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2007-06-01 第166回国会 衆議院 法務委員会 第23号
公式Web版
会議録情報
0
平成十九年六月一日(金曜日) 午前九時三十四分
開議
出席委員
委員長
七条 明君
理事
上川
陽子
君
理事
倉田
雅年
君
理事
武田 良太君
理事
棚橋 泰文君
理事
早川
忠孝君
理事
高山 智司君
理事
平岡
秀夫
君
理事
大口
善徳
君 赤池
誠章
君 稲田 朋美君 今村
雅弘
君
近江屋信広
君
奥野
信亮
君
鍵田忠兵衛
君 笹川 堯君
清水鴻一郎
君 柴山 昌彦君 杉浦 正健君
松本
洋平
君 三
ッ林隆志
君 武藤
容治
君 森山 眞弓君 矢野 隆司君 保岡
興治
君 山口 俊一君 石関 貴史君 大串 博志君
黄川田
徹君 中井 洽君
松木
謙公
君
横山
北斗
君
神崎
武法
君 保坂
展人君
滝 実君 …………………………………
法務大臣
長勢
甚遠君
内閣官房
副
長官
下村 博文君
法務
副
大臣
水野 賢一君
法務大臣政務官
奥野
信亮
君
最高裁判所事務総局経理局長
小池
裕君
最高裁判所事務総局刑事局長
小川
正持君
政府参考人
(
警察庁長官官房総括審議官
) 巽
高英
君
政府参考人
(
警察庁刑事局長
)
縄田
修君
政府参考人
(
法務省刑事局長
)
小津
博司
君
政府参考人
(
法務省矯正局長
)
梶木
壽君
法務委員会専門員
小菅 修一君
—————————————
委員
の異動 六月一日
辞任
補欠選任
後藤田正純
君
松本
洋平
君
柳本
卓治
君
鍵田忠兵衛
君
河村たかし
君
松木
謙公
君
横山
北斗
君
黄川田
徹君 同日
辞任
補欠選任
鍵田忠兵衛
君
柳本
卓治
君
松本
洋平
君
後藤田正純
君
黄川田
徹君
横山
北斗
君
松木
謙公
君
河村たかし
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
を図るための
刑事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第七七号) ————◇—————
七条明
1
○七条
委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
を図るための
刑事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。 この際、
本案
に対し、
上川陽子
君外一名から、
自由民主党
及び
公明党
の
共同提案
による
修正案
、
平岡秀夫
君外一名から、
民主党
・
無所属クラブ提案
による
修正案
がそれぞれ
提出
されております。
提出者
から順次
趣旨
の
説明
を求めます。
大口善徳
君。
—————————————
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
を図るための
刑事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
に対する
修正案
〔
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
大口善徳
2
○
大口委員
ただいま
議題
となりました
修正案
につきまして、
提案者
を代表いたしまして、その
提案
の
趣旨
及び
内容
を御
説明
いたします。
政府
の
提出
に係る本
法律案
は、
犯罪
の
被害
に遭われた
方々
やその
遺族
の
方々
が
刑事裁判
に
参加
する
制度
、あるいは
損害賠償請求
に関し
刑事手続
の
成果
を利用する
制度
といった新たな
制度
の
創設
をその
内容
とするものであります。 また、ほぼ同時期には
裁判員
の
参加
する
刑事裁判制度
の
導入
が予定されており、
刑事裁判
が大きく変わろうとしているところでもあります。 こうした
状況
を踏まえた上での
委員会
での
審議
の結果、本
修正案
を
提出
することとした次第であります。 次に、本
修正案
の
内容
について申し上げます。 本
修正案
は、本
法律案
の
附則
に、
政府
は、この
法律
の
施行
後三年を経過した場合において、この
法律
による
改正
後の
規定
の
施行
の
状況
について
検討
を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて
所要
の
措置
を講ずるものとする旨の
規定
、及び、
政府
は、
被害者参加人
の
委託
を受けた
弁護士
の
役割
の
重要性
にかんがみ、
資力
の乏しい
被害者参加人
も
弁護士
の
法的援助
を受けられるようにするため、必要な
施策
を講ずるよう努めるものとする旨の
規定
を加えるものであります。 以上が、
修正案
の
趣旨
及び
内容
であります。 何とぞ、十分な御
審議
の上、
委員各位
の御
賛同
をお願いいたします。
七条明
3
○七条
委員長
次に、
横山北斗
君。
—————————————
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
を図るための
刑事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
に対する
修正案
〔
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
横山北斗
4
○
横山
委員
ただいま
議題
となりました
修正案
につきまして、
提案者
を代表いたしまして、その
提案
の
趣旨
及び
内容
を御
説明
いたします。
民主党
は、これまで、
政府
や
与党
に先駆けて
犯罪被害者基本法案
を
提出
するなど、
犯罪被害
に遭われた
方々
あるいはその
遺族
の
方々
の
保護
、
支援
に積極的に取り組んでまいりました。 しかしながら、これまでの
委員会
での
審議等
を踏まえ、
政府案
の採用する
被告事件
の
手続
への
被害者参加制度
については、
我が国
における
刑事裁判制度
の根本にかかわる問題を内包しており、ほぼ時期を同じくして
導入
される
裁判員裁判制度
に不適切な
影響
を及ぼす
懸念
も払拭できないとの
判断
に達し、
民主党
として
修正案
を
提出
した次第であります。 次に、本
修正案
の
内容
について申し上げます。 第一は、
被告事件
への
関与
が許される
被害者等
の
範囲
を拡大し、
裁判所
は、死刑または無期もしくは長期三年以上の懲役もしくは禁錮に当たる罪に係る
被告事件
の
被害者等
から
手続
への
関与
の
申し出
があるときは、
決定
で、
当該被害者等
の
手続
への
関与
を許すことができるものとすることとしております。 第二は、
証人
の
尋問
、
被告人
に対する
質問
及び
検察官
による事実または
法律
の
適用
についての
意見
の
陳述
への
被害者等
の
関与
についてであります。 その一は、
検察官
は、
証人
を
尋問
する場合において、
被害者関与人等
から
申し出
があるときは、
申し出
をした者に対し、あらかじめ、
尋問
しようとする
事項
を知る
機会
を与えなければならないものとするとともに、
被害者関与人等
は、
検察官
に対し、
当該事項
に付加して、必要な
事項
の
尋問
を求めることができるものとしております。また、
裁判所
は、
被害者関与人等
の
申し出
があるときは、
決定
で、
検察官
に対し、
当該事項
を
尋問事項
に付加すべきことを命ずることができるものとしております。 その二は、
検察官
は、
被告人
に対して供述を求める場合において、
被害者関与人等
から
申し出
があるときは、
申し出
をした者に対し、あらかじめ、
質問
をしようとする
事項
を知る
機会
を与えなければならないものとするとともに、
被害者関与人等
は、
検察官
に対し、
当該事項
に付加して、必要な
事項
の
質問
を求めることができるものとしております。また、
裁判所
は、
被害者関与人等
の
申し出
があるときは、
決定
で、
検察官
に対し、
当該事項
を
質問事項
に付加すべきことを命ずることができるものとしております。 その三は、
検察官
は、
被害者関与人等
から
申し出
があるときは、
申し出
をした者に対し、あらかじめ、
検察官
が事実または
法律
の
適用
について
陳述
する
意見
の
要旨
を知る
機会
を与えなければならないものとし、
被害者関与人等
は、
検察官
に対し、訴因として特定された事実の
範囲
内で
意見
の
要旨
の変更を求めることができるものとしております。 第三は、
総合法律支援法
を
改正
し、
刑事手続
に適切に
関与
するために必要な費用を支払う
資力
がない
被害者等
を援助するための
法律扶助制度
を
創設
することとしております。 第四は、
検討条項
についてであります。 その一は、
政府
は、
裁判員
の
参加
する
刑事裁判
に関する
法律
の
施行
後三年を経過した場合において、
改正
後の
刑事訴訟法
の
被害者
の
関与
に係る
規定
の
施行
の
状況
、
裁判員
の
参加
する
刑事裁判
の
制度
の
実施状況等
を勘案し、
犯罪被害者等
の
刑事
に関する
手続
への
関与
のあり方について
検討
を加え、必要があると認めるときは、
所要
の
措置
を講ずるものとすることとしております。 その二は、
政府
は、
改正
後の
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
を図るための
刑事手続
に付随する
措置
に関する
法律
の
損害賠償命令
に係る
規定
の
施行
の
状況等
を勘案し、
犯罪
による
被害
の補償に係る
制度
について
検討
を加え、必要があると認めるときは、
所要
の
措置
を講ずるものとすることとしております。 以上が、
修正案
の
趣旨
及び
内容
であります。 何とぞ、十分な御
審議
の上、
委員各位
の御
賛同
をお願いいたします。
七条明
5
○七条
委員長
これにて両
修正案
の
趣旨
の
説明
は終わりました。
—————————————
七条明
6
○七条
委員長
この際、お諮りいたします。
本案
及び両
修正案審査
のため、本日、
政府参考人
として
警察庁長官官房総括審議官巽高英
君、
警察庁刑事局長縄田修
君、
法務省刑事局長小津博司
君、
法務省矯正局長梶木壽
君の
出席
を求め、
説明
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
七条明
7
○七条
委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
七条明
8
○七条
委員長
次に、お諮りいたします。 本日、
最高裁判所事務総局小池経理局長
及び
小川刑事局長
から
出席説明
の
要求
がありますので、これを承認するに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
七条明
9
○七条
委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
七条明
10
○七条
委員長
これより原案及び両
修正案
を一括して
質疑
を行います。
質疑
の
申し出
がありますので、順次これを許します。
近江屋信広
君。
近江屋信広
11
○
近江屋委員
自由民主党
の
近江屋信広
であります。 今回の
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
を図るための
刑事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
により、新たに
創設
することとされております
被害者参加
の
制度
につきまして、
質問
をさせていただきたいと存じます。 これまでの
刑事裁判
におきまして、
被害者
の
方々
、
通常傍聴席
におられて、そして
証人
として証言する際などの限られた場面で
バー
の
内側
に入ることができたにすぎなかったわけであります。このような現状に対しまして、
被害者
の
方々
からは、
自分たち
は証拠として扱われているにすぎず、
事件
の
当事者
にふさわしい扱いを受けてはいないのではないかとの批判がなされてきました。そこで今回、
被害者参加
の
制度
を新設することとされたわけですが、一部に、
被害者
の
方々
の
参加
は行き過ぎであって、間接的な
関与
にとどめるべきではないかという御
意見
もあります。 そこでまず、
本案
において、間接的な
関与
とはせずに、
被害者
の
方々
が
刑事裁判
に直接
関与
する、すなわち
参加
することができる
制度
とした考え方につきまして、改めて
法務大臣
にお
伺い
いたしたいと存じます。
長勢甚遠
12
○
長勢国務大臣
犯罪被害者等基本法
では、国の責務として、
刑事
に関する
手続
への
参加
の
機会
を拡充するための
制度
の整備等必要な
施策
を講ずることを定めております。したがって、本
法律案
による
被害者参加制度
のように、
被害者
の
方々
に対して、
刑事裁判
に間接的に
関与
するにとどまらず直接
関与
する、すなわち
参加
することを認めることが
基本法
の
趣旨
に最も合致するものであると考えております。 また、本
制度
により
被害者
の
方々
が
刑事裁判
に
参加
することができるようになることは、多くの
被害者
の
方々
が求めておられることでもあり、その名誉の
回復
や
被害
からの
立ち直り
にも資するものであると考えております。 こうしたことから、本
法律案
においては、
被害者
の
方々
が
刑事裁判
に間接的に
関与
するのではなく、
参加
することができる
制度
を
創設
することとしたものであります。(発言する者あり)
七条明
13
○七条
委員長
御静粛にお願いいたします。
近江屋信広
14
○
近江屋委員
法務大臣
の
答弁
で、多くの
被害者
の
方々
の要請によって、
被害者
の
方々
が直接
関与
する、
参加
の形が適切であるという
答弁
でありました。その点は、よく理解できるところであります。 まず、この
制度
が
導入
されますと、
被害者
の
方々
が
バー
の
内側
に入りまして、
一定
の要件のもとで、
裁判所
の許可を得た場合に限ってではありますが、
証人尋問
や
被告人質問
あるいは事実
関係
または
法律
の
適用
についての
意見陳述
ができることとなります。この新
制度
は
刑事訴訟法
がとる
当事者主義
の
訴訟構造
を変容させるものではないか、そういう
見方
も一部にありますが、これまでの
答弁
を伺っておりますと、
当事者主義
というものを変容するものではないということでありましたので、この点も私は理解したところであります。 ただ、これまでの
刑事訴訟
のスタイルが大きく変化する、変わるということは確かでありまして、このことは、
被害者
の皆さんの声、また
要望
を踏まえた
被害者
のための
改革
であることはもちろんだと思います。一方で、
刑事訴訟そのもの
についても
メリット
がある
改革
なのではないかと思います。したがいまして、新
制度導入
によりまして
刑事訴訟そのもの
にどのような
メリット
が生じるのか、その点について、
法務大臣
、改めて御
見解
を
伺い
たいと存じます。
長勢甚遠
15
○
長勢国務大臣
今回の
制度導入
によって
刑事訴訟
の枠組みが変わるというものではないということは、おっしゃるとおりでございます。 そういう中で
被害者参加
の
制度
が
導入
されれば、
刑事裁判
が
被害者
の
方々
の
心情
や
意見
をも十分に踏まえた上でなされることがより明確となり、
刑事司法
に対する
被害者
を初めとする国民の信頼を一層確保するとともに、適正な
科刑
の実現にも資することとなるというふうに考えております。 また、
被害者
の
方々
が
刑事裁判
に主体的に
参加
することは、その名誉の
回復
や
立ち直り
にも資するものと考えられます。 さらに、
被告人
においても、
被害者
の
方々
の
意見
を直接聞くこと等により
被告人
の理解や反省が深まり、その更生に資する効果を与える場合もあると考えられます。 このように、本
制度
は、
被害者
の
方々
のみならず、
刑事訴訟
にとっても大きな
意義
があるものと考えております。
近江屋信広
16
○
近江屋委員
この新しい
制度
、
被害者
の
方々
のためというにとどまらず、
刑事訴訟そのもの
についても大きな
意義
がある、
メリット
