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2007-04-24 第166回国会 参議院 国土交通委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年四月二十四日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十九日     辞任         補欠選任         松下 新平君     加藤 敏幸君  四月二十日     辞任         補欠選任         林 久美子君     羽田雄一郎君      風間  昶君     魚住裕一郎君      亀井 郁夫君     後藤 博子君  四月二十三日     辞任         補欠選任         渕上 貞雄君     近藤 正道君  四月二十四日     辞任         補欠選任         近藤 正道君     渕上 貞雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大江 康弘君     理 事                 末松 信介君                 脇  雅史君                 藤本 祐司君                 山下八洲夫君                 谷合 正明君     委 員                 市川 一朗君                 岩井 國臣君                 太田 豊秋君                 小池 正勝君                 田村 公平君                 藤野 公孝君                 吉田 博美君                 加藤 敏幸君                 北澤 俊美君                 輿石  東君                 田名部匡省君                 羽田雄一郎君                 前田 武志君                 魚住裕一郎君                 小林美恵子君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   冬柴 鐵三君    副大臣        国土交通大臣  渡辺 具能君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       藤野 公孝君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        国土交通省総合        政策局長     宿利 正史君        国土交通省住宅        局長       榊  正剛君    参考人        社団法人全国中        小建築工事業団        体連合会会長代        行        青木 宏之君        弁護士      犬塚  浩君        明海大学名誉教        授        松本 光平君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○特定住宅瑕疵担保責任履行確保等に関する  法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 大江康弘

    委員長大江康弘君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、松下新平君、亀井郁夫君、林久美子君、風間昶君及び渕上貞雄君が委員辞任され、その補欠として加藤敏幸君、後藤博子君、羽田雄一郎君、魚住裕一郎君及び近藤正道君が選任されました。     ─────────────
  3. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  特定住宅瑕疵担保責任履行確保等に関する法律案審査のため、本日の委員会国土交通省総合政策局長宿利正史君及び国土交通省住宅局長榊正剛君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 特定住宅瑕疵担保責任履行確保等に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 小池正勝

    小池正勝君 おはようございます。自由民主党の小池正勝です。  今回の瑕疵担保法案の質問をさせていただきます。  この問題は、一昨年、姉歯事件、それからいわゆるヒューザー事件構造計算書の偽装問題というのが発覚したのが十七年の十一月でございますからちょうど一年半が経過しておると、そんな状況になっているわけです。この構造計算書の偽装問題ということによって、国民建築物であるとか不動産であるとかそういうものに対する信頼耐震性への不安ということが大きく広がって、不信というのが大きく広がったということであって、非常に罪の重い事件であったと思うんであります。  政府の方はこれの対応として、まず百六十四国会、昨年の通常国会建築基準法の一部改正をやった。一つは、この構造計算適合性判定を導入した、あるいは中間検査強化をした、民間の建築確認検査機関への監督強化した等々の建築基準法改正を行って、言わばその確認手続厳格化ということを一つ行ったと。これが通常国会での仕事であったわけです。  そして、昨年の臨時国会では、今度は、悪いことをした建築士、悪いことをしないようにしようというので、建築士の能力の向上ということで、研修の強化であるとか、受験資格強化であるとか、あるいは構造設計一級建築士とか設備設計一級建築士というのを新たにつくってチェックというのを厳格化した等々の改正を行ってきて、そして今回が第三弾目の改正ということになるわけですが。  昨年の臨時国会のときにも私質問させていただきましたが、そのとき冬柴大臣もおっしゃっておられましたけれども、第三弾目、つまり建築基準法確認強化した、それから第二弾目で建築士に対する責任強化を図った。あと残された問題は被害補てんなんですということをおっしゃっておられて、その被害補てんというのは、次の通常国会でこの瑕疵担保責任法案として出しますよということをおっしゃっておられて、正にそのお約束、公約を果たされたというのがこの法案なんだろうと思っていまして、これで、第一弾、第二弾、第三弾ということで、一つここで完結するのかなと、こう思っているんですが。  そこで、まず冒頭大臣にお伺いしたいんですが、この住宅とか不動産とかいう買物は我々国民にとりましては大変高価な買物であります。一生かかって買うものであります。言わば一生一度の買物です。こつこつこつこつ働いてこつこつこつこつお金をためていってようやっと買える。マイホーム家族団らんというのを夢見てようやっと買えた、それがこのマイホームの夢。その夢を、本当にごく一部の、不動産業者であるとか建築士であるとか建設業者という本当に一部の一握りの悪い人によって一瞬に打ち砕かれたというのがこの事件だろうと思っております。  こんなことは許してはならないわけですが、そのときに正に消費者信頼が完全に打ち砕かれ、損なわれてしまったわけですけれども、今回のこの第一弾、第二弾、第三弾ということで、この三つの改正によって、正に大臣おっしゃっておられる消費者保護ということ、その観点からの改正だと思うんですけれども、これによってこの不動産取引安全性であるとか建築とか不動産というものに対する信頼の回復というのはどのように図られると、まず冒頭大臣にお伺いしたいと思います。
  7. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) もう小池委員がおっしゃるとおりでございまして、一生に一度、何度もない買物でございます。家族を挙げて、非常に楽しみにし、そしてまた一生で一番長くいるところですし、そこで子供を産み育て、団らんの場でもあるわけです。そういうものが地震で壊れる可能性があるという大変ショッキングなことが起こるということは許されないことでありますし、地震といってもそれが普通であれば壊れないものが、そういう関係者故意、過失というようなことでそういうことが起こるということは全く許されないことだと思います。  したがいまして、我々としては、このような建物につきまして、建築基準法というものも改正をし、そして二重にチェックをしようというようなことをいたしました。また、建築士法というものを改正もいたしまして、今まで下請というような形で無責任に、責任の所在が不明確になっていた、だれがしたのかということが、ユーザーにとってどういう建築士がかかわったかということも分からなかったということも改めるということもいたしました。  そして、最後に残るのが、そういうことであったとしても、売買の場合には隠れた瑕疵、表から見ても分からないきず、それは非常な重大なきず、それからまた建築の場合は瑕疵ですね、あるべき姿でなかったというようなものにつきまして十年間ですね、売買とか引渡しを受けて十年間それを担保する責任があるんですけれども、十年というと非常に長いものですから、その間に売主なり建築業者倒産をするとか、あるいは悪意で逃げるというようなことになった場合であっても、その資力をあらかじめ担保しておいて、そのような、まあ万々ないと思いますけれども、そういうことが起こった場合にはそれの制度で完全に救済がされるというような制度をきちっとやっぱり整えるべきであるということで今申し上げたような法の改正等をさしていただいたわけで、また創設をさせていただくわけであります。  この法律自身はそのような意味がありますし、ただ、中小建築業者とかあるいは宅地建物取引業者については、一般的に、そういうものに対する信用が地に落ちてしまったものですから相手にされなくなってしまうと。しかしながら、こういう制度をつくることによって、それが大会社であろうが中小会社であろうが引き渡されたものについては十年間きちっと担保するんだという保証をすることにより、中小業者の方も大会社とともにこのような供給する業務を行うことができるというような意味もございまして、今回この法律を提案をさしていただいているものでございます。
  8. 小池正勝

    小池正勝君 それでは、細かなところに御質問させていただこうかと思うんですが、まず、この法律を読ましていただきますと、第二条で「この法律において「特定住宅瑕疵担保責任」とは、住宅品質確保法第九十四条第一項又は第九十五条第一項の規定による担保責任をいう。」と、こう書いてあります。ですから、ここで言う担保責任というのは、住宅品確法対象住宅のみが今回の対象だと、こう考えてよろしいんでしょうか。
  9. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 御指摘のとおり、品確法に基づきまして十年間の瑕疵担保責任を課される新築住宅のうち、この法律案では、宅建業者売主になるものとか建設業者工事請負人になるものについて資力確保の義務付けを行うこととしております。したがいまして、宅建業者が買主であるとか発注者ですという場合には、これらの取引専門家専門家取引ということでございますので、実は品確法対象にはなるんですが、この法律対象にはならないと。でも、ほとんどは委員指摘のように品確法対象物件がこの法律対象物件になっている、こういうことでございます。
  10. 小池正勝

    小池正勝君 そうしますと、すべての新築住宅対象にはならない、こういうことになるわけですが、その際に、今おっしゃった専門家同士売買というのは、これは消費者保護観点からすると少し別ですから、それはそれでいいんですが、消費者との関係品確法対象にならないもの、今回の法律対象にならないもの、これはないんですか。
  11. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) そういう意味では、ないというふうに考えております。
  12. 小池正勝

    小池正勝君 この法律を読ませていただきますと、建設業者、今局長さん御答弁いただきましたが、建設業者とか宅建業者消費者に売った場合が対象だとおっしゃいました。しかし、建設業者というのは千五百万円以上の工事をやる者が建設業者ですね。
  13. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 建設業許可を取った者を建設業者という意味で言えば、そういうことでございます。
  14. 小池正勝

    小池正勝君 ということは、千五百万円以下のものだけを専門に造っている建設業者さんが仮にいたとした場合、これは中小の場合はあり得ると思うし、地方では千五百万円以下の住宅というのは現にあるわけでございますけれども、それは担保責任は問われないんでしょうか。
  15. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 建設業法の場合ですけれども、御指摘のようにその千五百万円以下というのは許可を取らなくてもいいということになっておりますが、実態は、ほとんどそういう方は建設業許可は実は取っておられるというのが実態でございます。ただし、許可を持っておられない方は、まあ個人がということになりますので、そういう場合は、極めてレアケースであるかとは思いますが、確かにこの法律対象にはなっていないということでございます。
  16. 小池正勝

    小池正勝君 千五百万円以下の住宅建物だけで千五百万円ですから、そういう住宅というのは結構あると思うんですよね。正にこつこつこつこつためたお金でようやっと買う住宅として千五百万円以下の住宅というのは、ないとは言えないと私は思うし、そのときに、建設業法対象でないから、建設業法上は対象ではありませんが、この瑕疵担保対象にならないということで果たしていいんだろうか。逆に、その小さな住宅、逆に言うと中小業者の方ということになりますが、この方の方にもつながっていくわけですし、もちろん消費者の方にもつながるわけですけれども、この部分についてどうお考えになりますか。
  17. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 先ほど申し上げましたけれども、現状で申し上げますと、千五百万未満の工事を主にやっておられるような方につきましても実は建設業許可を取っておられます。と申しますのは、かつて住宅金融公庫がございましたときに、住宅金融公庫の融資を受ける際には建設業許可を取っておいた方がいいですよというような推奨があったために、多くの中小の方は建設業許可を取っておられます。したがいまして、委員の御指摘も実はもっともではございますが、ほとんどの場合は建設業許可を取っておられるというのが実態でございますので、この法案に関して申しますれば、委員の御指摘も事実ではございますけれども、ほとんどの場合はきちっと対応なっているんじゃないかというふうに考えているところでございます。  ただ、一つだけ申し上げますと、例えばログハウスみたいなものがあって、それだけを専門にやっているというところがもしあるとすれば、そのログハウスというのが多分千五百万を超えるケースは非常にまれかと思いますので、そういう場合には委員の御指摘が事実かというふうに思っているところでございます。
  18. 小池正勝

    小池正勝君 もうこれ以上は申しません。  いずれにしても、千五百万円以下の住宅というのは、現に地方では結構あります。法律上それが対象にならないということもこれまた事実なわけですね。それを、だからいいというんではなくて、むしろそういう部分についてもきちっと監督していってほしいということを私、是非お願いしたいと思っていますが、大臣、いかがでしょうか。
  19. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) これはこの法律適用がなくても、民法あるいは品確法適用がありまして、十年以内にそれが倒産するかどうかというところ、それからもう一つは、非常にこの法律適用されるという場面というのは非常にレアケースだろうと思います。  したがいまして、私どもといたしましては、この建設業者が供給したもの、あるいは宅地建物取引業者売買をしたものについて十年間は保証しますよという安心料といいますか、生命保険を掛けるようなものでございまして、それが掛かっていない部分がそういうふうにして存在するということは委員の御指摘のとおりだろうと思います。
  20. 小池正勝

    小池正勝君 それでは、次にお伺いしたいのは、今回瑕疵担保責任を問うわけですけれども、供託と保険となっておりますが、まず今回の事件、一昨年の事件ですね、姉歯事件それからヒューザー事件というのは正に悪意といいますか、重過失というか、まあ刑事事件ですから正にそういうことだと思いますが、まずこの保険の常識からいいますと故意とか重過失というのは保険対象にならないわけですけれども、まず今回のヒューザー事件とか姉歯事件というのはどうお考えになりますか。
  21. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 委員指摘のように、一般的に保険ということになりますと、故意重過失対象にならないということで、保険理論としてはそういうことかと思っております。  私どももこの制度を創設する際に保険制度を検討いたしました。その際考えましたところは、実はヒューザー事件ヒューザー倒産したがゆえに建て替えについてみんな困っているんだと。にもかかわらず、故意重過失対象にならない保険をつくって意味があるのかという別途の思いもございまして、きちっとした保険をつくると、保険料に即した保険をつくると同時に、故意重過失にも対応できるような保険でなければならないだろうというふうに考えまして、それが対応できるような形で今回の法案という形で出してきたわけでございます。  そういう意味でいいますれば、例えば金融庁が所管する保険ということであれば、委員指摘のような保険になるということでございますが、故意重過失にも対応するというために、実は金融庁監督する保険ではない保険という形で構成をさせていただきまして、したがってそういう保険会社について国土交通大臣監督をするというようなことも入れまして、そういった意味故意重過失にも対応するような保険という形で構成をさせていただいたわけでございます。
  22. 小池正勝

    小池正勝君 今のお話は、このヒューザー事件姉歯事件というものは正に故意又は重過失なわけですから、従来の保険ということになると全く対象にならない。そうすると、被害者救済ということからすれば、一番大事な事件なのに対象外になってしまうと、こんなおかしな結果になってしまいます。ですからここは、今おっしゃったお話は、ですから一般の保険とは違う形の保険をつくるんだと、こういう理解でよろしいんですか。
  23. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 委員指摘のとおりでございます。
  24. 小池正勝

    小池正勝君 具体的にはどういう手続になるんでしょうか。
  25. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 具体的には故意重過失関係がない、言わば故意重過失でも払えるという形の保険という形で構成をしてございます。  具体のことで申し上げますと、故意重過失分というものは、実はこの新しく指定します保険法人基金をつくっていただきまして、故意重過失分についてはそちらの方の基金対応していただくと、故意重過失以外は保険法人が自分の保険料の中できちっとやっていただくということを基本としています。  今、別に法人ができていませんので制度設計について議論はあると思いますが、実は損保会社さんと話をいたしましたところ、そういう故意重過失を除いたような保険であれば、その部分については再引受けを現在の損保会社さんがしてもいいよという御回答をいただいていますので、恐らく制度が実行されるときには、その保険法人の中の故意重過失分は彼らの持っているところの基金で、それ以外の部分については損保会社の再引受けというような形で構成されていくものだというふうに考えております。
  26. 小池正勝

    小池正勝君 被害者救済というお話からすると、正にこの故意重過失のものが救われないというのでは話になりませんから、これはもう一歩前進ということになると思うんですが、一方で、何でも救うということになりますと正にモラルハザードという問題が出てくるわけですが、それへの対応はどうお考えになっておられますか。
  27. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 実は、故意重過失の場合でございますけれども、売った宅建業者若しくは造った建設業者が生きている場合は、実はもう売主瑕疵担保責任を、故意重過失でございますのでその方にやっていただくというのが原則にしたいと思っています。  ヒューザーのように、故意重過失の方が倒産をして、いないという場合に初めてこの保険が動くというような形でモラルハザードを救いたいというふうに思っているところでございます。
  28. 小池正勝

    小池正勝君 今おっしゃられた、基金をつくってそこからお支払いするというお話ですが、具体的にその基金規模とかというのはもう設計しておられるんでしょうか。
  29. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 実は、まだ保険法人もいないわけですので、きちっとした設計ができているというわけではございませんが、私どもの方の試算で申し上げれば、一件当たり五百円ないし千円ぐらいを保険料から供出をしていただいて、その部分基金として積み立てるというようなことを考えておるところでございます。
  30. 小池正勝

    小池正勝君 五百円というお話ですが、このヒューザーとか姉歯事件、何百億という被害が出ているわけですね。それへの対応として五百円で、たちまち来年、まあこんなことがあってはなりませんが、そんなことが起こったときに対応できますか。
  31. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 実は、例えば平成十八年度で申し上げますと、住宅新築戸数着工戸数が約百三十万戸近い、百二十八万とか、たしか年度でいいますと百二十八万五千でございましたでしょうか、そういう感じになっております。それで、仮にその七割から六割ぐらいが保険対象になるといいますと八十万戸になります。五百円に八十万戸を掛けますとそれだけで四億円になります。十年間で申し上げますと四十億円と、こういう基金になりますというのがまず一つでございます。  それから、先ほど委員も御指摘をされましたが、さきの通常国会におきます建築基準法等改正、それから建築士法改正を考慮いたしますと、例えばマンションですと、中間検査もやりますし竣工検査もやりますしピアチェックもやりますと、戸建てについては、審査省略も見直して構造部分については審査対象にしますと、こういうこともやっておりますので、今までと比べれば格段に厳格な審査体制が取れているということも考慮しますと、故意重過失というのは極めてレアケースだと。  先ほど申し上げましたように、基金として十年間を見れば四十億円ぐらいは積み上げられるのではないかと私ども思っておりますので、それで十分対応できるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  32. 小池正勝

    小池正勝君 是非、被害者というのは罪がないんですね。今回の姉歯事件でもヒューザー事件でもそうですが、罪のない被害者の夢、これを打ち砕いた責任は非常に大きいというのがもう原点だろうと思うんですね。ですから、被害者救済に欠けることがあってはならないということがすべてだろうと思っているんです。  先ほど、千五百万円以下の住宅お話も言いました。それから、これから故意重過失で仮に、こんなことがあってはなりませんが、万が一また同じようなことが起こったとしたときに、それは将来、二十年後、三十年後というなら基金規模ができているかもしれませんけれども、たちまちというお話になると、これは何百億の対応なんというのはまず不可能なんでありまして、そのときに被害者保護というのに欠けるところがあってはならないということだろうと思うんです。  もう被害者救済をとにかく第一に考えるということでお願いしたいと思うんですが、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  33. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) もうおっしゃるとおりでございまして、このような制度をつくっていただきましたので、もし基金に資金の不足が生じた場合には、どこからでも持ってきてでも補てんをいたします。
  34. 小池正勝

    小池正勝君 大臣の力強いお言葉をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。  それでは、この法案お話はおきまして、そもそも姉歯事件ヒューザー事件についてのその後をお伺いさせていただきたいと思います。  あのときの問題になったのは分譲が十二棟で賃貸が七棟だったと思います。賃貸の方は進んでおるようですからこれはもうよろしいんですが、分譲の十二棟、もう発覚してから一年半たつわけでございますけれども、そもそも建て替えに着手した、建築工事に着手した、何棟あるんでしょうか。
  35. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 建築工事中のものは一棟でございます。それから、十二棟ございますけれども、一棟については耐震改修の方にいくということで建て替えではございませんので、それについては建築中といいますか、改修工事中という形になっております。
  36. 小池正勝

    小池正勝君 一年半たっておるんですけれども、なかなか進んでいないというのが今の状況だろうと思うんですが、今の状況からすると、十二棟のうち二棟とおっしゃったんですかね、が建築工事といいますか、の方にいっていると。逆に言うと、残りのものというのは進んでいないと、こういうことでよろしいんでしょうか。
  37. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 実は、既に除却工事に着手しておりますものが四棟ございます。それから、建て替え決議が済んでおりますのが四棟ございます。という意味で申しますれば、八棟が建て替え決議が行われていまして、四棟が除却工事中、建築中が一棟と、こういう形になっております。  それから、建て替え決議がまだできてはいないんですが、既に先行的に一部除却工事を完了しているのが一棟ございまして、これにつきましては、いろいろ別途問題がございまして、ヒューザーさんの方が売り切れてなくて残っている物件がありまして、その部分の価格をめぐって居住者の方と破産管財人が交渉中という事情がございまして、まだ建て替え決議にまで至っていないというところがございます。  残る一棟でございますけれども、隣地の敷地と一緒に改修工事といいますか、建て替えをした方がよりいいマンションが建て替えられるんじゃないかということで、隣地の方と居住者と協議をされておられまして、これについては近々そのめどが立つというふうに私ども聞いておりますので、そういった意味で申しますれば、すべて建て替えに向けて動いている。それから、残りましたヒューザー以外の一棟がございまして、そのヒューザー関係は十一棟、それからそれ以外は一棟ございます。これは建築主が建て替えで検討するというふうに言っておりますので、そういった意味では、建て替えに向けましてほとんど具体的な動きになっているというふうに私どもとしては考えておるところでございます。
  38. 小池正勝

    小池正勝君 今のお話は、十二棟のうち二棟はまだその話合いが、合意ができていないと。残り十棟は、全部足し合わせれば四棟、四棟、二棟、十棟ですね、十棟は動き出していると、こういうことをおっしゃったと思うんですが、残り二棟は、今のように隣地との関係とかというお話をおっしゃっておられて、理屈といいますか、障害があるわけですけれども。  いずれにしても、もう一年半たっておるわけでございまして、その間ずっと居住者、消費者の方、購入者の方は不安定な位置に置かれているわけですから、将来の設計も立たなくて非常に不安定な位置におられるわけですから、一日も早いこの建て替えに向けて積極的に指導といいますか、支援といいますか、もちろん民民のお話もございますから、すべて行政で全部やるというわけにいかないのもよく分かる話ですけれども、積極的に支援、指導をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  39. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 委員指摘のとおりだと思います。基本は、公共団体が窓口になりましていろいろ住民の方々とお話合いをさせていただいているというところでございますけれども、今後とも建て替えが円滑に進められるように、公共団体と連携取りながら的確に対応していきたいというふうに考えているところでございます。
  40. 小池正勝

