○長妻昭君(続) わかりました。今
議長からも御指摘がございましたので、さらにわかりやすくお話をします。
つまり、柳澤大臣の不信任の
理由、コンピューターへの入力漏れの件数を隠している、こういうこともあるんです。この隠した数字は何か。
例えば、
社会保険庁東京事務局分室では、マイクロフィルム、手書き台帳を写真撮影したものを保管しております。厚生
年金四千五百巻、延べ一億六千万人分、
国民年金四百四十八巻、実数で九十万人分保管しております。その中で、ことし三月十五日から末まで、コンピューターには入っていないけれども、マイクロフィルム、手書きのものにありますかという問い合わせの中で、これが、個人照会受け付け三百五十八件あったうち六十一件が実際に紙データだけにはあった。一七%です。
平成十八年度一年間で、コンピューターにはありませんでしたけれども、マイクロフィルムにありますかという照会が、この分室に十万百九十四件寄せられております。このうち約一割から二割が発見されているとすれば、そう事務局の方は言われております。つまり、一年間で、東京だけで一万から二万件の入力漏れの可能性があるんです。この数字を、全国の数字を把握できるはずです、大臣は。それを出さないから不信任案を出していることであります。
なぜこの数字を出さないのか。もしこの数字を出すと、余りにも紙データとコンピューターの中身が違い過ぎるので、早く突合作業、紙データとコンピューターの中身を全件きちっと早急に調べよ、こういう
国民の声が沸き上がるのを恐れてのことではないんですか。
そして、柳澤大臣はもう一つ隠しておりました。
昨年八月からことし四月末まで
領収書で変更した人の総数。昨年の十二月末までの数字は八十四件出しましたけれども、ことしの四月末までの数字は出さない。突然、大臣決裁になったということです。
民主党への情報提示は、大臣決裁になりましたということでありました。
被害者の実態を把握するために、実態の事例が重要なんです。これも柳澤大臣不信任の
理由です。
そして、私がことしの二月十四日の衆
議院予算
委員会で柳澤大臣に、五十八歳通知で三十六万人が訂正
要求しているけれども、その訂正
要求を却下した人、受け入れた人、それぞれ何人ですかと言いましたら、調べると明言をいたしました。しかし、今もまだ出てきておりません。これも柳澤大臣不信任の
理由の一つであります。
五千万件のうち、生年月日の情報の抜けが三十万件あった。しかし、ほかの情報の抜けの件数は何件なのか、これも再三再四お尋ねしましたけれども、回答は一切ございませんでした。
あるいは、非常に重要なのが、
国民年金、捨てられたと言われております普通台帳でございます。捨てられた、そういう指令書、通知が出ましたけれども、実は、捨てていなくて、各社会保険事務所で持っているところもあるという話でございました。この埋もれた手書き台帳が発見されれば、多くの
被害者が助かる可能性も出てきます。これがどれだけあるのか調査を要請しましたけれども、一切出てきておりません。柳澤大臣、なぜきちっと出さないのか。
そして、これも
国会の
質疑で、柳澤大臣が進めたサンプル調査、つまり、
国民年金の手書き台帳、特殊台帳という一部はマイクロフィルムで保管されております。では、その特殊台帳がコンピューターの中身とどれだけ違っているのかサンプル調査をしてくださいと要請しました。そうしましたところ、当時はまだこれだけ大ごとになっていなかったので、柳澤大臣はサンプル調査を進めたわけです。三千件のサンプル調査が完了したということです。しかし、今大騒ぎになってしまったんで、そのサンプル調査の結果もふたをされました。柳澤大臣、なぜ隠すんですか。
きわめつけは、柳澤大臣も
提出を
国会で答弁した、ことし四月分の
社会保険庁の窓口調査の数字です。ここには、四月一カ月で救済された
被害者のうち、コンピューターには入力がなく、紙台帳のみに記録があった入力漏れの件数が記載されております。これも既に集計が終わっているのに一切出さない。これも担当者の方が、大臣決裁になっているので出せませんと私に明言をしているわけです。
そしてもう一つ、新たな実態を出さない問題もあります。
不在者
設定のでっち上げ問題。
社会保険庁はかつて、
国民年金の未納者を行方不明者に
設定して成績を上げようとした。この不正な処理が
