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政府参考人(
矢代隆義君) お答え申し上げます。
このたび、高齢
運転者対策ということで、
一つは認知機能の検査の導入と、
一つは標識の義務化ということで、いずれも七十五歳でお願いしておるわけでございます。
今
委員御
指摘の痴呆症の発生率との
関係で申し上げますと、私どもの力不足といいましょうか、
委員からの御
指摘を受けまして改めて実は確認し直して、そのデータの引き方がやや不十分であったなということを反省しております。今御
指摘のそのとおり、痴呆症について見ますと、年齢が進むにつれてその率は上がっていきますし、しかもかなり急速に上がっていくということでございます。
ただ、私どもこれを
検討する際に使いましたデータが実は十歳刻みで、六十五歳、七十五歳、それから八十五歳というものを使ったんですが、実はそれの原典がありまして、そちらは五歳刻みで実はありまして、したがって、私どもはこれは言わば孫引きのような形で引用したということになって、その結果、十歳刻みで見ていき、また実際のデータでも七十五歳から八十四歳までの認知症の有病率は、本当はもっと高いわけでしょうが、約七%ということで少し低めに出ているということになっております。
ただ、御理解いただきたいと
思いますのは、私ども今回高齢者
対策をお願いするに当たりまして、あくまで交通安全のためでございますので、認知症の治療のためではありませんので、区切りましたのは主として、その重要な要素としては交通
事故がどのように出ておるかということでずっと見ております。
そういたしますと、七十五歳以上あるいは七十歳以上といろいろあるわけですが、この七十五歳から七十九歳、以上の方について、これはその層の
免許保有者当たりの
死亡事故件数、第一当になったものでございますが、見ていきますと、十万人当たりで十六件なのでございます。それで、初心
運転者の方は、これはやはり十万人当たり十一件ですので、その一・五倍でございます。年齢層別に見ていきますと、若者層と言われる十六歳から二十四歳のこの
死亡事故が伝統的に多いわけですけれども、これは十万人当たりですと十四件でございます。それを上回っております。ちなみに、七十歳から七十四歳で見ますと、これは十件ということでございまして、初心
運転者よりも少し低い数字でございます。
そこで、八十歳以上になりますと更にまた数字は増えるわけでございますので、その結果、七十五歳以上の高齢
運転者については、
免許保有者当たりの
死亡事故が結局、七十から七十四歳までに比べますと約二倍、それから七十四歳以下全体につきましては二・七倍となっておりまして、このことを重く見てそこに
一つ設定しておるということでございます。
実は、年齢を何歳で引くかということについてはこの問題に対する懇談会でも幾つかの
意見がございまして、高齢者
講習が七十歳なのだから七十歳でいいではないかと、七十歳から認知機能が低下していく
状況があるんだからという
意見と、それから、若い
段階でもあるのだからもっと早い
段階からの認知機能検査を導入したらどうかという
意見とございまして、もう
一つ、ただ私どもの、これは同じ考えでございましたけれども、認知機能検査といいながらも個々に負担を課すことであるので、その危険度などによって顕著なもののところにターゲットを絞るというのもあるんではないかと、こういう
意見に分かれまして、それで私ども七十五歳ということで御提案を申し上げておるわけでございます。
今御
指摘の痴呆症の発症率のところにつきましては、そこで引いてみますと確かにやはり急激に増えますので、それ以下よりは三倍、かなりの比率だということも負担をお願いする上での
一つの納得できるデータであろうということでそれも実は使っておりますが、それ以上の他意はございませんで、あくまで今私が申し上げましたような経緯で七十五歳ということで御提案したわけでございます。