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政府参考人(南川秀樹君) 加藤先生には、GLOBEのアメリカでの
会議に御
出席いただきまして、
日本を代表して様々な御
意見を発表されたと伺っておるところでございます。
私ども、当面の
削減でございます。現在把握しておる範囲では、九〇年、基準年に比べまして八・一%温室
効果ガスが増加しておるということでございます。したがいまして、マイナス六%を合わせますと一四・一%の
削減ということになるわけでございます。
現在の
政府の
計画では、その内訳としまして、八・七%を
削減する、三・八%は
森林吸収源により吸収を増加する、また残りの一・六%については、京都メカニズム等の活用によりまして、
政府によるクレジット購入等で諸外国での
削減により
達成するということでございます。また、最初の八・七%のうち二・三%につきましては、原子力発電が二〇〇二年以前の稼働率に復すれば
減少が可能だということでございまして、国内的には六・四%の
削減を急がなければならないということでございます。そのため、現在鋭意作業をいたしております。
現状を申しますと、元々この二〇〇二年の段階で予測しましたことに比べますと、経済成長率も約一%近く高くなっております。それから、
施策の進捗もいささか遅れております。したがいまして、御
指摘のとおり、現在審議会で点検はしておりますけれども、現状のまま何もしないということでは
達成がおぼつかないという
危機感を大変深く持っております。
そのため、まず産業部門でございます。これは量的には一番多うございます。かなりの努力はしておりますけれども、まだまだ産業界における自主行動
計画につきましても、点検をした上で可能なところについては更にその間、
削減を進めていく。それから、行動
計画自身の
策定が遅れているところには早くその行動
計画を
策定していただく。そして、私ども、担当
省庁のみならず、
環境省もそこに入ってチェックをしていくということを行っておるところでございます。
それから、自動車
関係、運輸
関係でございますけれども、ここ近年、全体としてCO2が少しずつ減っております。ただし、基準年に比べますと大幅増加しておることは事実でございます。やはり、燃費改善した自動車、その導入の促進、またバイオエタノールの導入の促進、そういったことが是が非とも必要だと
考えております。
それから、問題一番大きなのは業務
関係のオフィスビルでございます。増加率も最も多うございます。また、
政府の
計画からも一番乖離をしておるという現状でございます。
それから、家庭につきましても同様の傾向が見られております。これにつきまして、建築物あるいは住宅の省エネ性能の向上、あるいは性能の高い家電、事務機器等の普及、そういったことも含めて相当の
施策の
見直しということも必要になってくるというふうに
考えているところでございます。
御
指摘のとおり、このまま放置するということは許されないと
考えておりまして、
是非とも必要な手段を取っていきたいと
考えております。
それから、排出権取引でございます。現在、EUにつきましては強制的な排出権取引が行われております。アメリカにつきましても様々な動きがございますが、基本的には
日本と同じようなボランタリーなシステムで動いております。
日本でございますけれども、私どももこれについて大変重要な
対策の一つだというふうに
考えておりまして、そういった可能性を十分感じております。
そういう
観点から、自主的な取引でございますけれども、単にやりましょうというだけじゃなくて、実際に予算も用意しまして十七年度からその運営をしております。そして、参加
企業につきましてはその
対策費用の例えば三分の一程度を支援する、そして、
削減ができない、あるいは必要なそのクレジットも買ってこれないということで
目標を
達成できないところからはその補助金もお返しいただこうということで、そういったシステムを用意しながら、言ってみれば実験を行っておるということでございます。
これまでに八十九社の
企業が参加しておりますし、実際にその取引も行われておる、排出枠の取引も行われております。また、これによりまして、年間、これまでのところ、年にしまして約五十万トンのCO2が
削減を見ておりまして、参加
企業の排出の約二割というところの排出も実際に
削減がされておるわけでございます。
私ども、こういった
経験を経ながら、また様々な情報も得たいと思っております。そのため、JBIC、国際協力銀行ですか、そこと相談をいたしまして、JBICが主催する形でヨーロッパを含めた諸外国の排出権取引制度についても幅広く知っていただくセミナーを行っておりますし、これからもそれを続けていくと。そういう中で、私どもも知見をためますし、多くの人にもその排出権取引の実態をよく
理解いただこうと、そういったことでこの問題についての検討を深めたいと
考えております。