○
参考人(
草野厚君)
パワーポイントを使わせていただきます。お手元に既に
パワーポイントのスライドを印刷したものがあると思いますが、それを適宜御参照いただきながらお聞きいただければと思います。(
資料映写)
ちょっと立たせていただきます。
今、
岡本さんから今までの御
経験に基づく
大変奥行きのあるお話ちょうだいしたところでございます。私はそのような
経験もありませんので、どちらかというと、アカデミックとは言いませんけれども、そもそもの
議論を展開させていただきたいと思います。もう既に
皆さんにとっては
なじみの深い
議論もあるかと存じますけれども、二十分という短い時間でございますが、お聞きいただければと思います。
では、
お願いします。次行きましょう。
国際社会のこの
ODAに関する
動向でございますが、
途上国の
貧困の
改善というのは引き続き非常に暗い
状況だということでございます。一日一ドル以下で生活するこういう
人々が
地球人口六十億人のうち十億人ぐらいいるということは
御存じのとおりでございます。とりわけ
アフリカということでございます。
アフリカでは、先ほど
中国の話出てまいりましたけれども、私も後ほど
中国のことについては若干触れたいと思っております。
そういう
国々、
アフリカあるいは
西アジアを含めて、
途上国からの
援助国への
期待、
DACの
加盟国に対する
期待というのは極めて強いと。もちろん
DACだけではございません、
DACに加盟していない
中国への
期待も強いということでございます。
さて、
DAC加盟の二十数か国のこの
援助国の
予算でございますが、これは冷戦の後、
日本以外
内向きになりまして、どんどんこの
予算というのは削減されてまいりました。ところが、九・一一、二〇〇一年の九・一一
同時多発テロ以降、これは
各国とも
ODA予算を増加いたしました。
他方、
日本は
御存じのように減らしていると。
日本だけが
内向きでございます。
ピーク時の約四〇%、これ三八%減でございます、
一般会計予算で。その点、次の
グラフで
確認をさせていただきたいと思います。
このような形で
一般会計予算減っております。
さて、それじゃ、他の国と比較を
実績ベースで、これは
DACに報告された
各国の
支出純額ベース、これを
グラフにしたものでございます。
お願いします。
これを見ますと、このブルーですね、青が
日本でございます。一九九五年から二〇〇五年まで、
皆さん、これはおやというふうに思われるかもしれません。ここのところは大変重要でございますので御
確認をいただきたいんですが、丸が書いております。二〇〇五年の
実績ベース、二〇〇四年よりも増えているじゃないかと、大変結構だと、減っているというのはうそじゃないかと、こういうお話される方もいらっしゃると思います。実は、二〇〇六年、引き続きこれ増えます。ところが、これは
真水ではございません。
キャンセレーション、イラクに対する
キャンセレーション、それから、ナイジェリアに対する
キャンセレーション、債務の帳消し。これは、民間の
投資等をこれは肩代わりしたものでございます。ですから、
真水ではこの
実績ベースではこれ減っているということを
確認させていただきたいと思います。後ほど、この点は極めて重要ですので、戻ってまいります。
さて、次参ります。
国際社会の
動向。
国際社会、いろんなこの
ODAに関する取決めというものを行っておりますけれども、〇五年の二月以降を整理してみますとこのようなものがございます。とりわけ重要なのは、
国連の前の
事務総長が、
常任理事国入りを目指す国は
GNI比〇・七%達成をという、こういうようなことを言いましたけれども、現在のところ
日本は〇・二%ぐらいであるという、こういうことでございます。
それから、この二〇〇〇年には、
アフリカを
中心としたこの
貧困状況を
改善するために、
援助国は
ミレニアム開発目標、MDGというものを設定いたしました。八
項目でございます。
初等教育であるとかジェンダー、つまり女性が
ODAの
政策過程に参加する比率であるとか、あるいは
環境であるとか、
貧困、飢餓であるとか、八
項目ございました。その
レビュー会合が〇五年の三月に開かれました。どのくらい〇五年の三月の時点でこれ進捗しているかというと、なかなかこれは
期待したとおりにいっておりません。まあ、
進捗状況、よくいって二五%ぐらいでございます。とりわけ、後ほどの
議論と
関係ありますので先取りいたしますと、
環境、
地球環境というものが非常に後れております。
さて、次、参ります。
日本の
