○田島一成君
民主党の田島一成でございます。
私は、
民主党・無所属クラブを代表して、ただいま
議題となりましたいわゆる自動車NOx・PM法の
改正案について
質問をいたします。(
拍手)
質問に先立ちまして、先月二十五日、能登半島で発生をいたしました地震において、被害に遭われた皆様に衷心よりお見舞いを申し上げますとともに、犠牲となられた
方々に心から御冥福をお祈り申し上げます。
民主党は、この地震被害に対し、いち早く鳩山幹事長が現地に入るなど、現状把握等に努めてもまいりました。今回の地震により、大切な我が家を失われた
方々も多く、いまだ不自由な避難所
生活をされている
方々も数多くいらっしゃいます。そのような中で、被災者の
方々への
支援と現地の復興が何より大きな
課題となっております。
民主党は、以前より、
政府による被災者の
方々への
生活支援は極めて不十分なものであると指摘をし、被災者の
方々が困難な
生活から再建に取り組めるよう、被災者
生活再建
支援法の抜本
改正を訴えてまいりました。残念ながら、
与党の
皆さんの理解を得られず、
民主党が目指す被災者の
方々への手厚い
支援対策はいまだ
実現しておりません。まことに遺憾のきわみであります。
民主党は、今後とも、被災者の立場に立ち、被災者の皆様への最善の
対策を行うため、
政府に対し、一層粘り強く、強く
働きかけていく所存であります。
さて、本題に入ります。
まず、
環境基準未達成の最大の元凶とされている流入車
対策についてお聞きいたします。
対策地域外から入ってくる、いわゆる流入車については、排出基準に適合していない自動車の流入割合が高い点や、長年にわたり大気汚染が著しい局地汚染地域においては他の
対策地域よりも流入車の交通量が多い点が、総務省の行政評価などでも指摘をされています。
このような流入車の現状を踏まえると、現在、東京都などの首都圏や兵庫県において条例により実施をされている流入車規制のように、その自動車がどこで車両登録されていようとも、
対象となる地域内の走行を
禁止すべきだと私は考えます。
ところが、この点について、
政府は、規制を強化すれば人員不足や費用不足などの問題が起きるとおっしゃっているようでありますが、東京都や兵庫県などで既に実施できていることが、なぜ国ではできないのでしょうか。不可解きわまりないというよりほかはありません。例えば、監視をするべき地点を重点的に絞るとか、また、排出基準に適合した自動車であるかどうか容易に確認できるようなステッカー制度を導入するなど、簡単に実施できる方法は幾らでもあるのではないでしょうか。
また、現行法のように、
対策地域外からの車両が無規制というのは、公平性の
観点からも問題があると言えます。
そこで、流入車が及ぼす影響を真摯に受けとめ、少なくとも幾つかの自治体で先進的に行われている流入車規制を国として行う考えがあるのか、もしその考えがないのであれば、その
理由は何なのか、
環境大臣のお答えをお願いいたします。
さらに、本
改正案においては、
対策地域の
周辺地域に自動車登録をしているトラックやバス等を使って
対策地域内に貨物や旅客を運ぶ運送
事業者や
対策地域内のデパート等の荷主に対しては、事業活動に伴った自動車の排ガスについて、排出抑制に努めなければならないと
努力義務しか課してはおりません。
これは、ことし二月の中央
環境審議会が行った
環境大臣の意見具申、ひいては中環審の大気
環境部会自動車排出ガス総合
対策小
委員会の
平成十七年十二月に示された今後の自動車排出ガス総合
対策中間
報告から見ても、明らかな後退であります。
そこで、今回、荷主等に対する自動車の排ガス排出抑制義務が、なぜ単なる
努力義務にトーンダウンしてしまったのか、その
理由について、
環境大臣の明確な答弁をお願いいたします。
次に、
粒子状物質の中でも、その粒径が二・五マイクロメートル以下の微小
粒子状物質の総称であります、いわゆるPM二・五について
お尋ねをいたします。
このPM二・五は、その小ささゆえに肺に沈着しやすく、がんや気管支ぜんそくなどとの関連性が強く懸念をされております。さらに問題なのは、ディーゼル自動車から排出されるディーゼル排気の微粒子は、PM二・五の代表的物質であるということであります。現在、このPM二・五について、
我が国においてはいまだに
環境基準が
設定されておりません。
一方、アメリカでは、このPM二・五について、既に約十年前に
環境基準が
設定をされております。アメリカにはできて、なぜ
我が国にはできないのでしょうか。今また、行政による規制のおくれから多くの健康被害者を生み出すという、アスベストやダイオキシンの場合と同じわだちを踏もうとでもいうのでしょうか。
もし、
我が国でもアメリカと同じ
環境基準で規制がなされたのなら、東京都における心血管疾患や肺がんなどで亡くなられる方のうち、約五千人以上を救うことができるといった研究