があるというお答えでありました。ありがとうございました。 次に、
検察官
と
被害者参加人
との間における
コミュニケーション
についてであります。
法廷
におきましては、
検察官
がその
立証方針
に基づきまして犯人の
処罰
に向けて
各種
の
訴訟活動
を行っているわけでありますが、
刑事訴訟法
に関する知識や経験の乏しい
被害者参加人
にとっては、
検察官
がどのように考えて
訴訟活動
を行っているのかということをきちんと理解した上でないと、真の
意味
で
訴訟
に
参加
することは困難であると思われます。 そういう
意味
で、今回の
法案
によりまして、
被害者参加人
と
検察官
との
コミュニケーション
に関する
規定
が置かれて、すなわち第三百十六条の三十五でありますが、そういう
規定
が設けられたということについては、これは大変重要なことと考えられます。 ただ、
検察官
との
コミュニケーション
というものは、
裁判
に
参加
する際のみならず、
被害者参加人
以外の
被害者
の
方々
についても、そういった
検察官
との
コミュニケーション
を図ることが重要と考えますが、この点、どのように考えておられるのか、
法務大臣
にお
伺い
いたします。
長勢甚遠
17
○
長勢国務大臣
被害者
が
刑事裁判
に
参加
をするかどうかはその方の御
判断
でございますが、仮に
参加
をしない
被害者
の
方々
についても、その
心情
や
要望
が尊重されるべきことは当然であると考えております。 こういう
観点
から、現在でも、検察においては、
被害者
の
方々
から
意見
を聞いたり、必要に応じて
説明
を行うなど、
被害者
の
方々
との
コミュニケーション
の確保に努めているものと承知をしておりますが、引き続きこのような取り組みを強化していく必要があると考えております。
近江屋信広
18
○
近江屋委員
刑事裁判
に
参加
しない
被害者
についても、その
心情
、
要望
をしっかり尊重していきたい、当然のことであるという
答弁
でありましたが、その点、ぜひともよろしくお願いいたしたいと存じます。 最後に、一点お
伺い
いたします。 この
被害者参加制度
につきましては、さまざまな方から、本
委員会
の
審議
の
過程
においてもいろいろな
意見
がございました。
法廷
が復讐の場となるのではないかとか、
被告人
の
防御権
を害するのではないかとか、また、
参加
することによって
被害者
の
方々
が二次
被害
を受けるのではないかとか、また、
参加
しない
被害者
の
方々
の
処罰感情
が過小に
評価
されるのではないかとか、また、
裁判員
に不当に
影響
を与えることとなるのではないかなどの
懸念
が示されてきたところであります。 本
委員会
の
審議
の
過程
におきまして、これらの点につきましては、
法務大臣
を初めといたしまして、いずれも
司法当局
の
答弁
、
方針
は明快だとは思います。思いますが、ただし、どの
法律
でも同じでありますけれども、その
運用
を誤れば重大な
権利侵害
に立ち至る、そのようなことにつながっていくことにもなりかねません。 したがいまして、新設された
被害者参加
の
制度等
によりまして、真の
意味
で
犯罪被害者
の
権利利益
の
保護
を図るためには、本
法案
の成立後、法の
規定
に基づいて適正な
運用
を図ることが重要であると考えますので、この点について
法務大臣
の御
決意
、御
見解
を
伺い
たいと存じます。
長勢甚遠
19
○
長勢国務大臣
被害者参加
の
制度
を含め、本
法律案
に盛り込んでおります
各種
の
制度
は、いずれも、
犯罪被害者
の
権利利益
の
保護
を図るため、大変重要なものであると考えております。 この
被害者参加
の
制度
や
損害賠償命令
の
制度
はこれまで
我が国
になかった新しい
制度
でありますから、当
委員会
でもいろいろな
観点
からの御
懸念
も御論議いただいてきたところでございます。そういう問題を踏まえて、
関係機関
とも連携しつつ適正に
運用
していくということが大変大事だということは、おっしゃるとおりだと考えます。 この
法律
が成立した場合には、
被害者参加
の
制度等
が
施行
されるまでには十分な時間がありますので、その間にそれぞれの
制度
を設けた
趣旨
や
内容等
の周知の徹底を図ることなど、それぞれの
制度
が円滑に
運用
されるよう、
施行
に向けて万全の
準備
を行ってまいりたいと考えております。 〔
委員長退席
、
上川委員長代理着席
〕
近江屋信広
20
○
近江屋委員
ただいまの
法務大臣
の御
決意
をしっかり受けとめた次第であります。
法律
の
施行
までまだ時間がありますので、新たな
制度
がきちんと機能して、それぞれの目的が達せられるように、先ほど
法務大臣
が申されたように、
関係機関
が連携の上、しっかりと
準備
を進めていただくようにお願いいたしまして、時間となりましたので、私の
質問
を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
上川陽子
21
○
上川委員長代理
次に、
神崎武法
君。 〔
上川委員長代理退席
、
早川委員長代理着席
〕
神崎武法
22
○
神崎委員
公明党
の
神崎武法
でございます。 まず、
与党修正案
についてお
伺い
をいたします。
資力
の乏しい
被害者参加人
も
弁護士
の
法的援助
を受けられるようにするため、必要な
措置
を講じるように努めるとの
規定
を追加いたしました。これは、
犯罪被害者
の長年の
要望
に沿うもので、私は、画期的な
提案
であると高く
評価
をいたしたいと思います。 ところで、三年後に
施行状況
について
検討
し、その結果に基づいて
所要
の
措置
を講ずることといたしております。特に、この三年後の
検討条項
を置いた
趣旨
について
お尋ね
をいたします。
大口善徳
23
○
大口委員
今回、
与党
におきまして
修正案
を出させていただきました。この
法律案
は、
犯罪
の
被害
に遭われた
方々
やその
遺族
の
方々
が、
刑事裁判
に
参加
する
制度
、あるいは
損害賠償
に関し
刑事手続
の
成果
を利用する
制度
といった新たな
制度
の
創設
を
内容
としております。 また、非常に近接する時期に、その
施行
は若干後になりますが、
裁判員
の
参加
する
刑事裁判制度
の
導入
が予定されている、こういうことで、非常に
刑事裁判
というのが大きく変わろうとしているわけでございます。 そういう点で、本
委員会
におきますこれまでのこういう
状況
を踏まえたさまざまな
質疑
、そして
参考人
の御
意見
、
視察等
にも行かせていただきました、そういう結果から、
本案
の
修正案
を
提出
させていただくことになりました。 そして、
改正
後の
施行状況
を見まして、
検討
を加えて、必要があるときはその結果に基づいて
所要
の
措置
を講ずる、そういうことを義務づける、こういうことでございます。 また、
被害者参加人
の
委託
を受けた
弁護士
の果たす
役割
、これは重要であると
大臣
も
答弁
されておるわけでございますけれども、
資力
の乏しい
被害者参加人
も
弁護士
の
法的援助
を受けられるようにする。やはり、
資力
のない人は、たった一人で
法廷
に行くということは非常に難しいわけでございますので、そういう点では、こういう
法的援助
を受けられるように、十二月を目指して、
検討会
というのが
内閣
府で行われて、今詰めているわけでありますけれども、
附則
によって
法律
で講ずることに努めることを義務づける、こういうことによって一層この
制度
の構築に向けて大きな前進が図られる、こういうふうに考えております。 以上です。
神崎武法
24
○
神崎委員
与党修正案
は
大変意義
のあるもので、高く
評価
をいたしたいと思います。 そこで、私は、きょうは、
損害賠償
に関し
刑事手続
の
成果
を利用する
制度
を中心に
お尋ね
をいたしたいと思います。 この
制度
の性格につきまして、マスコミあるいは学者の間でいろいろな
意見
があるように思われます。いわゆるこれは
附帯
私訴の
制度
だというふうに見る方と、いや、
附帯
私訴ではなくて独自の
制度
だ、こういう
見方
がございまして、
附帯
私訴
制度
につきましては、旧
刑訴法
にありましたけれども、廃止されて現行の
刑訴法
にはないわけでございます。 新たに
附帯
私訴の
制度
を設けたのかどうかということなんですけれども、結局、
附帯
私訴についての
定義
を厳格に考えるか、あるいは緩やかに考えるかということで両方の
見方
が出てくるんだろうと思いますが、
法務当局
としては、この
制度
はどういう
観点
に立って
制度設計
をされたのか、この点についてお
伺い
をいたします。
小津博司
25
○
小津政府参考人
一般に、
附帯
私訴とは、
犯罪
によって
被害
を受けた者がその
事件
の
刑事手続
に
附帯
して
裁判所
に提起する
民事
上の
訴え
をいいまして、御
指摘
のとおり、
我が国
において旧
刑事訴訟法
に設けられていたほか、
ドイツ等
においても
導入
されているものでございます。これらの
制度
におきましては、
刑事裁判
の
審理
中に
民事
上の
訴え
についての
審理
も行うことができるとするなど、
刑事手続
と
民事手続
が基本的に融合していることを特色としているものと考えられます。 これに対しまして、本
制度
は、これまで御
説明
申し上げているとおりの
内容
でございまして、
刑事
と
民事
の
審理
は分断いたしまして、また
刑事判決
の
内容
について法的な
拘束力
は認めないで、
民事
上の争点については
損害賠償命令事件
の
審理等
において十分に主張、立証していくということにしたものでございます。 この御
提案
申し上げている
制度
を
附帯
私訴と位置づけるかどうかというのは、まさに
委員
御
指摘
のとおり、概念の
定義
によるものと思われるわけでございますけれども、旧刑訴あるいは
ドイツ等
におけるような
附帯
私訴に比べますと、ただいま申し上げましたような点が異なるということでございます。
神崎武法
26
○
神崎委員
損害賠償命令
の申し立てのできる
事件
は、
故意犯
で、かつ、
一定範囲
の罪に限定をしているところでございます。 まず、
対象犯罪
を限定した理由及びどういう基準でこれを限定したのか、この点について
大臣
にお
伺い
をいたします。
長勢甚遠
27
○
長勢国務大臣
対象犯罪
を限定したのは、本
制度
を円滑に
導入
して
運用
していくためには、救済の
必要性
が強く認められ、かつ、簡易迅速な
手続
で
審理
するのが相当と思われる
犯罪
を
対象
とするのが相当であると考えられたことによるものであります。
対象犯罪
を限定した基準でございますが、一つは、故意の
犯罪
行為により人を死傷させた罪や、強姦罪等、類型的に身体的、精神的に疲弊して通常の
民事
訴訟
を提起することが困難であると思われる
犯罪
であり、救済の
必要性
が強く認められること、二つ目に、
刑事手続
において認定された事実をもとに簡易迅速な
手続
で
民事
上の請求についての
判断
をすることができることを基準として限定したものでございます。
神崎武法
28
○
神崎委員
この
制度
では、業務上過失致死傷を除外しておりますけれども、それはどういう
意味
なんでしょうか。
長勢甚遠
29
○
長勢国務大臣
対象犯罪
を限定した理由、基準は今申し上げたとおりでございますが、そういった
観点
から見ますと、業務上過失致死傷罪については、事故の
当事者
のどちらの過失が大きいかという、いわゆる過失割合が問題となるような事案においては、
刑事裁判
の中で争っておかないと後の
民事
の
手続
で不利になるという理由でその争いが
刑事裁判
に持ち込まれ、迅速な
刑事裁判
の実現を阻害するおそれがあると思われること、また、交通
関係
の
民事
訴訟
については、そのような過失割合等の
審理
に時間を要しているとのことであり、現に交通
事件
の専門部や集中部が設けられている
裁判所
もあるなど、専門的な
判断
を要する
事項
が多いものと思われること、さらに、保険会社が絡むような
事件
については、加害者と
被害者
だけではなく、保険会社も含めて解決を図る必要があることなどからすると、そもそも
刑事手続
を利用して簡易迅速な
審理
により紛争の解決を図ることとする本
制度
にはそぐわないと考えられます。そこで、この業務上過失致死傷罪は本
制度
の
対象犯罪
とはしないということとしたものでございます。 〔
早川
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
神崎武法
30
○
神崎委員
この
制度
自体につきましてもさまざまな角度からの批判がありますので、それぞれについて
法務当局
の
見解
を
伺い
たいと思います。 一つは、
刑事裁判
を担当した
裁判
官が引き続き
損害賠償命令
の
裁判
をするのでは被告にとって不利になるおそれがあるのではないか、こういう批判がありますが、どうでしょうか。
小津博司
31
○
小津政府参考人
本
制度
では、
刑事
事件
の
審理
を行った
裁判所
と同一の
裁判所
が
損害賠償命令事件
の
審理
を行うことにしておりますが、これは、
刑事
に関する
審理
において抱いた心証をそのまま引き継ぐことで、
刑事手続
の
成果
を利用して簡易迅速に紛争を解決するという
趣旨
に基づくものでございます。 そして、本
制度
は、四回以内の期日で
審理
を終結することが困難であると認められるときには、通常の
民事
裁判所
に
事件
が移行されることになります。したがいまして、本
制度
で
対象
として想定されますのは、基本的に四回以内で
審理
が終えるような
事件
、すなわち不法行為の原因となる訴因として特定された事実に特段の争いのない
事件
で、例えば
被告人
が
刑事裁判
において
刑事
事件
への
関与
を否定して
損害賠償命令
手続
においても同様に争うような
事件
は、
対象
として想定されていないわけでございます。 また、
裁判所
がその
事件
について
審理
をし、また
裁判
を行った場合でございましても、相手方である
被告人
において
損害賠償命令
に不服がある場合には
異議
申し立てをすることができ、その場合には通常の
民事
裁判所
に移行されて改めて
審理
されることになりますので、御
指摘
のように
刑事裁判
を担当した
裁判
官がそのままこの
審理
を担当しても
被告人
に不利になるものではないと考えております。
神崎武法
32
○
神崎委員
次に、
刑事裁判
を担当した
裁判
官が
損害賠償命令
の
裁判
をするとなると、
被告人
としては、
被害者
側の過失や落ち度を
刑事
の
審理
中にあらかじめ主張せざるを得なくなる、その結果、
刑事
事件
の
審理
が長期化するおそれがあるのではないか、こういう批判に対してどうお答えになりますか。
小津博司
33
○
小津政府参考人
本
制度
におきましては、
刑事裁判
中は
民事
に関する
審理
を一切行わず、
刑事判決
の後に
民事
に関する
審理
を行うこととしております。このように
刑事
と
民事
の
審理
を分断することにより、
刑事
に関する
審理
においては、これまでの
刑事裁判
と同様に
刑事
の
観点
から必要なもののみが
審理
の
対象
となって、
民事
に関する争いは持ち込まれないものと考えております。 また、本
制度
におきましては、
刑事判決
に法的
拘束力
を認めておらず、
民事
上の争点については
損害賠償命令事件
の
審理等
において十分に主張、立証していくことができます。したがいまして、本
制度
の
導入
によって
刑事
事件
の
審理
が長期化するおそれはないものと考えております。
神崎武法
34
○
神崎委員
次に、
損害賠償命令
の申し立て書の記載
内容
によりまして、
刑事
の
裁判
官が予断を持つのではないか、こういう批判についてはどうでしょうか。
小津博司
35
○
小津政府参考人
まず、
裁判所
が
損害賠償命令
の申し立てを受けてその申し立て書の審査を行うことは、あくまでも後の
民事
の
審理
のために行うものでございまして、
刑事
被告事件
の実態について
裁判所
の心証形成を目的とするものではありませんし、実際上もそのようなことはないわけでございます。 さらに、本
制度
におきましては、御
指摘
のような疑念を抱かれることのないように、
損害賠償命令
の申し立て書には、請求の
趣旨
それから
刑事
被告事件
に係る訴因として特定された事実、その他請求を特定するに足りる事実等の