    小池正勝君 何回も申し上げてくどいようですが、夢に向かって、マイホームを持ちたいという夢に向かってこつこつこつこつ働いてきた、その夢を打ち砕いた。二度とこんなことをさせてはならない。打ち砕かれた人の被害はきちんと、一日も早く補てんしていただくと同時に、二度とこのようなことを起こさないということを是非お願い申し上げまして、私の質問を終わります。     ─────────────
  41. 大江康弘

    委員長大江康弘君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、近藤正道君が委員辞任され、その補欠として渕上貞雄君が選任されました。     ─────────────
  42. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 おはようございます。民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。この住宅瑕疵担保責任保険法案に関連をいたしまして幾つか御質問をしたいというふうに思います。  姉歯元一級建築士による構造偽装問題が発生してから一年半と。経過につきましては小池委員の方から述べられたとおりで、重複いたしますので私の方は省略をしたいと、このように思います。  そういう背景の中で、最終的な法案の処理ではないかということで、私も昨年の臨時国会大臣に御質問を申し上げまして、言わば被害者救済保険的な制度の導入についてはいかがですかと、こういう質問に対しまして、来年通常国会でやるんだと。普通は検討するとかその程度でとどめるんでしょうけれども、随分決意を込めて、本国会での提案、審議ということを言われておりました。  私も流れとしては必要ではないかというふうな思いの中で、じゃ本当にいいそういう制度がどういう形でできるのかと、そういうようなところも含めて、私は結構苦労されたんじゃないかなと、こんなふうに思います。素人の私から余りこう類推するようなことを、一言で言うと分かりにくいんですけれども、ただ、なかなか大臣がリーチを掛けて、そのとおり、新しい制度ですから、そういう意味で、まず、非常に短い期間で法令改正を含めて各種対応の中で、最終的には立法措置ということについて提案されたということについては私は一定の評価がされてしかるべきではないかと、こういうふうには思います。  そういうふうな思いもあるわけですけれども、しかし、立法府において最終的に法律を作っていくわけですから、いろんな角度からの議論がこれは当然必要でありますし、参議院先議ということもございますので、いろんな視点を指摘をしていきたいとも思いますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。  そこで、最初に、この保険制度ではなくって、今回、姉歯元一級建築士が起こしたこの構造偽装、耐震構造偽装というこの事件を引き起こされた背景ということと国土交通省が担当される公共政策との関係について、私、少し大臣にお聞きをしたいというふうに思います。  そもそも事の発端というのは、年間百二十万戸、百三十万戸も建築確認が行政的な事務として随分発生をしていくと。それにどの程度、質を含めてきちっと仕事ができていったんだろうかということと、それからもう一つは、そういうふうな行政がやってきた事務そのものが長いこの戦後の歴史の中で、やはりお役所仕事という言葉で、その能率の問題であるとか、あるいはサービスの質の問題だとか、そういうふうなことに非常に批判があった。これは私どもも、土光臨調以来、民間の労働組合としては、ある意味で行政改革という視点で問題提起をしていった大きな流れの中で、やはり建築確認という仕事も社会的な意味で効率化をしていこうという大きな流れがあったことは事実だと思うんですね。  そこで、そのことが民間にされた、民営化されたと。だから、一つは規制緩和ということについての議論もあるし、もっと言うと、こういうふうな公共的な業務を民営化することについての議論もありと、私はそういうふうなこともあると思うんです。  少し長くなりますけれども、単に規制改革が駄目であるとか民営化が駄目であるとかいうような議論は、私はこれは余り意味がないなと、こういうふうに思っているわけでありますし、私の所属する政党も、流れとしてはどっちかというと早いうちに規制緩和ということを結構標榜してきて、いろんな提起をしてきたわけでありますから、私は、そういうふうな何でもかんでも二項対立概念的にとらえるということではないということを前提として、しかし今回、措置としては罰則の強化、あるいは建築士の意識の向上だとかそのための研修、いろんな措置をとられた。また行政の監視監督強化と一連の措置をとられて、最後に保険という制度に到達をされたということで、そこはそこで十分理解をしているわけであります。  しかし、もう一度翻って考えましたときに、国民の安心、安全、特に安全、そして家という一生物の財産、このことの瑕疵、全体としてその品質の保証、あるいは一戸一戸の建物の安全あるいは品質を保証するということじゃなくて、一戸の建物をしっかり守ることがその街区、地域全体の安全にもつながるという意味で、非常に相互関連性を持った社会財、公共財としての個人財である家のやっぱり品質をどう確保するかという意味で、私は、私がずっと担当しておった電気製品とはまるで違う品物、物件についての議論であると思うんです。  携帯電話は、電池がおかしいぞ、発火するかも分からぬぞというそのミスがあると、リコールで九十万台全部回収するわけです、何十億も掛けて。交換をする、そのことで企業責任を果たしていくわけですから。ただし、これ家は、どうもおかしいぞ、じゃ交換しましょうというわけにはこれはならぬわけですから、そういうふうに非常に違った性格を持ったそういう住宅というふうなものに対する公共の公的政策の基本論議として、私は、単純に規制緩和云々ということを議論をしないということを先ほど申し上げましたから、だからもう全部お役所がやってしまえとか、今回、指定行政庁がやっても見逃した部分が一杯あったというのが現実ですから、やっぱりいずれにしても、私は、そういうことの議論を外れて、やはり国土交通省が国民からやっぱり頑張ってほしいと言われて担われている、特に住宅行政の中で、私は、これからやっぱり省としてどういうところをしっかりやっていかれるのか。これは全体として規制緩和、民営化という流れはいまだに私は風は衰えていないし、そのことが持つある種の正しさなり方向性ということも認めるものであります。  ただ、しかし、その中にあってやっぱり仕切りをしていく、現実的に仕切りをしていってやっぱり措置をしていくことが正に行政官としての私は力量を発揮する分野ではないかというところまで、ちょっと長くしゃべりましたけれどもお話をいたしまして、この辺のところを大臣のまた考え方なり御所存、それから決意ございましたらいただきたいと思います。
  43. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) おっしゃるとおりでございまして、住宅は、庶民というよりも国民のそれを持つということは夢でもあります。そういうものが打ち砕かれることがないように我々はしなければならない。その方向としましては、例えば建築基準法というもの、これは、このような構造の家を建ててもよろしいかということで図面をあらかじめ提供し、建築主事、すなわち特定行政庁なりあるいは民間の指定確認検査機関が、それは建築法規にかなった設計図書であるから、それでそのとおりに建てるんであれば結構ですということがまず関門でございますけれども、そのときにどのような建物をきちっと設計すべきかということについて建築基準法にきちっと決まりがあるわけでございます。  しかしながら、最近の家を見ましたら、家というよりも建物を見ましたら、もう何十階建てというような大きな、高くて大きなボリュームの家ができてきます。これも、建築士の資格を、一級建築士の資格を取った人であればだれでも設計できるというのが今までの制度でしたけれども、やはりこれほどボリュームが大きくなり、設備も、エレベーターもあれば冷暖房もある、あるいは水回りもある、いろんなものがあるわけですから、やはり同じ一級建築士の中でも特化した、構造計算についてのオーソリティー、あるいは設備についてのオーソリティーというようなものも特化して、これらそういう人にある一定以上の建物はかかわっていただこうというような改正をした、これは規制強化の方法だと思うんです。社会規制だと思うんですね、実際は。  また、それを今度は確認するのも二重でやろう、これは本当に画期的なことだと思うんです。ピアチェック、もう一度、そのような専門家、一級建築士専門的な知識を持った人がその設計図書をもう一度検査するということ。それから、それにかかわった建築士が安易に下請に出してしまう、余りにも事務が大きいものですから、構造計算は構造計算の専門にやっている姉歯のような一級建築士に下請に出すというようなことが安易に行われて、その場合にそれが姉歯さんがかかわったかどうかということがユーザーにとっては分からないというような、どこにも署名もないというようなことは改めまして、それにかかわった建築士はすべて名前がきちっと表示されるというようなことをすることによって建築士自身の自覚といいますか、責任といいますか、所在を明らかにするというようなことも必要であったと思うわけでございます。  そういうことを通じて、また建てられる建物についても、工事中の中間検査とかあるいは竣工検査というものも今までちょっとそういう点が緩かったように思いますけれども、これを強化しようと、これも社会規制だと思います。そのようにしましたらほとんど瑕疵というのはなくなるはずなんでございますけれども。  しかし、我々今回の事件を見ていまして、二重ローンというほど悲しいものはないですね。一生これ縛られますよ。なくなってしまった、壊した家のローンを払い続けなきゃならない、これほど悲しいことはない。私はそのように思いまして、三番目として、希有の事例ではあったとしても、そういう被害に遭った人、そしてそれが売主なり建築業者倒産をする、夜逃げするということがあったとしても、一定期間、十年間はきちっとその資力担保されて、二重ローンは払わなくてもいいようにしよう、これが今回の法律の趣旨でございまして、これもやはり社会規制だと私は思います。  規制緩和と言われている中で、こういう非常に国民の安全とか安心にかかわる、そしてまた一生を懸けたこういうものについて、国家としては思い付く限りの事故を防ぐ手だてを講ずる必要があるという観点で、今回このような法制度を提案しているわけでございます。
  44. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ありがとうございました。私も全く同感だということと。  あわせて、これも私もずっと人生生きてきて思うんですけれども、行政というのは重大事故だとか事件が発生しない限り真剣に考えないんではないかなと、つとそう思ったりもするわけでありますし、まあこの年になって、そういう側面も世の中にはあるなと、何も起こっていないのに大騒ぎすると怒られると。だから、なかなか、あらかじめひょっとしてこんなことがあるかも分からないからみんな真剣に考えろと言ってもだれも振り向いてくれないのが浮世だということでもあるので、言うのは簡単ですけれども、じゃ、おまえやってみろと言われると、なかなか先駆けて新しき制度を言うのは難しいなと思います。  ただ、今回提案の住宅瑕疵担保責任保険制度については、弁護士会やあるいは欠陥住宅問題を扱う団体などの皆さん方が、まあまあそういう声を出してきたということもこれはあったと思うんですよね。したがって、そういうふうな意味では、いろいろな問題提起については感受性を高めて私は受け止めていただきたいと、こういうふうに、いい答弁をいただきましたので、それに付け加えさせていただきたいと、こういうふうに思い、次に質問を移りたいと思います。  まず、一番聞きたいのは、新しい保険制度を始めますと、分かりましたと、じゃ、その保険というのは、そのいわゆる事故あるいは事件、それがどのぐらい発生するんだということの予想確率に基づいて私はやっていくのが事業だと、いうたら確率のやっぱりビジネスだと、こういうふうに受け止めておるわけであります。  そういうような意味で、一つは、この建設業界に対する全体的な信頼感というのは、先ほど議論が少しありましたように、まだまだいかないということもありまして、一〇〇%なかなかこう科学的な数字のように扱えないという側面もあって、難しいということもあると思います。姉歯建築士の物件では、二百五件中九九%が偽装であり、そのうち二十九件、特定行政庁が四十二の物件で偽装を見逃したと、二十九の特定行政庁が四十二の物件偽装を見逃したという事実もあったということであります。  この構造計算の偽装のほかにも、違法建築や手抜き工事ども特定瑕疵の発生にこれはつながってくるんでしょうねと。保険制度あるいは供託制度を行って保険料率、供託金額を決めていくからには、事故の発生率あるいは事業者倒産予測などについて、事前に概数的にもやっぱりある程度把握をされていくんではないかということでございました。損害保険数理というのはデータの積み重ねで作っていくことになるんではないかというふうに思います。  現在の住宅保証機構の各種事業に関するデータ、あるいは前月、国土交通省が約一〇%の中層マンションで耐震上の問題があったと発表されたサンプル調査など、いろいろ蓄積があろうかと思いますので、本件についての予測があればお話をいただきたいというふうに思います。
  45. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) お尋ねのありましたデータ関係でございますけれども、率直に申し上げますと、今直ちに保険制度をパーフェクトにつくり上げるようなデータが全部そろっているかというと、実は全部そろっているわけではないという状態でございます。  一つは、財団法人住宅保証機構が行っております住宅性能保証制度による実績によりますと、新築住宅瑕疵担保責任期間十年間の間で、事故発生率は現在のところ〇・七五%という実態がございます。  それから、先ほども大臣から申し上げましたが、今後の瑕疵の発生予測という点で申し上げますと、先般の建築基準法改正によりまして、一定の高さ以上の建築物について構造計算適合性判定の義務付けなり、構造設計一級建築士による構造設計の法適合チェックの義務付けをやりましたということと、三階建て以上の共同住宅につきましては中間検査を義務付けましたと、それから、二十メートル以上についてはピアチェックもやりますということで、言わば建築計画段階で二重、三重のチェックをするということと、三階建て以上の共同住宅について中間検査も義務付けましたと。  それから、小規模の木造住宅については審査省略制度を運用しておりましたが、これも見直して全部構造チェックをいたしますということにしたいというふうに思っておりますので、これらの措置によりまして、瑕疵の発生は相当抑制されるというふうに考えております。  それから、保険制度ということになりますと、保険を引き受けにゃいかぬということになりますので、中間検査の前に基礎工事の段階でちゃんと鉄筋が入っているかどうかというようなチェックも実は保険法人の方でやっていただこうと思っております。  そういったような形のチェックを更に加えるということにいたしたいと思っておりまして、そういったことを踏まえますと、例えば供託制度というのは、保険法人は構わない制度でございますけれども、先ほど申し上げたような制度改正によりまして、供託額をこの法律の別表で書いておるわけでございますけれども、それにつきましては、そういったような考え方でもって実は供託額を計算していると。保険制度についての具体的な保険料というのが、今後そういったことで調べられると思うんですが、供託のものに加えてそういうチェックといいますか、検査が入るということでございますので、何とかやっていけるのではないかというふうに思っているところでございます。  ただ、初めてやる制度といいますか、全国一律に義務付けている制度ということになりますので、五年間なり三年間の実績を見ながら、そこのところについては再度見直さにゃいかぬというふうに私どもとしても考えているところでございます。
  46. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ある意味で仕方がない状況もあるというふうに思います。データが全部明らかになっていないし、それから先ほど言ったように、大臣の答弁にありましたように、行政措置で相当改善が図られるということも頭に入れていけばと。だから、数字については、発生予測というのは今思っている以上に、当然行政としてはそのレベルを下げるということ自体が大きな仕事だということだというふうに思います。昔なら、そんなあいまいなことで制度つくっていいのかという時代もあったんですけれども、これは消費者保護という視点から、私は一応育てていくということも含めて、後日に議論は残るけれども、とりあえず今日段階での答弁としては、それはそれとして、次の質問に移りたいというふうに思います。  次に、特定瑕疵の範囲判定ということについてでございますけれども、これも先ほど小池委員の方から質問があったわけですけれども特定住宅瑕疵担保責任の範囲については、住宅品質確保法第九十四条第一項に規定する瑕疵、つまり「構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものの瑕疵」とされています。具体的な瑕疵については、現在の品確法の政令で定められているものでございますけれども、新制度では大規模高層マンションなども広く保険対象になってくると思われます。例えば、耐震構造上の瑕疵などについては、具体的な基準といったものをこれは明確にする必要があると思われます。  そこで、主としてどのような瑕疵対象になるのか。これは代表事例といいますか、国民の皆さん方に分かりやすく披露していただくという意味で御説明をいただきたいというふうに思います。
  47. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 現在、住宅保証機構が行っております住宅性能保証制度における状況をまず御説明したいと思いますが、実は戸建て住宅が大半を占めております。保険金の支払の対象になりました瑕疵の事例が、約七割が雨漏りでございまして、約三割が構造上の欠陥といいますか構造耐力に関するものになっております。  その雨漏りですけれども、外壁なり防水シートの施工不良によるものがほとんどという形になっております。構造耐力の面でいいますと、戸建て中心ということもございますが、建物とか地盤に関して不適切な基礎の選択によりまして建物自体がかしいでいると、こういったようなものが多いという状態でございます。  マンションに関して言いますと、実はその保証の引受実績が非常に少のうございますので、これがという感じじゃないんですが、実は保険金支払の実績が八件ございまして、そのうち六件が雨漏りということで、防水工事の施工不良が、雨漏りが多いということと、二件が構造耐力に関するものというふうになっております。  それで、何度も申し上げて大変恐縮でございますけれども、今回の、先般の建築基準法等改正建築士法改正も含めまして、いろいろ規制を掛けていくということになりますので、基本的には極端な構造耐力不足というような案件は今後はなかろうというふうに想定をいたしていますので、先ほど申し上げましたような保証実績に近いような形での実態になるのではないかというふうに考えているところでございます。
  48. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 やっぱり雨水の浸入が多いわけですよね、現実問題としては。最近、気象変動といいますか、随分雨の降り方も激しくなって、一時間当たりの降水量も百ミリとかいうような、過去余りなかったような事例も増えてきて、そういうふうな状況が、やっぱり木造でいうと勾配の建て方の問題だとか、降雨水圧が高くなると逆流するとか、そういうようなことも含めて、やっぱり雨水対策については少し業界も含めて、やっぱり異常気象対策も含めてやっておかないと、通常工法だけでは少し問題が起こるという可能性もあるかも分かりませんです。これは少し御意見を申し上げたいというふうに思います。  次に、構造計算の在り方について少し明確にしていただきたいというふうに思います。  今後、構造耐力上、重大な瑕疵が発見された場合、耐震性の判断基準というものが極めて重要になってくるというふうに思います。今回の姉歯問題の一連の対応では、耐震強度、つまり一般的には保有水平耐力度計算において一以下で補修、補強工事が必要となり、また、コンマ五以下では即取壊し、建て替えと、こういうふうに措置がとられましたけれども、耐震強度の計算方法の問題がやっぱりあるというふうに、私は心配事があるということだと思います。  国土交通省においては、偽装マンション建て替え問題で、耐震強度計算においては保有水平耐力計算でも限界耐力計算、このいずれでも使用してもいいと、このようにされておりますけれども、悉皆、しかし運用面においては、この二つの計算方法ではかなりの差が出てくるとされております。特に二〇〇〇年から新たに導入された限界耐力計算では、専門家からも、強度が高めに出てくることや、審査をより慎重にすべき複雑な計算方法であるとの指摘がされているということでございます。姉歯建築士が計算した新宿のマンションでは、水平保有耐力計算ではコンマ八五であったものが、限界耐力計算で計算し直すと一を超えたという事例があります。しかし、どちらかが一を超えればいいのではないかということでは、住宅購入者の皆さん方のやっぱり何がしかの不安は消えないと。  この問題は昨年の国会でも議論に少しなりましたけれども瑕疵担保責任保険を運用する上でも私はこの問題は重要であると、このように考えますので、この際、国土交通省としても、構造計算ではどちらを使ってもよいとするなら、その扱いなり論拠、客観性というふうなものを広く国民説明をすべきだと、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
  49. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 若干御説明をさせていただきますと、保有水平耐力計算というものは、建築物の構造種別や形状に応じまして必要な耐力を求めるといったような方法でございまして、耐震強度の手法を安全度を見込んだ計算結果が出るように設定をすると、こういうような形で、平均的な計算方法ということかと思っております。一方、限界耐力計算でございますけれども地震時における建築物の変形量及び変形による地震エネルギーの吸収量を精緻に算定をいたしまして、それに応じて耐力を求める言わば高度な方法というふうに言えるかと思います。  一般的な建築物を一般的な土地でやった場合には、ほとんど計算結果の差は出ないというのが実態でございます。  どこが違うかといいますと、例えば柱とかはりの鉄筋量が十分にございまして大きく変形することが可能な措置を講じた建築物でございますと、限界耐力計算でやりますと、変形能力が多いことを精緻に計算するということになりますので、安全率が非常に言わば高く評価できると、こういうふうになります。それから、固い地盤、良好な地盤に建築される場合は、地盤の形状によって地震力が増幅される影響を適切に評価するということでございますので、固い地盤だということをきちっと把握できれば限界耐力計算の方が地震力を小さくすると、こういうことになりますのでやはり数値は高めに出ると、こういうことかと思っております。  この結果、より高度な計算方法であります限界耐力計算を用いた場合に、構造部系の変形能力が高いとか、固く良好な地盤に建つ建築物について高い耐震性を有するという形で計算されるということになります。  実は、これらの計算方法が言わば通達ベースで書いてあるとかと、そういうようなこともございまして余り世の中にきちっと明確になっていないということがございまして、実はこの建築基準法の施行令を改正いたしまして、この辺をきちっと位置付けることにいたしました。その政令改正を下に実は告示を定めようということで、パブリックコメントをこの二月、三月にかけて実施をいたしましたところでございます。その結果を今待っておるところでございますが、できれば来月中にもその告示をきちっと決める形にいたしたいというふうに思っているところでございます。
  50. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 五月中に告示を明確にしたいと、こういうことですね。それを言われると、ちょっと予定したことを言いにくいんですけれども。  今局長が一生懸命御説明されたことは三回ほど聞いたんですけれども、何回聞いてもよく分からぬなと、そういうふうなことでして、やっぱり消費者がある程度理解できるということと、それからやっぱりケースによっては、A案、B案ありますということは余りいいことではないと思うんですよね。  そういうようなことで、今言われたように、五月中にどういう告示が出てくるのか、そのことも待ちたいというふうに思いますけれども、是非とも、やっぱり消費者重視ということでいくならば皆さん方に理解しやすいという形を心掛けていただきたいということにしたいというふうに思います。  次に、少し、モラルハザードについて若干お伺いをしておきたいというふうに思います。ただ、この内容につきましては、重過失だとかそういうふうなことが保険に合うのかという議論がこれもう小池委員の方からされておりましたので、それに少し重なってくるというふうなところがあろうかと思います。  故意重過失を含めた欠陥構造物、その人が本来自らの責任で賠償すべき、これがこの世の中の大原則だと。それができないと、泣き寝入りする皆さん方のために、言わば全体的に保険を含めて面倒を見ましょうということになったわけでありまして、考えてみますと、そういう不心得な人がいなければこういうことはなかったわけですから、したがって、全員が善意で立派に仕事をしておけば、こんな国会で議論することもないし、一回建てたものを壊すということもないし、無駄なことは世の中なかったわけですから、まじめにやって一生懸命、多少の損を覚悟でもうお客さんに喜んでいただこうとか、そういうふうなことでずっと仕事をされてきたあるいはそういう業者の方、建築会社の人からいうと迷惑だと。  私はやっぱりそこだと思うんですよね。迷惑を掛けた人間をやっぱり駆除し切れない。本当はそういう人たちには退場していただいて、二度と登場していただかないような仕組みができておればもうこれは一番いい社会なんでしょうけれども、そこまでいかないので、そういうことが発生したときの被害を助けるということで、私は苦心に苦心を重ねられてやっぱりつくられた制度だと。しかし、それは逆に言うと、ある意味でこの故意重過失ということを、一方で、言われたいろんな制度で駆逐して入れないようにするということを努力した上で万やむを得なくこの保険制度を残すということで、私はいろんな意味で措置はされているというふうに思うわけですけれども。  しかし、ある意味モラルハザードという言い方は少し私はちょっと言葉が足らない面もあろうかと思いますけれども、やはりそういうことを、ある意味で必要、必要というよりもあり得るということを社会がやっぱり見ているという意味において、私はこれはやはり法治社会というよりも善意、善良な中で取引なり仕事がされていくという社会の基本を考えたときに、そのことをどうとらえるかということを私はむしろ行政の方もやっぱり一定の見解を出すべきではないかと、こう思いますけれども、この点いかがでしょうか。
  51. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 委員指摘のように、保険制度ということでございますので、モラルハザードを招くことがあってはならないような設計にしなけりゃいけないというふうに思っております。特にこの法案が、実はこの保険契約若しくは供託をしないという場合には新たな住宅の建設なり住宅の販売契約ができないという仕組みになっておりますので、この保険制度についてモラルハザードが生じないような制度設計なり運用をしていく必要が重要ではないかというふうに考えております。  そういった意味で申しますれば、その今回の保険法人ですけれども保険業務と検査業務を一体として行う人を指定したいというふうに思っておりまして、単なる保険だけじゃなくて住宅の検査もするよということで、保険引受けに当たりまして建築に関して高度な知識を有する者によって現場審査を行うというような形で、まあ言わば一種の手抜きみたいなことを何とかチェックしていこうというふうに考えております。  それから、保険契約の内容ですけれども故意重過失は当然のことながら、瑕疵が出てくるというのはどこかで過失があるわけで瑕疵が出てくると、こういうふうに思われますので、実は売主等の保険金の支払につきましては縮小てん補率というのを設定いたしまして、何割、まあ五%なのか一割なのか二割なのか、よく今のところまだ決めておりませんけれども売主が一定割合を自己負担していただくと。要するに、ある意味で自分が過失を出している部分がありますので、その部分については一定割合を自己負担していただくというようなことを入れてはどうかというふうに思っております。  それから、保険料の設定につきましても、過去の保険金の支払実績によりまして、まあ言わば支払率の高い方は保険料が高くなる、良好な業者保険料がどんどん安くなると、こういったような実績によりまして保険料の割増しなり割引ができるような仕組みを考えておるところでございます。  それから、先ほども申し上げましたけれども故意重過失を原因とする過失でございますけれども、これは売主倒産していない場合には、これも支払対象ですよといいますと完全なモラルハザードに陥る可能性がありますので、売主がちゃんと商売をやっているという場合には売主負担でやっていただくというのを原則といたしまして、売主倒産して修復ができないというような場合に、住宅購入者の保護観点から保険金の支払対象にするということにいたしたいと思っております。  さらに、先ほど委員が、そういう悪い人は御退席をと、こういうお話がございましたが、こういった瑕疵担保責任履行せずに買主に損害を与えた売主というものにつきましては、建設業法なり宅建業法に基づく処分を行っていくということになろうかと思っております。  以上のようなことで、モラルハザードが防止できるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  52. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 労働災害保険制度どもメリット・デメリット制度がございますので、それとはまた更に強い意味でのメリット・デメリット制度を入れられるということであろうかと思います。また、自己負担あるいは求償制度ですね、最後の最後まで責任を追及していくと、そういうふうなことを含めて総合的な政策でこのモラルハザードを防ごうと、こういうふうなことだというふうに理解をいたしますので、これはこれで今後のまた工夫を待ちたいというふうに思います。  それでは次に、保険法人の在り方等について少し聞かせていただきたいというふうに思います。  保険法人の指定に関しましては、国土交通大臣が指定される保険法人は、法案の第十七条で、一般社団法人、一般財団法人その他政令で定める法人とされています。現在、瑕疵担保責任保証に関して住宅保証機構などがございますが、具体的にどのような法人を予定あるいは連想されているのか、また株式会社とかあるいはNPOのようなものが指定要件を満たせば保険法人の指定の対象となり得るのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  53. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 保険法人でございますけれども、十年間にわたって保証するということでございますし、それが毎年毎年積み重なっていくということでございますので、長期にわたって安定的に保険業務を実施するという方でなければならないということでございますので、財政的に容易に破綻をするような方を保険法人になっていただくわけにはいかないなということでございまして、今のところ一般社団法人、一般財団法人のほか、株式会社を想定しているところでございます。  委員指摘のNPO法人につきましては、NPO法を見ますと本来の業務というのが別表の第二条で掲げてございまして、そういったところに保険業務というのがないものですから、兼業という形で保険業務をやっていただくのはいかがかという感じがいたしておりまして、消費者保護観点から作る制度でございますので、そういった観点から見ますると、現状では保険法人として適切ではないというふうに考えているところでございます。
  54. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 次に、一般的に考えますと、住宅瑕疵担保責任保険は民間の損保会社が運営しても十分機能するのではないかと、こういうふうにも考えます。しかし、自前で保険業務を実施するということは、保険制度の運営上のコストも削減でき、合理的になるのではないかという考えもございます。現在、各損害保険会社は、工事中の事故や製造物賠償責任に対する保証など様々な企業向け保険を売り出しておられる。これらの損害保険はリスクを伴う産業活動をフォローする重要な機能を果たしておりますけれども、現在の損保会社が持っている資金力、あるいはリスクに関する情報収集力や分析力、さらには再保険システムの活用によってこれらの保険商品は十分に成り立っていると言えます。  この制度の検討段階で日弁連が提出した意見では、保険を引き受ける損害保険会社建築物設計・施工過程に対する検査を認め、保険会社の検査員に工事中止権限を与えるとともに、保険会社が承認する書類がないと入居できないこととすると、こういう提言もあったということで、日弁連のこの意見では、損害保険会社の役割に一定の期待をしているというふうにうかがえます。しかし、現在のところ、残念ながら損害保険業界が積極的に保険法人を引き受けると、こういう動きにはないというふうに聞いております。  しかし、この新しい保険制度において、様々な保険業務のノウハウを持つ損害保険会社を活用するということは、ある意味で社会的にも有用ではないかと、このように思いますけれども、行政として個別の損害保険会社に云々ということはなかなか言えない、言いにくいとは思いますけれども、何か御感想ございましたら。
