すべきは本来は地方議会なんですよ。地方議会がしっかりした機能を果たさなければいけないんですよ。未履修の問題にしろいじめの問題にしろ、今、地方議会が何か具体的に自分たちの任命した教育長や教育委員がうまく学校を管理していないということについて積極的にどういう関与をされたのかということが分からないから、今、指示の問題だとか何かが出てきているわけで、もう少し、今度地方統一選挙がありますから、しっかりその点も踏まえてみんなが地方統一選挙に臨みたいと、私はそんなことが本当の地方自治の在り方じゃないかと思います。
  140. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 私もおっしゃるとおりだと思います。地方議会がもっとしっかりすればワークすると、それは私も同意です。  しかし、私も県庁の勤務がありますが、ワークしなかったわけですよね。お言葉ですが、少なくとも五十年間。お言葉ですが、地方議会における自由民主党の議席のシェア率というのは大変な高さです。だから、そこにお任せを、だからこういうことですね。中教審といいますか現政権は、もう一回地方議会に覚せいを促して、お願いをしてやってみると、そこにもう一回ワンチャンス与えてみようと、こういうことですね。  だから、我々はそこの認識が、もう五十年やって無理だから、だったらもう住民の、要するにどこかで民主的統制を利かさなきゃいけないんですよね。方法は二つあって、文部省が上から介入をすると。しかし、これ三万校ある本当に全学級をというのはなかなか難しいから、これだけでは無理だというのはもう皆さんお分かりになっている。最終的な手段として残そうという、大体大臣と我々は同じ、少なくとも個人的な大臣の見解と我々はそこは大体同じようなことで、今回の最終的な是正要求というのはそういうことで出てこられたと思いますが。  しかし、それをもっても、三万校の日常を文部科学省が管理することは、文部科学省だけで管理することは難しいですから、どうしてもどこかに民主的統制を掲げなきゃいけない。それの一つ地方議会だというのは、それは賛成です。しかし、地方議会がワークしない、あるいはワークしてこなかったという認識の下で、我々はそこに学校理事会というのを設けて、正に一番の子供の代弁者である地域の方とか親の方のお力もかりよう、そういう部分もかなり入れていただいていますから、そこの合わせ技で、まあとにかく今回は頑張ってみようということかなというふうに理解したんですが。  それと、結局、教育委員会教育長というのの仕事を少し切り分けて、今まで何でも教育委員会、非常勤の委員会人たちでしたけれども、教育長にかなり権限も寄せて、そこを教育長が動かない場合にはやっぱり教育長の責任をきっちと問えるということに整理されたんだと思いますが、教育長の任命権者はどうなるんですか、今回の中教審答申では。
  141. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) それは従来どおりでございます。そして、であるからこそ、我々は任命する首長と任命を承認する地方議会の役割が大切であるから、本来の地方自治の役割を果たすように促すべしという総理の総務大臣への指示が付いていると。ですから、先生の方で学校評議会だとかあるいは監査委員会的組織をつくるというのは、それは一つの提案として結構ですよ。しかし、事、地方自治の一つの組織である教育委員会については、ダブルスタンダード、ダブルスタンダードはいけないですね。地方議会ともう一つつくるということは、これは多分私はよほど国民的議論を経ないと、地方議会の否定論につながりかねないおそれがありますから、ここはやはりしっかりと詰めてから、我々ももう一つ何かかまそうかなという考えはあったんですけれども、これは憲法上の大問題を招来しますよ。
  142. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 本当にそこが悩みどころですよね。ですから、私たちは結局そういういろいろな、これは何でも作用と副作用ということだと思います。我々は、やっぱり国民の皆さんが一番願っておられるのが教育現場から不適切な教員を排除するということが現場の保護者のニーズからすると高いんですね。それに一番効く薬というのは我々の考え、もちろん副作用があるということもこれは比較考量しなきゃいけませんが、まあそういう判断をしました。  逆に、民主党が考えておりました監査委員会教育委員会にかなりなっていますから、そういう部分は我々のお知恵も取り入れていただいたのかなと。だから、教育長がかなり専権的にできて、しかしきちっと教育委員会はそれを監査というかコントロールするし、それから主要なビジョン的な話というか大きな枠組みは教育委員会が議論するという、こういう整理をしていただいたのかなということですから、我々の提案も三割ぐらいは入れていただいているんで、これで走ってみていけるのか。我々はちょっと地方議会に期待するというところが──それは分かりました。四月の二十二日のときにそれを、伊吹文部科学大臣はそういうことを地方議会に、いや、僕は健全なことだと思いますよ、我々もそういうことは日ごろ言っておりますから、それをめぐって各地元地元でいろいろ考えていただいたらいいなというふうに思います。それは別に率直にそういうふうに思います。  それで、あと、済みません、やっぱり指導不適切教員のところなんですけど、判定基準ですね、ガイドライン、これはどういうことになりますかね。これ、これまた結局不適切教員とかって難しいですよね、これは。結局、一律の何か基準があって、これはペーパーテストとかをやるわけにもいかないし、しかもやっぱりこれ人の身分にかかわる話ですから、そこでの客観・公正性ということは、当然これは確保しなければいけないということになると、このガイドライン果たしてできるかなと。そういうこのスタンダードで難しいときは、やっぱりプロセスをきちっと決めて、この人たちがちゃんと議論を尽くして、やはり不適切だと、あるいはきちっとした審査の委員会に上げていこうという、行為で無理なときはもう手続で縛るしかないですよね。  ということで、学校理事会での十分な審議、そして審査会での、この審査会は京都でやっておられるやつを参考にして、あれは非常によく僕もできていると思いますし、お医者さんとか臨床心理士とか、あるいは人権委員とか入って、あれを取り入れられるというのは僕も大賛成なんですけど、そういう中でガイドラインのお話もこれはなかなか難しいと思うんですね。  ですから、私、これは今日ずっとというかこの間の、十二月までは毎日のように大臣と席を並べさせていただいたんですけれども、それ以後しばしごぶさたをしていたんですが、文部省の枠組みの中でできることについてはよく考えられていると思います。しかし、全国三万の学校現場文部省の努力だけでというわけにはやっぱり難しいと思うんですね。そうすると、やっぱりどれだけ現場の力というか、それは教員であり保護者であり地域の方であり、そういう方々の良識とか、あるいはそういう方々の御努力、献身というものを引き出すガバナンスというものを必要なんじゃないかなというふうに思っていまして……
  143. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) ガバナンス駄目だよ。
  144. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 私、さっきあきらめましたから、時間がなくなってきましたので。  そういうやっぱりガバナンスをつくるというところの一工夫がないと教育現場は良くならないし、やっぱり一九五六年の地教行法以来の大改正ですよ、だって教育基本法改正したわけですから。だから、その改正教育基本法に見合う教育現場のガバナンス、あるいは教育行政のありようということにまでやっぱり踏み込まないと、そのことが文部省と相まって、その一つ一つの極めて、結局難しい話だから残っているわけですよね、不適切教員とかの話というのは。というふうに私は思いますが、ガイドラインの話と単に地方議会にのみ任せるのではなくて、もう一歩踏み込んで、現場現場力を引き出すための枠組みをもう一ひねりといいますか、もう一工夫必要なんではないかという私の御意見でございますので、それをどういうふうにとらまえていただくかあれですが、法案作成の際に御検討いただければ有り難いなというふうに思います。
  145. 狩野安