一定
の
事項
以外の
事項
を記載してはならないということにしておるわけでございまして、御
指摘
のような御
懸念
はないものと考えております。
神崎武法
36
○
神崎委員
次に、この
制度
を認めますと、
裁判員
裁判
における
手続
が混乱するおそれがあるのではないかとの角度からの批判があります。
対象
事件
は、
裁判員
対象
事件
とほぼ重なり合う。せっかく公判前の整理
手続
で争点と証拠を整理して
審理
に入ったのに、この申し立てがなされますと、
民事
で争点となる
被害
額の算定に関する事実の有無等が事実上争点になってしまう、そういう
意味
で
手続
が混乱するのではないか、こういう批判がありますが、どうでしょうか。
小津博司
37
○
小津政府参考人
ただいまの御
指摘
に関しましては、まず第一には、公判前整理
手続
によって争点が整理されて
裁判員
裁判
の
審理
が始まるわけでございますので、まずその点で、
損害賠償命令
の申し立てがなされたとしても、その争いが持ち込まれることは想定しがたいわけでございます。 もう一点は、先ほども申し上げましたように、
刑事
の
裁判
中は
民事
に関する
審理
は一切行わないということでその
審理
を分離しておりますので、そのような
観点
からも、またこれも先ほど申し上げましたが、
刑事判決
に法的
拘束力
を認めていない、
民事
についてはまた後で十分に争えるということでございますので、そのような御
懸念
はないのではないかと考えております。
神崎武法
38
○
神崎委員
終わります。
七条明
39
○七条
委員長
次に、保坂
展人君
。
保坂展人
40
○保坂(展)
委員
社民党の保坂展人です。
裁判員
制度
と重要な
関係
があるので、
法案
に先立って
質問
をまずいたしますが、先日来、
裁判員
制度
の実施に当たって
裁判所
の庁舎の改築あるいは増築、こういった工事が行われているということで、資料を求めていたところ、昨日、総額二百十五億円余りの
裁判員
関連工事の一覧表が私のもとに届いたわけですね。 経理局長にお聞きいたしますが、どうも、九九%を超える数値で落札された工事が随分あるなと思います。この工事名、受注業者名、予定価格、契約金額、落札率を教えていただきたい。
小池裕
41
○
小池
最高
裁判所
長官
代理者 予定価格に対して最終的な契約金額が九九%を超えるというものは、全体で九十七件のうち十四件ございました。そのうちの大方は、いわゆる不落随契というものでございまして、入札者等がなかったために予定価格をアッパーリミットとしたものでございます。 そういった
意味
で、不落随契を除きまして、そういう落札率が九九%を超えたものは一件、これは和歌山の地方・家庭
裁判所
の増築工事でございます。二階建ての建物を建てるものでございまして、これは、予定価格が三千九百九十五万円余りだったものが、三千九百九十万円という落札率でございます。契約の相手方は、小向商会というところでございます。
保坂展人
42
○保坂(展)
委員
経理局長は、今、一件というふうにお答えになっている。私の手元にある数字をどう見ても、六件はあるんですけれども。九九%台、例えばさいたま地裁増築工事、九九・五%ですね。宇都宮地裁増築工事、九九・九八%。これは違う数字なんですか。
小池裕
43
○
小池
最高
裁判所
長官
代理者 ただいまのさいたま、宇都宮等につきましては、不落随契でございます。入札をしたわけでございますが、入札者がなかったために予定価格をアッパーリミットとして、これは予決令に定めて許されております随意契約でこの価格になったということでございます。
保坂展人
44
○保坂(展)
委員
この点については一般
質疑
でさらに聞いていきたいと思いますけれども、これだけ高いと談合の疑いがあるんだなというふうに思います。
法務大臣
に
伺い
ますけれども、
裁判員
制度
の
導入
、
刑事司法
の根幹を変えて
被害者
の
訴訟
参加
ということで、これからの
刑事裁判
は大きく変わると先ほど
与党
の修正
提案者
もお話をされていましたけれども、この二つの
制度
、
被害者参加人
の
訴訟
参加
が
施行
されて半年後に
裁判員
制度
が始まるという、またぴったりそろわない形になっている。私は、議論がそこは十分じゃないのではないか、両方の
制度
がきちっとかみ合って議論されてきたというふうには言えないのではないか。その点、いかがですか。 〔
委員長退席
、武田
委員長
代理着席〕
長勢甚遠
45
○
長勢国務大臣
この問題、この
委員会
でもたびたび御
質問
のあるところでございますが、
裁判員
制度
の
導入
あるいは
被害者
の
訴訟
参加
ということは非常に重要な
改正
ではありますけれども、いずれも従来の
刑事訴訟
の枠組みを変えるというものではないということは御理解いただいておると思います。 その上で、そういう前提に立って、
裁判員
制度
が始まるということを前提に、今まで
被害者等
基本法
が制定をされ、またそれに基づく基本計画に基づいて
検討
をされ、法制
審議
会においても、そのことを前提に、
裁判員
制度
との
関係
を考慮すべき
事項
として明示した上で、慎重な
検討
をされてきたということでございます。 それで、このことについても、今申しましたように、この
委員会
でも大変慎重な御
審議
をいただいてきたわけでございまして、議論が不足しているという御
指摘
は当たらないと思いますし、それらの議論を踏まえて、本
法律案
が成立した場合には、
裁判員
制度
の円滑な
運用
が阻害されることのないよう、適正な
施行
に万全を期していきたいと思っております。
保坂展人
46
○保坂(展)
委員
法務
省
小津
局長に
伺い
ますが、自分はやってはいないんだ、しかし捜査段階において自白を強要されたということで調書の任意性を争うような、
裁判員
が
参加
する
法廷
で、
被害者参加人
の方に
検察官
はどのように
被告人
の主張というのを
説明
するのか、簡単に答えてください。
小津博司
47
○
小津政府参考人
これは一般的に言えば、個々の
事件
に応じて、必要に応じということになるわけでございますけれども、本
制度
の
趣旨
からいたしまして、重要なことは、
被害者参加人
の方に、
刑事裁判
というものはどういうものであるのか、そしてこの
審理
はどういうように進んでいるのかということをきちんと客観的に冷静に理解していただくということが大変重要であると思われるわけでございまして、
委員
御
指摘
のような事柄につきましても、
検察官
といたしましては、そのような
観点
から
説明
を行うべきものであるというふうに考えております。
保坂展人
48
○保坂(展)
委員
小津
局長に
伺い
ますが、先日の
質問
で、虚偽
陳述
、これは
裁判員
候補者が
裁判
長から
質問
を受けたときに、虚偽
陳述
というようなことで三十万円の過料もある、こういうことだったんですけれども、どのような回答が虚偽
陳述
に当たるのか。また、その三十万円の過料以外に五十万円の罰金というものも別にあるようですが、どういうふうに区分けをして科されるのか。 つまり、警察官の捜査についてあなたは信用できますか、死刑について、法定刑があるので、これについてどうですかということが一応設問予定であるわけですね。それについて、虚偽
陳述
に対する罰金あるいは過料というのが設定されている。そのことが非常に気になるわけですね。 〔武田
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
小津博司
49
○
小津政府参考人
裁判員
法、このたび
改正
がなされましたが、その
改正
前の条文数で申しますと、八十一条と八十二条に
規定
がございます。 八十一条は、虚偽の
陳述
をしたときは五十万円以下の罰金に処するということで
刑事
罰が定められておりまして、八十二条は、
質問
に対して正当な理由なく
陳述
を拒んだり虚偽の
陳述
をしたときは、
裁判所
は
決定
で三十万円以下の過料に処するという
規定
があるわけでございます。 そこで、どういう場合にこれの
適用
があるかということでございまして、もちろん一概には申し上げられないわけでございますけれども、客観的な事実に反しているかどうかということがメルクマールでございます。また、そういう罰則、制裁との
関係
で申し上げれば、本人がわざとそういう虚偽の
陳述
をしたということが要件にあるものと理解しております。
保坂展人
50
○保坂(展)
委員
改正
前の
裁判員
法の八十一条は
刑事
罰、そして八十二条は過料ということで、これは分かれるわけですね。そのメルクマールが客観的なということ。 それで、具体的に聞きますのでお答えいただきたいんですが、例えば、
裁判員
候補者が、警察官の捜査を実は信用していないが、選任
手続
で
裁判
長に問われたときに正直に答えずにやり過ごしてしまった、つまり余り信用していないということを言えなかった、これは虚偽の
陳述
に当たるのか。それから二番目、警察の捜査に不信があると回答すると不選任にされると聞いていたので、信条をすべて語らなかった、これは虚偽の
陳述
に当たるのか、いかがですか。
小津博司
51
○
小津政府参考人
恐縮でございますが、それぞれの事案によって
判断
されるということになりますし、基準は何かと申し上げれば、八十一条の場合も八十二条の場合も、客観的な事実に反することを言ったかどうかということでございます。 また、八十二条との
関係
では、御
指摘
の例ですと、「正当な理由なく
陳述
を拒み、」というのに当たるかどうかということも議論の
対象
になろうかと思いますけれども、結局のところ、その方がどの程度のことを話して、その応答ぶりが
陳述
を拒んだということで
裁判所
が
決定
で過料を出すかどうか、こういう個々の
裁判所
の
判断
になろうかと思います。
保坂展人
52
○保坂(展)
委員
では、
裁判所
に
伺い
ます。 例えば死刑判決、死刑という
制度
について、国民の間にはいろいろな、当然だという
意見
もありますし、また、これはよくないのではないか、自分としてはそういうのにくみしたくないという人もいますね。これが、
裁判員
候補者の選定
手続
の中で、いわゆる
裁判
官、
裁判
長が行う
質問
の中で、捜査官の捜査の信用性について、そして死刑についての考え方が文例として出されました。 これまで、司法
制度
改革
や
裁判員
制度
の設計の中で、憲法上の内心の自由との
関係
でこの点は議論されたんでしょうか。
裁判所
の認識はどうですか。
小川正持
53
○
小川
最高
裁判所
長官
代理者 お答え申し上げます。
委員
御
指摘
の、
裁判員
の選任と憲法上の内心の自由というか思想、良心の自由の
関係
については、憲法上の権利を侵すこととなるような義務づけを行うことは許されないという議論がなされたということは承知しております。
保坂展人
54
○保坂(展)
委員
それは余りにも簡単過ぎる
答弁
で、今、
法務省刑事局長
とやりとりしたような議論というのは、非常に境界線上でありますよね。結局、その方がどのような内面の思想を持っているのか、信条を持っているのかということに触れて、そのことを
質問
に対して全部吐露しなかった場合、虚偽の
陳述
に当たるのかどうかという論点もあるわけです。ここを今、
裁判所
はどう考えているのか。
小川正持
55
○
小川
最高
裁判所
長官
代理者 お答え申し上げます。 不公平な
裁判
をするおそれがあるかどうかという
観点
から、選任
手続
において
裁判所
がいろいろな
質問
をするということになるわけですが、このときに、実際にどういう
事項
を
質問
して、それに対する答えについてどのように考えるかというのは、個別の
裁判
体の
判断
でございますので、これは私どもの方から申し上げることではないと思います。
保坂展人
56
○保坂(展)
委員
法務大臣
に
伺い
ますが、今、不公平な
裁判
を行わないために、忌避ができるという
制度
があるわけですね。
検察官
と、これは被告、
弁護士
の側からも忌避ができるわけですが、警察官の捜査が信用できないというようなことを述べる人、あるいはそういう信条を持っている人は不公平な
裁判
をするおそれがあるんでしょうか。
長勢甚遠
57
○
長勢国務大臣
それは個々具体的に
判断
されるべきことでございますけれども、特にそこでどういう思想かということを
質問
したいということはないんだろうと思いますので、その
状況
によって、検察また弁護の方それぞれに御
判断
されるものと思います。
保坂展人
58
○保坂(展)
委員
法務大臣
に
伺い
ます。 今回の最初の
質問
で、やはり
裁判員
制度
とこの
被害者
の
訴訟
参加
、本来は一緒に設計されるべきだったというふうに私は強く思っているんですね。
裁判員
としてくじで選ばれて、私たち野党も東京地裁の
裁判員
席に座って、九人のいす、真ん中に
裁判
長、そして
裁判
官が座り、
裁判員
。被告席、そして
被害者参加人
は
検察官
の横に座るんだなと。こういう
訴訟構造
の中で、
裁判員
が、つまり、この
制度
がない
裁判員
制度
と、今
法案
審議
しているこの
制度
が組み込まれた
裁判員
制度
、どこが変わってくると思いますか。
長勢甚遠
59
○
長勢国務大臣
まさに
被害者参加
の
制度
は、
被害者
の
方々
が直接的に
関与
される、そこでいろいろ
被告人
に対しても事実
関係
あるいは
心情
関係
について
質問
ができるという
制度
でございますから、そのことが、
裁判
の中身について今までとは違った何らかの形、
影響
があるということは、それは避けられないことだろう、当然のことだろうと思います。
保坂展人
60
○保坂(展)
委員
当然のことだろうとおっしゃいましたけれども、くじで選ばれた
裁判員
にとってはどういう変化がありますか。
長勢甚遠
61
○
長勢国務大臣
今までは相手が検事さんと
弁護士
さんという中で、
被害者
の
方々
が
参加
されるわけですから、そのことが違いということになるのは当然のことでありますね。 しかし、同じ方が二つの
法廷
に出られるわけではないわけですから、そういうものとして、そういう
制度
の中で
裁判員
としての
役割
を果たしていただけるものと思います。
保坂展人
62
○保坂(展)
委員
法務大臣
、
裁判員
の方が、
検察官
の論告求刑、そして
被害者参加人
の
意見陳述
による求刑、二つの求刑を目前で受けとめるわけですね。率直に
伺い
たいんですが、この両者を、くじで選ばれた
裁判員
はどのように受けとめると考えていますでしょうか。つまり、
検察官
の求刑とそして
被害者参加人
の求刑、二つの求刑が出るわけですね。この二つの求刑は違う
内容
かもしれないということがあります。そうすると、どちらを重く受けとめるでしょうか。
長勢甚遠
63
○
長勢国務大臣
検察官
は法と証拠に基づいて求刑するでしょうし、
被害者
の
方々
はまたその立場からの求刑ということがあり得ますので、それぞれが違った
観点
からの話ということが起こり得るとは思います。 それを
裁判員
の
方々
がどう受けとめられるかということは、一概に申し上げることはできないと思いますが、もともとこの
裁判員
制度
そのものが、国民の常識的な感覚を
裁判
の中で、司法の中で生かしていくということが基本であると思いますので、それぞれの、検察あるいは
被害者
の
方々
の御
意見
をその方の常識で御
判断
していただく、それがどういうふうになるかということについて、今から、事前にこうなるでしょうということは言うべきことではないと思います。
保坂展人
64
○保坂(展)
委員
十分な議論があるというふうに
法務大臣
はおっしゃいましたけれども、私は、かなり大きなテーマがまだ残っているというふうに思っております。例えば、事実において争いのない
事件
について、そこから
導入
をしていく。私も、
被害者参加人
の皆さんの
法廷
参加
ということについては必要なことだと思っています。しかし、
刑事裁判
全体に対する
裁判員
制度
の発足とリンクしていくということで、事は慎重でなければいけないという立場から
質問
をいたしました。 これで終わります。
七条明
65
○七条
委員長
次に、高山智司君。
高山智司
66
○高山
委員
民主党
の高山智司でございます。
犯罪被害者
の
方々
の
訴訟
参加
というんでしょうか、今まで
犯罪被害者
の方、あらゆる
刑事手続
の中で、やはり疎外感を味わってきて、本当に
自分たち
の気持ちが理解されないという中で、徐々にそういう声を上げていくことで世間の注目を集め、また、マスコミにも報道され、それがまたどんどん世間の注目も集めるということで、国会も動かして、法