  55. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 実は、住宅瑕疵に関する保険ということで、この制度設計の段階でいろんな方々、もちろん損保協会とか日弁連の方とも御議論をさしていただきました。私どもとしては、この住宅瑕疵に関する保険というのは、建設段階におけます現場検査とその結果を踏まえた保険引受けの判断が必要だろうというふうに考えますと同時に、瑕疵が発生した場合にその特定とその損害額の査定を的確に実施できるような法人でなければまたならないだろうというふうに考えたわけでございます。  すなわち、高度な建築に関する技術的知見を持って、検査もできて、保険業務もできるというようなことを考えますと、現在の既存の損保会社では、その高度の建築に関する技術的知見なり検査というのが、新たに人手を備えて仕組みとして入れないかぬということになりますと恐らく対応できないというようなことがございまして、そういう意味で、この法案では住宅の検査と保険引受けが一体として行う住宅瑕疵担保責任保険法人というものを大臣がその目で見てチェックをして指定をすると、こういったような仕組みにさしていただいたわけでございます。  さらに、損保協会からは、保険の一般理論として、先ほども御答弁申し上げましたが、故意重過失保険対象になり得ないと、したがって、既存の損保会社にそれを言われても、不可能なものをやれと言われてもそれはできませんと、こういうお話でございましたので、言わば先ほど申し上げた検査もできる能力というところに実は故意重過失のものにつきましても引き受けていただくと、それで、その保険料の一部を基に基金を造成して、その部分については故意重過失対応にすると、それ以外の部分は通常の保険ということで、その保険会社が一応技術的な部分チェックしてありますので、それ以外の部分というのは純然たる金銭部分になりますので、それなら既存の損保会社につきましても再保険で受けてもいいよというお話がございましたので、具体の問題になりましたときには、多分損保会社における保険法人の再保険というような形のものが出てくるというふうに想定をしておるところでございます。
  56. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 それでは、保険法人の問題でございますけれども保険法人の公正性の確保と、こういう視点で少し御質問をしたいというふうに思います。  まあ、いろいろ声が聞こえてくるわけですけれども、幾つもの保険法人が新たに設立認可されるんではないかとか、こういうふうな声もありますし、それがまた天下り先になるのではないかとか、そういうふうな声もありますと。いずれにせよ、制度の運営に当たっては、公正、公平、中立の立場を国土交通省として当然貫かれるんだと、このように思っております。  そこで、制度の公正、透明な運営を担保するために、保険法人は、人的又は資本関係にある住宅業者対象とした保険引受けと、このことを例えば禁止するというような措置がとれるのか。あるいは、検査能力を超えた保険引受けは必ず手抜き検査を招くことになるので、検査員の人員、人数等について基準を設けるような対応が必要ではないかとか、そういうふうなこと等について、我々としてはしっかりとした運営を期待するという立場で御見解をお伺いしたいというふうに思います。
  57. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) この保険法人でございますけれども品確法に基づきます瑕疵担保責任の期間でございます十年以上にわたりまして有効な保険を安定的、永続的に、永続的は言い過ぎですね、継続的に扱っていただくという法人でございます。  したがいまして、大臣審査して指定するということになりますが、その指定につきましては、先ほど申し上げましたような検査体制なり検査方法が保険業務を的確に実施することが可能なものとなっているかどうかというようなことで、検査も保険もきちっとできるかという点と、保険業務を的確に実施するために財産的基礎が十分あるかどうかというほかに、役員の構成保険業務の公平かつ適正な、支障を及ぼすおそれがあるかないかとか、こういったようなことを審査することというふうに思っております。  ちなみに、現在の品確法に基づきます登録制の評価機関でございますけれども、例えば、現在では登録でございます法人が、不動産業者がその親法人といいますか親会社、子会社というのはちょっとおかしいよねとかですね、それから、申請者といいますか役員が実は宅建業者とか住宅建設業者というのもちょっと問題あるかもしれないねと、こういうようなことになりますので、そういったことを参考に、この役員なりの構成については決めていきたいというふうに思っておるところでございます。
  58. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 少し、ちょっとこの制度からは離れるわけですけれども、最近ちょっと裁判所でもいろいろ議論が起こっております違法建築物だという指摘がされている問題についてお伺いをしたいと思います。  マンションなどの複数の棟、これを渡り廊下や地震対策用のエキスパンションジョイントなどでつないで一つ建物として申請をして建築物などを建てるという、建築基準法で言う一敷地一建物の原則に違反するおそれのある建築物について、東京近郊で幾つか法廷で争われている事件がございます。現在、こういったマンション建設をめぐり住民と建設事業者との間で数々の紛争が起きておりますと。  なぜに複数の建物一つ建物として申請するのかということは、この方法を使うと容積率、日照規制、斜線規制などにおいてかなりの建物空間を稼げ、販売業者は言わば大きな利益を得られるからであると、このように言われています。一方、近隣の住民やその敷地内にある棟の住民は、日照権の侵害を始め大きな被害を受けるということになります。この紛争に関する建築審査会の裁決や裁判所の判決では合法、非合法が混在しており、このこともより問題を複雑化されているという実態があります。  そこで、所管官庁として国土交通省もこのタイミングで地域住民や住宅購入者の諸権利を守るためにきちんとこの問題に対応すべき時期に来たのではないかなと、このように感じるわけであります。  具体的には、建築確認に関する判断基準の明確化や法令の整備などが必要になってくると思いますけれども、本日はこの問題に関して具体的、専門的にやり取りするという時間もないし、そういう場面でもないと、このように思いますので、国土交通省として、私、今非常に抽象的に申し上げましたけれども、このような問題についての事実関係を把握されているのかどうか、どうされるのかについてお伺いをしたいというふうに思います。
  59. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 若干お答えが一般論的になるかと思いますが、委員指摘の点は、基準法上の敷地が、一つ建築物又は用途不可分の関係にある二以上の建築物における一団の土地をいうと、こういう定義をされておりまして、その取扱いについての御議論かと思っております。  具体的には、建築物の機能上、構造上、外観上、一体性を総合的に考慮した上で、一の建築物というふうに判断できるかどうかということの議論かと思っておりまして、その判断につきまして実は周辺住民との紛争に、トラブルになった事例が存在するということは私ども承知をいたしておるところでございます。  私どもとして、ちょっと一般論的で大変恐縮でございますけれども、今出てきておりますような事例も踏まえまして、実は私どもと特定行政庁と指定確認検査機関とで構成しまして建築行政会議というのを実はつくっておりまして、そういったようなところで連携をしながら建築物と敷地の関係について適切な判断がなされるように必要な情報提供に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  60. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 これも後で判決が翻れば既存違反という状況になるわけですよね。そうなったときに、原状復帰なり言わばオーバーした部分を削れと言われても今更削れるのかということを含めて、じゃそれは瑕疵なのかねと、元々購入者に対しては、という実は新たなる問題領域が予測されるわけでして、これは行政というのはなかなか前もってやれないけれども、できるだけ早い段階で芽は摘んだ方がいいんじゃないでしょうかという意味で御質問を申し上げたと、こういうことでございますので、また引き続きよろしくお願いをしたいというふうに思います。  最後に、元々品確法において建設業者住宅販売業者には基本構造部分についての十年間の瑕疵担保責任を負っているということを申し上げまして、この法の趣旨からすれば補修などの工事費用は日ごろから当然担保しておくべきものであり、この新制度によって新たに負担が発生するというのは、販売価格などに保険料を安易に転嫁するということは、これは消費者から見ると何じゃと、便乗値上げではないのかと、こういうふうな見方が発生するわけであります。  この問題は保険料分を住宅販売会社が購入者にどう説明をしていくのかということにも関係しますし、あるいは契約関係書類などでどのように表記するかと、こういうふうな問題にもなってくるというふうに思います。購入者が納得できる保険料負担の在り方についてお考えがあればお伺いをし、最後といたします。
  61. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 委員指摘のように、売主瑕疵担保責任履行を確保するための負担ということを負うということでございますが、その売主がその費用をどのように調達するかという点については言わば売主の判断にお任せしておるところでございまして、市場における競争力なり消費者による理解度を勘案して適切な対応がなされるのではないかというふうに推測をいたしております。  それから、消費者に対しては、この新築住宅について、供託なり保険契約が締結されるということをしっかり周知をしていきたいというふうに思っておるところでございます。
  62. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 そういうふうな意味で、建築業界自身が消費者に対して、自らのやっぱり業界としてのまあきれいに言えばレベルアップを図るということも私は非常に必要なタイミングに来ているんではないかということを申し上げまして、質問は終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  63. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。若干質問をさせていただきたいと思います。  一年半前でございますけれども、十七年の十一月に耐震偽装事件というのが公表をされまして、大変な騒ぎになったところでございますが、現場第一主義と言っている私ども公明党、直ちに対策本部つくりまして、私はそこのグランドステージ東向島というところ飛んでいきました。たしか耐震性の検証では〇・三八だったと思いますけれども、震度五で大体倒壊すると。  この間、能登半島地震ありましたけれども、六強だったと思うんですね。そのときの富山が大体五ぐらいだった。富山の状況を見ますと、コンビニとか商品が崩れるぐらいで、家がつぶれるような話はないんですね、もう整然とした。ただ、そのぐらいの揺れでマンションがつぶれていくという、大変な大問題だなと本当に今でもぞっとするような思いでございますが。  この東向島に飛んでいったときに、このマンションの理事長はもちろん大変な嘆きでありましたが、周辺の、あそこ本当に密接住宅地ですから、酒屋さんとか商店街の人もできればのいてもらいたいという、そんなことを言っていました。それはそうですよね、震度五でうちの方に寄り掛かってこられたらたまらないという、それはもうそのとおりだと思っておりますが。  ただ、あのとき、やはりマンションに入っておられる方を含めて、どう救済できるのかという観点でいろいろ知恵を絞ったところでありますし、また、逆に言えば建築行政の屋台骨を揺るがした事件といいますか、こんな行政だったら要らないよという、みんな国民の皆さん思ったと思っております。  それで、特例として救済スキームといいますか再建スキームを知恵を出し合って講じたと思っているわけでありますが、一年半たって大分冷静になってまいりましたが、今回こういうような瑕疵担保責任履行確保法をあえて法律として作る必要があるのか。先ほどレアケースという大臣お話もございましたけれども、供託金制度であるとかあるいは保険制度までつくって、そこまで入れ込む必要があるのかという観点で、ちょっとその必要性につきまして御説明をお願いしたいと思います。
  64. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) おっしゃるとおり、行政として誠に遺憾な事件でございました。そういうことから法整備をし、そしてこういうことがもう本当に起こらないようにということで建築基準法あるいは建築士法等の改正を行ったわけであります。  しかしながら、それだけで国民の不安は本当に払拭できるのかということを考えたときに、そのようなもう毎日自分がとらの子のようにしてためたお金で買ったマンションがそこで住めない、住める状態じゃないということを言われたときのショックというのは国民ひとしくこれ受けたと思うんですね。そういうものを、そういう不安を払拭する意味でも、私はやはりこのような保険制度というものが必要であろう、あるいは供託制度というのは要するに売主あるいは建築業者資力担保すると、一定時間、これは必要だろうというふうに思うわけでございます。  もう一つ、これはこの法律を作る過程で明らかになったわけでございますが、案外、中小企業の建設業者とかあるいは宅建業者がこういう法律を作ってもらいたい、我々は一部負担してもいいから作ってもらいたい。ということは、大会社の造ったものだったら安心だろうということで中小企業が造ったようなマンションとか建築業者が造ったものが売れない、信頼されないと。そういう人は十年も営業を続けられるかどうか分からないという、そういう信用不安もあって売れなくなったというんですね、この事件があって。  したがいまして、こういう法律を作ってもらって、だれから買っても、その人がもし個人であれば亡くなったり、あるいは企業であれば倒産したとしても、買った人は二重ローンという責め苦に遭うことはないんだということを明らかにしてもらうという意味は非常に大きいというような中小業者宅建業者とか建築業者からの要請もありまして、費用は一部我々が負担してもいいからやってほしいという、そういうものも相まって、私は、これは国民の安全、安心のためにはこの法律は、非常にレアケース、もうほとんど起こらないと私はもう確信したいところですけれども、でも、そういうものは必要であるというふうに思って提案しているわけでございます。
  65. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 しつこいようでございますが、先ほど来から、昨年の通常国会建築確認検査制度の見直しを行いました。また、昨年の秋の臨時国会では建築士の資格あるいは資質向上、このような改正をしたわけで、大臣何回もお話がございますが、この両法の改正で功が奏すればおよそ瑕疵ある住宅出てこないんじゃないのか。一昨年の十二月の審議会スタートするときに、初めに強制保険ありきみたいな批判もされました。多く全体の流れで見ると、そうすると、建築行政で揺らいだんだけれども結局焼け太ったのが建築行政じゃないのかみたいな、言われかねないなというふうに、私はあえてそういう声もあるということで御紹介をしたいと思っておりますが、しかし今申し上げた建築基準法改正建築士法改正だけではまだ不十分だ、そういう側面もあるんだという理解でよろしいんでしょうか。
  66. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今までの法律体系でも、これで十分だと思っていたわけですけれども、悪いことするやつが出てきたわけでございます。したがいまして、我々人知の及ばないところでパーフェクトにある事象を事前に止めるということはもうほとんど不可能だと私は率直に認めなきゃならないんじゃないかと思います。私どもは、現在の知見の範囲で防げるだけのことはやる、それをやったわけでございますが、しかしそれを超えて悪いことをする人間が出てくる可能性もあるわけでございますし、どういうことで、ああそういうことがあったのかということで、後日被害を受けた人が二重ローンの責め苦に遭うということは私はこれは許せないと。  そういう意味で、完璧にしたつもりですけれども、しかしながらそこから漏れるものがもし仮に将来あったとしても、ここで防げるというものを作るということは私は必要だと、そういう意味で提案をしているわけでございまして、今までの改正で私は今のようなことは防げる、ああいう悪い人が出てくることは防げるけれども、防げると確信するけれども、しかし何が起こるかは分かりません。そういうときでも二重ローンの責め苦に遭うようなことが、そういう国民が一人も出ないようにするためにやっぱりやる必要があるというふうに思うわけでございます。
  67. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それで、今回供託と保険の選択制という形になったわけでございますが、昨年の七月に出されました研究会報告書、これほとんど保険に関する記述だったというふうに思いますが、そのパブリックコメントを経て八月の末の答申では大幅な修正が加えられまして、保証金の供託それから保険との選択制を採用するという形に落ち着いたわけでありますが、途中、資産基準への適合方式ということも検討されたようでございますが、この辺のいきさつといいますか、どんなふうなことだったんでしょうか。  それから、選択になりますと、それぞれ事業者がいろんな経済合理的要素のほかに企業イメージのことも考えながら判断をしていくんだと思いますが、国土交通省としてはこの事業者がどういう判断をするというふうに予想しているのか、事業別であるとか企業規模別でありますとか、どのような割合として予想しているのか、御説明をいただきたいと思います。
  68. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 御指摘のように、当初、保険の仕組みを中心にしながら検討を進めてまいったところでございます。ただ、一方で、ヒューザーのような悪質なといいますか、そういった業者のために業界全体がどれだけの負担をせざるを得ないのかというふうな御議論と、それから、私ども会社として瑕疵については今までも万全の体制を取ってやってきているんだと、したがってどうして私ども保険を掛けざるを得ないのかというようなお話もございまして、そんなに今自己資金があってきちっと対応できるというなら、その証拠として自己保険としての供託金を掛けてくれたらどうでしょうかと。それであれば、消費者に対してこれだけの、保険と同じだけの瑕疵修補に対応する用意があるということを見せてくださいと、そうでなければ保険にしてくださいと、こういったような制度がいいのではないかというようなことで、昨年の八月の社会資本整備審議会の答申の段階では、ある意味で選択制といったようなニュアンスが出て、その後、そういったような現在の提案している形になっているところでございます。  それから、どのようなところがというところでございますけれども、基本的には、自分が供給する戸数がございますので、それと、私ども、今、法律の別表で算定基礎を書いておりますが、それに合わせて供託金を支払うために必要な支払能力があるかどうかという点と、言わば供託という意味では、そういう意味では自己資本の一部なわけですね。したがって、その供託の場合は損害が発生しなければ自己資本のままでずっとあると。それに対して、保険料というのは保険会社にお支払をする言わば経費でございますので一種の掛け捨てと、こういう形になりますので、どちらを選択するかというのは、その辺りを総合的に考慮して選択を行っていくということになろうかと思いますが、例えば自分の得意な分野があったとすると、例えば戸建てが得意だという人は、戸建てについてはもうおれは自信があるから供託でいくよと、だけれどもマンションについては自信がないという場合にはマンションについては保険を掛けるとか、そういったやり方も実は可能な仕組みになっておりますので、Aという業者が全部供託に行ってBという業者は全部保険という感じでもないのではないかというふうに思っておるところでございます。
  69. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今の御説明を聞きますと、供託に付されている物件の方が安心だなというふうに聞こえるんですよね。つまり、自信があるから、じゃ供託でいくよ、自信がないから保険でいくよというふうになりますと、この大会社とか大きなハウスメーカーとか予想されますわね、供託でいくね、危なっかしいから保険でいくねみたいなですね。  だけれども、やはり選択制である以上、両方式、同じような安心感を与えなきゃいけないだろうと思うわけでございますが、この保険料率も掛かってくるだろうと思いますけれども、今の御答弁だとちょっと危なっかしい制度だなというような気がするんだけれども、もう一度その辺を踏まえて御説明いただきたいと思います。
  70. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 基本的には、自分が自ら販売するなり建設をする住宅建設の量と、実は自分が持っている自己資金といいますか、自由になるお金ですね、それとの相関関係であると思っておるんです。だから、地元の業者であっても、何度ももう既にたくさんお金会社として蓄積をしているというところであれば、自分の蓄積した範囲内で修補、瑕疵修補できるでしょうから、そういう方はそういうふうにやっていけばいいんだろうと思います。ただ、どちらかというと、宅建業者というのは、土地を仕入れて建てて売ってと、こういう言わばフローの世界で、業態がそういう形になっておりますので、自己資本を十分ためているというわけではないと、こういうような業態でございますので、直ちにその方が供託をするというわけにもいかないだろうと。  むしろ、その保険という場合には、先ほども申し上げましたが、建設段階だけじゃなくて、鉄筋を入れた段階でも検査をする、それから中間検査もする、それから竣工検査もするといったような形で、供託をしている会社以上に実は検査を経ているわけです。したがいまして、実は保険証があるということは、そういうだけの検査を経ているということの証明でもあるわけでございます。  したがいまして、どちらの制度を取っても、消費者に対しては信頼感のあることだというふうに思っておるところでございます。
  71. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そこで、供託方式についてお聞きしたいと思いますが、別表を見ますと、区分と保証金の金額の範囲とありますが、これ、戸数が少ない場合ほど一戸当たりの保証金の金額が大きくなるというふうな、そういうような形になっておりますけれども、この辺の考え方はどういうことなのか。また、この算定方法を政令で定めるに当たっては、新築住宅の戸数を基礎として、瑕疵があった場合に生ずる損害の状況を的確に把握することが前提となると考えますけれども、その把握のための体制、これはどういうふうに整備されようと考えているのか、お聞きしたいと思います。
  72. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 御指摘のように、供託金の額については政令で決めるということにしておりますが、この法案の別表で戸数の区分ごとに上限、下限を示しておるところでございます。  この額でございますけれども、まれにしか発生しないような瑕疵の集中発生に対しても修補費用が確実に支払われるというように、過去の瑕疵による損害発生率なり損害額を基に統計的手法による保険数理の考え方により定められたものでございまして、供給戸数の増加に伴い供託金額は増大するんですが、言わば大数の法則が働くことによりまして戸当たりの供託金額は低減していくということになっております。  それから、供託金からの還付の算定のところでございますけれども、還付金の算定体制自体は、実は瑕疵修補というのは、損害賠償請求権を有する買主なり発注主がおられますので、その権利につきまして債務名義を取得するとか売主と合意した旨の記載された公正証書があるときですとか、売主がもう死亡したとか倒産をしたというようなことで国土交通大臣確認を受けたときに請求ができるということにいたしております。  そういった意味でいえば、裁判による損害賠償金の確定や、国土交通大臣によります損害査定によりまして適切に算定されるというふうに考えておるところでございます。
  73. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 次は、保険方式の方をちょっとお聞きしたいと思いますが、保険法人業者に対して保険料率という形で責任保険の運営に必要な費用を要求するという形になるわけでございますが、この保険料率というのは全保険法人通じて一律なのかどうか、また同一の法人の中において、全事業者に対して一律の保険料率になるのか、それとも事業規模とか事業実績に応じたメリット・デメリット制が採用されて、事業者ごとに異なる保険料率を適用することになるのか、この辺御説明願いたいと思います。
  74. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 保険料自体は、事故の発生率なり損害額を踏まえまして、瑕疵担保責任履行のために保険金支払に要する純保険料に加えて現場検査に要する検査手数料なり手続につきましての事務手数料というのを加えて算定されるということになります。  したがいまして、複数の法人を私ども想定しておりますので、その法人によっては当然のことながら検査手数料なり事務手数料が変わってきますので、一律に、例えば国土交通大臣が一律何万円と、こう設定するということはなくて、個別の企業がそれぞれに設定するということになるのではないかと思っております。  実は、現在任意でやっております、財団住宅保証機構が行っております住宅性能保証制度では、大体住宅価格千六百万円の戸建てで約八万円というぐらいの数字が一般的な形になっておりますので、これが一つの参考値になるのかなというふうに思っているところでございます。
  75. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ちょっと個別の話、ちょっとお聞きしたいと思いますが、先ほど故意重過失の話が出てまいりましたが、故意重過失救済基金から支払が起こると思いますが、この故意重過失の認定はだれが行うのかということをお聞きしたいと思います。  それから、これは転得者、善意の第三者が転得した場合に、この保証といいますか、どういうふうに考えたらいいのか。十年間って結構長いものですから、ちょっとそこのところをお願いいたします。
  76. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 故意重過失をどう判断するかということでございますけれども売主故意重過失に起因する瑕疵ということでございますので、支払うべき保険法人がこれを判断するということになろうかと思っております。  先ほども申し上げましたが、売主倒産していない、生きている場合に、この保険金が支払われるということになりますとモラルハザードを起こすということになりますので、売主が生きている限り、故意重過失と判断した場合には売主側に負担をしていただくと。むしろ売主倒産をしているというような場合には、住宅購入者が直接この法人に対して言ってきていただければ、それについて保険金の支払をすると、こういう仕組みを考えているところでございます。    〔委員長退席、理事山下八洲夫君着席〕  それから、転得者というお話がございましたけれども、この品確法自体が新築住宅の購入者なり新築住宅発注者という方に対しての瑕疵担保責任という形で構成してありますので、そこから第二次取得者に行きますと、実はその不動産業者なら不動産業者は、Aさんという方に売った、その人に対する債務を負っているというふうに思っているにもかかわらずBという方から請求が来てしまうと。そういうところは、実はこの法律はある意味で切断をしております。ただ、Bという方がAという方に、これは売主瑕疵担保あるじゃないですかと、修補をする必要がありますよという請求して、売主、Aという方が、なるほど、あった、悪かったねというんで、そのAという方が今度、本来の責任者である不動産業者なり建設業者に申し出ると、こういうような形を取りますとお支払ができると、こういうことではないかと思っております。  そういった意味で、そういう形にはなっているんですが、この法律自体は、この保険法人の議論に関して言うと、そういう転得者について瑕疵保証までも対象にしたような保険をつくっていいかどうかという議論について言えば、そこは禁止はしておりませんので、そういう保険法人が第三者効といいますか、善意の第三者についてまで瑕疵修補を持つよという保険構成するなら、それはそれで禁止はしていないというか、という状態になっておるところでございます。まあ新たな保険商品を開発するかということになるかと思いますが。
  77. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 最後に、これはやはり瑕疵担保責任履行をしっかり確保していく、その実効性をあらしめることが必要だと思っておりますが、指定住宅紛争処理機関がこの本法に定めるあっせんとか調停、そういう業務を迅速的確に行えるようにすることが大事だと思っておりまして、国土交通省として、この紛争処理機関への人的、物的な支援体制をしっかりやっていただきたい。  また、このあっせんとかの申請について、認証紛争解決手続のように時効中断効がないんですね。それで、この住宅品質確保法のやっぱり改正して、時効中断効がないとやっぱり厳しいんではないかと思いますが、簡単に御答弁願います。
  78. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 現在でも品確法に基づく紛争処理センターが指定住宅紛争処理機関という形で各都道府県におきます弁護士会にお願いをしてやっていただいておりますので、この体制をきちっと取って迅速に、かつ的確に対応できるようにいたしたいと思っております。  それから、時効中断の点でございますけれども、確かにごもっともでございますので、これが時効中断効になりますように速やかな検討を進めて対応したいというふうに思います。
  79. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  80. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  今回の法案は耐震偽装事件の教訓から出されてきたものだというふうに理解をしておりますけれども、まず今日は、その法案の内容に入る前にその前提問題について質問をさせていただきたいと思います。  大臣は、昨年の十一月の大臣会見でこう述べられておられました。このような事例がほかにもあるかないかということの広範な調査を実施してきましたと、できれば今日一年を迎えるまでにその結論を出して、国民の皆様方にも安全ですということを申し上げて、そのような不信感というものを払拭したかったけれども云々というふうにございまして、御安心くださいというようなことを申し上げるところまでは行っていないのが残念ですがと述べられておられました。  その後も、幾つかの報道等を見ておりますと、一建設の戸建て住宅の問題でありますとか、アパグループのホテル、マンションなどの耐震強度の問題とか等々、とにかく建築物に係ります耐震問題の事例というのは次々と指摘をされ、出てきたというふうに思います。  私は、やっぱりここには、建築行政のチェックが機能をせず、そしてまた耐震基準を満たさない欠陥物件を多数存在させてきた国そして行政、業界の責任はやっぱり重大だというふうに思います。耐震偽装事件発覚から今日一年半がたちましたけれども、現在もまだあるのではないかという不安が国民の中にはぬぐえないものがあるというふうに思います。    〔理事山下八洲夫君退席、委員長着席〕  そこで、大臣に改めてお伺いしたいと思います。  まだ、こういう耐震上の問題というのはまだまだ出てくるというふうにお考えか、いや、もう大丈夫だというふうにお考えか、どちらでしょうか。
  81. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) これからは出てこないだろうと思います。こういう法整備をしますと、私は出てこないということを願いながらこの法律作っているわけでございます。  次々出てくるという、確かに私も新聞読むたびにそういうたとえ小さな記事であっても心臓がどきっとするんですけれども、これは我々がサンプル調査なり、今まで建っているものについて広範な調査を行っているわけです。その結果、明らかになったものが出てくるわけでございまして、私は、これから建つものについては我々も英知を絞ってこういうことが起こらないようにという法制度をしているわけですから、それは出ないと。しかしながら、万一出てきた場合にはこれで担保しようというのが今回の法律でございまして、今まで私の記者会見のときに述べた言葉も引用していただきましたけれども、私は調査につきまして昨年度中に調査を終えるべく進めたいということは、昨年度というのはこの三月でございます。  しかしながら、残念ながら現時点においても調査はまだ完了していないところがあるわけでございまして、これは、しかしながらあと二、三か月の間にはこの調査を完了したいと、特殊な事例は別としてですね。今、特定行政庁等にお願いしてやっている仕事については国民にそのようにしたい。引き続き関係する特定行政庁に対して早期の調査完了を要請するとともに、耐震性の不足する物件については速やかなその是正に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。  自ら所有するマンション等の耐震性について不安があるという方々もあると思うんです。そういう人たちについては、関係機関における相談体制を充実するとともに、耐震診断費用に係る助成制度もPRをしまして、それを活用していただくと、そして耐震診断の普及を図ってまいりたいと思っております。  なお、こういうものを今後新築される建築物については、基本的にその安全性はもう担保されていますということも国民に申し上げまして、国民の不安の払拭に努めていきたいと、そのように思っている次第でございます。
  82. 小林美恵子

