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鈴木寛君 厚労省さんは、この偏在あるいは不足の解消を、あるいはその原因を、その卒後臨床研修が始まったことで研修医の配分といいますかローテーションが今までとちょっとゆがむというか、変わったことによってそのひずみが出ているという御
認識に立っているので、そういう
大臣の分析と御
発言なのかなと思うんですけれども、そのことも私は否定はいたしません。否定はいたしませんけれども、要するにないパイの中でやりくりをしたら、どういうふうな方法を取ったとしてもやっぱりその足らないところが出てきてしまうわけですよね。ですから、私
たちは絶対的不足説を取っていて、やっぱりそこをきちっと特に臨床医については増やさなければいけないと、こういうことを主張させていただいているわけでありますが。
例えば今、医局に人が、大学病院に集まらなくなってしまったと。したがって、国公立病院の研修医は、研修医が集まっているからこれを地域に派遣するんだと。こういうことになりますと、じゃどうなるかというと、今度また、若い卒後臨床研修の
皆さんは今度は国公立病院を避けて私立病院とかあるいはまた大学病院に戻るとか、こういうことの繰り返しになってしまいまして、結局はそのねらっていることというのが、また何といいますかイタチごっこと言ったらおかしいんでしょうけれども、要は、結果としては、その地域に対して、地方に対して医師を供給するということにならない。そもそもの国公立病院のところのその人材集約力すら落ちてしまうという懸念もあるということを私どもとしてはやっぱり指摘させていただきたいと思いますし、それからそもそもやはり問題は、例えばその研修医だけの問題なのかと。
例えば、女医さんなんかが、産科の場合はもう十年たつとほとんど特に臨床の現場から離れてしまうと。そうすると、中堅医師の確保も含めて、やはり今のこうしたことでは結局は抜本的な解決にならないんではないかなというのが私どもの懸念でありまして、そういう懸念は十分踏まえて今後議論していただきたいということが私の
意見でございます。
それで、それと同時に今の方法論というのは実は
日本全体にとって非常に心配がある。それは何かといいますと、
自民党、公明党、あるいは
大臣のお話も、地方は足らないと、まあこういうお話。地方も足りませんけれども、私申し上げたいのは、都会も足らないんです。人口十万人当たり医師数の一番少ない県は埼玉県ですよね、四十七番。人口当たりにして、十万人当たりにして医師数百三十四人、四十七番。その次に足らないのが茨城県ですよ、次が百五十人。そして、その次が千葉県。正に埼玉、茨城、千葉が一番足らないんですね、人口当たり。もちろん、要するに広さの問題はあります。広さの問題もありますけれども、こちらが足りているという話じゃなくて、北海道も足らないし、千葉、埼玉、茨城も足らない。だから、どっちも足らないんですね。だったら、じゃ千葉、埼玉の国公立病院に人を寄せてそれを送ったら、今でも足らない、だけれども逆に小児救急とか救急とか、現に
大臣も御
承知のように、もうこの五年間で二割ぐらい救急病院返上していると。この現象は埼玉でも千葉でも茨城でも起こっているわけですよね。
ですから、私はややそういう意図、意図はないと思いますけれども、今の報道とか今の政策議論を積み重ねてみると、地方は足らないんだと、じゃそこから、都会から送ればいいんだと、こういうふうにミスリードしているのが私は大変心配なんです。そのことによって既に空洞化している埼玉、千葉、茨城、それから東京でも多摩の方は小児救急とか産科とかはありません。あるいは神奈川でも同じ
状況でございます。確かに青森県は四十三番ですから青森県も足らないんですけれども。だから要は、申し上げたいことは、どこも足らないんですよということでありまして、その辺りはやはり正確な
認識に基づいてきちっとこの医師不足問題というのはやっぱり取り組んでいかなければ、これは別に与野党の問題じゃなくて正に
行政監視委員会、こういうところでその議論をきちっと整理をし、前提を確認をしていくということが大事ではないかなと思って、こういう
発言をさせていただいております。
それから、正に
大臣もおっしゃったように医師不足問題は中長期的アプローチと短期的アプローチとあると思います。それで、私はやっぱり短期的アプローチは、とにかく今過酷な労働
条件とそして訴訟リスク、更に言うと最近は
刑事訴追リスクと、こういう中でどんどん臨床医を辞めて、病院勤務医を辞めて開業してしまうとか、そこを何とか食い止めるということが重要ですよね。そして、報酬を出してももう
関係ないと、要はそこで働く人数を増やしてくれと。とにかく少しでも休み時間あるいは休日を下さいというそういう
状況でありますから、やはり病院、いわゆる病院で行う医療
行為に対する診療報酬というものを少し増やして、そうなれば、公立であれ私立であれ病院経営者は、お医者さんの数を増やそう、あるいは看護師さんの数を増やそうと、こういうことになって、結果として休日とか休暇とか休養時間とかというものが取れると、こういうことになりますので、これをやはりきちっと速やかにやるということが短期的にはまず必要ではないかというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。