    委員長狩野安君) よろしいですか。
  146. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 ガイドライン。
  147. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 先ほど来、先生がいろいろお話をされておりました、校長だけがまず不適格教員の申出ができるのかといったような点とか、それから判定基準をどういうふうに作るのか、それから言わば不適格教員の認定のシステム全体の運用、過程をどういうふうに押さえていくのか、そのためのガイドラインをどうするのか、これらいずれも答申におきましても制度設計の留意事項として今後詰めていくべき事柄として示されておりまして、直接法にどこまで規定するのかということとは別に、実際の運用に当たりまして、私どもそういう点はやはりよく心掛けて検討していかなきゃいけない事柄だと思っております。
  148. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 ありがとうございます。  やっぱり最後のだるまに目が何か入っていないなという感じがありますので、そこを入れてまた立派な法案を御提出いただいて、御議論を深めさせていただければと思います。  どうも今日はありがとうございました。
  149. 山本香苗

    ○山本香苗君 公明党の山本香苗です。今国会もどうぞよろしくお願いいたします。  本日は、大臣所信に対する質疑ということで御質問をさせていただきますが、まず最初に、学校教育を支える環境整備の一つでございます学校施設の耐震化についてお伺いをさせていただきます。  学校施設というのは、子供たちが一日の大半を過ごす場、学びの場であるとともに、災害時には多くが避難場所になるということで、耐震性の確保というものが強く求められているところであります。しかし、平成十四年に文部科学省が初めてまとめて公表した耐震調査結果では、全国の公立小中学校の耐震化率はわずか半数でありました。それも、七割が耐震診断が行われていないため、推計で半数というような信じられない数値であったわけなんです。当時、これを出したときには、もうパンドラの箱を開けたといろいろ言われたわけでございましたけれども、本当にびっくりしたわけであります。  今、どこで地震が起きても不思議ではないというふうに気象庁も言っている状況でございまして、だからこそ早急に学校施設の耐震化をしなくちゃいけないということで、ここ五年間一生懸命頑張ってきたわけでございますが、現在どこまで進んだのでしょうか。また、平成十四年、あの驚くべき調査を出していただきまして、この五年間の耐震化率、これがどれぐらいアップしたのか、総括的に御答弁をいただきたいと思います。
  150. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) お答えを申し上げます。  御指摘ございましたように、平成十四年に初めて耐震化の調査を行ったというわけでございます。そのときの数字は四四・五%、先生は半分とおっしゃいましたが、半分をかなり下回った数字ということでございました。その後、鋭意努力を重ねまして、平成十八年の四月一日、これが最近のデータでございますが、これで五四・七%、約一〇ポイント程度進捗を見たという状況でございます。
  151. 山本香苗

    ○山本香苗君 そして、平成十八年度補正予算でも一千億を超える予算を計上いたしましたけれども、それで大体六一%ぐらいになるという話でございますが、平成十九年度予算におきましては千四十二億、一千四十二億ですか。
  152. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) 沖縄込みその他の状況があるので数字が多少動くときがあると思いますが、一応一千百四十億ということで御認識いただきたいと思います。
  153. 山本香苗

    ○山本香苗君 それによっての、じゃ今度はどれぐらい耐震化が進むのかという達成の見込みはどれぐらいになるでしょうか。
  154. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) 先ほどの補正予算でまずは六一パーですが、この十九当初も含めますと六三%を超えると、このように見込んでいるところでございます。
  155. 山本香苗

    ○山本香苗君 六三%ということで、まだまだ頑張らなくちゃいけないという状況でございますけれども、耐震診断が先ほど申し上げましたとおり非常に遅れていた状況でありましたけれども、一生懸命これを平成十八年中に耐震診断を完了するということで、強力に文部科学省の方から各市町村の方に取組を進めていただいたわけなんですけれども、結果の方はどうなりましたでしょうか。また、一〇〇%完了するということですから、一〇〇%本来は達成していなくちゃいけないわけですけれども、仮に未実施のところがあった場合には、今後どういう対応をしていかれる予定でしょうか。
  156. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) 御指摘がございましたように、まず耐震化推進の基礎となる耐震診断の完全実施、これは非常に大事なことでございますので、これまで鋭意取り組んでまいりました。御指摘ありましたように、平成十八年中に完了しようということでやってきたわけでありますが、現在その十二月末日時点の実施状況について集計中というところでございます。何とか三月末を目途に調査結果を公表するというところで、今集計を行っております。  御心配されているような、完了していないような地方公共団体、仮にこれが存在したような場合には、当該団体、この名前を公表するとともに、その一層の取組を促すということから、更に個別に指導を行ってしっかりとその促進に努めてまいりたいと、かように考えてございます。
  157. 山本香苗

    ○山本香苗君 まだちょっとまとまっていない、三月末までには出されるということでございますけれども、この耐震診断をした結果、これにつきましてはもう既に平成十八年の四月から市町村ごとのものが出ているわけなんです。これによって各市町村がこんなに自分のところが遅れていたんだという意識が芽生えたと思うんですけれども、そこで再度確認をさせていただきたいと思っておりますが、以前ほかの委員会でちょっと確認をさせていただいたところなんですけれども、改めまして。  平成十八年度の四月一日の段階では市町村ごとが出たと。今度は、設置者である市町村において各学校ごとの状況も公表するということになっているということでよろしかったですね。
  158. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) 耐震診断の実施率あるいは耐震化の状況の結果の公表というものは、先生今御指摘あったように、かなり段階的にその範囲を拡張してきたという状況であります。元々、従来は都道府県別という公表がありました。その後、平成十八年度より、御指摘あったように、新たに市区町村ごとの状況も公表というふうになったわけです。  御指摘がございましたように、今度は各学校のデータ等、状況の公表ということでありますが、これは基本的には学校の設置者であります各市町村等の判断で行われるべきものとは考えております。しかしながら、耐震化の促進に際しては、その実態の公表ということは、地域住民の理解を得ながら意識を高めるという点では非常に重要なことと考えております。  今後、地方自治体に対しまして、学校ごとの状況について公表するようしっかりと指導してまいりたいと、かように考えております。
  159. 山本香苗

    ○山本香苗君 本当に、今までは公表したら逆に不安をあおるんじゃないかということが言われていたわけなんですけれども、今はこの地震というものが高い確率でこの短い期間の中に起きるかもしれないという、そういう意識の中では、逆に行った先が危なかったら怖いということできちっと、静岡県のような取組もありますけれども、耐震化リスト、各学校ごとのものをきちっと各市区町村で公表していただいて、市民の皆様方の意識を高めていただくということは非常に重要だと思っておりますので、是非ここは徹底をしていただきたい。せっかくこの診断をしたからには、その結果を公表することに大きな意義があると思いますので、ここは文部科学省としても頑張っていただきたいと思っております。  大臣所信の中におきましても、学校施設の耐震化の一層の促進等に取り組むということを書いていただいております。大臣の御地元の京都市も非常に計画的にやっていただいているところでございますけれども、改めて、この学校施設の耐震化を進めていくに当たりましての大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  160. 池坊保子

    ○副大臣(池坊保子君) 大臣が、副大臣の答弁がないから気の毒だから代わってするようにということで、大臣に代わって答弁させていただきます。  今、山本委員がおっしゃいますように、学校の耐震化は、生徒が大半を過ごすところでございますし、また緊急のときにはみんなの避難場所でもございますから、きちんと耐震されなければいけないと思います。  十八年度予算では、私は二つ必要なことがあると思います。  一つは、国としての予算をしっかり取ることだと思います。十八年度の補正予算では千百三十六億、そして十九年度では千百四十億取っております。これをやはり地方公共団体が使っていただかなければならないわけです。ですから、それぞれの地域において、自分学校はまず安全なのかという耐震を調べていただくということが必要だというふうに思っておりますので、これからも強く地方公共団体に対してはそのような通知もして徹底を図っていきたいと思っております。
  161. 山本香苗

