○森本哲生君
民主党の森本哲生でございます。
質疑に入る前に、長崎市伊藤
市長の今回の
事件、悲しみと同時にいたたまれない気持ちでございます。心より御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。
それでは、
民主党・
無所属クラブを代表し、ただいま
議題となりました
地方公営企業等金融機構法案について
質問をさせていただきます。(
拍手)
現在、
公営企業金融公庫から地方の公営企業に
低利かつ
長期で融資された
資金は、上下水道、交通等の社会インフラ整備に用いられております。
私
たち民主党は、昨年の
通常国会に
行政改革推進
法案を提出いたしました。そこでは、
行政改革、地方分権、住民生活の利便のバランスを考え、現在の公庫を廃止し、地方が共同して
運営する
組織に移管するというスキームを
提案いたしました。
今回
政府が提出された
法案も、現在の公庫を廃止し、地方が共同で
運営する新たな
機構を
設立するというものですが、その
内容については慎重な
審議が必要であります。例えば、
政府案が実現することによって、融資
条件が現在よりも地方自治体にとって不利なものとなれば、公共料金の値上がりなど、住民の負担がふえることも考えられます。本
法案は、住民の生活に直結し、制度設計や
運営を誤れば、地方の
格差を拡大させることにもつながりかねない非常に重要な
法案であります。
そこで、以下、不明確な点、懸念される点につきまして
質問をさせていただきますので、
総務大臣を初めとする各大臣の明快な御
答弁をお願い申し上げます。
まず、新たな
機構の
組織体制について
質問をいたします。
先ほどの森山議員も一部重なる
質問をされましたが、本
法案は、地方自治体が
運営する新
機構が地方自治体に貸し付けを行うというスキームを採用いたしております。貸し手と借り手が同じ地方ということになりますので、融資の際に
審査が甘くなるのではといった懸念がなされております。総務省では、これを防ぐために、外部性を有する第三者機関として、
機構に
経営審議委員会を置くとされております。
しかし、そのメンバーは、知事、
市長、
町村長それぞれの
代表者と地方の三団体が
選任する
学識経験者で構成される
代表者会議が任命することとされております。地方自治体の息のかかった人物が第三者機関を構成することになるため、果たして第三者性の
確保が図れるのかどうか疑問であります。徹底した情報の開示や公正中立な
立場からの外部
監査が必要と考えますが、
総務大臣の御見解をお伺いいたします。
次に、新たな
機構に対する
出資方法についてであります。
本
法案は、地方自治体の
出資方法が
規定されておりません。すべての地方自治体に対して新たな機関への
出資義務を課さなければ、財政力が強く、融資を必要としない地方自治体は
出資せず、財政力の弱い地方自治体のみで新しい
機構を形成することにもなりかねないわけであります。具体的な
出資方法は地方六団体の
設立準備
委員会で今後
検討していくとのことでございますが、
政府としてどのような方法が望ましいと考えておられるのか、
総務大臣の
答弁をよろしくお願いいたします。
次に、新たな
機構が発行する債券に対する保証についてであります。
本
法案では、現在の公庫で行われていた
政府保証ではなく、地方自治体が新たな
機構が発行する債券に対して保証することができると
規定されています。しかし、
政府保証がつけられていたときと比べて信用度が落ち、現在のような
資金調達ができなくなることが懸念されております。
総務大臣は、新たな
機構が発行する債券が市場でどのような評価を受けるものと見込んでおられるのか。よろしくお願いをいたします。
また、一口に地方自治体が保証するといっても、保証の方法は、地方自治体が共同して保証する、個別の団体ごとに保証するなど、さまざまな選択肢が考えられます。そして、保証の方法いかんによって市場の信用度が変わってくることも想定されます。しかし、本
法案では、保証のルールについて具体的に
規定をされていません。そこで、
総務大臣にお伺いいたしますが、新
機構ではどのような方法で保証をされるのか、具体的に御
答弁をよろしくお願い申し上げます。
次に、新たな
機構の貸付先について
質問をさせていただきます。
本
法案では、新
機構が貸し付けることを認める公営企業の種類について、水道、交通、病院、下水道、公営住宅、その他政令で定めるものと
規定されております。このように、本
法案は、貸し付けを認める公営企業の種類を国が決めることにいたしております。これでは、政令の
内容いかんによっては、地方が本当に必要とする分野で
資金調達ができなくなる
可能性もあります。本
法案は、専ら国の
行政改革の
観点から立案されておりますが、国の
行政改革と地方の
行政改革とが必ずしも同じ結論になるとは限りません。政令を定める際には地方と協議するといった方法で地方の
意見を尊重されるのかどうか、
総務大臣の意向をお伺いいたします。
続いて、具体的にお伺いをいたしますと、例えば、地方公営企業は、水道や交通など社会インフラに関するものばかりでなく、介護サービスを公営企業として
運営している地方自治体も多く
存在します。その数は、
平成十七年度で六百五十一にも上ります。現在の公庫は、介護サービスを行う公営企業に対しても貸し付けを行っておりますが、先ほど申し述べたとおり、本
法案では介護サービスを新
機構の貸し付けの
