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2007-06-13 第166回国会 参議院 財政金融委員会 第16号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十九年六月十三日(水曜日) 午後一時三十分開会 ─────────────
委員
の
異動
六月十二日
辞任
補欠選任
岸
信夫
君
関谷
勝嗣君
尾立
源幸
君
小川
勝也
君
大久保
勉君 森
ゆうこ
君
山口那津男
君 澤
雄二
君 六月十三日
辞任
補欠選任
関谷
勝嗣君
岸
信夫
君
山下
英利
君
末松
信介
君
小川
勝也
君
尾立
源幸
君 直嶋
正行
君
松下
新平
君 森
ゆうこ
君
大久保
勉君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
家西
悟君 理 事 沓掛 哲男君 中川 雅治君
野上浩太郎
君
大久保
勉君
峰崎
直樹君 委 員 泉 信也君 岸
信夫
君 椎名 一保君
末松
信介
君 田中 直紀君 舛添 要一君
尾立
源幸
君 広田 一君
松下
新平
君 円 より子君 澤
雄二
君 西田 実仁君
大門実紀史
君
国務大臣
国務大臣
(
内閣
府
特命担
当
大臣
(
金融
) )
山本
有二
君 副
大臣
内閣
府副
大臣
大村 秀章君
事務局側
常任委員会専門
員 藤澤 進君
参考人
日本公認会計士
協会会長
藤沼
亜起
君
明治大学大学院
会計専門職研究
科長
・
教授
山浦
久司
君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○
理事補欠選任
の件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
公認会計士法等
の一部を改正する
法律案
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) ─────────────
家西悟
1
○
委員長
(
家西悟
君) ただいまから
財政金融委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 本日までに、
山下英利
君、直
嶋正行
君及び
山口那津男
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
末松信介
君、
松下新平
君及び
澤雄二
君が
選任
されました。 ─────────────
家西悟
2
○
委員長
(
家西悟
君)
理事
の
補欠選任
についてお諮りいたします。
委員
の
異動
に伴い現在
理事
が一名欠員となっておりますので、その
補欠選任
を行いたいと存じます。
理事
の
選任
につきましては、先例により、
委員長
の指名に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
家西悟
3
○
委員長
(
家西悟
君) 御
異議
ないものと認めます。 それでは、
理事
に
大久保勉
君を指名いたします。 ─────────────
家西悟
4
○
委員長
(
家西悟
君)
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
公認会計士法等
の一部を改正する
法律案
の
審査
のため、本日の
委員会
に
参考人
として
日本公認会計士協会会長藤沼亜起
君及び
明治大学大学院会計専門職研究科長
・
教授山浦久司
君の
出席
を求め、その
意見
を聴取することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
家西悟
5
○
委員長
(
家西悟
君) 御
異議
ないものと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
家西悟
6
○
委員長
(
家西悟
君)
公認会計士法等
の一部を改正する
法律案
を
議題
といたします。
政府
から
趣旨説明
を聴取いたします。
山本内閣
府
特命担当大臣
。
山本有二
7
○
国務大臣
(
山本有二
君) ただいま
議題
となりました
公認会計士法等
の一部を改正する
法律案
につきまして、
提案
の
理由
及びその
内容
を御説明申し上げます。 本
法案
は、
企業活動
の
多様化
、
複雑化
、
国際化
、
監査業務
の
複雑化
、
高度化
、
公認会計士監査
をめぐる不適正な事例を踏まえ、
組織的監査
の
重要性
が高まっている
状況
に対応するため、
監査法人制度等
について
見直し
を行うものであります。 以下、この
法律案
の
内容
につきまして御説明申し上げます。 第一に、
監査法人
の
品質管理
、
ガバナンス
、ディスクロージャーを
強化
するため、
業務
の執行の
適正確保
や
業務
の
品質管理
の方針の策定及びその実施のための
業務管理体制
を
監査法人
が
整備
することを義務付けるとともに、
監査法人
の
社員資格
を
公認会計士
以外の者に拡大し、また
監査法人
による
情報開示
を義務付けることとしております。 第二に、
監査人
の
独立性
を
確保
し、その地位を
強化
するため、
監査人
の
独立性
に関する
制度
を
充実
するとともに、
監査人
が
財務書類
に重要な影響を及ぼす不正、
違法行為
を発見した場合における
当局
への申出
制度
を
導入
することとしております。 第三に、
監査法人等
に対する監督や
監査法人等
の
責任
の
在り方
の
見直し
として、
課徴金納付命令
や
監査法人
に対する
業務管理体制
の
改善命令
など
行政処分
を
多様化
させるとともに、
有限責任組織形態
の
監査法人制度
を創設することとしております。また、
外国監査法人等
に係る
届出制度
を
整備
することとしております。 以上がこの
法律案
の
提出理由
及びその
内容
であります。 何とぞ、御
審議
の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
家西悟
8
○
委員長
(
家西悟
君) 以上で
趣旨説明
の聴取は終わりました。
速記
を止めてください。 〔
速記中止
〕
家西悟
9
○
委員長
(
家西悟
君)
速記
を起こしてください。 これより
質疑
に入ります。 本日は、
公認会計士法等
の一部を改正する
法律案
の
審査
のため、
参考人
として
日本公認会計士協会会長藤沼亜起
君及び
明治大学大学院会計専門職研究科長
・
教授山浦久司
君の御
出席
をいただいております。 この際、
参考人
の方々にごあいさつ申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本
委員会
に御
出席
いただきまして、誠にありがとうございます。 両
参考人
から忌憚のない御
意見
を賜りまして、今後の
審査
の
参考
にしたいと存じておりますので、よろしくお願い申し上げます。 本日の議事の進め方でございますが、まず
藤沼参考人
、
山浦参考人
の順でお一人二十分以内でそれぞれ御
意見
をお述べいただき、その後、各
委員
からの
質疑
にお答えいただきたいと存じます。 また、御
発言
の際は、その都度
委員長
の許可を得ることになっておりますので、御承知おきお願い申し上げます。 なお、
参考人
及び
質疑者とも
に御
発言
は着席のままで結構でございます。 それでは、まず
藤沼参考人
からお願い申し上げます。
藤沼参考人
。
藤沼亜起
10
○
参考人
(
藤沼亜起
君)
藤沼
でございます。 今回、
国会審議
の場におきまして
公認会計士法改正法案
に対し
意見
を陳述する
機会
を与えていただいたことを感謝申し上げます。 まず、
上場会社
の
監査
の職責を担っていた
公認会計士
に
有罪判決
が下されるという
一連
の
会計不祥事
が相次いで発生し、
公認会計士監査
の
信頼性
が大きく問われる事態を招いたことに対しまして、遺憾の意を述べさせていただきます。
政府
は、
バブル経済崩壊
後、
我が国経済
の再生を目指して、貯蓄から
投資
へとの
金融政策
の下に諸
施策
を展開されてこられました。
経済
は明るさを取り戻し、
個人金融資産
が
資本市場
へと流れを変える兆しが見えてきた
状況下
でこのような
事件
が発覚したことは誠に残念であります。私どもは、
社会
の厳しい
批判
を厳粛に受け止め、まず、我々
会計監査
の
プロフェッション
が自らの
努力
により自己の
監査業務
の
充実向上
を図り、
公認会計士監査
の
信頼性確保
に精力的に取り組む
決意
であります。
改正法案
につきまして
意見
を陳述する前に、昨今の
一連
の
会計不祥事
を踏まえて、
協会
が取り組んでおります
自主規制施策
について御説明させていただきます。 まず第一に、
協会
は、
監査事務所
の
品質管理体制
の
向上
を図るために、
監査事務所
の
業務運営体制
を
監視
、監督する
品質管理レビュー
を
充実
強化
してまいりました。具体的には、
品質管理レビューアー
を十名
体制
から二十名
体制
に増強するとともに、昨年四月から適用されております
監査
に関する
品質管理基準
に基づき、
レビュー基準
や
レビューツール等
を
整備
いたしました。
協会
は、各
監査事務所
の
品質管理体制
が
整備
され、それが有効に機能しているかどうか、
監査人
の
独立性
の
チェック
を含め、厳しい
品質管理レビュー
を実施しております。 第二に、
監査人
の
独立性
の
確保
の
観点
から、
国際水準並み
の
倫理規則
を
整備
いたしました。具体的には、
監査事務所
に所属する
公認会計士
を
対象
とする
規則
と