    ○山本香苗君 副大臣、ありがとうございました。  次に、学校施設に関連したことでちょっとお伺いをしたいと思っておりますけれども、公立の学校の廃校施設の活用の仕方についてお伺いをしたいと思っております。  近年、少子化や市町村合併というものが進む中で、公立学校の統廃合が進んで廃校となる学校が、現場を回っておりまして、都市部でもいろんな、過疎地でも起きているわけでございます。  そこで、まず最初にちょっとお伺いしたいんですけれども、こうした廃校施設を学校以外のものに転用しようと、売却など処分しようと、財産処分ですね、そういうことをする場合の手続はどのようになっているんでしょうか。
  162. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) 御指摘がございましたように、近年、特にその学校施設の転用あるいは廃校の処分といった問題が課題として生じているところでございます。  まず、原則論を申し上げさせていただくと、国庫補助を受けて整備された施設を補助目的外に使用する場合には、補助金の適正化法の規定に、これによりまして、大臣承認を経て財産処分手続が必要となります。この大臣承認の際に国庫補助金に相当する額の国庫納付が原則と、これが基本にあるわけでございますが、一方で、そうはいいながら、公立学校施設については廃校施設等の有効利用を、有効活用を促進すると、このためには一定の要件さえ満たせば国庫納付金は不要という取扱いを今行っているところです。  具体にその要件というのは三つありまして、一つ公共用、公用施設として利用すること、二つ目に国庫補助事業完了後十年が経過していること、さらに無償による処分であると、この三つの要件を満たしていただければ国庫納付金は不要と、こういったことで転用の促進を図っているということでございます。
  163. 山本香苗

    ○山本香苗君 今御説明がありましたとおり、補助目的以外に使用しようとすれば、一定の要件とおっしゃいましたけれども、三つあると。公共用施設として利用することと十年という経過が必要と、あと無償で処分すると、この三つの要件を満たさなければ補助金相当額を国庫納付金として国に返さなくちゃいけなくなるということですよね。  これは、財政が大変厳しい地方自治体であったりだとか、また廃校が、最近たった一校とかいう話じゃなくて複数出てくる場合ですね、そういうときに、この廃校施設を利用したいんだけれども利用できない、有効活用できないというようなケースが出てきているんじゃないか。実際、私も地元を回っておりましてそういうケースを耳にいたしております。  そこで、以前から御提案を申し上げていたわけなんですけれども、この廃校施設を、もう廃校施設になるんですからそんな新しいものはありません。十年以上たっているものはもう、ほとんどそういうものでございますけれども、無償ではなくて有償で売却するなど処分をした場合でも、そこから上がってきた、得たお金を例えば基金という形で積み上げて学校施設の耐震化などの施設整備のために充てると、そういう形であれば国庫納付金を免除すると、補助金を返さなくてもいいよという形にしたらどうかなと思うわけなんです。  これを、何でもかんでもすればいいというわけじゃないと思うんです。これだと補助金の目的外使用ということにはならないと思うんです。というのが、学校をまた造る、改善の方に使われるわけですから、何かそういう形でやっていただくことができるんじゃないかと。  これが可能になりますと、今ずっと耐震化の話をしてまいりましたけれども、耐震化を今私たち、国の予算で一生懸命取りましたと。今各地を回る中で、地方議員の方とか首長さんにも、耐震化やってくださいと、今これだけ補正予算でも取ったんですということでいろいろいろいろ話をして回るんですが、一番皆さん方から返ってくるお答えとして多いのが、自分らで用意するお金がないんやということを言われるわけなんですね。地方負担のところが非常にネックになっているわけなんですけれども。  ここのところを、今言ったような提案がもし実現できるのであれば、軽減することができて耐震化がより一層進むんじゃないかと思うわけなんですけれども、どうでしょうか。前向きな御答弁をいただきたいと思います。
  164. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) 貴重な御提言をいただきまして。  まず最初に、甚だ恐縮でございますが、原則論だけちょっと現状を申し上げさせていただくと、やはり国庫補助を受けて整備された学校施設を有償で処分する場合、これはやはり得られる対価にも一部補助金相当分が含まれると、こう考えられることから、これを一律に免除するということはやっぱり補助金の適正な執行からかんがみて困難と、これが一応基本でございます。  それからすると、したがって現在は民間に売却する場合においては国庫納付金が必要と、こういう判断で動いているわけでありますが、しかしながら、確かに地方財政事情が非常に厳しい中で、廃校施設の有効活用という観点からは国庫納付金の免除を無償処分に限ることが支障になっていると、これは確かに御指摘のとおりだろうという認識でございます。  文部科学省といたしましては、今後、ただいまのような御提案、こういった趣旨も踏まえながら、例えば有償処分でありましても、国庫納付金相当額をほかの学校の施設整備に充てるなど、今先生は基金というようなお話されましたが、いろんな形があろうかと思いますが、そういったことも、基金といった概念も含めて、こういった一定の条件を満たせば国庫納付金の免除を認めると、こういう方向で現行の取扱いの改正を検討してまいりたいと考えております。
  165. 山本香苗

    ○山本香苗君 今、今後というふうにおっしゃいましたけれども、いつやっていただけるのか、教えていただきたいと思います。
  166. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) 速やかにということで、できれば年度内にもというぐらいの気持ちで頑張ってやっていきたいというふうに考えております。
  167. 山本香苗

    ○山本香苗君 大臣、年度内にやっていただいてもよろしいでしょうか。
  168. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 全く私と相談せずに答えておりますので、他の補助制度とのバランスもあるでしょうから、一応財務省とは協議しなくちゃいけませんので、担当者がやりたいと言っている意欲を余り大臣としては抑えない方がいいと思いますが。
  169. 山本香苗

    ○山本香苗君 その言外のところを推察しながら、早くこの年度内にやっていただけるようによろしくお願いしたいと思っております。  次に、若年雇用関係についてお伺いをさせていただきたいと思っております。  昨日もニュースを見ておりますと、景気が上昇して今年は新卒の、新卒の方ですね、大学生であれば三年連続、高校生であれば四年間連続でこの就職内定率が上がっているというようなことがニュースで流れておりましたけれども、この数字だけを見て、喜ばしい、手放しで喜ぶというような状況にはないと思っております。  といいますのも、学生は、学生たちは就職内定をもらっても、どれを選べばいいか分からないとか、あるいは就職してもすぐ辞めてしまうような若者が非常に増えているわけで、自分に適したものが選べないというのが現状であって、これだけを見て何かというわけには、喜ばしいというふうな形では言えないんじゃないかなと思っております。  こういったことに対応するために、一度辞めたらまた次の仕事に就けるような雇用環境を整えることも大事なんですけれども、しかしそれだけでは足りないわけでありまして、同時に、小中高大を通じて、きちんと勤労観であったり職業観を養う、また働くことということは生きることなんだということを学ぶ、明確な目的意識を持つということが必要なんであると思います。そういうことがそういう今のような現状を未然に防ぐことになるんじゃないかと思います。  そこで大臣にお伺いいたしますが、大臣はこの勤労観、職業観を養うということの重要性というものをどのように御認識をされていらっしゃるでしょうか。また、小中高大、段階的に職業観を、キャリアという言葉余りいけないのかもしれないんですが、またどういう形で段階的にやっていくのが望ましいとお考えでしょうか。
  170. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 憲法を読みますと、国民は勤労の義務と権利と両方書いてあるんですよ。だから、働く権利も持っていますが、働かねばならない義務も負っておるわけです。ですから、勤労観というのは、職業観というものをしっかり育てていくというのは極めて大切なことで、この前の改正教育基本法において、二条の教育目標の中に、「職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養う」というのが教育目標に入っていますよね。これは憲法の規定を受けたものなんですね。  このため、児童生徒に勤労観とかあるいは職業観、あるいはそれを持ってどういう、自分の将来の目標を持って職業を選ぶというんですか、そのための知識技能、こういうものを身に付けさせて、そして自分の選びたい職務、職種を主体的に選んでいくということができれば本当は一番いいわけですね。  そして、もちろん試験がありますが、自分の目指すところへ就職をし、奉職をし、自分の一生をそれに懸けて頑張っていくということでしょうから、児童生徒は各々の学校の発達段階がありますので、今の教育基本法第二条、教育目標に掲げられていることを今度は学校教育法に書いて国会へお出ししますから、それを皆さんが認めてくだされば、それに応じて学習指導要領を作って、そして各々の教科書もそれに応じて整備されていきますので、大変大切なテーマだと思っております。
  171. 山本香苗

