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峰崎直樹君 なぜそういう話を聞いたかというと、
総裁、メーンバンクが、このJALは、
株主というものが物すごく数が多いんですよ、百万人超えているんですよ。たしか一番個人で多い方が笹川さんという方ですね。笹川さんだったかな。笹川良一さんの息子さん、笹川さんとかっていって、衆議院議員を前やられた方でございます。(
発言する者あり)あっ、糸山さんだ、糸山さんですね。笹川さんと親戚だという、ちょっとそっちの方があれだったんですが。非常に多い。だから、ある
意味では日本の
企業に特有な、この
銀行がしっかりメーンバンクだよと。この資本を持っている人たちの集まりがあって、そこで
株主総会がそういう人たちによってコントロールされているという、なかなかそういうものが利きにくい、そういう組織になっていると私は思うんです。
そこで、本当に貸し込んでいる
金額からいけば実質上メーンバンク的な役割を果たしているのが私は
日本政策投資銀行だと思っているんですよ。その
政策投資銀行が、今
総裁が、私は中期経営
計画に対して、いや、これはよくできている、まあよくできているとまで言わないけれ
ども、この
計画に従ってしっかりやってくれればいいですよというふうにおっしゃったんです。で、
経営者が一生懸命努力することが重要だと。いや、それは精神論では構わないんですよ。
私が先ほど、経営不振で再生中の赤字会社で再生
計画を立てるときの原則というのは何なのかと言ったら、保守主義の原則と、こういうふうに通常は言われるんですよ。しかもそれは、このJALの社長さんがアナリストの
説明会でこうおっしゃっているんですよ。過去の中期
計画がことごとく未達に終わった中で、今回の中期経営
計画は保守的に作った。再建のための最低
条件だ。正にそのとおりですよ。保守主義で、とにかくこれだけを、これだけやっておけば、これだけの
計画を立てておけば大丈夫だと、もしそれを上回れば、それはよしとしなきゃいけない、それはいい方へ展開していくんだと、こういうふうにしなきゃいけないんですよ。
そこで、またお手元の資料に戻っていただきたいんですが、「航空運送
事業の営業収入が伸びないと仮定を置いた場合の連結営業利益目標」というのを下に書かせていただきました。つまり、〇六年の
予定、一兆七千九百七十億円、これは基本的には伸びないんだと、伸びないことを前提に置く、これが保守主義だと思うんですよ。いや、そんなことはないよ、
峰崎さん、もう〇六年度営業収入、少し伸びたんだよというふうに言われれば、ああそれは結構と。しかし、また来年はどうなるか分かりませんよ、再来年もどうなるか分かりませんよと、これだけ激しい競争世界ですから。つまり、これから先、二〇一〇年に八百八十億の営業利益を上げようとすれば、まずは営業収入というのは本当に固く見積もらなきゃ駄目なんじゃないんですかということを前提に置かないと、この
計画はちょっと何か
変化が起きればすぐおかしくなっちゃう。また新しい経営
計画の練り直しです。
そういうふうにしないためには、こういう運送
事業である以上は、運送
事業における営業収入を固く見積もる、それをやったときに一体営業利益はどうなるのか。営業
費用は
計画どおりにしたとして、どういうことになりますか。ずうっとこれ赤字になっていくんですよ、〇七年を除いて。そして、
合計をすると、営業利益はどれぐらいになるのかということを上との対比で見ていただくと分かるんですが、二〇一〇年には二百七十億円の赤字になっちゃう。こういうことなんです。保守主義に基づいてその経営
計画を立てるというのは、このことを指すんじゃないでしょうかね。
そして今度は、この会社は、有利子負債、さっき一兆二千
幾らと、こういうふうにおっしゃっておりました。有利子負債、一兆二千
幾ら、いろんなところから借りたやつはそうだろうと思うんですけどね。
この会社には、ちょっと次のページ開けていただきたいんですが、「中期再生プランにおける有利子負債削減
計画」というのが載っております。〇六年度は、
社債・借入等で一兆五百二十億円、これ、削減
計画でこれからどう減らすかということなんですが、リース債務、未認識債務、未認識債務というのはこれは退職給与の引き当て不足、そういったものに対する引き当てであります、で一兆七千二百二十億円です。我々が見たときには有利子負債はこれだけ借金がありますよと、これをずっと減らしていきたいと、こうおっしゃっているわけです。
社債・借入等を減らしていく、そしてリース債務もこれをどんどん減らしていく、未認識債務も減らしていく。
さて、そこで、このいわゆる日本航空というのはこれだけの借金を抱えているところなんですよ。じゃ、順調にこれ減っていくんだろうかねというときに、当然ながら、この一兆七千億円という借金を抱えているがゆえに、どのぐらいの利息が年間払わなきゃいけないのか、二百億円弱払っている。支払利息以外にも航空機材の処分損が毎年大体百億円ぐらい発生すると言われている。どうしても三百億円
程度の営業外
費用が発生するということになっているために、要するに営業利益が三百億円出るということは損益分岐点なんですよ、このJALにとってみれば、借金がありますから。
それぐらいひどい状態になっているときに、どうやって
コストカットをしていったらいいのかということが実は問われているときに、どうも、この二〇一〇年の
事業年度の連結営業利益八百八十億円から逆算をして、どれだけの
コスト削減を求めなきゃいけないのかということを割り返してみると、大体八百八十億円に三百億円の営業外
費用があるということは、実際の利益に直すと五百八十億しか出てこない。本当に八百八十億円を、本当の利益を求めたいと思えば一千億を超える追加
コストの削減が必要になってくるんですよ。ちょっと正確にはあれですが、一千百五十億円というふうに私たち見積もっている。これだけの追加
コストがなければ、実は実質八百八十億円という純粋の利益というのは出てこないんですよ。
今、日本航空の販売費及び一般管理費は連結で二千五百六十六億円なんです。二千五百六十六億円、販売費、一般管理費のうち一千百五十億円の
コストカットをしなきゃいけない。これが実はその実態なんですよ。
そうしたら、基本給一〇%カットだとか、五万人を超えている従業員の四千三百人のカットだとか、私も労働組合出身ですから、労働者の首切れとか労働者の賃金を下げろなんというのはなかなか言いづらいことですよ。しかし、今再生で、要するに破綻しようとする、おそれもあるかもしれないと言われるような
企業の再建
計画を立てるときに、今申し上げたようなレベルのカットの仕方で本当にこれ実現できるんだろうかと、できないんじゃないですかと。
その
意味で、もう
一つ、実はこの退職金あるいは退職年金も含めてどのぐらいの、いわゆるこの方々が、労働者がもらえる、そこの従業員がもらえる
金額になっているかというと、約一兆円ですよ、これ。そうすると、この間も何か部長クラスの人が辞めるときに八千八百万円の退職金をもらうというような話がちょっと
新聞報道に出ていましたけれ
ども、本当にこの会社は再建しようという気があるのかなと思えるような、そんな生ぬるい、いわゆる人件費カット、
コストカット、こういう状態になっているんじゃないかと思うんですが。
総裁、今私の話を聞いていて、いや、それは君ひどいよと、そんなことはできないよと、こうおっしゃられますかね。それとも、やっぱり破綻懸念になろうとする
企業であればそれぐらいはしなきゃいけないねと、そして良くなったらボーナスを増やしたり、労働
条件を上げるということだってあっていいじゃないかと、こういうふうに
考えるのが普通、保守的な観点に立ったときの再建の
在り方だというふうに思いませんか。
総裁、どう思われますか。