企業等
に所属する
公認会計士
を
対象
とする
規則
、さらに、両者を共通する
規則
を網羅した包括的な
倫理規則
を策定しております。特に、
監査人
の
ローテーション
を
強化
し、
上場会社
百社以上を
監査
する大
規模監査法人
の
監査責任者
には
米国並み
に五年、五年の
ローテーション
を実施しております。 第三に、
協会
は、
会員
に年間四十
単位
の
専門研修
の
受講
を義務付けておりますが、
監査
を担当する
会員
に対して、
当該継続的専門研修
の中に、
職業倫理
四
単位
と
監査
の
品質管理
四
単位
の
科目受講
を強制いたしております。 さらに、
公認会計士監査
の
信頼性
の
回復
には
上場会社
を
監査
する
事務所
の
品質管理体制
を
充実
強化
することが最
重要課題
であるとの認識の下に、本年四月から
上場会社監査事務所登録制度
を
導入
しております。
当該制度
は、
上場会社
を
監査
する
事務所
に対しまして、
協会
に設けた
上場会社監査事務所部会
に
登録
を義務付け、
協会
の
品質管理レビュー
を
強化
し、
上場会社監査事務所
の
品質管理体制
の
充実
を図り、もって
上場会社
の
財務報告
の
信頼性
を
確保
する
制度
であります。
当該登録制度
の特徴は、
制裁的措置
の採用であります。具体的には、
品質管理レビュー
の結果、
監査
の
品質管理体制
に重大な欠陥が発見された場合には、
当該指摘事項
を
上場会社登録事務所名簿
において
一般
に開示するとともに、
当該指摘事項
に対して適切な
改善措置
を講じない
監査事務所
については、
上場会社
を
監査
するにふさわしい
品質管理体制
を
整備
、
運用
していないとして
登録
を取り消し、未
登録事務所名簿
に記載し、
社会
に開示するという
措置
を採用しております。その
意味
では、
登録制度
は
上場会社
を
監査
している
会員
にとって
相当
に厳しい
自主規制策
であります。
協会
は、このように、
自主規制策
により
公認会計士監査
の
信頼性
の
向上
を図るため最大限の
努力
をしてきておりますので、
協会
の取組に御
理解
と御
支援
をお願いいたします。 今回の
公認会計士法改正案
につきまして、
意見陳述
させていただきます。
改正案
には、
協会
が長年にわたり要望してまいりました
事項
も盛り込まれておりますが、全体としては厳しいものであると受け止めております。しかし、
協会
としては、
改正案
を厳守し、かつ
自主規制
の
強化策
を推進し、
公認会計士監査
の
信頼性向上
に一層
努力
していく
決意
でございます。
最初
に、
金融審議会
において今後の
検討課題
とされました
インセンティブ
の
ねじれ
の問題につきまして、早急な御
検討
をお願いしたいと存じます。
現行会社法
の下では、
財務諸表
の
作成責任者
である
経営者
が
会計監査人
の
選任議案提案権
や
監査報酬
の
決定権
を有しております。これは、
経営者
から
監査人
の
独立性確保
という
観点
から重要な問題であると考えております。
米国
では、
社外取締役
で構成される
監査委員会
にこうした
権限
が付与され、
監査人
の
独立性
が
確保
されております。
米国
の
サーベインズ・オックスレー法
においては、
公認会計士
に対し
相当
厳しい
規制強化
が図られましたが、同時に
上場会社
の
ガバナンス強化
の
措置
も講じられております。
会社法
の分野でありますが、是非とも
監査役会
に
会計監査人
の
選任議案提出権
及び
監査報酬
の
決定権
を付与することを
検討
していただきたいと存じます。その際には、
監査役会
の
独立性
及び
専門性
の
強化
が一体となった
措置
が必要であると考えております。これらを
一連
の
課題
として御
検討
をお願いしたいと思います。 次に、今回の
改正案
について、
協会
の
二つ
の
重要要望事項
が受け入れられたことに対しまして、感謝申し上げます。 その一つが、
監査法人
の
有限責任制
の
導入
であります。
会計不祥事
が判明し、
監査人
に
責任
がある場合に、
関与監査人
が
無限責任
を負うことは当然といたしましても、
監査法人
に勤務する他の
社員
が連帯して
無限責任
を負う
制度
は
監査法人
の
一般社員
に過重な負担を強いるものであり、
公認会計士
が
監査業務
を敬遠する大きな要因となっております。
有限責任制
は
欧米諸国
では既に
導入
されている
制度
であり、
協会
は従来から
有限責任制導入
を強くお願いしてまいりました。
平成
十五年の
改正公認会計士法
におきましても、
民事法制等
においていわゆる
リミテッドパートナーシップ制度
の
一般
的な
導入等
が図られることになった場合には、所要の
措置
を講ずることを
検討
する旨の
附帯決議
が行われております。
有限責任制
の
導入
は、
我が国
の
監査基盤
の
強化
に大きく貢献するものと考えております。
二つ目
は、今回の
改正案
に
刑事罰
が織り込まれなかったことであります。
金融審議会
におきまして
刑事罰
の
導入
が
検討
されましたが、
協会
は、刑事告発されただけで
監査法人
が実質的に崩壊するとして、その
導入
に強く反対してまいりました。
エンロン事件
におけるアーサー・
アンダーセン
、
みすず監査法人
の
自主解散
を見ましても、
協会
の懸念は
現実
化しております。
欧米諸国
では、
監査事務所
は
一般民事法
に基づき設立されている
関係
から、
監査事務所
にも
刑事罰
が適用される
法制
になっている国もありますが、
監査事務所
が
事務所
の信用に対して強い
脆弱性
を持つという
特殊性
を考慮し、具体的に適用された実例はないと言われております。
改正案
ではこうした諸事情を考慮したものと受け止めております。
協会
は、
改正法案
を受け入れ、
監査
の
品質回復
の
向上
に
全力
を挙げて取り組んでいく
所存
でございますが、
改正法案
の
運用
につきまして次の点に御配慮を要望したいと思います。 第一に、
行政罰
の
運用
であります。
改正法案
では、
刑事罰
の
導入
に代わって
行政罰
の
多様化
が図られ、従来の
行政罰
、戒告、
業務停止
、
登録抹消
又は
解散命令
に加え、
課徴金
と
業務管理体制
の
改善命令
が新たに追加されました。
協会
は、
刑事罰
の
導入
に代えて、
課徴金等
の
導入
により
行政罰
の
多様化
が図られたことはやむを得ないものと考えております。しかし、
監査人
が萎縮し、
行政
の顔色をうかがいながら
監査業務
を遂行するという
監査環境
にならないよう、次の点を強く要請いたします。 まず、
課徴金
は単独でもまた他の
行政罰
と重複してでも科すことができる柔軟な
規定
となっております。したがいまして、
課徴金
を含む
行政罰
につきましては、
量刑基準等
を
整備
し、その
運用
の
透明性
と
公正性
を
確保
していただきたいと存じます。 次に、今回新たに
導入
されました
業務改善命令
の一環として、重大な
責任
を有すると認められる
社員
について、
一定期間
その
職務
に従事することを全部又は一部禁止することができるとされております。
当該業務禁止命令
の
運用
につきましても、
対象
となる重要な
社員
の
範囲
及び禁止される
職務
の
範囲等
につきまして、明確な
基準
を適切かつ公正な
運用
をお願いいたします。 第二に、
改正案
では、
監査法人等
に対する
報告徴収
、
立入検査権限
の
公認会計士
・
監査審査会
への委任が
規定
されております。
現行制度
では、
協会
が
品質管理レビュー
を実施し、その
報告
を受けた後に、必要と認めた場合には
審査会
は
監査事務所
の
立入検査
を実施できるというシステムになっております。 現在、
監査事務所
は、
監査事務所
内の
品質管理レビュー
、
業務
提携している
海外大手事務所
の
品質管理レビュー
、
協会
の
品質管理レビュー
、
公認会計士
・
監査審査会
の
報告徴収
、
立入検査
、また
米国
の
公開会社監査監視審議会
、PCAOBへ
登録
している
我が国
の
監査事務所
については
米国審議会
の
品質管理レビュー
の
対象
となると、幾重もの
品質管理レビュー
を受けており、過重な
検査チェック体制下
にあります。
審査会
の
検査権限
が現状以上に拡大
強化
されますと、各
事務所
は
品質管理レビュー漬け
となってしまうことを危惧しております。 その
意味
において、政令により
公認会計士
・
監査審査会
の
権限
が拡大され、
協会
の
報告
を待たずに任意に
監査事務所
に
立入検査
が行われることのないよう、強く要請したいと存じます。
協会
は、現在
品質管理レビュー体制
を増強し、
上場会社監査事務所登録制度
を
導入
する等、
自主規制
により
公認監査
の
信頼性確保
に精力的に取り組んでおります。
財務情報
の
信頼性
の
確保
は、第一義的には
会計監査
の
プロフェッション
である
協会
の
自主規制
が中心になって遂行され、
行政
は
自主規制
の不足する面を補充するという
間接規制
が本来の
在り方
であると考えております。
行政当局
におかれましては、
公認会計士業界
の
自主規制
を
充実
強化
する方向で
公認会計士法
の
改正案
が適用されることをお願いいたします。
バブル経済崩壊
後、
企業
の
ビジネスリスク
が拡大し、これに対応して
監査リスク
が高まってまいりましたが、こうした
監査
をめぐる著しい
環境変化
に
公認会計士監査
が必ずしも適応できなかったことを反省しております。しかし、
財務情報
の
信頼性確保