対象として明記されておりません。新
機構から貸し付けを受けられなくなった場合、これらの自治体の介護サービスは低下するのではないでしょうか。厚生
労働大臣の
答弁を求めます。
また、政令で介護サービスを貸し付けの
対象とする予定があるのかどうか、
総務大臣の
答弁もよろしくお願いをいたします。
次に、新たな
機構に対する国の関与についてでありますが、
政府は、昨年の六月に政策金融改革推進本部と
行政改革推進本部で
決定された「政策金融改革に係る制度設計」において、新しい
組織に対して、これも森山議員と少し重複いたしますが、「新たな
出資・保証及びヒト・モノ・カネの全ての面における関与を行わない。」との方針を示していました。本
法案も、国の関与は適法性をチェックするための必要最小限のものに限定するとの
立場に立っています。
一方で、現在の公庫の
実態を見ると、中核的な役割を担っているのは国からの出向者です。全職員約八十人のうち、
平成十九年三月時点で五十五人が出向者で占められておるわけでございます。本
法案では、職員の構成についても全く
規定をされていませんが、国から人を全く出さないということになるのか、
総務大臣の見解を求めます。
仮に国から出向させないというのであれば、従来の公庫のノウハウがない職員だけで新しい
機構を
運営していくということになりますが、それで地方自治体に
低利かつ
長期で貸し付けるという特殊な事業を円滑に
運営していくことが可能なのでしょうか。あわせて、
総務大臣の御見解をお伺いいたします。
また、現在の公庫は、十年債を中心に
資金調達する一方で、地方の公営企業に対して最長二十八年で貸し付けをされております。そのため、二十八年の間に最大二回借りかえることになります。その借りかえの際に金利が高くなると、いわゆる逆ざやが起きることになるため、現在の公庫は債券借換損失引当金を積み立てています。
新たな
機構は、その引当金を全額承継するとされております。近年においては、低金利の恩恵を受けて逆ざやが起きず、引当金を取り崩すことはなかったわけでありますが、今後、金利が上昇し、引当金を取り崩していくという事態が起きることも想定されます。万が一、現在の公庫から承継した引当金を使い果たしてしまった場合、国は財政的な支援を行う用意があるのかどうか、
総務大臣の
答弁を求めます。
次に、
機構の残余財産等の帰属についてであります。
本
法案は、
公営企業金融公庫の財産は国がつくり上げたものだという前提に立ち、
機構が将来解散した場合などにおいて残された財産は自動的に国に帰属するという考え方をとっておられます。しかし、公庫の財産のほとんどは、地方自治体のいわば払い過ぎた利息が累積したものであり、国はその形成にそれほど寄与していないのであります。それにもかかわらずこのような取り扱いをすることは、地方側にとって不満が残ると考えられますが、
総務大臣は、公庫の財産の形成に対する地方自治体の寄与についてどのような認識を持っておられるのか、お伺いいたします。
最後に、
安倍内閣が補助金改革に手をつけるおつもりが一体あるのかどうか、お伺いをいたします。
本
法案により、公営企業に対する貸し付けについては地方の自主性におおむねゆだねられることになりますが、下水道など公営企業にかかわる補助金についてはほとんど手つかずで、国の関与が残されたままです。
そもそも
安倍総理は、補助金の改革を含め、地方分権に関する具体策を示すことができずにいます。小泉前総理のいわゆる三位一体改革は、数字合わせ、看板倒れとさんざん酷評されましたが、一応四兆円の補助金を削減するという目標は実行されました。
安倍総理は、地方分権改革推進
委員会に地方分権に関する政策の
検討をすべてゆだねるという、数字合わせの小泉前総理よりもひどいありさまとなっております。
これに対して
民主党は、国から地方への個別補助金については基本的に全廃し、地方が自由に使える財源に改めて地方の自由度を高めるという具体的な
提案をいたしております。
政府は今後、国から地方への補助金をどのように改革していくのか、
総務大臣、財務大臣それぞれに今後の方針をお伺いいたします。
質疑については以上でありますが、
最後に、国政に対する思いを
政治家森本哲生として述べさせていただきます。一年生議員として何を言うのか、おしかりをいただくかわかりませんが、お許しを賜りたいと存じます。
国会に送っていただいて一年半が
経過をいたしました。特別、
通常、臨時
国会、すべて経験させていただくことができ、感謝をいたしております。
委員会などの非常に充実した
質疑を通じて、
国会議員としての責務を日々強く感じている昨今であります。
しかし、今
国会の
審議は、
法案によっては
質疑も少なく、職権によって開催されることが大変多くなりました。私自身、
民主党の行動すべてを正当化するものでもありません。しかしながら、国権の最高機関である
国会が今のような状況で、
国民の皆さんに胸を張って
説明できないことが私は非常に残念にも思っております。
私ども
政治家は、より多くの方々の幸せをただひたすら願って、あらゆる角度から
議論をすることが
政治家の使命と考えております。今の
審議状況が、私は憲政史上に汚点を残すことにはなりはしないか。総理のリーダーシップ、そして尊敬する河野
議長の良識ある
判断をお願いして、
質疑を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣菅義偉君
登壇〕