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中川雅治君 確かに、
民法上一人前の大人として扱ってもらえない
年齢の人に対して、国の行く末を決める
憲法改正の
投票権を認めるのはどうかということは当然あると思います。ですから、基本的には
民法、刑法関係のいろいろな
規定とそれから
投票権を有する
年齢要件、これをそろえるということは、分かりやすいということだけではなく、やはり法
制度の
整合性あるいは
考え方を統一していくということからいいましても必要なことだと思います。
ただ、未
成年者喫煙禁止法とか未
成年者飲酒禁止法、ここをそれじゃ
国民投票の
投票権者の
年齢要件を十八歳まで下げるということで、この未
成年者と言われている十八歳、十九歳の人たちにも喫煙はいいよ、飲酒もいいよと、こういうふうにすべきだというふうに今直結び付かないんじゃないかという
意見もあります。ここは今、
葉梨議員が、若年者というふうに改めてその
整合性を取っていくという方法もあるというお話を伺いました。正にそういったいろいろな知恵を出して、一つ一つのこの問題について
検討を重ねて、それで分かりやすい
法制にしていく必要があるというふうに思うわけでございます。
次に、
投票用紙への
賛否の
表現の方式についてなんですが、これは
賛成、
反対の
文字をマルの
記号で自書すると。
反対の
文字を例えばバツにするあるいは二重線で消すというようなことでも、これは
賛成の
投票と見て無効票を減らす、こういう
配慮をされたということで、これは大変評価をしているところでございます。
白票といいますか、あるいは何も記載しない票について、これを
反対の
意思表示とみなすべきだという
考え方もあるわけですけれ
ども、民意をそのように解釈するのはどうなのか。むしろ、何も書かない票を、これを
反対票というふうに解釈するのは民意をつくり出すということになる、そういう
考え方が
自民党の中にあるというふうに聞いておるわけでございますが、そういうことで私はよいと思っております。
そこで、
憲法九十六条ではその過半数の
賛成を必要とするということで
憲法改正が実現するということでありますが、その過半数の
意義ですね。
本案では、
賛成の
投票の数とそれから
反対の
投票の数を足して、その二分の一を超える場合には
国民の承認があったものというふうにしているわけであります。そういうことで私はいいと思うんですが、この
憲法九十六条の過半数の意味につきまして、学説でも三説あるわけですね。一つは、有権者総数の過半数の
賛成を必要とすると、こういうふうに解釈する。それから、
投票者総数の過半数の
賛成を必要とする、こういうふうに解釈するんだと、それから、有効
投票の過半数の
賛成を必要とする、こういうように三説あるわけであります。そこで、この
考え方いろいろあります。現に学説だけではなくて、現実にいろいろな方がこういうふうに考えるべきだという、それぞれの思惑も込めていろいろ主張されている実態があると思うんですね。
ただ、有権者総数の過半数の
賛成を必要とすると考えますと、棄権者はすべて
原案に
反対したものとみなされる結果になる、棄権者を一様に
反対者として取り扱うのは妥当ではないと私も思います。つまり、
投票をしない人をどう見るのかということでありますが、
投票をしない、
投票所に行かないということでそれは
憲法改正に
賛成していないんだというふうに見るべきでは必ずしもないと思うんですね。実際に、もうこれは特に
国民的に
異議がない、あるいは大勢はこれは
憲法改正が実現できるだろうと、この
内容についてはですね、グループごとに判断していくわけですから、そのときの
国民投票においてはこれはもう
投票の結果は自分なりに判断して明らかだと、こう思ったときには行かなくてもいいんじゃないかと、こういうふうに考える人もおられると思います。
これは、次に私が論点として指摘をしたい最低
投票率を設けるべきかどうかという
議論と関係をしてくるわけでありますけれ
ども、要するにその
投票をしない人は
反対をしているというふうに単純に考えるという
考え方は私は妥当でないというふうに思います。ですから、有権者総数の過半数の
賛成を必要とするという
意見は、これは取るべきではない。
それから、
投票者総数ということですね、こういうふうに見る
考え方、これは無効
投票はすべて
反対投票ということになるわけでありまして、無効
投票を投じた者を、これも一様に
反対者としてしまうのも、これはどうかということであります。つまり、何も書かない、白票だと、こういう票について必ずしもそれは、
賛成もしない
反対もしないという、あるいは分からないという、あるいはお任せすると、こういうことかもしれないので、
反対というふうにこれを考えるのも適当ではないというふうに思います。
一部には、
憲法九十六条の過半数の
賛成という解釈としまして、改憲案に
賛成する者のみに明確な
意思表示をすることを求めている、それ以外の者には
意思表示を求めていないんだと、こういう
意見もあります。こういう
意見ですと、白票は
賛成していない票というふうになりますから分母に算入すべきだということになるわけでありますが、やはりこれは適当ではないと思います。
また、有効
投票を分母とすると、
投票率が低いと全
国民のうちかなり少ない人によって改憲が決まると、こういう批判をする方もおられます。しかし、私も学説全部もちろん読んだわけじゃありませんが、有効
投票数を分母にすべきだとの説が多いというふうに思います。この有効
投票数を二分の一の分母にされているこの
原案ではそういうことになっております。
ここで、その
考え方をもう一度明確にしていただきたいというふうに思います。