は、
公認会計士
の
努力
のみで達成できるものではありませんので、
協会
はすべての
関係者
に対しまして
総合的措置
を講じていただきたいとお願いしてまいりました。 昨年六月に成立いたしました
金融商品取引法
により、
内部統制報告書
や
経営者確認書
が
導入
され、
財務諸表
の
作成者
である
経営者
の
責任体制
の
強化
が図られることになりました。また、ここ数年、
複雑化
してきた
企業活動
に対応し、
会計基準
や
監査基準
も
整備
されつつあります。
協会
も
倫理規則
の
整備
や
品質管理レビュー体制
の
強化充実等
の
自主規制施策
に取り組んでおります。 その
意味
で、
財務報告
の
信頼性
を
確保
する総合的な
基盤
が
整備
されつつあり、
関係者
の御
努力
と御
理解
に深く感謝しているところであります。
協会
は、こうした
基盤整備
の上に立って、
自主規制機能
を発揮し、
資本市場
の
信頼性確保
に
全力
を投入する
所存
であります。 私の三年の
会長任期
は本年七月まで残すところあとわずかになりました。この三年間、いろいろな
事件
が発覚し、
社会
の
批判
や期待にこたえるため
自主規制策
の
強化
に
全力
を挙げて取り組んでまいりました。 私は、長年の
監査業務
の
経験
や
国際会計士連盟等
の
経験
を踏まえ、
会計士監査
の
信頼性確保
には、
会計プロフェッション
である
公認会計士
の
自主規制
にまず
基盤
を置かなければならないと確信しております。 今、
公認会計士業界
は、
公認会計士
の
社会的使命
を自覚し、
自主規制
を
強化
し、
公認会計士監査
の
信頼性回復
に最善の
努力
をしております。今後とも、引き続き
公認会計士業界
に対する
支援
、御鞭撻をお願いいたしまして、私の
意見陳述
とさせていただきます。 ありがとうございました。
家西悟
11
○
委員長
(
家西悟
君) ありがとうございました。 次に、
山浦参考人
にお願いいたします。
山浦参考人
。
山浦久司
12
○
参考人
(
山浦久司
君) 御紹介いただきました
明治大学
の
山浦
でございます。 本日、
公認会計士法改正案
につきまして、当
委員会
で私の
意見
を述べてよいという
機会
をいただきまして誠にありがとうございました。 さて、私の
意見
の骨子につきましては、お手元のレジュメに述べております。また、本日申し上げたい
改正案
についてのポイントにつきましても、箇条書でありますけれども、書かせていただきました。順にそれらに従いまして、これより私の
意見
を述べていきたいと思っております。 かがみ文にも書かせていただきましたけれども、
公認会計士
は、正に
資本市場
の番人として毅然たる姿勢で
企業
の
財務諸表
の
適正性
を
判断
することが求められております。その
意味
で、今般の
公認会計士法
の
改正案
は、
公認会計士
の
身分的規律
の枠組みを強めるとともに、
監査業務
にかかわる際の
責任
の
在り方
を国民の
立場
に立って一層明確にしたものと
理解
しております。 以下、
金融審議会
、
公認会計士制度部会
の議論に加わった者としての
立場
から、今回の
法案
について、幾つかの重要な点について
意見
を述べさせていただきたいと存じます。 まず、第一条の二において、
公認会計士
が独立した
立場
において公正かつ誠実に
業務
を行うことを求められるとしている点につきまして、特に
監査業務
という視点からは大
原則
を
規定
したものと
理解
しています。また、
監査業務
がとかく密室の
行為
となり、それだけに、いったん
監査人
の
判断
に誤りがあったのではないかという疑惑が生じますと、
監査
に対する
信頼
が一挙に崩れる結果となります。その結果が、
株式市場
の株価の下落とか
日本国
の
市場
に対する
海外
の
投資家
からの敬遠とか、いろんな問題となって現れてきますし、また世界的には、
エンロン事件
の後に発生したような世界的な
同時株安
と、こういった問題も出てくるわけでございます。 したがって、
独立性
は
監査人自身
の公正な
判断
を担保するというだけでありませんで、
外部利害関係者
の
監査
に対する
信頼
のよりどころとなる、言わば
環境整備規制
といいましょうか、
公認会計士
が
監査人
として仕事をする上での大
原則
を
規定
したものと
理解
しております。 また、
関連
しまして、
監査人
が
監査終了
後に
監査先企業
に就職したりすることは、
外部者
の目からは
公正性
を損なった
判断
があったのではないかと見られますし、また実質的にそのような
関係
が予定されたりしますと、公正な
判断
にゆがみが生じる
可能性
もあります。さらに、
監査人間
の、例えば先輩、後輩の
関係等
で圧力が掛けられるおそれもあります。 そういった
意味
で、就職の
制限規定
をこの
法案
は設けておりますけれども、その
法案
の
規制先
が
連結子会社等
にまで広げられたということについては当然と考えている次第でございます。 恐らく、この
独立性
にもう一つかかわってくるのは、今、
藤沼参考人
からも
最初
に
指摘
があったんですけれども、いわゆる
インセンティブ
の
ねじれ
という問題かと存じます。これは、
公認会計士法
の
改正マター
というよりは、むしろ
会社法
とかその他の法との
関連
で
検討
されるべき問題だと思いますけれども、やはりこういった問題についても総合的に
検討
されるのがしかるべきかと存じ上げます。 続きまして、
監査法人
の
組織関連
の
規制
について
意見
を申し上げます。 今般、
有限責任制
の
監査法人
を認めようとしているのでありますけれども、
現実
の
監査法人
の大
規模化
、これは
社員相互
の
業務監視
を不可能にしております。その結果、
無限責任制
それ自体がかなり非
現実
的なものとなっております。 ただ、
一般
の
立場
からいいますと、
有限責任制
が
投資家
への例えば
賠償責任等
の
免罪符
となってはならないわけでありまして、
一定
の
設立条件
、例えば
最低資本金
とか
供託金
、
損害保険
の
加入制度
とか、あるいは
指定有限責任社員制
、こういったものを併せて
規定
してこの
有限責任制
の弱点をサポートしようとしている、この仕組みについては我々評価をしております。 また、いったん
有限責任制
の
監査法人
を設立しても、
ガバナンス
の確立など
一般
の株式会社と同様の
組織運営
の
在り方
が求められるわけでありまして、これらは更に内
閣府令等
で細則を詰めていく必要があるのではないかと思っております。 また、
公認会計士
の非
資格者
を
特定社員
として
監査法人
に参加させることにつきましては、特に最近の
監査業務
における高度の
専門的知識
や
技術
を求められる
現実
をかんがみれば、自然の成り行きではないかと考えております。特に、
法律関係
あるいは
高度情報処理技術
、ITですね、それとかファイナンス
関係
とか、あるいは国際税務等々、多様な人材、多様な知識あるいは
技術
を集結させて、それらを総合して
監査業務
を実施しなければならないという
現実
を考えますと、このような人材を集め、また
監査法人
の運営に参加させるメリットは大きいと考えております。 もちろん、
監査業務
が
公認会計士
のコアの
業務
であるということを考えますと、こういった
特定社員
の資本参加についての制限であるとか、あるいは
業務
に関する制限であるとか、あるいは
登録
審査
等の
一定
の歯止め、こういったものは必要でしょう。もちろん、これらは更に内
閣府令等
で詰めていく必要がある点だと思っております。 続きまして、
業務管理体制
でありますけれども、
監査法人
がより現代的な組織に生まれ変わるためには、一流
企業
並みのコーポレート
ガバナンス
の
体制
、リスクマネジメントを含めた内部統制の構築と運営、その上でのしっかりした
品質管理
システムの確立が求められるわけでありまして、その
意味
で、
業務管理体制
の
充実
をより強く求めることにしたのは歓迎されるところであります。特に
有限責任制
の
導入
との
関連
で申し上げましても、こうした内部管理
体制
の
充実
に関する改正
提案
は、
監査法人
の
社会
的
責任
の一環としても特筆されるところであります。 その他としまして、一つだけ私見を申し上げますと、実は、
公認会計士法
というのはこれまでかなり継ぎ足し継ぎ足しで
規定
の
充実
を図ってきております。
監査法人
関係
の
規定
が第三十四条
関係
でまとめられているのでありますけれども、条文の構成が、例えは悪いのかも分かりませんけれども、古い旅館の増改築みたいな姿になっておりまして、是非とも次の改正では通し条文にして整理を図っていただきたいなと、こう思っている次第でございます。 続きまして、
ローテーション
の問題であります。
上場会社
については、今、
藤沼参考人
から御紹介ありましたけれども、五年の執務期間、そして五年のインターバルという形に
改正案
は持っていこうとしているわけで、これが長いか短いかという点につきましては、私自身は実務家ではありませんので定かではありません。ただ、基本的には、定期的にフレッシュな視点で
監査
体制
を組み直すこと、これは
監査
の
品質管理
のために必要と考えております。 ただ、一点、このような
ローテーション
が
現実
的ではない小規模な
監査事務所
については実は悩ましい問題が残るのでありまして、事実上この
ローテーション
というのは、大規模な
監査法人
、大規模とまで言わなくてもある程度の規模の整った
監査法人
でしか動かないということにつきましては、例えば中小の
監査事務所
について、会計士
協会
が
