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参考人(金田新君)
先生御案内のように、民間企業から参りまして、やはり違った側面がたくさんございます。民間企業というのは創業の理念というのがございまして、その上に、大変分かりやすいといえば分かりやすい売上高とか利益とかいう求心力を持った客観的な業績評価の基準がございます。その上に、最近では企業の社会的
責任というような形で、その公共的な
在り方についてもいろんな問われ方がされているというのが現況だと思います。一方
NHKでございますが、売上高とかあるいは営利、利益というような考え方は、これはございません。ただ一方で、
公共放送を担うというような理念というのはございまして、それでもって求心力を持って従業員を動かしているというのが現況だと理解しております。
NHKにおける創業の理念に当たるものは何かと。これは私の私見でございますが、
放送法の第七条にございます目的、これが恐らくそれに当たるんだろうというふうに思っております。
協会に参りまして、いろんな会議で、あまねくとかあるいは公共の福祉とか、あるいは豊かで良い
番組とか、こういうキーワードがあちこちで聞くことができました。そういう意味では、そういうものを
NHKの
協会員というのは共有しているというふうに思います。ただ、その分だけでやはり民間よりは求心力を維持する上では難しいといいますか、工夫のいる側面もあるようにも思っております。
そういう観点から、現在、私たちの言葉で
NHKの
公共放送としてのビジョンというものを少し検討してみようということで、
経営委員の
方々と
執行部との間で議論をしてみようというような話を進めている段階でございます。
改善、改良ということにつきましては、当然、
不祥事がございました。そういうことの制度的なものにそういうものを許容してきたという部分もございますので、既に手を着けたものもございますし、システム
開発等これから対応しなければいけないものもございます。そういったものの改善点、一。
それから二つ目は、三十年前というか一九八〇年のときには一万八千四百人の
NHKの
協会員がいて、二波で百七十一時間のテレビ
放送をやっていたと。当然それ以外ラジオもございましたんですが、それが昨今では、連結で一万七千人強で六百五十時間以上の
放送、それに再
放送あるいはマルチ
放送あるいはデータ
放送を含めますと、それよりも何百時間も多い時間を
放送させていただいているということで、従来型のテレビ
放送を維持していく上でも、原価低減をやり人を減らすということでのいろんな
組織改革を行う、腰を落とす場合の、
公共放送を担う上での
役割をどこかで曲げていないかというような観点でのいろんな改善があるかと思います。
三つ目は、やはり国際的な環境変化というのがございまして、それと技術変化で、
放送と通信の融合ということで御議論をいただいておりますけれ
ども、そういうような変革に対する対応というのが要るかと思います。
最後は、やはり企業の新陳代謝というものを維持する上での不断の改善活動というのも要るんだろうというふうに思っております。
以上でございます。