    小林美恵子君 先ほど大臣はサンプル調査のお話をされましたけれども、この三月三十日の毎日新聞を見ますと、国交省、全国四百棟調査、一割耐震不足の疑いというふうに見出しが書かれていました。約一割に問題があるというふうに指摘をされています。それは私は大変深刻な事態だというふうに思いますね。特に、マンションにお住まいの皆さんは調査結果についてどういうふうに受け止めているかなと思うと、やっぱり不安だと思います。  このサンプル結果を考えますと、全国にはもっと多くの欠陥の建築物があるのではないかと考えざるを得なくなります。問題があった建築物に対しまして、このサンプル調査の結果を受けてどういうふうに国として対応なさっていくのでしょうか。
  83. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 現在のちょっとサンプル調査の調査状況を申し上げますと、四百と申し上げていたんですが、実は三百八十九件でございまして、現在の時点で二百十二物件済んでおりまして、そのうち三物件で耐震性が不足をいたしておりまして、その他二百九物件は耐震性が確保ということで、残り百七十七物件が調査中となっております。実は、百七十七というのは、静岡の案件が今日新聞に出ておりますが、静岡の案件がありますので百七十七物件という形になっております。  サンプル調査の結果、違反の事実が確認された場合ですけれども、特定行政庁の方で是正指導を行いまして、指導に従わない場合には基準法九条に基づきます是正命令を行って是正を行うということにしております。  また、同一の建築事務所が同様の違反を繰り返しているという疑義がある場合には、その事務所を指導監督いたします都道府県知事が関与物件リストを作成いたしまして、リストにある建築物が所在する特定行政庁にそのリストを送りまして必要な調査を行いまして、違反の事実があるかないかということをチェックをいたしまして、チェックされれば是正を行わせるというような形を取っておるところでございます。
  84. 小林美恵子

    小林美恵子君 その調査も更にまだ進められると思うんですけれども、そのことによって新たにまた調査をしなくてはならないということもあり得るということでしょうか。
  85. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 現在、残り百七十七物件ということですが、大臣申し上げましたように、あと二、三か月の間にこの調査を終了したいというのが私たちの望みなんですが、先ほど申し上げましたように、同一の建築事務所が同様の違反をしているという事実が出てくれば、今までもそういう仕組みでそのリストを作って全国にまた回すと、こういうことをやっておりますので、その場合にはそういうことがあり得るということでございます。
  86. 小林美恵子

    小林美恵子君 では、先ほど大臣の御答弁の中で、耐震診断の補助制度のこと、お話がございました。そこを私少しお聞きしたいと思いますけれども、国交省が使われています耐震診断や改修するための制度ですね、全国の自治体の状況を見ますと、補助制度の整備率、これはマンションでいきますと、診断が一〇・二%、改修は四%の状況というのが出されています。そうした要因というのは一体どのようにお考えでしょうか。
  87. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 実は、耐震診断なり耐震改修に対処する助成をするためには耐震改修促進計画を公共団体が作るということになっておりまして、都道府県ベースで申し上げますと、現在三十八作っておりますので、今年の七月までに残り九県も作っていただけるということになっていますので、今年の七月になれば全都道府県でそういうことになると思います。  ただ、市町村ベースの補助制度の整備状況は、先ほど申し上げましたように、マンションで二百市町村という状態でございまして、そういった意味ではまだ十分になっていないというふうに思っておるところでございます。  したがいまして、耐震改修促進計画に基づいた取組の強化を今後とも要請していくというのと同時に、耐震診断なり改修についての助成制度なり、地震防災マップの整備とか、町内会とか各種メディアを活用したような啓発というようなことをこれからもやっていきまして、むしろ、私ども住生活基本計画の方でも平成二十七年で九割を上回るようにという目標を立てておりますので、そういった目標に向けまして努力を続けていきたいというふうに思っておるところでございます。
  88. 小林美恵子

    小林美恵子君 では、今回の耐震偽装事件被害で退去を余儀なくされた被害住民の皆さんの状況についてお聞きしたいと思うんですけれども、先ほどの議論の中でもございましたけれどもヒューザーの物件でいきますと、十一棟で全戸、三百九戸が退去されているというお話を聞きました。  そこで、局長の答弁の中にも、建て替えに向けては具体的に動いているというふうなお話がございました。ところが、局長は前回も、昨年の委員会でも、二〇〇九年三月までに完了する旨というような説明もあったんですけれども、しかし、例えばグランドステージ藤沢でいきますと、建て替え推進決議等を上げられているわけでございますけれども、市とかそれから都市機構とかマンションディベロッパーとか住民代表のワーキンググループで計画を協議をされていって、それで幾つかの業者に依頼をされたと。しかし、建て替えに際しまして五つの業者に協力依頼をされましたけれども、結局すべて辞退をされたという事態がございました。  要するに、住民が何とか再建しようというふうに、まさしく動き出したわけですよね。動き出したんだけれども、受け手の業者が全部辞退をするという点といいますのは、私は本当に深刻だなというふうに思うんですよね。これはなかなか動き出したというふうには言えないなと思うんですけれども、こういうことに対して国としてはどういうふうに対応されるんでしょうか。
  89. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 実は、昨年の九月二日にグランドステージ藤沢につきましては建て替え推進決議を行っていただきました。その後、公共団体と具体的な検討を進めたところでございます。実はこの物件、売出し中にストップが掛かったという物件でございまして、実は十三戸ヒューザーが持っております。  実は、建て替えしようという場合になりますと、ヒューザーといいますか破産管財人でございますね、そこの十三戸が所有権者になっているという形になるわけでございます。言ってみれば住民と同じようにその十三戸分の所有権者を持っているということになりまして、実は建て替えについてその持分が適正な価格で居住者の組合に対して譲渡される必要があるんじゃないかと思っているんですが、この間の居住者と破産管財人での交渉がまだ決着をしてないというようなことでございまして、そういった意味では、住めない住宅についての価格交渉を実は破産管財人と住民の方の中でやっておられるというようなことでございます。  すべての企業からの辞退の申出があったという御指摘がございまして、実は私どもの方で考えておりますのは、従前の住戸の面積が実は百平米あるというのがグランドステージ藤沢の案件でございまして、これと同程度の規模の住戸を建設するという場合でございますと、敷地の関係から保留床部分の住戸の計画が非常に制約をされて、今十七戸の方を全部百平米をするとほかの方は百平米より小さい住戸でないと構成できないと。こうなると、本当にマンションとしてちゃんときちっと商品性としていいかどうかといったようなことと、まあ先ほど申し上げたヒューザー関係というのがございまして、実は話合いといいますか、が難航しているやに聞いております。  今後、その建て替えを進めていくという意味では、実は売主でもある瑕疵担保責任を有するヒューザーが所有するこの十三戸、この持分が破産管財人によりまして適切な価格で居住者に譲渡されるということが一番大原則ではないかというふうに考えております。その上で必要に応じて住戸の規模の条件を見直すといったような形で再度事業協力者を募集する必要があるんだろうというふうに認識をいたしてもおりまして、今後ともそういったような観点から建て替え事業が円滑に進むように公共団体と十分連携して取り組みたいというふうに思っておるところでございます。
  90. 小林美恵子

    小林美恵子君 様々な事情があったにせよ、従前のスペースと同じスペースをと求めるのは、私は被害住民にとっては当たり前のことだと思うんですよ。それをやっぱり抑制されていくというのはやっぱり大問題になっていくというふうに私は思います。やっぱりこの問題というのは、特別措置を作って保証していくという措置があるならば、こういうことも本当に解決できたということを私は強調しておきたいと思います。  そこで、大臣に伺いたいと思いますけれども、こうした場合も融資の段階に入っていきますと難航する世帯が出てくるというふうに言われています、とにかく追加資金が多くて。再建に向けては、藤沢市だけではなくて、被害住民の皆さんにとっては、それこそ建て替え支援に係る補助金についてのヒューザーの管財人からの配当分ですね、その返還を求めている問題とか、追加負担の資金の借入れ問題とかとにかく課題は多いですよね。  改めて大臣にお伺いしたいと思いますけれども、住民の皆さんが本当に再建できるまで最後まで国として丁寧に対応していく、この立場は今も堅持をされておられますか、どうですか。
  91. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) それは前も申し上げたとおりでございまして、答弁をしたとおりでございまして、最後の最後まで頑張ってまいる決意でございます。
  92. 小林美恵子