改正
に今つながってきたわけでございます。
訴訟
参加
するからといってすべての問題がもちろん解決するわけではございませんし、まだまだ
犯罪被害者
の方、これは自分は何の落ち度もないという人が一番多いわけですから、どういう配慮を
政府
としてやっていけるのか。国の責任というのは、やはり日本国民全員の安心と安全というと非常に平凡ですけれども、本当に
犯罪被害
に遭ったら、何の落ち度もないんだったらきちんと
被害
が
回復
されなければいけないし、加害者には厳しい
処罰
をしなければいけない、こういう当たり前のことをやるのが国の責任だと思っておりますので、今回の
法案
、非常に多くの方の努力、我々
民主党
もずっと
犯罪被害者
基本法
のときから
関与
してきまして、大きな
成果
をだんだん得てきたなと思っております。 そして、今回、私たち
民主党
は、ただ、
訴訟
参加
といっても、
裁判員
のことと両方考えるとなかなか、本当に今のこの
政府案
でベストなものなのかということで、
与党
の
方々
とも真摯な修正協議を水曜日からずっと続けさせていただきました。お互い、とにかく
犯罪被害者
の人たちに何がベストなんだろうということで、随分真剣に議論をさせていただいたわけではございますけれども、今回、なかなか時間も少なくて、我々としてはもうちょっと修正協議を続けてもよかったなという思いはあるんですけれども、早目に採決というようなことになってしまいましたので、なかなか成案を得ることはできませんでした。 そこで、
民主党
の
提出者
の方、また
与党
提出者
の方を中心にまずお話を伺っていきたいと思いますけれども、まず
民主党
の
提出者
の方に
伺い
ます。
民主党
提出
の
修正案
の中には、
被害者参加制度
というのは
我が国
の
刑事司法
制度
の根本にかかわる問題を内包しているというような
指摘
が
趣旨
説明
の中でございましたが、それはどういう点を指しているのか、御
説明
願えますでしょうか。
平岡秀夫
67
○
平岡
委員
お答えいたします。 この
委員会
でも
参考人
の
方々
に来ていただきまして、皆さんから本当にいろいろな貴重な御
意見
をいただきました。その中でも、今回の
政府案
に示されている
被害者参加制度
に対して、極めて慎重な立場に立って発言しておられた
刑事訴訟法
の専門家の方もおられました。 その方のお話によりますと、
政府案
は、職権主義を採用しているドイツやフランスの
被害者参加制度
とは似て非なるものである、そして、
被害者
の
方々
が応報感情を満足させる存在として
法廷
に登場することとなる危険性もあるというようなことで、
刑事裁判
が復讐
裁判
と化して、これまでの
刑事裁判
の構造を崩して機能不全に陥ってしまうおそれを内包しているというような
指摘
もされたところであります。 特に、ここでも議論がたくさん行われましたけれども、
裁判員裁判制度
がほぼ時期を同じくしてスタートするということを考えますと、その
裁判
の場で、証拠に基づく冷静な事実
審理
あるいは適正で公平な量刑ということを図っていく場合に、いろいろ予想できない事態もあり得るのではないだろうかというような疑問も払拭し得ない
状況
にあるんだろうというふうに思います。 そういう
意味
で、我々として、
政府案
で出していることが、いずれかの段階でしっかりと議論されるべき話だということを否定するものではありませんけれども、現段階では、
政府案
の
被害者参加制度
に反対している
被害者
団体の
方々
も表明されておられるように、
政府案
の
制度設計
では
被害者
はかえって傷つくだけというような事態もあり得るのではないかということで、そういった
方々
の
意見
に対しても大いに耳を傾けるべきというふうに考えていたところでございます。
高山智司
68
○高山
委員
今の
民主党
の
提出者
の方の
答弁
の中にもありましたように、単なる応報感情を満足させる場になりはしないかですとか、かえって
被害者
が傷つくだけというような
意見
も、確かにこれはあるんですね。それは本当に、与野党協議をしている中でも、
与党
の実務者の方も、確かにそういう面もあるなというお話がありました。 ただ、
民主党
案ですと、これは
被害者
の
参加
というよりは、
バー
の中に余り積極的に入らない、
関与
にとどめておこうというようなことが条文から感じられるわけですけれども、やはり直接
参加
したいんだという
被害者
の声も無視できないと思うんですが、この点は、
民主党
の
提出者
はどのようにお考えでしょうか。
平岡秀夫
69
○
平岡
委員
委員
が御
指摘
のとおり、そうした直接の
参加
を望んでおられる
被害者
の
方々
もいるということは、我々もしっかりと認識をしているところでございます。 しかし一方で、先ほど来私が申し上げているような
懸念
も表明されている中で、
被害者
の
方々
の中には先ほども申し上げたような
懸念
を表明されておられる
方々
もいるということで、本当に我々にとってみても、どういう仕組みにすべきなのかということについて悩ましい
状況
にあるということもまた事実であります。 そういう
意味
では、我々としては極めて慎重に物事を進めていくという立場に立つということが基本ではなかろうかというようなことで、
民主党
の
修正案
を
提出
させていただいているわけでありますけれども、この
民主党
の
修正案
でも、
被害者
関与
制度
という仕組みの中で、
被害者
関与
人は、
検察官
の権限行使について
質問
し、
意見
を述べ、回答などを得ることができるというような形にし、
証人尋問
とか
被告人質問
についても、
裁判所
が、相当と認めるときには、
被害者
関与
人の求める
事項
を
検察官
の
尋問
、
質問事項
に付加するように
検察官
に命ずることで、
法廷
の中でしっかりと示されるというようなことも確保することによって、実質的に
裁判
に
関与
する度合いというものは
政府案
と決して劣るものではないというような形にさせていただきました。 さらに、私も
政府案
の中身がちょっとよくわからない部分もありますけれども、
政府案
と我々の案を比較してみますと、
被害者
の
方々
が
申し出
て
法廷
に提示される
尋問
とか
質問事項
の
範囲
については、我々の方が
政府案
よりも広くなるという
意味
においては、
被害者
の
方々
にとってより
権利利益
の
保護
を図っているというふうに考えているところです。
高山智司
70
○高山
委員
ありがとうございます。 これは、与野党協議をしている中でも、また
被害者
の方の話を聞いていても、本当に皆さん悩みがあることなんですね。全く自分に落ち度がなくて
犯罪
の
被害者
になってしまった、それが、
裁判
で直接
参加
してやり合うことが本当にいいことなのかどうなのか、これは本当にやってみなければわからないんだと言う人もいました。 けれども、これは
裁判
という、きちんと真実は何なのかを明らかにしていって、そしてまた刑を確定させていくというプロセスの中で、本当にそれはやってみなければわからないんだということでいいのかどうか。だから、これは何年か、今度
裁判員
制度
が入ってきて、本当に今のこの
制度
でよかったのかどうか、きちんと見直していく必要もあるのではないかなということを、我々としてもずっと言っていたわけです。 これは
与党
の
提出者
の方にも
伺い
ますけれども、我々との協議の中で見直し
規定
を入れていただいた部分があるんですけれども、三年後にまた見直すということを入れた理由というのはどういうことなんでしょうか。
上川陽子
71
○
上川
委員
修正案
の中に三年間の見直し
規定
ということで入れさせていただきましたけれども、
趣旨
の御
説明
のところにも触れておりますが、今回の
制度
、
被害者
の皆さんが司法
手続
に対して
参加
する全く新しい
制度
であるということ、そして同時に
裁判員
制度
の
導入
の時期とも重なるということもございますし、またいろいろな形で新たな課題ということも起こり得る可能性もあるということでございますので、この
制度
の
実施状況等
を見ながら、しっかりと期限を区切って、そうした
状況
の積み重ねを
評価
し、またその上に立ってさらなる取り組みに資していくということが大切ではないかということで、三年間の見直し
規定
を置いたところでございます。 同時に、
基本法
及び基本計画の文言におきましても、大変透明性の高いところでこの
制度
の検証をしていくということが盛り込まれておるところでございますので、そうした一般的なルールにおいても、定期的に見直しをし、そして
評価
をし、さらによいものにし、
被害者
の皆さんの
支援
に役立つように総合的な対策に取り組んでいくことが大事だというふうに
規定
しておりまして、その
趣旨
にも照らして、今回、この
法律
の中で、
附則
という形で設けたところでございます。
高山智司
72
○高山
委員
今、
与党
の
提出者
の方からもお話がありましたけれども、基本計画に照らしてとかなんとかそういうことではなくて、やはり現実に
被害者
の方のお話を聞くと、これはやらなきゃいけないのかなと思うときもありますし、また、実際の今の
刑事手続
を根本的に変えてしまうことになるわけですから、どうしようかという悩みが、これは与野党ともに出てくるものだなというふうに私は思います。ですから、
導入
に当たってはかなり慎重に、
政府
側に、本当にどうなんだという検証をきちんとしていただかないといけないことだなというふうに思っております。 ちょっと細かい話をこれから聞いていきますけれども、
民主党
の
提出者
に
伺い
ますけれども、
被害者
の
関与
は、
刑事裁判
手続
のどういった段階から始まるのか。まず
検察官
の起訴、不起訴の
判断
の段階、あるいは訴因や罪名について不満を持つ
被害者
も多いと思うんですけれども、この点については、
被害者
はどういう
関与
をするんでしょうか。
平岡秀夫
73
○
平岡
委員
被害者
が
関与
できる段階という点ですけれども、この点については、基本的には
政府案
と変わりがあるわけではありませんで、被疑者が起訴された段階からという形にしております。 確かに、我々の案においても、
検察官
の起訴時における訴因とか罪名の
判断
まで
被害者等
が
関与
できる仕組みとはなっておりませんけれども、我々の案では、
被害者等
の
方々
については、公訴提起後において、幅広く
関与
人という形で認められる仕組みになっています。
政府案
でいきますと、故意の
犯罪
行為により人を死傷させた罪など、極めて限定的な罪に係る
事件
に限定されていますけれども、我々の場合は、長期三年以上の自由刑に相当する罪に関する
事件
についてはそうした
被害者
関与
が認められるという仕組みになっております。 そういう
意味
で、幅広い
被害者
の
方々
について、公訴提起後においては、
検察官
の権限の行使に関して
質問
できる、これも
政府案
の中にはない話でありますけれども、
質問
をし、そして
意見
を述べることができるということで、そうした
質問
とか
意見
を通じて、
検察官
の訴因変更等を求めることも可能であるというふうに考えているところであります。
高山智司
74
○高山
委員
ありがとうございます。 今の、訴因であったり罪名ということ、こういうことまではまだわかりやすい部分もあるかもしれないんですけれども、どうも
被害者
の
訴訟
参加
といいますと、
バー
の中に入る、入らないというような、何か一見わかりやすい言葉で
説明
されるんですけれども、それは実質的にどういうことなんだ、
裁判
というプロセスに、
法律
の素人である、ただ、
事件
の本当の
当事者
である
被害者
がかかわるというのはどういうことなのかということが、この原案、
政府案
の方では余り細かくわからないなという部分もあったんです。
政府案
の
被害者参加制度
では、公判前整理
手続
や期日間整理
手続
への
被害者
の
出席
を認める
制度
とはなっていないわけですけれども、
民主党
修正案
では、こういった段階でどのように
被害者
が
関与
していくのか、
提出者
に
伺い
ます。
平岡秀夫
75
○
平岡
委員
この点についても、
政府案
とは基本的には変わっているわけではありません。我々の
被害者
関与
制度
におきましても、公判前整理
手続
とか、あるいは期日間整理
手続
におきまして
被害者等
の
出席
を認めることはしておりませんけれども、先ほど来から御
説明
しているように、
被害者等
の
方々
については、
検察官
の権限の行使に関して
質問
をする、
意見
を述べる、そういうことを幅広い
方々
ができるような仕組みにしておりまして、これらを通じて間接的な
関与
ができるというふうに考えております。
高山智司
76
○高山
委員
なかなか、
法律
上は素人でありますけれども、本当の
事件
の
当事者
である
被害者
の
方々
が、
法律
のプロである
検察官
や
弁護士
さん、特にこの場合一番かかわるのは
検察官
ですよね、その
判断
が本当にいいのかということで、不信感を持たれている方も今まで多かったというふうに聞いております。 この点、
民主党
の
修正案
の
被害者
関与
制度
では、
検察官
との意思疎通を大きく改善するものだというふうに思うんですけれども、仮に
検察官
が
被害者
の
意見
や
要望
を取り入れなかった場合に、今まで同様、やはり
被害者
は疎外感を味わい、
法廷
の外に置き去りになってしまう、こういうことなんでしょうか。
平岡秀夫
77
○
平岡
委員
委員
御
指摘
のとおり、これまでの
裁判
の遂行の中で、
検察官
と
被害者
の
方々
との
関係
においては、意思疎通が十分に図られていなかった、それに対して
被害者
の
方々
に多くの不満があったということは、
政府
側も我々の
質疑
の中で認めてきていたわけであります。 そういう
意味
で、我々は、そこのところに本当に根源的な問題があるのではないかというようなことで、今回、
検察官
と
被害者
の
方々
との間では、
質問
したり
意見
を述べたりする
過程
の中でしっかりと意思疎通を図っていっていただきたいというふうにしているわけであります。
委員
の御
指摘
になっているように、
被害者
の
方々
の
意見
が
検察官
に採用されない場合も、やはり同じような問題が生じてしまうのではないかというような点もあろうということで、我々としては、まずは
検察官
から
被害者
の
方々
に、その権限行使をしないことについての理由はしっかりと
説明
をしてもらわなければいけないというふうにしておりますとともに、もし、それでも
検察官
の言っていることについて納得がいかないというようなものについて、
証人尋問
とか、あるいは
被告人質問
について、
裁判所
、
裁判
官の方に上げてもらって、
裁判
官が、相当と認めるときには、
被害者
関与
人の求める
事項
を
検察官
の
尋問
、
質問事項
等に付加することを
検察官
に命じていく。ここは、
被害者
関与
人が、こういうことを聞きたい、
質問
したいというようなことをしっかりと明示してやるようなことになろうかと思います。 そういう形の中で、
法廷
の中にはしっかりと提示されるという形で、これまでのような、
被害者
の
方々
の
意見
なり疑問なりがそのまま置き去りにされてしまうというようなことがないように工夫はさせていただいたということでありまして、これまでのように
法廷
の外に置き去りにされるというようなことにはならないというふうに考えております。
高山智司
78
○高山
委員
ありがとうございます。 法曹三者というんですか、
裁判
官、
検察官
、
弁護士
だけで何か事が進められていってしまう。特に、
被害者
の方は、実は今の現行法の
制度
でも、警察段階でも、また検察段階でも、随分配慮が近年進んできたわけですよね、それでもまだ自分が本当に
参加
したいんだというのは、これはある
意味
検察不信だという部分も私はあったと思うんですね。 ですから、今の
民主党
修正案
のように、例えば
検察官
と
意見
が合わなかった場合でも、本当に、
事件
の
当事者
である
被害者
の
意見
が、それこそその
法廷
の中できちんと表明できるというのは、私は、
民主党
修正案
の方がなかなか
被害者
の立場に立って考えられているなというふうには感じました。 そこで、次なんですけれども、
民主党
修正案
では、
証人尋問
や
被告人質問
に際しては、
裁判所
の
決定
により、
検察官
に対して
被害者等
の求める
事項
を
質問
