○
西田実
仁君 公明党の
西田実仁でございます。
今日は、
FRC報告ということで、まず総論的に
大臣にお聞きしたいと思っております。
この
FRC報告が
国会で
報告される根拠となっている
金融機能の
再生のための
緊急措置に関する
法律ということで、その
法律自体は
金融機能の
再生ということがもちろんテーマになっている、そういう
法律に基づいての
FRC報告でございます。
もう私が言うまでもないことではございますけれ
ども、そうした
金融機能の
再生ということをテーマにしながら、では一体今、
金融機関の
経営がどういうふうになっているのか、またその下での地域での事業
再生というものがどういう方向に進んでいるのかということについて幾つかお聞きしたいと思っております。
今、御承知のとおり、預金金利は実質ゼロ状態まだ続いているわけでございますけれ
ども、貸出し金利、長期で見ますと、今年に入りまして都銀で一・八%台、地銀で二%台に乗せております。長期貸出し金利と預金金利を比較した単純な預貸金利ざやは二%近いわけでございまして、そういう
意味では過去に比べて大変大きな利ざやになっているというのが現状でございます。一方、この長期貸出し金利は国債利回りを上回っておりまして、リスク回避のための国債保有増から、これまではそういう傾向がございましたけれ
ども、リスク、リターンの見合いで貸出しを増やしていくという方向に
銀行行動がシフトしていってもおかしくない状況にあろうかと思います。
しかしながら、日銀の貸出・資金吸収動向等を見ますと、都銀の貸出し、平残ですけれ
ども、前年比ゼロから一%程度の増加であると。また、地銀の方は二%後半から三%近い伸びというふうになっているわけでありまして、流動性が非常に潤沢である、また超低金利の資金調達コスト、また経済活動が
活性化してきていると、こうした経済的な背景から考えますと、
銀行貸出しは過去にない非常に低い水準ではないかというふうに私自身は見ているわけでございます。
こうしたことを今お手元に配らせていただきました数字で確認をちょっとさせていただきますと、細かい数字が一杯出ておりますけれ
ども、鳥瞰図的に見た
銀行経営ということで、私が得々と言うまでもないことなんですけれ
ども、一応確認させていただきますと、この表は日銀の民間
金融機関全体での
銀行勘定から幾つかの指標を取り出したものでございます。一九九五年の一月から月次ベースで月末ごとに、直近は二〇〇七年の二月末までの数字をざっと書いてございます。
一番左にある総
資産を見ていただきますと、この十二年ぐらい余りの間でピークはどこだったのかといいますと、太い字で書いてございます九七年の十二月末、七百八十七・八兆円、これが民間
金融機関の総
資産のピークでございました。その後、
銀行の大型倒産などを経て、二〇〇七年の直近二月末には七百四十四・四兆円まで縮小してきているということが分かるわけでございます。
この総
資産のうち、では貸出金はどこがピークかと申しますと、やはり九七年十二月の四百九十三兆円、これが最高になってございまして、直近の二月末では四百九兆円に縮小しておりまして、総
資産に占める貸出しの割合、このピークは実は九五年の一月で、一番表の上になりますけれ
ども、六五%が最高でございまして、直近はではどうなっているかというと、五五%になっていると。この十二年ぐらいの間に民間
金融機関、鳥瞰図的に全部見ますと、貸出しの総
資産に占める比率は一〇%ポイント下がってきているということでございます。
この間隙を埋めたのが正にその隣にございます国債の保有でございまして、国債の保有はどんどん増えていく中で、二〇〇四年の四月、太い字で書かせていただきましたけれ
ども、百兆円を超えまして、百八兆三千億円になりました。総
資産の比率は当時一五%まで高まったわけでございます。若干最近下がってきておりますが、一二%ぐらいを総
資産の中で国債保有
残高が占めている。
これが
資産面でございまして、一方、資金調達面を見ますと、その右側に更に作らしていただきましたけれ
ども、いろいろとございますけれ
ども、顕著なのは定期預金が大変に減ってきているということでございまして、一九九五年の六月末がピークだと思いますが、定期預金、右側に太い字で三百十四兆円、この負債・自己資本
合計に占める比率は四三%でございましたが、直近では二百二十六兆円、その負債・自己資本比率に占める比率は三〇%。ピーク時は四三%あった定期預金が今や三〇%になってきていると。この
資産、負債両面でのこの十二年間での数字をたどってまいりますと、このように概略言えるんではないかというふうに思います。
その上で、三点ほどこの十二年間の
銀行経営の変化ということについて、特に
金融機能の
再生ということがテーマであることから私なりにまとめてみますと、一つはやはり
銀行は萎縮しているということだと思います。
不良債権問題に懲りて貸出しなど積極的な
信用創造活動ができていない。そのため、貸出しはかつての最高水準を大幅に下回っている。昨今、貸出しが増えてきたといっても、恐る恐る増えてきている程度にすぎませんで、新規事業や新規顧客の開拓がおろそかになっているのではないかという点が一つ。
二つ目には、
資産を切り離しているということでございます。定期預金の急激な減少というのは、ゼロ金利あるいはたんす預金の増加など
金融不安時代の後遺症もあろうかと思いますけれ
ども、今
銀行は積極的に預金、
銀行にとっては有利子の負債ということになりますけれ
ども、これを切り離して身軽になろうとしているということがうかがえるんではないかと思います。
そして三点目には、今この十二年間の変化では、手数料ということを稼ぐという
意味での非常に
銀行が代理店化しているんではないかという点でございます。預金を切り離すに際して、他の
金融資産への乗換えを奨励をしてきておりまして、典型は投信でございます。投資信託への乗換えということを大変に奨励をしている。これは、顧客の
資産が
銀行預金から投信に乗り換えれば、
銀行にとっては自己の負債圧縮ができる。一方で、投資信託の委託
会社から手数料収入も期待できるということであります。ある
意味でのリスクで手数料収入が入るということでありまして、損保の代理店よりも非常にいいんじゃないかと、楽じゃないかというような批判も聞かれてきているわけでございます。
るる三点、今申し上げさしていただきましたけれ
ども、結局、本来の
銀行とは一体何なのかというところに問題は帰着するんだと思いますし、また
金融機能の
再生ということがテーマになってきている以上、今このいろんな変化を見ていただきましたけれ
ども、そもそも日本の
銀行の基本的な欠陥と言われていたのは審査機能に欠けているんではないか、またそれゆえにリスク見合いでリターンの良い融資活動が余りできてないんじゃないかというところに本来問題点があったんだろうと思っております。
金融庁などの非常に厳格な審査で
不良債権が大変に縮小して、
金融機関としての倒産を免れた
銀行も数多いというふうに思うわけでありますけれ
ども、その後、せっかくそうやったにもかかわらず、
銀行経営は何か代理店
業務ばかりに専念しているかのように私には映るわけでございまして、もっと
銀行としての積極的な活動、すなわち新規顧客の開拓、また融資、こうしたことをやっていかなければ、何のために救済をしたのかと、
銀行を救済したのか。また、
銀行が
健全化したその恩恵に一般の庶民やまた中小企業が浴していないんではないかというような問題意識を大変に私は持ってございまして、長々と申し上げましたけれ
ども、これは大変に大きなテーマです。総論的ですけれ
ども、
大臣にこのいろんな数値を追いながら御所見をお伺いできればと思います。