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峰崎直樹君 それでは、あと十分間しか残りませんので、今度は
格差の問題について、資料をまず見ていただきたいなと思います。
四ページ。一ページから三ページまではこの間の日興コーディアルの
流れを、これはおさらいをいたしませんので、これはまたいつか別に見てください。
この間、
格差問題がこれから非常に大きくなるということを、私なりにも資料その他を見させていただきました。
一番最初に、四ページの上に出ていますのは年齢別のジニ係数の推移です。すなわち、これまでは、いや、
格差は拡大しているというけれども、これは高齢化しているからそうなんだと、こういう要因だったんです。ところが、二〇〇五年という数字が出てまいりまして、一番直近の数字ではございますが、その数字を見ると、二十五歳未満あるいは二十五歳から二十九歳のところはジニ係数が上がってきているわけですね。これはもちろん再分配前の実態だったようでございますが、その意味で高齢化に匹敵するぐらい、若年層が非常に拡大しているというのが出てきております。
それから、下の数字は、税経通信に載っていた数字で面白いなと思ったんですが、一九九七年から二〇〇一年にかけて
アメリカで発生した労働所得増加分の所得階層別のシェアということで、何とその一番てっぺんのちょっとやや左に九九・九から一〇〇%、すなわち〇・〇一%の方々で七・七%の労働所得を取っている。あるいは、一%以上になってくると、〇・一%以上になってくると、一六・二と七・七を足したらもう約四分の一は一%の人が取っていると。
同じことを実は今日は、もうばたばた何度も言うんですが、先日、国税庁長官官房企画課から申告所得税標本
調査という、私も、ああ、これはいいことを去年
指摘しておいてよかったなと思ったんですが、税金の高額所得者を公表するのをやめた。そのために、これは実態が分からなくなったら困るぞということで、この所得種類別に、階層別にどのぐらいいわゆる所得階層が分布しているんだということで、この中身で見ると、
株式の譲渡益というのが、譲渡所得というのがすごいなというのが改めて分かったんですけれども。ずっと
株式譲渡益のところに、金額は、これは税金じゃありませんので、譲渡所得が二兆六千五百十一億八千三百万円、この金額の人数が三十一万四千百六十三人なんですけれども、そのうち百億円を超える譲渡所得を取った人が七人、金額にして二千億と。こういうような、まあ細かいことはこれ以上言いませんが、本当に所得が
経済をいわゆる自由な
経済というか、小泉・竹中路線が進めてきた
経済成長至上主義というふうに私ども時々言うんですけれども、その結果、
アメリカでどんなことが起きているのか、
日本ではどんなことが起きてきているのかということは、本当に
格差がどんどん拡大をしてきているということを私自身もこの数字を見ることはできるんですが。
五ページ以降は、
日本の所得税、住民税、社会保険料
負担の実態ということで、これは所得階数を一から十分位まで分けて、これは個票を使って分析されているんですね。一橋
大学の田近
先生外
財務省の総合研究所でやっていらっしゃいます。
この数字、全世帯というところを見ていただくと分かるんですけれども、平均世帯の所得が五百八十万。税
負担というところで所得控除率というのは、その五百八十万のうち全部のその所得控除になっているのは何割あるかと、六一%。
課税されるのは三八・七%だということですね。非常にもういわゆる
課税ベースが少なくなっているということ。
そして、見ていただきたいんですけれども、租税
負担率というのは、まあ一分位なんかはもうゼロですからいいんですけれども、十分位のところだけがぽんとはね上がるようになっている。しかし、これはあれが入ってまいりませんね、勤労所得を中心にしたものしか入ってないはずですが。
隣に社会保険の
負担率を、
負担を見ていただくと、一分位からも間違いなくこれはばっちり取られるわけでありまして、社会保険の
負担率は〇・〇七三、七・三%ということでございます。ごらんになっていったら分かるんですけれども、一分位の一番低い人の社会保険料
負担率は〇・一二一です。一二・一%です。ところが、ずっとこれが下がってまいりまして、一番高い十分位は〇・〇六三と。要するに、社会保険料というのは、定額制、医療費なんかも