すべきと命令できるわけですけれども、論告求刑に関してはこのような
規定
が置かれていない、ちょっと弱い
関与
だなという印象を受けるんですけれども、このようになった理由はなぜですか。
平岡秀夫
79
○
平岡
委員
このことは、近代国家における
刑事裁判
とは一体何なのかという本質論もあるわけでありますけれども、特に今回について言えば、ほぼ時期を同じくして
導入
されることになっております
裁判員
制度
との
関係
をやはり非常に意識しているということもあろうかと思います。 具体的に申し上げれば、論告求刑という形で
被害者
側に立った
意見陳述
が行われれば、一回限り、初めて
刑事裁判
に
関与
することとなる
裁判員
の情緒に非常に強く働きかけが行われるということになって、証拠に基づいて冷静になされなければならない事実認定等に
影響
を与える可能性というものはやはり否定できないのではないか、このように考えたところでございます。 それから、基本的な考え方でもありますけれども、
我が国
の
刑事裁判
は、基本的には、
検察官
が訴追及び
訴訟
遂行に責任を持って、
被害者
の
意見
とか
処罰感情
等は
検察官
において十分に考慮された上で、公益的立場からの訴追
方針
が策定されることとなっているということでございます。 そういう
意味
で、
検察官
が事実及び
法律
の
適用
について最終的な
意見
を
陳述
する論告求刑というものは、あくまでも
検察官
の
判断
、職責において行われるべきものであるというふうに考えております。 そういうことで、
民主党
修正案
では、先ほど来から、
証人尋問
とか
被告人質問
のときには、
被害者
の
方々
が
検察官
に受け入れられないような場合でも
裁判
官のところまで上げて、
裁判
官の方から
法廷
に提示させてもらうという仕組みを考えたわけでありますけれども、論告求刑においてはそれを採用しておらず、現行法における
意見陳述
制度
を用いることなどによりまして、論告求刑前に
被害者等
の考え方、みずからの
意見
を反映する
機会
というものはしっかりと活用してもらうということを考えているところであります。 なお、この点については、我々としても、ぜひ修正協議でもっともっと議論させていただきたいというふうに思っていたところではありますけれども、いかんせん時間的な余裕がないわけでありまして、これは参議院でしっかりと
検討
してもらいたいというふうに期待をしているところでございます。
高山智司
80
○高山
委員
ありがとうございます。 本当に、今の現行の
当事者
制度
とのかかわりの中で、非常に苦労しながらいい案を考えていただいたなとは思うんですけれども、今度は余りプロフェッショナルな話だけではなくて、今回、
被害者
の方の
参加
ということですけれども、やはり
法律
のプロでない方が大半でございまして、
参加
できる
制度
はつくりましたよということになっても、実際には
弁護士
などの協力を得なければ、十分に
参加
したとは言えないのではないかなと思います。 それで、
被害者
に十分な
資力
がない場合、
弁護士
に
委託
することができなければもう全く
意味
がない。いや、むしろこれは、本当はこういう
制度
があるのに利用できない残酷な
制度
になってしまうのではないかと思うんですけれども、この点、
民主党
案ではどういう配慮をしていただいていますでしょうか。
平岡秀夫
81
○
平岡
委員
被害者等
の
方々
については、これまでさまざまな
施策
というものが講じられてきているというふうに思います。私たちも、
犯罪被害者等基本法
というものをつくって、あるいは
提案
して、これまで早い段階から
検討
してきたところでございます。そうした努力が実って、少しずつではありますけれども、
被害者等
の
方々
についての
権利利益
の
保護
が拡大されてきているというふうには思っています。 ただ、そうして拡大されてきたさまざまな
権利利益
というものを見てみますと、情報の入手あるいは優先的な
法廷
傍聴、
意見陳述
、
法廷
付き添い、公判記録の閲覧、謄写、
刑事手続
上の和解といったようなものがありますけれども、基本的には、こういったようなことをやるためには、やはり
弁護士
の皆さん方の援助というものがなければ実効的な
成果
を上げられないというふうにも思います。 そういう
意味
で、我々としては、今回の
被害者等
の
検察官
に対する
質問
、
意見
表明
制度
、
被害者
関与
人
制度
というふうに我々は俗に呼んでいますけれども、この
制度
においても、的確な権利の行使のためには
弁護士
の皆さん方の援助が不可欠であるというふうに思っています。 そこで、
民主党
の
修正案
におきましては、
総合法律支援法
というものを
改正
いたしまして、
刑事手続
に適切に
関与
するために必要な費用を支払う
資力
がない
被害者等
を援助するための
法律扶助制度
を
創設
するという
提案
をさせていただいているところでございます。
高山智司
82
○高山
委員
さらに加えて言えば、そういう
弁護士
をつけることに対する配慮というのは当然必要なんですけれども、さらに、
資力
のない
被害者
に対して、日本司法
支援
センターによる
弁護士
費用の立てかえ払い
制度
を設けたらどうかというようなことも
民主党
案では
提案
されていますし、
被害者等
の経済的負担を軽減するために、国選弁護人というんでしょうか、国選
被害者
弁護人のような公費による
弁護士
支援
制度
というのを考えてはどうかというような
意見
もあります。 実際、
意見陳述
の
制度
も、年間千件ちょっとなわけですね。実際、今度この
被害者参加制度
というのが成って、万の単位でどんどんいろいろな
被害者
の方が言ってくるとはまだ考えられない。そうすると、実は、国選弁護人の
制度
をつくったところで、すごく額は小さいのではないかということも言われているわけですね。 ただ、この点、我々
民主党
の方は、予算のことまでは踏み込んでなかなか書くことができなかったという悩みもあると思うんですけれども、この点、
民主党
案ではどのような配慮をされていますか。
平岡秀夫
83
○
平岡
委員
確かに、御
指摘
のとおり、
民主党
修正案
では、まだ国選
被害者
弁護人
制度
というようなところまで至っておりませんけれども、
被害者
に対する
弁護士
費用についての援助というものを
民事
法律扶助制度
に準じた
制度
として、立てかえ払い
制度
を
導入
しようということで
法律案
の
提案
をさせていただいております。こういう仕組みは、負担の軽減という形の中でも、負担の繰り延べというような形式にとどまっているということでございます。 これに対しまして、
被害者
団体の皆さん方の中からは、被疑者や
被告人
の国選弁護人
制度
と同様に、費用を公費で負担する国選
被害者
弁護人
制度
の
導入
を求める声もあるというふうに承知しています。ただ、実際にこの
制度
を仕組む上では、公費で
弁護士
を依頼できる
被害者
の
方々
の
範囲
とか時期といったようなことについてもいろいろ
検討
課題もある。先ほど
委員
が
指摘
されたように、予算上の制約をどうするかというような問題もあるというようなことで、今後の
検討
課題として残さざるを得なかったということが実情でございます。 いずれにしても、国選
被害者
弁護人
制度
の
導入
というのは、我々のが通れば、今後の
被害者
支援
制度
における重要な
検討
課題であるというふうな認識のもとに、これからも引き続き、鋭意
検討
してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
高山智司
84
○高山
委員
また、
被害者
に対する経済的
支援
ということでは、
政府案
ではいわゆる
附帯
私訴の
制度
というのが
導入
されて、これは
被害者
を助けることになるとは思うんですけれども、実際、加害者は、
犯罪
を犯すようなことで無
資力
の場合がやはり多いわけですよね。そうすると、
附帯
私訴の
制度
はつくりました、でも、加害者にとりに行ったら無
資力
でしたということでは、なかなかこれは
被害者
の
保護
にならないどころか、絵にかいたもちだなという感じがいたします。 やはり実効力を高めるために、国が
被害者
の
損害賠償
を立てかえ払いして、その後、加害者に求償する。本当に無
資力
の人に求償していくというのは大変なことなんですけれども、それをまた
被害者
にさせるのかというような
意見
も多いわけですけれども、この点、
民主党
案ではどういう配慮をしていますか。
平岡秀夫
85
○
平岡
委員
今回の
政府案
で提示されている
損害賠償命令
の仕組みというのは、その
制度
自体、我々もちょっといろいろな疑問点があるということでこの
委員会
でも
質問
させていただいておりますけれども、我々の
修正案
の中では、特にこの
制度
について変更をするという
内容
は行っておりません。 ただ、
委員
が御
指摘
のとおり、加害者が無
資力
の場合とか、あるいは任意に支払えといったような場合に、
犯罪被害者
の
方々
がみずから回収を行っていくということは非常に難しいわけでございます。そうなりますと、
政府案
の採用する
損害賠償命令
を得たところで、結局は
被害者
の
方々
の
保護
が図られないというのも、まさに私は大きな課題だろうというふうに思います。 そこで、我々の
修正案
では、
被害者
の
権利利益
の
保護
の実効性を確保するという
観点
から、
改正
後の本
法律案
の
損害賠償命令
に係る
規定
の
施行
の
状況等
を勘案して、
犯罪
による
被害
の補償
制度
について
検討
を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて法制の整備その他の
所要
の
措置
を講ずるというふうに
提案
させていただいたところでございます。 意図しているところは、基本的には、
犯罪被害者
の
方々
に対しては、国が加害者にかわって立てかえ払いをするという形で
損害賠償
に応じていく、そして、国が加害者に対して求償していくというような仕組みができればいいのではないかということを念頭に置いて、こういう
提案
をさせていただいたということでございます。
高山智司
86
○高山
委員
この点は、
与党
との修正協議の中でも随分我々としても頑張って主張させていただいたんですけれども、なかなか現実的には取り入れていただけなくて、非常に残念だなとは思いました。本当に、
被害者
の方が
事件
が起きてしまってその後報われるのは、せめてこういうことしかないんじゃないのかなというふうに私は考えておりますので、ここは
大臣
も含めて、きちんと一回
検討
をしていただかなければいけないのではないかなというふうに思っております。
民主党
修正案
の方に、ちょっと最後、
裁判員
制度
がほぼ同時期に入ってくると、この
被害者
の
訴訟
参加
と相まって大変混乱を生ずるというような、いろいろな
指摘
もあるんですけれども、どういうような混乱が生ずる
懸念
がまずあって、
民主党
案では、その点、どのように配慮をされているのかを
伺い
ます。
平岡秀夫
87
○
平岡
委員
その点については、冒頭に、
被害者参加制度
についてどういう問題があるのかという点について、専門家の
方々
とか、あるいは
被害者
の
方々
の御
意見
を紹介するという形でお話を申し上げましたけれども、やはり
裁判員
制度
をスタートする中で、多くの国民の皆さんがまだこの仕組みになれていないというような
状況
の中で、そういう
裁判
になれていない市民の
方々
が、
法廷
で
被害者
の
方々
のある
意味
では非常に切実な思いというものを聞く中で、本当に冷静な
判断
なり、あるいは公正な
判断
なりというようなことが確保できるんだろうかと。 それについては、確かに、いろいろ、
裁判員
制度
というものが定着してきて、それなりに国民の皆さんの中に、
裁判員
になった場合にはこういう自覚のもとにこういうことをしていくんだということの流れというものが定着した中においては、ある程度のそういう客観的といいますか、冷静な
判断
ができるような気持ちというのが国民の中にもある程度共通に持たれるのであろうと思いますけれども、今の段階では、そういう
状況
が本当に達成できるのかどうかということについては、我々としても非常に確信が持てないということであります。 そういう
意味
で、我々としては、今回
与党
の
修正案
ではこの
法案
の
改正
後三年の見直しという位置づけにしていますけれども、我々の見直しは、むしろ、
裁判員
制度
が発足して三年後に、その
裁判員
制度
の
施行状況
を見ながら見直しをしていくんだ、そういう見直し条項にさせていただいているという
意味
において、我々がいかにこの
裁判員
制度
との
関係
を心配しているかということがわかっていただけるのではないかというふうに思います。
高山智司
88
○高山
委員
ありがとうございます。 それで今回、先ほどの
被害者
に対する経済的配慮の点も随分
与党
側と協議をさせていただいて、
与党
提出
案の中にも、
資力
の乏しい
被害者参加人
のために必要な
施策
を講ずるというようなことで、我々の主張も随分取り入れていただいて、いいものをつくっていただいたとは思います。 それで、
大臣
に
伺い
ますけれども、やはり
被害者
の
方々
がこの
制度
一つのために長年にわたってずっと活動されてきて、悲願であったと。我々国
会議
員が、
法案
が出されてから二週間足らずではございましたけれども、これを議論することで、私は本当に
被害者
になったことはなかったんですけれども、ああ、
被害者
の方はこうなのかな、こうなのかなということで、随分考える
機会
がありました。 それで、先日
大臣
に、
裁判所
で実際、
被害者
はどういう形で行われているか、見学に行かれたことはありますかと
伺い
ましたら、
大臣
も副
大臣
も行かれたことはないというようなお話でしたけれども、今後行かれる予定は入れていただきましたか。まず、その確認をちょっと
大臣
、副
大臣
に。これは、
法案
が通ってしまってのど元過ぎればということでは、せっかくの今までやってきた
審議
も全然
政府
に届いていないじゃないかというようなことにもなりますし、まず、そういう予定を入れていただいたかどうか。 また、副
大臣
には、サミットの
関係
閣僚
会議
で、私は前回も、ちょっと時間が短かったものですからきちんとあれだったんですけれども、やはり今度の日本でやるサミットでこの
犯罪被害者
のことをぜひ話題にしてくださいよ。どういうふうに配慮をしていったら、各国においてもこれはみんな共通の課題だと思いますよ、人間としての。
犯罪被害者
がどうやったら報われるのか、これをサミットの話題に入れるように、きちんと日本がイニシアチブをとって提言していただきたいと思うんです。 最後に、
大臣
、まず予定を入れていただいたかどうかと、サミットの話題にしていただけるのかどうか、
伺い
ます。
七条明
89
○七条
委員長
予定の時間が過ぎておりますので、
大臣
、簡単明瞭に。
長勢甚遠
90
○
長勢国務大臣
なお
被害者
の
方々
のお話、
心情
というものもいろいろな
機会
に聞かせていただいておりますが、
裁判所
における
被害者
の場所ですか、そこの日程はまだ入れておりません。今後考えてみたいと思います。
高山智司
91
○高山
委員
大臣
、ちゃんと入れて、またサミットの話題にもしてくださいね。 終わります。
七条明
92
○七条
委員長
次に、
平岡秀夫
君。
平岡秀夫
93
○
平岡
委員
民主党
の
平岡秀夫
でございます。 いよいよこの
法案
の
審議
も最終段階に入ってきているということでありますけれども、やはりこの衆議院での
審議
というものは、何か
与党
の方からは、月内には参議院に送らなければ参議院の
審議
時間を十分に確保できないから送るんだというふうに、強行採決をちらつかせながら
審議
促進を図ってきたというのは、私にとってみれば本当にこれは許しがたいことだというふうに思います。そういう
意味
で、
与党
の皆さんが期待されているように、参議院ではしっかりと
審議
時間を十分にとって
審議
していただくということを期待しながら、私は
質問
させていただきたいと思います。 前回
質問
したことでちょっと気になる点がありましたので、確認の
意味
で
質問
をさせていただきたいというふうに思います。 先月の三十日の当
委員会
で、松岡農水
大臣
の
事件
の問題に関してでありますけれども、
長勢
大臣
は、検察庁において記者の
質問
にお答えがあったという報告を受けた、そして、その報告を受けた中身の方は、検察庁の方で、記者の御
