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小津政府参考人 まず、
委員が万人訴追主義という言葉で申された点ですけれども、この点は、先ほど
大臣も御
答弁申し上げましたように、果たしてそれがヨーロッパ特有のことであるのかどうかにつきましては現時点で確たることは私申し上げられませんが、私人も含めて訴追をしているということがかなり広く行われていたところ、だんだんそれを、訴追は国家がしていくというふうに流れてきたのではないか。
例えば、イギリスにおきましては私人訴追の
制度があるわけでございますけれども、そのイギリスにおきましても、比較的最近、検察という
制度がかなり私どものイメージに近いものとして確立をしてきたというようにも聞いているわけでございます。
そういうことを私がどのように考えるかという御質問がございました。それは、世界の趨勢が歴史的な流れでそのようになってきたということは、やはり人類のいろいろな経験の積み重ねの中から、それぞれの国でそのようになってきたのではないか。そういう意味で、我が国は訴追は全部国がやるというふうになってきておるわけでございますので、少なくとも、その点を今大きく変えるべきだと私が思っているかと申しますと、そのようには考えていないわけでございます。まず、その点はそうです。
次に、
被害者参加が世界的趨勢なのかということでございます。これも、各国いろいろなことがございますので、断定的にはもちろん申し上げられませんが、例えば、国連の
犯罪及びパワー濫用の
被害者のための司法の基本原則宣言というものがございまして、これにおきましては、
被害者の個人的利益が影響を受ける場合には、被告人に不利益を与えることなく、また該当する
国内の刑事司法
制度に従って、彼らの
意見や関心事を訴訟
手続の適切な段階で表明させたり考慮したりすることなどが定められていると承知しております。
それから、諸外国の状況につきましては、これまた概略を
大臣から御
答弁させていただきましたけれども、ドイツにおきましては、強姦、傷害、監禁等の
一定の
犯罪の
被害者、違法行為により死亡した者の遺族、それから私人訴追の権利を有する者などは、提起された公訴に参加することができるものとされている。公訴参加いたしますと、質問権、証拠
申請権、
意見陳述権、上訴権等が認められていると承知しております。
フランスにおきましては、
被害者は私訴原告人となった場合に当事者として刑事裁判に関与することが認められて、
出席権、弁護士の補佐を受ける権利、証拠
提出権、証人に対する質問権、
意見書を
提出する権利、上訴申し立て権、ただ、これは民事上の利益に関してのみという限定があるそうでございますが、そのようになっております。
アメリカ、イギリスにつきましても、それぞれ
一定の範囲内で
被害者の方がかかわる
制度がございます。
引き続き御
説明申し上げてよろしいでしょうか。(石関
委員「簡略に」と呼ぶ)簡単に申し上げます。
アメリカにおいては、司法省その他の合衆国の行政機関の公務員や職員が、
一定の場合を除いて、
被害者が
犯罪に係るすべての公開
手続から排除されない権利を確実に付与されるよう、最善の努力を尽くさなければいけない、このようになっておりまして、
被害者等には、釈放するかどうか、また量刑に関して地方裁判所において行われる公開の
手続で
意見聴取を受ける権利が認められていると承知しております。
イギリスにおきましては、裁判
手続でそのこうむった
被害の影響を書面により陳述できる、また、裁判官が量刑を
検討するための
判決前
調査報告書には
被害の影響等について記載されると承知しております。さらに、イギリスにおきましては、比較的最近、中央も含めた一部の裁判所におきまして、より積極的な
被害者参加の
制度を試行しているという状況もございます。
さらに、イタリアでは、最近いわゆる当事者主義的になってまいりましたけれども、
被害者参加の
制度はそのままあると申しますか、そういう意味では、イタリアでは現在、当事者主義的な
手続だけれども、
被害者参加の
制度があると認識しております。