平成十七年度一年間で十万四千七百七十人に上ることを
民主党の調査で明らかにしました。しかし、
平成十八年二月末時点で約七十八万人に上る不在者
設定の人のうち、でっち上げは何人いるのか。つまり、不在者
設定にされてしまうと、基礎
年金番号が付番されないんです。この七十八万人の基礎
年金番号が付番されていない方々、不正にでっち上げられた方は何人なのか、この調査
要求も昨年からしているのに出てきておりません。
そしてもう一つ、余り言われていない問題もございます。
年金受給は日本では申請主義です。しかし、
年金の受給の申請を忘れている方、たくさんおられるそうです。その申請忘れによる総額の金額というのは幾らなのか、社保庁に調査を命じましたが、音さたがありません。あるいは、マイクロフィルムに保管すべき紙台帳を捨てている件数、事例は何なのか、これも出してまいりません。ほとぼりが冷めたころにこれらの実態数字を
提出するとすれば、それは許されないことです。
そして、柳澤大臣の罪。五千万件を、いずれ統合されるデータだと、問題が大きくならないように隠し続けたことです。例えば、このように問題が大きくなる前、ことしの五月八日の本
会議の答弁です。柳澤大臣は、「徐々に統合されていく、そういう過程を経るものと思っております。 最終的には、もちろん残ります。残るのは、先ほども言ったように、亡くなられた方とか受給資格を得るに至らなかった方、」つまり、五千万件は全件問題ない、いずれ全部統合される、こういう間違った発言をしていたわけであります。
私のところには、極端な例でありますけれども、認知症の方の相談がございました。お父様が認知症で、会社をどこに転職して移ったか覚えていない、息子さんからの相談です。忘れた方やそういう方は、思い出さなければ永久に統合ができないわけです。
安倍総理の
平成十九年五月八日の本
会議の答弁。これは、柳澤大臣がきちっと問題を把握しない、危機感がないから総理がこういう答弁をするんだ、こういう実例を申し上げるわけです。その意味でも柳澤大臣の不信任、これを我々は出しているんです。
安倍総理はどういう発言をされたか。「すべての被保険者、
年金受給者に対して
納付記録を送付し点検をお願いすることは、大部分の方の記録が真正なものであることを考えれば、非効率な面が大きいのではないかと考えます。」と言われております。総理は、「大部分の方の記録が真正」、つまり正しい、こういうふうに明言されておられますけれども、「大部分」というのは何人なんですか、何人が間違っているんですか、それをきちっと把握してこういう発言をされておられるんですか。
次に、
政府の
対応の問題点を申し上げます。
政府・
与党ですね。
まず初めに申し上げたいのは、
政府には
被害者に対する謝罪が一切ありません。なぜ安倍総理が謝罪をされないのか。柳澤大臣が危機感がない、実態の深刻さをわかっていない、それも私は原因だと思います。
そして、
政府は、柳澤大臣も、
領収書以外でも
対応する、こういうことを言われております。しかし、第三者
委員会にゆだねる前に、
被害者がどのような状況なのか、実態解明と公表がまず重要なんです。そして、納付の立証
責任を厳格に加入者だけに求めるのではなく、
政府にも
責任を負わせる、
政府は基本的に加入者の証言を尊重して認定作業に努める、こういう基本姿勢がなければ、今と同じじゃないですか。第三者
委員会にゆだねるといっても、最終判断は
政府になるんですよ。こういう非常に甘い解決策に関する点でも柳澤大臣の不信任の
理由でございます。
そして、一つ申し上げたいのは、五千万件の解決方法の順番が違うんじゃないかということでございます。
五千万件の記録は、十年間統合できなかった記録です。データに何らかの問題があるものが多いと考えるのが自然ではないでしょうか。安倍総理は本日のメールマガジンに、「一年以内に全記録の名寄せを完了させます。」と非常に楽観的に書いておられますけれども、先ほどるる述べたように、統合できない記録もあるんです。まずこのデータを直すのが先決です、壊れたデータを直すのが。そのためには、紙台帳に徹底的に当たって、コンピューターのデータを訂正するというのが非常に重要な対策になるんです。まず
社会保険庁の中のデータをきちっとしなければ、どうやって
