○長妻昭君
民主党の長妻昭でございます。
民主党・
無所属クラブを代表して、ただいま
議題となりました
政府提出の
日本年金機構法案等、
民主党提出の
年金信頼回復三
法案について質問申し上げます。答弁が不十分であれば、時間の範囲内で再質問をしますので、よろしくお願いをいたします。(
拍手)
まず、総理に申し上げたいのは、年金百年安心プランというごまかしの看板をそろそろおろしていただきたいということです。まず、今の
年金制度は欠陥がある、安心できる
制度ではないと認めることからすべてが始まります。看板をおろして、失政を認める勇気を持っていただきたい。いかがですか。
年金不信を増大させた原因の一つに
社会保険庁問題があります。最大の課題は、未納を減らし、
保険料流用を禁止するなど
信頼回復にあります。
民主党はかねてより、年金の
保険料は税金と一緒に集める、社保庁を国税庁に吸収合併する歳入庁がベストであると
提言してまいりました。
ところが、昨年、
政府は、ねんきん
事業機構法案という社保庁の看板かけかえ策を国会に
提出しました。案の定、集中砲火を浴びてあえなく撤回。そして今回も、社保庁の
公務員は全員首にしますと、かけ声は勇ましいのですが、ふたをあけてみれば、社保庁を特殊法人に衣がえする
日本年金機構法案を
提出してきました。これでなぜ未納が減り、年金の
信頼回復ができるのか、意味不明でございます。
特殊法人にすれば問題が解決すると
政府は言わんばかりですが、これまで幾多の特殊法人で不祥事が発覚しました。今まで特殊法人にして成功した事例が一つでもあれば、具体的名前をお教え願いたい。
当初、
与党の中にも、
民主党の歳入庁構想を受け入れる議論がありました。しかし、厚生労働省や社保庁が、天下り団体を養う原資でもある年間二十一兆円もの
保険料徴収
権限を手放したくないと抵抗したと聞いています。
国民年金の被保険者のうち、三百五十万人が税金も払っています。厚生年金は百六十万
事業所が加入しています。国税庁とのダブり仕事を解消すれば、大幅に人員削減が可能となります。コスト削減と徴収効果を考えれば、歳入庁しかありません。米国、英国、スウェーデン、カナダなども
保険料と税金を一緒に集めて効果を上げております。
この際、安倍総理に申し上げます。官僚の抵抗を振り切り、メンツも捨てて、
民主党案に乗って問題を決着させようではありませんか。お答えください。もはや、これ以上の先送りは絶対にやめていただきたい。心から申し上げます。
民主党法案提出者には、なぜ歳入庁が必要なのか、
政府案との違いも含めて
説明を求めます。
社保庁で現在深刻なのは、
民主党の調査で数字が明らかになった、厚生年金や
国民年金の納めた
保険料の記録が消えてしまう問題です。
社保庁は、昨年八月二十一日から十二月二十八日までの年金記録相談の特別
強化体制の中で、
納付記録に漏れがあるとして訂正を求めた方のうち一万八百五十八人に対して、記録が残っていないとその申し出を却下しました。結果、救済されたのは領収書を保管していたたった八十六人だけ。実に、百三十人に一人しか救済されていません。
昭和四十年代、五十年代の領収書を保管している人はまれです。
納付記録の訂正申し出が却下された一万八百五十八人の記録を再度徹底調査すべきと考えますが、いかがですか。領収書によって救済された八十六人も、国会での追及を受けて三十一人分の記録が新たに発見されました。ずさんきわまりない。ぜひ再調査していただきたい。
昨年八月二十一日からことし三月三十日までの七カ月間で、全国の
社会保険事務所に約二百十五万人もの方が
納付記録について相談に訪れています。そのうち約二十八万人に
基礎年金番号への統合漏れがありました。本人が
納付記録の漏れを申し出なければ、受給額が減るところでした。実に全体の一三%です。厚生年金、
国民年金の被保険者は全体で約六千五百万人おり、一三%に統合漏れがあるとすれば、約八百五十万人は、自分で記録漏れを発見して申告しなければ受給額が減る可能性があるということです。
また、同時期、二万六百三十五人の記録訂正の申し出が却下されました。却下された方々のすべての記憶が正しいとすると、記録消失の
被害者は同時期相談のあった方の約一%です。厚生年金、
国民年金の被保険者と受給者合わせて約一億人ですので、一%である約百万人の記録が消えている可能性があります。しかも、
納付記録が消えていても記憶が薄れて指摘できない方もいるとすれば、
被害者はさらに膨らむ可能性があります。
記録消失推計百万人、統合漏れ推計八百五十万人、大きな問題であることを社保庁は認識していただきたい。社保庁としては、記録消失、統合漏れは何人程度と把握していますか。
被害者救済策とともにお尋ねします。
既に受給されている方も安心ではありません。多くの支給漏れが発生しています。
平成十三年度からことし二月末までの六年間で、二十二万人もの方が、社保庁の
納付記録ミスなどの理由で受給金額が
変更になりました。
被害者の全体は推計何人で、支給漏れの方々を救済するためにどのような対策を考えているのか、お尋ねをいたします。
民主党の調査で、
納付記録が
基礎年金番号に統合されていないものが、厚生年金、
国民年金合わせて約五千万件もあることが判明しました。
基礎年金番号の付番前に死亡された方などを除いて、この中には、だれの
納付記録か不明になり、統合できず給付に結びつかないデータも存在すると考えられます。これらのデータや、
基礎年金番号に統合できるにもかかわらず、いまだ統合漏れのデータは推計でそれぞれ何件あるのか、お答えを願います。
