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石破委員 久間
大臣が一生懸命取り組んでおられますミサイルディフェンスについて、効果がないじゃないかとか、費用対効果から見たらどうかとか、本当に当たるのかねとかいうことをおっしゃる方があります。
私は、ミサイルディフェンスが万能だとは思いません。ミサイルディフェンス、そしてまた避難をきちんとやること、訓練をちゃんとやること。北欧の国はそうやって冷戦を生き延びてきたわけですからね。そんなことやりたくないというのは、私はそれはあるべきだと思いませんよ。そしてまた、日米の信頼関係をきちんとしていくこと。その三つが重層的に重なっていってきちんと抑止力が担保できるんだということを言うことは、私は
政治の責任だと思っております。
例えば、大戦中に高射砲というのがありましたよ。B29が飛んでくる、これを落とさねばならぬということで高射砲があった。ある程度の効果はあったわけですね。高射砲要らないという人はいなかったわけです。ミサイルというのは、決められたとおりに飛んできますので、ある
意味、飛行機よりは落としやすいという面もあるわけですよね。そのこともきちんと考えていかねばならぬのではないかというふうに思っておるわけであります。
なぜ持たなくてよいのか、抑止力はどうやって維持するのかということをきちんと言っていただきたい、私はそのように思う次第であります。
次に、北朝鮮について一言申し上げたいと私は思っております。
六カ国協議が始まる、
我が国としても
総理の強いリーダーシップのもとで毅然とした態度で臨む、大変によろしいことだと思っております。
私が何で
防衛という仕事をやるようになったかといえば、それは、北朝鮮という国をこの目で見た、それが一番大きな理由なのであります。
金正日のお父さんであるがところの金日成、これの八十歳の誕生日ということで、超党派でチャーター機を仕立ててお祝いに行くという
時代がありました。
平成四年のことだったと思います。
私
たち日本海側で育ちました者は、この海を渡ると恐ろしい国があるよと教わって育ちました。そしてまた、海岸には、怪しい人を見たら警察へという立て札を見て育ちました。それは、我々
日本海側に育った者は、北朝鮮という国に対して決して好感は持っていなかったけれ
ども、見ないで批判することはいかぬだろうと思って、見に行きました。
そこで見たものは、徹底した反日であり、そして徹底した個人崇拝であり、そして徹底した
国民の管理でありました。この国は、いつの日か、
我が国にとって、地域にとって、
世界にとって脅威になるに違いないと思って、私はそのときから
防衛をやるようになった、私ごとをお話しして恐縮であります、そのように思ってまいりました。
どういう国なのか。非難することは簡単です。しかしながら、あえて申し上げます。私は自民党の
会議でも申し上げるのですが、「昭和十六年夏の敗戦」というお話をしました。あのときの
日本と何が違うのか、どこが違うのか。鬼畜米英と言いました、米英は鬼である。そして、
日本は神の国である、大和魂もってすれば恐るるに足らず。欲しがりません勝つまでは。ぜいたくは敵だ。足らぬ足らぬは工夫が足らぬと言って、そう言ってきたのではありませんか。
つまり、我々の
政治の
目標というのは、
国民が飢えに泣かない
国家をつくりたい、病気になれば、けがをすれば、ちゃんとお医者さんにかかれる
国家をつくりたい、望めば
教育が受けられる
国家をつくりたい。大それたことじゃなくて、
政治の
目標はそういうものであり、
政府も
国家も
国民のためにあると思っていますが、かの国は多分その逆なのでしょう。
国民が飢えに泣こうが、
教育を受けられまいが、お医者さんにかかれまいが、
国家体制を維持するためには我慢しなさい。何がそれを可能にしているかというと、かつての
日本がそうであったように、今は戦時なのだ、戦争なのだ、あの
アメリカが攻めてくるのだ、だから
国民よ耐えよということでもっているのではないですか。
しかし、お金はありませんから、例えば、戦闘機一機維持するのは物すごいお金がかかるわけですね。我がF15戦闘機、一時間訓練するのに二百万円かかる。一機百億円しますが、一時間訓練するのに二百万、これを年間百五十時間飛ばしているわけですね。きちんとした空軍を維持する、
我が国でいえば航空自衛隊ですが、大変なお金がかかる、海でも陸でもそうですよ。あの国にそんな力はないがよってに、体制を維持する道具として、ミサイルを飛ばし、核を持ちということをやっているわけですね。体制維持の道具であるわけです。拉致というのだって、彼らに言わせれば軍事作戦の一つだったかもしれない。
これをどうやって解決するのかというのは、そんなに私は容易なことだと思っていないのであります。六カ国協議は、各国の関心がそれぞれ違います。私は、拉致を解決する、当然のことです。
総理、官房副
長官をお務めのころ、一緒に拉致議連というものをやった。国際的な圧力を加えていかねばならないけれ
ども、
我が国はきちんとしたというよりは徹底した対話と徹底した圧力。中途半端な援助をするから、それは、将軍様がありがたくも下げ渡すぞということで
国家の求心力を維持することにしかならないわけですね。体制を崩壊させるというのはどういうことなのか、かつての
日本がどのようにしてこの民主主義
国家に生まれ変わったかということも私
たちはきちんと念頭に置く必要があるだろうと思っております。
御
答弁は要りません。もしあれば後ほどいただきたいと思います。
次に、米軍再編について申し上げます。
この国会に米軍再編に関する法案が提出をされます。この法律は、どうしてもこの国会において我々全力を挙げて成立をさせねばならないものだと思っています。理由は二つあります。一つは、この法律をつくることによってあの沖縄の
負担がどれだけ減るか。八千人の米兵が引き揚げていく、そしてまた、家族も入れれば一万七千人引き揚げていく。沖縄の
負担を減らすためにもこの法律は絶対にやらなければいけないということが一つ。もう一つは、米軍がグアムに移ることによってこの地域の抑止力がさらに確保されるという点を我々は見逃すべきだと思っておりません。
すなわち、今の戦いというのはいきなり海兵隊が上がってというような戦いはしていないはずです。遠くからどれだけピンポイントで相手をたたくかという戦いになっているのであり、さすれば、司令部というのはミサイルから遠いところに置いた方がよりよいに決まっているのであります。そしてまた、兵力というのは分散した方がより抑止力を持ち、抗堪性があるはずなのであります。
我が国の独立と平和のためにも、地域の平和のためにも、そして沖縄の
負担を減らすためにも、この米軍のグアム移転というのは、どうしても全力を挙げて速やかに実施せねばならぬと思っております。
総理の御見解を承ります。(発言する者あり)