国際公約、こういった国際的な取決めに対して
日本は当然のことながら反応をしているわけでございます。先ほど
岡本さん、
日本の
存在がないというふうなことを体験から御説明いただきましたけれども、
実務レベルあるいは
ODAの
世界では
情報発信といいますか、
存在感がないというわけではございませんで、こんなことを言っています。〇五年の四月には、これ
アジア・
アフリカ会議で当時の
小泉さんが、
内閣総理大臣が、今後三年間で
アフリカ向けODAを倍増し、引き続きその
中心を贈与とすると、こういうふうに言っております。
それから、その年の七月には正に
グレンイーグルズの
サミット、来年は
安倍政権が続いているとすれば
安倍さんが
議長国として、
議長として采配を振るわれるわけですけれども、そのおととしの
グレンイーグルズの
サミットでは、今後五年間の
ODA総
事業量について、〇四年度
実績を
ベースとする額と比較して百億ドルの積み増しを目指すと、これ
国際公約になっております。さて、このことも非常に重要な
ポイントでございますので、後ほどまた戻ってまいります。
国内の
動向でございます。これは
皆さんは
国民の
代表ということになるわけですが、
国民の多数は
総論賛成各論反対の
世界でございます。六八・三%が、これ一番最新の
調査でございます、昨年の十月に明らかになったものでございますが、積極的に進めるべきが二三・一%、それに対して現在
程度でよいが四五・二%でございます。
景気回復を反映して、少々この数字増えております。
さて、先ほど来御
指摘がありましたように、
財政健全化を理由に、
ピーク時に比べて三八%、
一般会計予算は減っております。もちろん、
外務当局を始め
日本政府というのはこういった
指摘に対して何もしなかったというわけではございません。〇五年の十二月には当時の
骨太の
方針を受けて
ODAの点検と
改善、これ
三つの柱から成っておりますが、
一つは
戦略性、それから
効率性、そして評価、この
三つの柱でこの
ODAをより良くするという、こういうことを明らかにして、それを実施に移しております。二回目が去年の十二月に発表されております。ただし、
小泉内閣の最後の
骨太の
方針、これ詳しく振り返りたいと思いますけれども、この中身というのは大変厳しいものでございます。
次のページに行きたいと思います。
この
骨太の
方針、昨年の七月でございますが、今後五年間の
ODA事業量について、先ほど申し上げました百億ドルの積み増しを目指すという
国際公約、これは着実に実施すると、このため円借款を積極的に活用すると、こういうふうになっております。また、現地の実施体制の抜本的強化を図ると。同時に、無償・技術協力を
中心に、少なくとも公共事業について行われたような事業コストの削減目標を
援助の内容等に応じ設定し、コスト削減の工程表を策定すると。それから、海外
経済協力会議、内閣に置かれましたこの
会議においてグローバル
戦略を踏まえた新たな基本
方針を早急に策定すると。まだ作られておりません。
次に参ります。
これはダブるところもありますので、省略をいたします。
さて、次でございます。
今後の
ODAを考える際の御
参考になればと思ってこういうようなことを書きました。一体、
日本の置かれた
立場というのはどういうものであろうと。これ、改めて申し上げるまでもございません。大変
財政は厳しいわけですけれども、
世界第二位の経済大国、それにふさわしい振る舞いをということで、ノーブレスオブリージュというこのフランス語をここに書いておきました。高貴な人、
日本が高貴かどうか分かりませんけれども、それにふさわしいやはり振る舞いをしなければいけない。
日本は
資源小国です。九九・九%、
途上国を含めてこの依存をしている。貿易立国でもあるということも考えなければいけない。
実は、先ほどのノーブレスオブリージュと
関係があるんですが、是非
皆さんに見ていただきたいドキュメンタリー映画を御紹介したいと思います。「ダーウィンの悪夢」、これまだ
日本全国でやっておりますので、このドキュメンタリー映画、是非見ていただきたい。実は
日本の豊かさというのは
途上国の協力の上に成り立っているということがよく分かります。
途上国の協力と書きましたけれども、本当は犠牲と書きたかったんですね。というのは、このドキュメンタリー映画というのはタンザニアのビクトリア湖、
世界第二位の大きさを誇るビクトリア湖に生息するナイルパーチというこの魚を
中心とした話なんですけれども、それは元々生態系と