    小林美恵子君 最後の最後まで、被害に遭われた住民の皆さんの再建に至るまで最後まで頑張ると、国として丁寧に対応していくという御答弁でございました。それはもう本当に堅持をしていただきたいというふうに思います。  それで、そもそもこの耐震偽装事件はいわゆるヒューザー倒産してしまって被害住民への補償がなされないということが大きな問題ですよね。この問題は、住宅売主などの倒産資力不足のために、きちっと欠陥の改修や損害補償がなされないと、住宅購入者は極めて困難な状況に置かれたということだというふうに思います。  それで、そういう問題につきましても、かねてから被害が深刻化するということで、従来から欠陥住宅の問題では大きな問題としても指摘をされてきたと思います。今回、住宅瑕疵担保履行のための法案が出されたのも、こうした事件を機にこうした問題の救済策が必要であるということが改めて認識をされたから法案が出されてきたんだというふうに私は思います。  しかし、このグランドステージなどのヒューザーの物件のような耐震偽装では、やっぱり既往ローンとか二重ローンの負担が大きくて被害住民は本当に大変な状況で、ゆえに、私どもはかねてから申し上げてまいりましたけれども住宅ローンを提供した金融機関等にも相応の負担をすべきではないかということをずっと申し上げてきました。それは私どもだけの意見ではありません。  今回の法案で確かに供託や保険制度を活用しまして保護策をつくることは大変重要だと私は思います。でも、そもそも住宅担保価値を評価した、融資した金融機関が責任を問える制度もやっぱり必要ではないかというふうに思うんです。この点に対して、住宅ローンの融資機関に対しての消費者保護に対する責任、こうした問題というのは検討はなされなかったんでしょうか。
  93. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) これは検討して、前も答弁していると思うんですけれども、いわゆる大規模災害時に災害に遭った、震災に遭ったとかという人たちと比べて物すごく著しく権衡を失するわけにいかないですね、それはお分かりですね。この事件と大規模地震で、阪神・淡路大震災でたくさんの人が二重ローンで苦しんでいます。そういう場合に行ったことと今回のこのような、これは悪らつですけれども被害に遭った人たちと比べて権衡を失するようなことはできないと私は思います。  しかしながら、この返済特例措置あるいは公平性も勘案しながら、例えば住宅金融支援機構の既往のローンの返済に係る特別措置を一昨年の十二月二十日から講じるということで、昨年一月二十三日の、各金融機関団体に負担軽減措置を我々の方から要請をいたしました。それに基づきまして、昨年の二月十四日に全国銀行協会、全国信用金庫協会等五団体、機関の連名の申合せがなされまして、そして返済期間の延長、最大三年間、それから返済据置期間の設定、最大三年間、返済据置期間中の金利の引下げ、可能な範囲で金利を引き下げるというようなことで、民間の金融機関ではありますけれども、国の要請を受けて、そして自主的にこのように取り計らっていただいているわけでありまして、このような措置によって、偽装マンションの建て替え等が円滑に迅速に進むことを我々は期待しているところでございます。  それから、先ほど私は最後までやりますということも申し上げました。それは、前大臣も、この事件が分かってすぐに、既存の地域住宅交付金というものを活用いたしまして、例えば地方公共団体における相談窓口の整備費用とか、それからあるいは移転費や仮住宅の家賃、こういうものを負担する。移転費用は二十五万円まで実費を助成するとか、原則二回までこれもやるとか、家賃は原則十五万円を限度に三分の二は助成するとか、原則三年六か月間これをやるとか、そういうこともやりました。それから、対象マンションを除却するという場合にはその全額を助成するということも行っています。それから、対象マンションの建て替えの際には廊下、エレベーター等の共同施設整備費全額を助成しますと、こういうことも国としてはやっています。あるいは、建て替えに掛かる新たな住宅ローンの利子相当分の軽減費用をこちらで負担する。  こういうことを今までできる範囲で我々としてはやってきたわけでありまして、私としては、これは最後の最後まで努力をさせていただく、これを続けさせていただくということを申し上げているわけでございます。
  94. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、大臣が今御説明いただいた点といいますのは、この間の議論の中でも幾度もお聞きをしてまいりました。それは熟知をした上で先ほどの質問をしたわけでございます。  それで、最後に指摘をしておきたいと思いますけれども、日弁連の住宅紛争処理機関検討委員会委員長の河合敏男弁護士がこう言っておられます。住宅ローンの担保に欠陥が判明したから銀行がリスクを背負うという認識は法律家にはなかった、ただ、今回の事件をきっかけに法律家の認識は一般の認識とは違うのだと反省を迫られた、担保価値を評価したのも銀行だし融資したのも銀行、銀行が担保評価を誤ったんだから自分でリスクを背負いなさいという理屈も成り立つのではないかと、こういう指摘もございます。  私は、改めて、今回の法案法案としつつも、こういう指摘も受けながら、更なる検討をしていく必要はあるということを御指摘を申し上げて、質問を終わります。
  95. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  提出法案の言うところの住宅瑕疵とはどのような内容を指すものか。既に住宅品確法において瑕疵となる範囲というのは定められておるわけでございまして、これと同じものなのか、それとも品確法瑕疵とは違う内容になっているのかを御説明願いたいと思います。
  96. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 品確法の九十四条一項若しくは九十五条第一項の瑕疵担保責任でございます。したがいまして、その瑕疵とは、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分についての瑕疵ということでございます。
  97. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 瑕疵の内容についてですが、住宅建設瑕疵住宅販売瑕疵とは同じものを対象としているんでしょうか。
  98. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 住宅建設瑕疵と申しますのは、個人の消費者といいますか、が建設業者に自分のおうちを建ててくれという建設の請負契約を締結する場合が住宅建設瑕疵でございます。住宅販売瑕疵と申しますのは、でき上がった新築物件といいますか、例えば建て売り住宅ですとか分譲マンションでございますが、そういったようなものを宅建業者から購入をするという場合に住宅販売の瑕疵ということを言っております。どちらもその保護を図られる必要があるということでございまして、そこの瑕疵については範囲は同じでございます。
  99. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 瑕疵であるという判断は買主、それから売主、施工者、それぞれ異なる場合があると思います。私は、できる限りだれが見ても分かるような判断基準というものを示す必要があると考えていますが、特に被害者救済という立場であるならば、専門的な知識を有している、買主が分かる判断基準というのを示す必要があると思うんですが、その点いかがでしょうか。
  100. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 実は住宅自体は非常に個別性が高くということと、適正な管理が行われないと不具合も生じると、経年劣化もあると、こういったようなことがございまして、劣化と瑕疵との区別も非常に難しいということでございますので、一律の基準で瑕疵か経年劣化かというのを判断するのは難しいところがございます。そうはいいながら、当事者間のトラブルが生じた場合にその判断がなるべく適正に行われるということが必要だと思います。  私どもの方では品確法を所管しておりますので、その品確法の施行に際して言いますると、紛争処理機関における住宅紛争の参考にするために実は技術的基準を現在でも示しております。例えば、その技術基準によりますと、床が傾斜するといったような場合には千分の六以上の勾配の傾斜があれば瑕疵が存する可能性が非常に高いというような、こういうような形の基準を示しまして、そういったような場合には瑕疵があるんだよというようなことをいたしております。  したがいまして、こういったような技術基準の普及を今後とも図っていきたいということと、先ほども申し上げましたが、専門的知識を有する保険法人による査定ですとか紛争処理機関によるあっせん、調停といったような仕組みの活用を図りまして、こういったような瑕疵についてのトラブルの的確、迅速な解決を支援したいというふうに考えているところでございます。
  101. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 今回新たに住宅瑕疵担保責任保険法人を指定することになりますが、現在どのような法人を指定されようとしているのでしょうか。また、保険法人住宅検査を行うことになっています。これは高い専門性や検査精度が担保されなければなりませんが、保険法人はどのように高い専門性や検査能力を担保しようとしているのでしょうか。
  102. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 実は、保険法人の指定基準ということかと思いますが、先ほども申し上げましたが、この瑕疵保険ですが、建築時における現場検査と瑕疵が発生した場合におけるその特定と損害額の査定ということで、言わば実務家といいますか、そういったようなものが必要だということと、十年間の瑕疵担保責任でございますので、十年以上にわたる有効な保険を引き受けていくために長期に安定的な資金管理を行う、すなわち財産的基礎が必要だということと、役員の構成が、何というんですか、売主そのものが、社長がここの法人の社長になっているなんというようなことはちょっとおかしいんじゃないかというようなことで、公正、中立性を確保するような要件が必要だろうというふうに思っているところでございます。  この保険法人による検査ですけれども引受けの適格性を判断する重要なものでございますので、当然のことながら、建築に関する専門知識を有する一定の有資格者による検査が行われるというふうに考えております。  今、実は私ども想定しておりますのは、現在ございますのは、品確法に基づく法人でございます、登録法人でございますが、これは財団法人なり株式会社も含めて七社ございます。そういったような法人を中心に参入してきてくれるんじゃないかというふうに推測をしておりますが、いずれにしろ、この保険の公正かつ安定的な運営を確保するために適宜適切に指導していきたいというような感じで今おるところでございます。
  103. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 保険法人が行う住宅検査はどのようなものを想定をされているのか。例えば、今ある住宅性能評価みたいなものを考えているんでしょうか、そのように考えてよいのかどうかを。
  104. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 現在、財団法人住宅保証機構によります住宅性能保証制度でございますけれども、基礎配筋完了時に地盤や基礎の配筋状況をチェックするということと、屋根工事の完了時に柱なりはりなり屋根といった外壁の施工状況等につきましてチェックをするというようなことで現場検査を行っているところでございます。本法のこの保険法人につきましても同様の現場検査を行うことを想定しております。  例えば、現在の検査でございますけれども、任意の保険制度でやっておる検査でございますけれども、例えば三階以下の住宅の場合は、基礎配筋完了時、躯体完了時、いわゆる直前の完工時、竣工時と合計四回の検査を行うことにいたしておりまして、こういったような検査も今回の保険法人でも同様に行われるのではないかというふうに思っておるところでございます。
  105. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) ちょっと済みません、一言だけ。  先ほどの答弁でちょっと、宅建業者が売った場合と建設事業者が請負をした場合の瑕疵の範囲なんですけれども瑕疵の範囲自身は品確法九十四条あるいは九十五条で範囲は同じなんですが、宅建業者が売った場合は民法の売主担保責任、これを引っ張っておりまして、隠れた瑕疵ということで、隠れたという要件がそこに付け加えられています。  したがいまして、表面から見て気が付かないような部分についての責任でありまして、だれが見ても分かるようなものについては民法の、前は一年でしたけれども担保責任、非常に短い担保責任でしたけれども、今回の品確法でも同じような趣旨の、瑕疵だけれどもそれは隠れた瑕疵について責任を負うと、隠れたという言葉が九十五条にありますので、その点で若干範囲が違うのかなという感じがいたしますので、感じというよりも、若干法文上違っておりますので、そのことを申し上げておきたいと思います。
  106. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 それは了解をいたします。  これは同じくやっぱり十年ということになるんですか。
  107. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) はい、十年に延ばされております。
  108. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 供託金を納めようとする場合、年二回の基準日をもって保証金を供託をしますが、責任保険の場合はどの時点で引き受けることになるのでしょうか。
  109. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 先ほど申し上げましたように、保険法人がいろんなところで現場検査で確認をしております。したがって、例えば新築工事を請け負う建設業者なり販売業者の場合には、保険の申込みをあらかじめ工事着工前に行う必要があるというふうに私どもとしては考えております。  そういう意味で、保険法人は申込みに基づいて現場検査を行った後に、引渡し時点で、要するに完成をして自分が全部検査をチェックして大丈夫だと思った時点で保険引受けを行うと、こういうことになると思います。
  110. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 では、何回という指定はなくて、完成した時点で行うと、こういうことの理解でいいですかね。はい、分かりました。  住宅建設と住宅販売とが違った場合の保険法人を利用することも考えられますね。この場合、後発となる住宅販売の検査はどのようになるんでしょうか。
  111. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 後発となりますと申すのはどういう、要するに、建設保険というのはどちらかというと、例えば私が建設業者に自分の家を発注する場合の建設保険ですし、こちらの販売保険というのは不動産業者から私が購入する場合の保険でございますので、併存することはないと思っております。
  112. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 別々でいいの。
  113. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 別々です。だから、私が自分の住宅を発注する場合はこれでございますし、私がマンションみたいなでき上がった物件を購入する場合には販売保険という形になりますので、別々の性格のもので、同じ物件についてこれが併存するということはないと思います。
  114. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 供託金を納めようとする住宅建設、それから住宅販売の場合、その住宅検査の対象となっていませんが、対象としない理由はどのような理由でございましょうか。
  115. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 実は、保険法人の場合には自らが保険を引き受けにゃいけませんので、その住宅のでき上がりに関しましてちゃんとチェックをした上で私が瑕疵担保について保険を引き受けると、こういうことを申し上げているわけです。  それに対して、供託を実施する場合は、自らが自分の会社としてこの住宅を建てていますとか販売をしているという意味で、私がプロでございますので自分で責任を持ってやりますということから、当然のことながら自分で自分の物件については自信を持って造り上げているはずだという前提でございますので、それについて法律上の検査というのを義務付けていないわけでございます。
  116. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 終わります。
  117. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 午後二時まで休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ─────・─────    午後二時開会
  118. 大江康弘

    委員長大江康弘君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、特定住宅瑕疵担保責任履行確保等に関する法律案を議題といたします。  本日は、社団法人全国中小建築工事業団体連合会会長代行青木宏之君、弁護士犬塚浩君及び明海大学名誉教授松本光平君、以上三名の参考人に御出席をいただき、御意見を聴取し、質疑を行います。  この際、参考人の皆様に一言お礼を申し上げたいと思います。  本日は大変、参考人の皆様、お忙しい中にもかかわりませず、また突然なお願いでありましたけれども、快く今日の参考人としてお引き受けをいただきましたこと、本当に厚く御礼を申し上げたいと思います。  今後、この法案に関しまして、より良い、国民の皆さんのためにいい法案を作っていくために、今日は参考人の皆さんの忌憚のない御意見をお聞かせをいただきたいと思いますので、どうぞ御指導のほどをよろしくお願いを申し上げます。  それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。  まず、青木参考人、犬塚参考人、松本参考人の順序でお一人十五分ずつ御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人の方々の御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず青木参考人にお願いいたします。青木参考人
  119. 青木宏之

    参考人(青木宏之君) 御紹介いただきました青木でございます。私、全国中小建築工事業団体連合会の会長代行を務めさせていただいています。  今回の法律案に賛成の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。  我々団体は、通称、長いもので、全建連という言葉を使わせていただいています。全国の中小の工務店の経営者の団体の全国組織でございまして、現在、五十三団体、およそ七万三千社が所属して、地域に密着して木造の在来工法を主流に、日本の住まいを守るとともに大工技能者の育成を行っておる団体でございます。  ここで、なぜ今回の法律に賛成したかを述べる前に、皆さん方は工務店という組織がどういうふうに印象されているかが分かりませんので、我々の全建連の所属する大体の工務店の像をちょっとここで述べさせていただきたいと思っています。  私も実は工務店を経営しておりまして、三代目でございます。昨年から四代目に移りまして、あと数年で創業以来百年という歴史で、ちょうど私の会社が、祖父の時代、それから父親の時代、それから私の時代、それから息子の時代と、日本の住宅史の変遷にちょうど合致しているような形なので、その辺を踏まえまして説明をさせていただきます。  まず、祖父の時代として戦前。戦前には工務店という名前は、まあ竹中工務店というのがたまたまあるんですが、ほかには一般には工務店という名前はなかった時代だったと思います。一般的には棟梁とか番匠だとかという言葉で呼ばれまして、大工と何が違うかというと、人を使って、数人の職人を使って、そして左官屋さんだとか材木屋さんだとか屋根屋さんと、そういう人たちと一緒に協力、今と比べるともう圧倒的に少ない職種の協力の下に家を造り、そしてお客さんからは、お客さんも施主という言葉を使いまして、お客さんから指名されて家をメンテナンスをしたり、それで地域材、お客さんが集めた材木を使ってうちを造っていると、こういう時代が祖父の時代でございました。いまだに、ですからそのころ造った本当の意味での在来工法のうちはまだ残っております、私の会社。地域に対しては、人がいて職人がいるんで、まあ地域の冠婚葬祭の担い手であったというのが私の印象です。  その後、戦後になりまして、一式請負という制度ができまして、棟梁から工務店の社長という名前でお客さんとの折衝に当たって、そして職人と一緒に仕事するというような、こんな時代になりました。戦後は、小さなうち、もううちでも十坪、十三坪、十五坪というようなうちを、家が足らないということで二十五年から金融公庫の融資と、それから当時、今もう三つともないんですが、殖産、電建、太平住宅という割賦会社ですね、そちらのローンというか、今で言うローンですね、そこからお金を借りた人たちが大量にうちを造った時代だと思います。社長、棟梁なんですけど社長という名前で呼ばれた、まあ私の父親なんか社長と呼ばれまして、そしてお客さんとの打合せをするために現場では番頭と称して手配をする、今で言う監督ですね、そんなような役目の人間が生まれた時代です。  そして、大体昭和四十年ぐらいになりますと、これ私の時代なんですが、職人以外の出身の工務店のおやじ、私も含めまして、そういう人間が増えてきました。その時代とともに建材メーカーだとかほかの業界から入ってきた人たちが住宅メーカーと称してうちを造り始めました。多くの大工、工務店はそれをまねをした時代がありました。要するに、建材で造るうちというのは一般の消費者にとってもきれいだとかモダンだとかという形で、それをまねした時代が続きました。そして、元々工務店という組織は家を営業して売るという、こういう土壌がなかったんで、うちを造るということに特化していましたんで、そこのところでかなり侵食されたというか、我々のサイドからいくと侵食されて、そして住宅メーカーの下請として存在するという組織ができました。これがずっと続いていまして、後で申し上げますが、このままの土壌が続きますと大工職人を育成するという工務店の本来のところが、皆さんも御存じのように住宅メーカーというのは全くその部分は投資しませんので、その辺のところが危ういなと私自身は常々思っております。  そして、二〇〇〇年ぐらいから、今まで造る側の論理で全部造ってきたんですが、ここに消費者という考えができまして、消費者、要するに建てられるお客さんについてどう考えるか、保証するか等ですね、そういうような時代になりました。これは多分主に私の息子が担当するんだと思いますが、若い消費者がやっぱり情報をたくさん持った人たちが工務店に頼み始めました。  そして、このころ、平成十二年に品確法ができました、品質確保促進法ができました。消費者のための性能とか保証とか安全というような要求が工務店にされるようになりました。これが今回の法律につながるんですが、住まいを造る元請として工務店が仕事をする場合には契約がどうあろうと、どういう条件だろうと十年間の瑕疵保証というものが義務付けられました。そして、この保険制度、今回の保険制度があるまでは、人によっては私が保証しますから大丈夫だとお客さんに胸を張って言っていられる方もいるし、それから住宅メーカーなんかは規模だとかいろんなことを表に出しながら言っているという形。このときに我々全建連は財団法人住宅保証機構と連携しまして、そして地域優良木造住宅、これ略語でちきゅう住宅という言葉を使っていますが、高品質の住宅を開発し、そして自前の検査員を育成して、そして第三者検査を導入しまして、特定団体として保証機構に保険料の割引をお願いしまして、そして保険付きの住宅を造り始めました。昨今、年間で三千棟ぐらいを造っているという経験があります。この経験に基づきまして今回の法律案考えているということです。  工務店にとっては、この保険付きの住宅のメリットは、万が一瑕疵が発生しても保険適用されるという意味と、それからもう一つ大事な意味として、高品質の仕様の、いい性能を持った建物が我々工務店、中小工務店も造れるんだということを消費者にアピールするという、これは勉強会を通じまして営業政策上にも非常にアピールするというふうな形で、この二つが消費者に対して安心につながるということになると思います。  今回の法律を全建連として解釈しますと、まず一つとしましては、住宅メーカーと同じ土俵で仕事をできるということで、これは全戸適用になりますんで、住宅メーカーだろうと中小の工務店だろうと同じ法律適用されますんで、今まで、時としては瑕疵に対する保証の部分住宅メーカーが規模だとか信用だとかという面で営業政策上攻めていた部分ですね、工務店に対して、その辺のところが同じ土俵で仕事ができるということ。  それから、全建連は住団連という全国組織の一員ですが、住団連の方が心配を最初からされているように、モラルハザードの問題なんですが、工務店というのは、地域に密着して、そこで家族も住んで兄弟も住んで友人もいるという状態でずっと何とか生き残ってきた工務店、小さな組織です。そこでもしモラルハザード関係するようなことをやったときには、やっぱり私個人で考えても失うものが余りにも大き過ぎるんで、一般的にはやらないと私は思っています。これも皆さん方に、中小だから危ないとかという印象は是非ぬぐい去っていただきたいと思っています。  そして、とはいえ、我々の仲間には、例えば七十代で後継者がいないという工務店の経営者がおります。そうすると、その七十代の方が十年間私が保証しますとおっしゃっても、若い消費者の方は、十年たつと八十幾つだという形で、そういう問題が出てきます。それで、そういう方も、後継者がいなくてもこの保険制度適用されますと、我々仲間でそれを引き継ぐというようなことも今後考えられるんじゃないかということで、是非この法律が通ればいいなと思っています。  それから、もう一つとしては、我々、やっぱり全員がこの法律に安泰して、そのまま適用されるからいいやという形では残れないと思っています。ですから、やっぱり我々も切磋琢磨して勉強しまして、そして団体として、それから技術とか技能とかという水準を高めまして、団体適用とされることで保険料が安くなるという努力目標を是非ここで加えていただければ、我々は一生懸命努力してやっていきたいと思っています。  以上が今回の法律に賛成する理由でございます。  最後に、やっぱりこれだけは言っておきたいんで、団体連合の会長として、第一級の技能者を育成しているのは中小の工務店であるということをまず申す。それから、地域のボランティアも担っているのは私の知っている限りではやっぱり中小の工務店がかなり担っている。ですから、中小工務店が元気にならないと日本の地域社会は良くならないと私は常々思っていますので、我々も努力しますが、先生方も是非この法案を通しまして御協力をお願いしたいと思います。  以上です。ありがとうございます。
  120. 大江康弘