問題は大きく二つございます。一つは、記録が実際に消えてしまう問題。もう一つは、本人がすべての
納付記録を正確に覚えて申告しなければ正しい年金額が支給できないおそれがあるというとんでもない問題です。
納付記録が存在しても、
基礎年金番号に統合されていない場合、本人が気づき確認しなければ受給金額には反映されません。本来は、本人の申し出がなくても統合を進めることが当然です。社保庁は一部統合作業はしていますが、例によって大変いいかげんです。今後、
民主党の具体的アドバイスも受け入れて、全力を挙げて統合を進めることをまずお約束ください。いかがですか。
銀行でいえば、たった一人でも預金が消えていれば、その銀行には厳しい処分が下るでしょう。しかし、社保庁は危機意識に乏しく、これを指導する柳澤厚労大臣も問題の深刻さがわかっていません。
民主党は、せめて本日の法令
審議までには、予備的調査を初め調査要求の未回答分にきちんと答えることを要求していましたが、いまだ回答がありません。回答することをお約束ください。いかがですか。
また、
被害者救済のために、
民主党の消えた年金記録
被害者救済
法案を取り入れるべきと考えますが、いかがですか。これは総理にお伺いします。
民主党法案提出者には、消えた年金記録
被害者救済
法案の
内容について御
説明ください。
社保庁の記録は初めから間違いがないと信じている方が数多くおられます。この際、緊急に、全被保険者、受給者約一億人に、
納付記録が消えることがあり得るということを十分注意喚起した上で、全員に
納付記録一覧である年金加入履歴を送付して、漏れがないかチェックしていただくことを強く要請します。
政府のねんきん定期便は合計百億円の経費をかけると聞きますが、受給者は対象でない上、三十五、四十五、五十八歳以外は加入月数を通知するだけで、チェックのしようがありません。ぜひ、緊急に
民主党の
提案を
実施していただきたい。総理にお答え願います。
もともと社保庁問題は、
保険料浪費から端を発しました。
民主党の調査で、六兆円もの
年金保険料が年金支給以外に使われたことが明らかになったのです。リゾート施設の観覧車やメリーゴーランドの建設にまで流用された上、職員のカラオケセットやゴルフ練習場のクラブやボール、ミュージカルのチケット代にまで
保険料が浪費されました。
平成十六年二月二十五日、衆議院予算
委員会で、当時、
与党年金制度改革協
議会の座長であった自民党の大野功統議員は、大野さん、おられますか、同協
議会の
与党合意として、「我々は、
国民の皆様の大事な年金の
保険料は年金の給付以外には絶対使わない、こういう誓いに達したわけでございます。」と大見えを切りました。当日はNHK生放送もされており、
国民の皆様の前で
与党として流用はしないことを公約したわけでございます。
ところが、今回、これまで以上に流用を可能とする二つの
法案が
政府から
提出されました。
保険料の流用を、利便の向上に資する
情報提供、
年金教育・広報、
年金相談その他の援助には可能とする条文が追加されました。何でも流用法とでも言うべきものです。天下り団体に仕事を与えるために、全国に
年金教育センターや年金広報センターなどができ、
保険料が食いつぶされることは明らかです。さらに、
平成二十年度以降、永久に
年金事務費に
保険料を流用できる
法案も今回
提出されています。
自民党総裁でもある安倍総理にお伺いします。予算
委員会で全
国民の前で誓った
与党の公約をなぜ簡単に破るのですか。素直に二つの流用法を撤回し、
年金保険料は年金の支給だけに使うという鉄則を打ち立てていただきたい。いかがですか。撤回しないのであれば、安倍総理に公約破りの
責任をおとり願いたい。お答えください。本来は大野議員にもただしたいところです。
民主党法案提出者には、
民主党の
年金保険料流用禁止法について
説明を求めます。
社保庁には、不祥事の後始末がいまだ数多く残っております。
民主党の指摘で明らかになった
国民年金の未納者を行方不明者にでっち上げる問題。未納者を切り捨てて未納率を減らす、成績アップを
目的とした
犯罪的
行為です。行方不明者となる不在者設定をされると、通知など一切届かなくなります。
平成十八年二月末現在で約七十八万人いる行方不明者のうち、不正に行方不明とされた方は何人おられるのか、お示しください。
民主党は、一年近く前から調査要求をしております。
責任のとり方とともに、お答え願います。
社保庁は、監修料という名目で
保険料をキックバックして、職員の飲み食い代など、五年間で六億円以上の年金や政管健保の
保険料を使い込んでしまいました。しかし、いまだ一億六千万円しか返却されておりません。全額返却させるのが当然と考えますが、いかがですか。これは総理にお伺いします。
政府・
与党は、社保庁に甘過ぎます。
納付記録の消失問題を初め、不祥事の後始末までほったらかしのまま、特殊法人に衣がえして逃げ切ることは断じて許されません。一連の
政府法案は、年金
責任逃げ切り
法案と言わざるを得ません。安倍総理の反省の弁をお願いいたします。
国の二つの保障、安全保障と社会保障、どちらも重要です。社会保障の切り捨てによって全国からわき上がる悲鳴にも似た声をよく聞いてください。現場を歩いてください。頼るべき
最後のよりどころが年金なのです。安倍総理におかれましては、
責任を自覚して、自分の言葉で答弁をお願いいたします。
以上です。(
拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