品質管理レビュー
やあるいは
業務
に関する
審査
のあっせんといったものでサポートするとともに、例えば
ローテーション
が組めるような
一定
の規模にまで誘導するといったことも一つの方策かと思います。 いずれにしても、この
ローテーション
や
品質管理体制
など、大手法人の管理
強化
と比べて小規模な
監査事務所
が見劣りすることも事実でありまして、この点、今後の
制度
改革の
課題
となるのではないかと私自身は思っております。 続きまして、説明書類の縦覧と外部
監査
の問題であります。
監査法人
に与えられた
監査業務
の独占的
権限
の付与の見返りとして
社会
に対して説明
責任
を果たすということは、
監査法人
の
責任
の一つと
理解
しております。また、今般、
有限責任制
が
導入
されますと、
一般
の株式会社と同じく法人
内容
の開示と、
一定
規模以上の法人については計算書類の外部
監査
が求められるのも、これも当然ではないかと思っております。
現実
問題として、大手の
監査法人
の組織規模は、かなり大きな
企業
と、株式会社の組織と大差ないぐらいの
業務
内容
を持っておるわけでありまして、そういった視点からもやはり開示
責任
というのはもっと
強化
されていくべきではないかと思っております。 ただ、
一般
の株式会社と異なりまして、取引の相手とかあるいは
外部利害関係者
の
範囲
とか種類、それから利害
関係
の中身も違いますので、開示
内容
については今後府令で詰められるべきものと考えております。 続きまして、
行政処分
の
多様化
、それから
課徴金
の問題でありますけれども、これについても先ほど
藤沼参考人
から御
指摘
ありました。現在の法律では、戒告、
登録抹消
、あるいは
業務停止
、
解散命令
、こういったものがありますけれども、やはり今般の旧中央青山
監査法人
の処分に見られますように、なかなか大手の法人についてはこの
行政処分
の体系では思い切った手をちゅうちょすることもあり得るのかと思います。そういった
意味
では、もう少しシームレスに
行政処分
の体系を組み立てるといった
意味
で、
業務改善命令
を間に加える、そしてさらに
経済
的な制裁として
課徴金
制度
を入れるということにつきましては、自然の成り行きではないかと思っております。 これに
関連
しまして、
課徴金
の金額について、これについては、これが多いとか少ないとか、そういったことを私自身は特別な見解を持っているわけではありませんけれども、今後、この
課徴金
制度
の実際の運営
状況
を見まして更に
検討
を加えられる余地があるのではないかと思っております。 それから、
公認会計士制度部会
で
刑事罰
の問題が取り上げられました。 部会では賛否両論がありまして、今回の
改正法案
にはこの
刑事罰
は盛り込まれておりません。少なくとも、
刑事罰
がなくとも実際に大手の
監査法人
が
自主解散
まで行ったという、こういった例もあることからすれば、慎重論ということは現時点では正解ではなかったかと思います。 ただ、これについても、やはり今後の実際の
監査
をめぐるいろんな事例等をかんがみまして、先々また
検討
を要することになるのではないかと思っております。 それから、最後でありますけれども、その他として二点挙げさせていただきたいと思っております。 一つについては、
公認会計士
・
監査審査会
の
在り方
でありますけれども、特に
監査法人
の
監査業務
に対する
品質管理
の会計士
協会
によるレビューに対するモニタリングという位置付けであります。 この
監査業務
の
社会
的な位置付け、影響度、
品質管理
に失敗した場合の
経済
的な影響度、そういったものを考えますと、この
審査会
の
権限
の
範囲
についても、単にモニタリングだけでなく、それを超えて直接の
立入検査
とか、そういったことまで入っていくのも一つ方向性としてあり得るのかなと思っております。ただ、やはりそれにも増して、
日本公認会計士
協会
の
自主規制
と合わさって、
監査業務
に対する間接的な
監視
機能の
向上
、これがやはり将来的には必要とされる点ではないかと思っております。 最後でありますけれども、私自身、会計大学院の運営に携わっている者の
立場
から一言お願いを申し上げたいのは、ますます今後、
公認会計士
のスキル
向上
と数の増大が望まれるわけでありますけれども、今回の会計士法の
改正案
には試験
制度
等は入っておりません。この点、今後の試験
制度
改正の折に是非とも会計大学院の教育
体制
、これを一層活用する方向で御
検討
いただけたらと思っております。 以上、私見でありますけれども、
法案
についての
意見
を申し上げさせていただきました。
家西悟
13
○
委員長
(
家西悟
君) ありがとうございました。 以上で
参考人
からの
意見
の聴取は終わりました。 これより
参考人
に対する
質疑
に入ります。
質疑
のある方は順次御
発言
を願います。
中川雅治
14
○中川雅治君
藤沼参考人
、
山浦参考人
、大変貴重な御
意見
を拝聴いたしまして、今後の
審議
の
参考
になります。どうもありがとうございました。 それでは、幾つか質問をさせていただきたいと思います。 今回の
公認会計士法
の改正で残された
課題
の一つは、先ほどから両
参考人
のお話がございましたように、いわゆる
インセンティブ
の
ねじれ
の問題の解消あるいは克服であるというふうに思います。 昨年五月施行の
会社法
では、
監査報酬
などをめぐり、
監査
役に新たに取締役の
提案
への同意権を与えたわけでありますが、
提案
権と同意権を入れ替え、
監査
役
権限
を
強化
すべきだとの声は少なくありません。このようになれば
監査人
が
監査
役の負託にしっかりこたえることができるようになり、私もこうした形が望ましいというふうに思っております。 先ほど本会議で民主党の
尾立
委員
から、この点、法務
大臣
の方に質問がありました。本日の長勢法務
大臣
の参議院本会議での答弁では、昨年施行の
会社法
によってどうなるのか、ちょっと様子を見てそれから
判断
するというようなことでございまして、一刻も早く
会社法
の改正をするんだと、こういうような
状況
ではないというふうに受け取ったわけであります。 このせっかくの
機会
でございますので、両
参考人
に、これはやはり
会社法
の問題だというふうに私は思うわけでございますが、その点をもう一度確認していただきたいということと、一刻も早く改正すべきであると、こういうふうに主張されるのかどうか、この
委員会
の場で明確に御見解を出していただいたらどうかなというふうに思います。両
参考人
にお伺いしたいと思います。
藤沼亜起
15
○
参考人
(
藤沼亜起
君) どうもありがとうございます。 私ども
監査人
にとって、
独立性
というのは
業務
を実行する上でバックボーンになるものだと思っております。
企業
が
財務諸表
を作成すると、それを公平な第三者の
立場
として、独立した会計専門家がその
財務諸表
のユーザーの利益を考えて、基本的に独立の
立場
で
監査
証明を行う。したがって、
監査人
は
企業
のお抱え会計士ではないわけでございまして、その辺のところの
原則
をきちっと維持することが大事なのではないかというふうに思っております。 今回、
会社法
の
関係
で、
企業
の
ガバナンス
に
関係
することだからこれは
会社法
の世界だということなんですけれども、やはり
監査
という
立場
からはこの問題を避けて通ることはできないのではないかというふうに思っております。
監査
を、仕事をする上で会社の
経営者
と
財務諸表
の修正
事項
を議論して、これを認める認めないという議論をした後に
監査人
の
選任
の問題だとか
監査報酬
の決定の議論、これを
経営者
でやると、これ完全にやはり
インセンティブ
の
ねじれ
があるというふうに思っておりまして、これは
資本市場
がますます重要になるこの日本の中で、この
インセンティブ
の
ねじれ
は緊急に解決していただきたいというふうに私は思います。 それと、あと
監査
役でございますけれども、
一般
論で言えば、
監査
役の人事というものは、
企業
の全体的な人事の中で決められているということがありまして、
監査
役の適格性といいますか
経営者
からの
独立性
の問題、あるいは
専門性
の問題、強いて言えばその
監査
役をサポートするスタッフの
充実
度の問題、こういうものも一緒に解決していただかないと、本当の
意味
での
ガバナンス強化
、
会計監査
の
充実
というところに向かわないのではないかというふうに思います。 以上でございます。
山浦久司
16
○
参考人
(
山浦久司
君) 基本的には
藤沼参考人
と同じ
意見
であります。 特に、日本の
企業
のコーポレート
ガバナンス
を考えますと、本来、株式会社というのは株主の所有物でありまして、株主が基本的な方針、経営方針等々、それから人事も含めて決定すると。そのために株主総会があるんですけれども、長い慣行の中で株主総会が事実上形骸化しているという
指摘
も多々なされます。 そういった中で、この
インセンティブ
な
ねじれ
を克服するために、
監査
役の
独立性
を更に
強化
する、実はそこまで行ってもなおまだ問題が残るというのは、やはり今、
藤沼参考人
の方で御
指摘
があったように、
監査
役の
選任
そのものについてまた
経営者
からのいわゆる独立した
立場
の
選任
が保たれるかどうか、そういった
意味
でやっぱり非常に悩ましいというか、芋づる式にいろんなところに波及していく問題であります。 当面の解決策として、一歩一歩という
意味
では、
監査
役の報酬等を含めた
監査
役と直接の交渉、そして
監査
役からの
提案
