○辻元清美君
社会民主党の辻元清美です。
私は、
社会民主党を代表して、安倍内閣
総理大臣の
施政方針演説に対して質問をいたします。(
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私は、今、
女性国
会議員として、本当に情けない気持ちでここに立っております。それは、柳澤
厚生労働大臣の、
女性は産む機械、装置という発言のためです。
大臣はこうおっしゃいました。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかないとおっしゃったようなんです。
柳澤大臣にまずお伺いしたいと思います。
子供を産まない、産めない
女性は、大臣の発想によれば、役に立たない機械なんでしょうか。
女性だけではなく、人間を物扱いにすることは、どんなときでも許されることではありません。
女性は、産めよふやせよの道具ではありません。この発言は、男女共同参画
社会基本法の
女性の性と生殖の自己決定権や国連の
女性差別撤廃条約に照らしても、明らかに反しています。
失言には本音が出ます。残念ながら、柳澤大臣は
少子化も担当する大臣にはふさわしくなかったようです。私は、すべての
女性を代表して、柳澤大臣の辞任を求めます。大臣、この場で潔いお答えをいただきたいと思います。男性の皆さん、賛同していただけないんですか。(
拍手)
輪をかけて情けないのは、
安倍総理が注意だけで済むと認識されていることです。
総理の人権意識はこのようなものだったのでしょうか。欧米などでは、即刻罷免だと思います。早く対処しないと、国際的に恥ですよ。これが美しい国創り内閣の姿なのでしょうか。
総理も問われています。
総理は毅然という言葉がお好きのようですけれども、毅然として罷免すべきだと思います。凜とした
総理の答弁を求めたいと思います。
さて、
総理の施政……(発言する者あり)今、やじ飛ばしてはりますけれども、これは深刻な問題ですよ。しっかり皆さんお
考えになった方がいいと思います。
さて、
総理の
施政方針演説をお聞きしましたが、
格差社会という言葉もワーキングプアという言葉も、一切出てきませんでした。
一体、
総理はどこを向いていらっしゃるのでしょうか。
また、
総理はことしの初め、
日本人は少し働き過ぎではないかと発言しました。とんでもない。少しどころか、物すごく働き過ぎだと思います。それは、そうしないとやっていけないからだと思うんです。働き盛りの四人に一人は、月に八十時間以上の残業で、これは過労死認定がされるほどのオーバーワークです。
総理はこの実態を御存じなかったのでしょうか。
また、
総理は、残業代不払い法案ができたら、残業が減り、家で過ごす時間がふえて
少子化対策になるとも発言しました。本気でこのようにお
考えだったのでしょうか。私は、世間知らずではないかと思いました。
総理は、
施政方針演説で、時間
外労働を抑制するための
取り組みを強化すると発言しています。まさか、ホワイトカラーエグゼンプション、残業代不払い法案のことではないでしょうね。この
取り組みが何なのか、具体的に説明を求めます。
今は、働いても働いても給料はふえません。大手
企業は潤い、約五年間で株主配当は約三倍、役員報酬は二倍近
くにふえています。しかし、従業員一人当たりの給料は逆に減っているのです。
なぜ、
企業はもうかっているのに給料は減っているのか。ここで、だれにでもわかるように
総理に説明をしていただきたいと思います。
また、パート
労働賃金は正社員の約六割にすぎません。社民党は、すべての
パート労働者の差別を禁止して、同一価値
労働同一
賃金の実現をずっと言い続けてきました。
今回の
政府の
改善策は、パートの一部の人たちにしか光が当てられておりません。なぜ、すべての
パート労働者を対象にしなかったのか、その理由もお聞かせいただきたいと思います。
さらに、今や、
日本は、
格差どころか、新しい貧困層の
拡大が深刻です。働いても働いても
生活できないワーキングプアがふえています。子育て最中の一家が年間二百万円以下で暮らせると
総理は思いますか。働く貧困層の問題への
総理の
責任ある答弁を求めます。
地方では、働き口が少なく、
商店街のシャッターは閉まったままです。そして、農業も林業も疲れ切っています。
今の
企業の繁栄は、こうした人たちの我慢によって支えられてきたのではないでしょうか。人間は
経済の奴隷ではありません。
労働者という人間のダンピング競争をして、国際競争力をつけようとする。
地方を切り捨てる。そんな国のどこが美しい国なのでしょうか。
総理は、
経済三団体の新年祝賀会で、
景気回復が家計にも広がるよう御
協力いただきたいと
あいさつされました。これは
政府としての
責任放棄ではないでしょうか。
景気回復を家計に回せと言うのなら、なぜ特別減税を打ち切るのですか。なぜ
年金受給者の税負担をふやすのですか。お年寄りからは、病院にも行けなくなったと嘆く声が聞こえているのが現状です。
政府の最大の
仕事は、
国民に
安心できる
暮らしを保障することです。
企業にお願いする前に、家計が潤う税制にするのが
総理の
仕事です。
消費税をどうするおつもりなんでしょうか。はっきり示し、そして堂々と選挙で信を問うべきです。
きのうから
総理はごまかしていると思います。もう一度、答弁のチャンスを差し上げます。読むのではなく、自分の言葉による答弁に再
チャレンジしていただきたいと思いますが、皆さん、いかがですか。(
