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2007-06-05 第166回国会 参議院 外交防衛委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年六月五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月三十一日     辞任         補欠選任         喜納 昌吉君     下田 敦子君  六月一日     辞任         補欠選任         小池 正勝君     福島啓史郎君      末松 信介君     川口 順子君      下田 敦子君     喜納 昌吉君  六月四日     辞任         補欠選任         川口 順子君     小池 正勝君      榛葉賀津也君     櫻井  充君  六月五日     辞任         補欠選任         櫻井  充君     榛葉賀津也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田浦  直君     理 事                 岡田 直樹君                 山本 一太君                 浅尾慶一郎君                 柳田  稔君                 高野 博師君     委 員                北川イッセイ君                 小池 正勝君                 小泉 昭男君                 櫻井  新君                 関口 昌一君                 犬塚 直史君                 喜納 昌吉君                 佐藤 道夫君                 櫻井  充君                 榛葉賀津也君                 白  眞勲君                 浜田 昌良君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        防衛大臣     久間 章生君        国務大臣        (内閣官房長官) 塩崎 恭久君    副大臣        防衛大臣    木村 隆秀君    大臣政務官        外務大臣政務官  関口 昌一君        外務大臣政務官  浜田 昌良君        防衛大臣政務官 北川イッセイ君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       鈴木 敏郎君        内閣官房内閣審        議官       小澤 俊朗君        内閣官房内閣参        事官       下川眞樹太君        内閣法制局第一        部長       山本 庸幸君        警察庁警備局長  米村 敏朗君        外務大臣官房審        議官       長嶺 安政君        外務大臣官房審        議官       草賀 純男君        外務省中東アフ        リカ局長     奥田 紀宏君        外務省国際法局        長        小松 一郎君        海上保安庁警備        救難監      冨賀見栄一君        防衛大臣官房長  西川 徹矢君        防衛省防衛政策        局長       大古 和雄君        防衛省運用企画        局長       山崎信之郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保  支援活動実施に関する特別措置法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 田浦直

    委員長田浦直君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、末松信介君及び榛葉賀津也君委員辞任され、その補欠として福島啓史郎君及び櫻井充君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  3. 田浦直

    委員長田浦直君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君外十二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田浦直

    委員長田浦直君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 田浦直

    委員長田浦直君) イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 岡田直樹

    岡田直樹君 自由民主党岡田直樹でございます。  最初防衛大臣にお伺いをしたいと思います。  このイラク特措法の下で陸上自衛隊また航空自衛隊も、これは一滴も血を流さずに専ら汗を流すことによってこの人道復興支援に従事をして、国際的な評価も得てこられたと思います。いろいろと難しい面もあったと思いますけれども、この間の自衛隊が果たした役割について防衛大臣からお伺いしたいことと、また今後どのような役割が継続してあるのか、その点についてもお伺いをしたいと思います。
  7. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 陸上自衛隊につきましては、もう帰ってきておりますけれどもイラクムサンナ県を中心としまして人道復興支援活動に携わってまいりました。医療活動あるいは公共施設整備等について大変精力的に活動してくれまして、ムサンナ当局はもちろんのこと、またイラク当局からも大変好評を博しておったところでございます。  その後、陸上自衛隊は帰りましたけれどもイラクにおける人道復興支援活動、そしてまた安全確保支援活動、このために航空自衛隊がクウェートとバグダッドエルビル輸送関係を行っておりますけれども、これにつきましても、国連事務総長を始めとしてイラク当局からも、また安全確保支援活動及び人道復興支援活動に当たっております多国籍軍司令官等からも、航空自衛隊活動について、これを評価すると同時に継続してもらいたいという、そのような趣旨の言動があっておりますから、それなりのまた成果を上げているものと、そのように我々としても自負しているところであります。
  8. 岡田直樹

    岡田直樹君 この後は主に外務大臣にお伺いをしたいと思います。昨日北朝鮮、今日イラクということでいろいろございますが、よろしくお願いいたします。  今、防衛大臣から自衛隊活動、果たした役割について御説明がありました。しかし、イラクの今の情勢見ておりますと、非常に心配な点も多々あるわけであります。一番問題であると思うのは、やはりイラク治安回復の兆しを見せないことでありまして、四月にはバグダッド真ん中にある連邦議会、国会にまで自爆テロが起こった。そして、先月、五月のアメリカ兵死亡者、ある通信社の統計によれば、五月の米兵死亡者が百二十七人、二〇〇四年が百三十七人で最悪であったということでありますが、それに迫るような犠牲を出しておるわけであります。  治安状況あるいは政権民主化、そしてイラク全体の復興の進展など、最近のイラク情勢をどのように把握しておられるのか、全体としてこのイラク国づくりというものが前に進んでいるのかどうか、スピードは遅々たるものかもしれませんけれども、ともかく前に進んでいるかどうか、その辺りの御認識というものをお伺いをしたいと思います。
  9. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 治安状況につきましては、イラクに関しましては、もう度々申し上げておりますように、バグダッド中心に厳しい状態が続いておると存じます。  今、岡田先生指摘のありましたように、四月以降も、五月の二十九日でしたか、バグダッド中心にいたします広場付近の停車中のバスが爆発して二十三人が死亡、一日置きまして五月の三十一日には、同じように中部地区において、ファルージャというところにおいて、警察官募集中のところの隊列の中にいわゆる自爆テロが発生してこれも二十五人が死亡等々、テロ活動というものがいろいろ起きておりますというのは事実だろうと存じます。  他方、イラク政府としては、米軍とともにいわゆる治安というものの回復にいろいろ対策を実施しておりまして、この間の五月の三十日の日になりますが、これはクルド地区中心として三県でいわゆる治安権限移譲と。これは最初に、御存じのように、陸上自衛隊がおりましたサマーワが最初治安権限移譲というのがイラク政府に行われております。今回はこのクルド地区三県で行われましたので、これで十八県中七県が治安権限移譲政府に対して行われる等々、少なくとも努力成果が上がりつつあるということは一部でまた見られているところだと思っております。  やはりこの種のことをやるには、一国だけでというのはなかなか難しいので、イラク周辺国と言われるところで協力が要ります。例えばシリアを含めまして、イランを含めましてということで、五月の三日、四日、エジプトサイナイ半島の先端ですけれども、いわゆるシャルム・エル・シェイクという、かつてテロの起きたあのシャルム・エル・シェイクにおいてイラク周辺国拡大外相会議というのが行われております、私もそれに参りましたけれども。  その会合において、少なくともイラク・コンパクトということに関しては、周辺諸国がそれに皆賛成をして合意をするところになりました。この場において、いわゆるイラクの問題に関して、イランアメリカが直接対話をするということがこのときに提起をされております。例の話が一九八〇年でしたから、以来ですから二十八年ぶりイランアメリカの直接対話が行われるということになって、少なくとも、駐イラクアメリカ大使のクロッカーと駐イラクイラン大使のコミーと直接対話をここでやっておりますが、以後、少なくともこういったような話が、努力成果が少しずつ出てきているのではないかと思っております。  いずれにしても、イラクというのは、いずれ治安情勢を含めまして国民融和問題等々いろいろまだ問題が残っておることは確かだと思いますが、そういったものが今ちょうど大事な、重要な時期に差し掛かっておるかなと思っておりますが、少なくとも、いわゆる治安プラス国民融和というところがきちんとでき上がらないと治安安定化にもつながっていかぬのではないかという感じがいたしておりますんで、引き続きそこの点に配慮をしつつ対応していかねばならぬと考えております。
  10. 岡田直樹

    岡田直樹君 今大臣が、治安プラス国民融和、また周辺諸国との協力関係と、こういう幾つかの重要な論点を御説明になりました。  その一つ一つについてちょっとお伺いをしていきたいと思いますが、治安の点について、日本政府として、イラクにおける米兵、またイラク国民死者の数というのはどのように把握をしておられるか、またそれはどういう発表あるいは報告に基づくものであるかという点について、外務省にお尋ねをしたいと思います。
  11. 関口昌一

    大臣政務官関口昌一君) 米軍側死者数につきましては、アメリカ国防省自身発表によりますと、本年六月一日現在、三千四百六十三人と承知しております。  また、イラク民間人死者数については、米系NGOイラク・ボディー・カウントによれば、本年六月四日現在、少なく見積もっても六万四千七百七十六人、最大で七万九百三十四名と承知しております。
  12. 岡田直樹

    岡田直樹君 特にイラク民間人については膨大な数字になっておりまして、これは事実上の内戦というものが、あるいは内乱というものが続いておるんではないかなというふうに懸念をいたします。  そのイラクを統治するマリキ政権でありますけれども、これをどのようにごらんになっているかということを次に大臣にお伺いをしたいわけであります。  先ほど国民融和ということをおっしゃいましたが、マリキ首相シーア派ということで、スンニ派との対立に拍車が掛かったのではないかと。あるいは、これはどこまで真実か私は存じませんが、政権内部で腐敗というか汚職が横行しているような、そういううわさも耳にするわけであります。  このイラク政府がやはり民主的で公正でまた透明性の高い政府になっていくということがイラク安定化のためには不可欠であろうと、これはもう言うまでもないことでありますが、先ほどおっしゃったとおり、国民融和シーア派スンニ派、またクルドといった、そうしたこの国民の中の分裂、対立をいかに融和をさせていくか。イラクでも政府国民融和計画というのを作ったそうでありますが、余り前に進んだということも聞いておりません。  また、こういう問題というのはなかなかアメリカには手が出しにくいようなところもあるんではないかと。やはり、キリスト教国ということもありますし、あるいはこの地域に対して非常に根深い反米感情というものを持たれていると、そういうアメリカにはできにくいような、何かイラク国民各派に呼び掛けるというようなことが日本役割として今後出てくるんではないかと思いますが、その辺りについてどのようなお取り組みをお考えになっているか、また実行しておられるか、御説明をいただきたいと思います。
  13. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のありましたように、イラクマーリキー政権、開かれたとか民主的とか公正とか透明性があるとかいうような点は、これは物すごく大事なところでありまして、そういった点を踏まえた政府がつくり上げられるということは、今後のイラク政権の安定のためにも極めて重要という御意見は私も全くそうだと思っております。  日本政府としては、今、日本としてできるところというお話がありましたので、私どもとしては、これは国民融和というところが非常に大きなところではないかということを考えて、少なくともこの三月、イラク国民融和担当大臣を筆頭にしてクルドスンニシーア含めまして十三人だったかを日本に呼んで、そして約一週間、十日間ぐらい掛けていろいろな対話をするという機会をつくってみたんですが、最初はもう全く、かなり反りが合わぬというか険悪というか、合いませんでしたけど、少なくとも一週間、十日ぐらいして会ったときの段階においては少なくとも話が始まっておりましたし、やっぱり終わった後、是非こういったような機会がこのところ絶えてなかったというのが非常に大きな不信感醸成をしておりますので、やっぱり信頼醸成が起きませんとなかなか難しいという感じは私どもも強くいたしました。  ただ、御本人たちは、だれがスンニでだれがシーアって、あんたら見て分かるのかって聞いたら、いや、全然分からぬと言うわけですね。それで、私らも、この話になるまで、九月十一日前まではスンニとかシーアとか余り考えたこともなかったという話をしますので、これはほかのところもそうかと思ってエジプト聞いてみても、それは、あんた何派って聞くと、うん、おれとか言って、ぐっと詰まっちゃうぐらい、何か、まあ考えてみれば、こっちも、おまえ、仏教って言って、天台宗、曹洞宗、何宗と聞かれて、隣のやつに、おお、おれんち何だっけなんて聞くのが一杯いますから、まあちょっと、その程度のものなんじゃないんですかね。それが何となくあれのおかげですっかり話が、えらく対話が激しいようなことになっているように、我々は外から見ているからそう思っていますけど、御本人たちもそういう意識はほとんどおありにならぬというのがついこの間だったと。これエジプト外務大臣も同じようなことを言っておりましたので。  そういうところだと思いますので、何となく、これはイラク人自身による国民融和というのを自分たち努力しないと、これはなかなか、こちらが幾らあおったってなかなかさようなわけにいきませんので、そこらの点は十分に踏まえて、日本のやれるところはむしろそういった機会をつくるというような話。  また、非常に貧困というのがちょっと大きな問題でもありますし、また、イラクというところは、真ん中スンニ地域のところが石油が出なくて、南と北のクルドシーアのところに石油が出る等々、いろいろその国の内部事情というのはございますので、そういったところでも安心してきちんとした収入が得られるよう、石油収入が配当をされる、分配されるようなシステム等々、いろんなところを手助けできるというところが必要なのではないかと。単なる宗教対立だけあおってみても始まらぬというような感じが率直な実感であります。
  14. 岡田直樹

    岡田直樹君 今の大臣お話を伺ってちょっとほっとしたような気もするんですけれどもイラク人も、日本のように融通無碍な宗教観を持っていたらもう少し対立が少なくて済むんじゃないかなと思います。根気強くこの国民融和ということについて御努力をいただくようにお願いをしたいと思います。  先ほど大臣からも、五月のエジプトにおけるイラク安定化会議でしょうか、周辺諸国に、また国連安保理常任理事国とか、日本のような主要国も参加をした会議が開かれたと。この意義についてもう少しお伺いしたいことと、それと関連して、アメリカイラン対話というものは、外相同士のものは実現しませんでしたけれども、しかし二十七年ぶりに、本当にお互いを悪魔のように思ってきたアメリカイラン大使が、駐イラク大使が公式に会談をしたということの意味は大きかったと思います。  イラクが混乱し続けていることの一つの原因は、周辺の諸国家、先ほどイランシリアの名前を挙げられましたが、そうした各国からイラクにおける武装過激派に対して支援が行われている、あるいは武器供与があるのではないかと。特にイランの存在というのは非常に大きいと思うわけであります。アメリカは、私は、イラン、そしてイラクとともに三者協議の場を設けてこの問題についてもっともっと真剣に、そして詰めた協議が必要ではないかと、このように考えるわけでありますが、外務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  15. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) やっぱり、イランアメリカの直接対話というのはかなり大きな意味があったと、私、端緒に就いたばかりのところでありますので、少なくとも、イラクの問題についてのみという前提条件で両大使が会っております。私は、関心は皆、核実験の話とかそちらの方に世界関心は集中しておりますけれども、少なくとも、イラクの問題に限ったとはいえ、アメリカイランが直接というのは非常に大きな一歩だったと思っております。  北朝鮮とも同じような形で、バンコ・デルタ・アジアのことに関して、少なくともアメリカ北朝鮮が直接対話ということをやっております。そういった意味では、六者協議とは別にそういったものをやっているのは一つの進歩だという具合に考えるべきだと思っておりますんで、こういったのは長いこと不信感がたまっておりますんで、そう簡単に一朝一夕にすべてが氷解するとはとても思えません。  しかし、現実としてこういったことをやらない限りは双方とも話は建設的なことにはなりませんので、やはりアメリカも、イランイラク、これ御存じのように、同じシーア派とはいったって、これはペルシャ人アラブ人で、長いことシャトルアラブという川を挟んで長い長い歴史がありますんでそんな簡単な話じゃないんですけれども、そういった状況を踏まえて、少なくともお互いさま、とにかくしんどいことになりつつあるのは両方とも同じでございますから、そういったところではどこかでという話が、今少しずつ話合いをする機運ができ上がりつつある。今までのように、全くもう突っ張るだけ突っ張っているという状況からは少し変わってきつつあるという状況醸成されつつあるのかなとは思っております。  いずれにしても、日本としてはこれは主にイラク復興支援というのに手をかしておりますんで、そこらのところがきちんとしたものになって国民融和が進みますと、こちらの方も、イラクの東半分、いわゆるペルシャペルシャというかイランとの間の問題、シーア派の問題も少し解決してきますでしょうし、それから、上にありますシリアは同じくシーア派の強いところですが、こういったところまで、皆、元はイランからの資金とかイランからの力とか言われておりますんで、そこらのところを含めまして少し状況が変わってくる。イランの対米不信というのがありまして、世界の対イラン不信というのも両方ありますんで、そこらのところが少し変わってくればまた情勢も変わってくるかなと思って。  これは、一朝一夕にすぐこれが答えというのがありませんので、今はそんなところかなというのが、我々外から見ておりましてそんな感じがいたしております。
  16. 岡田直樹

    岡田直樹君 先ほども申しましたが、アメリカイランイラクの三者協議を開けという、そういうアイデアもあるわけでありますが、どうもアメリカが少し消極的ではないかという話も聞くわけであります。  外務大臣として、アメリカに是非そういう三者協議という場を設けて話合いをせよと、そういうふうに御助言というか積極的に働き掛けをなさるお気持ちはございませんか。
  17. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この話はもう半年ぐらい前に、まだイランアメリカ対話が始まる前に北朝鮮が始まりましたんで、イランともやらなきゃ結果的には事は解決しないのではないかという話をして、まあその時期が来る可能性は高いという反応は向こうも言っておりましたんで、少なくとも第一歩がスタートしておりますんで。  ちょっと、第三者の話ですからよく見えているわけではありませんけれども、少なくともハビエル・ソラナの話を聞いてみましても、ラリジャニの対応は、少なくとも四日前スペインにハビエル・ソラナは帰ってきているんですが、そのときのラリジャニとの会った話は電話で日本大使館に報告してきましたんで、直接聞いたんですけれども、少なくとも、こちらもラリジャニという人のお話も少し、従来みたいなとにかく突っ張っちゃうという雰囲気はなくなりつつあることは感じられますんで、やっぱり少しずつそういった、やっぱり直接会うとか何回も会うというところがお互い大事なところなんだと思いますので、やっぱりいろんな国際会議というのは何となく、しょっちゅう会っていると何となくおうと話もしやすくなってきて、このハビエル、ラリジャニという二人は、最初のころはもう全く駄目だったそうですけれども、今は少なくともお互いに話をし合えるようなところまでは来たという話をしておりましたので、今言われましたように、やっぱり三者会談等々というものができ上がる情勢が少しはあるんであって、やっぱり外務大臣より上に宗教の何とかいう偉い人と、そこと話しないとここはなかなか難しいんで、ちょっとヒエラルキーのつくり方が違っておりますのでなかなか、この人と話すとその上にまだ四人も五人もいたりなんかするとなかなか話が通じないというところが話を難しくしているかなという感じはいたします。
  18. 岡田直樹

    岡田直樹君 最後にアメリカについてお伺いをしたいと思います。  昨日の晩のテレビでアメリカ大統領選挙民主党討論会が出ておりました。ヒラリー・クリントンオバマも、イラクからのできる限り早期の撤退ということを訴えておりました。次の政権が共和党になるか民主党になるか、あるいは民主党でもクリントンオバマか、いろんな予測というのがあると思いますが、次のアメリカ政権政策の転換によっては、日本が置き去りにされるとは言いませんけれども、多少あらかじめ心構えをしておかないとまずい事態というのも出てくるかもしれないと思うのであります。その辺りについて外務大臣がどのようにお考えか。  また、イラク日本もできる限りのことをしてきた、汗を流してきたというのは冒頭の防衛大臣お話にもあったとおりでありますが、やはりイラクの全体状況というものがもう少し良くなってこないといけないと、そういう際にアメリカに対して同盟国として日本が何か直言をできること、このように働き掛けていきたいということがございましたら最後にお伺いをしたいと思います。
  19. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) アメリカ民主党、共和党になりましても、これは直ちに撤退なんと言っているのは両方ともいないんで、漸次、少しずつ撤退というんで、直ちに撤退は、力の空白があそこへぽこんとできるということは多分、内乱というか混乱というか、すさまじいことになりかねぬというのは、これはあそこに、いわゆる副大統領も、副大統領ですかな、あれもみんな、マーリキーも皆同じことを言いますので、これは間違いなくスンニ派シーア派、皆言う意見は同じでございますので、それはいずれ駐留軍ですから撤退なんでしょうけれども、それを撤退されるまでの間、どのように撤退していくかというのは、これはいつも話している、侵攻作戦よりは撤退作戦の方が難しいのは軍というものの常識でございます。  したがいまして、ここのところはどのようにやっていくかというのは難しいところだとは思いますが、少なくとも、もうちょっと治安がある程度良くなってくるなり国民がそこそこお互い話ができるなりにしませんと、何となくただ撤退は無責任の極みということになりかねぬと思いますので、そういった意味では、仕方が難しいとは思いますけれども、少なくとも治安というのを担当するのは警察、軍と似て非なるものなんであって、やっぱり我々として何回も言い続けているのは、治安というものは現地のイラク人による治安というものに移管すべきなんであって、少なくとも、そうじゃない外国人は少なくとも表には出ない、それがこの種のものの常識ではないかということで、治安部隊をというか、警察を十三万から三十五万だか三十三万だかに一応人数を増やして目下訓練中というところなんだと思いますが、そういったものがきちんと作動してくると随分と変わってくるとは思いますけれども、いずれにしても、もうしばらく時間は掛かるかなという感じは率直な実感です。
  20. 岡田直樹