権まで、まずそれが一つ、第一歩かなと。それで完全に解決するというふうには私
理解
しておりません。 以上でございます。
中川雅治
17
○中川雅治君 ありがとうございました。 次に、
監査
の
充実
を図り、
監査
に対する
投資家
等の
信頼
を
向上
させるためには、違反
行為
や不適切な
監査
が行われた場合には制裁といいますか
行政処分
をしまして、同時に損害賠償を含めて
責任
の追及をしっかりしていかなければならないというふうに私も思うわけであります。しかしながら、一方で、
公認会計士
や
監査法人
が負う
責任
とかあるいはリスクといいましょうか、これが余りにも過酷というか膨大なものになる場合には、
公認会計士
という職業自体が敬遠されてしまうということにもなりかねないというふうに思うわけであります。 今回の改正で
課徴金
制度
が創設されるわけでありますが、
運用
で
課徴金
制度
が余りにも厳しいものになったり、あるいはあいまいな
運用
になってどういうふうになるのか分からないというようなことになりますと、これは非常にリスクが大きい職業ということになりますし、またこれから訴訟で、
公認会計士
や
監査法人
に莫大な損害賠償額が裁判で確定していく、こういうことも予想されるわけなんですね。それがもう余りにも莫大で、もう到底支払能力を超えるようなそういう額になるというような、リスクが非常に高いそういう職業だということになりますと、角を矯めて牛を殺すといいますか、そういう結果にもなりかねないと思うわけであります。 よく、産婦人科のお医者さんが訴訟リスクが高いということで敬遠されて、今、産科のお医者さんが不足をしているというようなことが
社会
問題になっているわけでございますが、そんなようなことが
公認会計士
の世界にも起こってくるということになると、私はこれもまた問題だというふうに思うわけであります。 この点についての
日本公認会計士
協会
としての御見解といいますか、あるいは
藤沼参考人
としての御
意見
があればお伺いしておきたいと思います。
藤沼亜起
18
○
参考人
(
藤沼亜起
君) 今、
監査
の現場では、特に現場を預かる若手の会計士、かなり夜遅くまで、十一時、十二時ごろまで仕事をして、特に
監査
調書の整理とか、文書化に非常に追われておりまして、そういうようなことでかなり長時間労働ということが言われております。 実は会計士
協会
は、こういうような若手の会計士、特に職場離れが起こっているという話があるものですから、これは、
公認会計士
協会
の会長とあと大手の
監査法人
の
理事
長が共同声明という形で、いわゆる
監査
の担い手である会計士の職場離れが起きないようにということを訴えたということがありまして、そこの原因を探ってみますと、一つはやっぱり全体的な面でやはりこのごろ粉飾事例等が非常に多かったというようなことと、
みすず監査法人
の自主的な解散というようなこともあると。そういう中で
公認会計士
の
監査
、役割は非常に重要だということは分かっているんですけれども、それと見合いの報酬があるかどうかとか、そういうような問題、要するにリスクと自分たちの
業務
から得られる報酬とを考えて、結構若手の一部にはある程度悲観的な感じになっている人たちもいるということは事実でございます。 ただ、今回の
改正案
の中で良い点は、
有限責任制
が
導入
されるという
改正案
になっておりまして、これについては、従来までは無限連帯
責任
という、ほかの諸国ではないような
制度
が残っていたという、これが有限
責任
になるということで、
監査法人
の
社員
で
業務
に直接
関係
ないんだけれどもそれに巻き込まれてしまうというリスクがなくなったという面では、これはいい方のことではないかなと。
課徴金
のことは、これは有限
責任
との引換えみたいなところがあるとは思うんですけれども、これは
運用
方法を公平に
運用
していただきたいなということは思っていまして、この
課徴金
はある程度必要ではないかというふうには感じておりますけれども。といいますのは、
刑事罰
の適用とかあるいは
業務
のいわゆる停止ということになりますと
企業
を巻き込んでいろいろ
社会
的な混乱が大きくなるものですから、そういう面では、
課徴金
というのは
監査法人
だけということになりますので、もちろん
企業
にも
課徴金
が科されるとは思いますけれども、そういう面である程度限定されるということではいいんですけれども。
課徴金
が悪意の場合一・五ということで、通常は悪意で虚偽記載に荷担するというのは非常に例外的なケースだと思いますので。ただ、過失でもって
監査
上の問題を発見できなかったというような場合に
課徴金
を科すという場合に、
課徴金
の今のつくりが、単独でも
課徴金
を出す場合もあるし、あるいはほかの
行政罰
と重複しても出せるという形になっておりますので、例えば戒告ぐらいな比較的軽微な過失の問題でも
課徴金
が科されてしまうというような
運用
をされますと、特に中堅とか中小の
事務所
は、逆にそれにおびえてしまって
監査
をしない方がいいんじゃないかと。というのは、
監査報酬
というのは基本的に人件費ですから、自分がそれでもって生活しているだけの話でございますので、それが持っていかれるということは生活できなくなってしまうというようなところがありまして、これはルールを、量刑のルールを明確にしていただいて、公正に
運用
していただきたいというふうに思っております。 あと、損害賠償なんですけれども、これは
海外
では損害賠償は非常に多くて、欧米の特に
監査
訴訟が多いところについては、全体報酬の一八%ぐらいがリーガル
関係
のコストであると、こういうふうに言われているわけです。これは弁護士費用とかいろんなコストも入った上で、売上高の一八%ぐらいがリーガルコストであるという。 そういうところにまだ日本は行っておりませんけれども、現在、
公認会計士
協会
が中心となって行っております職業損害賠償保険、これはこの二、三年ずっと赤字続きでございまして、保険料が上げていかなくてはいけないというようなことになっておりまして、そういう面では、将来的には、イギリスとかオーストラリアの議論にあるように、キャップ制の問題だとか分割
責任
制度
とか、そういうようなことを議論しなくてはいけないことが将来出てくるかも分からないということで、これについてはやはり会計士の後進育成という
観点
からも将来の
検討課題
であるのではないかと、そういうふうに思っております。 以上でございます。
中川雅治
19
○中川雅治君 ありがとうございました。以上で終わります。
尾立源幸
20
○
尾立
源幸
君 民主党・新緑風会の
尾立
源幸
でございます。 今日は
藤沼
会長、
山浦参考人
、どうもありがとうございます。 私の方から、
インセンティブ
の
ねじれ
ということではもう大分お話も出ておりますし、今日、本会議でも質問させていただいたので、若干そこは飛ばしますが、一番やはりこの部分が根本的に解決されない限り、なかなか
企業
の粉飾決算というのも本当の
意味
でなくなっていかないんじゃないかなと、こういう思いを持っておりますことをまずお伝えをしたいと思います。 それと、もう一点。この
資本市場
の、
山浦
先生、番人とおっしゃったわけですが、当然この
企業
と
監査人
との間にも
監査
市場
というかマーケットがあるのが私は健全だと思っておりまして、
企業
の成長とともにそれにふさわしい
監査法人
が選べるといいますか、お願いできると、こういうのが健全ではないのかなと、こう思っております。 そういった
意味
で、これまで四大
監査法人
が上場
企業
の八割近くを占めておる、いわゆる寡占状態になっておったわけなんですけれども、これを何とか、やはり
企業
のライフステージといいますか、成長に合った形で
監査法人
がパートナーとして組んでいけるような、こういうのが大事ということでございます。 そこで、今回の会計士法の改正の中にはちょっとその視点が欠落しているんではないかと。つまり、
金融
庁の方ともお話ししておりますと、もうこの寡占化の流れというのは世界的な潮流で食い止めようがないんだぐらいのことをおっしゃるわけなんですね。私はそうじゃないと思います。一歩進んだ世界の流れは、やはり寡占化していくとどうしても
監査
の継続性という
意味
で問題が出てくるので、やはり中小
監査法人
もしっかり育てていこうというのが大きな流れになっていると思うんですけれども、そのためにどうすればいいのか、どういう具体的な対応があるのかと。 先ほど、
ローテーション
なんかで若干中小
監査法人
への配慮が必要だみたいなお話もございましたけれども、両
参考人
にこれから我々がそういう点で考慮していくべき中小
監査法人
育成の方策、具体例を御提示いただければと思います。
藤沼亜起
21
○
参考人
(
藤沼亜起
君) 日本の中小
事務所
の問題というのは、これは
海外
比較しても、
海外
でも寡占化はしていますけれども、多分日本の方がもうちょっと悪い
状況
ではないかというふうに思っています。 といいますのは、これは昨年のデータなんですけれども、五百億円以上の売上高がある四大法人、これは解散を決定しました中央青山も入っているわけですけれども、大体それぐらいの規模なんですけれども、その後がいきなり十億から二十億が三法人ですか、それと、その後が五億から十億が三法人ぐらいと、合計で五億から二十億が五法人ぐらいしかないという
状況
でございます。 これがあらた
監査法人
が新たにできまして、そういう面では百億とかそれぐらいの
事務所
が一つできたわけですけれども、それと、あと中堅の
事務所
が合併をいたしましてもう少し大きくなったという程度で、この中堅の
事務所
の受皿がないという
状況
があります。これは深刻な問題でございまして、せめて五十億ぐらい、できれば百億ぐらいの