質問
に対して、本人なり自宅の捜査はしていないというコメントがあったという報告を受けたというふうに
答弁
をされているわけであります。 そこで、
刑事
局長にお聞かせいただきたいと思います。
法務
省
刑事
局としては、検察庁のだれが、どこで、だれに対して、どのような方法で、どのような
内容
の発言をしたというふうに報告を受けたのか、このことについてまずお答えいただきたいと思います。
小津博司
94
○
小津政府参考人
お答え申し上げます。 東京地検が、検事正及び次席検事において、五月二十八日の午後から夕刻にかけて、松岡農林水産
大臣
及びその親族等
関係
者に対する取り調べの事実はなく、またその具体的な予定もなかった旨、取材に対し口頭でコメントしたものと承知しております。
平岡秀夫
95
○
平岡
委員
それで、その受けられた報告というものを、今度は、
刑事
局としては、いつ、どのように処理をしたのか。処理というのは、報告をする、連絡をする、
説明
をするということについてはどうされたのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
小津博司
96
○
小津政府参考人
私が今申し上げましたような
内容
を
刑事
局の担当者から
大臣
に御報告をし、また、同じく
刑事
局の担当者から官邸の担当の方に連絡をした、こういうことでございます。
平岡秀夫
97
○
平岡
委員
どういう方法で官邸には連絡しましたか。
小津博司
98
○
小津政府参考人
口頭でございます。
平岡秀夫
99
○
平岡
委員
それで、私、昨年のにせメール
事件
のときにも、この東京地検の行動について、ちょっとおかしいんじゃないかということで取り上げたときに、昨年二月のにせメール
事件
では、実は東京地検はこういうコメントを発する前に
法務
省に事前連絡をしているんですよね。事前連絡をした上で、コメントを発表するということがあったんです。今回は、どうも聞いていると、事前連絡が全くないままに東京地検がコメントを発表した、記者の
質問
に答えて発言をしたということになっているようですけれども、事前連絡はあったんですか。
小津博司
100
○
小津政府参考人
御
指摘
の
事件
について、私がただいま申し上げました以上に、どの段階でどのように東京地検の方から連絡、報告等があったかということにつきましての御
答弁
は差し控えさせていただきます。
平岡秀夫
101
○
平岡
委員
そんな、差し控えるような話じゃないじゃないですか。捜査の中身を聞いているんじゃないですよ。事前に連絡があったかどうかというのを聞いているんじゃないですか。事後に連絡があったことはここで
答弁
できても、事前にあったかなかったかということが我々に対して
答弁
できないんですか。そんなことはあり得ないじゃないですか。
小津博司
102
○
小津政府参考人
ただいま申し上げましたようなマスコミ対応をしたということを、その後で報告を受けたということでございます。
平岡秀夫
103
○
平岡
委員
事前報告がなかったという
答弁
だというふうに理解しますけれども、それはそれでとりあえずおいておいて。 そこで、総理官邸の方に報告が行きました。それを踏まえて総理
大臣
は記者団に対して発言をされたというふうに思うんですけれども、安倍総理はこの件についてどういうふうに記者団に発言をされたのか、官房副
長官
から御
答弁
いただきたいと思います。
下村博文
104
○下村
内閣官房
副
長官
お答えいたします。 安倍総理は、番記者とのやりとり、五月の二十八日月曜日十七時五十七分のやりとりについての御
質問
でございますので、そのまま申し上げます。 御本人の名誉のために申し上げておきますが、緑資源機構に関しては、捜査当局から、松岡
大臣
や
関係
者の取り調べを行っていたという事実もないし、これから取り調べを行うという予定もない、このような発言があったということを承知しておりますので、御本人の名誉のために申し上げておきたいと思います、このようにおっしゃっております。
平岡秀夫
105
○
平岡
委員
まさに今言われたことは、各紙に載っていることとほとんど同じですね。私もそういう発言だというふうに聞いております。 そこで、私は、非常に重大な問題がここで発生していると思いますね。というのは、先ほど
刑事
局長から
答弁
をしていただいたように、東京地検から
法務
省に連絡があったのは、まさに、取り調べの事実はなく、またその具体的な予定もなかったという表現です。具体的な予定がなかったというにすぎず、将来の捜査の可能性とか将来の捜査の発展性までをも否定するものではない表現になっております。 一方で、この安倍総理の発言、取り調べを行っていたという事実もないし、これから取り調べを行う予定もないという発言は、将来、捜査がこれから松岡
大臣
の
関係
者に対して及ぶ可能性とか発展性までをも否定する中身になっているというふうに私は思います。これは、この文章を聞いた人は、常識的な
判断
としてそうだと思います。 これは安倍総理として、私は、東京地検から報告があったことを逸脱した発言になっているというふうに思いますけれども、官房副
長官
、この点についてはどうお考えになりますか。
下村博文
106
○下村
内閣官房
副
長官
安倍総理
大臣
は、東京地検のマスコミに対するコメントがあったことを受けて、その
内容
に言及されたものにすぎないと承知をしております。若干の言い回しに差はあるかもしれませんが、その
趣旨
に特にそごはないと認識しておりますし、また、異なる
趣旨
で発言されたわけでもないと考えております。
平岡秀夫
107
○
平岡
委員
今のは、勝手にそういうふうに思っているのは、それはそれで私も否定をするつもりはありません。 ただ、
法務大臣
は、ある
意味
では非常に慎重に記者会見でも述べておられるし、私は、
法務大臣
はそれなりに自制心を働かせておられるというふうに思います。
法務大臣
そのものは、検察庁法に基づいて指揮権というものを持っているわけですね。総理
大臣
そのものは指揮権はありませんけれども、総理
大臣
というのは
法務大臣
の任命権者でもありますから、しっかりと
法務大臣
を通じて実質的に
影響
力を与えることは可能なわけでありますよね。 それを考えたときに、私は、今の安倍総理の発言は、これは訂正してもらわなきゃいけない。つまり、将来の捜査の発展性まで、可能性までを否定するような報告があったと言うことについては、これは東京地検の捜査に
影響
を及ぼします。ぜひ
法務大臣
、これは訂正を求めていただきたい。いかがですか。
長勢甚遠
108
○
長勢国務大臣
総理
大臣
の御発言についてのことは、今副
長官
から御
答弁
があったとおりでございますが、捜査当局がそういう発言があったということを承知しておりますという総理の御発言であると思いますので、そして、そういう予定はなかったということを地検でコメントされておるわけですから、そのことをおっしゃっているものと、将来の話に言及されているのではなくて、まさにコメントの
範囲
内の話をされただけのことというふうに思います。
平岡秀夫
109
○
平岡
委員
だから、東京地検のコメントの
範囲
内であるということならば、そのことをちゃんと明確に総理の口から、私が言ったこのことは将来の可能性を否定するものではない、あくまでも、東京地検から報告のあった、具体的な予定もなかったということを言うにすぎないんだ、その
範囲
にとどまっているんだということをしっかりと総理
大臣
から示しておかなければ、これは大変なことになりますよ。もう実質的な指揮権の発動に等しい、つまり、東京地検はこの総理の発言に閉じ込められてしまって、これから将来の捜査の可能性なり発展性なりというものを阻害されてしまっている、このように私は思いますよ。 いかがですか。やはりしっかりとここは総理に訂正してもらうということが必要じゃないですか。
下村博文
110
○下村
内閣官房
副
長官
安倍総理は、検察当局がマスコミに対してコメントした
内容
、つまり公となった事実について言及したものでございまして、捜査に介入するような
趣旨
は毛頭ない発言であると考えております。
平岡秀夫
111
○
平岡
委員
だから、私は、副
長官
が言うことを否定しようとは思いません。副
長官
がそう言われるのなら、やはり世の中には物すごく誤解を受けているわけですよ、これは。誤解をしている人たちがいるから、特に東京地検が誤解されたら、これは大変なことになる。 だから、その誤解を解く
意味
でも、しっかりと、ここの
意味
はこういうことであったということを総理から、あるいは、総理が直接言うのがとても恥ずかしいのなら、副
長官
からでも結構ですよ。ちゃんとそれは訂正するということをやっていただきたい。いかがですか、副
長官
。
下村博文
112
○下村
内閣官房
副
長官
今申し上げたとおりでございまして、安倍総理は、捜査に介入するような
趣旨
で発言したということでは毛頭ないということで申し上げていると思います。(
平岡
委員
「だから、訂正をしてくれますね」と呼ぶ)安倍総理は、捜査当局がマスコミに対してコメントした
内容
、これについて、この事実について言及したものであり、何ら問題ないと思います。
平岡秀夫
113
○
平岡
委員
まさに、そういうふうに言うんだったら、先ほど
刑事
局長から
答弁
があったように、東京地検のコメントというのは、取り調べの事実はなく、またその具体的な予定もなかった、これがコメントなんですよ。だから、総理のコメントとは全く違いますよ。それをあえて否定しないというところを見ると、私は、本当にこれは何か非常にうさん臭いものを感じますね。 かつて長崎地検で、
政府
の
大臣
クラスの人たちに捜査の手が及ぼうとしたときに、長崎地検の次席検事が最高検の検事に栄転をされました。栄転をされた後、その後、辞職をされるというような事態になりましたけれども、そういう検察当局に対する人事なり、あるいはいろいろな処遇なりを通じて、こういう実質的な指揮権の発動みたいなことができるわけですよ。この総理の発言が、問題となっている
事件
の捜査を制約していくものになってしまうのは、私は実質的な指揮権発動だと思いますね。 そういう
意味
で、強く抗議を申し上げ、そして、総理の発言の訂正を強く求めたいというふうに思います。
法案
の具体的な
審議
に入りたいと思います。(発言する者あり)確かに、総理がよくわかっていないかもしれませんから、副
長官
も
法務大臣
も、ちゃんとこういう問題点があるんだということを
説明
してあげてくださいね。 この前、私は、三百十六条の三十五の
規定
に関連して、
検察官
の
説明
義務の話を
質問
させていただきました。そのとき
長勢
大臣
が、
被害者
の
方々
が
検察官
にいろいろな
意見
を申し上げることができるということは現行法でも認められているわけでありましてというふうに
答弁
されています。 現行法のどの部分で、こういった
被害者
の
方々
が
検察官
にいろいろな
意見
を申し上げることができるという仕組みになっているのか、この点について明らかにしていただきたいと思います。(発言する者あり)
七条明
114
○七条
委員長
お静かにお願いします。
小津博司
115
○
小津政府参考人
現行法のもとで、
犯罪被害者
の方は、
検察官
にいろいろな御
要望
、御
意見
を言っておられます。これにつきましては、検察庁の内部の通知やら会同の指示等々で、従来に比較して明確に、そういう
意見
を十分に聞いて検察
運用
するようにという
方針
でやっておる、こういう
意味
でございます。
平岡秀夫
116
○
平岡
委員
まさに
大臣
、今の
刑事
局長の
答弁
のように詳しく聞かないで、現行法でもできるんですよと言われて、それを、本当に真っ正直な
長勢
大臣
がそのまま
答弁
されたんじゃないかなというふうに思いますね。 現行法の中で、今回我々が
提案
しているような形で、
検察官
に対して、しっかりと
意見
を聞き、
質問
を聞いて答える、あるいはそれに対して、できなければできないということで
説明
するという義務は課されているわけじゃないんですよ。内部の通達とか内部の指示でそうしているんだというだけにしかすぎない。 しかし、それが今まであっても、
検察官
の皆さんに対して不信の目で
被害者
の
方々
が見てきた、我々の声にこたえてくれない、そういうふうに思わせてしまった、この検察当局の責任はやはり私は重いと思いますね。 そういう
意味
では、今回の三百十六条の三十五についても、私は、
訴訟
参加
が認められた
被害者
の
方々
だけじゃなくて、もっともっと幅広くそういうことを認めていく、そういうことを義務づけていく、そういう
法律
であるべきだということを申し上げたいというふうに思います。 次に、
証人尋問
の
関係
について
質問
していきたいと思います。 現在の
政府案
の三百十六条の三十六において、
被害者参加人
の方が
検察官
に
申し出
ることのできる
意見
というのは
範囲
が限定されるんでしょうか、どうでしょうか。
小津博司
117
○
小津政府参考人
まず、三百十六条の三十六で、
被害者参加人
の方が自分で
尋問
をすることができることは限られておりますので、自分がしたいと言える
範囲
はそのように限られております。 しかしながら、三百十六条の三十五で、
検察官
の権限の行使について
意見
を述べることができるとしておりますので、そこで
意見
を述べる
範囲
は
被害者参加人
ができる事柄に限られているわけではございませんで、まさに
検察官
の権限行使全般について
意見
を言うことができる、このような整理でございます。
平岡秀夫
118
○
平岡
委員
何か変ですよね。三百十六条の三十六ではできないけれども、三百十六条の三十五ではできますというのは。 やはりそもそも
申し出
は、我々の案はそうなっているんですよ、
申し出
は、直接
被害者
の
方々
が
法廷
でしゃべることができるものに限らず、
証人尋問
についての
申し出
はしっかりとできる、そういう仕組みの中で、
検察官
が取り上げるものは
検察官
が取り上げていく、そして、
検察官
が取り上げないもので、
被害者
の
方々
がどうしても言いたいことで、こういう
範囲
の
証人尋問
をしてもいいという
事項
についてだけさせるというような仕組みでないと、やはり私はおかしいと思いますね。 そういう
意味
では、三百十六条の三十六における
証人尋問
の
事項
についての
申し出
あるいは三百十六条の三十七における
被告人
に対する
質問
の
申し出
、これについてもやはり同じような仕組みになっているわけですよね。これも、やはり
被告人
に対する
質問
については幅広くしっかりと受けとめて、そしてそれに対してどう
検察官
が行動していくのかというような仕組みになっていなければ、
検察官
が、いやそれは、あなたが
申し出
るといったって、あなたはとてもしゃべれないんだからこんなのはだめですよ、三百十六条の三十五で私の
意見
の
説明
はしましたから、もうそれでいいですよと、それでおしまいになってしまうというような仕組みになっているというふうに私は思いますね。 そういう
意味
では、三百十六条の三十六での
申し出
も、三百十六条の三十七の
申し出
も、私は余りにも狭過ぎるというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
小津博司
119
○
小津政府参考人
これは、
政府案
の考え方を御
説明
するということであくまでも申し上げますが、三百十六条の三十六、三十七は、
被害者参加人
ができる事柄について
申し出
をすることについて
規定
をしている
規定
でございます。 三百十六条の三十五は、より広く、すなわち、
検察官
が当該
被告事件
についてこの
法律
の
規定
による権限を行使することについて
参加
人の方等は
意見
を述べることができるし、
意見
を述べたら、必要に応じ、その理由を
説明
しなければいけないわけでございます。 ですから、
証人尋問
で事実についてのことは
参加
人は聞けませんから
申し出
にはなりませんけれども、いや、
検察官
、ぜひ事実についてこういうことを聞いてもらいたいということを言えますし、それについて
検察官
が言わなかったら、その理由を
説明
しなければ基本的にいけないというのが三百十六条の三十五の
趣旨
、こういう整理をしております。
平岡秀夫
120
○
平岡
委員
私が
内閣
法制局の参事官だったら、今の
説明
でも、ああそうかなと思いますけれどもね。 その話は、
被害者
の
方々
に
説明
しなきゃいけないんですよ。
被害者
の
方々
は、私が今から
申し出