    岡田直樹君 米軍にせよ自衛隊にせよ、いつまでに撤収なんという、そういう出口を決めてしまうということは余り賢明ではない、得策ではないというふうに私も思います。  国際情勢を総合的に勘案されて、今後適切に対処をしていかれることを強くお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  21. 櫻井充

    櫻井充君 おはようございます。民主党・新緑風会の櫻井充です。  イラクの本題に入る前に、脱北者の件についてちょっとお伺いしておきたいと思いますが、今回の脱北者の件というのは沿岸警備上の問題点というのが提起されたんではないのかなというふうに考えておりますが、その点についていかがお考えでございましょうか。
  22. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今回の脱北者と見られる人たちが発見された際に、海上保安庁が海上で、洋上で小型船を発見できなかったということは、この海上保安庁の使命からして大変残念だと思っております。  平素から我が国の周辺海域において、当然、巡視船あるいは航空機によって不法入国などの不審な行動を取る船を始めとする動きを監視、警戒をしているわけでございますから、その網に掛からなかったということは大変残念なことだと思っております。
  23. 櫻井充

    櫻井充君 今回の件ですね、今年の五月から会社法の株式交換がMアンドAでできるようになりましたが、それが一年実は会社法の改正の後延期されているわけであって、あれは何かというと、堀江さんが、まあ不正な方法でとは言いませんが、その法の網をかいくぐってMアンドAを行っていったと、ここにきっと、こういうことをやられたら相当問題があるんじゃないかということを学んで、それで一年間延期したという経緯があります。  今回の件は、たまたま脱北者だったからいいようなものの、今回の教訓からすると、もう工作員でも簡単に入ってこれる国なんだということを示してしまったんじゃないのかなと。ですから、その教訓を、残念なことだということではなくて、更に進んで、どういう対処をしていって、どうやって防いでいくのかということを真剣に考えなきゃいけないんじゃないのかなというふうに思っているんですね。  昨日、残念なことに、どことは申し上げませんが、質問のレクをしている際に、明日どのように答弁すればよろしいんでしょうかと、そういうふうに聞いてくるわけですよ。だから、そういう問題ではなくて、これを教訓としてこの国としてどういう形で警備を連携して、海だけで全部やるというのは無理な話だと思っていますから、連携して強化していくのかと、その辺のことの対策について教えていただきたいと思います。
  24. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 会社法の改正で合併対価の……
  25. 田浦直

    委員長田浦直君) ちょっと、塩崎官房長官。
  26. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 失礼しました。  商法の改正、会社法の改正で合併対価の柔軟化ということをして、その部分だけ一年先送りをしたのは、ホリエモンが何かやったからやったわけではなくて、敵対的買収防衛策というものを同時に導入をして、それの実施をするためには株主総会を開かなきゃいけないと、それを一年間のうちに、必ず一回は来ますから、その備えをした上で合併対価の柔軟化をしようということで一年そこを政治的な判断で延期をしたわけでありますから。それと海上保安庁とどういう関係があるのかよく分かりませんが、いずれにしても、私も自民党で商法小委員長というのをやっていたものですから、そこを延期することを決めたのは私なものですからあえて申し上げますが、決してホリエモンがいたからやったわけではなくて、むしろ敵対的な買収が増えるんじゃないかという何とはなしの不安がやっぱりあって、そして同時に、防衛策というものを導入をしたからこそ、その一年間にどうぞ備えをしてくださいと、その上で合併対価を柔軟化しますと、こういうことでありました。  そこで、今先生おっしゃったように、私も海上保安庁に対しては、海上保安庁はこれから、今回のように非常に小さな木造でレーダーになかなか引っ掛からない、そういう船で来たということは、今先生御指摘のように、たまたま今回は工作員とかではなかったというケースでありますが、そうであるケースは十分あり得るじゃないかと私も思っています。したがって、これの備えはやっぱり万全を期しないといけないと。  一つは、警察とかあるいは他の様々な、海、陸に関係する人たちとの連携であるとか、あるいは一般の人たちの通報体制についての啓蒙とか、そういうことも当然やっていかなきゃいけないので、今よりもはるかに連携をしなきゃいけないわけでありますが、一方で、やっぱり技術的に探知能力、探査能力を高める方途はどういうものがあるのかということも一緒にやっていかないと、単にほかとの連携だけで人任せなようなことを言っていたのではやっぱり駄目だろうと、やはり自らのディテクトする技術、能力を高めるということについても併せ検討をすべきではないかということを私の方から強く言っておいたところでございます。
  27. 櫻井充

    櫻井充君 通告していないので、無理であれば結構ですが、どの程度のものであればディテクトできるんですか、今のお話ですと、現在の能力であるとすると。
  28. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) これは技術的なので、特に今手元に、調べをしておりませんので、また追って先生の方に御説明をさせますが、いずれにしても、なかなか今回のは小さな船で非常に難しいということは間違いないわけですけれども、しかし、だからといってそれで放置していていいのかというと、それは先生御指摘のように、そんなことはないと私も思ってそれを海上保安庁の方に言っているので、技術的によく詰めて、そして連携体制もやっぱりきちっとしないといけないということを今言っているところでございます。
  29. 櫻井充

    櫻井充君 安倍政権で、拉致問題についてこれは最重要課題だという話をされているのであれば、過去の問題だけではなくて今後の問題のこと、もしかすると、こういう形で入ってこられれば、工作員が入ってくればまたそういった問題が起こるかもしれないわけであって、この点についてはまずきちんと対応していただきたいと思いますし、それから、常々考えていることなんですが、原発などをもしテロにジャックされてしまったらこの国は一体どうなるんだろうかと。  調べてみると、我が国は警察が原発を守っているらしいんですが、フランスなどは軍隊がそういったものの管理をしているということであったとすると、こういったことも全部含めて一番大きな問題にすぐになるとすると、原発などそういった我が国にとっての根幹の部分を握られるということが極めて重要なことだと思っておりますので、そういう点も全体を含めて考えていただきたいなと、そう思います。
  30. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 櫻井先生の問題意識、共有いたしておるところでございますので、更に検討を深めていきたいと思っております。
  31. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  それでは、イラクの問題についてお伺いしていきたいと思いますが、現場の自衛官の方にお伺いすると、やいばの上を歩いているようだと、つまり、そのぐらい身の危機を感じているんだということをおっしゃる方もいらっしゃるんですが、その点について、政府としてはきちんと認識されているんでしょうか。
  32. 久間章生

    国務大臣久間章生君) よく、イラクで活躍している航空自衛隊がさも安全であるというような、そういうことばかりが強調されておりまして、私たちもそうじゃないんですよということを絶えず隊員の皆さんから聞いております。一歩間違うと本当に人命に影響するような、そういうような状況の中で活躍しているわけでございまして、本当に、見方を変えれば、今おっしゃった、やいばの上で仕事をしているようなものだと、注意を払わないと大変なことになるという、そういう認識は私たちも持っております。
  33. 櫻井充

    櫻井充君 そこまで認識されていて、政府としてどういう対策を取られてきたんでしょうか。
  34. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは、詳しくはもし、事務方から聞いていただいても結構ですけれども陸上自衛隊が派遣されておりましたときもやっぱり十分な安全確保策を講じてきておりましたし、今の航空自衛隊につきましても防護措置をとるとか、あるいはまた上昇の仕方あるいは着陸の仕方にしても、通常のそういうような普通の航空のやり方じゃない、非常に訓練をした上での特殊な上昇、降下のやり方等もし、また情報も、十分集中して、飛び立つ前には情報を特に把握しながら、危険が来ているか来ていないかということを非常に神経を使った上でやっておる。これについては、現地の自衛隊だけではなくてみんながそういうような気を遣っておるわけでありまして、私どもはそういう意味では安全確保についてはかなりやっぱり神経を使ってきていると思っております。
  35. 櫻井充

    櫻井充君 イギリスの飛行機が同じような業務を行っていてたしか攻撃されたということがあったかと思います。その際に、専門家からお伺いすると、今の飛行技術の点というのはどうなんだろうかというと、ほとんど役に立っていないんじゃないかと、そういう指摘もありますが、その点についてはいかがでしょう。
  36. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 二〇〇五年にたしかイギリスの同じC130がロケット弾ないしは対空ミサイルによって撃ち落とされたということでございますが、これにつきましては、イギリス側もやはり軍事作戦の一環として詳細について明らかにしていただけないというところがございますが、その中でも大ざっぱな情報を我々聞いて確認をしているところによりますと、かなりバグダッドから近郊の飛行場に移るときに低空でかなりゆっくりした飛び方をしていたと。  それから、例えば通常我々、米軍航空自衛隊のC130も、燃料のタンクの被膜については防爆フォームといってなるべく攻撃を受けても燃焼をしにくいような仕組み、システムを採用して付けているわけでございますけれども、イギリスのC130はそういうシステムを付けていなかったということで、かなり下からねらわれやすい態勢で、しかも撃たれたときにそういう脆弱なシステムであったというふうに聞いておりまして、それに対して我が方は、先ほど大臣から申し上げましたように、なるべく離発着のときには急降下、急上昇を取ってねらわれないようにしているとか、あるいは翼の燃料タンクのところになるべく脆弱性を防ぐために防爆フォームというものを取り付ける等いろいろ安全装置を施しておりますので、かなりの安全策が取られているのではないかというふうに考えております。
  37. 櫻井充

    櫻井充君 それが専門家から見ると安全策でないと、そこのところに実は問題があるんじゃないのかなと、そう思うんですね。つまり、こちら側からしてみれば安全かと感じているかもしれないけれども、現場から見れば決してそうではないと。  それから、もう一つ伺いしておきたいと思いますが、そういうミサイルの攻撃を受けた際に、本当に自衛隊機というのは墜落しないものなんですか。
  38. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 確率の問題みたいなところがございますけれども先ほど申し上げましたように、例えば対空ミサイルで撃たれましたときに、大体、相手方の対空ミサイルは赤外線を追尾をする形のミサイルでございますが、それに、例えば仮にエンジンに当たったとして、四発のエンジンがございますが、一発がエンジンが停止をいたしましても残りの三発でかなりの安全な飛行ができるというふうにも聞いておりますし、当たりどころが悪ければそこはやっぱりいろいろ致命傷になる場合もありますでしょうけれども、今我々が聞いているところでは、一発程度であればそんなに危険ではないというような報告も受けております。  ただ、何回も申し上げますが、確率の問題というのもございまして、なるべく飛行前に各種情報を取って安全な運航をまず心掛けるというところから始めているわけでございます。
  39. 櫻井充

    櫻井充君 今お話で、ある部分、例えばエンジンならエンジンは想定されていて、そこは一発当たったら大丈夫だ、これはまあ、じゃ、それはそれで理解いたしましたが、致命的な部分に当たるとおしまいだと、そういう御答弁でしたよね。そうすると、どこに当たると致命的なものなんですか。
  40. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) これは、例えば低空を飛んでいるときに、今申し上げたような対空ミサイルではなくてロケット弾が機体に当たって、例えば相当深く航空機の中に入って、例えばパイロットが負傷をするとか、そういう場合には致命傷になり得るんだろうと思いますが、その点に関しても、米軍もそうでございますが、我が方の自衛隊のC130につきましてはパイロットの部分については装甲板で装甲しておりますので、よほど近くから撃たれて、ロケット弾みたいなものを撃たれない限りはまあ大丈夫じゃないかというふうに考えております。
  41. 櫻井充

    櫻井充君 それからもう一つ、ちょっと技術的なことはここまでにしておいて、先ほど情報を入手すればというお話がありました。日本というのは情報を入手する能力というのはどのぐらいあるんですか。
  42. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) これは、イラク全体における危険情報というのは多国籍軍の司令部が各地から収集をして持っております。そういう意味におきましては、我が方は主として多国籍軍の運航情報を事前に獲得をしてそれに従って判断をしていくという対応を取っておりますが、場合によりましては、航空自衛隊独自で現地の方やなんかからも情報を収集をしておりますので、そういう安全情報も確認をしながら飛行を続けていくという体制でございます。
  43. 櫻井充

    櫻井充君 外務省の方がイラクであの不幸な出来事で命をなくされましたが、あれとてたしか情報が足りなかったということが原因だったのではないのかなと、そう認識しておりますが、それはまず、私の認識が違っているかどうか、その点について御答弁いただけますか。
  44. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 正直、外務省の外交官の方々が亡くなられたときの状況、あるいは情報の収集がどういうものだったのかについては、私どもちょっと承知をしておりません。
  45. 櫻井充

    櫻井充君 外務省、お願いしたいと思いますが。
  46. 奥田紀宏

    政府参考人(奥田紀宏君) あの事件は、たしか二〇〇三年の十一月の末であったと思いますけれども、当時の状況と現在の状況はかなり違うわけでありますけれども、後から考えれば、我々として、もう少し当時の全体の状況が分かっていれば、そしてかつ、あえて言えば、ティクリートに行く道路上にああいうテロリストがひょっとすると待っているかもしれないということについてもっと強い確信があればああいう事件に至らなかった可能性ももちろんあるのではないかと。  そういう意味で、常に安全に関する情報というものを収集するということは大変重要なことであるというふうに思っております。
  47. 櫻井充

    櫻井充君 今、状況が違っているというお話でしたが、どのように状況が違っているんでしょうか。
  48. 奥田紀宏

    政府参考人(奥田紀宏君) 今であれば、例えば、あれはバグダッドの西北の方だと思いますけれども、いわゆるスンニ派地域でありまして、かつ、ティクリートというのはかつてのサダム・フセイン元大統領の出身地であるということもありまして、今非常に治安が悪いということは我々は今常識として持っているわけであります。  四年前になりますか、四年前の状況ということになりますと、確かにティクリートに向かう道筋ですから、今のようなスンニ派テロリストが当時もいたということはあったんでしょうけれども、しかしながら、当時の一般の何といいますか印象として、今ほど厳しい状況認識をしていなかったという点においてやはり四年前は今と違っていたんじゃないかというふうに思います。
  49. 櫻井充

    櫻井充君 やはりそういう認識が違っていたことによって犠牲者を生んでいることから考えると、やはり最悪の状況というのをどこまで想定できていくのかということは極めて大事なことなんだと思うんですよ。この国の安全とかいうことに対しての何というか危機意識というんでしょうか、それがすごく低いがゆえに、様々な犠牲というのを払っていただかなきゃいけないような、そういう事態になってきているんじゃないのかなと、そう思います。  その上で、自衛隊がこの間の改正で海外任務が本来任務となったわけですが、その中で自衛隊員が万が一捕虜になったりした場合、一体国際法上どうやって自衛隊員は守られるんでしょうか。
  50. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 現在、自衛隊が国際協力業務等で出ていく場合、紛争当事国のところに出ていっているわけじゃございませんし、また占領軍の一員として行っているわけでもございませんから、いわゆる捕虜として取り扱われるような、そういうことは想定されないわけであります。捕虜ではなくて身柄を拘束されるとか、そういう危険性はあるかもしれませんが、少なくとも捕虜としての扱いにはならない、論理的にもそういうことは考えられないという、そういうようなことであります。
  51. 櫻井充

    櫻井充君 イラクは紛争当事国ではないんですか、今。
  52. 久間章生

    国務大臣久間章生君) イラクは紛争当事国じゃありませんで、特に自衛隊が活躍する場所はいわゆるそういうところを外して行っているわけでありますから、イラクで活躍する自衛隊は、いわゆる戦闘地域では活動できないことになっておりますので、戦闘地域には行っておりませんから、捕虜になることはないと、そういうふうに理解していただいていいと思います。
  53. 櫻井充

    櫻井充君 ジュネーブ第三条約の適用というのは最近広がってきていて、昔は確かに紛争当事国だけであったかもしれないけれども、最近はその概念が広がってきているというふうに私は聞いておるんですが、その点についてはいかがですか。
  54. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは、小泉内閣総理大臣が本会議でも答弁しておりますけれども、我が国が武力紛争の当事者とならず、また占領を実施する者でもないことから、この意味で、国際人道法の適用を受けることはありませんということで、いわゆる捕虜にはならないということであります。
  55. 櫻井充

    櫻井充君 分かりました。  それでは、我が国はジュネーブ第三条約を批准しております。捕虜にならないということであったとすれば、どういう意図でジュネーブ第三条約を批准したんでしょうか。
  56. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) 我が国がジュネーブ諸条約を締結をいたしました経緯についての御質問でございますので、私の方から御答弁をさせていただきます。  まず経緯的に申しますと、サンフランシスコ平和条約を締結をいたしまして、一九五二年四月二十八日付けで我が国は国際社会に独立国として復帰したわけでございますが、このサンフランシスコ平和条約を締結をいたします際にこの別途の関連の宣言ということを日本政府は行っておりまして、この中で、日本政府は、平和条約の最初の効力発生の後一年以内にいろいろな条約について加入すると、締結をするという意思を表明をしております。これは、基本的には国際社会の意思として、日本がこの国際社会に復帰するからには、普遍的に国際社会で通常ルールとなっているようないろいろな条約を日本も締結すべきであるという考え方に基づきまして、日本政府は一年以内にこのいろいろな条約を締結をするということを約束しているわけでございまして、これはこの中にジュネーブ諸条約が入っているわけでございます。  実はジュネーブ諸条約だけではございませんで、例えば公海における漁業の制限、資源の保護でございますとか、麻薬の取締りでございますとか、税関の協力、いろいろ幅広い条約というものを締結をするという約束をしておりまして、正にその約束に基づいていろいろな条約を締結しているわけでございますが、このジュネーブ条約につきましては、今のような観点から国際人道法のルールというものを日本も受け入れるということがあるわけでございます。  また、ジュネーブ条約を締結しても、自衛隊員が捕虜となることはないのならばなぜ締結をするのかという御質問であるわけでございますが、これは、今防衛大臣がお答えになっていることは、イラクにおいて活動をしていることの関係で捕虜になることはないということをおっしゃっているわけでございまして、例えば、日本が外国から侵略を受けるという場合に、当然我が国の自衛隊防衛出動するわけでございます。その際に、不幸にして敵の術中に、手中に陥るということはこれはあるわけでございまして、その場合は当然ジュネーブ第三条約に基づく捕虜の待遇は保障されると、こういうことでございます。
  57. 櫻井充

    櫻井充君 そうしますと、今のお話ですと、自衛隊員が捕虜になることもあり得るので、ですからそのジュネーブ第三条約を批准した意味があるんだということでよろしゅうございましょうか。
  58. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) 先ほど申しましたように、防衛出動の際に捕虜になる事態というのは理論的にはあり得ると思いますので、意味がある条約を締結しているということだと理解しております。
  59. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、ジュネーブ第三条約上、自衛隊というのは軍隊に当たるんでしょうか。
  60. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) ジュネーブ諸条約に申します軍隊でございますが、これは武力紛争に際して武力を行使することを任務とする組織一般を指すものと考えられております。  ところで、自衛隊でございますが、これは政府が累次御答弁申し上げていますとおり、憲法上自衛のための必要最小限度を超える実力を保持し得ないなどの制約があるわけでございまして、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるということを申しているわけでございますが、しかし、我が国を防衛することを主たる任務として自衛権行使の要件が満たされる場合には武力を行使して我が国を防衛する組織であるということも事実でございますので、一般にジュネーブ諸条約上の軍隊に自衛隊は該当をするというふうに考えてございます。
  61. 櫻井充

    櫻井充君 回りくどい言い方でしたが、要するに国際法上は軍隊だということですね。それでよろしいんでしょうか。
  62. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) これは累次政府から答弁を申し上げているところでございますが、国際法上は自衛隊は軍隊に当たるということでございます。
  63. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、国内法上は軍隊に当たるんでしょうか。
  64. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先ほどから話があっておりますように、憲法で要するに戦力を保持しないと言われておりますけれども、必要最小限の実力は保持することはできるという、そういう意味でいわゆる軍隊ではないというような解釈をしているわけであります。
  65. 櫻井充

    櫻井充君 一般的に条約を批准する際に、一般的にですよ、条約を批准する際には、国内法と整合性を取るために、国内法を整備した上で条約を批准すると、これが一般的ですよね。
  66. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) そのとおりでございます。
  67. 櫻井充

