○西
委員 同感でございます。
さらに申し上げれば、そのことがその後の学習ということについても大きな能力の開発につながっていくというふうに私は思っております。
続いて、大集団の中で育つ環境が必要であるということでございましたが、先ほども申し上げましたように、家庭、
学校だけでは、現在の
教育が抱える根本的な問題の解決にはなかなかなりにくいのではないかということを申し上げました。そういう意味では、人間を人間として成熟させるためのかぎというのは
地域社会、そしてそこで多くの人と交わる、こういうことにあるのではないかというふうに思います。
さて、先日、NHKの「芸術劇場」で、話題の若手指揮者、グスタボ・ドゥダメルを取り上げて
報道しておりました。私も余り芸術には詳しくはないんですが、このドゥダメルは、ベネズエラの出身で、二〇〇四年、マーラー指揮者コンクールで第一位を獲得して、ロサンゼルス・フィルの次期音楽
監督に内定しているという方です。指揮者としてスター街道を走ろうとしている、弱冠二十五歳の新進気鋭の指揮者であります。彼はベネズエラのユースオーケストラの出身であり、ここからは、彼以外にも数多くの演奏家
たちが活躍しているようです。
実は、このドゥダメルなどの音楽家
たちを生んだのはベネズエラのある
教育政策である、こういうふうに言われております。ベネズエラにはFESOJIV、フェソジブというんですかね、ベネズエラの若者と
子供のオーケストラのための国家的財団という財団でございますが、そういうものがあって、
全国で三百カ所の拠点でオーケストラの活動をしており、二十五万人の
子供が参加をしている、こういうことです。ユースの年齢を過ぎた後も指導者などでこの活動を、国として支えているという活動をしております。
興味深いのは、この活動は、すぐれた音楽家を、演奏家を育てようというふうに意図されたものではなくて、ベネズエラの貧困
地域の
子供たちを、クラシック音楽の練習、演奏を通じて育てていこうというのが真の目的だというふうに言われております。
私が
紹介したいのもこの点ですが、元文化
大臣のホセ・アントニオ・アブレウ博士が、一九七五年、三十年以上前に、カラカスのガレージで十一人の
子供に音楽演奏を指導したというところからスタートしたというふうに言われております。そのアブレウ博士は、
子供たちを犯罪と貧困から救い善良な市民に育てるためにはオーケストラのクラシック音楽が一番いい手段だ、音楽で
子供の情緒、感受性、協調性、人格が形成され、社会の
発展につながるという信念から、
全国規模でこの普及活動を進めてきた。
先ほど、ちょっと
野球の話がございましたけれども、
野球も
全国的規模の運動、活動になっておりますが、そういうことでございます。
この趣旨に賛同した世界的に有名な指揮者
たちが、カラカスに出向いてオーケストラを指導したり共演したりということが行われておりまして、今や世界的な支援の広がりを見せている、こういう状態になっているそうです。
私は、このことを通して、
地域に根差した文化、芸術と
教育政策を融合したこの取り組み、大変すぐれたものだなというふうに思っております。
一つの例ではございますが、そういう感想を持っております。
日本では、先ほど
紹介したような、
教育の根本、社会情勢の変化とともに
教育の根本を問われるような課題を抱えていると思います。
学校教育における取り組みではなかなか十分な効果があらわれないようなことから、
規範意識、先ほど
大臣がおっしゃいましたその議論、最近では家庭
教育にも目を向けていかなければならない、こういう流れになっております。しかし、そうした手法だけでいいのか。
地域社会での取り組み、それからその支援こそが、今後の
教育政策を進める上で大変この事例は参考になるものというふうに思いますが、
大臣のお
考えをお聞かせ願いたいと思います。