関係のない魚でございました。これが放流されて、そしてその言ってみれば切り身というものがヨーロッパに大量に輸出されているわけですね。そして、実は我々もそれを食べているわけです。
皆さん、マクドナルドいらっしゃると思いますけれども、あのフィレオフィッシュだとか、あるいはスーパーで売っている白身魚の大半はこのナイルパーチでございます。ところが、これを捕っている
途上国の
人々はどんな生活をしているかということがこのドキュメンタリー映画で明らかになるわけです。ウジがわいた骨だけの魚をいわゆるすり身にしたりあるいは干物にしてそれを食べているという現状がございます。そしてまた、そういう魚を買うお金がない子供たちは学校にも行けないという、こういう
状況でございます。
私は、必ずしもこの
ODAというものを余り感情的に考えるべきではないというふうには思っておりますが、そういう
立場からしても、グローバリゼーションの負の
部分にはやはり
援助国というのはきちんと目を向ける必要があるんじゃないかと、こんなふうに思った次第でございます。是非ごらんいただきたいと思います。
それから、先ほどの
中国との比較でいえば、軍事力による協力は困難だということも念頭に置く必要があるだろうと思います。
さて、
ポイントの二に参ります。
もちろん、行
財政改革の視点というのは重要でございまして、透明性、情報公開、
国民参加等、改革は他の、これは強調しておきたいと思いますけれども、
日本の
国内の事業、私は
ODAだけじゃなくて
日本の行
財政改革にも関心があって、国鉄の分割・民営化等々を含めて研究書も書いておりますけれども、そういった
国内の事業に比べまして透明性、情報公開というのは進んでおります。進んでおりますが、しかし、まだやるべきことはある。ただし、これも考えていただきたい。
ODAは、文化、言語、
政府の統治能力等々、これは
日本とはかなり違うということですね。
政策過程における
日本の
国内の
部分については別として、
途上国で行われる
部分については
国内における公共事業と同じ尺度で
議論すべきではないと、こんなふうに思うわけであります。
次、参ります。駆け足で参ります。
実は、
ODAというのは比較優位がございます。これはどういうことかというと、五十年以上の歴史と地域的広がりがございます。量的蓄積もございます。実は、先ほど
中国のお話が大分出ましたけれども、
中国の
ODAというのを私、現場でも、
アフリカでも見ましたし、ラオスでも見ましたけれども、いろんなところで見ました。確かに活発にやっているんですけれども、全部丸抱えです。雇用の創出はしておりません。一説によれば、
中国は囚人を
途上国に送って労働をさせていると。まるでその
途上国に開かれてはいない。そういう点では、
日本の
援助とは明らかに違うということは強調をしておきたいと思います。
それから、もちろん
国連PKO、イラク人道復興
支援の自衛隊、警察の協力、それからNGOの協力、民間の
経済協力、重要です。しかしながら、これはトレードオフの
関係ではないんですね。
ODAあってこその、この後すぐ御紹介をいたしますけれども、
関係ではないと思います。トレードオフの
関係ではないということを強調したい。
それから、実は
日本の
ODA、特に技術協力は現場主義なんですね。これは、実際にバングラデシュでも聞きましたし、いろんなところで聞きましたけれども、かんがいの技術協力なども、
専門家が実際にかんがい施設を造る現場まで行って、これ、
日本の感覚だとごくごく当たり前なんですけれども、ヨーロッパの感覚、アメリカの感覚ですと、現場には
専門家というのは入らないと。そういう点で、
途上国と同じ目線だということで大変に喜ばれていると。これは他の
援助国に比べると非常に比較優位がある点だろうと思います。
さて、次、参ります。
ここから若干イメージで、先ほど申し上げました
日本の国際協力、自衛隊、それからNGO、そして
ODAを比較してみたいと思います。縦軸が軍事、非軍事、それから横軸が民間で行う協力、
政府で行う協力。
次、参ります。
一九九二年の春、これを思い起こせば、湾岸戦争が起きた年でございますが、この年までは
日本は自衛隊の協力というのは行われておりませんでした。ですから
ODAと、こういうことになるわけです。
次、参ります。
これが、国際平和協力法というものができまして、カンボジアに千六百人の自衛隊あるいは警察が出掛けたということがございまして、それ以来現在までということになるわけですけれども、実はこの
国連PKOも
日本は、まあ簡単に言えば余り
実績がないんですね。今回、イラク人道復興
支援ということで特別措置法に基づいて出掛けましたけれども、
