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櫻井充君
政策判断することはそれはよく分かるんですよ。しかし、
政策判断というのは客観的な数字をもって判断しなきゃいけない場面って一杯あるんじゃないですか。例えば僕ら医者になった
時代はコレステロールの正常値って二百四十だったんですよ。ところが、それは統計を取っていって見たときに二百二十まで下げた方がいいという話になった。ところが今、これ以上下げるとどうなるかというと、がんの発生率が増えてきてしまって、動脈硬化を抑えることは抑えるかもしれないけど、逆に様々な問題があるから正常値はこのぐらいじゃないかと。僕らの世界は極めて客観的な数字をもってみんなやっていますよ。しかし、
経済の話になると途端にそういうことがなくなるんですね。僕は、だから相当、竹中
大臣にだまされている
人たちが一杯いると思っているんですが、元ですね。つまり、客観的な数字ないんですよ。しかも、何かの
政策をやった際に、その後どうなったかのフォローも全くされていない。
例えば、宮城県で徳陽シティ銀行が破綻して、その後大変でしたよ、それは。仙台銀行なんかは無理やりその一千億の債権引き受けて、それが傷んで、自己資本比率規制のために地域に貸し出したくても貸し出せなかったとか。だけど、そういうフォローアップをしていないから、だからこの
金融政策が正しかったのかどうかなんということを全然分からずに、また次のことをやり続けているんですよ。
だから、私は、
政策判断する際に、まず客観的な数字をもってして、だからもうここのところは
政策的にやらなくていいでしょうと。大
企業はもうやらなくていいんですよ。大
企業金融はもう僕はこれ国がやる必要がない、これはもうそのとおりだと
思いますよ、だからそこはおやめになったらいいけれども。しかし、地域の場合に本当にそれでいいのかどうかということですよ。
もう
一つ。僕は
中小企業を守ろうというためにこういうことを言っているわけじゃありませんからね。つまり、どんな
企業でも最初は
中小企業から始まって、そしてだんだん大きな
企業になっていきます。私の今お付き合いしているある眼鏡屋さんなんかは脱サラして始めた方ですよ、肉屋で働いていて。今は全国に二百数十店舗を展開されて、この間山口にも新しいお店が出ましたが、ですが、今はもう年商百二十億を超える
企業に育ちました。つまり、やはり
中小企業というのを守っていこうとかいう
観点ではなくて育てていくんだと、そしてこの地域の
経済を支えていくんだと。
例えば、宮城県の方にも僕はよく言われるのは、どこかの
企業を誘致できないですかねと。岩手県は関東自動車を呼んできて、それから少し雇用が増えて良かったとか、そういう話になるけど、僕は発想をやっぱり変えて、地域でちゃんと産業を起こして、そして育てていくということの方が大事なことであって、果たして今のシステムでそういうことができるのかどうか。
民間の
金融機関でそういうことができるのかどうかというと、私は今のところ無理だと思っているんです。その根拠は、今
民間の
金融機関が貸し出して、最大多分三年程度ですよ。五年貸し出してくれているところがあるのかどうか分かりませんが、しかし、例えば設備投資をした際の減価償却は一般的に七年ぐらいでしょう。そうすると、その借金を払っていくために大体どのぐらい利益を上げてとかいう計算をしなきゃいけないけれど、三年ごとにお金を借り換えさせられていたら、この次の金利が幾らになるか分からなかったら、そういう
事業計画すら立てられないんですよ。つまり、長期の運転資金であるとか長期の設備投資資金というリスクの高いものに関して言うと、
民間の
金融機関でこれはできないのは当然だと私は
思います。一方で、じゃできないからあとはどうするんだと、もう金ためるまで待てと言われたら新規の産業なんて起こせないですよ。地元の土建屋さんの中で、今、新連携で通ってソフト
会社をつくっているところがありますが、そうやってみんな今のところで駄目なので一生懸命頑張ろうとしているけれども、残念ながら資金的な供給が追い付いていないところもあるわけですよ。
ですから、そういう
観点から考えて、もう一度申し上げますが、
政策的な判断というのは、
政策的な判断というのは客観的な数字をもってして、ここまでは
民間ができる、残念ながらここは将来は
民間で担ってもらいたいけれど今のところはできないから暫定的にここは
政府としてやるんだとか、そういう判断をもってして統合しなければいけないはずなんですよ。ですから、私は、どういう客観的な数字をもってして、現在はここの
分野に関しては資金需要がうまくいっているんですよと、ここはうまくいかないから
政策的に残しますと、だからどういう判断で、どの数字をもってしたのかということをお
伺いしているわけです。
その点について、いかがですか。