国民健康保険とか上限がストップされているものですから、非常に逆進性がこれは高いということを表しているわけです。税と社会保険の
負担率はどのぐらいになっているかということを一番右端に出ておりまして、本当にこの低額所得者の方々は、これは本当に、言ってみれば所得再配分機能が全く効いてないということを示しているんじゃないんだろうか。
本当は一、二、三、その後の次のページも
説明したいんですが、もう
一つずらずらと
説明させていただきます。
一番最後の八ページ見てください。今度は低所得者の純所得移転ということで、OECD各国で五分位に分けて、一番低い人たち、まあもう低所得者ですけれども、この方々にどれだけの所得移転が行われているのかというのを調べたわけです。スイスが正にゼロという
状況になっているんですが、
日本は、
負担は右側の方ですね、直接税、社会保険料、所得移転が左なんです。この所得移転の大半は年金だと言われています。つまり、階層別のいわゆる所得移転が行われているんです。世代間のいわゆる移転なんですね。世代内の移転というのが全くといっていいぐらい効いていないと、こういうふうに言われています。
ジニ係数、調べてみると、税による所得再配分機能というのは極めて最近は落ち込んでいる、これも本当は
財務大臣に聞きたかったところなんですが。社会保障におけるジニ係数が、比較的その再配分を機能しているんですが、それはもうひとえに年金なんですよ。年金は実は世代間の助け合いになっていますから、世代内では全く効いてない。こういうことを実はこの表は表しているんですが、これは私がぐじゅぐじゅ言ってもしようがないんですが、そういう
格差がもたらされた現実社会で何が起こっているのかということは七ページ見てください。
教育です。
これは耳塚さんというお茶の水
大学の
先生が、学校外
教育費支出月額別の算数学力の平均値、これは学校
教育以外ですから、塾、家庭教師、こういったもので、これは小学校六年生の平均値です。人口二十五万都市で六千人ぐらいを対象にしたとおっしゃっていますが、ごらんになっていただいたら見事に相関しているんですよ。
お金がある人は塾や家庭教師にあり付けるから、数学の成績ですけれども、これは七十八・四点取っていますよと。全く掛けない人は三十五・何ぼですよと。
それから、その次のページ見てください。世帯所得別の算数学力の平均値、これを見ていただいても、一千万円以上あるいは近くなればなるほどこれは上がっていく。それから、母親の学歴別・世帯所得別の算数学力平均値、何で母親取ったんだというのはいろいろあるかもしれませんが、これは今日は時間ありませんので、円さんにいつか
説明したいと思いますが、その数字を見てください。はっきりと、いわゆる一千万円以上で母親が大卒である方が一番いわゆるこの学力が高いというんです。
そして、家庭学習時間帯別・世帯所得別算数学力の平均値を見ていただくと、これもいわゆる一千万円以上の人たちのところがいわゆる百二十分、時間多くて結構高くなっていると。
教育というのは、正にどんな人間でも学力を付けて、そしてその所得
格差を是正するために、スタートラインとしては、
教育によって貧困層も実は富裕層も同じ条件で頑張っていける条件がそれだと言われていたのに、明らかにもう階層別消費がもう始まっているんじゃないですか。
つまり、私学に行かせる、塾やそういったところに行く、そういった人のところだけがどんどん伸びていく。いや、時によっては
アメリカに留学させる、高校
時代から、英語がもう非常に重要だから。そうすると、その人はもう初めからハンディキャップとしては高いわけですよ。ということは、いかにこの所得再配分機能をきちんと持って、そしてこういう学力、
教育にきちんと付けていかなければ、私は
日本の
格差問題というのはますます深刻になっていくということの本当は今日は論戦をやりたかったんですけれども、一方的な
説明だけに終わってしまいました。時間が限られています。また、これは
財務大臣、
金融担当
大臣、是非まだこれから
議論ありますからしっかりと、参議院は
議論をする場でございますので、そういった点について
指摘をさせていただいて、今日は私の
質問を終わらせていただきたいと思います。
どうも御清聴ありがとうございました。