事務所
が四、五個あれば、
監査法人
の大手が何か問題があったときにも受皿になれるということだと思うんですね。そういう面で、中小の
事務所
の育成が非常に重要ではないかというふうに思っております。 これは、一つは今の
状況
で、これは大手法人側に一つこれはお願いしていることであるし、また大手法人もそれはそのとおりだというふうには言っているわけですけれども、一つは大手が大から小までいろんな
監査
の契約をずっとやってきてしまったということがあります。大学の、いわゆる学校
監査
のことでも独法というようなことでも、大手がやり過ぎて非常に安い金額で仕事を引き受けてしまったみたいなこともあります。 そういう面で、大手が本来注力しなくてはいけない、公開会社でしかも大規模、できれば国際的な事業を営んでいる会社、こういうようなところをメーンにやって、むしろ中小に、国内の事業で中小の
事務所
でも担当ができるというような
業務
を、ある程度仕事のすみ分けをするようなことができれば非常に中小の方でも仕事ができていくようなことになるのではないかと。今、大法人も、御存じのように、来年から内部統制の仕事、四半期
報告
というようなことがありますので、ただでさえ忙しい
状況
でございますので、その
可能性
はあるのではないかというふうに思っております。 あと、中小
事務所
自身が、今回有限
責任
ということになりましたので、かなり合併の意欲が出てきているのではないかというふうに思っておりまして、私どもは、中小の
事務所
の合併というものを進めていきたいというか、
協会
が勝手に合併しろと言うわけにいきませんので、これは推薦したり、あるいは促進させるような
施策
を取っていきたいというふうに思っております。 あと、中小
事務所
はやっぱり人手というか人材不足なところがありますので、
業務
をきちっと
監査
していく上で、やっていく上でやっぱり足りないところ、あるいは
協会
としていろいろ
支援
しなくてはいけないことが出てくると思いますので、
公認会計士
協会
としては、中小
事務所
等
施策
調査会というものをつくりまして、中小事業向けのいろんな
監査
ツールを作ってやるとか、そういうような
施策
を一方やっておりまして、中小
事務所
が
監査
の
品質管理
のレベルアップができるようなことを今一生懸命やって、中小
事務所
の
強化
を図りたいというふうに思っております。 以上でございます。
山浦久司
22
○
参考人
(
山浦久司
君)
我が国
の
監査法人
の現状は、ある
意味
ではこれまでの日本の
監査
制度
の歴史的な背景がどうしてもこのような
状況
になったんじゃないかと思うんです。 と申しますのは、
我が国
では外部
監査
というのは、
最初
は証券取引法
監査
ということで
上場会社
クラス、やっぱり大きな会社です。それから、その次に入ったのが商法の
会計監査人
監査
と、やっぱりこれも大会社ということで大きな会社。そういう大会社を
監査
するというのが
我が国
の
監査
制度
の仕組みの根本にあったために、どうしても組織化といいましょうか、
監査業務
を的確に行うためにはある程度の人の規模も必要ですし、それから、例えば
海外
に
企業
が
業務
展開をすると、それに合わせてネットワークを使って
監査法人
が、そういったネットワークに入った
監査法人
はどうしても有利になっていくとか、そういう言ってみれば
監査
制度
の背景がベースにあると思うんですね。その
意味
では、むしろ
我が国
の中小、特に小規模な
事務所
あるいは
監査法人
というのはむしろよくやっているなというぐらいの
理解
を持っております。 ただ、今後もっと
市場
化が進む、それから
公認会計士
の
監査
がもっといろんな各方面に浸透していくと、単にこれはもう
制度
だけじゃなくて任意の
監査
としてもいろんな分野に入っていくと。となりますと、この今の
監査法人
の
体制
はもっと専門分野に分かれていって、もちはもち屋といいましょうか、例えばITに強い
監査人
が集まった
監査法人
があるとか、あるいは起業、つまり会社を起こす段階での、そういったところへのアドバイスに優れた、そういった視点を持ち、非常に強くサポートするような能力に優れた
監査人
が集まっているとか、いろんな
意味
での分野別の専門家が入ってくると思うんですね。 少なくとも、今、
藤沼参考人
が
指摘
された、大手の法人がかなりの部分の
監査業務
を担っているという
現実
は、個人的な見解ですけれども、先ほど申しました、これは
制度
的な背景をベースにしている。ただ、今後、
我が国
の
監査
の広まりの方向次第では、中小の
事務所
の方にむしろいろんなタイプの
事務所
ができてくる
可能性
があると思っております。 むしろ、その中で
監査
の品質を含めたしっかりした
監査
体制
を求めているわけでありますので、それはどの程度の規模が適正なのかというのは、実はこれまだ検証されていないんですね。ただ、少なくとも小さなところでは今求められているような
監査
の品質を保つというのはなかなか難しいと思うんです。ですから、先ほど私、冒頭の
参考人
意見
ということで申し上げたのは、その欠陥をサポートするために、例えば会計士
協会
が
審査
の代わりをするとか、またそういった仲立ちをするとか、あるいは
品質管理レビュー
でもってある程度のリーダーシップを発揮するとか、そういうことでもってこの中小の法人を育成していくということもやっぱり一つ大事なことかと思っております。
尾立源幸
23
○
尾立
源幸
君 ありがとうございます。 それで、あとそれぞれに一問ずつお聞きしたいんですが、
藤沼
会長には、実は
インセンティブ
を、
ねじれ
もそうなんですが、いつも
会社法
をどうこうという話が出てきて、
会社法
の改正がなされない限り望ましい
ガバナンス
ができないと、こういうことになっているわけなんですけれども、公開会社と未公開会社では随分要請されるクオリティーというか、
ガバナンス
の質を含めて違うという前提で、我々、今、公開
会社法
というものをいっそのこと準備した方がいいんじゃないかと、まだその中身はここで御提示するというわけではないんですけれども、そういった考え方が必要な時期に来ているんじゃないかなと思っておるんですけれども、会長の御
意見
をお聞かせいただきたいと思います。
藤沼亜起
24
○
参考人
(
藤沼亜起
君) これは私の個人的な
意見
でございますけれども、やはり
海外
では公開会社、パブリック・インタレスト・カンパニーと、アメリカなんかはそういうふうに言っているわけですけれども、株主等、やっぱりステークホルダーが多い
上場会社
とそれ以外の会社というのはやはり分けて考えるべきだという考え方があると思うんですね。 そういう面で、今回の
公認会計士法
の改正の議論の中で、
金融審議会
の中でも、やはり
インセンティブ
の
ねじれ
は
公認会計士法
の中で解決することができればということで、これは皆さんいろいろと
努力
したわけなんですけれども、やはり
会社法
という、いわゆる法人の組織形態を扱う法律があるわけですからそちらの方でということで、何か
政府
の法律の中で非常に、きちっと
法律案
を作るという段階でやっぱりこれは法務省管轄、こっちは
金融
庁管轄と、こういうようなところのが若干いろいろジレンマがありました。 そういう面で、私は
尾立
議員のおっしゃるように、個人的な
意見
でございますけれども、公開
会社法
というものがあって、そこで法人の
ガバナンス
等を議論するというのは必要なことではないのではないかというふうに思っております。
尾立源幸
25
○
尾立
源幸
君 ありがとうございます。 最後に、
山浦参考人
に。たくさんの生徒さんというか学生さんを教えていらっしゃると思うんですけれども、若い人たちが意欲を持ってこの業界に入ってこないような
状況
はよろしくないわけでございまして、是非動機付けをしていただきたいと思いますが、その中で、
公認会計士
試験
制度
の話を少しさせていただきますと、十五年の改正ですか、試験
制度
が大胆に変わりまして、
一般
教養といいますか、以前は大学教養程度というような縛りがあったと思うんですけれども、今はそれが外れたという点で、それで果たして本当に間口が広がったのかということ。私は、逆に変に試験ばっかりできる人が、特訓をして試験には受かるけれども、
一般
常識なり教養がない人がこの業界に入ってくるのは私はそれは良くないことだと思っておりまして、その辺の御心配がないのかということと、もう一つ、今、法科大学院、弁護士になるためにはこれはもう義務付けられるようになりますが、会計大学院はそういう位置付けではございません。この問題点というか、この
制度
ができてお感じになっている部分があったら教えていただきたいと思います。
山浦久司
26
○
参考人
(
山浦久司
君) ありがとうございます。 まず、今日、会計士が
監査業務
をコアとしますと、
監査業務
を実施するためには実にいろんな教育の背景が必要なんですね。その教育背景につきましては、やはり大学の教育というのは私はもう捨て難いし、是非とも必要だと思っております。また、そうでなければ、恐らく高度に発達した
企業
を、それを独立の
立場
から、また倫理観を持って
監査
を実施するというのはまず無理ではないかと。そういった
意味
では、やはり大学教育の大事さというのは是非とも試験
制度
の中にも反映させてもらいたいと思っております。 それから、実は今、
公認会計士
の試験のレベルなんですけれども、従来、大学卒業、学部の卒業ですね、その程度ということであったんですけれども、
現実
問題として、今出されている出題の
内容
は、これは大学の学部じゃ無理なんです、教えるのが。 例えば、一つの例を取りますと、財務会計の
基準