る話は三百十六条の三十五に該当することなんだろうか、三百十六条の三十六に該当するんだろうか、どっちだろうかと思ってこう言っているんですよ。私は三百十六条の三十六の
申し出
で
検察官
に
申し出
しますというような
判断
ができるような
被害者
の方は、私はそういないと思いますよ。 だから、仕組みのつくり方というのがやはりおかしいですよ。
被害者
の
方々
が、
証人尋問
していたりして、これはおかしいなとか、あるいは、
証人尋問
する前に
検察官
の方と相談している中で、おかしいなと思ったことについては、これは
尋問
してくださいという
申し出
はできる、しかし、
申し出
した後に
検察官
の方で振り分けをしていく、そういう仕組みでなければ、これはやはり
被害者
のために機能できないですよ。 何でしょうか。何か手が挙がっているので。
小津博司
121
○
小津政府参考人
運用
のレベルで申し上げれば、まさにそのようになると思います。こういうことを聞きたい、聞いてくれというときに、それが
被害者参加人
のできることの
申し出
なのか、そうでなければ、いやいや、これはあなたはできません、例えば、それなら私がやりますとか、しかしそれはやはり
検察官
としてもやるのが相当ではないと思います、こういう
説明
をするわけでありますから。もちろん、
検察官
や弁護人の
訴訟活動
とは異なりますから、
被害者参加人
の方が何か言われるときに、これは
法律
の何条に基づくものであるということを言っていただく必要はないわけでございます。
平岡秀夫
122
○
平岡
委員
制度
が発足して、検察がまた私がさっき言ったような対応をとることによって、
被害者
の
方々
からまた
検察官
に対する不信感が募らないように、そこはしっかりと交通整理といいますか、どういうものだということについての共通の理解をしながら進めていくということが必要である。それは、私たちの
被害者
関与
人の
制度
だって同じなんですね。という
意味
で、そこは申し上げておきたいというふうに思います。 そこで、今度は
被害者
の
方々
の
意見陳述
の
関係
の話でありますけれども、先日私が
質問
したときに、
長勢
大臣
から、現行における
被害者
の
意見陳述
制度
、
法律
の二百九十二条の二でありますけれども、その
陳述
というのは、あくまで、例えば
被告人
に対する
処罰感情
など、
被害
に関する
心情
を中心とする
意見
に限って
陳述
することが認められているものであり、事実に関する
意見
等を述べることは認められておりません、こういうふうに余りにも明確に答えられて、私は、
大臣
はちゃんと当局からこういう
説明
を受けられたんだろうかというふうにちょっと疑問に思ったんです。 あくまでも、
法律
に何が書いてあるかというと、
陳述
することができる
内容
というのは、「
被害
に関する
心情
その他の
被告事件
に関する
意見
」と書いてあるんですよね。
心情
は一つの例であって、
被告事件
に関する
意見
というものの中に、事実に関する
意見
等とか
法律
の
適用
に関する
意見
等が含まれちゃいけないということは、どうやっても私は読めない。なぜ
大臣
は私たちを疑問に陥れるようなそういう
答弁
をされたのか、この点をまず明確にしていただきたいと思います。
小津博司
123
○
小津政府参考人
現行の
刑事訴訟法
の
趣旨
は、
被害者
の
心情
を中心……(
平岡
委員
「
被害
に関する
心情
その他の
被告事件
に関する
意見
」と呼ぶ)そのような表現によりまして、この
刑事訴訟法
の二百九十二条の二の表現によりまして、
被害者
の
心情
を中心としたことについて言っていただく、そして、その
趣旨
は情状に関する証拠とすることができるという整理でございます。 もちろん
被害者
の方がその
心情
を述べられる
過程
で、事実に関して言及することがあり得ると思います。あるいは、そのお気持ちを述べられるときに、自分の気持ちとしては極刑にしてほしいぐらい
自分たち
は苦しんでいるんだということを述べられることもあろうと思いますし、そのことは現行の
意見陳述
制度
で必ずしも否定されているものではありませんけれども、それはあくまでも
心情
を中心として述べているんだという整理を私どもはしている、こういうことでございます。
平岡秀夫
124
○
平岡
委員
私は、別に
心情
を述べることが中心になっているということを否定はしていませんよ。一番大きな例示として、
被害
に関する
心情
というのを真っ先に例示として挙げているわけですから、それは中心だろう。しかし、その
被告人
の
意見陳述
の中で、事実または
法律
の
適用
についての
意見
の
陳述
を行うということが認められていないんだということをこの国会の
答弁
で堂々と言うのはいかがなものかというふうに思うんですよ。
大臣
、ちゃんと訂正してください。
長勢甚遠
125
○
長勢国務大臣
今
刑事
局長から
答弁
したとおりでありますので、特段訂正する必要はないんじゃないかと思いますが。
平岡秀夫
126
○
平岡
委員
改めて
刑事
局長に聞きます。 この二百九十二条の二の
規定
によって、
被告事件
について事実または
法律
の
適用
についての
意見
の
陳述
を言うことが禁止されるんですか。しゃべろうとしたら
裁判
官からとめられるんですか。あなた、そういうことを言うのはこの
法律
の
規定
によって認められませんというふうにとめられるんですか。
小津博司
127
○
小津政府参考人
先ほど申し上げましたように、あくまでも
心情
を中心としたものであって、情状に関して参考になることであるという整理でございますので、
犯罪被害者
の方が
意見
を言う際に、自分の
心情
等を述べられるときに、私が先ほど申し上げましたような流れで、事実
関係
や、例えば極刑に処してほしいぐらいの気持ちだというようなことを述べられた場合に、
裁判所
としては、それがこの
刑訴法
の
規定
に定めている
趣旨
の
範囲
内であるのか、やはりそれを逸脱して、純粋に
法律
の
適用
の問題として述べているのかということを
判断
することになるのではないかと考えております。
平岡秀夫
128
○
平岡
委員
何か苦しい
答弁
をしていて、全く私にもよくわからない。ましてや、いわんや
犯罪被害者
の
方々
に、あなたの言えることはこういうことですよ、あなたがちょっと理屈っぽいことを言ったら
裁判
長から発言をとめられますよ、そんなことが行われているんですか。私は、そんなことはないと思いますよ。 もっと自由に言ってもらって、しかし、その
裁判所
の中で
裁判
官がどの部分をどういうふうにして判決に結びつけていくのかというのは、それは
裁判
官が
法律
に定められた枠の中で考えていくことであって、
被害者
の
方々
に、しゃべることをここまで、
被告事件
に関すること以外のことを言うというのはそれはおかしいと思いますけれども、
被告事件
に関する
意見
という
範囲
内であれば、それは私は全く問題ないというふうに思いますよ。どうでしょう。何か、私、間違っていますか。
小津博司
129
○
小津政府参考人
私の御
説明
できますことは、先ほど御
答弁
申し上げたとおりの
内容
でございます。 もちろんその
運用
に当たりまして、できる限り
参加
人の方に御発言していただきやすいようにということで
裁判所
の方も
運用
しておられると思います。ただ、具体的な事例は承知しておりませんけれども、余りにもそれから逸脱したような
内容
があれば、やはりそこは制限するということでございます。
平岡秀夫
130
○
平岡
委員
だって、
被告事件
に関する
意見
だったら、そうやって書いてあるんですよ、
法律
に。
被告事件
に関する
意見
を述べると書いてあるんですよ。
被告事件
に
関係
しない
意見
だったら、それはとめられるかもしれません。
被告事件
に関する
意見
だったら、
法律
の
適用
に関することだろうが、事実に関することだろうが、別に
意見
なら
意見
でいいじゃないですか。その
法律
の中で枠を外れているわけじゃないじゃないですか。私は、ちゃんと
法務当局
はしっかり整理しないと、今回の
法案
、ある
意味
では誤解されますよ。そういう
意味
で、ちょっと抗議を申し上げたいと思います。 時間がなくなったので、この前
質問
したことでちゃんと整理をしておいてくださいというふうに言った、例の部分
審理
、部分判決の話ですね。 A、B、Cとあったときに、A、Bの
事件
については、これは
検察官
が論告求刑する中身というのは非常に限定される。では、
被害者
の
方々
についても同じように限定されるということなのか。そうしたら、例えばA、B、Cとやったときに、Cに当たった
被害者
の方はラッキー、A、Bの人たちは、おれたち言いたいことがあるのに何で言えないんだ、こんなことになってしまいそうな気がするんですね。そんな
制度
でいいんですか。どうですか。
小津博司
131
○
小津政府参考人
まず、
制度
の
内容
といたしましては、御
指摘
のとおり、区分
審理
をしているその最終段階で
検察官
が言える
意見
の
内容
が定まっております。それはつまり、区分判決で判決ができる
内容
に限定しているわけでございますので、
被害者参加人
の方にも、その段階で
意見
を言うときにはその
範囲
にとどめていただくという
制度
になっているということは事実でございます。 これは、
被害者参加人
の方の、今度新しく設けます
意見
は、それまでの
審理
の
状況
を踏まえて
意見
として言っていただくという整理でございますので、やはりそのような
審理
がなされていない
手続
の段階でそれを超えた
意見
を言っていただくのは相当ではない、こういう整理をしたということでございます。
平岡秀夫
132
○
平岡
委員
整理をしたといったって、僕はよくわかりませんけれども、
犯罪被害者
の人たちがこういう
要望
を持っているという中で整理した整理としては余りにもお粗末過ぎますよね。
犯罪被害者
の人たちの気持ちは、全く酌み取られていない整理だと思います。 私たちは、論告求刑に当たる
被害者
の
方々
の
意見陳述
については、
法案
に示されたように、それはやはり控えてもらわざるを得ないだろうという整理をさせていただいておりますので、そういう問題が生じないということでございまして、
検察官
がしっかりと
被害者
の
方々
の
意見
を受けとめた上で、最終的な求刑というのはA、B、Cの中のCが行われるときに行われるということで、私はその方が
制度
的には整合性がとれているんじゃないかなというふうに思います。 実は、いろいろ残されている問題がたくさんあって、
審議
できなくて恐縮なんですけれども、いわゆる
附帯
私訴と言われている話について、きょう矯正局長に来ていただいて、なぜ来ておられたのか私もよくわかりませんけれども、せっかく来ていただいたので、私が
質問
した話、
損害賠償請求
の
審理
に
被告人
が出頭できないという困難が現状でもあるということで、
質問
したのは、現在の
制度
の仕組みの中で、
刑事
施設に拘束されている者に対して
民事
訴訟
が提起された場合、
法務当局
はその者の
裁判所
への出頭についてはどういうふうに対応しているのか、この点について御
説明
いただきたいと思います。
七条明
133
○七条
委員長
通告時間が過ぎておりますので、簡単明瞭にお願いいたします。
梶木壽
134
○
梶木
政府参考人
まず、一般的な考え方につきましては、前回
大臣
の方から御
答弁
申し上げたとおりでございます。 それで、我々の具体的な資料というのがないのでございますが、平成十五年に日弁連の方から
申し出
がありまして調査をした数字がございます。この数字は、平成十五年の一月から十二月までの受刑者と死刑確定者の
民事
訴訟
のための
裁判所
への出廷ということでございまして、被収容者が原告になっている場合も被告になっている場合もありましょうし、一般の
民事
事件
の場合もありましょうし、さまざまなものがあろうかと思います。出廷を願い出た件数が四百三十三件ございまして、これに対して出廷許可件数、実際に出廷させた件数が七十九件でございました。それ以外に、当該受刑者が収容されております施設に
裁判
官がおいでになって、仮
法廷
を開いた件数が八十四件あったということでございます。
七条明
135
○七条
委員長
平岡秀夫
君、もう時間が来ておりますから、どうぞ。
平岡秀夫
136
○
平岡
委員
それは、件数を言っているだけじゃなくて、どういう
方針
でどういうふうに対応をしているのかということを聞いているのであって、例えば、今四百三十三件の願いがあった中で許可あるいは仮
法廷
でやったのが百六十件ぐらい、残りの二百七十件ぐらいは願いがあってもだめだということをやっているわけでしょう。どういう
方針
でそういうことをやっているのか、それを聞いているんじゃないですか。それを答えないで、時間が来たからおしまいというようなことは、これは許されませんよ。
七条明
137
○七条
委員長
質疑
時間が過ぎておりますから新しい
質問
には入らないことになっておりますから、これを最後に、簡単明瞭に。
梶木壽
138
○
梶木
政府参考人
前回
大臣
から申し上げましたとおり、個別的、具体的な事案ごとに、その
必要性
、拘禁目的への
影響
の有無、程度、そして、戒護職員の確保が可能であるかどうか、こういったことを総合的に
判断
をして決めておるということでございます。
平岡秀夫
139
○
平岡
委員
質問
はしません。ちょっと発言だけ。 今の
答弁
で皆さんの考え方はわかりましたけれども、やはり世の中の批判としては、そういう
刑事
施設に収容されている人たちの
裁判
で、
防御権
の行使というのが必ずしも十分にできていないという批判が高いんですよね。その批判が高いということを踏まえて、私は受刑施設の方でもよく
検討
していただきたいというふうにお願いしまして、私の
質問
を終わります。
七条明
140
○七条
委員長
これにて原案及び両
修正案
に対する
質疑
は終局いたしました。
—————————————
七条明
141
○七条
委員長
これより原案及び両
修正案
を一括して討論に入ります。 討論の
申し出
がありますので、順次これを許します。
大口善徳
君。
大口善徳
142
○
大口委員
公明党
の
大口
でございます。 私は、
自由民主党
及び
公明党
を代表いたしまして、ただいま
議題
となっております
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
を図るための
刑事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
について、
自由民主党
及び
公明党
の
共同提案
に係る
修正案
に賛成、
民主党
修正案
に反対、原案について賛成の立場から討論を行うものといたします。
犯罪被害者等
の
保護
、
支援
については、これまでにもさまざまな法整備等が行われてきましたが、その後も
犯罪被害者
の
方々
からは、
被害
からの
回復
には依然としてさまざまな困難があることが
指摘
されてきました。 このような
状況
を改善し、
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
を図るため、平成十六年十二月、
犯罪被害者等基本法
が成立し、基本
施策
として、
犯罪
等による
被害
に係る
損害賠償
の請求について、その
被害
に係る
刑事
に関する
手続
との有機的な連携を図るための
制度
の拡充や、
刑事
に関する
手続
への
参加
の
機会
を拡充するための整備等を行うべき国の責務が定められました。 この
基本法
に基づき、
内閣
府に置かれた
犯罪被害者等
施策
推進
会議
の
検討
を経て、平成十七年十二月に
犯罪被害者等
基本計画が閣議
決定
されました。 本
法律案
はこの基本計画に基づいて立案されたもので、
犯罪被害者等
の
権利利益
の一層の
保護
を図るため、
所要
の法整備を行うものであります。 主な
内容
としては、まず第一に、
犯罪被害者等
が
刑事裁判
に
参加
する
制度
を
創設
し、故意の
犯罪
行為により人を死傷させた罪、業務上過失致死傷の罪等の
被害者等
が、公判に
出席
し、
証人
の
尋問
、
被告人
に対する
質問
及び事実または
法律
の
適用
について
意見
の
陳述
をすることができるものとしております。 第二に、故意の
犯罪
行為により人を死傷させた罪等の
被害者等
が、
損害賠償請求
に関し
刑事手続
の
成果
を利用することができる
制度
を
創設