    ○山本香苗君 学教法の改正につきましてはまた出てきたときにしっかりと議論をさせていただきたいと思っておりますが、この勤労観や職業観を養う上で非常に、文部科学省の中でやっていらっしゃる取組として、平成十七年度から全国展開をしていただいております事業、これ非常にいい事業なんですが、ちょっと名前がキャリア・スタート・ウイーク事業ということで、もうちょっと名前に工夫がないのかなと思っているわけでございますけれども。  これはもう兵庫県なんかではトライアルウイークという、富山の方でもやっていて、非常に既にもう先駆的な取組がなされているものを、これを全国的にやってくれと言っているときに、河村大臣のときにやりますということでやっていただいたわけでございますけれども、これはもう本当に現場に行って見てまいりますと、単なる職場体験にとどまっていなくて、いろんな地域力アップにもつながる非常に効果の高いものなんです。それを全国的に一生懸命やっていただいているとは承知しているんですが、実際のところどれぐらい実施状況になっているのか、正確な数値を教えていただきたいと思います。
  172. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) このキャリア・スタート・ウイーク、兵庫県ではトライアルウイークというふうに呼んでおるわけでございますが、五日間以上の職場体験を主として中学生が実施をするという事業でございます。  実は、公立中学校における職場体験の事業自体は全国の九割を超える学校で実施をされております。ただ、日数がいろいろございまして、五日間以上ということに限定をいたしますと、平成十八年度で約二千三百校でございます。これは全国の公立中学校の約四分の一弱に当たります。それから、文部科学省が委嘱をして実施をしておりますキャリア・スタート・ウイークに参加をしている推進校、これは平成十八年度千十六校でございますので、全国で実施をしている二千三百校の半分弱の学校文部省の委嘱事業として実施をしているという状況でございます。
  173. 山本香苗

    ○山本香苗君 すなわち、実施しているのは約三割ということでよろしいんですか。
  174. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) いや、三割まで至りませんで、中学校は一万校ちょっとでございますので、二千三百校ですので四分の一弱ということでございます。
  175. 山本香苗

    ○山本香苗君 これ、中学二年生の時点で全員が五日以上の職場体験をするということで大きく打ち出しをしたわけなんですけれども、まあ三割満たないと。非常に少ない形になっているわけなんですけれども、これは何でこんなに少ない形でとどまっているのかと、課題は何なのかと、ちゃんとその辺りのことを整理して分析はされていらっしゃるんでしょうか。
  176. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 先ほど申し上げましたように、九割の公立の中学校では一日以上の職場体験は実施しているわけです。これを五日以上になかなか広げられないと、五日間の職場体験になかなか広げられないということがございまして、その辺の状況につきまして、私ども、各都道府県の指導主事や中学校先生方からいろいろと事情を聴いております。  そういたしますと、やはり中学校の二年生、学年挙げて五日間いろいろな事業所に職場体験に行くわけでございますので、何といってもやっぱり受け入れていただける事業所の確保ということが、これが大変でございます。五日間、子供たちを事業所の方で預かっていただいて、いろいろな経験をさせていただくということでございますので、この事業所の確保、地域によっては事業所がなかなかないといったようなことがございますので、その点が一つ大きな課題でございます。  それからもう一つは、連続して五日間、子供たち学校外で活動するということになるわけでございますので、教育課程の編成上、どういうその五日間の時間を確保するのかということがなかなか難しいという声もございます。中学生になりますと結構いろいろな授業が予定されていたりして、なかなか五日間、二年生が全員外へ出て事業所へ行って職場体験をするという時間が取れないという声も結構あるわけでございます。
  177. 山本香苗

    ○山本香苗君 今局長がおっしゃっていただいたように、確かに全員が同時期に五日間以上受け入れてもらうというのが非常に難しいということもあるでしょうし、また、受入先がなかなか見付からないんだということもあると現場の方からも聞いておりますので、そういうことが分からないわけではないんですけれども、兵庫とか富山では全校的に全県挙げてやっていらっしゃるわけですね。全員ができていないというなら分かりますけれども、やっているところが実際あるわけなんです。  地域差はもちろんあると思うんですけれども、せっかくこれだけうたってやっているわけなんですから、今おっしゃられたような課題を克服するために努力をしていただきたいと思うんですけれども、今後どういう形での改善を図ろうと思っていらっしゃいますでしょうか。
  178. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今先生からお話ございましたように、私ども、中学生の段階で五日間程度事業所に中学生が行って、大人の働く姿を見たり一緒に仕事のお手伝いをしたり、こういう職業体験というのは非常に私ども意義のある活動だと思っております。  現在、まだなかなか五日間できない地域につきましては、期間を二日やっていたものを三日にしていただくとか、三日間だったものを五日間に是非頑張っていただきたいとか、そういう働き掛けは引き続きやっているわけでございます。  ただ、一番やっぱり大事なのは、その地域ぐるみできちんと取り組んでいける体制をつくるということだと思います。学校やPTA、教育委員会地方の労働局、ハローワーク、経済産業局、地域の経営者協会、商工会議所、こういった地域レベルでの協議、協力の場を設置をいたしまして、関係機関は連携協力による支援システムをつくっていくと、こういうことが大事でございまして、そういうことをつくっていくための経費等について、文部科学省として委嘱事業という形で支援をしているということでございます。  加えて、実は平成十七年の十一月三十日には、文部科学大臣出席の下、厚生労働省、経済産業省などの関係省庁、それから日本経団連などの経済団体、その他多くの団体の方に御参集をいただきまして、キャリア・スタート・ウイーク推進連絡会議という中央レベルの会議も設置をいたしまして、幅広くこの事業について理解と各団体の参画を今促しているところでございます。  また、今年からキャリア教育の推進のために顕著な功績のありました企業などに対しても文部科学大臣表彰などを行いまして、是非引き続き御努力いただきたいといったようなこともお願いをしているところでございます。  いずれにしても、私ども、関係省庁との連携を緊密に図りながら、こういう職場体験の受入れ事業所の確保ということに努めていきたいと思っております。
  179. 山本香苗