国民に示せるんですか。(
拍手)
このやり方を申し上げます。
簡単に言えば、紙台帳の記録とコンピューターデータを照合して、データを修正するわけです。これに関して柳澤大臣は、期限も明示しない、手法も明示しない、この一番重要な対策に対する認識が欠けている、これも柳澤大臣の不信任の
理由です。
紙台帳、どういうものがあるのか。
厚生
年金の手書きの
納付記録では、名簿と言われるもの、原票と言われるものがございます。
社会保険庁によると、これらはすべてマイクロフィルムにとってあるということであります。そして、
国民年金でいえば、先ほど申し上げましたように、ほとんどの手書き台帳は捨ててしまった、しかし特殊台帳だけはマイクロフィルムに残っている、こういうことでございました。
そして、市区町村の被保険者名簿。これは、市区町村が
年金を、
保険料を集めていたころ、
国民年金でございますけれども、市区町村の手書きの被保険者名簿というものがある、しかし捨ててしまっている自治体、二百以上の自治体が捨ててしまった。どの程度保管されているのか緊急調査すべきじゃないんですか。
この被保険者名簿の中には、マイクロフィルム化されているものもあります。紙のものもあります。そして、非常に重要なのが、埋もれている手書き台帳です。これは、社会保険事務所全部、隅から隅まで捜していただいて、どの程度埋もれている手書き台帳があるのか、これを緊急調査する。
以上、申し上げた紙の情報すべて、コンピューターのデータと突合していただきたい。そして、コンピューターの中身を正しくする、これが非常に重要なんです。そして、紙テープも保管している事務所があるそうでございます。紙テープなどの古い媒体もすべて発見をして、コンピューターデータを直していただきたい。
これら重要な対策の期限、私は、先週の金曜日にも、先日の
厚生労働委員会でも、この点の期限を、再三再四にわたって柳澤大臣に期限のめどを質問しました。しかし、言えないの一点張りでした。うやむやになり、実施されないおそれが大きいと私は危惧します。
平成二十二年一月、日本
年金機構移行時までも無理だ、こういう趣旨の発言をしております。信じられません。
私は、期限のない約束に、期限のない
政府の約束にこれまで随分だまされてきました。何としても期限を言っていただきたい、これを申し上げたんですけれども、めどすら出せない。こういう根本的対策のめどの期限すら出せない大臣、不信任の
理由の大きな一つです。
大臣は私に、無理を承知で期限を聞いているんでしょう、こういう趣旨の発言をされましたが、社保庁に何年かかるか試算したまえと言ったらば、百年と言って出してきますよ、あの組織は。大臣がリーダーシップを持ってめどを示さなければ、この対策はうやむやになる可能性が高いということなんです。
そして、大臣は、御自身がよくおわかりになっておられないから、この作業は専門性が高い、だから
社会保険庁のOBにやらせる、こういうとんでもない焼け太りのような発言をされておられますけれども、この重要な作業は
年金の知識がなくてもできるんです。
つまり、私ども
民主党視察団が先週、マイクロフィルムが保管されている東京の分室に行きました。そして、私もその画面を見ました。つまり、マイクロフィルムが映っている画面、結構鮮明に紙データが、紙台帳が見られます。そのディスプレーの横にコンピューターの画面を置いて、そして本当に数字が合っているのか、きちっと入力されているのか、これを確認する作業なんです。つまり、
年金の専門知識なんて要らないんですよ。
今回の問題は大ざっぱな議論では解決しません。例えば、全省庁から人をかき集めて徹底的に照合作業をする、こういう選択肢もあるでしょう。民間企業は社員を多く集めて作業しますよ。なぜか。作業して
信頼回復しなければ民間企業はつぶれるからです。何をやっても大丈夫だからこれで逃げ切ろうと柳澤大臣が考えているとすれば、大間違いだ。
そして、五千万件を調査、突合する、これも
政府から出されておりますけれども、先ほど申し上げましたように、この突合の手法も、
平成十年度から十八年度までに実施した調査と同様の手法なんです。あなた様は抜けがありますか、こういう聞き方なんです。
