○櫻井充君 これは書き方によるんだと思うんですが、今四つのものが一般的に言われているわけであって、むしろそれを定義の中できちんと書いてしまって、それの補足説明みたいに書いた方が本当は分かりやすいんじゃないのかなと思っているところがあるんですよ。
それはなぜかというと、あるテレビ番組で、たしか子供さんが九人ぐらいいらっしゃった方で、それで、おなかから以下熱湯に入れて、何とか年金か何かをせしめようとした家族がいました。そのときに、この両親にはその親権がないと
判断され、ある
施設に行ったんですけれども、その
施設の長の方が、ほかの子供さんは虐待を受けた形跡がありますかというレポーターの質問に対して、体に傷がないのでほかの人たちは虐待を受けていなかったと思いますと、そういうレポートだったんですよ。たまたまその番組にいたもんですから、ちょっとコメントさせていただいたのは、ネグレクトというのがあって、体に傷がないから虐待を受けてないわけじゃないでしょうねという話をしたら、そのレポーターの方が、長男に対しては極めて教育熱心ではあったけれども、あとはほかの子たちに対してはもう全く育児放棄のような状況であったと。
つまり、これは僕は、やはり結局は、長男を除けばすべてが虐待を受けていた
事例だと思いますが、その
施設の人ですら、そこでそういう形でプロでやられている方すら、そういったことに対しての認識が、僕はあのレポートを見ていて不十分なんじゃないだろうかと。
そうすると、せっかく
法律を作った際に、もう少し分かりやすくするためには、こういうふうにまず四型に分類されるんですと、体に傷がなくても虐待を受けている場合があるから、ちゃんとそこは理解してくださいというような作りにした方が、これは
法律上書くのか、あとはパンフレットのようなものでやるのか、もう一度これは検討が必要だと思いますが、一般的に今の
法律の作り方が極めて分かりにくいので、役所にやってもらうと、議員立法のときにはもう少し素人でも分かるように書かれた方がいいのではないのかなと、そういう感じがしております。
もう一例、私のところにこの間インターンシップで来られた大学生の子供さんですが、親から、これは言葉の暴力だと思いますが、子供が喜んで帰ってきても何が悪い、かにが悪いとさんざん責められて、その子供さんはもう笑顔を失い、高校一年から不登校になりました。その後引きこもりまして、それでも本人は、これじゃ駄目だと思って、結局大検を通って四年遅れて今大学に通っていらっしゃいますが、本当に能面のようなんですよ、表情が全くない。それはなぜかというと、家に帰って喜んだ顔をすると親が不機嫌になると、そういうことがあるわけです。
ですから、そういったもの、そのもの自体も基本的に言うとこれ虐待でして、その人たちに対してどういう形でアプローチをしていくのかということをもう少し
社会の中で認識してもらうためには、この辺のところをもう少し工夫する必要性があるのではないかなと、そういう感じがしております。これは感想です。
それからもう一つ、じゃ、ちょっと順番違いますが。
児童虐待の早期の発見のために、特にネグレクトなんですが、歯科診療が極めて有効な場合がございます。
お手元に資料をお配りしておりますが、これは東京都のホームページに載っておりますが、齲歯の所有率が全然まず違うと。つまり、虐待を受けていることを被虐待児と一般児と比較していただくと、まず虫歯の所有率が違っていると。それからもっと違うのは、一人の平均の未処置の歯の数でして、これはもう圧倒的に違うわけですね。
体に傷がある場合には、我々のような内科医でもそれはよく分かりますし、私は今まだ保育所の嘱託医をやっておりまして、そうすると、体に傷があったりとか、それからひどいアトピー性の皮膚炎があったりすると、なぜこういうことになっているんだろうかと、ここの家族はどうなのかということを尋ねているんですね、保育所の関係者に。ただし、それは体の表面上何かあった場合には我々は分かりますが、ところが、ほかのことについては全く分からない。
これは子供を育てた経験がある方よくお分かりですが、親が何もしないと、子供に一番影響が出るのは恐らく歯だと思うんですね、自分で歯磨きできませんから。そうすると、ここに出てきているような数字上の結果になるので、歯科健診というのは僕は極めて有効なんだと思っているんです。
一枚めくっていただいて、じゃ健診制度って今どういうふうになっているのかというと、一歳六か月と三歳は、これは子供というのはこれ
厚生労働省の所管になるらしく、これは母子保健法でカバーされているんですね。これは医科の健診も歯科の健診も受けられると。
ところが、四歳以降はどういうふうになっているかというと、学校、幼稚園に行っていれば、これは文部科学省の領域なので、学校保健法で年二回の健診を受ける権利があると。
義務ではなくて僕は権利だと思っていますが。
私が今嘱託をやっております認可保育園の場合には、これは
厚生労働省の所管によって
児童福祉法の範疇に入りまして、年二回、やはり健診を受ける権利を有しております。
ところが、無認可保育園や未就園児というのは、所管省庁がないものですから、健診を受ける権利すら有していないと。これは、歯科だけではなくて医科の健診ももちろん受けられないわけです。そうすると、体に傷があるということを発見できればもっと早期に発見できるはずなのに、こういう健診のシステムになっていることも僕はすごく問題なんじゃないのかなと、そういうふうに思うんです。
その意味で、五条のところに早期発見等というふうに書いてありますが、そこの中で、一つは、先ほど歯科医師はほかの
職務に関係するからそれで読み込めるという答弁でしたが、東京都やそれから広島市、私が知っているだけでも二つありますが、もっと多くの
地域で実は
児童虐待の防止のプログラムを作ってもうやっているわけですよね。そうすると、それだけの
取組をやっている業界があって、医師と歯科医師はこれは
法律上全く別ですから、ここの条文の中に本来であれば歯科医師と書くのが私は筋ではないのかなと、そう思いますが。
それと、もう一つは、今申し上げましたが、健診制度に不備があるので、こういった問題についても是非
取組をいただきたいなと思いますけれども、いかがでございましょう。