    ○山本香苗君 しっかりやっていただきたいわけなんですけれども、今の話を聞いていると、どうしてもこのいわゆるキャリア・スタート・ウイーク、単なる職場体験として何かとらえていらっしゃるんじゃないかなと、文部科学省内で。もっといわゆる地域力を高めること、今大事だと言われている地域再生だとか、そういうことにも非常に効果があると。また、子供たちにとっても、また受け入れる方にとってももう本当に非常にいい効果があるという例がたくさんあるわけなので、もっともっとその意義を広く周知をしていただく中で頑張っていただきたいと思うんですが、今回、この平成十九年度の予算を見まして非常に愕然としたわけなんですけれども、この今言った事業に対する予算というものが平成十八年度におきましては四・七億あったんですね。四・七億あったんですけれども、今回ぐっと減りまして二・三億しかないわけですよ。この額というのは、兵庫県が県独自に先ほどやっているという話がありましたけれども、県独自にやっている予算が二・七億なんですね。一県の分よりも少ないわけなんですよ。  先ほどの、いろいろと課題の解決に取り組むというふうな話がございましたけれども、しっかりそういったものを取り組んでいただくと同時に、予算の拡充にも取り組んでいただくことが必要なんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  180. 池坊保子

    ○副大臣(池坊保子君) 山本香苗議員は、従来から体験活動の学校教育における重要性を説いていらっしゃいまして、この強化と充実について力を注いでいただいておりまして、御存じのように、自然体験、それから文化芸術体験、そして職場体験、この体験活動につきましては、御存じのように十八年度は四億七千万でしたのが、十九年度は七億一千万になりました。にもかかわらず、今御指摘のように職場体験が少ないのではないかということでございます。  六十四万のフリーターというのは、それぞれに課題はあるとは思いますが、小さいときからのやはり勤労観、職業観が大きく影響をしていると思います。  今局長から説明いたしましたように、まず授業数の確保ができないというところがございますが、総合学習時間などを振り当てれば、これは五日取ることは可能であると思いますし、何よりも教育基本法改正によって、これは学校家庭、そして地域社会の連携ということをうたっておりますので、まず地域社会の企業の受入れをもっともっと教育委員会が熱心に要請しなければならないと思います。  教育格差というのは教育委員会格差ではないかと思いますので、これをきっちりと教育委員会にも呼び掛けたいと思いますけれども、今回まあ予算が減りましたということは、でも、連絡協議会などはつくっておりますけれども、二億で何ができるのか、小学校においては職場見学であり、中学校においては五日間の職場体験が二億七千万ぐらいでできるのかと言われますと、これはちょっと、本当にもっと増やさなければいけないなというのが正直な気持ちでございます。それと、やはり連携を取るということが大切だと思いますので、県の教育委員会と連携を取りながら、企業の呼び掛けにも努めていきたいと思っております。
  181. 山本香苗

    ○山本香苗君 是非増やす方向で頑張っていただきたいと思っておりますが、次に移らせていただきたいと思っております。  現在の様々な教育問題の根底には教師の多忙化があると、つい先日の新聞の投稿欄に現役の先生のお声がございましたけれども、私自身も現場先生方といろいろと懇談をさせていただく機会がよくあります。その中で、お話を伺う中でも本当に大変だなと、一生懸命やっていただいているなと。先ほど不適格教員の話がありましたけれども、そういうのは一部で、本当に頑張っていただいている先生方がたくさんいらっしゃるなということを痛切に感じております。  大臣所信の中で、今日の教員はかつてより多くの重荷を背負い、学校現場で黙々と日々努力しておられることを私は知っておりますと書いていただいておりました。この今回の大臣所信、至る所に大臣思いというものがちりばめられているなということを感じまして、通常の大臣所信とは大分違うような感じがしたわけでございますが、本当に現場のことを分かってくださっているんだなということがそこからうかがえるわけでございますけれども。その御認識があるからこそ、後段におきまして教育活動以外の教員の事務負担の軽減などを進めるとおっしゃっていただいているんだと思いますが、ちょっとここは通告しておりませんでしたけれども、この教育活動以外の教員の事務負担の軽減というのは具体的にはどういうことを想定していらっしゃるのか、お伺いさせていただいてもよろしいでしょうか。
  182. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) まず、子供と向き合う時間以外の時間を教員がかなり取られているということですね。それから、本来の、これは本来の教育ではあるんですけれども、学校で義務教育として、あるいはカリキュラムとして想定されている以外の課外授業的なことにはもうほとんど手が出せない。  私もこの前、小平だったですか、小学校を見に行きまして、地域のお父さん、お母さんが来られて朝の十分の読み聞かせをやっておられたり、あるいは教室の中で一緒に授業を手伝っておられたりするのを拝見しました。  しかし、東京ですばらしいことをやっているなという常識は大体地方の非常識なんですよ。東京というのは、まあ率直に言うと、交付税の不交付団体でしょう、そしてかなりお金がありますから単費でいろいろなことができる。ところが、地方の実態は必ずしもそうじゃないということをよく理解して学校を見に行きませんと、とかく時間がありませんので東京周辺を見学に行き、また、文部科学省のお役人は大臣が行くといいところを見せますからね、それにだまされないようにやりたいと思っております。
  183. 山本香苗

    ○山本香苗君 大臣のお気持ちは分かったんですが、事務負担の軽減の具体策を事務方の方からお願いしてもよろしいでしょうか。
  184. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 教員の勤務実態を調べておりますと、やはり直接子供の指導の時間とか、成績の評価とか、間接的に子供にかかわる時間以外の会議とか、あるいは調査物を記入したり、そういった学校運営にかかわる業務の時間というのが教員の場合、結構最近多いんでございます。  ですから、事務負担の軽減という観点から、やはり私ども、調査物の整理とか、それから学校内におきましても、ある意味では会議の精選とか、それから校務分掌の見直しとか、さらには、事務の共同処理化といいまして、幾つかの学校の事務を中心校で一括して処理をするといった合理化を図るとか、様々な工夫を凝らしながら、先生方が本当に子供に向き合えるように先生方の業務の効率改善ということを考えていかなければいけないと思っております。
  185. 山本香苗

    ○山本香苗君 実態をよく見ていただいた上で、各学校ごと違うと思うんですけれども、本当に子供たちに向き合える時間を少しでも多く取れるようにということで文部科学省が先頭に立ってやっていただきたいと思うんですけれども、先ほどの大臣のお話じゃないですが、まず文部科学省が実態をよく知らないといけないと、いいところばかりじゃなくて、本当に厳しいところもよく見ていただいてやっていただきたいと思うわけなんですが。  そこで、そこでなんですけれども、今くしくも大臣がおっしゃられましたように、いろんなボランティアの方が今学校の中に入ってこられていますよね。例えば、読み聞かせのことをやってくださる方もいらっしゃいますし、部活動の顧問的なことをやっていただくような方も入ってきていただいていますし、また、見守り隊ということでいろいろ警備とか学校の校門のところに立っていただいたりとか、本当にいろんな形でボランティアということで、本当に皆さん方が教育を良くしたい、学校を良くしたいという思いで、善意の思いで入ってきていただいているところだと思うんですけれども、そのボランティアの皆さん方の力をもっと活用するということを目指して、この学校のボランティアの方々を登録するような制度というものを各県につくったらどうかなと思ったんですが。  昨日もNHKでたまたまちらっと見たんですけれども、団塊の方々がいわゆる地域デビューをすると。どういう形でするかと。今まで地域余りかかわりがなかったと、いきなり学校へ行って入れてくださいという話も変ですから、自分にできる得意なところを生かして何かしたいというものがあったら、そういう分野ごとに分けて例えば登録をしていただくと。何も特別なものを持っていないとしたとしても、とにかく何かやりたいんだというところも、分野も入れて、項目も入れて、そういうものをつくって登録してもらうと。学校側としては、いろいろいろいろありますけれども、自分のところに必要だと思われるところをマッチングをするというようなことを、市でありますと余りに小さ過ぎますので、県単位ぐらいでつくっていただくとどうかなと。  個人情報等々いろいろありますけれども、その辺りはきちっと工夫をしながら、別に団塊の世代の方々だけじゃなくて、例えばこれから学校先生になりたいという学生さんでもいいでしょうし、いろんな形の広がりは持たせられると思うんですが、そういうボランティア登録制度みたいなものを制度化したらいかがかなと。そうすれば学校先生たちの負担も少しは軽減することに役立つのかなと思ったわけなんですけれども、いかがでしょうか。
  186. 池坊保子