    委員長大江康弘君) ありがとうございました。  次に、犬塚参考人にお願いいたします。犬塚参考人
  121. 犬塚浩

    参考人(犬塚浩君) 私は、住宅品質確保促進法の制定に日本弁護士連合会、日弁連委員として参画し、現在は日弁連住宅紛争処理機関検討委員会事務局長として、品確法に基づく評価住宅の紛争処理を弁護士会が担当するについてのバックアップする役職にございます。また、私も個人的に欠陥住宅の問題に取り組んでまいりました。  このたび意見陳述をさせていただく機会をちょうだいし、日弁連委員として、また一人の弁護士として私の意見を申し上げさせていただきます。  本法律案は、住宅供給者の瑕疵担保責任を供託と保険の二つの側面から資力的に担保し、また、保険については新たな紛争処理制度を設けるものでございまして、日ごろの弁護活動において欠陥、瑕疵の立証に成功しても供給者の資力不足ということで被害を被る消費者を目の当たりにしてきた私には、この本法の実現を強く期待しております。また、新たに紛争処理制度として、決して使い勝手がいいとは言えない裁判制度のほかに新たな紛争処理機関を設けていただくことについても強い期待を持っております。  ただ、先生方並びに政府の方にあられましては、消費者保護観点から、以下の四つの点につき、より綿密かつ柔軟な御検討、御対応をちょうだいしたいと考えております。  まず一番目は、資力担保制度一つでございます供託についてでございますが、供託については二つの点を御指摘したいと考えます。  まず、供託金が金額として適切であるかの御検討を是非とも今後とも継続していただきたいと考えています。供託金制度は、言わばプールされた一定金額を多数の被害者が分け合うものでございまして、供託金額そのものが不十分であれば被害救済は十分に図れません。特に、今回の構造計算書偽装事件のようにマンション一棟全体に欠陥があるケース、これは言うまでもなく、過去にも一つ業者一つの分譲地にて地盤調査を十分に行わなかったことが原因で多数の被害者が発生するケースがございました。このような場合には、十分な救済が供託金制度でなされるかどうか、若干の懸念がございます。  本法律案においては、既に供託金、まあ保証金という名称になりますが、の範囲が供給戸数に応じて定められているようでございますが、今後もその金額の適正についての十分な御検討をちょうだいしたいと考えております。  そして、供託金の二番目の点につきましては、この供託金、保証金の還付方法、消費者が取り戻す方法、これが簡便なものになることを是非とも御検討いただきたいと思います。  本法律案において新たに弁護士会が担当する紛争処理の対象保険住宅に限定されているようであります。確かに、施工段階で第三者の検査が入ることが十分予測されます保険住宅と異なり、供託の場合には必ずしも施工段階で第三者の検査が入るというわけではないかもしれません。そういう場合には、後に紛争に至った場合でも、紛争処理のための十分な資料が与えられないというケースも想定されます。その場合には、紛争処理を担当する上では、供託金の対象となる住宅に関して国民に納得のいく紛争処理を行うについては保険住宅とは異なる配慮を必要とするものであり、本法律案において紛争処理の対象に供託金対象住宅が入っていないということが理解できないわけではございません。  しかしながら、これでは供託金の対象となる住宅の取得者は、供給者との間での話合いによる決着が付かない場合は事実上、裁判による決着しか事実上難しいんではなかろうかという懸念が若干存在します。保険住宅を購入した消費者と供託金の対象となる住宅を購入した消費者との間で被害救済の選択肢に著しい差異が生じることは、必ずしも適切とは言えません。是非とも、供託金対象になる住宅についても還付に関する紛争処理をサポートする体制を今後御検討いただければと思います。  そして、これらを考えますと、住宅というのが純粋に個人資産というわけにとどまらず、世代を超えて承継される社会的な財産であるということも考慮すれば、施工段階の資料が十分に確保されるよう、全住宅品確法の性能表示制度を利用するような考え方も視野に入れて今後の御検討をちょうだいできればよいかと考えております。  供託に続きまして、保険について次に申し上げます。  保険については三つの点を御指摘したいと考えます。  どうも予測するところでは、保険と供託の中では相当数が保険を利用するのではないかと言われておりますが、相当数の住宅保険を利用した場合に、今後の保険内容を省令で御検討いただく際には、是非とも消費者保護という点を十分に御考慮いただきたいと思います。  どの範囲で保険で保証するのか、この保険内容はこの保険制度の言わば生命線でございまして、その内容が不十分であれば供給者の瑕疵担保責任資力的に担保するという本法の意義を失いかねません。欠陥住宅被害においては、直接な工事費のみならず、調査費、工事監理費その他、場合によっては引っ越し費用、移転先の居住費や慰謝料まで発生するケースもございます。欠陥によって被害者に発生する損害をできる限りカバーできるような保険制度にしていただくことをお願いしたいと思います。  また、保険制度の下では、モラルハザード観点から、どうしても供給者が故意又は重大な過失によって欠陥を発生させた場合には保険対象とはならないと考えられるであろうと推測しているわけでございますが、保険でてん補できない場合であっても、被害者救済という点を十二分に御考慮いただければと思います。  被害者にとっては、その欠陥が供給者の故意又は重大な過失によって発生したのか、又はそうではない過失によって発生したのかは見分けが付かないばかりか、全くあずかりし得ないところで起きている出来事でございます。よって、モラルハザードの問題があるとはいえども、悪質な業者であればあるほど被害者救済が図れないという状況がないような御検討をいただきたいと思います。  三つ目といたしましては、供給者が倒産した場合でございますが、法的処理を行っているか否かにかかわらず、被害者救済が十分に図られる保険内容又は制度にしていただきたいと思います。  供給者が倒産したケースにおいては、破産に代表されるような法的処理が行われるケースよりも、むしろ法的手続に基づかない任意整理、私的整理と呼ばれたりしますが、また場合によってはそういう処理が全くされないようなケースもございます。そういう場合に、供給者の倒産処理の方法によって被害者救済に違いが出てくるべきではないと考えておりますので、是非とも、被害者救済という観点から、私的整理や整理さえ行われないようなケースにおいても十分な担保が取られるように、被害者救済が図れるような御検討をちょうだいしたいと考えております。  保険、供託に続きまして、保険法人についてでございますが、保険契約の主体となる保険法人については二つの点を御指摘したいと思います。  まず、保険による被害者救済を図る上で保険法人の活動は極めて重要であります。先般の保険会社の不払事件に象徴されるように、組織としての中立性と透明性が確保できない場合には消費者救済を図ることは難しいと思います。その意味では、規制緩和の時代とはいえども保険法人の指定要件については厳格性を確保し、業務開始後も適切な業務規程に基づく業務の運営に対して国土交通省の適切な指導監督がなされるべきであって、その手段が担保されるべきであると考えます。  また、今後、保険住宅新築住宅の中で大きな役割を占めることが予測されるわけでございますが、二つ目の点といたしましては、保険制度の前提となる施工時の検査が十分かつ迅速に行われるのかという点について若干の懸念がございます。  保険制度でございますから、施工時の調査ということが当然あると思いますが、今後、その検査員の増加が要求されるところ、人的、物的な整備が十分に行われなければならないのですが、制度未発達のために施工過程に影響を与える、例えば工期が延びる等の問題が生じて、価格にコストオンすることによって消費者が不利益を被ることがないような政策をしていただきたいと思います。  そして、四つ目でございますが、紛争処理に関しては二つの点を御指摘したいと思います。  保険住宅の紛争処理を担当する弁護士会は、この責任の重大性を十分に認識しておりまして、個々の事件を迅速かつ適切に処理しなければならないと認識しております。ただ、その実現のために、欠陥住宅という専門性の強い分野に関して、紛争処理委員の研修制度の充実、紛争処理のための情報の収集、整理、それから処理基準の策定、個々の事件における技術的なバックアップ体制を是非とも御整備いただきたいと思います。そして、そのために住宅紛争処理支援センターの組織強化とそれに伴う予算措置を十分に確保していただきたいと考えております。  そしてもう一つは、弁護士会の紛争審査会を消費者が利用した場合でも、瑕疵担保責任に基づく請求権の消滅時効の効果が現在は生じないという状況にございますが、紛争処理機関の申立てをもって、品確法改正等によりまして時効中断効が生じるような方策を是非ともお願いしたいと考えております。  最後ではございますが、欠陥住宅の問題は従来から紛争の現場では多く存在していましたが、誠に皮肉なことに、この構造計算書事件で非常に脚光を浴びる形になりました。このタイミングというのは、欠陥住宅に対する対応策を投じるに千載一遇のチャンスであるかと私も考えておりますので、是非とも先生方の積極的な御議論をちょうだいしたいと考えております。  以上でございます。失礼しました。
  122. 大江康弘

    委員長大江康弘君) ありがとうございました。  次に、松本参考人にお願いいたします。松本参考人
  123. 松本光平

    参考人(松本光平君) 松本でございます。  今日は、参考人として意見を述べる機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。これから十五分間、皆様の貴重なお時間をいただいて、今回提案の法案が目指しています住宅に関する新しい消費者保護制度について、一研究者として意見を述べさせていただきたいと思います。  順序は、まず住宅分野の消費者保護の意義について、次に姉歯事件で明らかになりました現行制度上の問題点について、そして最後にその解決策としての新制度の課題の順に意見を述べます。内容はお手元に配付しました資料にも記載していますので、適宜御参照いただきますようお願い申し上げます。  住宅分野の消費者保護対策の意義については改めて申し上げる必要はないかと思いますが、確認のため申し上げます。  住宅の欠陥を予防したり、欠陥による被害救済することは、世界の多くの国で共通な重要な政策課題となっております。住宅は、他の建築物と異なり、国民の生活基盤であり、しかもこれを手に入れることは生涯の最も重要な買物であるからであります。もしも手にした住宅に重大な欠陥があれば、生活は破壊され、家計は回復不能な重大な損害を受けることになります。  このため、住宅の取得に関しましては、リスクフリー、すなわち欠陥がない、万一あったとしても損害が救済される、つまりリスクが事実上ないことを目指して主要先進国では様々な制度が運営されております。この制度は一般に住宅保証制度と呼ばれております。この制度がどのようなものかは、お手元に配付しました資料に制度構成の概要を記載しましたので、御参照ください。  我が国では、性能保証制度の名称で一九八〇年に開始され、現在まで約百万戸以上の住宅を保証する実績を上げました。その延長上に、平成十二年、二〇〇〇年には住宅品質確保促進法が施行され、新築住宅に関して十年間の瑕疵担保責任が契約により軽減できないものとして法定されました。しかしながら、我が国の住宅保証制度の普及は必ずしも十分ではありませんでした。しかも今回、不幸にして姉歯事件が発生し、欠陥の予防と被害者救済が不十分であることが明らかになりました。欠陥の予防のためには、既に建築基準法が大きく改正されました。  そこで、ここでは主として被害者救済の課題に関して意見を述べたいと思います。  まず、住宅業者が、つまり住宅の販売業者であるとか建設業者ですが、その住宅業者住宅品質確保促進法に基づいて十年間の瑕疵担保責任を負っていたとしても、その責任を全うせずに倒産し、あるいは廃業しますと、責任者不在となりますので、被害者救済されないことになります。ここに第一の問題があります。  次に、住宅保証制度が普及し、住宅業者が現行の制度に加入していれば保険により被害者救済が可能であると考えられますが、一連の構造計算書偽装事件のように、生産者の故意又は重大な過失により引き起こされた損害は保険ではカバーできません。制度上、保険者免責となります。これは、モラルハザードを防ぐための必要なルールです。  したがいまして、事件の捜査や審査により、もし制度加入者に故意又は重大な過失があると認定されますと、この場合も被害者救済が困難になることが明らかになりました。これが第二の問題でございます。  これらの事実はいずれも、国民の生活基盤である住宅に関する消費者保護を全うするためには、現行の瑕疵担保責任制度に加えて、その責任履行を確保する制度、言い換えれば、住宅業者倒産等の影響を受けない救済資金のプールを新たに創設する必要があることを示しております。ここに、今回の法制度改正の意義と課題があると考えます。  それでは、法案が予定しております瑕疵担保責任履行確保措置に関して意見を述べたいと思います。  国土交通大臣の私的諮問機関の座長として法案の基礎となった報告を取りまとめに当たりましたが、その際に重要な課題として指摘されたものに絞って意見を述べたいと思います。  法案は、新しい制度の骨格を定めるものですので、これから申し上げる課題の処理は法案には必ずしも明記されていないものもございますが、法律に基づく政令、省令等により具体的なルールを定め、制度を適切に運用することにより十分に対処できるものと考えます。  それではまず、法案に盛り込まれました新しい瑕疵担保責任制度に関する課題について述べます。  第一は、モラルハザードの防止であります。  保険があることによって生産者の緊張が解け、粗悪な工事が増加しないように、適切な審査あるいは検査により、欠陥と、欠陥ばかりでなく不良業者を十分に排除する必要があります。  第二は、保険引受けキャパシティーの確保であります。  大規模なマンション開発が進められておりますので、巨大な損害が一事故で発生する可能性があります。このような事態にも対処するために、十分な規模の再保険プールを整備する必要があると考えます。  第三は、住宅所有者の保護であります。  住宅の事業者が破綻した場合でも、住宅の所有者が直接保険金相当額を請求できる必要があります。これは、先ほど述べました第一の問題への対応策でございます。  次に、保険以外の履行確保措置に関する課題について述べます。  大規模な住宅業者の場合は、自己の事業の中で大数の法則が働き、保険に相当するリスクの軽減が可能であります。したがって、必ずしも保険を必要としません。この場合に適した履行確保措置としては、供託などがあります。この措置に関しましては、供託額の設定、瑕疵の認定、還付金額の算定等を適切に行うことが重要な課題となると考えます。  次に、生産者の故意又は重過失による損害の救済、つまり先ほど申し上げました第二の問題に対する対応策に関する課題について意見を述べたいと思います。  この課題は、当然加害者が自ら被害者救済に当たるべきですが、倒産等により破綻し責任履行できない場合は、救済は実現しません。被害者救済は最重要な課題と考えますが、だからといって直ちに公費をもって救済することは、公平性の観点から必ずしも妥当とは言えないと考えます。  また、論理的には保険制度の利用も考えられますが、我が国ではこの種の被害救済する保険商品が現状では提供されませんので、実現性がありません。残された道は、住宅取得者がこの種の損害を住宅取得者共通の危険として考え、つまり住宅取得者らがひとしく負っているリスクだと考えて、広く浅く費用を負担することにより救済資金を創設することではないかと考えます。一種の共済制度であります。ただし、基金が十分な規模に達するまでは、何らかの支援、例えば他の基金による一時的な立替えなどが必要であると考えます。  以上でございますが、最後に、この法案が必要な審議を経て成立し、制度の基本的な骨格が定まり、これに基づいて必要な政令及び省令等が整備され、組織体制が整えられ、一日も早く施行されることを希望いたします。  そして、国民の代表である皆様方の監視の下に、新制度が適切に運営されることにより、国民住宅からリスクが取り除かれるものと信じております。  ありがとうございました。
  124. 大江康弘

    委員長大江康弘君) ありがとうございました。  以上で参考人の皆さんからの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、大変恐縮でございますが、時間が限られておりますので、簡潔に御発言くださいますようお願い申し上げます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  125. 小池正勝

    小池正勝君 自由民主党の小池正勝です。  参考人の先生方、お忙しい中ありがとうございます。  時間がございませんので、簡単に御質問、お教えを願いたいと思っております。  まず、青木参考人様には、全建連の会長代行さんとして、とりわけ在来工法の伝承、あるいは先ほどもお話がありました必要な大工さんの育成ということで大変な御努力を賜っているわけでございまして、先ほど在来工法百年もっている家があるわというふうなお話もありまして、木造住宅の大切さというのを教えていただいたんですが。  今日はそのお話ではなくて、この瑕疵担保お話なんですけれども、全建連傘下の業者さん、中小零細の方が多いわけでございますが、中小零細の方には、こういった制度というのは料金当然払わなければいけないわけですから、重い負担だということをおっしゃる方と、一方で、先ほど青木会長さんは、そうではなくて、むしろ大手は安心、中小は不安というふうな風評といいますか、いい加減なデマといいますか、そういったものに対して、正に有効なPRといいますか、高品質な安心、安全な住宅中小零細でも十分やる能力もあるし、制度的にも担保されているという意味でアピール効果があるから積極的に評価する、むしろ賛成だという御意見だったんですが、前段に申し上げたような料金問題への不満ということはないのでしょうか。  とりわけ、今の料金、今でも、住宅保証機構のお話がありましたけれども、料金を払っているわけですが、その料金の設定に不満、高過ぎるというようなお話はないのでしょうか。その二点をまず青木参考人さんにはお伺いしたいと思います。  続けて、もう時間もありませんから申し訳ありませんが、続けて犬塚参考人さんと松本参考人さんに御質問を申し上げます。  同じ御質問なんですが、犬塚参考人さんのお話の中でも、故意又は重過失お話がございまして、もちろんモラルハザードあってはいけないと思いますし、一方で、しかし故意重過失保険対象でないから救われないとやったんでは、正に姉歯事件にしてみてもヒューザー事件にしてみても全く対応できなくなってしまうので、何のための制度か分からなくなってしまうわけですから、ここはきっちり正に消費者保護被害者保護補てんということを考えていかなければならない、私もそのとおりだろうと思うんでありますが。  そこで、先ほど犬塚参考人お話では、こういった補てんとしては引っ越し費用であるとか慰謝料であるとか、非常に広範なことを御指摘になっておられました。なるほどなと思って聞かせてもらったんですが、そうなりますと額は非常に膨大なものになっていくんだろうと思うんですね。そうなったときに、今、今回の法で考えている救済基金というのを考えているわけですが、救済基金というのは午前中の議論でもあったんですが、一年間で一件五百円で八十万戸で約四億だと、十年間四十億の規模の基金なんだと、こういうお話でございました。この規模、救済基金として先ほど莫大なものが要るという御指摘があったわけですけれども、四十億という規模についてどうお考えになるか。もっと言うと、大丈夫とお考えになるかどうか。松本参考人さんにも、この四十億というものについてどうお考えになるか、この点を御質問申し上げたいと思います。  以上です。
  126. 青木宏之

    参考人(青木宏之君) 保険料の件をどう考えるか、保険について。  元々この全建連というのは経営者の、工務店の経営者の会でございまして、当然ながら建設業許可を取り、火災保険、労災保険、第三者傷害保険だとか、そういうものは会社の経費として払っております。  そして、ちなみに具体的な数字を申しますと、ちきゅう住宅保険料はおおむね〇・五%ぐらいの保険料で、これを特定住宅として団体適用してもらって〇・二七とか〇・三とかという形。〇・二七、〇・三で将来十年間安定して仕事ができるということを考えると、これは具体的に言うと、一千万で二万七千円から三万円ぐらいです。これが一応、全建連としてはこのくらいの投資はしないと消費者の方に保護消費者保護というか、そんな大それた考えはないんですが、認められないだろうという形で、スタンスでやっております。  そして、工務店というのは元々が建築基準法もなし、何もなしのときに自然発生した職業でございますから、こういう形でいろんな規制が出ると確かに反発があります。ですが、これはもう仕事をやってこれから継続をするためには必要だという、役員会では、理事会というんですか、それではそういうようなコンセンサスを得ていまして、こういう形で今後も進めていかなきゃいけないと。  具体的に言いますと、工務店の今ネットワーク組織をつくっていまして、何のたれべえがどこでどんなような仕事をしているかというリストを今作っております。それによって工務店の業界みたいのができて、そして消費者に対して団体としてアピールできればと思っています。
  127. 犬塚浩

    参考人(犬塚浩君) 四十億の妥当性についての御質問でございまして、大変難しい御質問でございますが、事件の実情という意味からしますと、まず千万単位の損害賠償請求ということになりますと、基礎の形式を誤ったとか、もう相当ひどいケースでございまして、決して件数としてはそれほど多くはございません。  私のあくまで個人的な経験で言わせてもらいますと、通常の雨漏り等のレベルでありますと数百万に行くのも珍しいぐらいかというふうに思います。そうなりますと、一件についてどれぐらいの被害かというものと、あとは発生の割合という形になるのかなと思います。  そうしますと、保険制度を利用しますと、施工過程にいろいろな調査が入りますので、現在の住宅保証機構の事故件数というのが一つの参考になるということになりますと、〇・〇三ぐらいのパーセントぐらいでしょうか。途中段階での検査が入れば大規模な瑕疵というのも起こりにくいと思いますので、一件当たりの、件数としてはさほど高い金額を考えなくても実質的な被害者救済は可能ではなかろうかと思います。  ただ、先ほど申しましたように、供託金制度の場合は途中で必ずしも第三者の検査が入るとは限りませんので、その場合にどうなるか。ちょっと先読みしますと、供託金をなさる企業というのは大分大きな企業が多いと聞いておりますので、資力的な問題というのは割と確保されるやに聞いてはおりますが、制度から見ると、やはり供託金の場合には途中で、施工過程での検査が入りませんので、保険制度ケースよりも若干多めになるんではなかろうかというふうに考えております。  一件の、件数としては、私の直感的な答えであれば、平均数百万レベルの確保ができればもう十分でございまして、それよりも小さいのも相当ございます。それから、発生件数としますと、保証機構の発生件数が一つのポイントになるかと思います。  以上でございます。
  128. 松本光平