国連のPKOという点ではようやく警察が二名東チモールに派遣されることになりましたけれども、それ以外は、これはシリアとイスラエルの間に展開しているゴラン高原だけ、一か所です。
さて、それに対して、また
中国ですが、
中国はけしからぬというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、国際協力を非常に熱心にやっています。始まりは同じです、カンボジアです。ところが、それ以来、現在まで
中国は
国連のPKOに何か所出しているでしょうか。
日本は一か所。それに対してかの国は十一か所出しています。オペレーション全体十六ですけれども、十一か所出している。お隣の韓国は五か所出しているんですね。そんなことも考えますと、やはり
日本というのは国際協力全体に不熱心だなと、こんなふうに思うわけです。
さて、次に参りましょう。
二〇〇四年、これは九・一一以降、イラクが問題になりまして、人道復興
支援ということでイラク特別措置法ができて出掛けてまいりました。ですから、自衛隊の協力というのは、つまりここの第一象限における協力というのが二〇〇四年以降の
日本の国際協力ということになるわけです。同時に
ODAも行われています。
イメージですから、最後にこんなふうな座標を見ていただきたいと思います。
現在でございますが、実は先ほど申し上げましたように、次に行っていただきたいと思います。この
ODAはボリューム的にシュリンクしているという、こういうことですね。こういうことで果たしてよろしいんでしょうかと。繰り返しになりますけれども、この
ODAがしっかりしてこそ、
国連PKOの協力もイラク人道復興
支援の協力もNGOの協力も、これは意味があるんだろうと思います。もう少しその点について申し上げます。
次に参ります。
さて、今後の
ODAを考える際の
ポイント四でございますが、実は余り恥じることはないんだろうと思うんですね。確かに、
日本の
ODAが直接
国連安全保障理事会の
常任理事国入りに寄与するということはなかったかもしれません。しかしながら、それ以外の、実はこれは政治的力学というのは相当働いていたというのが私の理解でございます。
ODAは余り悪者にしてはいけないのかなというふうに思います。
実は、人道復興
支援、イラクの人道復興
支援、自衛隊の方にもつい最近お聞きしましたけれども、過去において、イラクに対して八二年から八四年にかけて、イラク中央病院、これ機材供与を十三の病院に対して行っております。このことが非常にサマワでの協力にプラスになったと、感謝をされているということでございました。それから、ゴラン高原のPKOに参加した自衛隊員に直接私聞きましたけれども、シリアにおける
ODA、やっぱり
日本というのはよくやってくれているねということを聞いたと言って自衛隊員が感謝しております。それから、案外忘れられておりますけれども、現在、
国連安全保障理事会の非常任理事国でございます。これは実はモンゴルに譲っていただいたんですね。そして、その前の二年間というのはパプアニューギニアに譲っていただいておりまして、これは正に
ODAの力でございます。それから、これは幾つもあるんですけれども、感謝という意味で
一つだけ例挙げておきますと、ラオスの紙幣には
日本の
ODAの橋といったものが描かれております。
さて、もう時間がなくなりましたので最後のまとめに入りたいと思いますが、
ODAは
日本の外交のインフラだと思います、インフラ。どういうことか。
ODAは
日本の
発言権確保、
影響力維持という点で
日本外交の基盤を整備してきた、今後もその役割を担わなければならないと。そのためには量的削減に歯止めを掛けることが何よりであると。
実は、
国際社会でこれ以上削減すると
日本不信、もう先ほどの
岡本さんのプレゼンでお分かりのように、
日本不信を招くというふうに思います。長期にわたり
途上国に対して他国に勝る
ODAを供与してきた
日本が他の
援助国とは異なり右肩下がりに
予算を削減させていることは
国際社会に誤ったメッセージを送ると。短期的には、来年
日本で開かれる
サミットの
議長国として、
途上国問題、地球
規模問題が議題に上がったときに、このような
状況では
首相がリーダーシップを発揮し、他の首脳を説得することができるであろうか、こういうことでございます。
次に参ります。
実は、この
ODA全体の効果というのは直接的には見えにくいんですね。先ほど申し上げましたように、現実の外交というのは
ODA以外の要素も
関係しているわけですね。ただ、
DACの、先ほど申し上げました