    櫻井充君 そうしますと、国内法と国際法との今そごがあるという御答弁でございました。そうすると、一般的にはまず国内法を整備しなければこの条約を批准することはできなかったんじゃないでしょうか。
  68. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) これは、平成十四年に委員から質問主意書をちょうだいしておりまして、それに対する政府答弁書におきまして御答弁申し上げているところでございますが、関連の部分を恐縮でございますが読み上げさせていただきますと、先ほど御答弁申し上げましたような観点から、一般にはジュネーブ諸条約上の軍隊に自衛隊は該当すると解されると、こういったことを申しました上で、「我が国がジュネーヴ諸条約を締結したとしても、自衛隊が通常の観念で考えられる軍隊となるわけではなく、「陸海空軍その他の戦力」となるわけでもないことから、我が国がジュネーヴ諸条約を締結することについて憲法との関係で問題を生ずることはない。このような自衛隊の法的位置付けは、お尋ねの自衛隊員がジュネーヴ諸条約の規定による捕虜となった場合においても異なるものではない。」と、このように御答弁申し上げているところでございます。
  69. 櫻井充

    櫻井充君 いや、それは、御答弁いただいているのはそれはそれで結構ですが、問題は、もう一度整理しておきますが、国際法上と国内法上とそごがあると、じゃ、まずここは認めていただけるんでしょうか。
  70. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) 最初の御質問にございました、日本国が条約を締結する場合には、憲法を頂点とする国内法秩序とこの整合性を付けた上でないと締結できないのだなと、こういう御質問に対して、そのとおりでございますということを申し上げているわけでございます。  そこで、このジュネーブ条約を締結することによって我が国の憲法とか国内法と矛盾する事態が生ずるかというと、先ほど申しましているように、このジュネーブ諸条約を締結したとしても、自衛隊が通常の観念で考えられる軍隊となるわけではなく、つまり自衛隊に課されている諸制約、これがなくなるわけではなく、陸海空軍その他の戦力となるわけでもないことから、このジュネーブ諸条約を我が国が締結することについて憲法との関係で問題を生ずることはないと、このように申し上げている次第でございます。
  71. 櫻井充

    櫻井充君 自衛隊が捕虜になった場合にはこれはジュネーブ第三条約の適用になるんだと、先ほどそう答弁されました。つまり、自衛隊は国際法上はやはり軍隊に当たるわけであって、締結してどうのということではなくて、実態は、そのときには自衛隊は軍隊であるということを政府が認めなければ、これジュネーブ第三条約の逆に言うと適用になりませんよ。そういう認識でよろしいんですか、逆に言うと。
  72. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) 何度も繰り返しの御答弁になって恐縮でございますけれども自衛隊は憲法上一般の軍隊にはないような制約が加えられている、これは事実でございますが、しかし、我が国を防衛するために自衛権の行使の要件が満たされる場合には武力も行使して我が国を守ると、こういう任務を持っている組織でございますので、国際法上は軍隊に当たるということを申し上げているわけでございまして、ジュネーブ条約上の軍隊であるということを認めることによって憲法との関係で問題が生ずるとは考えておりません。
  73. 櫻井充

    櫻井充君 よく分かりません。  もう少し分かりやすく答えていただきたいんですが、私は、別にこれで難癖付けて何かをしたいということを申し上げているわけではなくて、自衛隊員の方が海外任務が本来の業務になったということは、どういう場面かにおいて、これは今政府は想定していないとおっしゃいますが、紛争当事国の中において捕虜になる危険性はゼロではないと、そう思います。それは、だって、拉致だって誘拐だって何だってあり得るわけであって、その人が紛争当事国に巻き込まれた場合に一体どうなるのかということになるわけですから、これは絶対にゼロではないんだと思っているんですよ。  もう一つ申し上げておきますが、自衛隊員の身柄は一体何によって守られるのかということ、安全を確保して、そしてその上で国際業務に付いていただきたいというのは、ここの安全を確保していくというのは、これは我々国会議員のきちんとした僕は役目だと、そう思っています。ですから、今のところで矛盾があるんじゃないかと。  つまり、もう一度申し上げますが、国際法上は、じゃ改めて一つ一つもう一度お伺いしますが、自衛隊は国際法上は軍隊ですね。
  74. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) 繰り返しになって恐縮でございますが、そのとおりでございます。
  75. 櫻井充

    櫻井充君 そして、国内法上は軍隊ではありませんね。
  76. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) これは、私が所掌上お答えすることが適当かどうかという問題はございますが、従来、政府が御答弁申し上げていることは、憲法上一定限度以上の戦力を持つことが許されないというような制限を加えられているので通常観念される軍隊とは異なるということを申し上げているというふうに承知しております。
  77. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、じゃもう一度、国際法上の軍隊と自衛隊の今の観念上の軍隊というものの位置付けは違いますね。
  78. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) 繰り返しになるようで恐縮でございますが、もしお許しいただければ、別の例を挙げさせていただいてお答えをさせていただければと思いますが……
  79. 櫻井充

    櫻井充君 いやいや、駄目です。僕はその点についてお伺いしているんですから、まずそれについて答えてくださいよ。
  80. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) 自衛隊が国際法上軍隊の性格を有しているということは繰り返し申し上げているところでございまして、そのこととジュネーブ条約等を締結をしているということについてそごはないということでございます。
  81. 田浦直

    委員長田浦直君) じゃ、ちょっと速記止めてください。    〔速記中止〕
  82. 田浦直

    委員長田浦直君) じゃ、速記を起こしてください。  小松局長
  83. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) もし私の御答弁が明確でなかったということであればおわびを申し上げますが、国際法上の軍隊というものの概念がございまして、自衛隊は基本的に国際法上の軍隊としての属性を備えていると。ただ、日本国憲法上、自衛のための必要最小限度を超える実力を保持しない等の制約を課せられておるということがございまして、そういう意味で、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるということを今まで政府が申し上げているということを御答弁申し上げている次第でございます。
  84. 櫻井充

    櫻井充君 国際法上、軍隊として認められますと。憲法の制限があって、要するに国際法上は、じゃ、もう一度確認しますが、国際法上は自衛隊は軍隊の一部だと。要するに、いろんな軍隊ということ、いろんな種類があるので、そこの中の一つの形態として国際法上も軍隊であるという認識でよろしいんですか。
  85. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) 国際法上は自衛隊は軍隊であるというふうに観念しております。
  86. 櫻井充

    櫻井充君 要するに、もう一度、もう一度ですよ、全体像、いろんな種類の軍隊がある中の一つの形態としての軍隊だと国際法上は認められるということですね。
  87. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) 国際法上はそのとおりでございますが、例えば国際法上の軍隊、通常、例えば交戦権というようなものを持っているということが通常の観念でございますけれども、憲法九条で交戦権を禁止をするというようなことも書いてあるわけでございまして、国際法上の軍隊が通常持っている権能の一部を、憲法によって自律的にと申しますか、自主的に制限を加えているというところがあるということであろうかと思います。
  88. 櫻井充

    櫻井充君 そうしますと、日本国民には自衛隊は軍隊ではないと、こう言っているわけですね、常々。ところが、国際社会に出ていった場合には自衛隊は軍隊ですと、そういうふうに言うことになるわけですね。
  89. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) 私が技術的な観点から御答弁を申し上げることが適切なことかどうかと思いますけれども、今までの繰り返しになって恐縮でございますが、国際法的には自衛隊は軍隊の地位を有しておると。しかし、憲法により、通常であれば軍隊に認められる権能の一部は制限を加えられているということであろうかと思います。
  90. 櫻井充

    櫻井充君 私はそういうことを聞いておりません。  日本国民に対しては自衛隊は軍隊ではないと。しかし、世界の人たちに、行くとこれは軍隊なんだという説明をされるわけですね。
  91. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 一応セルフディフェンスフォーシズと呼んでいるから、アーミーとは呼んでいないんじゃないですかね。
  92. 櫻井充

    櫻井充君 大臣、ここはすごく大事なところでして、第三条約そのもの自体は軍人が捕虜になった際に守られるという条約ですよね。ですから、私がこんなしつこく聞いているのは、自衛隊員がこの条約で守られるのかどうかということが一番の大きなポイントなんですよ。その観点からいうと、今の御答弁だとどちらになるんですか。
  93. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 自衛隊が国際法上軍隊として観念されるとしましても、先ほどの憲法の制約がございますから、海外に出掛けていった場合でもその制約が付いて回るわけでありまして、したがいまして、武力の行使が必要最小限度を超えてはできないことになっておりますから、そういう意味では、外国に行ったときもその制約を伴っております。だから、そういうようなときでない場合で捕まった場合には、これは一般の、捕虜としてではなくて、民間人と同じ扱いになってしまう。  そういう意味では、このジュネーブ条約で、イラクに例えばおる自衛隊員が捕まった場合に守られるかというと、それは守られないんじゃないかというふうに私は覚悟しております。
  94. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) 僣越でございますが、委員の御質問の前提として、このジュネーブ第三条約上の捕虜の待遇を受けるということは、非常に特権的なと申しますか、非常に厚い待遇を受けるということであって、その捕虜の待遇を受けないと保護というのがないという、又はそれに不足をするという前提での御質問であるかに感じるわけではございますが。  元々、この捕虜の待遇と申しますのは、捕虜と申しますのは戦闘員でございますので、ほっておけば自分たちを殺傷するかもしれないと、こういう危険な軍人であるわけでございます。そういう自分たちを殺すような危険な存在であっても、手を上げて投降をしたからには一定の最低限の保障は与えなければならないというのがジュネーブ第三条約の基本的な構造でございまして、他方、自衛隊員がPKO等、日本の国会の議決をいただきました法律に基づいてその関連の協力業務を行っているという場合には、これは、先ほどから防衛大臣が繰り返し御答弁になっておりますように、国際的な武力紛争の一環として参加をするわけでございますので、この捕虜となるということは想定をされないと。ただ、じゃ誘拐をされるとか拉致をされるというような危険がないのかと申しますと、もちろん危険があるわけでございます。その拉致をされたような事態において捕虜としての待遇を受けるかというと、そうではないと。  しかし、そうすると、捕虜としての待遇を受けなければもうどんな扱いをしてもいいのかということになりますと、むしろ逆でございまして、もしかすると自分たちを殺傷するかもしれないというような危険な戦闘員でない外国人を拉致をするというわけでございますから、当然のことながら、普遍的に認められている人権に関する国際法上の基準というものを守らなければならないわけでございまして、今の御質問の前提がちょっと私、理解できないところがあるわけでございます。
  95. 櫻井充

    櫻井充君 理解しない人が、前提が理解できないということであれば、答弁していただく必要性は僕は全くありません。私が問題視しているのは、何回も申し上げますが、自衛隊員の方々が海外に行かれて身柄を拘束された際にどうなるのかということだけです、私は。私の前提はそこに置いております。  ですから、もうこんな詭弁やめた方がいいと思っているんですよ。もう防衛庁から防衛省になったわけであって、海外任務が本来の任務となったんであったとすれば、もう一度整理されたらどうなんでしょうか。そうしないと、これ自衛隊の方々、僕は本当に気の毒だと思いますね。  これ、また想定されないと言われるかもしれませんけれども、もし本当に自衛隊の方が捕虜になったことを想定した場合には、これは我が国として、もうジュネーブ第三条約には関係ないんだと、そういう立場を、もう一度お伺いしますが、取られるんですね。
  96. 田浦直

    委員長田浦直君) 小松局長
  97. 櫻井充

    櫻井充君 いや、いいです。大臣にお願いをしたい。もういいです、あの方は、前提が違いますから。
  98. 田浦直

    委員長田浦直君) じゃ、久間大臣
  99. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは、残念ながら捕虜としての扱いにはならないと思います、それは、理論上ですね。要するに、武力紛争当事国ではないということで行っているわけでありまして、ただ、安全を確保するために武器の使用は認めておりますけれども、要するに武力行使はしてないわけでありますから、当事者じゃありませんから、したがって捕虜にはならない。日本自衛隊が捕虜になる場合は武力行使をする場合。例えば、武力攻撃をされまして日本国の周辺で紛争になったときには、それはもう、実力行使といいますか、武力行使をやっているわけですから、軍隊としてのそういう性格が表に出てくるわけですから、国際法上の、それは捕虜になりますけれども、海外に行っているときは、残念ながら捕虜としての扱いにはならないというふうに私は理解しております。
  100. 櫻井充

    櫻井充君 これはもう一度お伺いしておきますが、想定していないということなんですか。それとも、何らかの形で、どういう形でもいいから、まあとにかく紛争当事国に連れていかれて、仮に紛争当事国に連れていかれてそこで監禁されるとか収容されるとか、そういうことがあったとしても、それは第三条約の適用にならないということなんですね。  大臣にお願いします。
  101. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 武力行使の当事者でないわけでありますから、当事者でないそういう組織の一員でありますから、そういうようなことでそれは無理だと思います。
  102. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、もう一つ先ほど、国内に例えば侵略者が来て、そこで紛争が起こったと、その際にはそうすると第三条約の適用になるということなんですか。
  103. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それはもう武力攻撃を受けている場合は当然私はなり得ると思います、こちらが捕まった場合はですね。また、捕まえた場合も、相手に対してそういうふうになると思います。
  104. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、自衛隊員が何らかの形で攻撃を受けて、そしてその上で拉致されるような、拉致とか収容されるような、そこのところで、これは自衛権ありますから、海外に行った際に自衛権を発動し、それで交戦した際、その場合はどうなるんですか。
  105. 久間章生

    国務大臣久間章生君) その場合も、武力の行使ではなくて自分の身を守るための武器の使用をしているという、そういうような整理の仕方を従来してまいりました。
  106. 櫻井充

    櫻井充君 よく分かりました。  それでは、もう一つ伺いしておきたいことがあります。それは何かというと、今度は、ちょっとここの問題から離れてですが、今、日本は、イラクの大量破壊兵器、イラクに開戦当時大量破壊兵器があったという認識なんでしょうか。なかったという認識に変わったんでしょうか。
  107. 奥田紀宏

    政府参考人(奥田紀宏君) 現在、我が国がイラクに大量破壊兵器がないと、こういうふうに考えているのかということでございますけれども、我々として、米国等において出された累次の報告書というものを踏まえた場合には、イラクに大量破壊兵器が存在しないことはほぼ確実になったと判断されるということは、これまでも国会答弁で述べてきたところであります。
  108. 櫻井充

    櫻井充君 これは、そうすると、開戦時とは認識が変わったんですか。
  109. 奥田紀宏

    政府参考人(奥田紀宏君) 開戦時において日本としてこの大量破壊兵器があるということを断言したということはないと承知しておりますけれども、当時の、これまでもいろんなところで御答弁しているかと思いますけれども、二〇〇二年の終わりから二〇〇三年の初めにかけてのことであると思いますけれども、その当時、我々としては、その前、一九九〇年、九一年からこちらのイラクにおける状況の中で、サダム・フセイン政権が化学兵器を例えばイラク人であるクルド人に使用して多数の人を殺したというようなことがあるとか、それから累次のIAEAの検査員がイラクに対していろいろな情報提供を求めてきたわけでありますけれども、それについて完全にこたえていないというふうなことがありましたものですから、我々としてはイラクに大量破壊兵器があるかもしれないという前提で考えていた、それはそういうふうに考える理由があったんだというふうに考えております。この点は今までも累次御答弁を申し上げているところだと思います。
  110. 櫻井充

    櫻井充君 済みません、ちょっと、ですから整理していただきたいんですが、日本の立場は、要するにアメリカやイギリスはもう明確に態度を変えているわけですよね、あの当時と違うと。日本政府としては、開戦時とそれから現在との認識というのは変わったんですか。
  111. 奥田紀宏

    政府参考人(奥田紀宏君) 当時はしたがってイラクに大量破壊兵器があると想定をするに足る理由があったと日本考えていたわけですから、最近はいろいろな報告を踏まえて、ほぼ存在しないということが確実になったと、こういうふうに認識しているわけですから、そういう意味において変わったということだと思います。
  112. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、これはもう前のことについてとやかく言うつもりはありませんが、そうすると、日本の情報収集能力っていかがなものなのかと。つまり、イラクに対して開戦の際に支持するわけですが、そうすると、その際に、今御答弁あったように、大量破壊兵器があるかもしれないから査察を受け入れなかったと、そのことが問題だからアメリカの武力による解決を支持したということになってくると、どういう情報を得て、どういう日本がまず情報能力、情報収集能力と言った方がいいのかもしれない、それを持ち得ていて、どういう判断をされたのか、そこを教えていただけますか。
  113. 奥田紀宏

    政府参考人(奥田紀宏君) 済みません、私の知っている限り申し上げますが、実際に当時現場で大量破壊兵器、すなわち核兵器、生物兵器、化学兵器ということでありますけれども、それらを日本として直接にその存在を知る手だてというものはなかったということであります。  したがって、日本としては、国連でありますとかそういう情報を見て、ないしはもらって、それでその判断をしていたということだというふうに思います。
  114. 櫻井充

    櫻井充君 日本の外交交渉を見ていると、少なくとも僕はアメリカとの関係を見ていると、ここ何年間かほとんど押されっ放しで、対日要望書によってどんどんどんどんこの国の根幹が変えられていっている。しかし、その交渉事を見ていると、情報の収集能力が決定的に違うんじゃないのかなと、そういう感じがしています。  その点でいうと、日本はもう少しいろんな分野においての情報収集能力を高めていく必要性があると私は感じているんですが、これは塩崎官房長官でしょうか、それとも麻生大臣でしょうか、どちらか御答弁いただきたいと思いますが。
  115. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 情報収集能力というものの中には、例えばCIA、MI6、いろいろあろうかと思いますが、そういう情報収集能力、そういったものを今、日本政府に期待をし得るべきだという御意見をおっしゃりたいんでしょうか。ちょっと意味がよく、意図がよく分かりませんので。
  116. 櫻井充

    櫻井充君 じゃ、逆にお伺いしたいと思いますが、外交交渉をしていく上において、相手がどのように考えているかを知っているかどうかによって交渉事というのは全く違ってくるんだと思うんですね。簡単に言えば、トランプのカードゲームで、こちら側が全部オープンにしてやって、向こう側はカードを隠してやっていたら、これはもう大体ほとんど勝負になりませんから。ですから、そういう点でいったときに、日本の交渉事を見ている際に、果たしてどこまで相手国のことが分かっていて交渉ができているんだろうか、そういう観点も含めてです。
  117. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ケースによってそれぞれ違うと思いますが、少なくとも交渉をするときにおいて、今、北朝鮮相手に交渉をするときにどれだけ情報があるであろうかと言われたら、私どもとして持っている情報は極めて限られておると思っております。
  118. 櫻井充

    櫻井充君 つまり、そういうことで本当にこれから様々な外交交渉を乗り切っていけるとお考えなんでしょうか。
  119. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 与えられた条件の中で精一杯やる以外にほかに方法はありません。少なくとも北朝鮮に関して言わせていただければ、そういうことになろうと存じます。
  120. 櫻井充

    櫻井充君 与えられた条件というのを今おっしゃいましたが、その与えられた条件だけではなくて、自分たちからそういったものを広げていくというんでしょうか、そういうことも必要なんではないのかなと。つまり、いろんな交渉事の中で、何回も申し上げますが、僕は不平等条約を相当結ばされているような気がしてならないんですね。ですから、その点でいうと、もう少し情報収集能力があった方がきちんとした外交交渉ができるんじゃないのかなと、私はそう感じているんですが、その点についていかがですか。
  121. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 一般的に情報をどれだけ正確にたくさん持っているかということが交渉に有利に働くことはもう先生御指摘のとおりだと思います。  我が国の政府における情報収集能力については、安倍総理が最初からその収集能力、そして分析能力を高めるべきだということで、今、私の下にこの情報収集能力の機能強化についての勉強会をつくっておりまして、中間的な報告をもう既にお出しをしております。  引き続いて検討を続けるところでございますけれども、特に対外的な情報収集能力の体制の在り方などについては、まだ政府部内でも様々な意見があって、現在、外務省防衛省、それから公安調査庁等々いろいろなところで情報収集をやっているわけでありますし、その手段は、当然のことながら、人的なものあるいは衛星、そしてまた電波情報等々いろいろあって、そういうものを駆使していかなければいけないことはもう当然のことだと思います。  その強化は、先生のおっしゃるとおり、これを我々としても強化をし、そして分析能力を高めていくということで既に幾つか具体的な提案をさせていただいておりますけれども、さらに、これを組織としても、どういう形で一番よく機能する形を取るべきなのかということを含めて今鋭意検討を重ねているところでございますので、先生の問題意識を持ちながら私どもとして情報収集能力、分析能力の強化を図っていきたいと、このように考えております。
  122. 櫻井充