報告も、昨年、報道をされています。
環境基準を
設定し、所要の
対策を講じれば、多くの人命を救うことができるのです。
政府は、どうして今すぐにでもやらないのでしょうか。
政府の
対応は余りに遅過ぎるのではないでしょうか。人の健康、人の命以上に優先すべきものが、この世の中にあるのでしょうか。私は、一刻も早く、このPM二・五の
環境基準を
設定することを強く要望したいと思います。
このPM二・五の
環境基準の
設定について、発がん性が指摘をされている恐ろしい物質であるにもかかわらず、なぜ早急にこれをやろうとしてこなかったのか。また、今後も
設定をする意思がないのか。その意思があるのなら、いつまでに
設定をする方針なのか、
環境大臣の答弁を求めます。
最後に、現在、和解協議中の東京大気汚染公害訴訟について、
お尋ねをいたします。
政府は、この自動車NOx・PM法の
改正案を、東京大気汚染公害訴訟の和解協議における原告の
方々からの要求である交通公害
対策の目玉として考えている、そんな書きぶりの新聞報道を目にいたしました。
ところが、今回の
改正案で
対策の実効性が
確保できるとは、到底考えられません。
改正案で新たな
対策を設けたところで、実効性があるかどうかわからない程度のものであるにもかかわらず、これを和解協議の目玉であると
政府が本気で考えているのだとすれば、これは原告の
方々を愚弄するものと言わざるを得ません。
さらに申せば、原告の
方々が裁判で一番強く求めていらっしゃるのは、国の謝罪や損害賠償であります。
東京都は新たな助成制度の創設を表明しておりますし、自動車メーカー各社も、この和解に向けての前向きな検討がなされていると聞いています。
翻って、国はどうでしょうか。賠償や医療費助成には全く否定的であり、さらに、東京都の
提案するこの新しい助成制度への参加すら応じようとはせず、国だけが大気汚染患者の
方々に対して無慈悲な
対応をとり続けているのではないでしょうか。一九九五年七月、西淀川訴訟判決以来、司法の場において五度にわたって自動車の排ガスとぜんそくの因果関係が肯定をされ、道路管理者としての国の
責任が明確に認められているにもかかわらず、国は、今もって、自動車の排ガスと気管支ぜんそくの因果関係は証明されていないとか、科学的知見が不十分であり、今後も調査が必要であるなどと強弁をし、自動車の排ガス汚染により健康を奪われ、苦しんでいる多くの被害者を見殺しにしているではありませんか。
実効性ある自動車の排ガス
対策をとらず、無策のまま放置をしてきたこの
責任をよそに、今まさにぜんそく等の健康被害に苦しんでいらっしゃる大勢の
皆さんに対し、国は一体いつまで待てと言うのでしょうか。
水俣病しかり、アスベスト問題しかり、そしてこの大気汚染問題と、
政府の余りの無策と健康被害者の
方々への冷酷な
対応に対して、私ども
民主党は、
環境健康被害者の救済制度に関する新規立法を検討しております。行政みずからが救済の範囲を狭めるような認定基準を
設定、運用し、基準に漏れた患者の
方々を切り捨てるような冷酷なものではありません。中立公平で独立の専門機関が認定基準を策定し、これに基づいて認定が行われるといった制度であります。たとえ、そのときの科学的知見をもっては健康被害の完全な原因究明が不可能であったとしても、
環境汚染に起因する蓋然性が高いと判断すべき
環境被害については、被害者に対して必要な救済を迅速に図ることができる先進的な制度の創設であります。
そこで、
民主党が現在検討を進めている新たな
環境健康被害者の救済制度に対する
政府の御所見をお聞きするとともに、
政府は、このようなあらゆる健康被害者の救済制度をつくるつもりがあるのか、
環境大臣の明確な答弁をお願いいたします。
さらに、昨年九月二十八日、東京高等裁判所が、裁判所としてはできる限り早く抜本的、最終的な解決を図りたいとの解決を促す勧告を行いましたが、東京大気汚染公害訴訟に対し、
政府として今後具体的にどのような姿勢で臨んでいく方針なのか。とりわけ安倍総理は、
内閣支持率を気遣ってか、はたまた国のこれまでの
対応を深く理解せずしてか、国に資金負担が求められている医療費助成制度については検討すると語ったとの報道がなされております。官房長官、総理のこの発言についての真意をお答えください。
また、憲法第二十五条により、国は、すべての
国民に対し、健康で文化的な最低限度の
生活を営む権利の
実現のため重大な
責務を負っているはずであります。原告の
方々が被害者救済を求め続けた東京大気汚染公害裁判は、既に十年を経過し、裁判の途中で亡くなられた原告も既に百名を超えていると聞いています。これらの
方々に対して、国は何と答えていくのか。総理に
お尋ねをしたいところではありますが、官房長官に
お尋ねをし、私の
質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣若林正俊君
登壇〕