しかも、この五千万件の調査、突合をすると言っておりましたけれども、私は耳を疑いました。きのう柳澤大臣の発言では、五千万件をすべて突合調査するわけじゃないんだ、二千八百八十万件だけの突合なんだ、こういう趣旨の答弁をされました。五千万件のチェック、突合というのはうそじゃないですか。二千八百八十万件以外は、従来どおり五十八歳通知などで申し立てがあれば統合する、これまでと同じじゃないですか。
こういううそを
国民の
皆さんについて、何が
政府の対策なのか。あいまいなまま逃げ切ることは絶対許されない。その意味でも、柳澤大臣の不信任を
提出したわけでございます。この際、五千万件をすべての受給者、被保険者に突合、チェックすべきではないんでしょうか。
そして、
政府は、ねんきん定期便ということを言われておられます。これは百億円もかけてやる事業だそうでございますけれども、しかし、基本的に被保険者全員に送る、あるいは受給者にも今後は加入履歴を送ると言われておりますけれども、被保険者に関しては、三十五歳、四十五歳、五十八歳だけには加入履歴を送る、それ以外の被保険者には、百億円もかけたにもかかわらず加入月数しか送らない。つまり、あなた様は厚生
年金が何百カ月ですよ。それだけじゃ抜けがわからないじゃないですか。あなた様は
国民年金が納付が何百カ月ですよ。それでも未納がわからないじゃないですか。そういうような非常に欠点がある。
我々は、コンピューターのデータを訂正した上で、受給者、すべての被保険者に緊急チェックをいただく、すべてに納付履歴を送って緊急チェックをいただく、こういうことを申し上げているわけでございます。
これら
政府が発表した
時効以外の対策らしきものに関して、再三再四、社保庁幹部に
説明を求めました、具体的な中身を。しかし、ナシのつぶてです。
法案が通れば、私どもに
説明に来ることさえしない。これは、ぼろが出るのを恐れての
説明拒否であれば、断じて許されません。
政府に緊急にお願いしたいこともございます。
現在、社会保険事務所が大変混乱しております。早急に、電話相談あるいは臨時事務所の増設など、混乱を招かないような、順番待ちを緩和するような、そういう対策をきちっとしていただきたい。
そして、もう一つ。柳澤大臣は本当に御存じなんでしょうか。インターネットで加入履歴は見られます、こういうふうに言われておられます。
社会保険庁も言われておられます。しかし、インターネットで加入履歴を見られるのは被保険者だけです。受給者は加入履歴が見られない。こんな欠陥のシステムを、あたかもすべての方が見られるように宣伝をする。
そして、
責任問題が置き去りであるというお話も申し上げます。
先ほどから申し上げております
国民年金の手書きの普通台帳廃棄通知、これは昭和六十年の九月に
社会保険庁から出されました。私は、この廃棄通知は問題があったのではないですか、
責任を明らかにすべきではないですかと柳澤大臣に聞きましたところ、いや、問題はなかったんです、コンピューターに入力したんだから捨ててしまってもいいんです、こういう趣旨の答弁をされました。こういう答弁、これも不信任の
理由の一つでございます。この通知の表題は、「新しい事務処理方式の実施に伴う
国民年金被保険者台帳の取扱いについて」という表題の通知でございます。
そして、市区町村への指導、これも問題がありました。
現在、
国民年金の手書き台帳である被保険者名簿、一千八百三十五市区町村のうち、一五%に当たる二百八十四市区町村は廃棄をしてしまったということでございます。それ以外の自治体にも、残ってはいるけれども一部しかないという自治体もある。なぜ
社会保険庁は
国民年金の徴収が自治体から社保庁に移ったときに永久保存を指示しなかったんだ。
民主党が
国会で消えた
年金問題を追及した後、昨年八月になって慌てて保存の通知を全自治体に出しております。これは遅いわけです。こういう
責任もうやむやにされました。
民主党は
平成十八年六月十六日、
厚生労働委員会でこの消えた
年金問題を追及しましたけれども、柳澤大臣、こういう答弁をしております。「記録というものをこちらから御本人に確認していただく仕組みは、おっしゃるように大事だろうというふうに思っております。」こういうことも言っておられる。しかし、何も手を打たなかった。
そして、村瀬長官には、昨年の十二月六日にも決算行政監視
委員会で消えた
年金問題を追及しました。日本じゅうの厚生