    参考人(松本光平君) それでは、故意又は重過失の問題についてお答えいたします。  研究者の立場で言うと分からないというのが結論でございまして、つまり、現行の制度、特に建築基準法改正されまして、二重の検査などをやりますので、そういう意味では、姉歯事件のようなものが頻繁に起こるといいますか、例えば十年のうち一回起こるという、つまり、日本でいうと全体が百万戸ぐらいの規模ですから、それが十年で一千万戸の中で一度起こるというような、そういう確率よりもっと小さいんじゃないかというような、技術者としてはそういう予測も立てられますが、ただし、いずれにしろこれは新しい制度ですので、つまり建築基準法の効果とかそういった点について、新しい制度ですので、正直なところは分かりません。ただ、心配をすれば切りがないといいますか、五百円ではちょっと安いんではないかというような印象は持ちますけど、根拠はございません。  それから、今犬塚委員の方から御発言があったその供託に関しては、この救済基金は使わないはずですので、供託の制度そのものとして、業者倒産あるいは相当悪いことして倒産したときの事故率というのが、当初政令等で決めた限度額を上回って事故が発生する可能性というのは十分あるのではないかというふうに考えますが。
  129. 小池正勝

    小池正勝君 終わります。
  130. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 民主党・新緑風会の山下八洲夫でございます。  三名の参考人の先生方には心から感謝とお礼を申し上げたいと思います。  早速ですが、幾つか質問をさせていただきたいと思います。  松本参考人様の今日のレジュメにも書いてあるわけでございますが、取得した住宅に重大な欠陥があれば、生活は破壊され、家計は回復不能な損害を被ることになりますと。このため、住宅の取得に関してはリスクフリー、すなわち欠陥がない、あるいはあっても損害救済されることを目指して先進諸国では様々な制度が運営されていますと。  確かに、住宅購入というのは、私は一世一代の大事業だというふうに思っております。今日の、瞬間お話がずれてしまうんですが、特にマンションを購入する場合、もう一年も一年半も先のものを、青田買いというんですかね、まず手付金を打って予約をしていくと、このような現在購入の仕方になっております。そういう中で、例のヒューザーの問題でも、マンションによっては半分ぐらいの方がもう手付金を打って、あとまだ打っていない、そのようなマンションもございました。  そこで、私が感じますのは、いろんなものを、物件を購入するときに、まあ自動車にいたしましても大体完成品を購入しますし、あんな高い購入物件で、ほかにマンション以外にあるだろうかと考えると、私はなかなか思い付かないんです。一世一代の住宅購入。  特にマンションの場合、今のような売り方が本当に消費者、ユーザーにとって正しいんだろうか。ある程度、例えば八割ぐらい完成してから契約をするとか、何かそんな方法ある意味では考えた方がいいのではないかなというふうに思ったりいたしますが、この辺につきまして三名の先生方に一言ずつ、簡単で結構でございますから、まず御感想をいただきたいと思います。
  131. 松本光平

    参考人(松本光平君) 現状でも、マンションを買う国民の間では、工事中にそのマンションの中に入って、それも一級建築士などを伴って、それで現場を見て歩くということをやっていらっしゃる皆さんもいらっしゃいますので、それはやはり自由な意思でそういう道を選んでいただく、その道を開いておけば十分ではないかというような印象を持っていますが。  もちろん、一方で、非常に楽観的にといいますか、気軽に考えて、お手軽主義というのが現代の主流ですので、お手軽に住宅も取得できるという前提で、何にも心配しないで買って損をするという人もいらっしゃいますけれども、それはそれなりに、これから先様々なメディアを通じて、住宅取得というのはリスキーなのできちっと対応するようにというような、消費者教育と言うとおこがましいのですけれども、世界各国そういうことをやっておりますので、日本でもそのようなことをやることが合理的ではないかというふうに考えます。
  132. 犬塚浩

    参考人(犬塚浩君) 法律屋としては、契約自由の原則というのがございますので、契約は基本的に自由にということになるとは思うんですが、御指摘のとおり、まだ現物を見ていないものに数千万のローンを組んで買うというのは大変に勇気の要ることでございます。  一つ考え方といたしましては、私も先ほど御指摘させていただいたんですが、特にマンション等につきましては、耐用年数が極めて長いということや代々承継するということからしますと、仮にそういう青田売りや青田買いという制度を残すとしても、性能表示制度等で中間段階、施工段階での検査がきっちりと入れば、消費者が、買う側が不利益を被るということは少ないんではなかろうかなと。そう考えますと、性能表示制度のより多くの普及というものが政策的にも御考慮いただければ一つの方策になるのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  133. 青木宏之

    参考人(青木宏之君) 私は木造の住宅の立場から話さしていただきたいと思いますが、先ほどの、建って完成した建物について買うという、これは首都圏では約半分ぐらいがもう分譲系になっていまして、建ったうちを見に行ってうちを買うと。このシステムにもいろいろ御存じのように問題があって、建物というのは、完成しちゃいますと、軸組みの場合には分からない部分が一杯ありまして、その部分チェックをどうするかという問題がかかっておると。  アメリカの例ですと、今九七%ぐらいはそういう分譲系でやっていますが、三%ぐらいやっぱり日本と同じように工務店に頼んで注文建築をやっているものがあります。私も数年前に、その建物を私が見積りしまして、向こうの人が今度はうちの建物を見積りしますと、向こうの注文建築の方が全然高いです。そういうシステムの分譲系が主体になって、注文建築をやるということはそれだけいろんな保証だとかアメリカ独特のものがありまして、物すごい値段を払ったお金持ちが造っている業界だと。  これが日本の今の一般的な消費者の感覚に適応されるかどうかというのはちょっと分かりませんが、まだアメリカに比べると大工さんが豊富です。アメリカにはフレーマーとそれからカーペンターといまして、主に注文建築をやっているのはカーペンターという種類の人で、その部分で比べますと、やっぱり日本の方が全然多いという形。このシステムは、一般消費者に対してはまだ残しておいた方が幸せなんじゃないかなと私は思っていまして。  ただし、先ほど出たような性能表示制度だとかそういうもので事前のチェックができれば、それはやっぱりこれから進めるべきだなと、反省を込めて思っております。
  134. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 私自身も、消費者やユーザーの立場から考えますと、この保険制度あるいは供託制度、これについては大変いいことだというふうに理解をいたしております。  そこで、青木参考人さんと犬塚参考人さんにお尋ねしたいんですが、今回のこの制度というものは、もう中小零細から大手まですべて、供託を選ぶかあるいは保険制度を選ぶかは別にいたしまして、すべての皆さんがこれに対応しないといけない、このようなシステムだろうと思っています。  私はどちらかといいますと田舎人間であるものですから、田舎から見ておりますと、マンションとか戸建て建て売り住宅、こういうものには戸建て建て売りの見えない部分がございますから、そういうお話もございましたのはそのとおりなんですが、こういうものについては保険制度あるいは供託制度は私はいいことだと思うんです。ただ、田舎へ行けば行くほど、私の周辺にも小さな工務店もありますし大工さん、棟梁もいらっしゃいますし、地域社会が進んでいれば進んでいるほど、個々で注文をいたしますと、途中で設計変更をユーザーが、例えば押し入れを東向きだったのを南向きにしろとか、あるいは引き戸を開き戸にしろとか、いろんな小さな変更もございますし、あるいは部材の変更もあると。そういうことを見ていきますと、もう信頼関係でやっていらっしゃるんですね。ですから、私は、そのような小さなところまで私は本当にこの瑕疵担保保険制度が必要なのだろうかというふうに思います。  多分、犬塚弁護士さんは、そういう紛争では、多分マンションとか、あるいはまた戸建て建て売りや戸建て注文住宅等であれば、またそれもちょっと参考にまた提示いただければ有り難いと思うんですが、あっても相当、比較的少ないんじゃないかなと。  それから、大変粗っぽい言い方をさせていただきたいんですが、もう一点は、大体、よほど重大な過失あるいは故意をしない限り、少々手抜きがあったって十年間ぐらいというのは住宅というのはがたぴしゃしないでもつんじゃないかと思うんですね。十年過ぎた辺りからが、例えばプレハブ住宅にしましても、三十年、四十年たってきますと相当おかしくなってきているのたくさん田舎にあるんですね。  だけれども、昔からの木造できちっと造ったのはびくともしないで五十年、先ほどお話ございました、百年というのがあるわけでございますから、私は、十年たってからの方が私はどちらかというとこの保険制度というのは大事じゃないか。五十年、百年もつようなうちを造るのが本当のうちじゃないかなと思うんですけれども、その辺について、この二点についてそれぞれお話をお伺いさせていただきたいと思います。
  135. 青木宏之

    参考人(青木宏之君) 私も、今から、多分性能表示制度なんかができる前は先生と同じ考えだと思っていました。  ところが、やっぱりそれではだんだん商売が、まあ私は首都圏ですので、特にお客様の情報だとかいろんなので商売ができにくくなってきたのは事実でございます。もちろん、ずっと長いこと信頼関係でやって、今でも信頼関係が主流でございますが、やっぱり若い三十代のお客さんに対して、私を信用してくださいと言うだけではちょっと難しいのが現状。正直言って、私は今の若い三十代のお客さんは苦手です。もう息子に全部振っちゃっています。やっぱりあれだけ情報を持って、もう本当に専門的なこともインターネットで調べているという、そういう状況です。  そして、逆に紛争処理の話も、工務店を守るという物の考え方も一つ考えられるんですね。無理難題を押し掛けられたときに、公平な弁護士先生だとか紛争処理の方がやっていただけるという、そういう部分も、逆に私らの年代になると若い人って怖いですよね。そういう部分があって、そういう制度の使い方もあると思います。  それから、先ほど、設計変更とかそういうものを、実は性能表示制度が工務店のレベルで、まあ国土交通省もいらっしゃいますが、ほとんど進んでいないというのが現状です。  これの一番の問題は、先ほど言ったように、工務店というのは、棟が入って工事中になっても設計変更できますよ、ここにドアを付けられますよとか棚を付けられます、まあ棚ぐらいはいいんですが、間取りの変更ぐらいは平気でやるという土壌がありまして、ところが、その性能表示制度というのはそこにそぐわない部分がありまして、ここが売り方がちょっと違うというか考え方が違う部分で、余り積極的に取り組んでいないというのが現状でございます。
  136. 犬塚浩

    参考人(犬塚浩君) まず、保険制度は極めてお一人の大工さんまで、隅々まで必要なのかという点の御質問につきましては、消費者保護という建前からすれば一人でも多くの方にという気持ちがありますが、御指摘のとおり、私、平成十二年に品確法が制定された当時に、ちょっと全国で品確法の御説明に回る機会がございまして、ある地方都市で大工さんのお集まりのところに呼ばれて行きましたところ、冒頭のあいさつで、その組織のトップの方が、やはり昔ながらの大工さんのような方で、ちゃんと造れば十年ぐらいもつんだと、こんなもの法律で十年間義務付けるなんてばかばかしいと言って、一言言ってもう冒頭のあいさつで出ていかれて、その後、私が法律案説明するのが非常に、何というんですか、寂しい思いをしながら説明した覚えがございますけれども、まさしくそういう、何というんですか、ある意味保険でカバーしなければならない現実というのは若干寂しいという気持ちはございます。  ただ、どちらかというと、やはり時代の波の中で、大工さんの技能という問題と経営という問題が必ずしも一致していなくて、経営的に苦しいというときに資力的な担保措置というものがあればということは事件の中で感じるのも事実でございますので、たくさんの方に入っていただければというのが私の意見でございます。  それから、十年超えた後がより重要なんではないかというのはもう御指摘のとおりでございまして、十年過ぎたらもう家としての役目は終わるなんということは絶対ないわけでございますので、その点については全く同感でございます。  それは、何でも私、品確法上の性能表示制度を万能視するわけではございませんが、やはりそういう長いスパンで考えるということを考えますと、十年後もより例えば保険担保できるようにするというためには、施工段階でのデータというものがきちんと整理された上で、なおかつ検査もあるという制度、それは確かに制度としては非常に窮屈な部分もあるのかもしれませんが、公的な財産としての意味合いもあります住宅に関しては、そういう性能表示制度の普及をよりしていただいた上で保険制度もより厚くしていただけると、より消費者にとってカバーできる範囲が広いのではないかとは考えております。  以上でございます。
  137. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 終わります。
  138. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合です。  本日は三人の参考人の先生方、本当にありがとうございます。  まず、私の方から青木参考人にお伺いをいたします。  先ほどと同趣旨の質問になろうかと思いますが、保険制度あるいは供託制度の加入の義務化、この影響についてお伺いしたいんですが、住宅生産団体連合会、七団体あると。そのうち当初から賛成の意向を示していたのは全建連さんだけであるということでございました。その理由としては、大手の住宅メーカーと同様に保険あるいは供託を義務化すれば同じ土俵に立てるということをおっしゃっていただきました。既存の住宅保証機構の住宅性能保証制度について、今これ四万社が入っているんでしょうかね、大体。  ただ、国全体として中小零細の工務店の数というのはどのくらいあるのかちょっと私も分かりませんけれども、十五万から二十万社ぐらいあると言われておりますけども、やはり同じ土俵に立てるとはいえ、やはり住宅性能保証制度に加入していない零細中小の方も多数いらっしゃるというわけで、この保険あるいは供託制度の導入というものが中小零細の工務店により良い競争結果が働くとする理由を改めて教えていただきたいと思います。
  139. 青木宏之

    参考人(青木宏之君) 今、データでいきますと、保証機構が四万二、三千社登録されています。これ代々の工務店の、木造についてだけ言いますと三十五万戸ぐらいをそこで造っている形で、実は工務店の登録、全建連も含めまして何社というのには、何年も柱をいじったことのない工務店というのは結構いるんです。つまり、増改築だとかメンテナンスだとかってやって、これも大切な仕事で、今度の住生活基本法では重要な位置を占めるんですが。住宅の新築についてだけの制度でカウントしますと、例えば三十万戸を四万社でやると十棟弱ぐらいで、そんなような形で、実態としては、家を造っている人というのは、ですから新築のうちを定期的に造っている人というのは工務店の中で十社に一つぐらいになってきたのかなという現状です。  全建連がこれを賛同させていただいたのは、先ほど言ったように同じ土俵に立ってということと、もう一つは保証機構の保険住宅についての経験があったということで、これを推し進めることがやっぱり消費者保護に、保護と先ほどから偉そうに言っていますが、そんなことは考えていないんで、これから永続的に仕事をやるには必要なんだろうなという形で賛成をさせていただいています。
  140. 谷合正明

    ○谷合正明君 それで、確認させていただきたいんですけども、引き続いて青木参考人、伺いますが、供託と保険で、大手のメーカーさんが供託にいくと言われているわけでありますが、逆にお伺いしますが、青木参考人の知る範囲で結構ですけれども、実際に中小の方で、保険ではなくて、じゃ供託ということもあり得るのかという点についてお伺いします。
  141. 青木宏之

    参考人(青木宏之君) これは、工務店というのは普通の会議では本音を言わないで、後の懇親会だとか飲み会で本音を言うというこういう人種でして、例えば人によっては、国債なんかを何千万円と持っているやつは結構いるんです、個人でですね。そうすると、そういうものが供託に何か該当するというようなことをお聞きしていますので、そういう人間は多分個人でそれを出して会社に貸すんですか、どういう方法だか分かりませんが、そういうふうに言う人間は結構います。ですから、必ずしも保険制度に全部乗るという人間ばかりではない。  それで、もちろんそういう人間は年に三棟とか五棟っきり建てていないから供託金ももちろん安いという、何千万円ぐらいで済むと。あれが発表された段階で、私の印象としては、先ほども出ていますが、たくさん建っている建物については、まあ対数曲線だからしようがないんでしょうけど、意外と安いなと。一棟建っている、一棟を十年間でやる人は二千万とかといって、あの辺が少し、そういう面ではもう少し、何かもうちょっと払わないと、もう住宅メーカーがつぶれたときには大変なことになるなというような印象もありますが、いずれにしろ、工務店でも供託を選択できる、するかどうか分かりませんが、できる人間は結構います。
  142. 谷合正明

    ○谷合正明君 それでは、犬塚参考人と松本参考人にお伺いいたしますが、まず総括的な、これまでの耐震偽装問題を受けての国交省が出した第一弾、第二弾、今回の法案は第三弾と言われておりますけれども、総括的な評価をいただきたいんですが、まず公明党としましても、耐震強度偽装事件が発覚した当初から、瑕疵担保責任履行確保を売主に義務付けることが再発防止策として最も有効であると指摘し、法制化へ尽力してまいりました。当時もあの北側国土交通大臣ということもありましたので、公明党も力を入れてきたわけでございます。  特に、住宅購入者の保護という観点から、第一弾の建築基準法改正、第二弾の建築士法改正だけでは不十分であるという思いを持っておりまして、この瑕疵担保の今回の法案については、またその法案にない救済基金の枠組みについては非常に画期的なものだというふうなとらえ方をしておりますが、まず、一連の昨年からの耐震偽装問題を受けてのこれまでの国としての取組について、消費者保護という観点からどのように総括的に評価されるのか、両参考人、お伺いいたします。
  143. 犬塚浩

    参考人(犬塚浩君) 消費者保護観点という趣旨から申しますと、建築士法改正等につきましては、日弁連内部でも、住宅問題に積極的に取り組んでいる弁護士の方からまだまだ手ぬるいというふうな意見もございました。また、今回の新法に関しましても、故意重過失ケース等について十分なる担保ができていないんではないかという意見も確かにございます。  いろいろな考え方があるんですが、一つは、非常に不幸でありました耐震偽装事件につきましては、ちょっと個人的に厳しい言い方をさせていただくと、私ども弁護士、それから例えばお医者さん、それから建築士もそうだと思いますが、いわゆる専門職という社会的な評価を受けている人間が、言葉を悪く言えば非常に魂を売る形にしてあのようなことをしてしまったわけであり、私個人としては、やはり一番の責任専門家である当人にあるものと考えております。  もちろん、このような不幸な事件が起きた以上、それに対して政策的な観点からの方策がなければならないとは思いますが、やたら厳しくするということ自体が必ずしもまたいいのかというと、そういうものでもない。もちろん、性善説だけでは決着できない問題があるというのは十分認識しておりますが、かといって罰則等を厳しくすればそれでいいという問題でもない、チェック機能を厳しくすればそれでいいという問題ではないと思います。チェックを厳しくし過ぎれば、その分プロセスに影響を与えて、その分がコストオンされれば消費者もある意味では困るわけでございます。  漠然とした言い方でございますが、私個人の意見としては、この程度という言い方はちょっと語弊があるかもしれませんけど、これぐらいのさじ加減が活性化とそれから警告という意味ではベストなんではないかと個人的には認識しております。  以上です。
  144. 松本光平

    参考人(松本光平君) この問題の処理は、ワンセットで予防と救済がそろって初めて処理が全うされるというふうに考えております。  その観点からいいますと、第一弾である建築基準法改正は、本来は不特定又は多数の国民の安全を守るために規制するのが建築基準法の目的であって、個人の資産を守るものではないのですけれども、反射効果として非常に効果がある、消費者保護に関してですね、反射効果として非常に効果があるものと考えております。  それから、建築基準法改正につきましては、直接的な影響は罰則の規定があります、強化されましたので、悪者が出る確率が小さくなるという意味ではある程度効果があるかと思いますが、本来、基本的な問題とはちょっと関係がないのではないかと、この消費者保護という観点からすると直接的な関係がないんではないかと考えていました。  それから、今回のこの救済措置につきましては、現状ではベストなものではないかと考えます。世界的に見てやったことのない、つまり供託で消費者保護をするというのはやった例がないはずなんですけれども、そういった新しい分野に一歩踏み出すという点で、いろいろ問題が将来出るかもしれませんが、画期的な考え方ではないかと思います。  総合的に言いますと、非常に短期間に対策をそろえるということについては非常に大変な御苦労があったんではないかというふうに考えております。
  145. 谷合正明

    ○谷合正明君 それでは、犬塚参考人にお伺いいたします。  この法案では、政省令に委任している事項というものが結構多くあるわけでありますが、保険金額でありますとか被害者からの直接請求の場合の相当期間でございますとか供託金額、先ほど説明の中にも触れられていらっしゃる部分もございますけれども、改めて具体的な御意見を伺いたいのと、保険金額、直接請求の場合の相当期間。  また、瑕疵の範囲ですね、対象となる瑕疵の範囲についてやはりどういうふうに考えていらっしゃるのか。これも実際明確に瑕疵であるかどうかというのはなかなか現場に行くと分からないことが多いと。瑕疵なのか劣化なのかなかなか、非常にそれこそが本当に大変であるという話を聞きますが、その点について意見をお伺いいたします。
  146. 犬塚浩

    参考人(犬塚浩君) 法案を見させていただきまして、私ども作業としましては、政令と書いているところと省令というところに書いているところにラインマーカーを引いて枠組みを見るわけでございますが、国土交通省令で定めるというところが大変に多いなという印象は正直持っております。それは今、松本委員からもありましたように、非常に大枠を決めて早く対応したいという背景もありますので、それ自体を私は非難する考えはございません。  今後の検討として御注意いただきたい点につきましては、特に冒頭に申し上げた点でございます。再度繰り返すようでございますが、保険内容の点については被害者救済に資するように十分御配慮いただきたいと思います。ただいま御指摘ありましたとおり、実は欠陥住宅被害金額は項目に分けますと結構直接的な工事費以外に損害金というものが発生するものでございます。  多少テクニック的なといいますか技術的な話をしますと、なかなかまだ金額がどの程度掛かるかということの算出が難しい状況にございます。先生方も御存じかと思いますが、交通事故の分野というのは大体幾らの損害というのがある程度判例等の集積によりましてでき上がっておりますので、割と保険というものになじみやすいという実態があるわけですが、まだ建築の裁判事例につきましてはそこまでの分析が進んでいないのが実態であるために、保険でカバーでき得る部分というものが、いわゆる保険という制度の下では限界があるというのも確かでございます。  ただ、それではなかなか消費者保護は図り切れないところがございますので、消費者の側に立ちますと、その範囲をできる限り広くお願いいたします。直接工事費は言うまでもなく、それに伴う、大体紛争のためには建築士さんにお願いしてその調査をお願いしなければなりません。実際、工事をするときには、再度補修していただくときにはその監理の費用も必要になってまいります。ケースとしては少ないですけれども、ちょっとその間移転することになれば引っ越し費用、それから移転先の居住費等が発生するわけでございますので、その点を広く御確認いただければというふうに思います。  省令の制定につきましては、私ども日弁連としていろいろな御意見を出させていただいて、是非とも国土交通省には意見を尊重していただいて反映させていただきたいというふうに考えておりますが、大きな点といたしましては、冒頭に申しましたように、保険の内容、それから保険法人の中身といった辺りに現段階では非常に注目しております。  以上でございます。
  147. 谷合正明