することにしております。 これ以外にも、公判記録の閲覧、謄写の
範囲
を拡大するなど、
犯罪被害者等
のための
施策
を講じております。 本
法律案
の
被害者参加
の
制度
により
被害者
の
方々
が
刑事裁判
に
参加
することができるようになることは、多くの
被害者
の
方々
が求めておられることであり、また、その名誉の
回復
や
被害
からの
立ち直り
にも資するものであると考えられます。 また、
損害賠償命令
の
制度
は、
被害者
の
方々
による
損害賠償請求
に係る紛争を
刑事手続
の
成果
を利用して簡易かつ迅速に解決することを目的とするものであり、その損害の
回復
を容易にする手段を提供するものとして重要な
意義
を有するものと考えられます。 このように、本
法律案
の
内容
は、
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
を図る
観点
から極めて
意義
のあるものであり、
犯罪被害者等
から強く求められている
施策
を実現するものであります。 なお、
民主党
修正案
については、
刑事裁判
における
犯罪被害者等
の
参加
を
犯罪被害者等
の
関与
に改めること等を
内容
としており、
バー
の外からの間接的な
関与
でありまして、
基本法
十八条の
趣旨
を必ずしも満たしたものではなく、依然として
被害者等
の疎外感はぬぐわれず、その名誉の
回復
、
被害
からの
立ち直り
に資するなどの効果も十分生じない。そういう点で、この
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
という
観点
からは、原案を後退させるものと考えます。 また、公平中立であるべき
裁判所
が
検察官
に対し
尋問事項
の付加を命ずることは問題であり、
刑事訴訟
の根幹を揺るがしかねない、こういうことでございます。 また、
与党修正案
は、法
施行
三年後における
検討
及び
被害者参加人
に対する
弁護士
の
法的援助
に係る努力を義務づけることにしており、
委員会
の
審議
を踏まえた前向きな修正でございます。これで、この
弁護士
の
法的援助
に係る
制度
が、努力義務が
規定
されるということで、大きく前進するものと確信をしております。 私は、
犯罪被害者
の
権利利益
の
保護
のため、本
法律案
の一日も早い成立を強く願うものであります。 以上でございます。(拍手)
七条明
143
○七条
委員長
次に、
平岡秀夫
君。
平岡秀夫
144
○
平岡
委員
私は、
民主党
を代表して、
政府
提出
に係る
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
を図るための
刑事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
に対する
民主党
提出
に係る
修正案
に賛成するとともに、同
修正案
が万が一否決される場合には、
犯罪被害者
の
方々
の
権利利益
の拡大という基本的方向性が同じであるという
観点
に立って、
与党
提出
に係る
修正案
及び同
修正案
の修正部分を除く
政府
原案に賛成する立場から討論を行います。
民主党
はこれまで、
政府
や
与党
に先駆けて
犯罪被害者基本法案
を
提出
し、
犯罪被害者等基本法
制定を主導するなど、
犯罪被害
に遭われた
方々
あるいはその
遺族
の
方々
の
保護
、
支援
に積極的に取り組んでまいりました。
政府案
は
基本法
に基づいて策定されたものであり、その基本的方向は
賛同
すべきものと考えております。 しかし、このうち、特に
刑事裁判
への
被害者参加制度
については、
政府
による
犯罪被害者
の
方々
への十分な
意見
聴取が行われていないとの批判があるとともに、
当事者
である
犯罪被害者
の団体の中でも
意見
が分かれ、また、
刑事訴訟法
学者の中にも有力な慎重論があることが先日の
参考人
質疑
などでも明らかとなっております。 すなわち、同
制度
に反対する
被害者
団体の
方々
からは、
政府案
の
制度設計
では
被害者
がかえって傷つくだけであり、
参加
できるのは一部の
被害者
だけだという
意見
が表明されております。 また、慎重論を表明する学者からは、
政府案
は職権主義をとるドイツやフランスの
被害者参加制度
とは似て非なるものであり、
被害者
は専ら応報感情を満足させる存在として
法廷
に登場することにならざるを得ず、
刑事裁判
は復讐
裁判
と化し、これまでの
刑事裁判
の構造を崩して機能不全に陥らせる危険を内包しているとの
指摘
もありました。特に、
裁判員裁判制度
がほぼ時期を同じくしてスタートすることを考えると、証拠に基づく冷静な事実
審理
や適正で公平な量刑が果たして可能なのかという疑問には大いに同意せざるを得ません。 また、
被害者
団体の皆さんからは、
被害者
の経済的、精神的苦しみを和らげる
制度
や、
被害者
が
裁判
に
参加
、
関与
することをサポートするための国選
被害者
弁護人
制度
の
導入
を初め、
被害者
の実情を踏まえた丁寧な
制度設計
を求める声も出ています。こうした点について、
政府案
は十分なものになっておりません。 こうしたことを踏まえて、
民主党
は、
政府案
の
被害者参加制度
にかえて、
被害者
が
法廷
の
バー
の中に入らない形での
被害者
関与
制度
を
導入
し、
被害者
の
意見
を
検察官
を通じて適切に
刑事裁判
に反映させるようにするとともに、
資力
のない
被害者等
の皆さんが
刑事手続
に適切に
関与
できるための援助の
措置
、
裁判員
の
参加
する
裁判
のもとでの
被害者
関与
のあり方についての
裁判員
制度導入
三年後の見直し条項、
被害者
への
損害賠償
の国による立てかえ払い
制度
を含めた、
犯罪
による
被害
の補償に係る
制度
についての
検討条項
などを盛り込む
修正案
を
提出
したものであります。 大変残念ながら、
民主党
のこのような
修正案
については、
与党
の諸君の全面的な
賛同
をいただける
状況
にはないのもまた事実と言わざるを得ません。また、さまざまな問題点の
指摘
がある一方、
与党
からは強行採決をちらつかせての
委員会
運営が行われていることもまた事実であります。他方、
政府案
の早期成立を求める
被害者
の
方々
の声にも真摯に耳を傾けなければならない。 このような
観点
から、
民主党
としては、
与党
提出
に係る
修正案
に盛り込まれている
施行
三年後の見直しの中で、実際にあらわれた問題点などを十分に精査し、必要な
制度
改正
を行うという
状況
が整ったということで、原案に賛成することといたしました。 参議院での
審議
でも、以上、我々が申し上げましたような
懸念
を真摯に受けとめた
審議
がしっかりと行われることを期待いたしたいと思います。 なお、
被害者
の
権利利益
の
保護
とあわせて、
被告人
の権利も保障される公正な
制度
運用
、
被害者
団体が求めている
被害者
の
方々
への経済的
支援
、
被害
回復
のための
施策
の充実、
被害者参加人
となれない
被害者
を含めた
被害者
への
検察官
からの十分な情報提供や意思疎通などを別途
附帯
決議で確認することを
与党
との合意としております。 今回の
法案
についての
見解
や立場の違いにかかわらず、今後もさまざまな
犯罪被害者
団体の皆さんの思いや
意見
に広く耳を傾け、これらを十分に踏まえながら、
犯罪被害者等基本法
に定められた目的の実現に向けてともに力を合わせていくことを願い、私の討論といたします。(拍手)
七条明
145
○七条
委員長
次に、保坂
展人君
。
保坂展人
146
○保坂(展)
委員
社会
民主党
・市民連合を代表して、
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
を図るための
刑事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
に対して、反対の立場から討論を行います。 冒頭に、当
委員会
の運営について一言申し上げます。
審議
日程について与野党合意がなされずに、過去、二度、不正常な採決が続きました。一昨日の本
法案
審議
中にも同様の事態が
懸念
されましたが、さすがにこの
法案
で
委員会
の混乱は許されないということで、正常な
審議
への御努力を続けられた棚橋
与党
筆頭
理事
を初めとした与野党
理事
、そして
委員長
の見識に深く感謝をしたいと思います。また、今後ともこの姿勢を堅持されたいというふうに望みます。 本
法案
について述べます。
犯罪被害者
の
訴訟
参加
について、満遍なく配慮が必要とされ、改善が必要と考えます。既に
民主党
提案者
が
説明
し
答弁
した
犯罪被害者
関与
制度
が、よく工夫された妥当な
内容
だと
評価
するものであり、私たちとしても与野党協議を見守っておりました。
内容
によっては賛成するということも含んで見ておりましたけれども、残念ながら合意にならなかったということであります。 本
法案
の問題点ですが、
法廷
で
被告人
と向き合い、
質問
もして、
証人
への
尋問
も行い、求刑を行う
被害者参加人
の
訴訟
参加
そのものにあります。
裁判員
制度
の開始が二年後に迫る中で、
刑事裁判
が応報感情に支配され、事実認定をわきに押しやって、
検察官
の求刑よりもはるかに厳しい求刑が今後続くことが予想されます。
被告人
の防御は困難になり、
刑事裁判
の光景が一変します。 すべての
被害者
が
訴訟
参加
できるわけではなく、精神的、身体的または経済的な理由で
法廷
に出ることができない
被害者
の
事件
は情状面での立証に差異が生じることや、
民事
の
損害賠償請求
に連動する
制度
も、
被害者
と
被告人
の対決構造を強め、また、
訴訟
を複雑化することになります。少年
事件
の被告は特に圧迫を受け、真実を述べることに萎縮したり、部分的否認さえもできなくなるということが起きて、真実の発見が困難となる
懸念
がございます。 公判記録の閲覧及び謄写
範囲
の拡大、
民事
訴訟
におけるビデオリンクの
導入
等、
評価
できる点もございますが、さきに申し上げた疑問が晴れず、本
法案
に賛成することはできません。
犯罪被害者
の
権利利益
を
保護
するために、拙速な
審議
を避け、
裁判員
制度
の開始後に、公平公正で真に
被害者
の権利と
立ち直り
を保障できる
制度
のあり方について根本的な議論を行うべきであります。その際に、すべての
犯罪被害者
が、
被害
直後から
弁護士
による法的な
支援
を受け、ソーシャルワーカーによる精神的
支援
を受けられるような
制度
を
創設
し、
事件
後の司法
手続
の
説明
、
被害者
の捜査協力時の
支援
、マスコミ対応や
裁判
手続
への
支援
を充実させることこそ求められているということを申し上げ、
民主党
修正案
に賛成、
与党修正案
は本質的な問題点を積み残しているということで反対、本
法案
には以上の理由から反対の討論といたします。(拍手)
七条明
147
○七条
委員長
これにて討論は終局いたしました。
—————————————
七条明
148
○七条
委員長
これより採決に入ります。
内閣提出
、
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
を図るための
刑事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
及びこれに対する両
修正案
について採決いたします。 まず、
平岡秀夫
君外一名
提出
の
修正案
について採決いたします。 本
修正案
に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
七条明
149
○七条
委員長
起立少数。よって、本
修正案
は否決されました。 次に、
上川陽子
君外一名
提出
の
修正案
について採決いたします。 本
修正案
に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
七条明
150
○七条
委員長
起立多数。よって、本
修正案
は可決されました。 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
七条明
151
○七条
委員長
起立多数。よって、
本案
は修正議決すべきものと決しました。
—————————————
七条明
152
○七条
委員長
この際、ただいま議決いたしました
本案
に対し、
上川陽子
君外二名から、
自由民主党
、
民主党
・無所属クラブ及び
公明党
の
共同提案
による
附帯
決議を付すべしとの動議が
提出
されております。
提出者
から
趣旨
の
説明
を聴取いたします。石関貴史君。
石関貴史
153
○石関
委員
民主党
の石関貴史です。 ただいま
議題
となりました
附帯
決議案について、
提出者
を代表いたしまして、案文を朗読し、
趣旨
の
説明
といたします。
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
を図るための
刑事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
に対する
附帯
決議(案)
政府
及び最高
裁判所
は、本法の
施行
に当たり、次の
事項
について格段の配慮をすべきである。 一 誰もが
犯罪被害者等
となり得るという現実を踏まえ、本法の
趣旨
について国民に対する十分な周知に努めること。 二
犯罪被害者等
が
刑事裁判
に
参加
する
制度
の実施に当たっては、
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
を図るという目的を踏まえつつ、
被告人
の権利が保障される公正な
運用
がなされるよう、
制度
の
内容
について司法
関係
者に周知徹底すること。 三
刑事裁判
の
手続
においては、
被害者参加人
となれない者を含め、
犯罪被害者等
と
検察官
との意思疎通が十分図られるよう努めること。 四
犯罪被害者等
が
刑事裁判
に
参加
する
制度
の
対象
となる
被告事件
の
範囲
については、本法
施行
後の
制度
の
実施状況等
を踏まえて
検討
を行うこと。 五
犯罪被害者等
が
刑事裁判
に
参加
する
制度
及び
裁判員
制度
の実施時期が近接していることにかんがみ、
裁判員
裁判
に
犯罪被害者等
が
参加
する場合において、
裁判員
がこれらの
制度
の
内容
を十分理解できるよう努めること。 六
犯罪被害者等
に対する給付
制度
の抜本的見直し等
犯罪被害者等
の経済的
支援
及び
被害
回復
のための
施策
の充実に努めること。 以上であります。 何とぞ
委員各位
の御
賛同
をお願い申し上げます。(拍手)
七条明
154
○七条
委員長
これにて
趣旨
の
説明
は終わりました。 採決いたします。
上川陽子
君外二名
提出
の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
七条明
155
○七条
委員長
起立総員。よって、本動議のとおり
附帯
決議を付することに決しました。 この際、ただいまの
附帯
決議につきまして、
法務大臣
から発言を求められておりますので、これを許します。
長勢
法務大臣
。
長勢甚遠
156
○
長勢国務大臣
ただいま可決されました
犯罪被害者等
の
権利利益
の
保護
を図るための
刑事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
に対する
附帯
決議につきましては、その
趣旨
を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。 また、最高
裁判所
に係る
附帯
決議につきましては、最高
裁判所
にその
趣旨
を伝えたいと存じます。
—————————————
七条明
157
○七条
委員長
お諮りいたします。 ただいま議決いたしました
法律案
に関する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
七条明
158
○七条
委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔報告書は附録に
掲載
〕
—————————————
七条明
159
○七条
委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四分散会