だけを取りましても、専門学部の例えば二年間ぐらいではとても教え切れません。結局、
現実
の試験のレベルが大学卒業プラスアルファというのが実際でありまして、そのプラスアルファの部分を今まで専門学校が担っていると、教育をですね。そして、反復訓練しながら受験生が合格を目指していくという。で、大体平均しますと一年から一年半ぐらいを余分に勉強しているわけです。その部分を会計大学院はもっと体系的な、しかもこういう高度の専門職業人に必要な教育
内容
を教える。例えば、一つの例ですけれども、英文の
財務諸表
を書ける、読める、そして英文でもって例えばコミュニケーションとか、そういったものができる、
海外
の
投資家
とですね。そういったときにメッセージを送ることができると、そういったことを要するに保証しようとするような試験
制度
じゃないわけですね。 ですから、実際は今、一つの例なんですが、例えばIT
関係
とか今の法務
関係
とかファイナンス
関係
とか、もういろんな高度の知識なりスキルなりが必要な中で、今のこの試験
制度
の
在り方
というのはやはりそれを担保するようなものになってない。それを担保しようとするのが会計大学院でありまして、できるだけ会計大学院レベルまでの能力を備えた人がこういった専門職業人として育っていくということがやっぱり必要ではないかと思っています。 最後になるんですけど、私どもの学生だけを見ましても、決して会計士になることを嫌がっておりませんし、むしろ希望を持って勉強に励もうとしております。これは、会計士という仕事の役割といいましょうか、
重要性
を学生自身がよく分かっておりまして、今の反面教師といいましょうか、こういった
事件
が起きれば起きるほど会計士の仕事って大事なんだということを
理解
しておりますので、そのリスクというか、報酬に見合ったそういったものが
確保
できればもっと学生は希望を持って入っていけるんではないかと思います。
尾立源幸
27
○
尾立
源幸
君 ありがとうございました。
峰崎直樹
28
○
峰崎
直樹君 民主党・新緑風会の
峰崎
でございます。 今日は両
参考人
、本当に貴重な時間、ありがとうございました。短い時間でございますけれども、何点か質問させていただきたいと思います。
最初
に、昨年六月三十日に、
公認会計士
・
監査審査会
ですか、新しい組織できて、四大
監査法人
の
品質管理
についてその結果が
報告
されたわけでありまして、その中身は非常に私たちにとってショッキングなもので、四大
監査法人
についても、もうすべてが今の
社会
の求めている良好な品質
基準
を満たす
監査法人
はただの一つもないと、こういう非常に厳しい結果でございました。 四大
監査法人
がそういうことであるとすると、中小
監査法人
も含めて、本当にこの現状を率直に申し上げて、両
参考人
、どのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
藤沼亜起
29
○
参考人
(
藤沼亜起
君) 昨年の六月末に四大法人の検査結果が公表されました。特に、検査結果で焦点が当てられたのは、四大
事務所
の
業務運営体制
が問題であるということで幾つかの
指摘
を受けたわけですけれども。
監査法人
側にも、
業務運営体制
という面では、やはり
監査法人
というと、法人という名前が付いていますから、
企業
と同じようにやはり大小の、
一般
的には
理事
長というようなことまで言っているわけですけど、トップがいて、その下にきちっと組織立った
業務
運営・管理
体制
が整えられていると、こういうことであるべきだったんですけれども、やはり
監査法人
の歴史で、合併というもので大きくなってきたという歴史がある。と同時に、地方
事務所
も、地方
事務所
を
監査法人
に参加してもらうと、そういう形で
事務所
がどんどん大きくなっていったと。こういうような途中経過があって、必ずしも全国一律の
業務管理体制
になっていないというような部分があって、東京は東京、大阪は大阪だとかという形でばらばらみたいなところがあったということは事実でございます。 そういう面で、今回、
業務
改善指示が
金融
庁から出ましたので、それに合わせて各
事務所
も
業務管理体制
を一本化した形できちっとしたものにしようということで改善策、昨年から一年掛けてやっておりまして、その改善の
状況
を
金融
庁にも最近
報告
したという話を聞いておりますので、そういう面では、厳しい
指摘
であったと思いますけれども、
業務
体制
の改善のための大きなかじ取りができたということで、今かなりそういう点では進歩が、改善が図られているのではないかというふうに思います。
山浦久司
30
○
参考人
(
山浦久司
君) 御
指摘
の点につきましては、
二つ
の面を考える必要があると思うんです。 一つは、
品質管理基準
そのものが生まれて間がないということですね。なかなかこの考え方なりこの仕組みなりを
監査法人
が
導入
するためにはまだもう少し時間が必要だったのかなと思っております。したがいまして、昨年の段階では二年目まで行かない
状況
で、やはり無理ないなという気が
最初
の
報告
書を見まして感じた次第です。 それからもう一点は、
監査法人
の性格なんですけれども、今、
藤沼参考人
が御
指摘
もありましたけれども、今の
監査法人
というのは、ある
意味
じゃ個人の士業の方々の集まりなんですね。ましてや、さらに
無限責任制
で、さらに合併に次ぐ合併を続けて今日のような形になってきたという
意味
では、ある
意味
では一匹オオカミ的な方々が集まっていらっしゃるという点も確かなんです、特にトップクラスの
監査人
の方々はですね。そうしますと、一つのセクションでもって一国一城という形で、なかなか組織横断的あるいは体系的に
品質管理
のための改編というか改組をすることが難しいというのが
現実
なんですね。ですから、そういった
意味
では
公認会計士
・
監査審査会
のああいう
報告
が出たのは正にいい
機会
というか、あれが突破口になりまして
品質管理
の改革を進めていければ、それは良かったなと思います。
峰崎直樹
31
○
峰崎
直樹君 むしろ
藤沼参考人
からそういう話が聞けるかなと思ったら、むしろ
山浦参考人
の方からお聞きできて、つまり、今の
公認会計士業界
の構造的な問題点というのは、どうもそういう独立独歩の会計士さんを中心にして、それも寄せ集めと。一部トーマツという
監査法人
の東京はそうでないんだというふうにある本でちょっと読んだことがございますけれども。そういう
意味
での、そこが直らないと、あるいはそこにメスが入らないと、この
品質管理基準
というのも直っていかないんじゃないかなという思いをちょっとしてたんで、今の
山浦参考人
のお話聞いていてなるほどなと思ったんですが、
藤沼参考人
、今の
指摘
についてはどのように考えておられますでしょうか。
藤沼亜起
32
○
参考人
(
藤沼亜起
君)
山浦参考人
のお話のとおりの部分があると思います。そういう面で、これは弁護士
事務所
、弁護士法人もそうなんですけれども、やっぱりプロフェッショナルですから、当初の形はそれぞれが仕事を持ち寄って
監査法人
をつくったという経緯があります。だから、それが部門別に一塊のグループができるとか、地方
事務所
は地方
事務所
でできるというような、そういう歴史を抱えているということが事実でございます。 ただ、昨年の末の時点でいろいろ厳しい御
指摘
を受けました。ただ、
監査事務所
の
品質管理
という
基準
というものが、
山浦参考人
のお話で明らかになりましたように、比較的最近の
基準
でございまして、
事務所
がそれを基本的に
事務所
の中の組織
体制
に入れていくという、そこら辺の時間の問題があったのかなというふうに思っておりまして、それとやっぱり、東京と先ほど大阪と言いましたが、大阪とは違うとか広島とは違うとか、そういうようなところもありまして、それは昨年の検査
報告
が出た、それをベースに各
事務所
、大胆な
見直し
を今進めているところだと思いますので、これはそれなりに対応できるのではないかというふうに思っております。
峰崎直樹
33
○
峰崎
直樹君 そうすると、そういう現状で、今改革途上だと。とすれば、ちょうどアメリカの
サーベインズ・オックスレー法
が終わった後に、アメリカはPCAOBですか、それをつくって
体制
を
強化
していますよね。見ると、日本の
公認会計士
・
監査審査会
の
体制
は、検査官が大体四十名前後だと。一方で、アメリカの方はこれまたけたが違って数百名と。 だから、そういう
意味
でいうと、日本のいわゆるこれまで大蔵省の護送船団
行政
の下で進んできた
監査
、まあ残高証明を取るようなものだというぐらいにしか思われていなかった、ちょっとそれは言い過ぎたかもしれませんが、そういう
公認会計士業界
をこれはやっぱり
相当
やはり厳しく、きちんとやはり
監査
、
審査
をしていくという
体制
の
強化
が求められているというふうに思うんですが、この点、両
参考人
、どう思われますでしょうか。
藤沼亜起
34
○
参考人
(
藤沼亜起
君) アメリカは、確かにエンロン、ワールドコムの以降の後、
企業
改革法というものができまして、
監査
規制
という問題では、PCAOBという組織ができたわけです。これは、もちろんこの
監視
委員会
がかなりの数のいわゆる職員を擁して、そこの中に多くのCPAが、何百人というCPAがいるわけですね。 アメリカの場合には、日本と違ってこれは全世界にこれは網を掛けるということですから、何もアメリカだけの
上場会社
ではなくて、アメリカの
資本市場
で資金調達している会社の
監査
をしている
事務所
は全部
登録
しなくてはいけない。と同時に、アメリカの資金調達している会社の
海外
の子会社、その会社の