    ○谷合正明君 終わります。
  148. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  今日は参考人の皆さん、大変貴重な御意見をちょうだいしましてありがとうございます。  私は、まず松本参考人、そして犬塚参考人にお伺いをしたいというふうに思います。  そもそも今回の法案が出されてまいりましたのは、あの耐震偽装事件に端を発したことでございました。その耐震偽装の事件被害者の皆さんは本当に今も建て替え等々でいろいろ御苦労されておられますけれども、既往ローンの問題でありますとかそれから建て替えに際する追加負担の問題でございますとか、大変な御苦労をされて、かなりの過重負担になるかというふうに思っている次第でございます。  私は、こうした被害者の皆さんに対しまして、やっぱり住宅ローンを提供されました金融機関、ここに対しても一定の損害の一端を担うべきではないかという考えがございます。少なくとも、例えば今回のように供託や保険を使って消費者保護するということは、それはそれで私は大事だというふうに思うんですけれども、そもそもその金融機関等は住宅担保価値を評価して、そして融資をしているわけでございますから、そこにもやっぱり責任を問う制度があってもいいのじゃないかというふうに考える次第です。ましてや、一般的な欠陥住宅ではなくて、今回の事件の場合は耐震構造というそういう問題もございます。  その点につきまして、いわゆる住宅ローンを提供する金融機関への消費者保護に対する責任、こういうものを問うてもいいのではないかという点につきまして、両参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
  149. 松本光平

    参考人(松本光平君) 国土交通大臣の私的諮問機関でこの問題の処理の検討をしたのでございますけれども、そのときに金融機関の方もいらしていたんですが、あるいはそれ以前の保証機構で研究会をやったときもいらしていたんですけれども、金融機関としては人の信用を評価して融資しているので、事実上ですね、物を評価して融資するという体制を取っていないということで、それから、十年間の責任を金融機関が保証するというのは、普通の金融の場合にはプロジェクトの実施期間がせいぜい五年ぐらいなものでございますので、非常に長期間保証するということはできないというかなり強い御意見がございました。  そういう点で、外国の場合には確かに金融機関がボンドを発行するというような形で、こういう住宅プロジェクトのリスクを抑制したり救済したりする仕組みがございますけれども、我が国の金融機関ではそういうものは一切関心を持たないという御意見でございました。  そういう点で、論理的には可能でございますが、おっしゃるように金融市場でも住宅のリスクを評価してローンを組むとか、あるいは事業融資をするとかということがあっても当然問題はないわけで、あるべきだと、外国のようにですね、とは思いますけれども、つまり、理論的にはそうおっしゃるとおりですが、現実には、我が国の金融機関はそのようなことについて関心を全く持ちません。
  150. 犬塚浩

    参考人(犬塚浩君) まさしくもう御指摘のとおりでございまして、欠陥住宅の問題は最後にどこに行き着くかというとローンの問題に行き着くわけでございまして、その典型例が今回の偽装事件でございます。  今、松本委員の方から話しましたように、確かに融資によっていったんお金が動いておりますので、すると、現行法の解釈の中ではいったんお金を動いた以上は返すという義務が発生するわけでございます。担保価値がなかったということで金融機関側の請求権を否認する論理、一部でも否認する論理というのはなかなかちょっと難しいものがありまして、要するに契約時のチェックを十分に行わなかった過失みたいな形の理屈で持っていかざるを得ないと思うんですが、なかなかその論理を認めるというのは現行法の中ではちょっと厳しい部分がございます。  過去には、違ったちょっと事例の中で金融機関の割賦払請求を一部制約したようなケースもございますが、その点からしますと二つの点で、一つはもう予防という観点からやはり建築士の調査制度というのをきちんとしてほしいという点が一つと、もしそういう場合が起こった場合には、そういうふうな形のある種の減免的な措置ができるよう立法の方でお考えいただければというのが法律の現場で働いている人間の希望でございます。  以上でございます。
  151. 小林美恵子

    小林美恵子君 ありがとうございます。  それでは、松本参考人に伺います。  今回の法案では保険と供託両様となっておりますけれども、先ほどもちょっとお話が触れられましたけど、こういうふうに供託と保険と両方活用しているような、諸外国にそういう例があるのかどうかが一点です。  もう一つは、保険方式の場合でいきますと保険料が当然掛け捨てになりますよね。だから、逆に言うと、資金力のある業者はやっぱり供託方式の活用に傾注するというふうにも考えます。やっぱり戻ってくるというのもございますよね。そうしますと、大口の供給業者というのはやっぱり保険に入らなくて供託の方へいくと。となりますと、いわゆる保険瑕疵担保保険というのが成り立っていくのかなというちょっとした不安も私自身は持つところもあります。結果として保険方式を選ぶ業者保険料が高くなってしまうんじゃないかということもあるんですけど、こういう懸念もあるんですけど、あえて供託方式を取り入れたというのはどういうメリットがあるんでしょうか。  この二点、お願いします。
  152. 松本光平

    参考人(松本光平君) 最初の、そういう供託と保険を両方使うような制度が外国にあるかという御質問に関しましては、私の知っている範囲では供託という制度を利用している国はありません。ただし、金融機関が履行保証のようなものをやっておりまして、保険ではないのですけれども、保証契約を結んで保証するというようなことをやっておりますので、別な道で保険以外の制度を利用するということが行われていることは確かでございます。  供託を入れることのメリットは、まあデメリットももちろんありますが、メリットとデメリットにつきましては、一つのメリットは、やはり企業が大規模になりますと大数の法則、先ほど御説明したことなんですけれども保険機能が働くための必要な条件というのは大数の法則なんですけれども、その法則が、大企業の場合には、年間例えば三万戸とかあるいは一万戸とかやっている企業にとってはリスクが完全に見えるわけですね。千分の一なり千分の二の準備をしておけば十分可能である。しかも、事業の中で品質管理を自分自身でやりますので、事故のレベルを品質管理によって上げたり下げたりすることもできます。  そういう意味で、閉じた仕組みではありますけど合理的な生産ができますので、それをそのまま外に保険の形で出すということは無駄になりますので、そういう意味では合理的ではないかというふうに考えます。  ただし、不合理な点は、先ほども犬塚先生の御指摘の中にもありましたが、いったん事故が発生して会社が、最初は供託金を使わないで多分その事故を処理していくことになると思いますが、それがだんだん積み重なって経営がおかしくなってきてという形で、最初にその自らやる保証がまず動いて、最後に供託が来るという形になると思いますので、そのときにはその住宅を購入した人たちの気持ちがかなりそういう経緯から影響を受けると思います。つまり、非常にこれは危険ではないかと。もしかすると瑕疵が同じように自分たちの家にもあるんではないかという不安が広がると思いますので、そうすると供託の限度が十分だったかどうかという問題が試される機会が出てくるんではないか。つまり、早い者勝ちになって、供託が十分な救済に役立たなかったということが出てくる可能性があるんではないかという心配はあります。しかし、供託だから保険より悪い、すべて悪いということにはならないと思いますが。
  153. 小林美恵子

    小林美恵子君 では、犬塚参考人にお伺いをします。  保険であれ供託であれどちらにせよ、消費者が差異なく保護されなくてはならないという先ほどの御説明もあったかと思います。先ほども供託の話が松本参考人からもありましたけれども、差異なく保護されるべきという点での最大のポイントとなるのはどこになるのかというのが一点でございます。  もう一つは、先ほども、供託の場合は第三の検査が入らないので紛争の場合は裁判になるというお話がございました。それも差異なく消費者保護されるという観点からするときちっとしたサポートが要ると。その点で、改めてどういうサポート体制があればいいのかという点を含めて教えていただけるでしょうか。
  154. 犬塚浩

    参考人(犬塚浩君) まず、差異があってはならない、供託制度保険制度の間で差異があってはならないということは、まず一にも二にもお金、支払われる、担保される金額の問題がございます。  ただ、ちょっと細かく申し上げますと、供託に関しましてはまず、今、松本委員からありましたように、総額として十分に渡り得るのかと。先に取っちゃった方が得して、後からの人は足りないということがないのかという問題が一つございます。  その一方で、保険の場合は担保される項目の問題があるわけでございます。工事費用は保証されるけれども、何とかの費用は保証されないということになってくると十分に保護が図れないわけでございます。もちろん工事費用がメーンであるということは間違いないわけですけれども、そういう問題点ははらんでいます。その金額が必ず同程度でなければならないということが一つ。  それから、先生が今御指摘ありましたとおり、紛争処理の手段といたしまして、すぐ合意できれば一番良いわけでございますが、主張が対立した場合の紛争処理に関しまして、保険に関してはもうこの法律で新たな処理制度が設けられます。供託に関しましては、冒頭説明したとおり、施工時での検査等が必ずあるとは言えないものでございますから、ちょっと保険制度と一緒に扱えないところがありますが、日弁連といたしましては、何かしらの手段があれば紛争処理の方にお手伝いをさせていただき、供託の対象になる住宅を持っている方にも違いがないようにというふうに考えておる次第でございます。  供託の部分というのは確かに世界的に珍しいということでございますけれども保険部分と比較しますと、そのままキャッシュが下りてくるといいますか、私どもちょっと疑ったら切りがないわけでございますけれども保険法人というものがどういう性質になるのか、保証機構が既に存在するわけでございますが、やはり心配いたしますのは昨今の保険会社の他の事故での不払事件でございまして、きちっとした支払をなされてほしいというのも一つの意見としてございます。  以上でございます。
  155. 小林美恵子

    小林美恵子君 それでは最後に、青木参考人に伺います。  先ほどからも出ておることではございますけれども、例えば注文住宅などにおきましては施主と建設業者信頼関係に基づいてされているということで、やっぱりこの保険に別に義務付けしなくても任意でいいじゃないかという御意見もあったわけでございます、中小建設業者の皆さんの中にはですね。しかし、保険を義務付ける、供託も含めまして義務付けるということになりますけれども、そうした場合、皆さんにとって負担が重くなる面もあるんじゃないかという指摘もあって、それで団体割引等あれば何とかというお話がございましたけれども。  いずれにしても、そういう団体割引等、そういうのを活用して負担が軽減されるということは必要だということでよろしいですか。その点です。
  156. 青木宏之

    参考人(青木宏之君) 全くそのとおりでございまして、努力目標として、やっぱりいいものを提供して、それから責任を持って仕事すれば、本来保険というのは使わないという観点から立ちまして、使わないものが多い団体それから施工業者に対しては保険の料率は低くしていただきたいというのは望みでございます。
  157. 小林美恵子

    小林美恵子君 ありがとうございました。  時間が参りましたので、ほかにも質問させていただきたかったですけれども、この点で控えさせていただきます。ありがとうございます。
  158. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。参考人の方、御苦労さまでございます。  まずは、松本先生と犬塚先生にお伺いをいたしますが、お二人の御意見を聞いておいて、住宅性能表示制度、それから十年責任制度、それから紛争処理制度、それぞれ今回の法律の特徴的な問題が提起された上で、それぞれ課題をお話しいただきました。  その課題の中にもかなり多く問題点を多く含んでおるということは一体どういうことかといえば、この法案を提案するに当たってもう少し内部で議論を詰めていくべきではなかったのか、少し拙速過ぎたのではないかという印象を持ったのでございますが、その点、両参考人はいかがでございましょうか。
  159. 松本光平

    参考人(松本光平君) 拙速という印象を受けたことはございません。むしろ、非常に苦労しながら短期間によくまあここまでまとめられるものだというふうに思いました。外国の事例でいうと、もっともっと長い時間掛けてゆっくりやる事項でございますけれども、我が国の場合、いろんな環境からそういうことが許されない。そういう意味では拙速という評価もあるのかもしれませんが、私はそうは思いません。
  160. 犬塚浩

    参考人(犬塚浩君) 日弁連内部でも、国交省の方からお話をいただきました議論の中で、この本法案についてすべてにおいてオーケーというわけではなく、特に欠陥住宅の問題に積極的に取り組んでいる弁護士の方からは、まだ十分な保証がなされていないんではないかと、供託制度についてもまだ十分なのかどうかの検証がなされていないんではないかというような、まあある意味では反対意見というのは幾つもありました。それは、今先生が御指摘があったとおり、まだまだ議論として煮詰まっていないんではないかという点と類似するものがあろうかと思います。  最終的に、弁護士会全体としては新法に基づく紛争処理も担当させていただこうというふうに考えておるわけでございますが、それは一つは、私ども、現場で被害者救済を担当している人間といたしましては、やはり第一歩を早く打ち出したいという、早くこの制度をまず第一歩として立ち上げた上で、制度の拡充をその二歩目、三歩目と進めたいという意見が多かったわけでございます。  御指摘のとおり、また私自身も指摘させていただきましたが、まだまだこの省令等の定める中で議論していただかなければいけない部分があるというふうに私も認識しております。  以上でございます。
  161. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 それは私の多少認識の違いがあったかもしれませんが、その点はお許しをいただきたいと思うんでありますが。  やはり問題は、耐震偽装問題事件以降、我が国のこういう被害者に対する保証制度についての幾分の遅れというものが外国に比べてあったのではないかという印象を持っておりますし、いわゆるこの法律を作ることによって、これから先、恐らく予防的な問題もあるし、そして法律が持つ効果といいましょうか、そういうものというものあるだろうと。同時に、やはり耐震偽装問題で一番多く議論され、国民が最大の関心として思ったことは、いかにして被害者をどのようにして救済をしていくかといったところを大きく期待しているのではないかと。  その期待にこたえて、ではこういう事件が起きた場合にどういう救済の方法があるかということで、保険制度救済制度と、こういうものがこの法案の骨格としてでき上がってきたのではないかというふうに思うんでありますが、その点、法律の持つ効果的な問題と救済の問題についていま少し、そして同時に併せて予防的な効果の問題等々について、やはり深く理解することは大事なことだと思うんで、その点について両参考人に再度御質問申し上げます。
  162. 松本光平

    参考人(松本光平君) 具体的な論点が十分御理解できなかったものですからきちっとしたお答えになっているかどうか分かりませんけれども、この問題が起きたときに、ほかの外国でも先ほど御説明しましたように同様な制度を運営している国がたくさんありますので、Eメールを使っていろいろ調査させていただきました。  そのときの向こうの答えでは、制度的には非常にきちんと整った形で救済ができるようにはなっているんですけれども、つまり、責任を問わずに事故そのものを救済するということをできるようになっておりまして、原因が故意であろうと重過失であろうととにかく救済するということをまずやって、その後からその損害額を求償すると、そういう仕組みになっている国がたくさんございますが、ただ、事例がないと。そういうことをやった例がない。つまり、そんなに専門家がだますような、故意建物の強度を弱めるようなこと、それによってコストを稼ぐというようなことをやった例がないというようなことがありまして、そういう意味では、外国の制度制度的にはそういうことを予測しないで、整えてはいるんですけれども、実際例がないというような状況です。  そういう点で、日本のその新しい制度保険とそれから供託という制度がどういう意味で効果が将来出てくるかということはなかなか現状では簡単に申し上げられませんが、事故がないということが効果そのものですから、逆にその失敗という形で効果が試されるということは多分これから先同種の問題では全くないのではないかというふうに考えます。  ただ、ここではその損害の救済を主に議論されておりますけれども、私の基本的な立場といいますか考え方は、救済よりも予防の方が勝ると。救済に掛けるコストを予防に掛けると非常に事故が少なくなるというふうに考えておりますので、むしろ、法案の中に表れてないことですけれども、事前の、例えば業者審査であるとか、あるいはプロジェクトの審査であるとか、あるいは中間検査であるとか完了検査であるとか、そういうことによって事故を予防すれば、この新しく考えられています制度は十分に低コストで我が国の住宅からリスクを除くということができるものだというふうに考えております。
  163. 犬塚浩

    参考人(犬塚浩君) 救済の点でございますが、実は国交省からこのお話を聞いたときに弁護士会内部としては、要するに、構造計算書偽装事件をきっかけとしてでき上がったアイデアというか制度である割には、では再びあの事件が起きた場合に被害者を本当にこの法令に基づく救済ができるのかというと、例の事件は意図的な手抜きだということになりますと故意重過失の範疇に入ってしまって保険制度でカバーできない部分になるではないかという意見があり、結局この法令ができてもあの事件被害者の方の救済ができないではないかという意見がございました。国交省の方では、それはまた政策的なファンド等にもって救済するということになるのかとは思いますけれども。  実は、ちょっと法令上細かいことを言いますと、故意重過失の認定というのは、実は住宅欠陥の分野では判例がまだございません。といいますのは、従前、瑕疵保証保険というのはほとんどなかった関係でございます。例えば火災保険とか交通事故の保険では重過失認定というのは判例の集積がございますが、瑕疵担保責任の分野におきましては、今まで保険が存在していないので、故意重過失の判断はまだ裁判所が基本的に今までしたことがございませんので、一体どういう場合に故意重過失を認定するのかがはっきり言って未知数でございます。  それと、大きな問題は、意図的な手抜きがちょっと感覚的な言い方をすると故意重過失に入ってしまうとすれば、この法令だけでは十分な被害救済にならないではないかという意見が弁護士会内部でもあったのは事実でございます。ですから、それに対しては法令以外の手段等による政策的なバックアップを是非ともお願いしたいというふうに考えております。  それから、先生御指摘の予防の点でございますが、恐らくこの制度ができ上がることによって、保険制度がまた使われれば、施工段階での検査というのが今まで以上にきっちりと行われることになるだろう。となってきますと、再三申しますように、住宅というのは個人の資産というだけではなくて社会的な、代々承継して違う人が住んでいくという意味からすれば公的な色彩を大変持ってきて、最初に青木委員から御指摘があったと思いますが、実は、検査のときにちょっと一番問題になるのが施工過程での設計変更でございまして、造り始めたら、やっぱり柱はこっちの方がいいということがある。そうすると、もう確認検査が通らなくなる、それから、もうそもそも調査の意味がなくなるなんということがありますが、消費者の側も意識が変わって、きちんとした検査を受けなければならないという意識が芽生えてくるのではないかと認識しております。  以上でございます。
  164. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 最後に青木参考人にお伺いしますけれども参考人が最初に述べられましたように、棟梁、大工さんというのは、もうその地域においては、あそこの家を建てた、この家建てた、この家建てたと。だから、家を建てることによって技術を証明していますね。その人の能力、技術その他、建て方だとかいろいろ、くせだとか、恐らく地域の方は全部知っているので、そこから信頼が生まれてくると。しかし、それは時代の経過とともに若干変化をしてきているというお話がございました。  なるほどなというふうに、お話を聞きながら、お伺いをして思っていたところでございますが、これから先、先ほども同僚議員から質問がございましたが、こういう制度を変えることによって工務店の費用負担だとかそういうものが、今後、例えば次世代の技術後継者を育てていく場合に一つの障害になるのかならないのか。  非常に経営が苦しくなってくれば、そういう費用負担というものが、だんだんだんだん制度を変えることによって費用負担が出てくるわけですから、そこに耐えれるようなことにならないと企業としては成り立たないと思うんですが、費用負担の問題について、増加することについてどのようにお考えになっているのか。  それと、こういう制度ができることによって、これから先の新たなる次の世代を背負ってくれる若者が育っていくのかどうか。やはりそういう経営環境というのをちゃんとしてやらないと、これは業として成り立たないよというようなことをどのようにお考えなのか、お伺いします。
  165. 青木宏之

    参考人(青木宏之君) 正に、今の御質問は工務店の我々が抱えている問題でして、私の息子たちの年代は、今、工務店業界が余り楽しくないと。それはなぜかといいますと、ますますいろんな規制だとか保証だとかという、今まで自由の部分があって、それで楽しく過ごしていた。それから、何よりも、工務店って町の主役に近かったです。ところが、今は本当に、こんなことを言っちゃ、脇役になっているのかなという形。  そして、今、費用負担の問題が出ましたが、費用負担というのは、やっぱりやらざるを得ない部分は公平、要するに同じ土俵だったらみんなが同じ競争ですからいいんじゃないかというか、なければない方がいいんですが、そんなふうに考えています。  そして、このお金の投資の部分で一番の問題はやっぱり人材育成で、大工を一人育てるには相当のお金が掛かります。昔みたいに徒弟制度で盆暮れの小遣いぐらいで育てられた時代から、最低賃金法、四十時間労働だとかというああいうものの規制が掛かりますので、これ正式にやろうとしたら大変な問題で、ですから、その辺のところはある程度いろんな工夫をしながら育てているのが現状です。私も事業所内訓練校をつくりまして育てていますが、この投資が経営にとって一番大きな投資です。  それから、変化なんですが、やっぱり家造りに弁護士の先生が出てくるという世界は先代まではなかったですよね。こんなことを言っちゃ犬塚先生に申し訳ないんですが、最近はそれをもう普通に考えながら仕事をしなきゃいけない。私は頭では分かっていますが、気持ちではとても理解できないような時代になったなというのが現状です。これが答えになるかどうか分かりませんが、今の現状の考えです。
  166. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 三人の参考人の方々、ありがとうございました。  終わります。
  167. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様方に一言お礼を申し上げます。  本当に今日は、限られた時間でありましたが、それぞれのお立場ですばらしい御意見をいただきましたこと、本当に厚くお礼を申し上げます。今後、委員会の審議の過程で参考にさせていただきたいと思います。  参考人の皆様の今後の御活躍をお祈りを申し上げまして、委員会を代表してお礼の言葉に代えさせていただきます。今日はどうもありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十七分散会