ミレニアム開発目標の作成過程で数値目標を設定するということを
国際社会において受け入れさせたのは
日本の成果なんですね。そういうような地道な努力というのは行われているし、成果もあるということは忘れてはならない。
もう
一つ、同様に申し上げたいのは、川に橋を架けて、
人々の通行が容易になって、物流の効率が実現するというような意味において、つまり個別の案件と同じように
日本の
ODA全体の効果というのはなかなかすぐには見えにくい。ですからこそ、私は
ODAは外交の手段というよりは外交の基盤であるというふうに思うわけです。
次。さて、具体的に整理しますと、量的削減に対する歯止め、債務削減等ではなく
真水による量的確保。ここで先ほどの
グラフを思い出していただきたいんですが、いや、二〇〇五年増えているじゃないか、二〇〇六年も増えると、こういうふうな話でございましたけれども、実は債務帳消しというのはもう底がついちゃうんですね、二〇〇五年、二〇〇六年で。で、百億ドル積み増しというふうに言いましたけれども、昨年、二〇〇五年は四十億ドル。そして、多分二〇〇六年もそれに近いぐらいの積み増しができるだろうと言われています。そうすると、百マイナス仮に去年も四十だとして八十、残る三年間で二十達成すればいいだろうと、こういうふうに思われるかもしれませんけれども、実は七、八、九の三年間ではマイナスになる可能性が十分あるという、こういうことでございます、これは。ですから、黄色信号、赤信号がともっております。
言語、文化を始め
途上国に精通した人材の育成というものを強調したい。換言すれば、後方
支援部門の強化というものを申し上げたい。
それから同時に、
国内の改革努力というものは、これは引き続き進めなければいけないと。
以上は一般的に考えられる事柄です。
最後にこんなようなことを申し上げたいというふうに思います。
次、これカットしましょう。次に行きます。
具体的にこの提言をこんなふうにまとめてみました。
実は、
DACの
援助受取国というのは所得別にこんなふうに四つになっております。後発の開発
途上国、この中にはアフガンだとかカンボジア等五十か国ございます。低所得国というのはベトナムだとか、実は北朝鮮もですが、十八か国ございます。それから、低中所得国というのが、
インドネシアだとかパレスチナ含まれております。高中所得国というのがトルコだとかマレーシア等で、この四つに分類されているわけですが、これを念頭に、これからの
日本の
援助、こんなふうにしたらどうかというふうに僣越ながら思っております。
DACリストのこの一番貧しい五十か国と次の十八か国に対しては、保健医療、
初等教育、
地球環境の三分野は一定比率を基礎的
支援、何やら年金みたいなんですけれども、一階
部分として基礎的
支援として行う。それから、GNI八百二十ドル以上の低中所得国四十八か国に対しては、
地球環境分野の
ODAを一定比率基礎的
支援として行う。もちろん、以上
三つのグループに分けられる
国々のうち、自助努力の結果、経済の成長が更に
期待できる
国々に対しては、三分野以外の農業であるとかITであるとか各分野において
支援を行い、三分野についても積み増しもあり得ると。
次に行きます。
これらの
三つのグループに加え、もっと所得が高いところがあります。そういうところに対しても
戦略的に重要である場合には
支援をすると。しかし、その場合も重点分野は
地球環境とするという、こういうことでございます。
支援の方法は、すべての所得国に対して円借款を積極的に活用すると。もっとも、これら
支援に際しては、
ODA四原則、開発と
環境の両立であるとか、軍事的な
予算を増やしているところには行わないとか、四原則に照らし、精査し、見合わせることはあり得ると。
こんなふうな、何でこんなふうな最後に言ってみれば青写真、青臭いわけですけれども私論を展開したかというと、
日本の
ODAというのは結構、国別
援助計画を含めて、いいことをたくさんやっている。しかし、これは納税者に対してきちんと説明できるようなスキームになってないんですね。やっぱり納税者に対してこれだけ
援助の
支援を、応援を求めるんであれば、やはりこんなふうな原則をきちんと
日本国は持っているということを説明できるようにしなければいけない。その意味では、現在行われている
援助の中身を別の角度から整理したという言い方になるかもしれませんけれども、こんなふうなスキームを大いに活用していただければいいのかなというふうに思って、私案として提示をいたしました。
少々長くなりましたけれども、これで終わらせていただきます。