年金、
国民年金の被保険者と受給者全員に緊急調査、全員に
納付記録を送って緊急にチェックしていただく、こういう措置をすべきだと思いますが、いかがですかと聞きましたら、村瀬長官は答えをはぐらかし、何も手を講じなかった。
そして、昨年十二月十四日には、
民主党は、消えた
年金に関する予備的調査、これを衆
議院に
提出しました。
松本政調会長初め
民主党衆
議院議員四十三人の署名をもって
提出したわけです。ことし二月に回答がございました。多くは回答拒否でございますけれども、一部、
被害者の実例の記述もございますので、
与党の皆様も、衆
議院調査局にありますのでぜひ参考にしていただきたい。
そして、ことし一月二十九日には、
松本政調会長は衆
議院の本
会議で、「全被保険者、全受給者に
納付記録を送付して、緊急に点検をお願いし、
被害者の救済を進めるべきだと思います。」こういうことを安倍総理に質問をした。そうしましたら、安倍総理は「
年金記録についてのお尋ねがありました。
年金の支給を
決定する際には、従来から、個別に御本人に
年金の加入履歴等を確認していただいた上で
決定しておりますが、昨年八月から、
年金記録相談の特別強化体制をとり、すべての被保険者等の御疑問にお答えをしているところであります。今後とも、
年金に対する
信頼が損なわれることのないよう、記録の管理や相談等に万全を期してまいります。」と、全然問題の本質に気づいていなかった。この時点では、柳澤大臣は問題の深刻度に気づく
立場にあったのに本人は気づかず、総理にも進言できなかった、これも大きな不信任の
理由でございます。
そして、ことしの二月十四日予算
委員会、ことしの三月一日予算
委員会第五分科会、ことしの四月二十三日決算行政監視
委員会第三分科会、これらでも消えた
年金問題を
民主党は徹底追及しました。そして、この一年間の追及、調査の集大成として、ことしの五月七日、消えた
年金記録
被害者救済法を
提出した。しかし、この
法案をほとんど
審議しないで、何で
与党が出した、一日でつくった
法案を半日
審議で
強行採決するんですか。
そして、柳澤大臣の適切な進言がないことによって、総理が問題をきちっと把握していなかった。例えば、ことしの二月十四日予算
委員会で、
民主党の質問に対して、すべての被保険者、受給権者の皆様に
納付記録を郵送して、緊急
事態宣言をして、抜けがあるかどうかチェックしてくださいという趣旨でありましたけれども、安倍総理は「ただいま御
提案がありました緊急
事態宣言をすべての被保険者に出す、これは
年金そのものに対する不安をあおる結果になる危険性があるのではないか、」と。なぜ不安をあおるんですか。
そして、ことしの五月二十三日、安倍総理は私の消えた
年金問題の質問に対して、「今、長妻
議員からもいろいろとお話がございました。やはり
国民の皆様に不安を与えてはならない、私はこのように思うわけでありまして」と。その私がなぜ不安を与えるんですか、
国民の
皆さんに。
そして、
民主党が一年かけて練り上げた
法案、これを一顧だにせず柳澤大臣は暴走してしまいました。それも一つの不信任の大きな
理由でございます。
民主党の
法案は、まず第九条から十九条に、
年金個人情報関係調査監視
委員会を設置します。委員は五人、
国会同意人事です。厚生
労働省OBは委員になれません。
委員会はすべて公開でございます。そこで徹底的に
社会保険庁、第三条では調査を実施する。五項目に上っております。そして、報告書はすべて公表をいたします。そして、実際の記録の訂正、救済策の実施、これも四項目にわたってきちっと明記をされている。こういう
法案があるのに、なぜ柳澤大臣は全くこの
法案を無視して、実質的な解決をしないで、ふたをしようとされるんですか。
民主党は、
法案だけではなくて、消えた
年金被害者救済第一次緊急対策、これも出しております。
先ほど申し上げましたように、一刻も早く、紙データすべてとコンピューターデータを突き合わせて、コンピューターデータを徹底的に訂正する。そして、受給者、被保険者すべてに、あるいは二十五年未満で受給できない方にも、消えた
年金記録の事例があることを注意喚起するとともに、わかりやすい形で納付履歴を一斉に送付して、緊急にチェックを求める、こういう根本対策も柳澤大臣はとらないじゃないですか。それも不信任の