    櫻井充君 よろしくお願いしたいと思います。  これは、先ほどからの話の中で、安全を確保する際の、上での情報であるとか様々な点があるので、そこは是非強化していただきたいなと、そう思います。  それで、済みません、ちょっと時間がないので、あと一、二点質問させていただきたいと思いますが、今、もう一度ちょっとイラクの問題に戻りますが、自衛隊の方々が活動する際に、今の警察と同じようにポジティブリストで活動しなければいけないと。  私、イラクから帰ってこられた自衛隊の方とお話をさせていただいたこともありますし、苦竹の自衛隊に実際に行って話も聞いてまいりました。そうすると、例えばほかの国の軍人の方がけがをされていても、自衛隊の任務の中にそれが入っていないとそこで助けることすらできないと。それをやってしまうと、国内に帰ってきた際にどういう言い訳をしようかと、もうそのことを考えながら帰ってくるんだというお話をいただきました。  そうすると、やはりこういったことを考えてくると、今やもうポジティブリストではなくてネガティブリストに変えないとやっていけないんじゃないのかなと、そう感じているんですが、いかがでしょうか。
  123. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは、そういう議論が結構あります。  しかしながら、この武器の使用等についても、私はずっと従来から、最初はもう個人の判断でやるというのを上官の命によってやるというふうに変えていった。その当時から法案にタッチしましたので、その当時もかなりのやっぱり、何といいますか、精力を使ったという思いがいたしますから、ポジティブリストからネガティブリストに果たして変えるのに、そこまで今国内の世論が高まってきているかなという問題がございまして、今おっしゃるような意味は私自身も問題意識としては持っておりますけれども、まだまだ機が熟していない、もう少し議論を待つ必要があるんじゃないかなと思っております。
  124. 櫻井充

    櫻井充君 それから、これはポジティブリストからネガティブリストにもし仮に変えた際に、憲法九条というのは、これは改正しなきゃいけなくなるんですか。
  125. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今、いろいろな憲法の問題についても、憲法上禁じておる集団的自衛権のその範囲に入るのか入らないのか、そういう議論を有識者懇でやってもらっておりますけれども、私は、必ずしも憲法九条を変えなくても、あるいは九条の解釈の中でもポジティブからネガティブに変えることは技術的には不可能じゃないと思っているんです。  しかしながら、かなりやっぱり議論が、そうだそうだという、みんなが納得するような雰囲気がならないと、今までそれでずっと来ておりますから、それを変えるには結構抵抗が強いんじゃないかなと。  とにかく、上官の命によって撃っていいと、その方が混乱がなくてかえってそれが非常に効果的なんだと、身の安全を守るためにもその方がいいんだということを変えようとしましたときでも結構なやっぱり反対が強かったわけでありますから、そういうやつを何回か乗り越えてきておりますので、今はもう管理の下に入った者まで一応対応してもらうことになりましたけれども、あのときだってもう少し広げていいじゃないかという議論が結構ありましたが、あれもああいう形で制限をしてやっと法案が通ったという、当事者だったものですから、そういうような認識が非常に強うございます。
  126. 櫻井充

    櫻井充君 これは、今の御答弁の中で、まず憲法を変えなくても何とかなるんじゃないかと。そうすると、今もう一つおっしゃっていましたが、解釈という言葉がございましたが、これは、解釈はある程度変えないといけないということになるんですか。
  127. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 解釈を変えなくても場合によっては、要するにそういうような警察行為としての延長線としてやれるんじゃないかというような、そういうような考え方もあるわけであります。  要するに、自分の同僚といいますか、同じチームではないけれども第三者であるのが、それが傷付いているときに、それを救うこと自体が一個人として許されないのか許されるのか、正当防衛と同じような考え方で警察行為としてある程度できるんじゃないかとか、その辺は、だからみんながそれはできるというふうに思ってくれば解釈上はそんなに変えなくても可能だし、だからそこのところは、そこまで今させなくていいじゃないかという現在のポジティブリストが、この方が政策的にいいとなっておればこれでいくわけですから、その辺はもう少しみんなの議論を待つ必要があるんじゃないかなと思っているわけです。
  128. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、もう一つ憲法のことについて塩崎官房長官にお伺いしておきたいと思いますが、例えば今の久間大臣からの御答弁からすると、集団的自衛権そのもの自体の解釈も変えないで何とかなるんじゃないかというようなお話がございました。  従来内閣がずっと言ってきた憲法に対しての解釈を今、安倍内閣の中で変えようとしてきているという、そのことは私は極めて大きな問題だと思っておりまして、そのことをもし安倍内閣で実現するということになると、これまでの内閣の答弁、これは憲法に限らずですが、様々な問題において国会の答弁そのもの自体が形骸化するんではないかと。  例えば、法律の解釈権というのは、それは提出したそこの所管省庁にあるわけであって、その解釈権について我々は尋ねていて、そこで答弁をいただいているから、こういう内容なんですねということでずっとやってきていると。その点から考えてくると、今その解釈を変えようとしているというその内閣の姿には私は大きな問題があるのではないのかなと、そう思いますが、これは塩崎官房長官と、それから内閣法制局から御答弁いただきたいと思います。
  129. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 先生御指摘の件は、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会について御指摘をされているんだろうと思います。  これは、総理が、日本をめぐる安全保障環境が大きく変わってきていると、その中で時代状況に適合した実効性のある安全保障の法的基盤を再構築する必要があるんじゃないかと、こういう問題意識で個別類型に即して集団的自衛権の問題を含めた憲法との関係の整理などについて研究を行うために、先般第一回目の会合が五月十八日に開催されましたが、行われたところでございます。  その中で、いろいろ問題意識を総理が冒頭自らの言葉で申し上げました。すなわち、どこまでの範囲を議論するのかということが余りにも何か憲法解釈変更最初からありきみたいなふうに取られるのもいかがなものかということで、まだこの議論が始まったばっかりで結論がどうなるかということはまだ申し上げられるような段階では全くないわけでありますし、冒頭の総理から申し上げた中にも、例えば、新たな時代状況を踏まえた新たな安全保障政策を構築するに当たって、新しい時代の日本が何を行い何を行わないのか、つまり何を行い何を行わないのか、それから明確な歯止めを国民の皆さんにお示しすることが重要だと考えています、また、これまでの政府の見解についても念頭に置いていただきたいということをこの有識者の皆さんに最初お話をしています。  ということは、今先生がおっしゃったように、この長い間の積み上げで憲法解釈というのがあって、国会答弁などで度重なって御説明を申し上げてきた政府の解釈というものがあります。これを踏まえた上で議論をしてくださいねということを有識者の皆さん方にお願いするとともに、何をするかとともに何はしないのかということもはっきりしなければいけない。  ただ、大事なことは、新しい安全保障状況の中で日本が自らの国を守り、特に日米同盟を基本とする日本の安全保障政策の中で何をどういうふうにやっていく際の法的基盤はどうあるべきなのかということを研究してくださいというマンデートを有識者の皆さん方に総理自らの言葉で与えたということでございますので、先生御指摘のように、これまでの積み上げを全く無視した形で何か議論してくれということをやっているわけでは全くないということでございます。
  130. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) 私どもの方から、法令解釈の一般論でございますが、ちょっと申し上げたいと思います。  憲法を始めとする法令の解釈、これは当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また議論の積み重ねのあるものにつきましては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものでございまして、政府による憲法の解釈はこのような考え方に基づいてそれぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものでございます。したがいまして、その取扱いについては、これは慎重でなければならないというふうに承知しております。
  131. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  そういう前提に立って議論をされるのであればそれはそれで有意義なことだと思いますが、どうも報道を見ていると、がらりと変え、がらりとと言うと、極端にまでは変えないんでしょうが、そういう印象を受けていたので、その点については御留意、御注意いただきたいなと、そう思います。  それから、僕は外交のことをよく分からないので、どういう経緯でいろんなことが決められていくのかということを知りたいと思って外務省に資料要求すると、外務省、なかなか外交上の機密といって出してくれません。情報が先ほどの話ですと限られている中で、更に我々国会議員に出てくる情報というのがすごく限られてきております。  例えば、日米林産物協議の中で建築基準法の改正をということを日本政府は実は約束させられていたのが一九九〇年でございまして、もう九八年に建築基準法の改正が行われましたが、その前に、もう九〇年の段階でアメリカと半ば約束させられているわけです。僕はこれ、去年の予算委員会で取り上げようと思って、三月の十三日に外務省の連絡室の方に林産物協議の合意内容について提出してほしいとお願いしたところ、出てまいりませんでした。ところが、アメリカ政府のホームページのところに行くと、その合意内容がもう掲載されているんですね。つまり、外務省に尋ねなくても、もうそういったものが簡単に入手できるにもかかわらず、外務省は出してきてくれないんですよ。今回そういうことを言って全部出せと言ったら、全部出てきたんです。つまり、物すごくいい加減なんですよ、物すごく。  どういう基準をもって我々にその情報を提供しているのか、その基準だけ最後に教えていただけますか。
  132. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 細目言いますが、今言われたのを、具体的な例を言いますと、櫻井先生の言われたのは平成十八年三月十三日の話ですね、この話は。
  133. 櫻井充

    櫻井充君 そうです。
  134. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) そのときの時間を見ますと、十時十五分に請求をしておられる。提出しろと言ったのはその当日の十四時になっておりますね。時間はそう書いてあります。十四時までに返事をしろと。出されたのは十時。しかも、この資料はかなり、十年前の資料であります。したがって、今のは、そのときの答弁はそうなったんだと思います。  今度は全部出てきたと言われますが、今回は五月三十一日十九時二十五分受け付けてあります。そして、出しましたのは、提出期限は翌日の正午までということになっておりますので、ある程度、これは大体質問は三日前に出されるというのが国会、国対のルールになっておるはずなんですが、こういった二時間で出せとか三時間で出せと十年前のやつを出されてどうのこうのと言われたら、これは役人としてもなかなか対応はできにくいということだと思いますので。  細目のルールにつきましては……
  135. 櫻井充

    櫻井充君 済みません、じゃ、その点について申し上げておきますが、これは最終的に文書で出しましたが、その前に電話でお願いしております。これ、最終通告でございます。  それから、この間ほかの部分で出してほしいとお願いした際には、まず何と言われたかというと、資料がない、それから出せない。まず出せない、資料がない、見付かるかもしれない、だんだん変わってくるんですよ。最後にこの間は全部まとめて御報告しますと言って委員会にちゃんと提出してくださいました。  ですから、かなりきつく言ったりとか、委員会でもうこうやってやるからあとは責任おまえら取れよと、そうはっきり言うと出てくるんですが、そうでなければこれは出てきていないということだけは、これは大臣、誤解のないように申し上げておきたいと思います。  その上で、あと、もうちょっと時間がないので、ルールは後で私の部屋に来て説明していただければ結構です。  最後に一言だけ申し上げますが、自衛隊の方々が海外で一生懸命頑張っておられる中で、我々がやるべきことは、自衛隊の方々の能力を十分に発揮していただける環境をつくることと、それから自衛隊の方々が安全に活動できること、そのことなんだろうと、そういうふうに思っております。そういう意味でいうと、いろんな条約がある中で、余り詭弁を弄して、これがどうだとか、そういうことを言わずに、もう少しきちんと御検討いただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  136. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 民主党の犬塚でございます。  今日は民軍連携を中心に質問をしたいと思いまして、資料も用意してまいりました。今、お手元にもその関係、民軍連携の話の資料を今お配りしている最中でございますが。  本題に入る前に、まず、実は今日私もこれをいただいたんですけれども、ニューヨーク・タイムズの記事で、今日の話に大変関係があるところなんですけれども米軍の新しい調査、アメリカの調査で、五月にでき上がった調査によると、バグダッド周辺の四百五十七地域のうち、市民とか住民の安全を確保できる、あるいは米軍とか、あるいは国際的に協力をする武力集団による影響力を行使できる、物理的な影響力を行使できるという地域バグダッド周辺に百四十六しかないということを、これはだれが言っているかというと、ジャーナリストが言っているということではなくて、バグダッド担当の米軍のスコット、これ何と読むんでしょうか、ブレーベルさんと読むんでしょうか、という方が軍人として、きちんとスポークスマンとしてこれを発表をしているという記事が今入ったわけなんですけれども、先月の資料ですから大臣はお持ちになっているかもしれませんが、まずこれを確認をさせていただきたいんですけれども。  先ほど来、自衛隊の方たちが刀の上で仕事をしているようだとか、いろいろなお話がありました。法律に従って武器の使用しかできないところに行っていると。そういうところにあって、こういう米軍でさえも非戦闘地域とは言えないようなところで活動しているという、まずこの記事については御存じだったでしょうか。大臣、お願いします。
  137. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、存じておりません。
  138. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 記事について今大臣御存じないということなので、もう少しこれ御説明をしますけれども、この地域の調査自体が、今までは新イラク戦略、一月に発表された新イラク政策に基づいて今までは軍事目的の破壊等々が目的であった。今度のこの調査、五月に終了した調査は、一体、市民を守るためあるいは住民を守るために軍事的あるいは物理的な影響力をどれぐらいの地域で行使できるのかと。イラク軍に治安維持の権限を移譲する前の調査ということだと思うんですね。  こういう正式な調査で、通告してないので申し訳ないんですけれども、今来たニュースですので、ニュースで、米軍自体が、軍事的な専門家である米軍自体が非戦闘地域が戦闘地域じゃないか分からないという状況の中で、防衛大臣、どういうふうにこのニュースをとらえられますか。
  139. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今先生がおっしゃっているそのリストの中にバグダッドの空港がもし入っているとするならば、それは非常に傾聴するといいますか、ゆゆしき問題でございますけれども、少なくともバグダッド空港につきましては、私は米軍がしっかりと安全を確保している戦闘地域でない地域だと思っておりますから自衛隊バグダッド空港で活動しているわけでございまして、その他の地域には自衛隊の特に航空自衛隊は出ておりませんので、私は、それはそれほど、今言われましても、そのリストの中に入っていないようでございますから、ほっとしているところであります。
  140. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今お話しした四百五十七というのはバグダッド地域の話でありまして、そのうちの百四十六しか安全の確保ができていないという調査結果なんですね。  自衛隊が、今空自がやっておりますのは、クウェートからタリル飛行場、そしてイラクバグダッド北部エルビルの両飛行場というところに今飛んでいるわけですね。これは、先ほど来、大臣お話でも、上昇、着陸の仕方にしても通常のやり方ではない、かなり神経を使っていると。非戦闘地域だとしても非常に危ないから、ぐるぐる回って降りたりとか、いろんなことをしておるというようなこと、そして参考人の方も、急降下、急上昇、防爆を取り付けているというようなことまで言われたと。  その上で、この米軍によるバグダッド地域で百四十六か所しか、四百五十七か所のうち百四十六か所しか安全確認できていないというような報告が出てきたわけですよね。特措法によるこの第二条の第三項、自衛隊が行う対応措置については、これ、私読みますけど、我が国領域及び現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域ということをはっきりここで言っているわけですよね。  これは、もうそろそろ、米軍でさえもこういうことを確定できないと言っているんですから、大臣、これはもう撤退させるべきじゃないでしょうか。
  141. 久間章生

    国務大臣久間章生君) バグダッド空港が今御指摘されたようなそういう地域になるならば、それは撤退させなきゃなりませんけれども、今のところ、バグダッド空港あるいはエルビルそしてアリ、そういったところについては戦闘地域でない、そして活動ができる地域として報告を受けておりますから、まだその段階には至っていないと思っております。
  142. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 大臣は、空港は大丈夫だと報告を受けていると今おっしゃいましたけど、米軍バグダッドのうちもう三分の一ぐらいしか安全確認できていないと。どうしてこの安全確認をできているところに空港が入っているというふうに大臣は理解をされるんですか。
  143. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、それは、バグダッド空港についてはそういうふうに管理がされておるわけでありますから、逆に言いますと百何十か所は確保できているんだろうと思いますからバグダッド空港以外だってあるんだろうと思いますけれども、少なくとも航空自衛隊活動しておりますのはバグダッド空港でございまして、そのバグダッド空港はそういう点では大丈夫だというふうに認識をしているわけであります。
  144. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 いや、大臣、私の質問は、米軍バグダッド地域において安全確保をできるとしっかり言える地域は三分の一ぐらいしかないんですよ。四百五十七分の百四十六しかないんです。どうして大臣バグダッドの空港が百四十六に入るというふうに理解ができるのか、そこを伺っているんです。
  145. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは現実の認識の違いじゃないかと思いますけれども、危険がゼロかといいますと、それはないわけでありますから、危険性はあるけれども活動することはできる地域として、安全がほかの地域と比べて、無秩序のところと違って空港は確保されているというふうなことでございますから、絶えずそれで連絡を取り合っているわけでありまして、そんなふうな、今おっしゃったように、バグダッド市内全部がそうじゃなくて、バグダッド市内の中で空港はまあ比較的治安はいいというふうなことだと思います。  ただ、外からロケット弾その他が発射されることはあるわけですから、もう本当に全然ゼロかというと、そういうことはないわけでありまして、やっぱり用心はしなければなりませんけれども、空港では活躍がまだできておるという、そういう地域だと認識しております。
  146. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 いや、大臣、伺っているのは、米軍と連絡を取り合っているとおっしゃっていますから……
  147. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、自衛隊
  148. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 自衛隊がですね。
  149. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 自衛隊と取り合っております、こちらで。
  150. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 自衛隊と連絡を取り合っている。  どうして米軍が指定した百四十六という安全だと言われる地域の中に空港が入ると大臣は理解できるのかというのを聞いているんです。
  151. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは、米軍が百四十六は安全だと言っているわけですからね。だから、米軍が言っているからというわけじゃなくて、そこにおります自衛隊その他と連絡取り合っても、大丈夫だと言っているから。本当に危ないと判断したら、米軍が何と言おうと、自衛隊のみんながこれは危ないと言ったら、私たちだってそれは考えますよ。  だから、先生がおっしゃるから、ここは危ないからおまえ帰れと言われても、はいそうですかというわけにはいかないのと一緒でありまして、我々は自衛隊の意見等も聞きながら、そしてまた現地の状況を把握しながら、まだ戦闘地域でないと判断しているから、法律に基づいてやっぱり行かされているわけですから、その職務をきちっとやっているわけでありまして、法律上これは危ない、ここの地域はもう撤退すべきであるという、そういう地域になったら、むしろなぜ撤退しないかという話になろうかと思います。
  152. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 大臣、私は、自衛隊がどうやって判断するかという質問しているんじゃなくて、どうしてこの五月に出たレポートの中の百四十六の安全と言われる地域バグダッドの空港が入っていると大臣が判断できるかということを聞いているんです。
  153. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それはまあ、しかも昨日か今日取られたばかりですから、私どももまた聞いてみますけれども、その百四十六に入っているか入っていないか、物は見ていないから分かりませんが、少なくとも現在の状況で認識するならば、百四十六の中でも非常に安全な方に入っているんじゃないかなと類推はできますね。ということは、そこで、空港内で活動しているわけですから。
  154. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 まだ分からないんですけれどもね。是非分かるように御説明いただきたいんですが。自衛隊にとってはもう身の危険があることですから、米軍が五月に出した、しかも国として調べた資料の中に、バグダッド空港が安全かあるいは安全でないかというふうに区分けされているかどうかというのは大変な情報だと思うんですね。そういう情報の中にバグダッド地域が、この空港地域が入っているかないかということを大臣が認識されていないというのは、情報が上がってきてないということなんでしょうか。
  155. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そこが危険地域だと、百四十六でないほかの地域に入っていると、そういう報告があったんならば、これは慌てなきゃなりませんよ。そうでなければ、ここは危ない地域だというふうに言うならば、こちらに連絡もありますし、自衛隊もそこにおるわけですから。そして、ここは大丈夫ということで毎日飛んでいるわけですから。  そういうような状況の中で、今言われたそれを見て撤退すべきであるという決断を下すほど、そんなことは許されないと思いますよ、この法律に基づいて行っているわけでありますから。一定の要件に従った場合には撤退をすべきと、そういう決断はしますけれども、そうでない限りは、行政官として法律に基づいて行きなさいという、そういう閣議決定されて、基本計画を作って、実施要綱を作っているわけでありますから、そういう情報があったから、はい帰れと、そう簡単に言えないわけでしょう。  だから、その情報の真偽について確かめますけれども、百四十六か所の安全な地域があるともし米軍が言っているならば、安全地域の中にその空港は入っているんじゃないかと思われますということを言っているわけであります。
  156. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 御指摘のレポートにつきましては、恐縮でございます、不勉強で承知をしておりませんが、我々運航に当たっては、当然米側と情報交換をいたします。多国籍軍ともいたしますし、自衛隊独自でも情報の収集をしておりますが、少なくともその情報に関する限り、最近バグダッド空港が非常に危険度が上がっているということは全く聞いておりません。
  157. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それでは、この資料を差し上げますので、是非、大臣冒頭に言われたように、本当にこの調査によってバグダッド空港が危ないということがこれできっかけとして分かって、よく追求をしてみたら本当に危ないんだということになったら、是非大臣の権限で撤退をさせていただきたいということを申し上げます。  それでは本題に……
  158. 田浦直