監査
をしている
事務所
もPCAOBのレビューの
対象
になるということで、スコープが物すごく広いんですね。だから、そういう面で、アメリカの場合には今、日本の
事務所
のレビューをやろうかというような話、やっているという話ですけれども、日本語対応の職員がいると、CPAがいるとかということで、そういう面では大きく、いわゆる量と資金的な面でも人的な面でもかなり大きな組織になっていると。 日本は、御承知のように、アメリカみたいに会計士が三十五万人もいるということではありませんので、日本は一万七千人のCPAと、あと六千人ぐらいの準
会員
でございますので、その中で、
監査
するところに仕事が欲しいのに
監視
される方にCPAをそんなに一杯やっていると
監査
する人がいなくなってしまうという、こういう問題がありますので、やっぱり対応方法は違うよりしようがないんではないか。 では、いかに効率的にできるのかということは、やはりそれは会計士業界の
自主規制
がまずきちっと機能して、それを効率的に
監視
するシステムが一番よろしいのではないかというふうに我々は信じているわけでございまして、そういう面で、
協会
の
品質管理レビュー
をやった上で
審査
をして、問題があれば
報告
徴求なり
立入検査
をする、こういうシステムが一番効率的ではないのかと思いまして、今そのような形で運営されているのではないかというふうに思っております。 それとあと、
自主規制
の大事なことは、特に先ほど中小
事務所
のことについてお話ししましたけれども、やはり
監査
の現場に行って、
監査事務所
に訪問していろんな問題点を発見すると、中小
事務所
自身がどういうことをしたら
業務
改善できるのか、そのツールを
協会
で準備してやらないといけないんですね。そういうふうにしないと、やっぱり中小
事務所
の
監査
のレベルもアップしていかないんですね。だから、そういう面で
自主規制
で
品質管理レビュー
して、それで問題点があればそれはもちろん
指摘
するわけですけれども、それと同時に、放っておかないで、それに対応したサポートもしてやるというツールを作ってやると、こういうようなことで
品質管理
の
向上
につなげたいというふうに思っております。 以上でございます。
山浦久司
35
○
参考人
(
山浦久司
君) まず、その
公認会計士
・
監査審査会
の検査部門の適正規模というのはどの程度かというのはちょっと
判断
しづらいんですけれども、ただ絶対的な数からしますと、PCAOBの数に比べれば確かに少ないです。 それで、例えばイギリスであるとか、あるいは今般、EU全体での統合的な
監視
機構の組織が動き始めたんですけれども、そこに属している各国の
監視
機構の検査員の数、そういったものと比較しまして、日本の
審査会
の検査員の数が少ないかというと、必ずしもそうではないと思います。むしろ逆に言いますと、アメリカの方が突出しているなという気がします。 その上で、やっぱり
審査会
のレビューの
対象
というのは
上場会社
を
監査
する
監査法人
であると。その
上場会社
の数を比較しますと、やはり日本というのはかなり大きな数になっておりまして、それを
監査
する
監査人
もたくさんいる。ただ、絶対数は確かに少ないんですけれども、少なくともそういう
上場会社
の数は多いと。そういった
意味
では、今の
体制
で十分かというと、もう少しあってもいいんじゃないかなという気はします。ただ、それがじゃどの程度かというのは、私自身としてはちょっと
判断
付かないということでございます。
峰崎直樹
36
○
峰崎
直樹君 まだまだたくさん、
監査
難民の問題とかいろんなことで聞きたいことがあるんで、特に
藤沼参考人
にはまた
法案
審議
のときにも
参考人
として出ていただければ、恐縮なんですが。 今日最後に、多分質問の最後になると思うんですが、
監査報酬
のことでお聞きしたいんですが、
公認会計士
協会
がお調べになった
監査報酬
を調べてみますと、十億円未満の売上高の
企業
、要するに小さな
企業
というか、上場
企業
ですけれども、そのときに、単独決算の場合が三百八十四万円、連結で八百十九万ということで、十億円未満の売上高の
企業
はそういう金額と。で、一兆円を超すと、これは連結決算でございますが、平均で九千五百五十一億五千万、一兆円を超えてないんですね。
藤沼参考人
はたしか世界的な国際的な会計士
協会
の会長さんもやられていたんですが、この水準をずっと見て、今、最低のところと最高を見たんですけれども、どうも一兆円を超すような巨大なコングロマリットといいますか、国際的な
企業
は、これは言ってみると非常に、九千五百五十一万五千円と──ごめんなさい、さっき変なけたを言いましたけれども、一億円、
監査
料超えてないですね。これはべらぼうに安いんじゃないかなという気がするんですが。また、売上高が十億円未満も単独決算だけど三百八十四万と、これ本当にこの
監査
でやっていけるのかなというふうに思うような
監査
なんですが、この
監査
料の国際的なレベルから見た現状を見てどう思っていらっしゃるのか。 それと、昨今のいわゆる不祥事が起きてきている会社ですね、粉飾決算とかその他起きている会社を見ると、どうもいわゆる新興
企業
、いわゆるできたばっかりでまだ売上げもそう大きくない、そういう
企業
と、やたらでかい国際的にも大きな巨大
企業
が粉飾決算を起こしていると。どうもそれ、このいわゆる
監査報酬
の量と何か非常に相関
関係
があるんじゃないかなというふうに思えてならないことがあるんですが、
藤沼参考人
の御
意見
を伺って、私、終わりたいと思います。
藤沼亜起
37
○
参考人
(
藤沼亜起
君)
監査報酬
のレベルというのは、
監査
時間に時間当たりの、これチャージレートと言うんですけれども、単価を掛けたやつ、その合計で決まるわけでございますけれども、
監査
時間についても単価についても、これはアメリカとの比較なんですけれども、両方ともかなり見劣りがするということは事実でございます。 約八千億から一兆円の
企業
についての実績の比較を最近やってみたわけですけれども、時間については約二分の一、単価についても約二分の一というのが数字でございまして、そういう面でかなり日本の方は安いということになっております。 ですから、私の方は、まず単価の方は横に置いて、やはり時間をきちっと増やさなくてはいけないということで、これは私が会長に就任した三年前から国際比較のデータを外にお出しして、やっぱり時間を増やさなくてはいけないと、こういうことを伝えているわけですけれども、時間も増やすのも簡単ではないというところがあるわけですけれども、やはり時間、単価、もうそれぞれやはり上げていかないと、やはり国際的な
資本市場
をつくるというようなところを言っているわけでございますので、やっぱりその重要なインフラである
監査
の水準もやっぱり国際レベルにしなくてはいけないということを非常に実感しております。 あと、
企業
の不祥事が出るというのがあるわけですけれども、
企業
の不祥事というものはそれぞれ
理由
がありまして、
一般
的には
経済
的
理由
が非常に多いと思うんですけれども、やっぱりバブルの崩壊の後、いわゆる不良な資産とか不良ないわゆる事業を引きずっていたところが、それをきちっと認識して損失を認識しなくてはいけないということになって、一応損失の繰延べをやっていたところがついにばれてしまったというようなケース、これは非常に古いパターンで、カネボウみたいなケースだと思うんですね。 一方、新興
企業
、これは、日本のバブルの崩壊後、やっぱり
経済
活性化のためにベンチャービジネスを育てなくちゃいけないということで新興
市場
が出てきた。その場合の上場のルールが、比較的というよりも大分上場のルールが甘かったと。こういう会社は、どちらかというと内部管理
体制
だとか
経営者
のいわゆる
信頼性
とかそういうところに問題があって、いわゆる上場のときに大金持ちになったわけですけれども、株価が維持できない、業績が悪化すると。そうすると、新興
企業
同士でお互いに売上げを付け合っていわゆる粉飾決算を演出したというケースが幾つか出てきたわけです。そういう面で、これら従来から
監査
を受けていないような会社がいきなり新興
市場
のマーケットに出てきたと、こういうようなところがあって、この辺のところで何点かが目立つようになったと。 だから、新興
市場
全体がいけないということではなしに、そこにやっぱりどうしても目立つ会社が出てきたということではないのかなというふうに思っていまして、ですから、
監査法人
もその辺のところは今非常に厳しく、特に仲間内の取引というようなことは、
監査人
だまされるわけですね。ほかの
企業
と売上げを付け合いっこしていて、
監査
の確認書を出しても正しいという数字が返ってくるわけですから、お金も振り込んでくるわけですから。 そういう面ではなかなか手の込んだことをやるわけでございまして、その辺のところは、やっぱり内部統制の
監査
とかそういうことが進むにつれて更に精度は上がっていくのではないかというふうに思っています。 以上でございます。
峰崎直樹
38
○
峰崎
直樹君 どうもありがとうございました。
家西悟
39
○
委員長
(
家西悟
君) 以上で
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。
参考人
の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
参考人
の方々には、長時間にわたり御
出席
をいただき、貴重な御
意見
を賜りまして、誠にありがとうございました。
委員会
を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後三時七分散会