理由です。
そして、五千万件の統合を進める手法でございます。
未統合の持ち主不明の五千万件の
納付記録のうち、
氏名、生年月日、性別が受給者、被保険者約一億人と合致する記録及び合致すると推定される記録を取り出して、そのお一人お一人に当該記録そのものを個別に工夫してお示しをして確認を得る作業を実施するということなんです。
つまり、五千万件の記録で名前と生年月日と性別が同じものを取り出して、そしてシノダさんならシノダさんに、これはあなた様の記録ですか、これを工夫してお示しをする。昭和四十年何月何日から何月までこういう会社に勤めた記憶はありますか、あるいは、昭和五十年何月何日から何月何日まで
国民年金に入っておられませんでしたかと直接その方に工夫をしてお示しをして確認を求める、こういう手法をとらない限り、前に進まないと考えております。
そして、台帳閲覧、なぜ手書き台帳を
国民の
皆さん一人一人が、足を棒にして、どこの事務所にあるか捜し回らなきゃいけないんですか。これを、すべての手書き台帳に、索引簿をコンピューターにつけて、どこにその方の手書き台帳が保管されているのか、これを整備する、こういうことも柳澤大臣は一顧だにしない。
そして、特例納付。これの
被害者が多い。その傾向、これを徹底的に調査をする。柳澤大臣はこの点も一切認識していない。
そして、非常に重要な立証
責任。この立証
責任の質問も、山井
議員を初め、内山
議員を初め、多くの
民主党議員が柳澤大臣に聞きましたけれども、我々は満足のいく回答が得られないから
国会で問題にしているんじゃないんです。回答をはぐらかすから問題にしているんです。
この立証
責任、我々は、納付の証明を厳格に加入者だけに求めるのではなく、
政府にも
責任を負わせる。
政府は、基本的に加入者の証言を尊重して認定作業に努める、こういうことであります。
そして、申請主義という壁が日本にはございます。
現在、
年金受給は加入者がみずから書類をそろえて申請しなければ受給が始まりません。この厳格な申請主義を諸外国の事案も勘案しながら見直しの検討を始める。申請し忘れによる失われた受給額も多額に上ると考えられております。この申請主義に関する対策も、柳澤大臣、全く頭にない。ただただ、日本は
法律上申請主義です、申請主義です、こういうことをお役所の方も繰り返すばかりでございます。
そして、最後に、情報公開が必要でございます。
この
民主党の第一次緊急対策、この実施状況及び実施件数の進捗状況を随時公表するとともに、記録が回復された方の事例、件数、原因をすべて明らかにして、
被害者救済に資する情報として蓄積、公開する。これは非常に重要なことなんです。
ある意味では、窓口に来てくれ、電話をくれという姿勢ではなくて、みずから働きかける、みずから連絡をする、こういう姿勢が今回の
政府の案にも欠けているわけでございます。極端な話、寝たきりの方や認知症の方はどうすればいいんですか。
あるいは、証拠の検討も重要です。
例えば、所沢市の
領収書。所沢市は、かつて、
国民年金の
保険料を納付したときの
領収書、こういう記述がありました。「この
領収書は五年間保存してください」、五年間保存してくださいと書いてあれば、五年で捨ててしまった人もいるかもしれないじゃないですか。
領収書を持ってこいと言うのならば、当時から、受給のときまで持っていろ、持っていてくださいと書かなきゃだめじゃないですか。
こういう細かいことを、膨大な情報は
政府が握っているんです。
社会保険庁の手書き台帳にもコンピューターにもどこにも
納付記録がない、五十五人。原因不明は三十六人。これらのケースでは、二十歳で自動的に
国民年金の資格取得になるべき方がなっていないケースもありました。こういう傾向を分析して、そこを集中的に調べる。こういう手法もとることができるんです。
例えば、もう一つのケース。厚生
年金、これを資格喪失した方のうち、同日に自動的に
国民年金の資格取得となるべき方が取得となっていないケースもあるんです。こういうケースも集中して調べる。こういう姿勢が重要なんです。ポイントはいっぱいあるんですよ。
市町村から社保事務所に通知がないケース。納付書の番号が本人の番号ではない、こういうケースもあったわけであります。