    委員長田浦直君) いいですか。
  159. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それじゃ、お昼になりました。
  160. 田浦直

    委員長田浦直君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時開会
  161. 田浦直

    委員長田浦直君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、櫻井充君が委員辞任され、その補欠として榛葉賀津也君が選任されました。     ─────────────
  162. 田浦直

    委員長田浦直君) 休憩前に引き続き、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  163. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 民主党の犬塚です。  特措法の附則二条に、「対応措置を実施する必要がないと認められるに至ったときは、速やかに廃止するものとする。」と書いてあるんですが、撤退の時期について、出口戦略について委員会でも何度も論議されていますが、その答えがいつもイラクの政治情勢治安情勢復興状況、多国籍軍の動向などを勘案して判断すべきものという回答をいただくんですけれども、具体的にどのような指標というかベンチマークというのを今のところお考えなのか、具体的なところを官房長官と外務大臣伺います。
  164. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 先生今御指摘のように、この質問は幾度となく繰り返されて、こちらの方からはいつも、今御指摘の、イラクの政治状況、それから現地の治安状況、それから国連及び多国籍軍活動や構成の変化などなど諸情勢を総合的に判断すると、こういうふうに言うとともにイラク復興の進展具合を考慮に入れながら決めていくんだと、こういうことで申し上げているわけでございます。  具体性がないじゃないかというお話でございますけど、事は国の状況がどうなっているかによってこちらも支援をどういうふうにするのかということを決めるわけでありますから、何というか、数値目標あるいは数値基準的なもので決められるものでもないわけでございます。  したがって、イラク国民によるイラク国家建設のための自主的な努力をこれ支援促進しようという国際社会の取組というのがあって、我が国が主体的かつ積極的に寄与するという、そういう目的で自衛隊、空自に今行っていただいているわけでありますし、それに関しては必ずしも、継続することが必ずしも必要でなくなったと判断するような場合には、これはやはり対応措置を終了するということになるわけでありますが、具体性がもっとあった方がいいんではないのかということであれば、やはりその時々の状況を踏まえて個別具体的な判断が必要であって、やはり一概には申し上げられませんけれども国連や多国籍軍イラクにおける活動を継続していても、イラク特措法の目的を達していく上で空自の支援を継続することが今申し上げたように必要でなくなったと判断できる場合には終了いたすわけでございますが、具体的な状況を、先を予測するというようなことはなかなかできないわけでありますけど、例えばということであえて申し上げれば、この国連活動についてイラク治安状況が今のように非常に緊迫した状況バグダッドで続いておりますけれども、これが大きく改善をして安定をすると、そして軍隊ではなくて多国籍軍ではなくて文民である国連職員、これがイラク国内を陸路や商用機で安全にかつ常時滞りなく移動できるというようなことになれば、これは一つの見方として終了の時期を考えるときかなというふうに考えられるんだろうと思うんです。  御案内のように、今国連の職員は内規によってイラクの国内を移動するときには商用機は使わないようにということになっております。ですから、例えばこういうものがそういう制限がなくなるということは安全になったあかしとも言えるわけでありますから、そういうようなことも一つの具体的なサインとして考慮に入れるべきことなのかなというふうに考えるところでございます。しかし、やはりトータルで考えるのが一番大事であって、何か一つだけの基準で決められるようなことではないんじゃないかなというふうに思います。
  165. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には今官房長官が言われたところが基本なんだと思いますんで、これは今数値的に、だから数字を挙げて何日までにとかどういう状況になったらというようなことを定量的に申し上げるというのはなかなか難しいんじゃないでしょうか。
  166. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 大変大事なことだと思うんですけど、まあ鶏が先か卵が先かという話になると思うんですけど、今おっしゃった商用機の運航ができるようになるとか、あるいは滞りなく一般の人が道を歩けるようになると、そのためにどうしたらいいかというと、やっぱり軍事的な安全確保というのもあるんでしょうけど、同時に貧困の対策だとかいろんなことがあると思うんですね。  特に、官房長官、昨年の十二月の委員会答弁で、イラク復興支援について、自衛隊活動はもちろんだが、それ以外にも、NGOを含めて、連携をしながら、ODAを出していくということを通じてイラク復興に貢献をしていくと、幅広い政策を取ってきているという答弁をされているんですね。ODAも一つのツールだと思うんですけど、ODAもやっぱり同じようにいかに早く出すかということをJICAの方でも一生懸命やっておられると。しかし、現地の様子がよく分からない、どうしようかというようなジレンマといいますか、いうところに陥っていると理解しているんです。  そこで、今日は、米国の国家安全保障委員会の報告書、これに基づいて少し質問をさせていただきたいんですが、お手元に配りました二枚目の資料ですね。これは単にこの報告書を一部取って訳しただけの話なんですけれども、最も大事な戦術的な転換というところで、御存じのように、兵員を五旅団バグダッドに投入するというところはまずあるんですけれども、それ以外のところは文民による対応にどうも大きくシフトをして、十一月までに一つの結果を出そうというような戦略がここに出ているわけですね。  例えば、これは二番目、PRTの、プロビンシャル・リコンストラクション・チームですか、民軍連携のユニット、その文民の要員を倍増すると。その下にあるのが、文民による司令官緊急対応プログラム、これは後でまたこの件は質問しますけど、要は草の根無償みたいなもので、二万ドル以下の資金を、現地で司令官がここ必要だなというときに、しかも文民である司令官がそれを現地で使えるようなものをこれからやっていこうじゃないかと。あるいは、最後のイラク要員派遣を行う文民機関に対する補償を議会に申請をしていると。つまり、どう見ても、先ほどの話でいくと、要するに自分たちが出ていった後の文民による、ドンパチの後のところにだんだん比重がシフトしてきているのかなというふうに取れるわけなんですけど。  官房長官にもう一回伺いますけれども、今我が国の平和貢献についての一般法を検討中と、こう聞いているんですけれども、民軍連携、ここに出ているような民軍連携という形での自衛隊の平和協力活動は現在どんな検討が行われているんでしょうか。
  167. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今、一般法の御質問がございました。これはまだ検討過程でございますので、確たることを申し上げられるようなことはございませんけれども、今まで特措法でそれぞれ対応してきたのを一般的な法律でもって今後の国際貢献を律するような法律ができないかと、こういう考え方で今検討を進めているところでございますが、今お話がございました文民と自衛隊でしょうかね、日本の場合であれば、そういうものの連携というものがその中で検討されているのかと、こういうことでございます。  今、もう既にPRT、例えばアフガニスタンのPRTとの連携をODAでやってはどうだろうかということを安倍総理も提案をして、外務省の方で多分検討をされているんではないかと思いますけれども、そういう考え方自体は、今先生の御指摘のとおり、極めて有効な、現地の復興支援ということでは意味のあることではないかと思いますが、一般法の中でそれをどう位置付けるのかということについては、まだ申し上げられるほどのものになっているわけではございません。
  168. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 選挙によって一応政府が立ち上がって憲法ができたと。何かアメリカ軍も、どうも民間主体の方向の戦略に移してきているような感じがするんですが。  ちょっと外務大臣伺いたいんですが、いつも麻生大臣が例に引かれているアフガニスタンのDDRですとか、あるいはカンボジアの司法制度ですとか、あるいは自衛隊のOBによる地雷の除去ですとか地方自治体のノウハウですとか等々、こういう日本の強みを生かすという新しいスタート、やっぱりこういう大きな流れが出てきたところで一回、できるだけ早い時期に仕切り直しをして、やっぱり我が国からの支援をもう一回整理して、今まで制限があるところで自衛隊の皆さんも一生懸命やってきたと。非戦闘地域、しかも武力行使はしない、しかも武力行使をしているところと一体化しないというような中で一生懸命やってこられたと。逆に、こういうふうにアメリカが転換をするということになると、逆に日本のやってきたことの方が進んでいるような、逆に言うと卵と鶏が入れ替わったような、私はそんな印象を受けるんですね。  一度ここで、出口戦略もそうですけれども、ショー・ザ・フラッグと言われて出ていくということではなくて、こういう平和の定着、国づくりについてはうちの方がはるかにというか一歩上なんだよというノウハウもあるわけですから、一回この辺で仕切り直してみてはどうかと思うんですけど、大臣の御所見を伺います。
  169. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 犬塚先生、これはなかなか難しいところなんですが、少なくとも戦争、戦うというところまでは軍が出てこないとこれは組織としては体を成しませんし、自己完結型の軍なんだと思います。  しかし、戦闘が終結した後に、今度はその地域治安をとか秩序をということになると、これは市民の中に入っている警察の仕事になるというのは、これはもう世界の常識だと思いますんで、アメリカも遅ればせながら、イラク人による治安維持というものを考えて、このところ十三万人が三十五万人ぐらいまで増やして、取り急ぎ数は増やして、今目下警察官としての機能を訓練中というのが多分現実の状況だと存じます。それが少しずつ功を奏しているから、最初自衛隊が撤退した後のころはまだサマーワ周辺ぐらいだったのが、今は十八県中で七県まで一応治安が良くなったとして権限移譲が進んだということになっているんだと思います。  したがって、今後は更にそういったものが現地にどんどん移管されていくような状況になったときに、今言われたように、経済、生活水準とかいろんなものが関係してくるというお話がありましたが、全く私もそうだと思いますんで、日本としては、こういったところは軍とか政治じゃなくて経済というところで我々の活躍できる分野はより広いのではないか、少なくともそういった評価は高いと思いますので、そこらのところが今これから日本が出ていく分野と思っております。  イラクに直接関係しているわけじゃありませんが、パレスチナで日本としては初めてそういったプロジェクトをスタートさせつつあります。そういったようなことが今試みをさせていただいておりますが、日本の強みというのは、やっぱりこの地域にこれまで歴史的にも利害関係が全くゼロだったために非常に向こうとしては受け入れやすい状況にあるというところが、イラクに入れた自衛隊に関しても同様な反応が最初から示されているというのが我々としてのある意味ではアドバンテージ、有利なところだと思っておりますので、今言われましたように、おっかなびっくりとはいいながらも少しずつそういった方向でやっていく。  これはアフガニスタンで少し成功を収めたところでもありますので、武装解除の話やら何やら、我々の発想は最初はとんでもないような話でしたけど、少しずつは受け入れられつつあるかなという感じはいたしておりますので、更にその方向で進めていくということだと思っております。
  170. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 そこで、一つ不思議なのは、米軍アメリカの方が一応今年の十一月までにイラク政府が目指している治安責任の権限をイラク政府に移すということを明確に打ち出しているわけですよね。十一月までにやるというともう随分急ぎの話でありまして、本当にそんなことができるのかなと。  この五つ、ブッシュ大統領が一月十日にテレビで演説した中で二番から五番まで、原油収入イラク国民のために使う法案を作るだとか、テンビリオン、一兆円ですか、以上をイラク国内に投資するだとか、あるいは本年後半のイラク自治体の選挙を必ず実施するだとか、あるいは公平な政治参加のための法整備を掲げているわけですね。  この四つについては軍事とは関係のない世界ですから、そういうことはやらなきゃいけないと、日本としてもこれはもうどんどんやろうと、そういうことは分かるんですけれども、この一番の十一月までにイラク全土の治安責任をイラク政府に持たせる方向というのは、一体どこからこういう期限が出てくるのかなと。このベンチマークについて我が国は賛成しているんでしょうか。
  171. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはイラクアメリカの希望的観測がるる述べられているというのであって、これが直ちに実行できると思っているほど、それほどみんな単純でもないと思いますけどね。  ただ、いろいろ状況が出てきた中で、やっぱり憲法改正やら何やら、やっぱりシーア派が何人とかクルド人が何人とかいう比率で決めるなんていうのをやるからまた更に宗派間がおかしくなるんじゃないのなんて話は、もうこれは憲法ができて即言われた話ですから。そういった意味では、これはもう一回修正した方がいいと思ってみたり、一時期バース党は全部駄目みたいなことしていましたけれども、あそこに優秀な行政官僚がいたわけですから、それをもう一回使うようにした方がいいとか、いろいろあの当時から話が出ておりましたので、今そういったのを修正を鋭意取り組んでいるというところなんだと思いますが。  しかし、いずれにしても、こういった絵をかいているというのは決して間違っているとは思いませんけど、それが十一月までに本当に実行できるかと言われると、ちょっとそんな簡単に、北朝鮮の四月十三日よりは少し信用できるかなと思わないでもありませんけれども、まあ余り、他国のことでもありますので、ちょっと何とも申し上げられません。
  172. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 いや、大臣、そこが私は大事なことだと思うんですけどね。言わば出口戦略をやるについても、やっぱりみんなと協力してやっていくわけでしょうし、我が国独自の判断もあるだろうし、米国の判断もあるでしょう。  その中で、今伺った感じだと、十一月までという期限については、別に日本協議をしながら、こういう状況だから十一月までに何とかできそうだというよりも、むしろ米側の選挙等々、大統領選等々の都合もあってそんなことを決められているのかなと、そんな感じがするわけですね。  そうした中で、やっぱり日本独自の、じゃ例えば、先ほどおっしゃっていた商用機の運航あるいは通常の通行ができる、あるいは自衛隊がやっていた人道復興支援自衛隊があの地域でできたわけですから、そういう我が国独自のきちんとした判断基準を持って、先ほども、アメリカが出した資料だから、自衛隊の判断に基づいて空自はそこを安全と判断して今はまだ撤退させるというようなところまで行っていないとおっしゃいましたけれども、そういう独自の撤退に関する、数値目標とは言いませんけれども考え方というものをもう一度大臣伺いたいんですけれども
  173. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ブッシュ大統領のこの案は、たしかその前の日に電話が掛かってきて、安倍総理のところに電話が掛かってきてこの説明があっております。そのときにいろいろ話をされて、向こうにも提案としてこういったことを考えているというお話説明はあっておりましたんで、私どもそれを知らなかったわけではありません。  ただ、一番最初に、何と一番がこの十一月だったものですから、ちょっとおまえ、最初からこれが来たものですから、一番最後に出てくればまだと思ったんですが、一番最初これが出てきたものですから、大丈夫かと、それを見たときにはそう思いました。正直なところです。  ただ、こういったものを計画しているというのに対しては、治安さえそこそこ回復して、いわゆるあっちこちあっちこちで爆弾テロが相次いでいるというような状況の中だと、これは仮に民間のPKOがとはいっても、このPKOに対して大丈夫だから、行って大丈夫ですよと言えるのには、とても日本政府としてはそんなこと言える状況にはありませんので、とてもじゃないけど危ないから自衛隊だということになっておりますんで、そこらのところがなかなか、思っていても、やりたくてもなかなかやれないという状況が今から半年間ぐらいの間にどれぐらい変わるのかなというのは、ちょっと正直、私らとしてはまだ疑問なところです。  しかし、いずれにしても、いろいろな形で復興支援ということになっていったときには、これはもう軍というのは経済は全く駄目ですから、軍に代わって経済復興とかそういったものをやっていくということになっていけば、それは間違いなく日本のいわゆるODAに限らずいろいろな民間との一緒の共同での作業というのが非常に可能性がある輪が広まってくる、私どもはそう思っております。
  174. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 特に情報という意味で、先ほどお話出ているように、軍隊というものは民間の人たちとの接触はしないわけですから、やっぱり一番情報を持っているのはそういう人道復興支援を現場でやっている現場の人かなと。特に、日本の場合は人道復興支援安全確保を二つを目標にして行っているわけですから、そういう情報は正に独自に取らなきゃいけないと思うわけです。ところが、見ますと、イラク戦争について軍事的な視点からはたくさん報道があるんですけれども、人道的視点からはほとんど情報がないわけですね。  二〇〇三年の八月十九日に、国連バグダッド本部が爆破されて二十二名が死亡したと。国際赤十字委員会、ICRCも爆破をされて十二名が死亡していると。そんな中で、国境なき医師団、ここが二〇〇四年十一月にイラクから撤退を決定してしまったということでありますけれども、そんな、一番詳しいはずのICRCとかMSF辺りでさえも現地にいられないような状況の中で、これはもう犠牲者の数や何かも推定しか出ていないんですね。  推定で、今、国連イラク・ミッションが言っている、二〇〇六年で、死者が三万四千四百五十人、負傷が三万六千六百八十人、そして避難民の数、推定で六十四万人、難民用の施設に住んでいる割合は三%、しかも国外脱出したのがやっぱり推定で二百万人と。二〇〇六年中だけで一万四千世帯が脱出しているというようなこの人道の状況というのは、もうとてもじゃないけど安定にはほど遠いのかなと。  一方、違うソースで、イラク・ボディー・カウントという、先ほど来出ていますけど、これによると、暴力による負傷者が八十万と、またけたが違う数字が出ているわけですね。そのうち治療を受けていない負傷者が七十四万人で九〇%、治療を受けた人が五万九千三百七十二名と最後の一人まで勘定していますんで、これはかなりやっているのかな。しかし、治療を受けていない負傷者数については、どうやってこれ数出しているのかな。  現地で身の危険を感じながら活動している人たちでさえもこの程度の情報しかないというところで、同じ人道復興支援をしている我が国が今後この民軍協力ということをやっていくに当たって、やっぱり、今目の前もそうですけれども、今後、中長期の取組をどういうふうに考えていくかということは大変大事だと思いますので、この中長期の取組について、官房長官、外務大臣防衛大臣のお三方の御意見を伺います。
  175. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今おっしゃるように、これは中長期的にどうするか、どのような情報収集を今後やっていくかって、これはすごく大きな問題です。そして、この話は明らかに、現地にいるイラクの人たちの情報、しかもこの際は三種類あると基本的に思っておかなきゃいけませんから、三種類というのは、クルドシーアスンニと三種類プラス軍ということに多分なるんだと思いますんで、そういったところの情報を三種類、最低でも、四、五種類の情報を集めた上での判断ということになろうと思います。  そういった意味では、これはかなりその現場の中に入り込むというのは時間的な無理があるということになると、そこにいる確実な情報は買わねばならぬ。買わねばならぬって、金銭で情報を買うということです。そういう情報を買って集める以外に、これ手段は、よそ者にはその手段はほかにありませんので、それが常識ということになろうと思いますが、そういったものをやっていかないとこの種の情報というのはなかなか正確には集め難いというのがこういった状況における通常の例になろうと存じます。  したがいまして、かなりこういったのは、中長期的に見てどういうようにやっていくかというのは、これは他国の集めている情報もいろいろ参考にすることになろうと思いますんで、そういったものを総合的にやっていくというのは、かなりこれは腰据えていろいろやっていかないと、落ち着いてからさあっとまた解消していくでしょうけど、落ち着くまでの間の、少しずつ少しずつやっていかないと危険をかなり伴いますんで、そこらのところをどうしていくかというのは、これは今後の課題として非常に大きな視点から見ておかねばならぬ、大事な御指摘だと思います。
  176. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 先生御指摘の軍と民の協力の大事さというのはよく理解をしているつもりでございますが、何よりも大事なのは、まず何のために復興支援、その国のためにあるいはその地域のためにやっているのかということを見失わないようにしなければいけないんではないか。そのためには、先生おっしゃるように、情報が一番基盤になって、現地のニーズは何なのか、その国のニーズは何なのかということを踏まえた上で、どういう支援日本なら日本、あるいは国際社会なら国際社会に求められることなのか、あるいはどういう役割分担を現地としなければいけないのかということが大事なんだろうと思うんです。  例えばイラクですと、例えばその人口構成を見ると、若い人たち、二十代、三十代のところが多く人口があって、当然、教育あるいは働く場などが必要であるにもかかわらず、そういうものが一向に提供されない状況の中でいろいろな問題が解決されなくなって、生活の不安等々から非常にいろんな問題が起きやすくなっているとか、そういう情報をしっかり、現地の情報をしっかり踏まえた上で軍と民の組合せを考えていくべきなんだろうと思うんです。ただ、それは軍がまだ必要だという段階の場合の話であるわけですね。  例えば、今アフガニスタンで日本のNGOが、もちろん日本はPRTやっていませんが、ほかの国のPRTの一部に日本のNGOが入っているというケースがあります。当然、NGOの方が先に現地にいるんですね。そうすると、場合によっては同じ服装をするということがあるんだそうであります。何が起きるかというと、ねらわれる可能性が高くなるわけですね。したがって、NGOにしてみれば、どっちが本当にその現地のためになるのかというのを悩むときもあるという話も聞いています。  ですから、冒頭申し上げましたように、どういう組合せのどういう支援がその現地の人たちのために、本当のニーズのために求められているのかということを考えた上で、先生がおっしゃっているような、まだ軍がいなければならないような段階の支援に当たっての組合せというものもまたニーズに合わせて考えていくということが大事なんではないかなというふうに思います。
  177. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 自衛隊は今度国際活動教育隊というのをつくりますが、これはもちろん自衛隊の隊員に対する教育が主でございますけれども、やはりこれまで自衛隊が経験した海外における平和協力活動のそういった知見を生かしながら、これから先のあるべき姿についても中長期的にやっぱり研究していく必要はあろうかと思います。そのときに、NGO、NPO、そういったところとの組合せの方がいいという話も聞いておりますので、そういう点でのまたどういうような活動がいいかについて研修を重ねて、それをまた教育に反映していきたいと思っているところでございます。  ただ、やっぱり日本自衛隊の場合はどうしても武力行使ができない、治安維持ができないという、そういうような問題がございますから、今直ちにPRTみたいな形で、軍民協力の格好で自衛隊が前面に出てやっていくというのはなかなか難しい状況じゃないかなというふうに思っております。
  178. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 外務大臣が昨年の八月に国連大学でブラヒミ元国連事務総長特別顧問を迎えてスピーチをされた。そのときに、平和構築を担う人材を育てるための寺子屋をつくるというようなスピーチをされて、やっぱり情報は人間だと思うんですね。もちろん、現地で買うというのもあるんでしょうけれども、やっぱり一番的確な判断ができるのは、我が国の人間が行って現場の情報を常にアップデートしてくれると。  その中で大臣おっしゃったのは、日本から平和構築に向けた知的リーダーシップを発揮すると、現場で実践をすると、そこまで言われているわけですね。女も男も、行政実務の経験者も、農業、漁業──農業、漁業というのは私が言ったんですけれども、警察、法曹、自衛隊の経験者、そういう人たちが海外の現場で活躍できる環境をつくっていくんだと。しかも、平和国家日本ののれんをもう一度新しい色で染め替えようじゃないかという話までされたわけですね。  やっぱりこの実践の対象として、今何か憲法を変えないとできないみたいな雰囲気があるんですけれども、私は現憲法下でできることは一杯あるんじゃないかと。そういう意味で、この現憲法下で行える実践の対象としてこの寺子屋、イラクとアフガニスタンで実践をするという検討をもう始められたらいかがでしょうか。
  179. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 一応予算の申請をして、この平成十九年度の予算案で調査費が付けるところまでは来ました。そこまで来ておりますので、あと具体的なところを、今役所等々でこの部分、担当を決めて、今動かしつつあります。  現実問題として、国が、一応治安回復した後で、例えば地方行政とか、例えば地方税をどうやって徴収するとか。カンボジアを例に取れば、カンボジアではえらく海外からの投資を期待していますけれども、民法はない、会社法はない、民事訴訟法はできていないようなところなんかに危なくてほかの会社なんか投資するわけはありませんから、そこらのところの法律がないところなんかに投資なんかできませんよというので、うちはそこに法務省から若いいわゆる司法官を送って、今、民法、民事訴訟法、カンボジアの人と一緒にクメール語、英語、フランス語等々でやって、今スタートをしております。  そういった、一つの例ですけれども、そういったものの経験が出ると、今度は私は多分、日本で寺子屋に逆にそこそこの国の人たちが習いに来て、そこで習った経験を生かして外に出ていくということまでいきたいなと思っておりますが、まずは日本で行政経験があるという人たちにある程度自分の身を守るすべぐらいは覚えておいてもらわないと、お巡りさんが常にいるようなところとは限りませんので、そういったものも含めてきちんとした訓練を積んだ上でそういった分野に出ていくというのは、私は、日本の持っておりますやっぱり働くという美学、一緒に働いてみせるというところはこれは圧倒的に日本の持っている大きな力だと思っておりますので、そういったようなものを今レベルを上げていきたいなと、その輪を広げていきたいなと思って今いろいろやらさせていただいているのが今の状況です。  もう少し詳しく具体案でき上がりました段階で御報告できればと思っております。
  180. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私はODA委員会にも所属をしておるんですけれども、選挙区に戻ってODAの話なんかは余りできない状況でありますので、やっぱり内政と外交がつながる、こういう、要するに自分の経験が生かされて、たとえシルバーボランティアとかあるいは海外青年協力隊だとかいうものがあっても、やっぱりまだ少し遠いんですよね。景気の悪い地方で、自分の行政経験あるいは自分のやってきたいろいろな経験が農業にしても何にしても海外で本当に生きるという身近な窓口があるということが、ちょっと中長期になりますけれども、やっぱりひいては、皆さんが表に出ていくわけですから情報能力も非常に高まると。日本の、大臣の言葉で言えば平和国家日本ののれんをもう一度新しい色で染め直すのはやっぱり人間のことだと思いますので、是非頑張っていただきたいんですけれども。  今日は官房長官が見えておられますので、ここでちょっと疑問なんですが、我が国の安全保障の法的基盤に関する懇談会ですか、この議論がどうも憲法絡みで集団的自衛権の研究をされていると。しかし、今待ったなしで求められているのは、こういう話ではなくて、民軍連携、どうやって表に国際貢献をできる人間をいかに出していくかという、現憲法下でどういう民軍連携ができるかという研究を早急にやるべきだと思うんですけれども大臣の御見解はいかがでしょうか。
  181. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど一般法のお話が出ておりましたが、正に日本自衛隊による国外での支援活動の在り方をどう律するかという中で、当然、サマーワでもそうでしたけれども、水を供給するという活動は本来民間でも十分できる話でございます、仕事でございます。しかし、ああいう治安状況の中で自己完結的にその機能を全うできるということで自衛隊に行ってもらったということでありますけれども、これからはいろんな形があり得るわけでありますので、今先生御指摘になったように、今後の日本の海外での平和貢献の在り方、その中には当然自衛隊と民間の組合せというものがあってしかるべきだと思います。  一方で、先ほど寺子屋の話が出ておりましたけれども麻生イニシアチブとも言うべき平和構築での日本の貢献ということについては、特に人材面での育成などを中心日本も大いに貢献をしていこうじゃないかということでスタートしているわけですけれども、今後、現地に出向いてやる場合に自衛隊がまだ必要とされるような状況であれば当然そういった組合せもあり得るわけでありますから、日本として特に今後の新たな日本の平和貢献の在り方というものを考えていくことは重要だと思いますし、その中に軍、民の、軍というか自衛隊と民の組合せというものもあると思います。一方で、さっき申し上げたように、もう既に日本のNGOなどは海外で、アフガンとかそういうところで他の軍と組んでPRTをやっているという、言ってみれば国より先を行っているところもあるわけでありますので、そういうところも参考にしながらいきたいと思いますが。  先ほどお話しになりました安全保障の法的基盤の再構築に関するこの今の勉強会は、そういうことの実行に当たっても、例えば駆け付け警護の問題であるとかいろいろ関係することもあって、そこの法的基盤をしっかりした上でまた新たな日本の平和貢献というものを考えようじゃないかという発想もございますので、それはそれとしてやはり重要な研究ではないかなというふうに思っているところでございます。
  182. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 官房にリーダーシップを取っていただいて、例えば寺子屋の話とか、あるいは自衛隊の中央即応集団の教育隊で今取り組もうという試みが始まっております、やっぱりこの民軍連携の話なんかをやっぱりばらばらに、当初はいいかもしれませんけれども、やっぱり今後、大変大事な話ですので、もうちょっとリーダーシップを取っていただいて、今、この間お伺いしたら、自衛隊の海外での、例えばカナダのピアソン・センターみたいなところに行く方々のリストを見せていただきましたけれども、まだまだ期間も短い、できれば日本の中でそういうアジアの人たちが日本にわざわざ勉強しに来るようなものをその自衛隊の中の教育も含めてやっぱり力を合わせてつくっていくべきじゃないかと思うんですけれども、この点について官房長官の御決意を伺います。
  183. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 平和構築分野での日本の貢献ということで既に予算化もされているわけでありますけれども、昨年十二月に政府一体として取り組むために平和構築分野の人材育成に関する関係省庁連絡会議というのが内閣に設置をされております。この下で関係省庁間の情報の共有であるとか連携、それから協力の推進、関係省庁の取組の強化を目的としてこういう会議ができ上がったわけでありますけれども、既に去年の十二月二十七日に局長級、今年の二月十六日に課長級で会議が開催されておりまして、こういうところで、人材育成を政府部内でどうやるのか、そして民間の人たちに対してもどういうふうにやっていくのかよく検討を深め、そしてまた、先ほどお話に出ておりました一般法の中でも今後そういうことを検討範囲に入れながらやっていきたいというふうに思っております。  いずれにしても、日本は平和貢献ということで、やはりその根っこは先ほど麻生大臣がおっしゃっているように人材、これが一番の日本の宝でありますから、この日本の貢献できる人材を大いに活用しながら、そしてまた育成しながら、またこれは外国の方の日本による、日本人による育成というものもできる範囲は是非やりながら、いい平和貢献をやっていければなというふうに考えているところでございます。
  184. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 平和構築の努力自衛隊も含めて我が国が積極的に、しかも自主的にやっていく、出口も自分で決めていくという形を是非お願いしたいと思うんですけれども、一方では、本年一月のアメリカのこのやっぱり同じレポート、この中でキー・オペレーショナル・シフツというので明示をされているんですけれども、今までは、これちょっと資料を見ていただくといいんですが、一ページ目ですね、このこれまでの取組の真ん中の黒丸のところなんですけれどもイラクにおけるシリア及びイランによる介入を認識をしているというこのぐらいの表現だったのが、今回の新イラク戦略、一月に発表されたものになると、コアリッションに対する脅威となるイラン及びシリアの両国の行動に対抗すると、カウンターという表現なのでかなり強い表現にこれが上がっているわけなんですね。  我が国がやっているのはあくまでも人道復興支援でありますので、こういう政策運用上の転換ということについて、方向性に我が国はこれは賛成なんでしょうか、外務大臣
  185. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今のは多分今年の一月のNSC、いわゆるナショナル・セキュリティー・カウンシルが発表したイラク戦略レビューの主要点というところで、主要な作戦上の転換として、キー・オペレーション・シフトとしてこの項目は挙がったんだと思いますが、多国籍軍を脅かすイランシリアの行動に対抗することを挙げているということがこの文章のところなんだと思います。  他方、米国はイランシリアとの間でこれ実は対話がどんどん進んでおります、シリアとの間で。五月の三日、これはシャルム・エル・シェイクで外相会議が行われましたけれども、これは、イランとの間では二十八日の日にバグダッドでもうこの間言われましたように大使級の会談が二十八年ぶりで行われたりいたしておりますので、イランシリアとの対話は、これはイラクの安定に資するということで、これはアメリカ側もこの必要性を認めておるというのも事実でありまして。  こういう意味で、イランシリア、サウジアラビア等々、周辺国の外相会議も、この会議出席したんですが、この点に関しては、イラク復興に関して強いコミットメントが出されたのがあれは有意義だったと思って、私どもとしても、これは周辺国とうまくやらない限りはこの種の効果は上がらないと。だから、拡大周辺国会議をやれと。我々はドナーとしては大きいドナーなんだから、おれたちも呼んでやれというのがシャルム・エル・シェイクに至る背景。  一番ああいう拡大会議をやれと主導したのは日本ですので、そういった意味では、一応そこのスタートになったと思っておりますので、そういった意味では、サウジアラビア、イラン、GCC含めて、サウジアラビア等々と首脳の間でこの種のことに関しては一応周辺諸国は一体でやっていこうということに一致しております。御存じのように、この辺のところは全部シーア派ではなくてスンニ派が圧倒的に多いところですから。そういった意味では、私どもとしてはこれを一層強化していきたいと思っておりますので、この種の、こっちは書いてある、一方、アメリカシリアとのいわゆるコミュニケーションというかパイプを急激に広げつつあるというのもまた事実でもあります。
  186. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 アメリカ版の対話と圧力というのをやっているんだろうなというふうに思うんですけれども、今年五月の、最近ですね、大使級の四時間にわたる公式協議、米、イランの二国間協議が行われたと。これ、資料もいただいたんですけれども、その翌日にはもう既にイラン系米国人三人をスパイ容疑でイランが起訴をして、二名はテヘランのエビン刑務所に収容されて、もう一人も出国を許されていないというような事態になっているという報道がありました。  一方、ペルシャ湾に米軍は空母を二隻浮かべて、これをもって圧力と対話みたいなことをやっているわけなんですけれども防衛大臣伺いますが、今出ている空母ニミッツ、空母ステニスですか、この二隻の空母でどのぐらいの規模の空爆が可能なんでしょうか。
  187. 久間章生

