○又市
征治君 本当は、平和憲法になった下での
恩給制度というのは、むしろそうした旧憲法下につくられた
階級によるこうした差別というものを
是正するように、
生活保障型のフラットな体系でつくられるべきだったということを私たちはずっと主張をしてきました。
政府はよく、
戦争の損害は
国民が平等に受けるべきだと、こう言うわけですが、
恩給は全くそうじゃない、全く逆なんですね。依然として、さっきおっしゃったように、ひどいときは十・二倍、こんなえらい
格差があった。それも、先ほど少し申し上げたような本当に、むしろ
犠牲者、一般の
犠牲者の方が逆に期間が短い、そして戦死する率が高い、こういう
人々が大変な
格差、差別を受けてきた、こういう
状況だったわけですね。そういう点からいって、本当にこの点はむしろ悔やまれる問題というふうに私はとらえるべきじゃないか、こんなふうに思うわけです。
そこで、次に、
大臣にお伺いをいたしますが、さらに、この
戦争で
犠牲になったのは
恩給を受けている
軍人だけではないわけでありますね。
大臣もそういう御経験だということでございますが、一般
国民、植民地だった朝鮮などの
人々など、多数の
人々が
犠牲になったわけです。これは私事ですが、私の父も実は軍用トラックにひかれて障害者になりましたが、もちろんこれは
軍人恩給どころの騒ぎじゃないわけでありまして、
補償も何もない、こういう
状況で、そのショックで私はこの世の中に誕生したわけでありますけれ
ども。そのために、父親が軍用トラックにはねられる前の
生活とその後の
生活というのはもう一変、大変な事態の中で私も大変貧乏な
生活を余儀なくされてまいったわけですけれ
ども。
それはともかくとして、そういう人がたくさんいる。私は、その中で最も無防備だったのが中国残留孤児ではないのかというふうに思います。中国残留孤児については、昨年十二月に神戸地裁で画期的な判決がありました。国が北朝鮮拉致被害者並みに
補償せよ、こういう中身でありました。他方、今年の三月、徳島での徳島地裁の判決は国の責任を軽く見た
内容になっているわけですが、その徳島判決でさえも、
政府が孤児を生み出す原因に関与しており、自立した
生活を送ることができるよう、できる限り配慮すべき政治的責務を負っている、こういうふうに認めています。
要するに、今、残留孤児の
方々がお帰りになった、なったけれ
ども、
年齢は高い、言葉の習熟もできない、仕事にまともに就けない、だから
生活保護だ。その
生活保護を受けているのも、何のことはない、中国の養父母の見舞いに行ったら
生活保護を打ち切られる。この問題について私、前に、あれは決算
委員会だったと思いますが、尾辻さんとやって、尾辻さんの方は運用
改善ということでこれは
改善をされましたけれ
ども、しかし依然としてこの実態というのは、本当に日本に帰ってきてよかったのかどうか、自分のやっぱり祖国だから帰りたい、帰ってきたけれ
ども、この日本の
政府のとっている
措置は何だと、こう言って、たくさんの人が裁判に訴えているわけですね。
そこで、残留孤児は乳幼児でしたから
恩給も何ももちろんあるわけじゃありませんし、しかし
軍人と同じく
戦争政策、植民地政策の結果として外地で育たれたわけでありますが、ところが、保護されるはずの日本軍からも土壇場で置き去りにされた。幼いときから、日本
政府の保護もなく、引揚げ
軍人よりも二十年も四十年も長い間苦しんでみえた。帰国後も、今申し上げたように、
年金の復元についても、これ三分の一ですか、本当にひどい話ですね。そういう
状況になっている。
日本
政府もそろそろ
戦争に対する個人
補償の原則を取り入れて、残留孤児を
国家補償の対象にすべきではないか、私はそんなことを思います。とりわけ、いろんな、さっき出しましたけれ
ども、拉致された
方々は当然大変な苦痛を味わっておられた、この
人々や、あれはたしか十七万円ぐらいだったと思いますが、五年間にわたってずっと支給される、こうなっている。しかし、この残留孤児の
方々は、十七万ぐらい、帰ってきたときに一回きりで終わり、こういう格好になっているわけですね。こういうやっぱり扱いがおかしい。さっきから申し上げているこの
軍人恩給の場合であっても、その
軍人の中が本当に
格差が大きい、こういう問題などあります。
本当にもう少し、そういう
意味ではここらは省庁横断的にもうしっかり考えるべきではないかと、こんなふうに思うんですね。ずっと私はそのことを言い続けてまいりました。残留孤児にとって戦後は終わっていない。
政府は、安倍さんは戦後レジームからの脱却と、こう言うわけですが、その前に、平和憲法にのっとって最低限の私は戦後処理をしなけりゃ、片一方で戦後レジームからの脱却といっても成り立たぬのではないのか、こう思うんです。
そこで、これは責めているという
意味じゃなくて、
大臣に、総務省の所管外とは言わないで、政治家としてこうした今の
状況について、今申し上げたような拉致の、あの中国残留孤児の皆さんの問題などを含めて本当にこのままでいいというふうにお思いなのかどうか、やはりここらのところは
改善をする余地がたくさんあるんではないかと。本当に政治家として私は生の声をお聞かせをいただきたい、このことを御
質問をいたします。