そして、
社会保険庁の調査によると、非常に少ない数字でございますけれども、
社会保険庁の手書き台帳にはあるけれどもコンピューターには未入力、コンピューターにはなかった、十一人あったということであります。あるいは、市町村の被保険者名簿のみに記録があって、それが社保庁には伝達していない、これが十八人あったということであります。
我々は、ことし三月までの七カ月で門前払いをされた二万人の方への再調査を柳澤大臣に求めます。この再調査は、
国会で
民主党が再三再四、柳澤大臣に執拗に要請しましたけれども、大臣は拒否し続けております。
八十四人の方が
領収書で訂正をされた。社保庁には記録がない、門前払いされそうになったけれども、八十四人は
領収書を持っていた。しかし、その後、
民主党の追及を受けてよくよく調べたら、二十九人は
納付記録が見つかったじゃないですか。まじめに捜せば社保庁の中に記録があるケースもあるという実例があるじゃないですか。
門前払いした二万人の方への再調査をなぜ柳澤大臣はしないんですか。強い憤りを覚えます。これも不信任の大きな
理由の一つです。
以上、柳澤大臣の消えた
年金問題に関する不信任の
理由を述べました。
そして、最後に、その他の
理由を申し上げます。
もともと
社会保険庁問題は、
保険料浪費から端を発しました。
民主党の調査で、六兆円もの
年金保険料が
年金支給以外に使われたことが明らかになった。リゾート施設の観覧車やメリーゴーランドの建設にまで流用された上、職員のカラオケセットやミュージカルのチケット代にまで
保険料が浪費されました。
平成十六年二月二十五日、衆
議院予算
委員会で、当時、
与党年金制度改革協議会の座長であった自民党の
大野功統議員は、同協議会の
与党合意として、「我々は、
国民の皆様の大事な
年金の
保険料は
年金の
給付以外には絶対使わない、こういう誓いに達したわけでございます。」と予算
委員会で大見えを切りました。当日はNHK生放送もされており、
国民の皆様の前で
与党として公約したわけです。
年金流用しないと公約していながら、今回、これまで以上に流用を可能とする二つの
法案が柳澤大臣の手で
政府から
提出されました。
保険料の流用を、利便の向上に資する情報提供、
年金教育・広報、あるいは
年金相談その他の援助には可能とするという条文が追加されました。非常に抽象的で、また
保険料が浪費される何でも流用法とでも言うべきものです。天下り団体に仕事を与えるために、全国に
年金教育センターや
年金PRセンターなどができ、
保険料が食いつぶされることは明らかです。さらに、
平成二十年度以降、永久に
年金事務費に
保険料を流用できる
法案も、今回、柳澤大臣の手で
提出されております。
この
法律は
与党の公約違反だ。柳澤大臣は、その
提出に待ったをかけるべき
立場にもかかわらず、それを許してしまった。これも不信任の大きな
理由の一つです。
社会保険庁は、監修料という名目で
保険料をキックバックして、五年間で六億円以上の
年金や政管健保の
保険料を使い込んでしまいました。特に、社保庁職員の飲み食いに、
年金保険料ばかりか
政府管掌健康保険の
保険料、合計一億円以上が使われてしまいました。これも
民主党が明らかにした数字です。しかし、この発表数字よりも多くの金額が私は飲み食いに使われた可能性もあると考えますが、正確な数字はいまだ、
柳澤厚生労働大臣、出してきておりません。
本来は、使い込んだ六億円すべてを返却すべきと考えますが、いまだ一億六千万円しか返却されておりません。全額返却されるのが当然と考えますが、柳澤大臣はこの後始末の
責任から逃げております。これも不信任の大きな
理由の一つです。
柳澤大臣は、
納付記録の消失問題を初め、不祥事の後始末までほったらかしのまま、特殊法人に衣がえして逃げ切ることは断じて許されません。一連の
政府案は
年金責任逃げ切り法案だと私は指摘をしているところでございます。
柳澤大臣は辞職をして、とまっている実態解明、
責任問題の全容解明、そして消えた
年金問題のすべての
被害者救済を柳澤大臣の辞職によって前に進めるように強く要請します。
以上です。(
拍手)
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