    国務大臣久間章生君) さあ、それは私の方では、どれぐらいの空爆が可能かというのはなかなか推定できないですね。
  188. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 どのぐらいの規模という質問があれかもしれないけれども自衛隊が行う人道復興支援活動あるいは安全確保活動に米空母の支援は必要でしょうか。
  189. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは別に必要ありません。
  190. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 こういういわゆる、逆に考えれば、日本の場合を考えれば、東京湾に空母が二隻入って、空母というのは攻撃用の戦力でありますから、それを浮かべておいて二国間協議をやる、あるいは今後の対話をやっていくというようなやり方は、これは参考人で結構なんですけれども国連憲章で禁じている武力による威嚇にはならないんですか。
  191. 長嶺安政

    政府参考人(長嶺安政君) お答え申し上げます。  今委員お尋ねの件は、武力による威嚇、これは国連憲章第二条四項に言うところの武力による威嚇であろうかと思います。この点、すべての国連加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を慎まなければならない、若干途中省きましたが、と定めているところでございます。  この規定に照らしまして、いかなる行為が武力による威嚇に該当するかということにつきましては、当然のことながら各事案ごとの態様を踏まえて検討すべきであるというふうに考えております。  そこで、ただいま御質問の事案でございますけれども、これは専ら米軍の運用、活動に係るものでございますので、我が方からその法的評価を行う立場にはございません。そういう点につきましては御理解を得たいと思うわけでございます。  そこで、単にこれは情報として米軍の公式サイトを見ますと、この五月二十三日にこの米海軍の演習に今御指摘の二隻の空母が参加したというのが載っておりますが、報道によりますと、米軍の関係者は今回の演習はいかなる国をも対象としたものではないというふうに述べているというふうに承知しております。
  192. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 一方では一生懸命人道復興支援をやりつつ、他方では先ほど大臣がおっしゃった周辺国との対話ということであればいいとしても、対話と圧力と。圧力の方もかなり過激な圧力を掛けている、空母を浮かべているわけですから。そうしたところに我が国が一生懸命人道復興支援をやろうとしていると。これ、やっぱりこういう二つを一緒にしたようなやり方はちょっと判断に困るわけですよね。  一方では、やっぱりイランに対するこのような交渉の仕方は、憲章上ははっきりとこれは武力による威嚇だと日本は認めたらどうなんですかね。今の御答弁だと事例によるなんという御答弁でしたけれども、これはどう考えても自国の目の前に空母を二隻浮かべているんですから、武力による威嚇なんじゃないんですか。
  193. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは領海の中に、東京湾と言われましたけれども、東京湾はこれは明らかに日本の領海の中になりますが、これはペルシャ湾はたしかペルシャイランの領海になっていない、ペルシャ湾と名前はそうですけれども、これは今、通常アラビア海と言ったりいろいろしておりまして、今ペルシャの領海外になっていませんかね、地理がちょっとよく分かりませんけれども。今の状況で、中に入ってくるとちょっとこの間のイギリス軍みたいな話になっておりゃせぬかなという感じはしますけれども
  194. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 そこは私も確認しなきゃいけないんですけど、東京湾という例よりも日本海という例の方が良かったかななんて今思ったりしました。  いずれにしても、空母があって、しかも上陸用舟艇まであると。そこで一生懸命訓練をしておると。やっぱり弱い立場、軍事的に弱い立場の国にとってみればこれは脅威に感じるのは当たり前の話でありまして、それをいろいろ言って、憲章上の威嚇には当たらないというような話では、やっぱり我が国としても筋の通った対応にはならないと思うんですよね。これは威嚇は威嚇だというふうにはっきり言っていただきたいんですけど、いかがですかね。
  195. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 圧力の一つではあろうと思いますが、威嚇かと言われるとなかなか難しいところだと思います。
  196. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 圧力であると、威嚇かもしれないというところで、それでは結構でございます。  ブッシュ大統領は一月十日の演説で、テレビで自分の演説の後ろに本棚を並べて、ライブラリーというところで全米に中継をした演説で、地域の安定には過激派対策が必要だと、まずイランシリアから始めると、この二か国から出入りするテロリストや武装勢力がイラクに出入りしておると、イラン米兵攻撃の物的支援をしているが、我々はこれを断固として阻止すると、また、イランが核を保有しこの地域を支配することは許さないという確固たる、断固たる決意を述べているわけですね。二十分の演説で五回もイランについて触れているわけですよね。  当然、アメリカの本土防衛にかかわるアメリカの安全保障の話ですから、そういうことを言うのは私は当たり前だと思うんです。しかし、日本の立場として、人道復興支援をやっていますよといって今イラクに行っているわけですから、ここには乗れないというのは私は当たり前だと思うんですけど、御所見を伺います。
  197. 田浦直