    ○副大臣(池坊保子君) 山本委員がおっしゃいますように、地域のボランティアの方々のお力をおかりするということは、今御指摘がありましたように、私どもがやってまいりました読み聞かせがそうですし、学校図書ボランティア、あるいはスクールガード、それから、その道の達人ということで今理科授業などにもボランティアのお力をいただいております。  学校自体としては、例えば京都でも寺子屋というのをやっておりますし、また東京の杉並の和田中学校は斜めの関係というのをやっております。県としてそれをというよりは、私はやっぱり学校が主になってやる方が地域との緊密な関係が生まれるのではないかというふうに思っております。  ただ、県でやっておりますところもございまして、高知県もそれをやっておりますし、栃木県の足利市とか、あるいは香川県の小豆島とか、あるいは高崎市の小学校とかでございます。それぞれが今、平成十六年三月に公立学校における外部人材や資源の活用の推進についてということで学校に対しては通知もいたしております。  ですから、ボランティアバンクというのは一つのすばらしいアイデアだと思いますので、県というよりは、いろんな集合体としてそういうものができたらいいなというふうには思っております。
  187. 山本香苗

    ○山本香苗君 県単位というか小さな単位、本当はその学校でできれば、学校ごとにできれば一番いい話なんですけれども、とにかく学校が集めてくること自体も大変だという話であるんであれば、もうちょっと大きな単位で考えてもいいのかなというところなんですね。  そういった各取組をやっているというところをうまく推奨していただきまして、文部科学省からですね、押し付けるわけではなくて、こういうことがやっていて、これから多分大なり小なりそうしたボランティアの方々の活用ということが非常に重要になってくると思いますので、そういうものをまとめて広く知らしめていただけるようにしていただきたいと思っております。  ちょっと時間も迫ってまいりましたので、教員の方々、今のはボランティアの話ですけれども、今度は教員の方ですね。  先ほどいろいろと大変高尚な議論が学校先生につきましてはありましたけれども、そういう中で、この間の教育特のときにも御質問させていただきましたけれども、外部登用、学校先生の、教員の外部登用というものを図るべきではないかと私は考えているんですが、先ほどいろいろと議論のございました教育再生会議がまとめたものの中にも、社会の多様な分野から優れた人材を積極的かつ大量に採用すると、そのために特別免許制度の積極的な活用を図るべきだというようなことが盛り込まれておりました。総理も、その考えについては、あの教育特の答弁のときも前向きな御答弁をされておりましたけれども。  実際のところ、この特別免許制度というものがつくられてもう二十年近くがたつわけですけれども、事務方の方に事前にお伺いしましたら、平成十八年度末ぐらいで二百件に満たないわけですね。これは何で使われていないのかということと、また、今後どう運用の改善を図るおつもりなのか、その辺りのところをまとめてお伺いをさせていただきます。
  188. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 特別免許状でございますけれども、これは教育世界に多様なバックグラウンドを持った優れた人材を活用しようということで、昭和六十三年に教職員免許法の改正によって創設されたものでございます。これは特別免許状というのを授与するわけでございますけれども、その件数は、制度創設以来、平成十八年の四月一日現在で延べ百九十五件ということで、確かに数は少ない状況にございます。  これは、理由としては、結局その特別免許状を授与するということは、その方が転職をして常勤の先生になるというのが前提として授与されるものでございますので、なかなか、今までの職から教職に転職ということがそれほどまだ一般化していないということがあろうかと思います。それから、制度が一般に広く認識されていないという私どもの反省すべき点もあろうかと思います。  なお、特別免許状が最初できたときは限られた教科だったわけでございますけれども、平成十年に対象教科を拡大をし、それから特別免許状を授与される要件を、学士に限っていたものを撤廃をし、さらに有効期限が付されていましたものをその授与された県内では終身有効といった具合に、特別免許状そのものについての改善もしてきたところでございます。  やはり、教員というのは、免許状を持っている人が教員になって教えるわけでございますので、この特別免許状というのは教員になるための一つの基礎資格のようなものでございますので、教員採用の際に特別免許状を活用した社会人の経験者を対象とする特別選考と、免許状は持っていないけれども特別選考で優れた方に特別免許状を授与できるように、そういった特別選考の実施などいろいろな工夫を各県やっておりますが、これからもそういう取組を促して、質の高い方に教育世界に来ていただけるようにしていきたいと思っております。
  189. 山本香苗

    ○山本香苗君 もう時間がなくなりましたので、最後、要望でとどめておきますけれども、その特別免許制度のとき、いろいろこれからしっかり知らしめていく、周知していくという話がございましたけれども、専門性があって優れた人を選んでくるとなった場合に、通常の形のいわゆる採用の年齢制限、ああいうものがちょっとネックになってきているんじゃないかと思うんです。転職しようにも、例えば五十過ぎた段階で転職、転職というか教員になろうというときに、この採用年限のところがネックになってきているようなケースがありますので、是非この特別免許制度については年齢制限を設けないというような形で周知をしていただければと思っておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。  答弁していただけるのであれば答弁してください。
  190. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 教員採用選考試験において年齢制限を設けない県も増えてきております。それから、一般の選考よりもこういう特別免許状などにかかわる選考について年齢制限を緩和している県もございますので、こういった点を今後とも進めていきたいというふうに考えております。
  191. 山本香苗

    ○山本香苗君 ありがとうございました。
  192. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  大臣所信に対する質疑の前に、北アルプス大日岳遭難事故訴訟についてお聞きをいたします。  この事故は、二〇〇〇年三月に、当時の文部省の登山研修所が実施をした大学山岳部リーダー冬山研修会で、講師に引率された研修生の方が富山県の大日岳の頂上付近で休息中に乗っていた雪庇、雪の吹きだまりですね、これが崩れて二人の大学生が亡くなったというものであります。  遺族が国の責任を問うて損害賠償を求めて訴訟を起こされまして、去年の四月に富山地裁で登山ルートと休憩場所の選定に過失があるとして国に一億六千七百万円の支払を命ずる遺族全面勝訴の判決が出ました。国は控訴されましたけれども、つい先日、三月十二日の控訴審での第一回口頭弁論で、名古屋高裁の金沢支部は、国側が新たに申請した証人を不採用として和解を勧告をされました。  これは、一審では国側が主な論点で主張したことはことごとく取り入れられなかったわけで、しかも証人を不採用としたということは、もうこれはいたずらに引き延ばすことなく遺族に誠意を持って和解をせよと、こういう裁判所の意思だと思うんですね。  私は遺族の方とも何度かお話を伺いましたけれども、大臣にも様々な要望書などもお届けをされております。そういう声が大臣に届いているだろうかというお声もありますし、私はこういう下で、やはり一審判決を受け入れて、教訓を登山者の安全確保に生かすという立場で速やかな和解を進めていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  193. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) まず、大変お気の毒な状況であり、遺族の心情というのは、こういう事故じゃなくても私たちはやっぱり身内を失えば悲しいものですから、それは十分私も分かっております。  私の事務所にも、秘書から報告を受けておりますのでは、昨年の暮れと今年と二度来られているんですよ。要望書のようなものを持ってきておられます。ただ、私は文部科学大臣としてこれに対応しなければならないんで、個人の議員事務所にお見えいただくというのは少しやっぱり筋が違うんじゃないかと。そこで、秘書はこれをお預かりをして文部科学省へ持ってきておりますし、私に当然報告しております。ですから、私にはきちっと伝わっているということですね。  私も、実はお見えになって初めてこの事件があるのを知りました。よく担当者から事件の概要、遭難の概要も伺っております。裁判所の高裁の和解の勧告があったということも承知しておりますので、少し、担当の課長は遺族の方と常に接触しているようですけれども、文部科学省だけではこれはちょっと簡単に判断できないです、国の訴訟というのは法務省が一応前面に出ておりますから。ですから、関係省庁と少し協議をして、そして裁判所の言っておられる論点、あるいは裁判所が和解勧告をされるに至った経緯、これをよく伺って、そして事務的に詰めさせた上で私の判断を示したいと思います。
  194. 井上哲士

