○野田佳彦君
民主党の野田佳彦でございます。
私は、
民主党・無所属クラブを代表して、ただいま
議題となりました
政府提出の
教育関連三
法案及び
民主党が
提出をした
教育力
向上三
法案について質問をいたします。(
拍手)
その前に一言申し上げたいのは、最近、
民主党がせっかく
法案を
提出して
提出者が
登壇をしても、一方的に自民党の議員が批判をして、そして立ち去るという姿を随分見てきました。ひきょうであり無礼だと思いました。その中で、先ほどの馳浩議員の態度は、疑問に思ったことはきちんとぶつけていただきました。
教育者らしい、スポーツマンらしい、フェアな態度だと敬意を表したいと思います。
一方で、最近の自民党の国会
運営には厳しく抗議をしたいと思います。
委員会、本
会議、残念ながら職権で開かれるということが随分と多くなってまいりました。久し
ぶりにこの本
会議に
登壇しましたけれども、やはり見渡す限り自民党がふえた、そのせいだと思います。つくだ煮にしたいぐらいいっぱいです。そんな中で、どうしても傲慢さや強引さが出てきているんだろうと思います。
私は、おなかの回りが八十五センチを超えたメタボリックの注意が必要な男でありますが、ハウスの中で、四百八十人の定数の中で三百を超える政治勢力となると、どうも注意すべき兆候がいっぱい出てきているんだろうと思います。
度量の大きさが示されるべきでありますが、残念ながら、了見の狭い強引な
運営ばかりが目立っていると言わざるを得ません。
先週、十三日の金曜日、残念ながら
教育再生に関する特別
委員会が議決をされました。国会法の第四十五条によりますと、各議院は、その院において特別な案件と認められた場合とか、あるいは常任
委員会の所管に属しない
特定の案件については特別
委員会で審議することができると
規定をされています。
しかし、今回の特別
委員会設置の理由は、特段の理由が見当たりません。あえて言うならば、
政府提出の
法案の時期が大幅におくれにおくれたがゆえに、審議を迅速にするために、特別に、便宜的に設置をした
委員会と言わざるを得ません。これは極めて残念なことであると思いますし、恐らく、与党の
文部科学委員会の理事の皆さんや委員の皆さんでも、これは本来、
文部科学委員会でこれまで議論されてきたし、これからもそうだと思っている方が本当は多いのではないかと私は思います。
さて、そうした中で、具体的な質問に入っていきたいと思いますけれども、先ほども少し議論が出ていましたが、今回の三
法案の
提出に至る過程において
教育再生
会議、中教審の審議がありましたが、余りにも大急ぎの突貫工事のように見えました。その結果出てきた今回のさまざまな個別
法案は、戦後
教育からの脱却というそんな言葉を言う前の、何か貧弱な
法案ばかりであります。
私は、
教育再生
会議というのは、本来ならば、もっと奥の深い、奥行きのある議論を丁寧にする
組織だと思っていました。地域
社会と
学校のあり方とか、家庭と
学校のあり方とか、地域再生のあり方がなくして
教育再生はありません、家庭の再生なくして
教育再生はありません。まさに、
教育再生とは
日本再生そのものであります。その割には、残念ながら、そうしたしっかりとした議論がなされたようには思えませんでした。その最大の理由は、恐らく、私は、
教育再生を一番最初に唱えて、今国会でも
重要課題と位置づけている安倍総理の
理念そのものにあると思います。
そこで、安倍総理にお尋ねをしたいと思います。どのような
理念に基づいてこの国の
教育を再生しようとしているのか、ぜひしっかりとお答えをいただきたいと思います。(
拍手)
さて、個別法の質問に入ります。まず、
教員免許法
改正案についてであります。
私も子供が二人います。子供たちの成長過程を見てまいりました。一番感動的だったのは、はいはいをしている赤ちゃんの段階から、立ち上がろう、立ち上がろうとしている、その満一歳前後だったと思います。とても感動的でした。赤ちゃんは、親が教えなくても、立ち上がろう、立ち上がろうとする。転んで滑って痛い思いをしても、ずっと寝ていた方が楽だという赤ちゃんはいないと思いました。みんなが伸びよう、伸びようとしているんだと実感をしました。その伸びよう、伸びようとしている新しい芽をしっかり
学校教育の現場で受けとめて、また、その任に当たる教師がしっかりしているかどうか。これは大事な論点だと私は思います。
そこで、
政府案を見ましたが、真に
教員の質と
能力を高めるための
内容になっているかというと、そうではなく、
教員の
免許期間を十年間として定め、三十時間の
講習をして更新をするという
内容、それだけです。その貧弱な
内容で本当に
教育再生ができると思っているかどうか、これについても総理にお答えをいただきたいと思います。
さらに、具体的な質問は
文部科学大臣にお尋ねをいたします。
十年
ごとに三十時間
講習で更新。その
講習の中身はどうなっているか、どこで
講習を受けるのか、だれが
認定をするのか、どういう費用負担になっているのか、具体的な
仕組みについて御
説明をいただきたいと思います。
なお、
民主党も新
免許法案を
提出しました。この中身については、せんだっての衆議院文科
委員会において、
法案提出者の
藤村修議員と伊吹大臣との間で
質疑応答がありました。
民主党は、
教員養成の段階から大幅に
資質向上を図ろうとし、一定の
実務経験を経た後に上級
免許状を創設するなど、総合的、抜本的
改革案になっています。そのことは、せんだっての文科
委員会のやりとりで、伊吹大臣の表情を見ていますと、
民主党案の方がいいんじゃないかなという顔を私はされていたと思います。ぜひきょうは、
民主党案についての伊吹大臣の本音の御
評価もお伺いをしたいと思います。
さて、中教審の答申によりますと、「