    委員長田浦直君) 麻生大臣、簡潔に。
  198. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) イラク人道復興支援のためにやっているという日本の主体性はもう間違いないところだと思いますんで、アメリカ考え方はそれはアメリカ考え方として、他国の話ですから、ただ、私どもとしては、基本的にイラク人道復興支援、これが我々の主たる目的、はっきりしております。
  199. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 終わります。
  200. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 法案の大本になります日本政府イラク戦争に対する態度について、今日は官房長官がせっかくお見えですので、官房長官に質問したいと思います。  イラク戦争はフセイン政権の大量破壊兵器保有の疑惑を根拠として開始されました。米英両国は、査察を継続すべきとして武力行使に反対するほかの安保理事国の声を聞き入れず、二〇〇三年三月二十日にイラクに開戦に至ったと、ドイツ、日本政府も開戦支持を表明したと、そういう経過です。  お伺いしますけど、当時、日本政府はなぜ開戦を支持されたんですか。
  201. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) もうこれについては繰り返し御答弁を申し上げてきたところでございますけれどもイラクは当時、十二年間にわたって累次の国連安保理決議に違反をし続けてきた、そして国際社会が与えた平和的な解決の機会を生かそうとしなかった、そして最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかったと、このような認識の下で、日本として安保理決議に基づいて取られた行動を支持したということだと思います。  安保理は、もう御案内のように、安保理決議一四四一号において、イラクがいわゆる湾岸戦争の停戦条件を定めた決議第六八七号、これを含む関連諸決議の義務の重大な違反を継続的に犯していることを全会一致で決定したわけでございます。イラクに対して武装解除の義務を履行する最後の機会を与えたという格好になっているわけでありますけれどもイラクは決議の第一四四一号で求められている武装解除などの義務を履行しなかった、この点は査察団による安保理への累次の報告で明確にされているところでございます。したがって、決議六八七号の重大な違反が継続的に生じていたということから、決議に基づくいわゆる湾岸戦争への停戦の基礎が損なわれて、同戦争開戦前に加盟国に対しあらゆる必要な手段を取る権限を与えた決議第六七八号に基づいて武力行使が正当化されると考えているわけでございます。  このように、イラクに対する武力行使は国際の平和と安全を回復するという明確な目的のために武力行使を認めるあの国連憲章、これは去年も随分話題になりましたが第七章、この第七章の下で採択された決議第六七八号、それから六八七号及び一四四一号を含む関連の国連安保理決議によって正当化されると考えているところでございます。  今、米英の公式見解の話もあったかと思いますけれども、これまで何度も申し上げているこうした、今申し上げた見解というのはアメリカ並びにイギリスの公式な見解とも一致をしており、国際的にも受け入れられている考えではないかというふうに考えているところでございます。
  202. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 長い答弁をいただきましたけれども政府イラクが最後の機会を生かさなかった等と述べてきました。  そこで、やはり大事なことは、大量破壊兵器の疑惑に関する問題と思います。開戦を支持した際の政府の認識についてですけれども、この真偽について政府は見極めていたんでしょうか。
  203. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) さっき申し上げたように、イラクはずっとこの国連安保理決議を無視し続けてきた、違反し続けてきたと、こういうことでございますが、イラクが過去において実際に大量破壊兵器を度々使用した事実、これは私もハラブジャというところに行ってまいりましたけれども、化学兵器をイラ・イラ戦争時代に自国民たるクルド人に使って何千人単位の殺りくを行ったと、こういう事実もありました。それから、国連査察団の指摘している数々の未解決の問題などもあって、こうしたことにかんがみて、対イラク武力行使が開始された当時、イラクに大量破壊兵器があると想定するに足る理由があったということを日本政府としても考えたところでございます。
  204. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本政府はあると想定されるそういう理由があったと、今そういう御答弁いただきましたけれども、当時、国連もIAEAもその真偽を見極めるべく査察を究明する努力をしていた最中だったと思います。そういう意味では、すべてが疑惑を持っていたわけですよ、すべての国際社会がですね。  しかし、重大なことは、国連アメリカが証拠なるものを示してイラクの保有疑惑を言い立てていたということなんです。二〇〇三年二月五日に安保理でパウエル国務長官、当時の長官が報告を行い、米英が調べ上げた疑惑の証拠なるものを並べられました。  開戦前の時期、日本政府はこういうアメリカの主張を大量破壊兵器疑惑に関する判断材料にしてこなかったのか、その点を明確にしていただきたいと思います。
  205. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 日本政府が対イラク武力行使を支持したのは、先ほど来申し上げているように、累次の国連安保理決議、それから国連査察団、これ実は日本も一部参加をして、日本の目でもこの査察に当たってきたわけでありますけれども、こういった国連査察団の累次の報告等に基づいて日本としては独自の主体的な判断をしたということであるわけでございます。
  206. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私の質問は、官房長官、アメリカのパウエル報告等を、それを依拠されなかったのかということです。判断材料にされなかったかということです。
  207. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたように、日本の判断の根拠は国連安保理決議に……
  208. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 いや、端的に述べてください。  アメリカに、パウエルについてどうかということを聞いている。
  209. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) それが直接的な判断材料になったわけではないと思いますね。
  210. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 官房長官、本当によろしいんですか、そういう答弁で。  パウエルの報告、二月の五日の報告について、やはりそれを判断材料にされたんではないですかと私は尋ねているんです。
  211. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど、判断材料は何かということは申し上げてきたとおりでございますので、今、パウエル、私も国務長官が安保理でスクリーンを使いながら説明している場面をよく覚えておりますけれども、それが直接的な判断材料になったわけではないということであります。
  212. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 官房長官、これは大変重大な答弁だと思いますよ。  やはり、パウエル報告から十三日後、日本代表の原口大使は、イラク情勢に関する安保理公開会合において、一四四一がイラクに最後の機会を与えているとして述べている演説があります、もうこれは公表されているものですけれども。  そこには、すべての国が平和的解決を希求していると、そしてそれはイラクの対応に懸かっていると述べながら、五日のパウエル米国務長官による説明や、そして査察団からの安保理への報告等、これまでの安保理における審議を踏まえれば、イラクがこの最後の機会を受けて提出した申告書は完全かつ正確な内容を含んでいないと、そういうふうに演説しているわけですよ。  私は、日本語じゃなくて原文で、演説した、これは英文でやられていますので、それを見ました。そうすると、もっと明確に、二月五日のパウエル国務長官によるインテリジェンス・ブリーフィングを踏まえれば、ベースド・オン、踏まえれば、我々はこう結論付けざるを得ないと言って、イラクの申告書を問題視する考えを、やはりパウエル報告をその第一の根拠に挙げている、こういう事態なんですよ。  そういう事実じゃありませんか。
  213. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) お尋ねしますが、そのパウエル報告が何の何になったとおっしゃっているんですか。ちょっと御質問の趣旨がよく分からないので。
  214. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大量破壊兵器の保有の疑惑、その根拠としてパウエル報告、二月五日のパウエル報告を第一に挙げて述べているんです。  ですから、官房長官がおっしゃられた、その根拠になっていないと、判断材料になっていないということについて、否定されたことはやはり違うんじゃないですかと思っているんです。
  215. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 日本が開戦の支持をなぜしたのか、なぜ開戦を支持したのか。その際に、大量破壊兵器の問題について答えを出していないイラクの態度について、スタンスについて触れているわけですね。  その判断は、パウエル報告を唯一無二の材料として判断材料になったわけでは決してなくて、先ほど申し上げたように、累次のいろいろな条件があって、その上で日本としては判断をしているということであって、今、原口大使がそれにリファーしたということは、それはそれとしてあったとしても、パウエル報告がダイレクトに、日本が大量破壊兵器が存在しているということについて判断をする唯一無二の材料になったわけではないということで、直接的な判断材料になったわけではないということを申し上げているので、そんなにおかしいことを言っているわけではないと思います。
  216. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私も、唯一の判断材料とは言っておりません。言っていないですよ。いろいろあると思いますよ。国連の審議、報告等々ですね、あると思います。  しかし、二月五日のパウエル国務長官の演説を、正確に言えばベースド・オン・ジ・インテリジェンス・ブリーフィングとなっていますが、それを、だからインテリジェンス・ブリーフィングに基づいて、また、基づくものはもう一つありますよ、デリバレーション、国連の、それに基づいてということですからね。  ですから、判断するときの一つの重要な要素になっていることは明らかじゃないですか。はっきり認めてください。
  217. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど来申し上げているように、日本が大量破壊兵器をイラクが持っていたかどうかについての判断は、これまでの実際に過去に使ってきたことなど、それから国際査察団の指摘している数々の未解決の問題などがあったわけでありますから、そういうところを根拠に言っているので、それは、直近のそのパウエル国務長官が報告をしたことについても、それは追加的な判断材料の一つにはなっているとは思いますけれども、我が国の判断をしたことについては、これまでの幾つかの判断材料の上に乗って行われてきているということであるわけですね。  ですから、それは先ほど申し上げた、私が申し上げたとおりでございます。
  218. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 追加的判断材料にされたということはお認めになりました。  それでは、なぜ追加的判断材料にされたんですか。
  219. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) それは、アメリカの主張として安保理でそういうことを披露されたということがその一つの材料だということだというふうに思いますね。
  220. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 情報はいろいろありました。しかし、なぜパウエル報告に着目して、それを重視して、そして日本政府政策判断を決めるだけの、それだけの根拠にされたかと伺っております。
  221. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) パウエル報告を重視したということは一言も私は言っていないと思いますし、今までの政府の答弁でも一度も言ったことはないんじゃないんでしょうか。
  222. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この問題については、実は、原口氏が演説したその日に衆議院の予算委員会が行われております。当時の川口外務大臣が、パウエルの示した証拠などについて政府の評価を次のように述べているんですよね。  議事録がありますけれども、基本的には日本として、そういうことをやって国際社会の協調をつくろうとしたこのアメリカ努力を高く評価する、情報の真偽、細かいことについては我が国としては確認を自らできるということではない部分がほとんどですと、ただ、それは正に同盟国のアメリカのインテリジェンス情報である、同盟国と信頼関係にあるということは我が国としてのよって立つ考え方の一番の基本であると、そう述べられた上で、パウエル国務長官の出した情報自体について言えば、これは正に機密情報で、かなりの具体性のものであって、我が国としては、具体性がある等々のことで、十分にそこには信頼に足るものと思っておりますと、これが政府の答弁としてあるわけですよ。  ですから、結局は追加的判断とお認めになったけれども最初は否定しながら。しかし、当時はこれだけのことを述べていたんですよ。間違いないでしょう、こういうことは、経過として。
  223. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 同盟国でありますから、同盟国が出してくる材料について言下に否定するようなことはあり得ないと思いますね。  しかしながら、このパウエル報告が真実である蓋然性が高いというような表現はちょっとともかくとして、それに近いようなことをおっしゃったとしても、日本の大量破壊兵器の存在の有無についての判断はそこのパウエル報告によってなされたわけでは決してないわけでありまして、それはもう先ほど来申し上げているとおりであり、また、これはもう繰り返し政府の答弁の中で申し述べてきたことでありますから、それはパウエル報告の問題だけが判断材料になっているわけでは決してないということだと思うんですね。
  224. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 しかし、当時の答弁で見ると、やはりアメリカのパウエル報告をうのみにして判断したと考えざるを得ない、そういう状況ですよ。  アメリカは、戦争を正当化し、事実上の占領を今でも続けているという大きな問題あると思います。しかし、この真実の問題については、情報が誤ったということについてはっきりと誤りを認めている。私は、その点、アメリカというのは本当にすごいと思いますよ。やっぱり政治というのは、また政府というのはそうあるべきだと思います。  しかし、問題は日本政府ですよ。国連の場でこれを根拠に挙げて物を言った以上、日本政府の表明の真偽が問われると思います。いかがですか。
  225. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 繰り返し申し上げますけれども、パウエル報告を根拠にアメリカの開戦を支持したこともないし、それから大量破壊兵器の存在についての判断をここに依拠しているということも言ったことはないはずですね。ですから、総合的にいろいろ判断した上で、大量破壊兵器が存在していないということを言い切れないということが言えたわけですね。それで、累次の安保理決議に違反するイラクの取ってきた態度に対して、根拠を持った安保理決議の下に行動が取られた、それについては支持をしますと、こういうことを申し上げてきたわけですね。
  226. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 苦しくなると元に戻るんですよ。だって、さっき認めたでしょう。判断材料、追加的な判断にしたと。ですから、同じことを繰り返しても駄目なんですよ、この問題は。  やはり私は、原口大使が明確に二月五日のパウエル長官の秘密のブリーフィングを基にしてということを一つ挙げながら、論拠に挙げながらこの態度表明をしているわけですから、やはり国際社会の中で、国連の中で誤った情報に基づいてこうした報告を行ったということについて、やはりこの問題については、やはりそれは誤ったということをきっちり認める、そういうのが筋じゃありませんか。
  227. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 判断材料の一つと言っているのは、どっちに判断するか分からないんですからね。判断材料の一つに加わっただけであって、日本がどういう判断をしたかは緒方先生は御存じないはずですから。そこは何度も繰り返しているように、先ほど申し上げたように、大量破壊兵器がないと言い切れないという状況、そしてチャンスを生かしてないで自らの疑惑を晴らしていないイラクの態度に対して問題ではないかと、そして、安保理決議について履行していないことが問題であって、そして根拠に基づいた行動を取ったことについては支持をするよということを言っているわけですから、何らおかしいことを私は言っていないと思いますよ。
  228. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 これだけのことが出されていて、しかも、パウエル報告についてパウエル自身が誤ったと、人生最大の恥辱だと言ってこの情報を取り消している中で、どの部分を取ったか分からないといっても、川口大臣の当時の発言では、ほとんどパウエル情報に依拠して政策判断したと述べているわけですよ。その経過があるのに、それを偽っている。それ自身おかしいんですよ。  ですから、私は、やはり国際社会で日本政府を代表して日本代表大使が述べた、こうした発言についてやはりきっちりと、アメリカやイギリスが間違ったことは間違ったというようにはっきりとそれを認める、それは当たり前じゃないですか。
  229. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) ちょっと手元にないんで分かりませんが、川口大臣がどう言ったかという問題ですけれどもアメリカが結果として開戦をした、これを支持する根拠にパウエル報告を使ったということは私はないと思うんですね。  それは、もう我が国の政府としての支持については閣議決定までしているわけでありますから、それを我々の政府としての判断の根拠にしているわけでありますので、先生はパウエル報告だけを今取り上げておられますけれども、それは単なる一つの判断材料にしかすぎない。日本としては、主体的に総合的に判断をした上で日本としてのあの開戦の支持というものをし、そして大量破壊兵器の有無の判断についての日本としての、日本政府としてのスタンスをお示しをしたということだと思いますね。
  230. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 どれだけの比重で判断したかということは別として、かなり比重を占めて、アメリカの情報だと、そしてこれは信頼できると、自分たちが知らないことばかりあると、それも確かめるすべはないと、しかし、これが大事なんだということを強調して述べているわけですよ。  ですから、そういう中で判断された戦争の問題、そして開戦の支持、やはり私はこの問題については、こうした政策判断について日本政府として、やはりアメリカやイギリスが認めているように、情報が誤ったんだから、そして依拠した情報がそれ違ったわけだから、それについてはやはりきっちり間違ったことは間違ったと認めた上で政策判断を国民に問う、これが正論ではないかということを申し上げているんです。
  231. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) アメリカにしてもイギリスにしても、間違ったということを認めていることの対象の間違ったものは何かといえば、情報が間違っていたということを言っているわけですね。
  232. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうですよ。私はそう言っているんですよ。
  233. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) で、行動について間違ったということは言ってないんですね、どっちも、アメリカもイギリスも。
  234. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そう、私もそれを言っている。
  235. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) ですから、その開戦をしたということに対しては、謝罪もしてないし、それから間違ったとも言ってないわけです。したがって、情報に関しては間違ったということを両方とも言っているということは、それはやっぱり間違っていたんでしょう。
  236. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そのとおりですよ。
  237. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) だから、それはそれで間違っていたと認めざるを得ませんよね。アメリカとイギリスが間違ったと言っているのに、日本だけ合っていると言ったって意味がありませんから、そんなことは意味がないことですよ。むしろ、取ったアクションがどうなのかということと、情報が間違っていたということはそれはそれで認めるということはごく自然の流れだと私も思いますね。  ですから、それは認めた上で、じゃどういう、その取ったアクションについての判断はじゃどうなんだと、そのことについては何も今までの判断とは違う、違わないということを言っているわけであります。
  238. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 米英の判断が間違った、それは情報の誤りだった、そしてその情報について、日本政府は主にアメリカからそれを受けてきて、そして、川口大臣も述べたように、やはりそれに対して同盟国だからとして信頼を寄せて、そしてそれを私の表現で言えばうのみにしたんですよ。ですから、そういう状況の下で行われた態度表明、政策選択、それについて、やはり情報について、私、問題にしたのは情報ですよ、今。情報について米英も誤った、日本は直接集めたわけじゃないけれども、その提供を受けて誤った情報をうのみにした、そうしたら、それについてやはりしかるべき態度を取るのは当たり前じゃないですか。私、それを言っているんですよ。  委員長、私は、やはり二月十八日の原口演説が、パウエル国務長官によるインテリジェンス・ブリーフィングを論拠の一つとした責任についてどう考えるのか、やはり政府としてきちっとした見解を出していただきたい、そう要求したいと思います。  もう一つ、私自身、官房長官もおっしゃられた累次の云々という国連決議と解釈、これが国際社会に受け入れられていると冒頭答弁されました。本当に受け入れられているんでしょうかね。  端的にお伺いしますけれども、一四四一の決議を六七八の決議等と結び付けて、そしてそういうことによってこの開戦を支持しているという、そういう解釈をしているという、そういう解釈、これはアメリカとイギリスもだと思いますけれども、それと日本政府は一体だということは明確だと思います。そうですよね。確認します。  ならば、世界じゅうでこういう見解について日米英のほかに明示的な支持を行っている国というのはほかにあるんでしょうか。
  239. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今の累次の安保理決議に基づいて対イラク武力行使を支持している国、これについて米英日以外にこの解釈をしている国はほかにあるのかということでありますけれども、もちろん網羅的に一国一国聞いているわけではございませんので分かりませんけれども、少なくとも、例えばオーストラリアは明確に二〇〇三年の三月二十日付けの国連常駐代表から安保理議長あてのレターの中で同様の趣旨を述べているということがございます。
  240. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そのほかの国はなかなか挙げるのは難しいと思います、実際問題として。  政府が米の解釈を支持している、そういうことは分かりますけれども、この問題が果たして安保理のものと言えるのかという、その点が問題だと思います。政府は、安保理全体として累次の決議で武力行使が合理化されるという解釈の一致があったと考えられておられますか。
  241. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 失礼、もう一回お願いします。
  242. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 要するに、累次の国連決議によってイラクの開戦が行われたということについて国際社会全体の一致があったのかと、安保理全体としての一致があったのかと。
  243. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 対イラク武力行使そのものについて、安保理としては最終的には一致団結ができたわけではないと思います。アメリカ、イギリスなどの対イラク武力行使は、国際的な平和と安全を回復するという明確な目的のために武力行使を認める、先ほど来の七章下の累次の安保理決議を含む安保理決議に合致するものだということで国連憲章にのっとったものであると我々は考えているわけでありますが、さあこの問題は、ですから安保理メンバーの中で一致した安保理全体としての考え方なのかというお尋ねであるわけでありますけれども、確かにフランス、ロシア、中国は懸念を表明をしたわけでありますし、また非常任理事国も反対をしているところもあったということでありますけれども、全体としてこれは、そもそも安保理決議の有権解釈というのは安保理がやるものであって、その後、安保理がその前の安保理決議を覆すような安保理決議をまたしたかというと、そういうふうにはなっていないということであるわけで、これが現実だと思います。
  244. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 安保理の一致はないということについてお認めになったと思います。  それで、そうすると安保理の決議の解釈というのは個々の加盟国で行えるのか。やはり、安保理理事国全体として、機関として行うものだと思います。ですから、今、有権解釈というふうに言われました。アメリカ、イギリスの立場というのは有権解釈だと思います。同時に、フランス、中国、ロシアの解釈も有権解釈です。そうですよね。
  245. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) さっき申し上げたように、有権解釈を安保理決議についてどこが行うかということは、これは言うまでもなく安保理がやるわけです。今お話がありましたように、最終的にドイツ、それからフランス、ごめんなさい、フランス、ロシア、中国が必ずしも一致していなかったということがありますけれども、そもそもこれは十五か国の理事国から成るのが安保理であって、合議体で決められるわけですね。この安保理で採択をされたわけでありますから、実際には安保理決議の解釈というのは、一義的には各安保理理事国が行うことになるというのが筋だと思います。  安保理理事国である、先ほど申し上げた仏、独、露などに別の意見があったのは事実であるわけでありますけれども、同時に、さっき申し上げたとおり、別途の決定をして、その安保理、当該一四四一を覆すような決定を特にしているわけではないということであると、当時の状況と過去の経緯から見て、アメリカ、イギリスなどの行動が違法であるとは言えないというふうに考えているところでございます。  日本としても、米英等の対イラク武力行使は、先ほど来のお話を申し上げているとおり、関連安保理決議に合致をしているという意味において国連憲章にのっとったものだというふうに理解をしているところでございます。
  246. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 官房長官、各国が解釈するというのはこれ重大な問題ですよ。  安保理の決議の解釈権はだれにあるのか。安保理にあるんですよ。個々の理事国、ましてや加盟国にあるんじゃないんですよ。これはもう明確なことですよ。これはこれまでも何度も歴代の外務大臣が認めている。解釈権は安保理でございます、これは町村大臣。あるいは国連決議の解釈、これは安保理で、これは川口さん。当たり前じゃないですか。ですから、各国があるいは理事国がばらばらに、これは正しい、あれは正しいと言ったら、国連成り立たないですよ。訂正してくださいよ。
  247. 田浦直

