○寺田
政府参考人 今申し上げました第三項までにつきましてはさほど大きな議論はなかったわけでございますけれ
ども、実は第四項、第五項についてはかなり議論があったところでございます。
弁護士さん等専門の職種の
皆さんというのは、先ほど申し上げましたように、これまでも戸籍謄本を御利用になる方が多くて、それほど
事故がない職種もあれば、ありそうな職種もあって、さまざまでございます。しかし、一方で、個人のプライバシー等、戸籍の情報というのは非常に重要だということで、守る必要があるわけでございますけれ
ども、他方で、この専門の士業の方々は、先ほど申しました、ある種の職業倫理のもとで、紛争性のある受任
事件が
仕事の性質上当然おありになるわけでございます。
こういった場合に、御本人の名前を明らかにするということが適当かどうか。つまり、だれがこの戸籍を請求したかということを明らかにしないと
弁護士もこういう他人の戸籍謄本をとれないということが適当かどうかという御議論になったわけでございます。
これについては、実は両方御意見があったわけでございますが、最終的には、紛争性がある
部分に限っては、御本人との秘密が特別に守られている
弁護士さんというようなお立場におられる方々がとる場合については、やはりそれなりの配慮が必要なのではないかという御意見に
最後集約されたわけでございます。
そこで、ここの四項におきましては、どういう
種類の紛争のある
事件だということは明らかにしなきゃいけないわけでございますけれ
ども、だれのために請求するかということは明らかにしなくていい、こういう
弁護士さんの特例を設けたわけでございます。
同じことは、
簡裁の訴訟代理をなさる司法書士さん、あるいはADR等で紛争性のある
事件を処理される
社会保険労務士の
皆さん、こういう方々についても事情は同じでございますので、紛争性のあるという
基準で切り取って、その範囲でこの特例の適用対象といたしているところでございます。
なお、次の第五項でございますけれ
ども、今申し上げましたのは、民事の
事件を想定いたしますと容易に御理解いただけるところでございますけれ
ども、刑事
事件となりますと、必ずしも
弁護士さんの依頼者が御本人であるとは限らないわけでございますし、ましてや国選弁護ということになりますと、これは国が依頼者なのか、あるいは何なのかということがよくわからないわけでございます。しかし、そういう場合にも、今言ったような、
弁護士さん特有の、ある種の秘密を守るべき特権というのは維持されるべきだということには変わりないわけでございます。
そこで、
弁護士の
皆さんが特定の方に活動する権限を有して、その権限が定型的に紛争性のある
事件の特例として、この第四項に準じまして、このような刑事弁護の場合の
弁護士さんの戸籍謄本をとる
手続をここに定めたわけでございます。