    ○井上哲士君 遺族の思いは伝わっているようでありますから、是非私は、一審判決に沿った和解をして、その際には大臣から直接謝罪もいただきたいなということも思っておりますが。
  195. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 遺族と接触がおありになるようですから、文部科学省担当局の何というのか、窓口は常に開けてありますので、私に対する御要望も、できれば文部科学省の方へおいでいただくようにお伝えください。
  196. 井上哲士

    ○井上哲士君 遺族の皆さんは、大切な息子を奪った山を憎むとか、そういうことではなくて、これ、真実を究明する会というところがパンフレットを作っておられますが、こう言われているんですね。「私たちは、わが国の山岳遭難防止対策にとって、文部科学省登山研修所が果してきた研究、研修活動は実に大きいものがあったと考え、今後もいっそう発展させて欲しいと考えます。 それだけに今回の遭難事故の真の原因を徹底して究明して欲しいと願っています。」「そうしてこそ無念のうちに逝った息子たちも納得できるのではないでしょうか。」と、こういうことを言われております。  登山研修所というのは登山を学ぶ唯一の国の機関でありますが、この事故以来、冬山の研修は行われていないということですね。  今の遺族の願いもありますし、登山界からもこれはやっぱり冬山研修は再開をしてほしいというお声も随分お聞きしております。この点でも是非冬山研修をこの教訓を踏まえて再開をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  197. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  御遺族の方々等から要望されておられます冬山登山研修の再開につきましては、本件事故の事案の終結しました暁には、私どもといたしましても、速やかにこの事故の再発防止策をしっかりと講じた上で、冬山登山研修の再開に向けて取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  198. 井上哲士

    ○井上哲士君 正に登山界も望んでいらっしゃいますから、ですから、そのためにも是非速やかな一審判決に沿った和解を繰り返しお願いをしたいと思います。  次に、この四月から実施をされます特別支援教育の問題についてお聞きをいたします。  昨年の法改正で、軽度発達障害の対応を従来の障害児教育も含めて特別支援教育として学校教育全体で取り組むことと法文上明記をいたしました。法案審議のときも繰り返し議論になったのは、この取組を進めるためには、やはり人の配置というのはどうしても必要だということでありました。  まず、現状で小中学校での介助員や学習支援員の配置というのはどうなっているのかお聞きしたいと思います。
  199. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 全国の公立の小学校中学校におきまして、障害のある児童生徒の支援のために配置をされている介助員あるいは学習支援員の数でございますけれども、合計をいたしまして約一万三千六百人でございます。これは平成十七年五月一日現在の数でございます。
  200. 井上哲士

    ○井上哲士君 都道府県別に見ますと、小中学校の数に対して神奈川は一四四・九%、滋賀は〇・九%ということで、かなりばらつきがあります。もちろん、教員の加配という形で対応されているところもありますので、この数自体を直ちに云々するつもりは今ないんですが、しかし、現状ではやっぱりとても人が足りないという状況があります。既に普通学級に様々、アスペルガーの子供などを受け入れている、本当に格闘されているんですね。  京都市の教員の皆さんから少し聞いた事例を御紹介しますと、例えば昨年、五年生のアスペルガーの子供が校舎から飛び降り掛ける事件があり、年度途中から加配講師に来てもらって大変助かったと。しかし、その子は引き続き状態が悪くて、加配講師が付きっきりの状態だと。講師がいない時間には必ずだれか男の教員が付くようにしていると、こういうお話もありました。それから、これはほかの学校ですが、やはり五年生でアスペルガーの子供、ADHDの子供がいて、先日も校舎から飛び降り掛ける事件があった。突然テレビゲームの画面がフラッシュバックすることが多くて、パソコンにはまり込んでしまい、やめさせると暴れ出すと。今は状態が悪く欠席しているが、その子と仲の良かった子供がかかわることに負担を感じて転校してしまった。こういうことも聞きまして、今も様々な努力がされております。  四月からはこれいよいよ位置付けられるわけでありますから、一層の手当てが必要だと思うんですね。現場の声は、やはり教員を増やしてほしい、専門性を持った人を配置をしてほしいということでありますけれども、文科省としては特別教育支援員の配置で対応されようとしておりますけれども、その内容と人数はどういうことになっているでしょうか。
  201. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 特別支援教育支援員でございますけれども、この支援員の業務内容としては、いわゆる介助員の方が行っておられる業務及び学習支援員と呼ばれる方が行っている業務、これらを併せて幅広く想定をいたしております。  介助といたしましては、移動の動作、衣服の着脱動作、食事動作、用便の動作、階段昇降動作、バス添乗などの介助業務を行うといったような業務がございますし、また、学習活動上のサポートということで、学習の支援あるいはADHDの児童生徒等に対する安全確保といったような障害のある児童生徒に必要な支援、こういうものを幅広く想定をし、また、その支援によりまして業務の比重の置き方というのもいろいろ出てくるのかなと思っております。  この特別支援教育支援員の配置に必要な経費の地方財政措置を行うことといたしまして、平成十九年度には支援員二万一千人相当、約二百五十億円程度を予定を地方財政措置でいたしております。
  202. 井上哲士

    ○井上哲士君 元々配置されているボランティアの謝礼金程度だというようなことではないと確認してよろしいですか。
  203. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 支援員二万一千人で二百五十億円でございますので、これを割り戻しますと、年間一人当たり約百二十万程度という積算にはなっております。
  204. 井上哲士