    委員長田浦直君) もう時間が過ぎておりますから、簡潔に答弁してください。
  248. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) いや、訂正をする必要はございません。  先ほど私は明確に合議体だというふうに申し上げました。つまり、一つ一つの国が解釈をしながら合議体として決めるわけでありますから、安保理が決めるという、先生のおっしゃっているとおりであります。
  249. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それは当然なんですよ。ただ、今大臣が述べているのは、結局、アメリカ、イギリスの解釈、それは世界の一部でしかありません。それと日本が同じだというだけで、全く別の解釈、考え方に立つ、しかもそれは、国連安保理の中では有権解釈を構成するフランスや中国やロシア、そういう国々の立場、これと真っ向からぶつかる。したがって、日本国連決議の累次云々ということは成り立たないんですよ。  そのことを申し上げまして、時間になりましたので、終わります。
  250. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 官房長官にお願いいたします。  政府は、自衛隊イラクへの派遣決定までに十四回の政府調査団を派遣したと報じられております。その中でイラク治安状況等をいろいろとお調べになったことと思いますが、陸上自衛隊の派遣先をサマワに決定した理由について簡潔に御説明ください。
  251. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) なぜ陸自を送るところをサマーワにしたのかという大田先生からのお尋ねでございます。  政府としては、当時、何回かにわたって調査を今お話しのように行いまして、その結果を踏まえて、サマーワを含むイラク南東部は、電力、それから水、医療などの社会基盤の整備に大きな問題を抱えている、つまりそういったニーズが非常にあるということ、人道復興支援の必要性が一言で言ってしまえば大きいということで、一方で、イラクの国内でも、他地域に比べますと治安面においてそれまでの事件の数が比較的少ない、相対的に少ない、そして安定的な治安状況が続いているということで判断をしたわけでございます。  御案内のように、非戦闘地域という厳しい要件がございますので、それを満たしながらイラク特措法に基づく活動実施することが可能で、それが適切だという地域としてこのサマーワを選んだということで、当然いろいろな候補地があったのはもう先生も想像に難くないところであります。
  252. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 なぜこういう質問をするかと申しますと、実は二〇〇六年新年号の雑誌「日本の風」の中で、放送大学の高橋助教授が自衛隊の派遣先をサマワとした背景について述べております。  その高橋助教授によりますと、自衛隊がどこで活動するかが問題になっていたときに、北部はどうかとクルド人勢力が打診してきた事実は存在すると。北部ならば治安は比較的に安定しているので安全であり、クルド人勢力も全力を挙げて自衛隊を守るとの提案があったと。しかし、実際にクルド地域を選択したのは韓国軍であって、自衛隊はサマワを選択したが、それは、日本の財界がイラク南部の石油開発利権の獲得を目指しており、そのために南部が選ばれたとの見方が一部にあると指摘しているからであります。  このような財界の意向を考慮なさったというのは事実でしょうか。
  253. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) イラクにはいろいろなところに石油がまだ未開発のままでございます。実はクルドにもあるとも言われております。したがって、今先生御指摘のようなことが判断の材料になったということは考えられないというふうに思います。
  254. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 前回の本委員会での質問と若干重なるわけでございますが、日本の基地から米軍が戦闘地域へ出動するという場合には事前協議の対象になると我々は理解しているわけなんですが、実は、つい最近、岸総理のときにこの事前協議について密約があって、それで必ずしもそのことが対象にならないというようなことが新聞で報じられております。  これまで、どなたでも結構ですが、沖縄基地からこのイラクの戦争にどれだけの米軍が出撃したのか、まあ出撃という言葉が嫌いですと、嘉手納の基地あるいは沖縄の基地からイラクの基地へ移ったという外務省はそういう言い方をしているわけなんですが、どれくらいの軍隊が移動したんですか。
  255. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 規模については承知をしておりませんけど、海兵隊と米国の戦闘機がイラクの方に派遣されたというふうに聞いております。
  256. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、沖縄から海兵隊やあるいは空軍、ヘリ部隊とかがイラクの戦争に参加したというのは、沖縄から見ているとこれは戦闘への、明らかに沖縄基地を利用して戦闘へ参加したと見られるわけなんですが、これも、前回の委員会のように、戦闘に参加したのではなくて沖縄の基地からイラクの基地へ移動しただけの話だから事前協議の対象にならないというふうにお考えでしょうか。
  257. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的にはならないと思います。
  258. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、事前協議の対象になるようなケースというのは、例えば日本本土の基地から、日本の基地から、米軍基地から米軍が出ていく場合に事前協議の対象になるようなケースというのはどういうケースですか。
  259. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、例えば沖縄が爆撃された、隣国から、どことは言いませんけど、それに対して沖縄の米軍基地からその攻撃した国に対して攻撃をするというようなことはあり得るんじゃないでしょうかね。沖縄が仮に侵略されたとか、そういったことならあり得るんじゃないかということでしょうか。
  260. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 確認させてください。これまで、もう事前協議制度が設けられてから随分長い期間たちますが、これまで一度でも事前協議制度が適用されたことございますか。
  261. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これ防衛省じゃなくて外務省かもしれませんけれども米軍が沖縄から本土に引き揚げる、あるいはよその地域に移っていく、これについては何ら日本政府の運用の問題じゃないわけですよ。行った先でどういう命令を受けて出ていくか、これはまた米軍の話でありまして、沖縄から直接出撃して戦闘に参加するという場合だったら、我が国の基地を提供している我々としてはこれは非常に重大関心事を持って対応しなければなりませんけれども米軍がいったん洋上に行って、そこから新たな命令を受けてどこに行くかというのはこれは米軍の運用上の問題でありますから、我々としては、基地を提供している日本政府としては、それから先のことについては直接の関係はないという、そういう仕切り方をしておる方がはっきりしていると思います。
  262. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、防衛大臣は、沖縄から出ていった米軍というものは、イラクで戦争に参加しているとはお考えにならないわけですね。
  263. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは、出ていったその部隊がその出ていった部隊としてやっているか、あるいはだれかの隷下に入ってそこで、例えば中央軍の隷下に入ってそこの命を受けて攻撃をするか、それはまた別の話でありまして、沖縄の米軍の命令に基づいて出撃するならば我々としては重大関心事を持っておりますけれども、いったん違う隷下に入ってしまうということになりますと、それは米軍の運用の問題でありますから、それは我々としては関与すべき話じゃないと思います。
  264. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これまで何度も地位協定の改定というのが地元からお願いされて、要請されているわけなんですが、もう毎度、地位協定の改定は難しいから運用面でやるということを政府はおっしゃっているわけなんですが、今のように明らかに沖縄の基地からイラクへ出撃するとしか言いようがないわけなんですが、そういうのが事前協議の対象にならないとすれば、事前協議意味合いというのは何のためにつくったんですか。
  265. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 確かに、在日米軍がどこかに移っていったためにここが空白になってしまって抑止力が極端に低下するということになるならば、それは我が国としてもそれなりのことは考えなきゃなりませんが、それは今までだって、在日米軍の海兵隊がよそに、オーストラリアならオーストラリアに出掛けていって向こうで訓練をやるというときは、こちらは空白状態になるわけですけれども、その程度の範囲で半分の部隊が残っているとなれば、そこまでは従来から一々協議せずにやってきているわけでありますから、そういう意味では協議の対象にはならないと思ってもそれほどの問題にはならないと思います。
  266. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今おっしゃるとおりに、沖縄の米軍が、やれフィリピンに行ったとかオーストラリアに行ったとかニュージーランドに行ったとか、明らかにその行き先が明確である場合は今おっしゃるとおりでいいと思いますが、明確にイラクへ行っているということが分かっている場合、それでも、単に沖縄という地域からイラクという地域へ移動したということで事前協議の対象にもならない、これはもう運用面で構わないんだという、そういう発想をなさると、やはり基地を抱えているところでは非常に不安が高まるわけなんですね。ですから、その辺は是非もっともっと真剣にお考えいただきたいと思います。  次に伺いますが、外務省にお願いいたします。午前の本委員会での同僚議員の質問と若干重なるところで恐縮ですが、お願いいたします。  イラク戦争の開戦以来、これまでの米兵らの死亡者については三千四百三十五人、民間人の犠牲者は六万四千七百七十六人、最大七万九百三十四人であることが明らかにされました。  そこで伺いたいのは、ではイギリス軍と、米英軍を除くいわゆる多国籍軍、そしてイラク軍及びイラク警察軍の兵士が一体どれくらい犠牲になったか、教えてください。
  267. 奥田紀宏

    政府参考人(奥田紀宏君) 米軍、英軍、米英軍を除いた多国籍軍死亡者数でありますけれども、これは、米NGOのイラク・コアリション・カジュアリティー・カウントというところの計算によりますと、六月四日現在で百二十八人という統計が出ております。それから、イラク軍でありますけれどもイラク軍及びイラク警察の死亡者数でありますけれども、同じそのイラク・コアリション・カジュアリティー・カウントというアメリカNGOによれば、同日、本年六月四日現在、合わせて六千九百三人という数字が出ております。
  268. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これはイラク軍ですか、警察ですか。
  269. 奥田紀宏

    政府参考人(奥田紀宏君) 失礼しました。これは、合わせた数が六千九百三人です。イラク軍とイラク警察を合わせた数が六千九百三人と出ております。
  270. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 内訳は分かりませんか。
  271. 奥田紀宏

    政府参考人(奥田紀宏君) 済みません、現在、手元では分かりません。
  272. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 同じく外務省に、外務大臣にお願いいたします。  ただいま御説明がありましたように、イラク戦争によって尊い多くの人命を失っているわけですが、それだけでなく、テロが続発し、宗派対立が深刻となり、治安はますます悪化する中で、市民とすれば身を守るには民兵に頼るほかはなく、電気や水にも事欠く生活を強いられて、国の機能が麻痺しているというのが現状ではないでしょうか。  外務大臣は、これまで米軍が軍隊を増派したり、それから日本自衛隊が後方支援活動をするとか、多国籍軍が懸命になって治安回復とかあるいは復興とかの問題に取り組んでいるわけですが、依然としてこのような悪い状態が続いている、その根本的な理由は何だとお考えでしょうか。まあ難しい問題だと思いますが。
  273. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) その国の戦闘状態がいろいろな要素で継続ということになる例というのは、これはもう誠に同じ国の中でも地域によって随分差があると思いますんで、これは、大田先生、一概にこれが理由というのはちょっとなかなか言えないと存じます。
  274. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛大臣にお願いいたします。  くどいようで大変申し訳ございませんが、先日、海上自衛隊を普天間の代替施設・区域の環境事前調査のところへ派遣したことについてお伺いいたしました。その海上自衛隊の掃海母艦を派遣した理由についてお伺いしたところ、防衛大臣は、防衛省と言ってもいいですが、国家行政組織法第二条二項による省庁間の協力であると御説明なさいました。  そこで伺いますけれども、過去において同法第二条二項を適用して自衛隊を派遣したケースがこれまでありますか。あったとしたら、どこで、いつ、何件くらいのケースがございますか。
  275. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 各年の統計はちょっと今手元にございませんけれども、例えば北海道の沿岸部におきます海氷の観測、これは気象庁さんに対する協力でございます。それから、地図作成のための航空写真の偵察、これは国土地理院さんに対する協力です。それから、硫黄島戦没者遺骨の収集に対する人員の輸送等の支援、これは厚生労働省さんに対する支援でございますが、などがございまして、相当多岐にわたった官庁間協力を行っております。
  276. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 この事例の場合は、今申し上げた国家行政組織法第二条を適用してのことですか。
  277. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 国家行政組織法第二条第二項のいわゆる官庁間協力の精神を踏まえて海上自衛隊協力をした、あるいは各自衛隊協力をしたということでございます。
  278. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 趣旨を踏まえてということじゃなくて、そういう要請を受けてこの法律に基づいて派遣したということですか。
  279. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) これは、当然、各省庁からそういう協力要請を受けて、当方としては、御答弁をしたかと思いますが、公共性等基準に照らして協力が可能であるということであって、協力をしたわけでございます。
  280. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これは理事会事項だと思いますけれども、お願いですけれども、後で結構ですので、具体的に今のケースについて、事件ごとに、派遣先の事例ごとに、だれがどういうふうに要請してどういう形で派遣したと、何名派遣したというような形の資料を提供していただけたら有り難いと思います。ひとつよろしくお願いいたします。  それで、防衛大臣に改めてお伺いしますけれども、国家行政組織法第二条二項はあくまでも省庁間の仕事の連携を決めたものであって、今回のケースのように自衛隊を環境調査の事前調査の場合に派遣が可能なのか。そこで、もし、せんだって質疑応答の中で大臣は、今回の派遣は不測の事態も念頭に置いてのことという趣旨のこともおっしゃいました。あるいはまた、掃海部隊の潜水技術を使う必要があったからということもおっしゃっているんですが、そのうちのどちらなのか、あるいは両方なのか、教えてください。
  281. 久間章生

    国務大臣久間章生君) まず、「ぶんご」をあの地域に出したことにつきましては、いろんなことがあり得るのであそこで待機するようにという、そういうような命令を私が出しております。これは潜水夫を使うとか具体的な話ではございません。これはもうあらゆる事態に対処するためにあの地域まで出掛けることについてそれを命じたわけであります。  それで、一方、潜水夫を使っていわゆる器具を設置した、これは防衛施設庁から依頼を受けて海上自衛隊が適切にそれに対応したということであります。  それと、省庁間協力が法律上ははっきり書いてありますけれども、省庁間ができて省内ができないということはあり得ないわけですね、法律解釈からいって。だから、その精神にのっとりましてという答弁を事務方からしているわけであります。そういう整理の仕方でございます。
  282. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 民間にこの種の事業を委託する場合は、当然民間の受託をする会社というのは潜水問題についても専門家たちが備わっていると思います。つまり、民間の企業に委託する場合にはそのような技術的な問題を解決できる民間に委託するのが通常だ、普通のことだと思いますが、今回の事前調査を受託した民間の会社というのは潜水作業に習熟していなかったのか、それからその受託したのは県内の企業なのかそれとも県外の企業なのか、差し支えなければ教えてください。
  283. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは調査、大掛かりでございますから、全国からそういうふうな能力を持った会社として、東京の会社だと思いますけれども、それが入札で取っております。
  284. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今回の環境の事前調査にどれくらいの予算を組まれたんですか。
  285. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 機器設置関連で大体、大ざっぱですけれども、二十三億円です。
  286. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 なぜこういうことをあえてくどいみたいに質問するかといいますと、自衛隊の任務について自衛隊法第三条には、「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」とあります。  これを踏まえて自衛隊治安出動も行われるわけですが、治安出動に当たっては、第七十八条、命令による治安出動において、「内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもつては、治安を維持することができないと認められる場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」と規定しています。また、第八十一条、要請による治安出動においては、「都道府県知事は、治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合には、当該都道府県の都道府県公安委員会協議の上、内閣総理大臣に対し、部隊等の出動を要請することができる。」とし、同条二項では、「内閣総理大臣は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊等の出動を命ずることができる。」と規定しています。  つまり、内閣総理大臣自衛隊治安出動を命じることができるとされていますが、今回の派遣は総理大臣御存じですか。それとも、防衛大臣の御意思だけで決めたことなんですか。
  287. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今述べられましたような防衛出動、治安出動、あるいは、それ言われませんでしたけど、海上警備行動、これら実力組織としての力を発揮する、そういう自衛隊の行動については、法手続がきちんと法定されております。しかしながら、そうでない一般的な本来の任務に支障のない範囲においてやれることについては、書いてないことがたくさんございます。  例えば、雪祭りでもそうであります。あるいはまた、先ほど言いました流氷の調査、あるいは硫黄島への、慰霊団の人たちが行くときの、それの慰霊祭を行うための輸送を厚労省から要請される、そういう場合については今みたいな要式行為は必要としてないわけでありまして、そういうことを考えますと、今回の潜水を行ったというのがそれから見たときにどうかというふうに考えますと、決して実力組織としての公権力の行使でないというふうに考えればそれほどの問題ないということは御理解できると思います。
  288. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今回の普天間の代替施設の建設については地元では大分反対運動が強いということは、これは大臣政府もよく御存じのことでございますが、それを北海道の雪祭りなんかと一緒にされてしまうとちょっと無理があるのではないかというふうに思います。  さて、去る六月四日付けの朝日新聞は、日本が米国の最新鋭ステルス戦闘機F22ラプターを大量配備するのではないかとの危機感が中国や韓国に広がっている、日本は何も決めていないと説明するが、中国や韓国の不信感は解けないと報じています。  去る二月十七日から五月半ばまで、一時的ながらこの世界最強の戦闘機と言われるF22ラプター十二機が嘉手納に駐留しましたが、その経緯について説明してください。そしてまた、今後ローテーションの形でまたも嘉手納に持ってくるつもりなのかどうか。それから、政府はその件について事前に地元と話し合っていたかどうかについても教えてください。
  289. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 経緯と言われましても、アメリカが新しいそういう戦闘機を沖縄に持ってきて、いろいろテストも含めてフライトやったんだと思いますし、そしてまた日本との共同訓練も実施いたしました。私に言わせますと、いい飛行機だぞということをPRもしたかったんじゃないかという思いもいたしておりますが、いずれにしましても、日本に一時的とはいいながら持ってきた、その内容についてはつまびらかではございませんが、確かにいい戦闘機だなというのは分かりました。
  290. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 アメリカの、米軍の再編問題で、沖縄の基地を削減するとか、やれ八千人の海兵隊をグアムに移すから沖縄の基地は削減されるんだと、沖縄の県民は喜ぶんだという趣旨の御発言がしばしば政府から出てきますが、今申し上げたように、世界最強の戦闘機と言われるのがローテーションで沖縄に絶えず来るような形になってしまうと、これは過去においてあれだけの戦争の犠牲を出しながら、まだ戦争の教訓を何も学んでいないのかということになるわけなんですね。ですから、その辺りは是非真剣にお考えいただきたいと思います。  さて、前回のこの委員会で、高校教科書から、集団自決と関連した旧日本軍の関与について、その検定であいまいな形になっているという問題について触れました。そして、私は、アメリカのブルームバーグという会社が世界の百三十国約三十万人の顧客と約四百社の契約社に対してこの教科書問題についての記事を配信したということに触れました。  さらに、ニューヨーク・タイムズとかインターナショナル・ヘラルド・トリビューンというアメリカの大きな新聞もこのことを取り上げているわけなんですが、今日現在、沖縄の十七の市町村議会がこのことについて撤回すべきだと、つまり、検定で軍の関与というものをあいまいにした、あるいは軍の関与はなかったという趣旨の表現を撤回すべきだという意見書を採択したということが報じられておりますが、官房長官、政府はこのことについてどのような対応をお考えでしょうか。
  291. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) もう御案内のように、日本の教科書は、これ国家決定ではございませんで、なおかつこれは文科省においてやっていることでございますので、私がお答えする立場にはないというふうに思います。
  292. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 前にも安倍総理にも伺いましたけれども、私は歴代の総理の沖縄認識、沖縄に対してどういう考え方、どういう見方をしているのか、それによって対沖縄政策が随分と異なってくるという趣旨のことを申し上げました。  官房長官は総理をお助けしていろいろと沖縄政策にもかかわっておられるわけなんですが、官房長官は、沖縄戦についてこれまで何かお読みになったりスタッフからレクチャーを受けられたりして、沖縄戦でどれだけの住民がどういう形で犠牲になったかということについて何か御存じでしょうか。
  293. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) もちろん、学校でいろいろ習ったのは、小中高、まあ大学は余り教えてくれなかったような気がしますが、ございますし、自ら書物をひもといたこともございます。それから、何よりもやはり、沖縄にお邪魔をした際に、現地に赴いたときに、どういう戦闘があったかというのをつぶさに見せていただいて非常に深い思いを持ったところでございまして、二度と悲惨なことが、同じようなことが起きないようにしなければいけないなということを感じたところでございます。
  294. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 政府の言わばかじ取り役として、官房長官、基地がある方が軍事的に安全とお考えですか、それとも基地がない方がそこに住んでいる一般の人々にとって安全とお考えですか。どちらですか。
  295. 田浦直

    委員長田浦直君) 塩崎官房長官、もう時間過ぎていますから、これ最後の答弁にしてください。
  296. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 沖縄の皆様方に米軍の基地のかなりの部分が集中をしているということで長い間御苦労をお掛けしてきたというこの厳然たる事実は、私たちの胸にいつも刻んでおかなければいけないと思っています。  一国の安全保障の問題は、これはこれとしてしっかりと考えていくわけでございまして、当然、今回の米軍再編についても、沖縄の皆様方やそれぞれ全国にある米軍の基地の周辺にお住まいの皆様方の負担の軽減というものを図りながら、我が国全体の安全を図っていくためにこの抑止力は維持をしていくということは原則でございますので、それについての御理解を賜られるように、丁寧に現地の皆様方にお話をさせていただきながら御協力をお願いをしていくというのが政府の基本的な姿勢でなければならないというふうに思っております。  いずれにしても、丁寧に、しかし国全体のことも考えながら、しっかりと御理解を賜れるように努力を重ねていくというのが我々の考え方でございます。
  297. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  298. 田浦直

    委員長田浦直君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時散会