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政府参考人(
中嶋誠君)
企業の
知財管理についてのお尋ねでございます。
それで、
企業が
研究開発あるいは
事業戦略を練る場合に
知財戦略との関係が大変重要だというのはおっしゃるとおりだと思います。
例えば、
研究開発を研究部門だけに任せておきますと、先にどんどん研究を進めてから後になって同業他社とバッティングするとか、あるいはもう別の方が既に
出願しているとかということになりますと、大変
企業としてむしろ無駄な資金、時間を費やすことになります。
それから、例えば実際に
企業が
知財を生み出した後、それをどういう形で
保護するのがいいのかという点につきましても、今
委員御
指摘ございましたように、
特許を取って自分で独占的に生産するのがいいのか、あるいはむしろ広く開放してマーケット自体を広めることが重要なのか、あるいはそもそも
特許に
出願しないでノウハウという形で
保護した方がいいのか、いろんな仕方があると思います。あるいは、
事業活動でMアンドAなんかも最近随分活発になっておりますけれども、ある会社の
知的財産を念頭にMアンドAをした後になってからその
知財をめぐって紛争が起きるとか、要するに
企業の
事業戦略とか
研究開発戦略とか
知財戦略というのは非常に密接不可分の関係にあると。さらに、最近になりますと、国際標準化戦略とかあるいはもう
企業全体のブランド戦略とか、そういうこととも大変関係していると思います。
そういう
意味で、最近でございますけれども、
イノベーション促進のための
特許審査改革加速プラン二〇〇七に盛り込まれている
中身として、
企業における
知財管理の実践的な戦略の事例集を作って公表しようということを行いました。これは先日、四月四日に公表したわけでございますけれども、例えば、先ほど申し上げたように、
知財部門が
研究開発の初期
段階に参加をして効率的な権利取得が行われた例であるとか、あるいは
研究開発部門と
知財部門が事前に十分協議を行って、
特許出願をするのか、あるいはノウハウとして秘匿をして戦略的に守っていくのか、それを決定した事例とか、さらに、例えば
中小企業が
特許を信託にいたしまして大手メーカーとライセンス契約を円滑に締結したとか、様々な例がございます。これは百五十社ほどヒアリングを
特許庁の職員が出向いて行いまして、六百の事例、うち百ほどは失敗事例でございます。成功事例、失敗事例とも大変現場の方には御参考にしていただけると思いますし、それから
企業のトップマネジメントの方にも、
知財について、
知財部門だけに任せるのではなくて、会社全体の経営戦略の中でお
考えいただきたいということでございます。
特許庁、
経済産業省全体として、多くの
企業がそれぞれの会社の事情に応じてこういった
知財戦略を
構築、実行できるように、様々な機会をとらえてこの事例集の
内容の普及啓発を行っていきたいと思っております。