    ○井上哲士君 〇八年度には三万人に拡充をしてすべての小中学校に一人が配置できるようにするということと聞いておりますが、必ずしもこういう形で現場で具体化をされていないんではないかと。先ほどちょっと京都市のことを申し上げましたが、教育委員会などはボランティアの謝金程度の金額しか来ないということで、国の言うところの支援員として具体化をされてないように私は伺っておるんです。  文部科学省としては通知も出されているわけですけれども、やはり新しい制度として始まり、そのためにこういう支援員配置のための交付税措置がされているわけですから、しっかりこの特別支援教育の充実のためにきちんと使われるということは是非徹底をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  205. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今回の地方財政措置は、あくまで地方交付税の積算上の話でございますので、地方交付税は地方公共団体の一般財源でございますから、その使途はあくまで交付先である地方公共団体の判断にゆだねられるわけでございます。  ただ、文部省としては、特別支援教育支援員の配置を進めようとする地方公共団体の予算措置の一助となりますように、昨年十二月に既に特別支援教育支援員に係る地方財政措置の予定について、今お話ございましたように通知をしているところでございます。  また、今後配置を進めようとしております地方公共団体に対しまして、その参考となりますように具体の算定基準ですとか配置に係る先行事例の紹介など必要な情報提供を行うことなどによりまして、地方公共団体における配置の促進を支援をしてまいりたいと考えております。
  206. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは正に特別支援教育の充実のために交付されるわけでありますから、そのためにやっぱり使われるという点でしっかり徹底をしていただきたいということを改めて申し上げておきます。  あわせて、盲・聾・養護学校もこの四月から特別支援学校になります。地域の障害児教育のセンター的機能を果たすことも求められているわけでありますが、お手元にあります資料にありますように、公立学校建物の整備率でいいますと、小学校が九五・八%、中学校が一〇六・二%、高等学校が八五・三%、特殊教育学校が六六・一%、幼稚園が九三・八%と、やはり障害児学校の整備というものが非常に遅れているということを示していると思うんですね。  さらに、公立の養護学校の一校当たりの在籍数はどうなっているのか、全国平均と都道府県ごとに見て最大のところと最少のところ、知的障害と肢体不自由に分けてお答えいただけますでしょうか。
  207. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 知的障害の養護学校の一校当たりの規模ということでございましたですね。最大のところは、これは愛知県だったと思いますけれども、県の平均が二百六十五人ということでございます。それから、最小のところは大分県でございまして、これは七十六人と。全国平均は百三十九人でございます。  それから、肢体不自由の養護学校でございますけれども、都道府県別で最大のところは岡山県でございまして、百六十三人でございます。それから、最小のところは高知県でございまして、二十五人でございます。全国平均は九十五人という在学者の状況でございます。
  208. 井上哲士

    ○井上哲士君 資料の二枚目に一覧を付けておきましたけれども、都道府県ごとにかなりの違いがあるわけですね。そして、一枚目の下にありますように、愛知に非常にマンモス校が集中をしております。知的障害でいいますと、全国の多い十校のうち六校が愛知県に集中をし、一番多いところは四百名以上というところが三つあるわけですね。  私、この間、この愛知県のマンモス養護学校を見てまいりまして、肢体不自由を対象にした港養護学校と知的障害を対象にした半田養護学校を見てまいりました。いずれも有数のマンモス養護学校ですね。  児童生徒数が港養護学校で二百二十一名、そして半田で四百十七名であります。教職員も、だから相当数の数あるわけですね。半田の養護学校などは、職員室が百四十五人、机が一杯で、職員会議をやるときもハンドマイクを使わなくちゃいけないと、こういう状況があります。部屋が足りなくなっていますから、図書室で会議をやったり、そこにもピアノが置いてあるという状況がありましたし、特別室を、作業室とかいろんなものをどんどんどんどん普通教室に転用していると、こういう状況もあるわけですね。体育館も、これ小中高一貫ですので、一つしかありません。雨の日になると、もう体育も廊下でやらざるを得ないとか、こういう状況も様々聞いてまいりました。  それから、結局学校の数が少なくてマンモス化をしているわけですから、スクールバスの距離も非常に長く掛かるということになります。この港の養護学校の場合は、港区の端っこの方から乗車する生徒は一時間半以上も通学時間が掛かっていると、こういう状況があります。  文部科学省として、こういう大規模校の現状というのをどのように把握をして、様々教育上の問題点があると思うんですが、その解消のために努力をされてきたのか伺いたいと思います。
  209. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいま先生お話しのように、特に知的障害の養護学校で大規模校が最近増えてきているという実情は認識をしているところでございます。一校当たりの人数で見ますと、平成七年が平均百四人ぐらいだったものが、その十年後、平成十七年は百二十八人ということで、やっぱり一校当たりの規模も大きくなっております。  その背景としては、高等部にかなり子供たちが来るようになったといったようなこととかいろんな事情はあろうかと思いますけれども、各都道府県におきまして、そういう学校の状況について、児童生徒の数とか地域の実態を考慮していろいろと御工夫をいただいているということは認識をいたしております。  例えば、お話のございました愛知県におきましても、できる限り適切な教育的な支援を一人一人のニーズに応じて行うという観点から、例えば県立高等学校の余裕教室の活用とか、あるいは養護学校の新設等々、いろいろなことを考えながら過大化の解消について努めているということを承知をいたしているところでございます。
  210. 井上哲士

    ○井上哲士君 例えば愛知でいいますと、今度一つできる関係でこの安城養護学校というのは数は減るんですが、今二番目である半田はこの四月からは七十五学級、四百三十二人に増える予定だと、こういうふうに聞いておりまして、およそ追い付いていないという状況もあるわけですね。  そして、結局、非常に大規模校化することによって、先ほど申し上げたように特別教室の転用などが起きている。障害を持つ子供にとって非常にやっぱり特別教室というのは重要だと思うんですね。音楽とかいろんな体を動かす授業とか、そういうもののための部屋をきちっと確保しておくということは普通学校にも増して大変大事だと思うんです。そういうところが犠牲になっている。  それから、この半田の場合は、女子職員用の更衣室を生徒用パソコン教室に転用した結果、女子職員用の更衣室はかつての掃除道具置場になっているんですね。窓もなくて非常にじめじめしている。養護学校での教員の皆さんは必ず着替えすることが必要なわけですが、こういうしわ寄せも来ているわけです。  それで、やはり四百名を超えて、職員会議もハンドマイクというようなこと、全体のやっぱり教育状況から見ますと、私はやっぱり一定の適正規模というものを示して、そして国として整備計画なども持って、また、例えば財政誘導なども含めて、これ、なくすための努力が要るんではないかと思うんです。小中学校の場合は大体十二クラスから十八クラスという適正規模というものも示されているわけですから、私は養護学校についても当然子供たちの行き届いた教育の環境整備という点で一定の規模を示して計画的に解消していくべきかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  211. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 養護学校につきましては、在籍する児童生徒の障害の状態とか地域学校の実情によりまして実態が様々でございます。現在、そういう観点から規模についての特に基準というのはないわけでございます。  ただ、個々の学校につきまして、子供の数に応じた学級編制、それに伴う教職員の配置、また子供の数に応じました施設の補助、整備といったことについては、私ども、標準、基準を作りまして、所要の財政措置をしているところでございます。  今後、子供の数の見通しとか、あるいは個々の学校の生徒の状況、地域の実態、こういったものを判断をして、設置者におかれて十分に養護学校の配置については計画をし、また措置を講じていってほしいというふうに今は思っているところでございます。
  212. 井上哲士

    ○井上哲士君 設置者にやってほしいという希望を述べられたわけですが、私は、障害を持つ子供がどの県に住んでいようがどの町に住んでいようが、やっぱり行き届いた教育を受けられる、その権利持っているわけですから、これがやっぱりみんなに届くように、国として例えばそういう地域格差の実態調査をするとか、一定の計画も策定をするとか、また予算も確保して整備を進めるとか、こういう積極的な策を取っていくべきだと思います。  その点、最後、大臣に御所見を聞きまして、終わりたいと思います。
  213. 伊吹文明

    国務大臣伊吹文明君) 今ずっとやり取り聞いておりました。  まず、地方公共団体の実態は調べさせましょう、これはですね。ヒアリングをきちっとさせることが必要だと思います。  それから、公立文教の補助金だとか義務教育の国庫負担金だとかというものは持っておりますけれども、基本的に、先ほど来やり取りがあったように、交付税の中に入っているということは、なかなかこれはやっぱり率直に言ってやりにくいですよね。補助金を地方へ渡して、税目を渡して、それが地方分権でと言ったためにほとんどこちらに手段がなくなっているというのが現状ですから、できるだけ誠意を持ってお願いするということしか仕方がないですから、地方によく話してみたいと思います。
  214. 井上哲士

    ○井上哲士君 終わります。
  215. 狩野安

    委員長狩野安君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十五分散会