拍手)
さらに、
総理は、
女性や
障害者には冷たいようです。なぜ、必死に頑張っているシングルマザーから
生活保護の母子加算や児童扶養手当を奪ってしまうのですか。なぜ、
障害者自立
支援法によって、最も重度の障害を持つ人が最も高い負担を強要されなければならないのでしょうか。応益負担は廃止すべきです。いかがでしょうか。
教育格差も広がっております。
総理が
子供は宝と言うのなら、すべての
子供が公立の高校や大学に無料で行ける方向を目指す、
教育に燃えるという
総理らしい御答弁をいただきたいと思います。
総理の挙げている上げ潮
経済路線は、
労働者や弱い人たち、そして
地方を踏み台にすることによってしか実現しないとはっきりしてきました。
景気が上向けば上向くほど新しい貧困層がふえるのは、
政策が根本的に間違っているからです。安倍内閣のこの
政策が
日本社会を壊しているのではないでしょうか。
もう
一つ、
総理が壊そうとしているものがあります。
憲法です。
私の内閣として憲
法改正を目指していきたいと、年頭の記者会見で
総理は発言をしました。憲
法改正は、
国会の提案によって
国民が決めるものです。内閣は、改正にしゃしゃり出る立場ではありません。
憲法を守る立場です。自民党総裁としての発言という言いわけは通用しません。不見識のきわみです。
また、
総理は、年頭所感で、
国民投票法案の
成立を今
国会で期しますとも発言しました。
国民投票法案は議員立法です。この発言も越権であり、不適切です。三権分立をわきまえていただくようにお願いしたいと思います。
総理は、立場をわきまえずに、
憲法には口出しするのに、閣僚の不祥事についてはまるで人ごとのような態度です。
政治資金規正法については、
国会で御
議論をいただきたいと知らぬ顔です。閣僚の任命
責任がある
総理が
考え方を示すべきです。明快な答弁を求めます。
さて、
総理の憲
法改正の標的は九条のようにお見受けいたします。私は、イラク戦争の検証をしない人に
憲法九条を変えようと言う資格はないと思います。
アメリカがイラク戦争に突っ込むのを
日本政府はとめるべきだったと社民党は主張してきました。イラク戦争の
成果とは
一体何なんですか。具体的に示していただきたいと思います。
イラクの航空自衛隊の
活動を何回問い合わせても、真っ黒けに塗りつぶした資料が出てくるだけです。人道
支援というならば、公表できるはずです。なぜできないのですか。理由をはっきりとお答えください。
国民にはイラクでの自衛隊の
活動内容を隠しながら、NATOでは、
日本人は自衛隊の海外
活動をためらわないと大見えを切ってくる。さらに、集団的自衛権の検討や、いつでもどこでも自衛隊の海外派兵ができる法律をつくるかのような発言をし、こぶしを振り上げる。やっぱり
安倍総理の本性はタカ派で怖い、そんな危機感を持つ人がふえているのではないでしょうか。
総理は、米軍再編でも、地元振興のあめを振りかざして、沖縄に新たな米軍基地をつくろうとしています。世界に誇れる海、ジュゴンがすむ沖縄のサンゴ礁をつぶして、
総理が
日本の美しさをみずから積極的に破壊しようとしています。今や、世界は、何をおいても
環境優先です。おやめになるのが賢明だと思いますが、いかがでしょうか。
日本は、被爆国であり、非核三原則を持つ国です。だからこそ、どこの国よりも強く、
北朝鮮に核の放棄を、そしてアメリカなどに核廃絶を迫ることができるはずです。
総理が、インドに対しては原子力の
協力をし、事実上、核保有を容認しようとしているのはおかしいと
考えます。なぜですか。これでは、核には制裁をと叫ぶ
総理がみずから核拡散に手をかしていることになるのではないですか。
世界の現状は、暴力の連鎖や核の拡散がとまりません。社民党は、こんなときだからこそ、
憲法九条を持つ
日本の立場を生かして、世界の平和
構築に貢献できると提起してきました。その
一つが、紛争の調停
外交です。
私は、NGO
活動で紛争地にも行きました。
日本は、ほかの国よりも紛争予防や和平交渉にもっと力が発揮できると実感してきました。それは、
日本は
憲法九条の
もと、どの勢力にも武力で加担しないので、紛争の当事者の間に割って入りやすいからです。それにもかかわらず、
安倍総理は、この貴重な立場を捨てようとしています。イラクに対しても、対立する各派の調停に、
総理みずから勇気を出して乗り出していったらいかがですか。
日本は、過去の戦争の経験から、軍事力の持つ限界を思い知っています。みずからの敗戦体験、そしてベトナムでのアメリカの失敗を見ていたのに、軍事力信仰に頼るブッシュ大統領に無批判、安易についていきました。そんな安倍
政権は、歴史の体験から何も学んでこなかったと言うほかありません。
総理、
政治の最大の教科書は歴史です。
総理のように、歴史認識は歴史家に任せるなどと逃げていて、どうして戦後レジームからの脱却などと言えるのですか。
私たちにとって、戦後とは貧困と戦争をなくすことでした。そこからの脱却を叫ぶ
総理は、再び新たな貧困と戦争を生み出す方向に
日本のかじを切っているように見えてなりません。
総理が美しい
国づくりごっこに熱中している間にも、
国民の不安はふえる一方です。こんな
総理大臣に任せるわけにはいかない、そう憂える多くの皆さんに、一緒に安倍
政権を選挙でノックアウトしようと呼びかけます。
以上、代表質問を終わります。(
拍手)
〔内閣
総理大臣安倍晋三君登壇〕