教員として必要な
資質能力は、」「時代の進展に応じて更新が図られるべき性格を有しており、」という表現がございます。これは、ほかの専門職種にも当てはまる表現だと私は思います。例えば、医師として必要な
資質能力は、時代の進展に応じて更新が図られるべき性格を有しており等々、他の専門職種にも十分当てはまる表現です。
そこで、この点については総理にお尋ねをいたします。今回のような
免許更新制度を今後他の専門職種にも適用するつもりなのかどうか。特に、医師
免許は取り急ぎ検討すべき課題だと思いますが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
次に、不適切と判断をされる
教員の問題であります。いわゆる外れ教師と言われています。
私どもも入学式や始業式にお招きをいただくことがたくさんあります。そのときに一番異様な空気となるのは、担任教師の発表のときです。みんながわくわく、どきどきしながら、ことしは外れか当たりかを見ています。ことしも外れたわとどよめきが起こるときも私は何回か見たことがありました。
外れた教師が学級担任になったときの教室は悲惨です。できる子は抑えられ、できない子は置いてきぼり、豊かな子は奪われて、気の弱い子はいじめられて、だれにとっても不幸な空間になりかねません。そうした意味からも、
指導力の不足した
教員あるいは不適切な
教員への対策はしっかりと講じるべきだと思います。
でも、
政府案を見ますと、都道府県の
教育委員会が不適切を
認定するという
内容で、その後、
研修をさせたり、
研修の効果があるかどうか、またその
認定があるようですが、私は、肝になるのは、この不適格の
認定基準だと思うんです。その不適格の
認定基準について伊吹文科大臣はどのようにお考えなのか、お答えをいただきたいというふうに思います。また、この
政府の
仕組みは有効な対策として期待できるのかどうか、その効果についてもあわせてお答えをいただきたいと思います。
次に、地教行法
改正案についてお尋ねをします。
昨年は、いじめによる自殺が多発をしたり、あるいは未履修問題が
社会的な問題になってクローズアップされました。その際に、
教育委員会が適切に機能していなかったという事態が随分各地で散見をされました。
教育委員会の抜本的な
改革は必要だと思います。
しかし、今回の
改正案を見ると、都合よく国の関与が
教育委員会にできるようになっているだけであって、
教育委員会制度そのものは温存をされています。
文部科学大臣が
教育委員会に
是正要求や指示が出せる権限が盛り込まれました。しかし、先ほど申し上げたいじめの問題やあるいは未履修問題は、長い間放置されてきた文部科学省の感度の悪さも同時に指摘をされたはずでありました。国の関与を
教育委員会に強めるだけで、一体これが有効な方策になるのかどうか、私は極めて疑問に思います。この点についての文科大臣のお考えをお聞かせください。
そして、この
是正要求であるとかあるいは指示というやり方、
地方分権の流れに逆行するのではないかという懸念があります。
地方団体の長もしかり、そして、
政府の規制
改革会議でもそういう指摘があります。分権の旗振り役である総務大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。
私立学校に関する
教育委員会の関与
規定も盛り込まれました。私学の自主性や
振興などにどのような影響があるか、これについては、
文部科学大臣と総務大臣、お二人にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
さて、昨年の
教育基本法の
改正によって、今回の
学校教育法の
改正がありました。中身は、
義務教育の
目標として、「規範意識」であるとか、あるいは「我が国と郷土を愛する態度を養う」、こういう項目が新たに
規定をされたわけであります。
私ども
民主党は、心や感性は強制できるものではないという立場であり、昨年
提出し、今国会でも
提出をしていますが、
日本国
教育基本法の中で、「
日本を愛する心を涵養し、」という表現をさせていただいています。水が自然にしみ入るように、じっくりと養い育てるという考え方です。これに対する、
政府の先ほどの「規範意識」や「我が国と郷土を愛する態度を養う」というやり方、
教育現場ではどのように行おうとしているのか、文科大臣にお尋ねをしたいと思います。
中教審では、
義務教育年限の見直しの議論もあったはずであります。九年を延長すべきという議論もあったと聞いていますが、最終的には九年のままとなりました。その理由を
文部科学大臣にぜひ明らかにしていただきたいと思います。
義務教育年限については、総理の御著書の「美しい国へ」にも明記されている部分があります。「
義務教育の年限を何年にするかについても検討し直すことになる。」と明らかに書いていますので、総理は、今後、
義務教育の年限の見直しを行うおつもりがあるかどうか、お考えをお聞かせください。
最後に、忘れないように、
民主党三
法案についてでありますが、それぞれどのような点が
学校の
教育力
向上に資するものか、どうぞお答えください。質問は簡潔でしたが、御答弁はじっくりと。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
久し
ぶりに
登壇をしましたけれども、ちょっと前列からは随分にぎやかな御声援をいただきました。我が国と郷土を愛する態度を言う前に、やはり、心を澄まし、耳を傾ける態度をぜひ自民党で
教育されることを強く申し上げて、質問を終わりたいというふうに思います。
どうもありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